02/04/26 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成14年4月26日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年4月26日(金) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(9名)五十音順   大 野 泰 雄、 風 祭   元、◎河 村 信 夫、 小 嶋 茂 雄、   首 藤 紘 一、 菅 谷   忍、 長谷川 紘 司、 藤 上 雅 子、   柳 川   尭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(8名)   金 井   淳、 堺   秀  人、 谷川原 祐 介、○長 尾   拓、   南 部 鶴 彦、 早 川   浩、 村 勢 敏 郎、 矢 崎 義 雄 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 安 倍 道 治(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)    姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画調整部長)、    平 山 佳 伸(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   森   和 彦(医薬品医療機器審査センター審査第二部長)、   辻 村 信 正(医薬品医療機器審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは部会を始めさせていただきます。当部会委員数17名のところ、 9名の御出席でございまして、定足数に達しておりますことを御報告させていただきま す。それでは河村先生、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。 ○河村部会長 皆様、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。本 日の審議に入る前に、事務局から資料の確認と資料作成に関与された委員の報告をお願い いたします。 ○事務局 では資料の確認をさせていただきます。資料1〜3までがあらかじめお送りさ せていただいた資料でございます。当日配付資料といたしまして、本日の議事次第、それ から座席表、当部会の委員名簿、ミキシッド-L、Hの添付文書の文言等の修正を若干行 ったものということで資料2'をお配りしております。それから資料4といたしまして、 「新キットの承認について」、資料5といたしまして、「医薬品第一部会審議品目の薬事 分科会における取扱い及び毒薬・劇薬の指定の要否について(案)」でございます。 それ から資料6といたしまして、本日の審議品目でございますロラタジン原末等の専門委員の 名簿をお配りしております。以上ですが、ございますでしょうか。  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の 確認でございますが、本部会委員に本日の議題の関与委員はいらっしゃいません。以上で ございます。 ○河村部会長 ありがとうございました。それでは審議に入らせていただきますけれど も、新医薬品の承認の可否等の審議事項が1件、ロラタジンというものでございますが、 審査センターから審査概要の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料1、クラリチン錠10mgについて御説明をさせていただきます。 本剤の有効成分ロラタジンは、米国シェリング・プラウ社により鎮静作用の少ない抗アレ ルギー薬として見いだされたもので、現在欧米など100か国以上で市販されております。 また、一部の国では一般用医薬品として既に市販されております。本剤は抗ヒスタミン作 用を主な作用機序とするもので、類薬には塩酸フェキソフェナジン、メキタジン等があり ます。  なお、本剤については平成6年に一度承認申請がなされておりまして、新医薬品第三調 査会で審議され、平成9年10月に開催されました調査会において、プラセボあるいは対 照薬を含めた追加臨床試験が必要であるとの見解が示され、申請者は申請をいったん取り 下げた後新たな臨床試験を実施して、その結果も踏まえて今回再度承認申請を行ったもの であります。 それでは審査内容について簡単に御説明いたします。本品目の専門協議においては、資料 6に示しますように、河野委員、近藤委員、西岡委員、林(眞)委員、林(正)委員、水野委 員、三森委員、宮川委員、宮地委員、吉岡委員の10名の専門委員を指名いたしました。  