02/03/27 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会                  日時 平成14年3月27日(水)                     14:00〜                  場所 経済産業省別館9階(944号会議室) 出席者:寺田分科会長、小川委員、小沢委員、垣添委員、黒川委員、小林委員、     品川委員、清水委員、首藤委員、高仲委員、田中委員、村上委員、柳川委員、     吉倉委員、和田委員  食品保健部長、企画課長、基準課長、新開発食品保健対策室長、検疫所業務管理室長 ○事務局  それでは定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科 会」を開催いたします。  本日はご多忙のところご参集いただきまして、厚く御礼を申し上げます。本日は、井 上委員、熊谷委員、児玉委員、羽生田委員、山崎委員が欠席との連絡を事前に受けてお ります。また、村上委員におかれましては、若干遅れるという連絡が入っております。 分科会総数20名のうち14名出席で、過半数に達しておりますので本日の分科会が成立致 しますことをご報告申し上げます。  それでは、開催に当たり食品保健部長からご挨拶を申し上げます。 ○食品保健部長  食品保健部長の尾嵜でございます。先生方にはお忙しい中、また足下の悪い中をお集 まりをいただきましてありがとうございます。本日、分科会のほうには2件のご審議を お願いしたいということで出させていただいております。1つは、遺伝子組換え食品関 係のばれいしょを用いました加工食品に関します表示対象品目の見直しの件です。これ につきましては、これまで遺伝子の検出技術の問題により検出ができなかったというこ とで表示の対象にしておらなかったわけですが、今回検出可能になったということで、 ご審議をいただくというものです。これにつきましては、すでに農林水産省のほうが同 様の措置を取るということで、2月22日付の官報ですでに告示を行っておるという状況 がございます。  2つ目は、食品添加物の関係で、1つは新規の指定要請が出されております酸性電解 水の関係につきまして、その新規指定についてご審議をお願いするというものです。ま た、もう1つは、ステアロイル乳酸カルシウムにつきましては、その使用基準の改正に ついて公開をさせていただくというものです。よろしくご審議をお願い申し上げます。  それと、2つのご審議の案件とは別に幾つかご報告の事項で資料を付けてございま す。1つは加工食品の関係です。これは後ほどご報告の際に担当のほうからご説明させ ていただきます。2つ目は、BSEに関係しまして、委員の方々も新聞等で目に付かれ ていると思いますが、厚生労働大臣と農林水産大臣の両大臣の私的諮問機関という形 で、「BSEに関する調査検討委員会」というものが動いており、4月2日に最終の報 告を出す予定になっております。その中で、過去の両者の対応の検証等をやっておりま すが、これに併せて、今後の畜産食品保健行政のあり方という観点から、組織の見直し についての提言をなされるということになっております。そういった中で、食品安全庁 というような言葉が一人歩きをいたしておりますが、報告書の中にはそういう具体的な 名前が出てくるわけではありませんが、新しい組織について見直しをするようにという ご提言になる予定です。そういった事柄があり若干これまでの言葉について分科会のほ うにご報告をさせていただく、ということを考えているところであります。  いずれにしましても、食品関係につきまして輸入食品の問題、あるいは、今日ご審議 をいただきます遺伝子組換え食品、また、この4月からアレルギーの表示については本 格的な義務付けが始まるという状況があります。いろいろな食品に関するご指摘なり、 問題提起はたくさんある、というふうに認識しております。どうか審議会のほうで十分 なご議論をいただければ有難いと考えております。本日は、よろしくお願いいたしま す。私ちょっと国会の関係で挨拶だけで失礼させていただきますが、よろしくご審議お 願い申し上げます。どうもありがとうございます。 ○事務局  それでは、以後の進行につきましては、寺田分科会長にお願いを申し上げます。 ○寺田分科会長  それでは分科会の議事を進めさせていただきます。その前に事務局から配付資料の確 認をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。まず最初は今回の分科会の議事次第で す。その次に、座席表配置図、分科会の委員名簿です。資料1−1は、「遺伝子組換え ばれいしょを用いた加工食品に関する表示対象品目の見直し」に係る薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会表示部会報告についてです。資料1−2は、遺伝子組換えばれい しょを用いた加工食品に関する表示義務の施行についてです。資料1−3は、同見直し について寄せられたご意見についてです。資料1−4は、食品衛生法施行規則一部改 正、WTO通報とそれに対するコメントです。資料1−5は、このWTO通報に関する 米国からのコメントへの回答案です。資料1−6は、米国ポテト協会へのコメントの回 答案です。  資料2−1は、食品添加物の指定等に関する薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒 性・添加物合同部会報告についてです、酸性電解水の新規指定に関するものです。資料 2−2は、同ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正です。資料2−3は、添加物 の指定及び使用基準改正に対して寄せられたご意見についてです。  参考資料1−1は、農作物由来DNAの残存についての分析結果(ばれいしょ加工 品)です。参考資料1−2は、ばれいしょでん粉からのDNA抽出をPCRによるばれ いしょDNAの残存性についてです。参考資料2−1は、ガルシニア抽出物を継続的に 摂取する健康食品に関する情報提供についてです。参考資料2−2は、薬事・食品衛生 審議会食品衛生分科会毒性・新開発食品調査部会合同部会の結果等についてです。参考 資料2−3は、F344ラットによるガルシニアパウダーの1年間反復投与毒性試験法によ る長期投与効果の中間報告です。参考資料2−4は、同概要についてです。  参考資料3は、コーデックス委員会バイオテクノロジー応用食品特別部会第3回会議 の概要についてです。参考資料4は、「BSE問題に関する調査検討委員会報告」のス ケルトン(第2次委員長メモ)です。資料は以上です。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。それでは審議に入ります。本日の議題案件、ここの議事次 第に書いてありますように、ばれいしょの話と食品添加物、その他の所で報告事項でた だいま尾嵜部長が言われましたBSEの話、健康食品の話、それとコーデックス委員会 バイオテクノロジーの話が報告事項としてあります。  それでは、「遺伝子組換えばれいしょを用いた加工食品に関する表示対象品目の見直 しについて」を進めさせていただきます。事務局より説明をお願いいたします。 ○企画課長  企画課長の吉岡です。本日の議題の1であります「遺伝子組換えばれいしょを用いた 加工食品に関する表示対象品目の見直しについて」の概要をご説明いたします。  遺伝子組換え食品の表示については、ご案内のとおり昨年4月から遺伝子組換え食品 の安全性審査の法的義務化と一体のものとして義務付をされております。それに向けて 平成10年から12年にかけて、食品衛生調査会の表示特別部会及び常任委員会のご審議を 経て、こういう形でスタートをしたところです。  昨年4月の、この遺伝子組換え食品の表示制度の義務化の開始時におきましては、大 豆、トウモロコシについては、加工食品も含めて、この表示義務の対象としておりまし た。当時ばれいしょの加工食品については、その段階では、まだ遺伝子の検出が困難で あるということにより、ばれいしょの加工食品については義務表示の対象にはしていま せんでした。しかしながら、その後、国立医薬品食品衛生研究所の豊田食品部長を中心 とした研究により、ばれいしょ加工食品についても遺伝子の検出が可能である、という ご見解を頂戴したところです。  これを受けて、まず農林水産省においては、昨年10月のJASの遺伝子組換え食品部 会において、さらに今年に入り農林物資規格調査会において、ばれいしょの加工食品へ の表示の義務化についてご審議をされた結果、これらについても表示を行うべきであ る、という結論を得ております。