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検討課題1における主な検討事項


(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件 等

● 「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない。」とあるが、「加齢により妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、自然閉経の平均年齢である50歳ぐらいを目安とし、それを超えて妊娠できない場合には、「加齢により妊娠できない」とみなすこととする。

● 「自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできない。」とあるが、「自己の精子・卵子を得ることができる」ことの具体的な判定基準はどのようにするか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容は、精子・卵子・胚ごとに設ける。

● 精子・卵子の提供を受けることができる者について優先順位を設けるか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、医学的理由や待機期間、その他の理由(年齢、既に有している子どもの人数など)などを総合して優先順位を決定することとする。

● 精子・卵子の提供を受けることができる者について、子の福祉の観点から、夫婦が子育てに耐えられるという要件も必要なのではないか?

→ 子の福祉の観点から、夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況などを考慮する。
 具体的な内容や方法については、生まれた子どもを安定して養育していけるかについてのインフォームド・コンセント、カウンセリング(検討課題2)で検討する。

● 特別養子制度のように、親となるものの年齢の下限を設けないでよいのか?

→ 親となるものの年齢の下限に対する考慮は、上記の健康状況、精神的な安定、経済状況などについての検討の中で検討する。

● AID(提供精子による人工授精)について、「精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができる。」とあるが、「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、日本産科婦人科学会の会告(「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1.及びその解説)に準ずる。(→具体案作成中)

● 提供精子による体外受精について、「女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができる。」とあるが、「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?また、「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、

  •  「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことについては、日本産科婦人科学会の会告(「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1.及びその解説)に準ずる。(AIDの場合と同じ。)

  •  「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」ことについては、日本産科婦人科学会の会告(「体外受精・胚移植」に関する見解」1.並びにその解説)、及び、3.並びにその解説に準ずる。(→具体案作成中)

● 提供卵子による体外受精について、「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができる。」とあるが、「卵子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、当分の間、臨床的診断として自己の卵子が存在しない場合に限ることとする。

● 提供胚の移植について、「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された胚の移植を受けることができる。」とあるが、「胚の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

→ 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき医学的基準の具体的な内容は、男性に精子の提供を受ける医学上の理由があり、かつ女性に卵子の提供を受ける医学上の理由があることとする。
 医学的な基準以外の、子を安定して養育していけるか、生まれた子に対する真実告知などの基準については、カウンセリングやインフォームド・コンセントで対応するとともに、個別の事例について、公的な第三者の審査を行うこととする。

● 卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には胚の提供を受けることが出来ることとするか?

→ 「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受けることができることとする。

● 胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、胚の提供を受けることが困難な場合には、精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植を受けることができることとするか?

→ 「胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦」に対する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は、認めない。

● 「体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとする。」とあるが、「移植する胚や子宮」がどのような状況にあれば、胚を3個まで移植することを認めるか?

→ 医師の裁量とする。

(2) 精子・卵子・胚を提供できる者の条件 等

● 「同一の人からの卵子の提供は3回までとする。」とあるが、卵子提供の回数制限は、何の回数を3回までに制限するのか?

→ 採卵の回数を3回までに制限する。

● 精子・卵子・胚の提供者について、どのような感染症の検査を行うか?

→ 精子・卵子・胚の提供者について、現在のAIDにおける一般的な検査に準じた検査を行うこととする(血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体等について検査を行う。)。

● 感染症の検査を行う場合、卵子凍結が技術的に確立していないため、検査により感染が判明しない期間(ウィンドウ・ピリオド)を考慮した感染症の検査が困難であるが、これについては、提供を受ける者のインフォームド・コンセントを得ればよいこととするか?

→ 精子・卵子・胚の提供が行われる場合には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の精子・卵子(実際には、夫の精子と受精させた胚)・胚だけを使用できることとする。

● 感染症のほかに検査すべき項目はないか?

→ 遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の4.及びおよびその解説の当該部分に準じたチェック(問診)を行うものとする。

● 上記の検査の結果を提供者に知らせるか?

→ 知らせることとする。

○ 「精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領することを禁止する。ただし、実費相当分については、この限りでない。」とあるが、「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲をどのように設定するか?

(案1)  個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額に一定額を加算した額を「実費相当分」(の上限)として認める。
(案2)  個々の事例について、実際にかかった額を含めた一定の額を「実費相当分」(の上限)として認める。
(案3)  個々の事例について、実際に提供者が負った負担に応じた額を「実費相当分」(の上限)として認める。
(案4)  個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額のみを「実費相当分」として認める。
(案5)  「実費相当分」という以上の具体的な基準は特に示さない。

● 卵子のシェアリング全体について、具体的にどのようにするか?

→ 公的管理運営機関の具体的な業務(検討課題3)について議論した後、シェアリングについて特段のルールを設けるかどうかも含め、改めて議論する。

○ 兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるか?

(案1)  「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。
(案2)  「兄弟姉妹のみからの精子・卵子・胚の提供」を認める。
(案3)  「姉妹等からの卵子の提供」のみ認める。精子・胚については、兄弟姉妹等からの提供を認めない。
(案4)  「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」は、(当分の間、)認めない。
 当分の間、認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする。

● 精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性を合わせるか?また、合わせる場合、どこまで合わせるか?

→ ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ることとする。
 それ以外については、希望があっても属性を合わせることは認めない。
 Rh型血液型に関しては、Rh不適合型妊娠の可能性も含めてインフォームド・コンセントで対応することとする。

○ 属性以外の提供を受ける者の希望に応えるか?また、応える場合、どこまで応えるか?

→ 提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについては、

(案1)  可能な限り認める。ただし、精子・卵子・胚を提供する際に、当該提供により、第1子だけでなく第2子も生まれる可能性があることについて、提供する人に対し、インフォームド・コンセントを取っておく。
(案2)  認めない。

● 精子・卵子・胚の提供を行った結果、子どもが生まれたかどうかを、提供した人に対して医療機関(公的管理運営機関?)は必ず知らせることとするか?

→ 提供する人の希望がない限り知らせないこととする。

○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?

→ 出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して、

(案1)  精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該提供した人が当該生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報(当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。
(案2)  当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。

● 提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の使用について取り扱いを決めなくてよいか?

→ 提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄することとする。

● 提供された精子・卵子・胚の保存期間についても具体的に期間を決めなくてもよいか?

→ 提供された精子・卵子の保存期間は2年間とする。
 提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間を10年間とする。それ以上の具体的な基準は特に示さない。



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