規格でございますけれども、審査の過程で記載整備等を行っておりますが、最終的に適 切に設定されたと判断しております。本剤は3年間までの安定性が確認されております。  毒性については、以前の調査会で既に審議されておりましたが、がん原性等について申 請者に改めて確認をしており、問題ないと判断しております。  本剤の薬理作用については、各種アレルギー性動物モデル等で検討され、選択的なヒス タミンH1受容体拮抗作用等が確認されております。なお、本剤投与後には主要代謝物と してSCH34117というものが生成し、この成分も薬効に寄与しているということで、これ らの情報を添付文書で記載するよう指示いたしました。  ADMEに関しましては、未変化体のTmaxは1.5時間程度、T1/2は10時間程度、 CYP3A4等で代謝され、尿及び糞中へほぼ同量ずつ排泄されることが明らかになっており ます。審査の過程では食事の影響、性差等について確認をしております。  臨床試験結果でございますが、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹それぞれについて、第II相用 量設定試験、メキタジンを対照とした第III相試験が実施されております。冒頭でも御説明 しましたとおり、調査会から追加臨床試験が必要であるという見解が示されまして、申請 者は蕁麻疹については低用量1mg群、及びフマル酸ケトチフェン群を対照とした二重盲 検比較試験を、それからアレルギー性鼻炎についてはプラセボ、及びフマル酸ケトチフェ ン群を対照とした二重盲検比較試験をそれぞれ追加で実施し、本申請ではこれらの結果も 提出されております。 追加で実施しましたどちらの試験においても、低用量群あるいはプラセボに対する本剤の 優越性、フマル酸ケトチフェンに対する非劣性が検証されております。なお、アレルギー 性鼻炎の追加試験で2週目の5鼻症状スコアではフマル酸ケトチフェンに対する非劣性 が示されておりませんが、プロトコール上で1週目の検証が優先されており、各症状スコ アの推移を確認して本剤の有効性を否定するものではないと判断いたしました。 また安全性については、QT延長との関連あるいはCYP阻害剤との併用による相互作 用、眠気の発現等について確認を行っておりまして、現時点では直ちに問題となるような ものはないと考えておりますが、長期投与の安全性も含め市販後に十分な調査を実施する よう指示しております。なお、眠気との関連につきましては、日本人を対象にプラセボも 含めた臨床薬理試験を実施し確認することとしております。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は新有効成分含有医薬品で、原体、製剤 ともに毒薬、劇薬には該当せず、再審査期間は6年間、薬事分科会には報告を予定してお ります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○河村部会長 ありがとうございました。以上のようにアレルギー性の鼻炎と皮膚疾患、 それから蕁麻疹…、皮膚疾患はかゆみを止めるということでございますが、御質問、御意 見ございましょうか。  事務局に伺いたいのですが、専門委員名簿を今日頂きましたが、この中に皮膚科の先生 はいらしたのですか。 ○事務局 今回のこの品目の専門協議では、医学系の専門委員として近藤先生、それから 西岡先生、宮地先生等に加わっていただきまして、皮膚科という観点では西岡先生が御専 門であろうと考えております。そのほか、第三調査会で既に審議されておりました関係で、 その調査会の座長であった近藤先生等にも参加していただいたという経緯がございます。 ○河村部会長 近藤先生は内科ですよね。 ○事務局 そうですね…。宮地先生も御専門が皮膚科ということです。 ○河村部会長 そうですか。御意見ございましょうか。では大野先生から。 ○大野委員 審査報告書の13ページに書いてあることでちょっと分からないところがあ りまして、「吸収」の最後の行なのですが、活性代謝物であるSCH34117のAUC比から 累積係数が4.7だと書いてあるのですが、そういうふうにどこで見えるのだろうと思いま して…。概要323ページの「図へ-10」を見てみると、Cmaxは反復投与しても同じだし、 Cminも同じだし、ちょっと分からなかったこと。  それからこの物質が甲状腺にかなり蓄積しているのですね。普通だったら直接に蓄積す る臓器に関しては、その実態を明らかにするようにというのが非臨床薬物動態試験のガイ ドラインに書いてあるのですが、どういうものが蓄積しているのかというのが、ダブルブ ラインドでしているのか、単に重大なものにくっついていて離れるのが遅いのかというの は分からないということです。  それから血漿中の代謝物というのは、放射活性と未変化体、活性代謝物の比率から言う と活性体以外のものが非常に多く、そのもので実態が分からないのですね。