これを受けて、農水省におきましては2月22日に農林 水産大臣の告示を持ちまして、ばれいしょ加工食品についても義務表示対象品目への追 加を行っております。なお、これについては当面猶予期間を設け、実際上の義務化は平 成15年1月に制度が動く予定をしております。  こういう動きを踏まえ厚生労働省においても、JASとの表示の統一性を保ち消費者 の方々の混乱を避けるべきであるという観点から、昨年11月に当審議会の表示部会を開 催し、じゃがいもの加工食品の表示義務の拡大について、是非のご審議をいただいたと ころです。この表示部会のご議論の中身については、後ほど首藤部会長からご説明いた だけるものと考えております。考え方としては、第1点として、既にばれいしょについ ては遺伝子組換え食品の安全審査が既に実施されております。その安全性の確認された ものを含んだばれいしょの加工食品として現在流通をしています。2点目は、先ほど申 し上げましたが、表示を義務化する前提条件であるばれいしょに係る加工食品からの組 換え遺伝子の検出が可能になったということです。第3点としては、農水省の動きは 先ほどご説明いたしましたが、こういう動きは厚生労働省としての遺伝子組換え作物を 使用した食品について表示をさせるという方針と一致をしていること。4点目に、安全 性の確認されたものでありましても、これを公衆衛生の観点から食品の表示に含めると いうことが望ましいものであること。さらには、こういうふうにいたしますことにより 、消費者への遺伝子組換え食品の関心の高まりに応えることが可能であるということな どから、この表示部会としては、遺伝子組換えばれいしょを用いた加工食品に関する表 示対象品目の見直しについての報告書が取りまとめられたところです。この報告書につ いては、具体的には後ほど担当から説明いたしますが、本日の資料1−1にお示しをし ておりますとおりです。  これを受けて厚生労働省としては、規制に係る手続であるパブリックコメントの募 集、あるいは、SPS協定、すなわち衛生植物検疫措置の適用に関する協定に基づき通 報を行ったところです。これらの意見募集、あるいは通報の結果については、本日お手 元の資料1−3及び1−4に示しているとおりです。パブリックコメントに関しては6 件、SPS通報に関しては2件のご意見を頂戴いたしたところです。また、これらのご 意見については資料1−5にありますとおり、当初からのご返事を申し上げているとい うことです。  本日これからばれいしょの加工食品についてご審議をしていただき、ご了承いただき ましたら近々、厚生労働大臣告示を出す予定です。一定の経過期間を置いた期間、農水 省の方と同様、また全体として分別生産流通管理の制度の整備という前提条件がありま すが、これを平成15年1月からの表示の義務化と、その間経過措置を置くということで 対応していきたいと考えております。  いずれにしても、先ほど申し上げました表示部会からのご報告、パブリックコメン ト、SPS通報に対するコメントなども改めて踏まえていただき、この表示の義務化の 是非について、ご審議を頂戴いたしたいと考えております。なお、詳細については神奈 川のほうからご説明をさせていただきます。 ○事務局  企画課の神奈川でございます。詳細について補足で説明をさせていただきます。遺伝 子組換え食品の表示に関しては、先ほど課長からご説明申し上げましたように、平成10 年9月から約12回のご審議を経て、昨年の4月より安全性審査の法的義務化と併せて遺 伝子組換え食品の表示の義務化が実施されているところです。  本制度の開始に当たりましては、大豆、トウモロコシについては昨年3月27日、食発 第110号の「組換えDNA技術応用食品の検査法について」において、その検知方法が定 められております。しかしながら、当時の技術的には、ばれいしょに関しては遺伝子の 検出が困難であるという観点から、これに関しては検知方法は示しておりませんでし た。その後、農林水産消費技術センターにおいて、ばれいしょの加工食品に関しても、 その加工食品中から遺伝子の検出が可能かどうか、というところの検査を続けていただ きました。その結果が参考資料1と2です。ここでは約7種類に加工食品を分類し遺伝 子の検出を行ったところであります。  具体的には、参考資料1−1に挙げてありますように、マッシュポテト、マッシュポ テトを主な原材料とする食品、冷凍ばれいしょ、ばれいしょでん粉、ばれいしょでん粉 を主な原材料とする食品、ポテトスナック菓子、ばれいしょ(調理用)を主な原材料と する食品について分析を行いました。この分析では、参考資料1−1の1頁を見ていた だきますと、1回目の分析に関しては、ばれいしょでん粉、ばれいしょでん粉を主な原 材料とする食品に関しては、検出が困難なものもあるということから再度追加で分析を 行いましたところ、ばれいしょでん粉を主な原材料とする食品以外は、すべての加工食 品について検出が可能になったということから、ばれいしょでん粉に関しては生成の過 程などの差によるものだろうということで、すべてのばれいしょ加工食品に関しても遺 伝子の検出が可能と判断していいだろうという見解に至っております。  この検査を受けて農林水産省では、昨年の10月2日、「第2回農林物資規格調査会遺 伝子組換え食品部会」を開催され、ばれいしょ加工食品に関しても表示を行うべき、と の結論をいただいております。これを受けて農林水産省では、昨年の11月からパブリッ クコメントの募集及びTBT通報、これは貿易の技術的障害に関する協定がWTOの中 にありますが、そういった所に通報し、国際的な規格と齟齬がないかということについ てご意見をいただいております。その結果を踏まえ、今年の1月31日、農林物施規格調 査会においても、これの表示を義務付けることが適当であるということで承認を得まし たので、2月22日の官報において告示を行っているところであります。  次に厚生労働省ですが、厚生労働省としては、農林水産消費技術センターの検査結果 及び農林水産省の遺伝子組換え食品部会の検討結果を受けて、昨年の11月22日に「薬 事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会」を開催していただきました。そちらにお きまして農林水産省と同じように遺伝子組換え加工食品に関しても、表示の対象品目と することが適当というご議論をいただいております。そちらに関しては、資料1−1 に、報告書を参考資料として付けております。先ほど課長からご説明申し上げましたよ うに、主に5件の項目の観点から遺伝子組換えの表示対象品目とすることが適当とされ ております。  まず第1点は、安全性審査が既に実施されていて加工食品として流通しているという こと。また検出が可能となったことから表示を義務化することの条件が整ったというこ と。また農林水産省の決定は厚生労働省の方針と、ほぼ一致しているものであるという こと。また、公衆衛生の観点からも望ましいものであるということ。また、これらの表 示は消費者の遺伝子組換え食品への関心に応えることが可能であることこの5点から厚 生労働省としても、表示対象品目とするべし、というご意見をいただきました。具体的 には、食品衛生法施行規則別表第5の3に、この遺伝子組換え食品の表示に関する記載 があります。そちらのほうの加工食品の欄にばれいしょの加工食品を付け加えるという ことで報告書をいただいております。  加工食品としては、先ほど7品目の分析を行ったということですが、マッシュポテト というのは乾燥ばれいしょに入るということで、乾燥ばれいしょ、それと冷凍ばれい しょ、ばれいしょでん粉、ポテトスナック菓子、それと1号〜4号までを主な原材料と するもの、ばれいしょを主な原材料とするもの。この6つの加工食品に関して表示を義 務化することが適当というご意見をいただきました。  これを受けて私どもとしてのパブリックコメントの募集、それとSPS、衛生植物検 疫措置の適用に関する協定のほうに、その内容を通知しコメントを求めております。パ ブリックコメントに関しては、お手元の資料1−3にありますが6件のコメントをいた だいております。これに関しては、すべての遺伝子組換え食品に関して表示を義務付け るというコメントをいただいておりますが、これに関してはDNAタンパクの検知が可 能なものから順次表示義務対象品目として見直しを行ってまいりたいと考えておりま す。  次にSPS通報に関しては、アメリカ及びアメリカポテト貿易協会(ATPA)より ご意見をいただきました。