その辺につい てちょっと教えていただきたいなと思うのですけれども。 ○事務局 何点かございますので、一つずつ分かる範囲でお答えしたいと思います。まず 一点目、蓄積性が4.7というのはどうやって見えるのだということでございます。この件 に関しては、平成6年に申請されたときに調査会と既にやり取りをしていた関係で今回の 審査の中では聞いておりませんが、調査会から出された指摘に関しての回答の中では、こ のSCH34117の血漿蛋白結合率が低くて組織移行性が高いために、分布容積が小さくなっ て最終的には血中濃度が上昇するというふうに申請者は答えておりまして、それについて は調査会で了承されているという経緯がございます。確かにこの図を見ますと、10日前 後まではそれほど蓄積性はないのですけれども、それ以降組織への移行性は分布が飽和し て分布容積がどうも小さくなるのではないかという考察がされているということでござ います。  それから甲状腺へのお話でございますが、確かに甲状腺に何が蓄積しているかというの は検討しておりません。しかしながら、今回の審査あるいは調査会での経緯等を考えます と、慢性毒性試験等で甲状腺に病理学的な所見が何か認められるということはなく、毒性 上は問題ないだろうということでございます。  それからもう一つは、340ページ等を御覧いただきますと甲状腺はやっておりません が、肺あるいは脳そのほかの組織へのこの物質の蓄積性を検討しておりまして、全放射能 の大体半分はSCH34117という活性代謝物が同定されているという状況でございます。甲 状腺については、確かに御指摘のとおりその実態についてはよく分からないということに なっております。  それから同定されていないものがたくさんあるのではないかというお話でございます。 これについても、354ページの「表へ-17」等で同定画分が多数あるという先生の御指摘 だと思いますが、ここに挙げられておりますような構造物以外は確かに同定されておりま せん。ただ、考察として考えられるのは、このロラタジンの3、5、6位辺りに水酸基が 付いたようなもの、あるいはその類似体といったものが想定されるだろうと。そういうも のの細かいピークがたくさんあって、それを全部足すとこのぐらいになるということで、 1個でこのピークが出ているわけではないということでございます。確かに何が出ている かというような同定の検討はそれ以上しておりません。 ○大野委員 今御説明があった、「表へ-17」の「抽出残渣」というところが5割くらい あるのですね。その部分が何かさっぱり分からないところが…、血清から抽出したときに ラットでは分からないと。ヒトの場合でも3〜5割くらい抽出残渣が残っていると。蛋白 結合してしまっているのか…、クロムや何かと結合してしまったら大きな問題が起きる可 能性があるので、そこは一番気になっていたのです。その部分は、実態は今のところ分か らないですか。 ○事務局 実態としては分かりませんが、このものそのものでの慢性毒性試験等で何か特 別な所見が得られているというわけではないので、安全性上の問題はないのではないかと 考えております。 ○河村部会長 よろしゅうございますか。何か追加して御発言することは…。 ○大野委員 安全性上問題がないということは分かるのですが、未同定のものが多いとな ると、将来審査のときに気を付けていただいたらと思います。 ○河村部会長 ある程度明らかにはなっていない…、全然分からないということですか。 予測はされている…。 ○事務局 今のところ予想されるのは、そういった化合物ではないかということでござい ますが、実際には同定はしていないということでございますので、現在の状況については 再度申請者の方に確認いたしまして、先生の方に御報告申し上げたいと思います。 ○河村部会長 今の御説明でよろしゅうございますか。柳川先生、御意見ございますか。 ○柳川委員 添付文書なのですけれども、1ページの「用法・用量」のところで、これは この薬剤だけではなくて大体こういうふうに書かれるおまじないのようなものだと思う のですが、「なお、年齢・症状により適宜増減する」という表現があります。これはかね てから非常にあいまいだなという気がしましたが、このスタディーでは特に適宜増減した ときに効果があるのか、年齢との関係とかそういうデータが全然ないのですね。そういう 状況の中でこういう表現はいかがなものかと。 ○河村部会長 事務局から御返事いただけますか。 ○事務局 柳川先生御指摘のように、どこまで有効で担保できるのかということでござい ますが、少なくとも今回の1mg錠では効果がないということでございますので、そこまで 落としてしまうと本剤の有効性はないと。5mg錠以上の試験結果から見ますと、5mg錠で 有効性が認められるのではないかと考えております。