これに関しては資料1−4、資料1−5、資料1−6にお示 ししております。資料1−4の1枚目にその概要を示しておりますが、主な意見、質問 内容として6件の提案をいただいております。  まず第1点目は、食品衛生法施行規則改正の日時と猶予期間についてです。これは先 ほど平成14年3月改正と、猶予期間は1年間としていたのですが、WTO記載ミスで、 改正が平成14年3月、猶予期間の終了が平成14年2月となっておりましたので、それに 関しては外務省のほうからWTOに訂正の依頼をしていただいております。  2点目は、トウモロコシ、大豆、ばれいしょ等、特定の農産物に表示を義務付けた理 由について。3点目に義務表示対象品目の見直しについてご質問をいただいておりま す。これに関しては、日本国内で実際に流通している、または流通の可能性のあるもの を表示対象品目としているという旨の検討をさせていただいております。  4番目には、表示義務が生じる遺伝子組換え食品の混入率については、現在、大豆、 トウモロコシを原材料とする加工食品の混入率については5%としておりますので、ば れいしょに関しても従来どおり5%とする旨の回答をさせていただいております。ま た、外食産業などの表示については、現在外食産業など、対面販売が可能なものについ ては、他の食品に関しても表示は義務付けておりませんので、それと同様の措置という ことで、遺伝子組換え食品に関しても表示の義務付けを行っていない旨の返事をしてお ります。また免除規定に関しては、遺伝子組換え食品の表示が表示対象から外れる国が あるのではないか、という質問をいただいておりましたが、この遺伝子組換え食品の表 示に関しては、すべての国が対象になるという旨のご返答をさせていただいておりま す。以上でパブリックコメント、SPS通報のご説明を終わります。  なお、今後の予定ですが、現在ばれいしょに関しては「分別生産流通管理の体制」が 確立されておりません。これに関しては食品産業センターのほうにおかれまして分別生 産流通管理体制の確立に向けた準備、2月に実際に渡米をされていろいろと調査をされ ております。その報告がもうすぐ出る予定になっておりますので、その報告をいただき ながら体制の確立に努めてまいりたいと考えております。  また、今後の法的な整備ですが、本日のご審議の結果をいただきまして、明日付で食 品衛生法施行規則の一部を改正するということになっております。具体的には、本年の 12月31日までに製造・加工輸入されたものに関しては、従前の例によるものができるこ とといたしまして、平成15年1月1日以降に製造・加工輸入されたものについて表示を 義務付けることとしております。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。引き続き部会長であられます首藤委員より補足説明がござ いますから、お願いいたします。 ○首藤委員  ただいまの課長と事務局からの説明で大体十分だと思うのですが、検出が可能となっ たという立場がある状況ですと、これは表示対象品目にするというのは当然であると部 会も考えたところだと思います。問題になるのは、出来るというのはちゃんと出来るの ですか、ということでありますが、厚生労働省の事務局、また国衛研の豊田部長も出来 るということでございます。ただし定量性、先ほど5%という話が出てきましたが、定 量性ということについては、一応メドが立っているという状況であって、出来ないとい うことではなくて出来るだろうということで、ちょっと難しさが少し残っていなくはな い、ということを、これを表示対象品目に指定するという時に、ちょっと頭に入れてお いたほうがいいのではないかと私は思っています。  それと、部会では実施時期がなるべく早いほうがいいのではないですか、というご意 見があったと思いますが、それはやっと検出ができるようになったということ、それか ら定量性の問題にもう少しコンファームしたいというところがあると思いますので、平 成15年1月1日という実施時期も適当ではないかと思っております。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして、ご質問、コメントはござい ますでしょうか。 ○和田委員  質問です。平成14年の12月31日までのものは従前どおりで、1月1日以降に製造され たものとなっておりますけれども、そうしますと、表示が適正かどうかというのは消費 者が見たときに、いまは製造年月日がありませんので消費者にとっては判断ができるの でしょうか。 ○事務局  製造からこういう形で規制していくというのは移行期間のときに通常用いる方法でし て、若干この移行期間、来年の1月1日からとは申しましても、そこは分からない時間 があるということは重々承知いたしております。しかしながら、食品の賞味期限が製造 してから缶詰等では3年等のものもあるということから、移行期間をどういう形で設け るかというルール付けの中で、製造年月日を何月何日からつくったもの以降は必ずその ように書いてください、という移行期間の設け方しか難しいということから、こういう 形をとらせていただいております。  したがいまして、ここから足の長いものに関しては1年ほどの間、2つのものが混在 するという形が考えられます。すべて一遍に切り換えることは難しい状況の中では、移 行期間の設け方としては、これ以外とりずらいという状況であるということです。 ○寺田分科会長  ほかにはございますか。ほかにはご意見がないようですので、分科会としては、これ で了承したいと思いますが、いかがでしょうか。                (異議なしの声あり) ○寺田分科会長  では、この分科会報告書を整理して分科会の報告といたします。  それでは、薬事・食品衛生審議会第3条の規定に基づき、分科会の議決をもって審議 会の議決とし厚生労働大臣あてに答申いたしたいと思います。答申案はございますか。 ○事務局  ございます。ただいまから配付いたします。お手元に届きましたら答申案を読み上げ させていただきます。  答申書、平成13年11月19日付け厚生労働省発食第280号による諮問に係る遺伝子組換え ばれいしょを用いた加工食品に関する表示対象品目の見直しについて、下記のとおり答 申する。  平成13年11月19日付け厚生労働省発食第280号による諮問された、遺伝子組換えばれい しょを用いた加工食品に関する表示対象品目の見直しについては、別添の加工食品を表 示義務対象品目として付け加えることが適当である。別添は省略させていただきます。 以上です。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。この答申案につきまして、何かご意見はございますでしょ うか。                (異議なしの声あり) ○寺田分科会長  それでは、ご了解いただいたものといたしまして、この答申書案をとりまして厚生労 働大臣あてに答申させていただきます。なお、この件について今後のスケジュールはど うなっていますでしょうか。 ○事務局  これにつきましてはご了解をいただきましたので、すぐに省令改正の手続に入りたい と思っております。猶予期間が1年ですので、今年の12月31日まで猶予で、それ以降の 制度ものについてはすべて義務をかぶせていくと。これは農水省のJAS法と足並みを 揃えているという動きです。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。それでは今日の議題の第2であります「食品添加物の新規 指定及び使用基準改正について」に進みます。添加物の関係は2件ありますが、まずは 「酸性電解水の新規指定に関する毒性・添加物合同部会報告について」、事務局より説 明をお願いいたします。 ○基準課長  お手元の資料2−1をご覧ください。本資料は毒性・添加物合同部会からの報告に なっております。ここに書いてありますように、平成12年11月30日、厚生省発生衛第328 号をもちまして大臣から諮問された電解水の指定について、合同部会において審議を 行った結果をまとめたものです。この指定申請に対しては、平成13年11月6日に合同部 会で了解されたものです。3頁は、その合同部会の前に検討された調査会の概要であり ます。調査会の報告書が合同部会へ提出されたわけですが、その調査会の審議の経過と しましては、平成13年の2月から4回にわたり、下記の委員にお集まりいただき議論を したものです。  4頁は本件指定要請がありました電解水ということでありますが、議論の結果、酸性 電解水という形で、指定要請は2種類あったわけですが、結果的には、中身的に1つの ものとみなせるということで、このような名前で部会から報告をいただいたものであり ます。用途は殺菌料ということです。「起源等」のところですが、これまで次亜塩素酸 ナトリウムといったものが、いわゆる塩素殺菌料として使われておりましたが、その作 用が比較的弱いということから、かなりの高濃度を必要とするということで、異臭味が するとか、あるいは塩素臭いといったようなことが言われておりました。今般こういっ た欠点を伴わずに、それに代わり得る殺菌料として電気分解をして作られた水というこ とで、強酸性と微酸性という2種類のものが厳密にいうとあるわけですが、そういった ものが開発されたということであります。  以下の検討は、強酸性電解水、微酸性電解水という形で2つに分けて、いろいろな点 で議論をしております。まず強酸性ですが、原料は飲用適の水に、いわゆる食塩を添加 して、膜を真ん中に置いた電気分解槽内で電気分解をするということで、陽極側に移っ てくる水溶液をもって、それを殺菌料として使うというものであります。この水溶液が とりだされた形態で流通をするというものではなくて、機械を使い、例えばスーパーの バックヤードなどにおいて1日の使用量といったようなものを自分で作って食品の殺菌 に用いるというものです。  一方、微酸性電解水も形態は同じでありますが、塩酸の薄い液を、この場合には隔膜 のない電解槽で電気分解をして、得られた水溶液、そのものが機械の中に出てまいりま すので、それを使うということであります。名前にありますように、どちらも酸性水で ありますが、特に酸性度が高いものが強酸性電解水、酸性度が低いものが微酸性電解水 ということになっております。共に主要な成分は、次亜塩素酸、あるいは、少ないです が、次亜塩素酸イオンということになっております。先ほども申し上げましたように、 殺菌力が強いということから、より有効塩素濃度の低い塩素濃度で殺菌効果が得られる ということであります。  国内の状況と海外の状況でありますが、強酸性のものについては、すでに医療機器の 殺菌剤ということで使われています。また海外においては、米国で1998年以降、殺菌剤 の製造装置として、この電解水生成装置が認可されており、生成される電解水が殺菌洗 浄剤として器具のみならず、野菜・果物などへの使用が認められているというものであ ります。一方、5頁でありますが、微酸性電解水については、海外では今のところ使用 されておりません。両電解水については、先ほど申し上げましたように、個別に指定の 要請がありましたが、本質は同じである、ということから1つの添加物として取扱うと いうことになったわけです。  次は有効性であります。強酸性電解水の有効性については、微生物についての殺菌効 果、いわゆる微生物に直接接触させた殺菌効果を見ておりますが、既存の次亜塩素酸ナ トリウムともちろん濃度は違いますが、比較しても同等の殺菌効果が得られるというこ とが示されております。(2)でありますが、それでは食品に対してどうかということが カットキャベツ、あるいはレタス等で行われております。また、その他の野菜類、卵 類、果実類等でも行われており、既存のものと比べて同等な殺菌効果が得られる、とい うことがデータをもって示されております。  6頁ですが、食品中での安定性ということでありますが、これはいずれも塩素であり ますので、食品中での残留性は低いということがデータで示されております。6頁の (2)の後半でありますが、従来より次亜塩素酸ナトリウムについても、いわゆる処理 過程でクロロホルムができるということが指摘されておりましたが、本剤についてみる 限り、有効塩素濃度が低いということですので、クロロホルムは生成しにくいというこ とがデータから考えられたということであります。あと、栄養成分に及ぼす影響につい ては、実験で見る限り影響は認められないということであります。  次に、(2)微酸性電解水の有効性でありますが、これも同じように、6頁の(1)で は、各種微生物についての殺菌効果、7頁の(2)にありますように、食品についての殺菌 効果、食品中での安定性、食品中の栄養成分に及ぼす影響についても同様に検討がなさ れており、いずれも問題はないという結論であります。  8頁にまいりますが、以上の成績から調査会において両酸性電解水は、既存の添加物 である次亜塩素酸ナトリウムよりも低い有効塩素濃度において、ほぼ同等の有効性を有 するものと判断したということです。なお、酸性電解水の殺菌力は、有機物等の存在下 では減弱するという試験成績が得られていることから、「予め汚れを飲用適の水で先浄 除去した後、電解水による処理を行う。」という旨を盛り込んだ通知を別途発出し、注 意喚起を行う必要があるというのが部会のご議論でありました。  6番目は安全性であります。まず強酸性電解水の安全性です。「単回投与毒性試験」 をマウス及びラットで行っており、特に特筆すべき変化は見られていないという結論を 得ております。「28日反復投与毒性試験」というものがあります。これにおいても、毒 性学的に見て問題のあるというものはなかったという結論であります。「90日反復投与 毒性試験」がありますが、これにおいても、多少の変化はありますが、強酸性水の摂取 による上皮表層への刺激による、いわゆる、このものの刺激に起因する反応と考えら れ、特に問題となるものはないということです。抗原性、いわゆるアレルギー性であり ますが、これについても幾つかの動物試験を行っておりますが特に問題はなかったとい う結論であります。  10頁は、変異原性試験、細胞毒性試験、その他の試験ということで、ここに掲げられ ております試験が行われております。この結果として特に問題となるような所見は見ら れないということであります。11頁の(2)は、微酸性電解水の安全性です。同じよう に単回投与毒性試験、90日反復投与毒性試験、それと12頁の変異原性試験、その他の毒 性試験ということであり、同じように特に問題はなかったということであります。  部会においてのいろいろな審議の中で、11頁に戻りますが、いろいろな安全性試験の 部会としてのレポートの案を作る際に、後で黒川部会長からもご指摘がありますが、表 現の方法で、例えば(イ)のいちばん最後の所でありますが、いろいろな関連パラメー ター等に変化が認められていないことから、例えば偶発的な変化と判断した、「いろい ろなことを判断した」という所が誰の判断なのか。いわゆる部会としての判断なのか実 験者としての判断なのかが分かりにくいということで、それは「部会としての判断であ る」ということから、例えばここにありますように、「いろいろな変化があるけれども 電解水投与による影響の可能性は低いと考えられる」ということで、部会としての判断 という形ですべてを書き直せ、という意見が出まして、全般的に書き直しをしておりま すことを一言申し上げたいと思います。  12頁に移っていただきますと、最後の所に、食品添加物の指定に対して提出すべき データというものを示しております。ただし、その中身によっては「適宜その添付資料 を一部省略することができる。」とされております。調査会においては、両酸性電解水 とも主要成分が次亜塩素酸であるということから、今回指定申請しておりますものも既 に食品添加物と指定されている次亜塩素酸ナトリウムと、塩が違うわけでありますが、 それと、塩基部分のみが異なるものに相当するということで、長期毒性試験、亜急性毒 性試験、変異原性試験等であって、がん原性試験というようなものはありませんが、特 にこのものの特性から問題はないということで、これで安全性の評価ができるという結 論を得ております。  次は13頁です。1日許容摂取量でありますが、このものは酸性電解水の安全性には特 段の問題がないと考えられること、酸性電解水が食品とともに体内に直接摂取するもの ではない、飲用適な水で先い流すことにより食品中にはほとんど残留しない、というこ とからADIを評価する必要はないと判断をしております。  8番目は使用基準です。体内には摂取されないと考えられることから使用対象食品、 最大使用量等について規定する必要性はないと判断をしましたが、ただし、体内に摂取 されないことを担保するために使用基準として「最終食品の完成前に除去すること。」 を使用基準として設定するということが妥当である、という結論をいただいておりま す。  また成分規格については、名称の妥当性も含めて検討した結果、統一規格として、後 ほど見ていただきますが、別紙3のとおり設定することが適当であるということであり ます。