増やすという方に関しましては、本 剤20mgあるいは40mgというのが第I相試験でヒトに投与されておりまして、特に問題は ないという判断から今回のこの表現になっているわけでございますが、こういった抗ヒス タミン作用を有する抗アレルギー薬は、先生も御指摘のように一般に類薬にも同様の記載 がされておりまして、こういった薬を実際に臨床現場で使う際には、適宜増減されるとい う実態があることから、今回もこのような表現を入れたという経緯はございます。 ○柳川委員 減らす方はいいのですが、増やす方ですね。第I相で6例くらいからの耐容 性くらいしか見ていないのですね。効果とか副作用を全然見ていませんから、これは増や すということに対してはどうでしょうかということです。 ○事務局 安全性上からは問題ないだろうと、有効性の観点からはどの程度増やすことで 効果があるかというのは確かに臨床試験の中から得られておりませんが、作用機序的には 十分考えられるということ。それから当然その症状、そういった増減することで更に効果 が得られる患者を想定できるということで、安全性上特に問題がなければこういう「増」 という記載についても類薬と並べて記載をしているということでございます。 ○河村部会長 これはあれですね、柳川先生のおっしゃるように適宜増減するというの は、どういう範囲で従来の薬も認めているのか、今までの薬の能書全般に関わるお話です よね。もちろん私のような体重と小錦のような体重とでは適宜増減させなければいけない だろうけれども、その辺の内規のようなものはあるのですか。 ○事務局 一般的にどこまで増減すればいいかという具体的な数値等は決まっておりま せんが、一般の臨床で行われている範囲で承知しておりますところはほぼ通常用量の2倍 程度までということでございますので、今回は20mg程度が上の加減で最大量ではないか と思われます。 ○柳川委員 ただ、データを取らずにこういうふうに書くというのが、私はやはり問題だ ろうという気がするのです。また年齢によるというふうに書いてありますが、そういうデ ータもないわけですね。ですから、もうちょっと慎重にこの辺りをお考えいただいた方が いいのではないかと思うのですが。 ○河村部会長 この辺は専門協議でも御意見出ませんでしたか。つまり安全性については 第I相で分かっているけれども、高用量を使った治験のデータがないということですよ ね。○事務局 専門協議の検討では、今回の適宜増減という記載については、類薬との整 合性から、これだけに付けないというのはむしろ混乱を生じるのではないか、なるべく合 わせられるところは合わせた方がいいのではないかといったお考があったと思います。 ○河村部会長 横並びでというお話でございますが…、御相談がまとまったら御発言いた だけますか。ではほかに何か御意見ございましたら…。 ○藤上委員 よろしいでしょうか。このお薬は海外で大変多く使われていて、安全性で問 題になることは少ないとは思うのですが、ちょっと気になった点を二つ、三つよろしいで しょうか。  報告書の29ページの眠気に対する注意事項のことなのですが、「第I相試験の結果か ら20mg反復投与及び40mg単回投与で比較的高頻度の眠気が認められた」というような記 載があるのですね。そのために「本剤は1日10mg以下の用量が適当と判断した」とある のですけれども、この薬剤に関して今適宜増減というお話が出ていましたが、20mgまで は使われるのではないかと考えたときに、眠気に対する対応にちょっと疑問があるのかな ということ。ただアメリカにおいては、眠気が運動機能に対してどういう影響を及ぼすか という試験をした結果、プラセボと比較しても差はなかった。ですから、この薬剤に関し ては眠気に対する注意喚起は添付文書上にないのです。したがって、日本の添付文書にも その注意喚起はしないというお話なのです。ただ、日本人のデータがないから市販後に日 本人のデータを収集して、問題があったときには添付文書にその旨を反映させると書いて あるのですが、これは反対ではないかと思うのです。眠気に対して日本人に対する安全性 が確認されていないならば、取りあえず眠気に対する注意喚起をしておいて、市販後にそ ういう試験をして安全性が確認されたらそれを除くとすべきではないでしょうか。 ○事務局 眠気に関しては、審査の過程あるいは専門協議の中でもかなり話題になりまし た。今回の品目を見てみますと、まず本邦での試験ではプラセボ対照試験で眠気の発現率 がプラセボと変わらないというしっかりとしたデータがあること。それから、海外では、 先生がおっしゃいましたように臨床薬理試験というものがかなり実施されておりまして、 そこでもプラセボとの差は見られていないということで、恐らく本剤については眠気を高 頻度に、しかもそれはプラセボよりも高頻度で発現するという可能性はないと考えており ます。