さらに、調査会においては、このものが常に生成装置を使って作るものであるこ と、今回指定されたものはそういうものであるということから、本品の品質の恒常性を 確保する、いつも同じものが出来上がっていることを確保するためには、生成装置の注 意事項というものを別途通知として発出する必要があるということでありまして、この 点については、今後指定にあわせてそういった注意を喚起するつもりであります。  次は最後の20頁になります。ここまでのところについては、基本的に今回評価をした 資料の一覧表が載っております。別紙3は今回の電解水の規格であります。ここでは2 つのものを含んでいるということで、強酸性電解水、微酸性電解水というものを含んで おります。有効塩素がダブっておりますが若干違っておりますので、ここに書いてあり ますように20mg/kgから60mg/kg、あるいは10mg/kgから30mg/kgの濃度を含むものである ということを示しております。あと、性状、確認試験、純度試験、特に液性、強酸性と いいますのでpHは2.7以下。微酸性のものは、pHは5.0〜6.5ということであります。 定量法もそれぞれ、ここに掲げてありますような試験法を示しております。以上が部会 報告であります。  部会長からコメントをいただきます前に資料2−3をご覧ください。以上の合同部会 の報告書がまとまりましたのでパブリックコメントを求めました。またTBT通報もい たしましたが、パブリックコメントとして6件のコメントが来ております。その中で酸 性電解水の部分について2頁にありますがご紹介しますと、まず大きく3つコメントが あり、それをまとめてあります。まず1つは、次亜塩素酸ナトリウムというのが既に指 定されているということをもって、次亜塩素酸も指定されているとみなせるのではない かという点であります。これは塩違いであっても日本の規定では別ものと扱っておりま すので、これは別物としているということであります。  2番目は、製法にかかわらず次亜塩素酸として指定するか、これらについても同様に 食品添加物として扱うべきではないかということでありまして、今回の場合には製法が 電解水ということで「電解したものは」となっておりますが、出来上がったものから考 えれば次亜塩素酸なんだから次亜塩素酸でいいではないかと。いわゆる製法を問題にす る必要はないという点であります。これはまた後ほど回答を申し上げます。  それからpHや規格から外れる酸性の電解水については食品添加物として使用は認め られないのかと。上のものと似ておりますが、そういった点でもっと広く見ることがで きないかという点がコメントとしてあります。厚生労働省としての回答を下に付けてお ります。添加物指定は、基本的には「物」を特定しているということから、今回も活性 の本質ではなく物として、「酸性電解水」という液体そのものを指定するということで あり、そういう回答をしております。さらに、添加物の指定に当たってはデータに基づ いてそのデータの範囲で安全性と有効性を見ているので、今回の場合には電気分解をし たその水ということに限定をしている。さらに別の製法のものとして、それを広げたも のも一緒の範囲で見るということであれば、そういったもののデータを提出していただ ければ、それを基に検討をすることはあり得るということを示しております。  「なお書き」でありますが、「酸性電解水」については、電解水そのものではなくて 生成装置が流通するということになりますことから、成分規格に適合する電解水が生成 されることを担保するために、膜の有無とか、そういったものについても特定をする必 要があるということで規格の中に書いている、ということを申し上げております。  次は3頁です。使用基準案を先ほど「除去する」のだと申し上げましたが、次亜塩素 酸を除去することを意味するのか、あるいは残留塩素、塩素が全くなくなるように除去 するのかという点でありますが、これは後ほど部会長からもコメントがありますが、部 会でも議論になりました。もちろん意味するところは、出来上がって作用をさせた電解 水の成分を除去するということであるけれども、その後、水で洗って除去しなさいとも 読めますが、その水の中にも、当然ながら水道水の中には塩素が含まれておりますの で、それが残ってくるのではないかという指摘がありました。この点については、実際 の検査上の問題点を考慮した上で、私ども数値で、そのものが違反をしているかどうか というようなことを考える場合には、水道中の塩素というものも考慮するようにという ことで、そういうことも指導する予定であります。  さらに、酸性電解水の有効塩素濃度の範囲というものが、殺菌効力と安全性の関係か ら決められるべきであって、出来上がったものがこうだからということで決めるべきも のではないのではないかということと、塩素ガスが発生する危険性があるという指摘も いただいております。これも非常に機械的ではありますが、私どもは、いま指定申請さ れておりますそういったものの範囲において、それはこういうものであるということを 決めておりますので、また、それがその範囲で有効であるということで決めております ので、品質規格と製法をもって設定をするものであるということ。またガスが出るとい う点については、その可能性があることは十分に留意した上で検討をし、十分な換気等 によって対応可能な範囲であるということなので、注意喚起をすることで問題はないと 考えている、という回答をしております。  また、次亜塩素酸ナトリウムも同じものだというのであれば、次亜塩素酸ナトリウム には使用基準がいまありません。したがって、同様の使用基準を設定する必要があるの ではないかという点のご指摘についてでありますが、それも部会のほうで同じような意 見が出ました。これについては、従来「必要がない」ということできておりますので、 その点も勘案しながら、基本的には同じように考えていく必要があると考えておりまし て、今後の検討課題ということであります。  長くなりましたが、事務局からは以上です。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。それでは毒性部会長の黒川委員、よろしくお願いいたしま す。 ○黒川委員  いま詳しくご説明がありましたので、4つだけそのポイントを、繰り返しになるかと 思いますが申し上げたいと思います。  1つ目は、従来からの殺菌料でありました次亜塩素酸ナトリウムなど塩素臭が発生し やすくて環境悪化の原因になるとか、手あれを起こしやすいなどという欠点が指摘され ておりました。それで強酸性のものと弱酸性のものからなる酸性電解水は主要な部分が 次亜塩素酸として存在するために、次亜塩素酸ナトリウムの欠点は伴わず、より低い有 効塩素濃度で殺菌効果が得られるという利点が指定要請の理由となっております。  2つ目は、私どもの部会においては、強酸性電解水と微酸性電解水の使い分け、それ から酸性電解水の使用基準の運用方法、安全性部分に関する報告書の記載ぶりなどにつ いて特に議論がなされたということであります。  3つ目は、強酸性電解水と微酸性電解水の使い分けについてです。両電解水の本質や 基本的な使用方法についてはほぼ同様でして、また、いずれも水洗等により食品中には ほとんど残留しないことが示されていることから、使用基準として最終食品の完成前に 除去することを設定することで、あえて両者の使い分けを規定する必要はないと判断い たしました。この最終食品の完成前に除去するという使用基準については、食品中の有 効塩素濃度を測定することにより、残留のないことを確認することとなるわけですが、 水道水等にも有効塩素が含まれることから、その取扱いについて更に議論がなされまし た。  それで使用基準は、酸性電解水の使用後は必ず水洗等酸性電解水を除去するための措 置がなされる必要があるという趣旨であること。また、食品中の濃度の測定に当たって は、水道水中に含まれる有効塩素濃度等も考慮されるべきであることが確認されたとい う次第であります。  最後に、これも先ほど触れられましたが、調査会の報告書について安全性の部分が実 験をした実験側の主観的な表現になっておりましたので、それは適切ではないというこ とで、すべて部会報告書においては、我々で評価した記述、つまり客観的な表現に改め ることといたしました。この4つのポイントであります。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。ただいまの説明に関して、何か質問、ご意見はございます でしょうか。 ○首藤委員  実はいろいろあるのですが、1つだけ、どうしてもということがあります。報告書の 最後に、あるいは説明にありましたように「名称の妥当性も含め」と書いてあります。 