したがって、今回のものを承認するに当たって、添付文書上の記載が必要か否かと いう判断をする場合には、眠気の発現率というのがプラセボとほぼ同様であって、特に注 意喚起をする必要はないのではないかという判断をしたところでございます。  しかしながら、我々としても日本人でどのような状況かというのを実際に確認したいと いうことで、申請者に日本人でもう少し検討ができないかということを指示しましたとこ ろ、日本でも市販後に臨床薬理試験を実施してプラセボを含めた試験を実施し、その眠気 の発現率について確認するという回答を得ておりますので、その結果を見たいということ で、我々としては恐らく当然ネガティブな結果になるだろうという判断の下で、承認前に あえて実施する必要はないという判断でございます。 ○藤上委員 私が言いたかったのは、これは市販後に確認検査をして何か問題があったら 添付文書に反映させましょうという話ですよね。多分何もないだろうとは思うのですが、 ただそういうようなことをお考えになるのでしたら、反対にとにかく眠気に対する注意喚 起をしておいて、安全性が確認されたときに添付文書からそれを削除するという方がリー ズナブルなのかなとちょっと思ったものですから。 ○事務局 実際のところ、今この抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬の中で眠気の 注意喚起をしていないものにはアレグラ錠というものがございまして、これについても臨 床薬理試験を実施してプラセボとの発現率を比較して差はないということで書かなくて もよいという判断をした経緯がございます。今回のものも、やはり同様の臨床薬理試験を 実施してプラセボと発現率は変わらないという結果が出ておりますし、本邦でのプラセボ 対照二重盲検比較試験での眠気発現率もプラセボと同様であったということで、本来であ ればむしろこういう試験を実施する必要もないのかもしれませんが、あえて確認のために 日本人で実施していただきたいということで実施させている経緯がございます。この試験 結果から、添付文書上に何か変更を生じるという可能性はほとんどないという判断でござ います。しかしながら、実際に日本人でどういう状況かというのはデータとして現状ない ということがありますので、そういった確認をする意味でもこういう試験を推奨して実施 していただいているということでございます。  あともう一点付け加えさせていただきますと、先ほどの適宜増減との関係もございます ので、市販後臨床試験ではプラセボ、それから10mg群、20mg群という群を設けて比較し、 眠気の発現率を検討するということにしております。 ○河村部会長 藤上先生、三つほどとおっしゃいましたが、そのほかにございませんか。 ○藤上委員 もう一つは「薬物動態」のところで、健康成人男性に10mgを空腹時に単回 投与したときには食後投与との比較においてロラタジンで約51%、DCLで約15%のA UCの低下が見られたと。ここだけを見てしまいますと、空腹時に服用させるということ は少し問題があるのかなと考えられるのですが、「薬物動態」のところを始めからおしま いまで全部読んでみますと、一番最初にロラタジンの活性代謝物DCLの効力比は未変化 体のロラタジンの7.9倍であったということと、そしてそういう図式があってAUCの低 下の問題があって、最後の方に行って「4.代謝」のところで「速やかに吸収され、初回 通過効果によってDCLへと代謝される」と書いてありまして、ここまで読んで初めて空 腹時に服用したときのAUCの低下が余り問題にならないのではないかということが理 解できるのですが、もう少し分かりやすく書いていただけたらと思ったのです。 ○河村部会長 もう少し親切に書けという御意見ですが、会社の方へ伝えてもらうように いたしましょう。先生、もう一点ございますか。 ○藤上委員 もう一点は、今の問題に関しましては、概要書というものが大体新製品に付 けられるのですが、そういったところで詳しく分析をしておいていただけると有り難いと 思ったのです。  それからもう一点は、先ほどの甲状腺への蓄積性のことに関してですが、「薬物動態」 の「3.分布」のところに「甲状腺では14日間反復投与でも定常状態に到達せず、蓄積性 が示唆された」ということだけが書いてあるのですが、では甲状腺に蓄積されたときに何 が起きるのか、それとも問題がないのかというのはこの添付文書のどこを読んでみても判 断がつかないのです。ここの添付文書の中に書いていただかなくても結構ですが、先ほど も事務局の方から御説明があったように、報告書にはラットでの慢性毒性試験で甲状腺へ の影響は見られない、遺伝毒性についても否定できると考えられて問題はないであろうと 記述されているのですが、概要書でも結構ですからそれに少し解説を加えていただければ 有り難いと思ったのですが。 ○河村部会長 あとの三つは御要望でございますが、これはお伝えいただきたいと思いま す。 ○事務局 資料概要の件につきましては、これから公開版を作成することになりますの で、その中で適宜なるべく詳細な情報を盛り込むよう申請者の方に伝えたいと思います。 ○河村部会長 それで先ほどの件は…。 ○事務局 適宜増減の話でございますが、類薬の状況を検討したものがこちらにございま すが、大体第I相で通常用量の2倍あるいは3倍といったようなところまで検討している という意味では、今回のものも同様であるということ。それから今回この薬については、 以前気管支喘息に対しての開発も進められておりました。今回の適用効能からは削除され ておりますが、その中でも後期第II相試験の中で20mgという症例は80例ほどございまし て、特に安全性上問題は認められていないこともあり、そういった状況で類薬と比較して も特にこの製剤で安全性が十分検討されていないという状況ではないと思います。20mg を使用したときの使用経験というのは類薬と同様にあると思われますので、この薬だけ適 宜増減を外すということはほかの薬との並びを考えた場合にも少し難しいということだ と思います。20mgを使うこと自身は、この薬で何か問題となるようなものは見られてい ないということからすると、この薬にも「適宜増減」という記載をしておくことが適切で はないかと判断しますが、いかがでございましょうか。 ○河村部会長 類薬でもこの程度で適宜増減と認めているというお答えのようですが、柳 川先生いかがですか。 ○審査管理課長 適宜増減ですが、確かに薬効群によってちょっと考え方が違うところが ございます。ものすごく厳密にやっている薬効群のところと、それからこういう抗ヒ剤の ようなものについてはかなりブロードな使い方もされているし、安全性、それから有効性 についてもある程度類推が可能と。特にオープン試験か何かをやっていて、ある程度使用 実績があるというものについては認めているケースが多ございますので、確かに柳川先生 が御心配なさるようなものについてはかなり厳密に試験をやってもらっているものもご ざいます。ですから、このジャンルは今回のものでよろしいのではないかと思っておりま す。 ○河村部会長 それからもう一つ、藤上先生の眠気の件については書き方を改めた方がい いのではないかというのは、これはどうしましょうか。会社側の意見も聴いてみますか。 眠気が出るかもしれないという証拠もないのですよね。 ○事務局 まずは20mgにしたときにどうかという話でございますが、実際に海外では20 mgのデータというのも取っておりまして、20mgでもプラセボと差がないという臨床薬理 試験は実施されておりますので、この薬を20mg投与したときに眠気が増えるという結果 は今のところない、むしろ増えないだろうという結果がサポートされている状況です。フ ライトシミュレーションあるいは運転操作、それから数字入力等のかなりのジャンルの臨 床薬理試験がこの薬で実施されておりますし、今これが世界的に売られている状況の中で 眠気が問題になっているという事実はございませんので、この薬については眠気の注意喚 起をする必要は現時点ではないのではないかと判断いたしますが。 ○河村部会長 では市販後に増量した場合、あるいは外国で眠気が出た場合には直ちに入 れるようにしていただくと。 ○事務局 我々の判断では今回の市販後臨床試験を実施しても恐らく差はないだろうと 思っておりますが、万が一日本人では眠気の発現率がどうも高いという結果が得られたと きには、直ちに添付文書上に反映すると既に申請者には言っておりますので、そこは対応 させていただけるかと思っております。 ○河村部会長 眠気とかめまい、吐き気というのは、割合人種差があるように思いますが …、どうぞ。 ○安全対策課長 安全対策課でございますが、昨年10月以降新医薬品の市販開始直後、 市販直後調査をやっております。その中で本件の眠気について、私どもは今回のデータが きちんと裏付けられるかどうかきちんと調べさせることを半年間やるように指導したい と思います。 ○河村部会長 ということでございますが、御納得でございますか。ほかに御意見ござい ますか。よろしゅうございますか。一応そういう御返答がございましたので、よろしけれ ば承認を可として薬事分科会に報告になるそうですが、そういう扱いでよろしゅうござい ますか。ではそうさせていただきます。ありがとうございました。  あと報告事項を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 報告事項について簡単に御説明させていただきます。まず議題1でございます が、「医薬品ミキシッド-L、ミキシッド-Hの製造承認の可否について」でございます。 本品は、脂肪を配合した経中心静脈用の高カロリー輸液製剤でございます。