酸性電解水は何なのかさっぱり分からないものでありますが、中身は非常に明確に規定 された次亜塩素酸の水溶液でありますので、名称は次亜塩素酸水、あるいは次亜塩素酸 水溶液と書くべきだと思っております。次亜塩素酸イオンがあるとかないとかという話 がありましたが、それは当然乖離する酸ですから、pHよりは存在する塩素イオンとか ナトリウムイオンで、きちっとケミカルに、確実に規定されるものでありますから、次 亜塩素酸水あるいは次亜塩素酸水溶液とすべきものだろうと思っております。 ○基準課長  先ほど成分規格のところで、名称の妥当性も含め検討したということを申し上げまし たが、これは、指定の際、電解水という名称で指定要請がありました。その要請を一応 妥当かどうかという意味で、それが非常におかしな名称かどうかという点に特に重点を おいて、問題はなかろうという結論になってここまできたということであります。いま 先生がご指摘のように、電解水というのはあくまでも製造方法、電解をした結果の水と いうことでありまして、特にその点で、別の観点から深く議論をしたということではあ りません。従いまして、ご議論をいただき、確かにこの中に入っておりますのは、先ほ どからの説明にもありますように出来上がったものは次亜塩素酸の水溶液でありますの で、そういった意味での名称のほうが妥当ということでご議論いただければ、私どもの ほうとしては問題はないのではないかと考えますので、ご議論、ご意見をいただければ と思います。 ○寺田分科会長  いまのご意見、名称を次亜塩素酸水あるいは水溶液としたほうがいいのではないかと いう話がありましたが、ご意見がありましたらおっしゃってください。 ○小林委員  この資料2−1の4頁の所に書いてあるのは、次亜塩素酸ナトリウムの溶液はアルカ リ性に対してこれは酸性であると、それとの関係はどうなるのでしょうか。 ○基準課長  いま殺菌料として次亜塩素酸ナトリウムというものが指定されております。したがっ て、現在でも殺菌をしたいということであれば次亜塩素酸ナトリウムという粉がありま すので、それを買って来て、それで水に溶かして水溶液にすればいいわけですが、次亜 塩素酸ナトリウムの場合には溶かすとアルカリになります。したがって、いまのものは アルカリ性だということを述べております。この電気分解をした結果としての水は、先 ほど言いましたように酸性側の液性を示します。そういったようなものでありますの で、有効塩素濃度が低くても効果が上がるという特性を持っているということを申し上 げました。 ○小林委員  といった議論だと、ただ水で溶かしたものではないということになるわけですか。 ○首藤委員  アルカリ性だと主として次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸イオンの形です。それを 酸性にすると次亜塩素酸が主たる成分になる。だから、これは次亜塩素酸で、次亜塩素 酸ナトリウムとは違う、平衡の関係の問題なのです。 ○小林委員  違うものと見たほうがいいのですか。 ○首藤委員  違うものと見たほうがいいとは思います。 ○寺田分科会長  名称のことに戻って、いかがでしょうか。 ○首藤委員  ケミスト、化学者から言ったら、「酸性電解水」という言葉は意味がないですから、 何だかわからない。それにもかかわらず、きちんとわかっているものに対してわからな い名前をつけるのは不都合であるということです。もし、この「酸性電解水」が何が何 だかわからないものだったら、「酸性電解水」でいいかもしれませんが、中身は確実に わかっているものです。 ○基準課長  ご指摘の点については、実は資料送付とともに事前に首藤委員から強く御意見があり ました。私どもは調査会、あるいは部会の委員、特にいま「ケミスト」とおっしゃいま したが、化学系の委員の方々にはいまのご指摘をお伝えしてご意見を聞いていますが、 その点については確かに見方が違い、化学的に見ればいまご指摘のとおりであって、名 称の変更については分科会にお任せするというご意見をいただいていますので、ここで ご決定いただければと思います。 ○寺田分科会長  名前については、確かに私も首藤委員がおっしゃるとおりだと思います。もう1つは 「食品添加物」という行政の取扱の中で、ものがはっきりしているにもかかわらず、そ れ以外の名前をつけたということはあるのですか。非常に前例にこだわるような考え方 で申し訳ありません。 ○基準課長  指定添加物は化学的合成品がすべてですから、基本的にはそういうものはございませ ん。あとは既存添加物ということで、従来の天然添加物になります。これについては 「何とか抽出物」などといったものなので、基本的にはその本質として、その物が化学 的に特定できる物はその物を現す名前のほうが然るべきだろうと考えます。 ○小沢委員  今回、この「酸性電解水」そのものというよりは、酸性電解水を出す装置自体が現場 で使われるということで、いままでのように化学物質を許可するというか、指定するこ ととは意味合いが違うと思っています。意味合いとの関係で、首藤先生がおっしゃる中 身で出てくることをどう整理していいか、私もわかりかねています。  実際、いちばん気がかりになっているのは、既に医療の現場ではそういう装置がかな り前から殺菌の装置として使われている。ただ、食品添加物という指定を受けたときに どういう動き方をするかというと、こういった装置をお売りになっている方のホーム ページなどを拝見していると、「いよいよ厚生労働省で食品添加物として指定される動 きがあるようだ」と書いてあるのです。この装置を売ろうとしている方は非常に張り 切っているのです。  実際、どういう現場で使われていくのかなと思うと、現場でその装置がレタスを洗っ たりということで、それが食中毒の防止につながっていけば、それはそれでよろしいか と思います。中身もさることながら、実際、どういう人たちが装置を動かすのか。  この合同部会に初めて参加させていただいているのですが、確か議論の中では通知の 持つ意味合いが非常に大事だというように、そのときの議論を理解しています。ただ、 その使い方や装置の動かし方について、どのぐらい安全性が担保できるのかどうか。今 回、どういうわけか通知の中身が出ていなくて、それにわけがあるのかどうかわかりま せん。名称については私は判断しかねる部分があるのですが、装置だということも考え の見方の中には入れておかなくてはいけないのではないかと思います。 ○基準課長  その点について、先ほどの部会の報告書の中でも触れています。具体的な中身が出て いないではないかという点については、まことに申し訳ありません。  ただ、調査会や部会を通じていちばんの議論はそこでした。できあがったものをどの ように抑えるかという点で、資料2−1の最後の頁、別紙3にありますように定義づ け、「このように電気分解をした物である」といった本質、定義というものも書き、で きあがった規格をこのように整理いたしました。これは告示で規格を作るものですか ら、最後の生成物はこのようにします。ただし、そのような生成物が恒常的にできるよ うにするためには、生成装置についての留意点を明確に通知等で示して、それを指導し なければならないというご意見がありました。  その点について、いま細かい点をお示ししていませんが、私どもではこれまでの調査 会の審議経過から、まず電気分解をする際の電極というものがあります。その電極が簡 単に溶出するようなことがないものである、あるいはその他の部分として電解槽がどう いうものであるとか、貯水タンク、ホース、ポンプその他が一定の規格基準に定める規 格に適合することを確保していなければいけない。あるいは、長期間の使用に耐え得る ことを確認していなければいけない。  そのような生成装置に対する留意点を示し、第一義的には酸性電解水発生装置を作る 人に行くわけですが、その人を通じて買う機械、まさにその装置を使って電解水を作る 人が留意しなければいけないということで、留意をした機械を使って作ってくれという 通知を出そうと考えています。  今日、個別のものをお示しせず、大変申し訳ありませんでした。この通知については 追って、もし今回ご了解をいただければ、でき次第各委員には通知をお示しするように 考えています。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。いまのことで、通知は見せていただくとしても、この機械 で一定の量ができるという担保はどこにあるのですか。