一剤中に三大 栄養素及び主要電解質を含有する新キット製剤でございまして、Lは開始液、Hは維持液 でございます。既存の輸液群を組み合わせた対照薬との比較試験により、経中心静脈から の水分、栄養等の補給は認められると判断されております。安全性に関しましては、本剤 では投与に際し除菌用ファイナルフィルターを使用できないことから、感染防止への対応 が特に重要であるとされ、使用を医療施設内に限定すること及び細菌混入の防止について の注意事項が添付文書に記載されております。なお、添付文書でございますが、若干記載 整備がございましたので、本日資料2'として新しいものを配付させていただいておりま す。  続きまして議題2、「医薬品アレグラ錠60mgの輸入承認事項一部変更承認の可否につ いて」でございます。本品は抗ヒスタミン作用を主な作用機序とする薬剤でございまして、 今回の申請は皮膚疾患に伴う掻痒の効能・効果を追加しようとするものでございます。こ れにつきましては、既に本年4月に承認されております。  また先ほどのミキシッドでございますが、こちらも本年3月に承認されております。以 上でございます。 ○事務局 引き続きまして、資料4を御説明申し上げます。資料4につきましては、本年 3月に承認いたしました新キット製剤でございます。先生方のお手元にサンプルを準備さ せていただきましたので、よろしくお願いいたします。  一番上がテオクイック2.5%注シリンジでございまして、有効成分アミノフィリンのシ リンジ製剤でございます。その次にエレメンミックからエレジェクトまで四つございます けれども、これらは高カロリー輸液等における亜鉛等の補給に使われているものでござい ますが、今回新たにシリンジ製剤というものが承認されたものでございます。その次のサ ブパック-Bとサブラッド-DBでございますが、これは透析液でございまして、従来品は A液とB液に分かれております。余りにも大きいものですから、先生方の方には配らせて いただいておりませんが、こういう形でここを貫通させますと一緒に混じるというもので ございます。  その次がプロハンスシリンジでございますが、有効成分がガドテリドールということ で、造影剤のシリンジ製剤でございます。その次がフルデカシンキット筋注25mgでござ いますが、有効成分がデカン酸フルフェナジンのシリンジ製剤でございます。この製剤に つきましては、注射剤の場合非常に吸い込みづらいということもありまして、今回シリン ジ製剤にしたということでございます。ミキシッド-H、Lはただいま御報告させていた だいたものでございます。その次がヘパリンNaロック10シリンジと同100シリンジで ございますが、これは静脈内留置ルート内の血液凝固の防止という目的で使われるシリン ジ製剤でございます。最後がコルチクイック5%注シリンジでございますが、リン酸ヒド ロコルチゾンナトリウムを有効成分とするシリンジ製剤でございます。以上でございま す。 ○河村部会長 ありがとうございました。資料4までの御説明ですが、特に何か御発言ご ざいましょうか。従来医者には手の小さい者と大きい者がおりまして、本当はこれぐらい が限度なのです。腕をつかまえておいて、こうやって片手で打つときにこれが長いと出た り入ったりして患者が痛いのですね。これ以上だと無理ですけれども、既に市販品でこれ 以上のものがあるので下駄を履かせて注射していますが、これくらいなら大丈夫かと思い ます。 何か御発言ございましょうか。よろしゅうございましたら報告は受けたということにいた しまして、そのほかに事務局から連絡はございますか。 ○審査管理課長 前回審議したもののその後の承認について、少し御報告させていただき ます。 ○事務局 事務局より前回の当部会において御審議いただきました品目の承認状況につ いて御報告申し上げます。前回、2月22日に開催された当部会において御審議いただき ました品目でございますが、4月11日付けで承認をさせていただきました。7成分ござ いまして、キシナホ酸サルメテロール、シベレスタットナトリウム水和物、臭化水素酸エ レトリプタン、アセチルシステイン、エストラジオール、インドシアニングリーン、プロ ピオン酸ベクロメタゾンの7成分でございます。この場を借りましてお礼を申し上げま す。ありがとうございました。 ○事務局 また次回の第一部会でございますが、5月31日金曜日の10時からということ でよろしくお願いいたします。 ○河村部会長 それだけでございますか。ではこれで終了してよろしゅうございますか。 本日は簡単で1品目しかありませんので時間が余ってしまいましたが、特に御発言なけれ ばこれで終了させていただきますが、よろしゅうございますか。それでは先生方、お忙し いところどうもありがとうございました。 ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 1 -