ここに書いてある濃度が、例え ばある量の食塩を入れるとできるというのはいいのですが、素人がやるのだから、1袋 入れるところを2袋入れたらとんでもないことが起きるという危険性はないのですか。 例えば機械でシャットアウトできるとか、そういう装置は必要ないのですか。 ○基準課長  最も規制をかけるとすれば、機械ごとに検定制度を設け、必ず使用上の注意どおりに 使われれば必ずそのものができるという、機械も含めた承認制度になっていれば、いま 分科会長が言われている点に対しては満点の回答になろうかと思います。しかし、食品 衛生法の添加物の場合には物でいきますので、基本的にはそのものを特定することに よって、あとは生成装置に対して使用者がその責任において、自分が作るものはこれに 合致する物ができあがっているという、まず自己認証をしていただくことをもって確保 するのが一応制度上の限度です。ただ、いまのご指摘について、これが今後出ていく場 合に例えば監視などというときに、これは新しい形態の添加物なものですから、そう いったものがどのように合っているかどうかをどのように監視できるのかという点につ いては、メンテナンスも含めて考えなければいけないことだと思っています。 ○吉倉委員  いまの件は毒性・添加物合同部会の目的とも多少関係すると思います。添加物として の安全性の話になると、ひょっとしたら首藤さんの言われる点は割と当たっているのか もしれないという気がします。ただ全体的な、リスクのマネージメントという考えにな ると、先ほど小沢先生が言われたように事務局案でいいのではないか。  というのは、我々でも院内感染対策でときどき出てくるのですが、必ずしも皆さんが 強酸水の殺菌について合意してはいないのではないかという印象を持っています。い ま、殺菌という効果のことを添加物について考えるのかどうか。その辺、食品部会です から両方を対象とし全体的に、モヤッと考えると、先ほどの小沢委員のご意見でいいの ではないかと思います。ただ、理論的に詰めていくと、首藤さんの言われる点はよくわ かるのですが。結論的には事務局案でいいのではないかというのが私の考えです。 ○寺田分科会長  ボヤーッとかボーッとかわかりませんが、全体的なものを初めて装置に対してやる。 いまお話を聞いていて、それで本当にいいのかと思いました。例えば、何か食品添加物 をやる場合に、極論すればイオンカラムクロマトグラフィーから遠心器から全部、これ は作る装置全部に関して言っていることになるわけです。物をつくる装置でなくて、で きあがった物に関しての安全性ということになるのではないですか。そうすると、私は どちらかというと首藤さんの考え方に近いのです。  それから、本来の目的から言うと、消費者、あるいは国民の安全を守るという立場か ら言うと、機械そのものに対してそのつくるものが安全だという担保が得られないとで きないというのは筋だと思います。そうすると、先生が言われるボヤーッとというか、 酸性電解水という話は少し問題があると思います。 ○高仲委員  機械で作り出して、そこですぐ使うという、いままでにはないような形のもの、だけ ど分類としては添加物なのです。いままでのお話を伺っていて、確かにきちんとした形 で使おうとすれば、名称的にはモヤーッとした「電解液」というよりは、「次亜塩酸 水」という形できちんとしたほうがいいと思います。  この機械を動かす段階で、それを本当に必要とするだけのものを作り出しているのか どうか。これはここでいただいた別紙3の20頁、「規格」に合っていることが必要だと 思います。そうなると、例えばの話ですがこの中でいくつか、確認試験、あるいは純度 試験というものの中で、必要とあらばいくつか、作業を開始する前などで調べていくと いうやり方もあると思います。  そういう形で見ると、この物の純度、それが使いいいかどうかを見るためには、やは り化学的物質としてそれをとらえる必要があると思います。そういう点からしても、首 藤先生がおっしゃるように、名称としては「次亜塩素酸水」というものとしてとらえて おいたほうがいいのではないかと思いました。 ○小川委員  私も同感です。やはり、添加物の規格を作るわけですから、物を特定する形で規格を 設けなければおかしいと思います。そのときに使った機械の状態がからんできてその物 をつくることが担保できるかということについては、もしそういう心配があれば別に指 導基準なりを作っていくより仕方ないと思いますし、機械のことまで添加物に含めて基 準のようなものを作るということはできないと思います。従って、私は首藤先生のお考 えに賛成です。 ○吉倉委員  これは仮定の話なのですが、会社で「強酸水」と称するものを品質管理をきれいにし て、別の名前で売り出して市場に出たとします。そのときに、いまこういう具合にし て、強酸水と装置がまな板に乗っているわけだけれども、そのときにこれをどうするの か。この装置を使うと作る人によってかなりその出来た「強酸水」にはバラつきがあり えるということで、この名前にしておいたほうが安全ではないか。非常に乱暴な言い方 かもしれませんが、そのように感じています。 ○基準課長  いまの吉倉先生のお話、その他皆さん方のご意見をもう少し整理させていただくと、 まずいま吉倉先生が言われた前者の点です。いまご提案しているのは、できた水は基本 的に非常に分解が速いものですから、これが流通することはないという前提です。した がって、これについてこういう電解水、あるいは次亜塩素酸水というものを指定はしま すが、そのものを作る製造業の許可は必要としません。多分、そういうものがないだろ うという前提です。  いま先生がおっしゃるように、もしそれが流通するようなことを考えた人がいたとす れば、今度は添加物製造業の許可を取ります。それを取るときに、こういうものを作っ て使うのだという形になりますし、それによってできるものはあくまでも電解水であ る、この基準に合ったものが流通することになります。その際には、もうワンステップ がなければ流通はできないことになります。  名前の点ですが、事務局で事前に見ていなかったのですが、例えばいままでは化学名 ですべて指定をしてきています。しかし、化学名ではちょっとわからないような場合、 例えば「ポリイソブチレン」というのが添加物にある。これは一体何だという点で、別 名というものが基準に書いてあります。「別名ブチルゴム」、いわゆる製造の加工の際 に用いるブチルゴムなどということがあります。ですから、妥協みたいなことで申し訳 ありませんが、1つの検討課題として別名ということもある点を頭に置いていただけれ ばと思います。あとはご議論をお願いします。 ○寺田分科会長  どなたかご意見はありますでしょうか。時間を取ってしまったのですが、やはり初め てのケースなので、ご意見をいただければと思います。 ○小川委員  ここに、「有効塩素をこれだけ含め」となっています。これを保証できないような形 では困るわけですから、やはり物で特定できる形でないと駄目だと思います。 ○寺田分科会長  作っている人に対する危険性、もう1つはちゃんとこれで洗ったから安全であり、ま た殺菌できている、全然有効ではなかったというほうの危険性、両方がありますね。そ の点は通知や条件のときに、先ほどちょっと言いましたが何らかの形で担保していただ かないといけないと思います。役目でないと言われたらそうかもわからないけれども、 できあがったものが安全で、しかも有効であるということが担保できるようなものを 作っておかないと難しいのではないでしょうか。規則上はここでやるものではないと言 われても、その機械をやって、食品衛生法でやったとおりに消毒しましたから、この野 菜は大丈夫ですと言われたらたまらないと思います。 ○基準課長  先ほど、通知の中で生成装置の話がありましたので、装置の部分だけのことを申し上 げましたが、そのあとに酸性電解水の使用上の留意点を作るつもりでいます。その際、 まずは使用前にpH、酸性域にあるかどうか。それから有効塩素濃度、これはいま簡単 に測れるキットがありますので、有効塩素濃度を確認して、規格に合っているものが常 に使われていることを確認した上で使いなさい。これはかなり先を読んだ形であります が、そこまでやってほしいということも含めて、指導の対象としてやろうと思っていま す。 ○寺田分科会長  わかりました。それでは、名前のことに関してはどちらがいいでしょうか。元のまま でいいというのは吉倉先生かな。 ○吉倉委員  別名というのも悪くないと思いますよ。 ○寺田分科会長  だけど、わかりませんが「強性電解水」、「酸性電解水」という名前をつけてしまう と、ほかの物質で電解物質を作ったら使えなくなってしまいますね。おかしな感じがし てしょうがないのです。電解水など、山ほどあると思うのです。 ○小林委員  「次亜塩素酸水」という名前ではなぜいけないのか、事務局のお答えを聞かせていた だけますか。 ○基準課長  事務局としては、それで差し支えないと先ほどご説明しました。  別にどちらでも差し支えない、ということは先ほど申し上げたわけです。ただ、「電 解水」という言葉は、現実にはそちらのほうが広く使われています。ここはあくまで も、指定名を考える上でご議論をいただきました。例えば、「この物は電気分解した物 です」という解説の通知とか、いろいろな物を考えます。したがって出るときには、当 然と言ってはいけませんが、多分装置のほうについては食品衛生法が直接にはかかりま せんので、「食品添加物何とか水」と言うよりは、むしろ「酸性電解水生成装置」とし て流通し、使うほうは、これが決まればということですが、「次亜塩素酸水」というも のを自分は使っているという認識で使われることになろうかと思います。 ○寺田分科会長  「次亜塩素酸水」か「水溶液」か、どちら側になっていますか。 ○基準課長  これまでいろいろ指定の物を見てみましたが、ともに食品添加物ではございません。 そのほかに、こういった名称について告示関係で見ると、医薬品では例えば過酸化水素 水というようなものがあり、水溶液にすると、何かを溶かしたものというイメージがあ ります。「水」という言葉がありますので、事務局としては「次亜塩素酸水」という言 葉のほうがよろしいかと思っています。 ○寺田分科会長  それでは、「次亜塩素酸水」にさせていただきたいと思います。細かいことで申し訳 ないのですが、安全性のところでわかりにくい点があって、部会長に教えてもらえれば と思った点があります。資料2−1、10頁の「細胞毒性試験」、その上半分のところで 「バイオ細胞に対して、ある濃度で当然のことながら細胞抑制があった」。しかし、下 の2つのフレーズでは「入れるとコロニー数も増加は観察されなかった」とか、その下 では「繊維芽細胞に対して、僅かに増殖の促進が見られた」とあります。これは次亜塩 素酸を入れると、増加が期待されてこういう書き方をしたのですか。この点がよくわか らないのです。細かいことですから、あとで教えていただければと思います。 ○黒川委員  文献を見てみます。 ○寺田分科会長  もう1つは前のお話、水道水の塩素の問題のときに、直接ではなくて、塩素と有機物 が反応してMXだか、発がん性があるのが証明されているのかどうかわかりませんが、 直接変異原性のあるもの、そういうものが出てくるという話がありました。そのような テストや考慮は部会ではされなかったわけですか。 ○黒川委員  なかったですね。 ○寺田分科会長  やっていないですね。いまの点は非常に記憶の怪しい話なので、いまのことは忘れて ください。細胞の点だけ、あとでわかりましたら教えてください。  事務局注:後日、事務局で文献等を確認した結果、以下のように報告書の記載を改め       ることで分科会長の了解をとりつけている。 「コロニー数の増加は観察されなかった。」→「コロニー形成の抑制は観察されなかっ た。」 「・・・試験においては、線維芽細胞に対して僅かに増殖の促進がみられたが、陰性対 照との間に有意さは認められなかった。形態変化に関しては、陰性対照との間に差は認 められなかった。」→「・・・試験においては、細胞の増殖性及び形態変化に関し、陰 性対照との間に差は認められなかった。  それでは、「次亜塩素酸水」ということで、この分科会としては了承したいと思いま す。いかがでしょうか。                 (異議なし) ○寺田分科会長  いま私が質問した点は、承認にかかわる問題ではありません。あとで知識のために教 えていただければいいと思います。  それでは、この分科会報告の様式として整理し、分科会の報告といたします。薬事・ 食品衛生審議会規定第3条の規定に基づき、分科会の議決をもって審議会の議決とし、 厚生労働大臣に答申したいと思います。答申案については、のちほどの品目が終わった あとで確認することとしたいと思います。  続いて、「ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正に関する毒性・添加物合同部 会の報告について」事務局から報告をお願いします。 ○基準課長  資料2−2をご説明いたします。これも先ほどのものと同日付けで諮問された、「ス テアロイル乳酸カルシウム」という、既に指定されている添加物の使用基準の改正につ いて、合同部会でご議論をいただいて報告をするものです。2頁は合同部会の開催年月 日および委員、3頁目は食品添加物調査会の開催年月日および委員です。  4頁、今回のステアロイル乳酸カルシウムという乳化剤ですが、現在既におまんじゅ うやめん類といったものに使われていますが、その範囲を若干広げたい。食品の発展や 改良とともに、いま「プレミックス」ということで、例えば和菓子にしても、和菓子そ のものも流通していますけれども、和菓子のもとになっているいわゆる「プレミック ス」といったものが増えています。そういうものが独立して流通すると、むしろそれに ステアロイル乳酸カルシウムを入れておき、それを用いて作るということがあります。 そういった場合には、使用基準で認めるということにしておきませんと、そういうもの への使用ができないという状況です。  下線でいろいろな改正事項が書いてありますが、5頁の「改定案(比較表)」を見て いただきたいと思います。いちばん上に書いてあるのが、生菓子の製造に用いるミック スパウダーを新設するというもので、これの最大使用量が10g/kgです。あるいは3行 目、だんごに使っていいとなっていましたが、だんごだけではなくて生菓子全般に使え ればというもので、その範囲を拡大する。あるいはそれ以外の菓子のミックスパウ ダー、下から2つ目、蒸しまんじゅうの製造に用いるミックスパウダーというように、 使用の範囲を広げるというものです。  安全性についての観点ですが、JECFA(FAO・WHO合同食品添加物専門家会 議)において評価されている、1日の許容摂取量は、ステアロイル乳酸ナトリウムと合 算して1日あたり20mgとなっています。ただし、ナトリウム塩は我が国では認められて いませんので、カルシウム塩をADIということで20mg/kgと考えてよいというもので す。  このように改正をしますと、1日摂取量はどうなるかという点が4に書いてありま す。通常は平均ですが、より細かくするために、「小児の場合」などという形で年代・ 世代別に書いています。どうしても年代の小さい小児の場合には、体重に比較して摂取 量が多くなりますが、それでも93.10%に収まっているというものです。平均すると約40 から50%ですので、問題はなかろうということです。  有効性に関する知見ですが、いくつかデータが出ています。ただ、結局これはふんわ り、まろやかに、固くならずに食感を保つ。そういった点でのお菓子類に対して用い る、ということで対象が拡大するというものです。  6頁では最適添加量の妥当性が書いてあります。そこに示しているような量で有効で あるというものです。  最後の7頁、これは各国で使われていますが、その中で日本で今回使われているとい う食品に限定して比較をするとこのようになるというものです。いちばん上、「生菓子 用のミックスパウダー」というところで、あえてCODEXとの比較をしていますが、 通常米加工品としての米粉を用いた生菓子というのはほとんど日本だけの物なので、C ODEXとの比較というのはあまり意味はないのかもしれません。全体から見て、それ を除いて大体必要量、使用量がCODEXの基準と比べて、それほど大きく変わっては いないというものです。以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。毒性部会の部会長である黒川委員、補足説明があれ ばよろしくお願いします。 ○黒川委員  2点ばかり補足します。有効性に関してはお菓子の比容積の増加、いわゆる菓子の老 化の防止効果が認められている点がすべてです。  安全性に関しては、いまお話がありましたが、JECFAでナトリウム塩と合わせて ADIが設定されています。今回の主要基準改正に伴い、最大摂取量、対ADI比を各 年齢層別に確認いたしましたが、先ほどあったようにすべてADI以内であり、問題は ないというように確認しています。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの説明、あるいはこの件に関して、ご質問 やご意見はございますでしょうか。 ○和田委員  7頁に日本と諸外国の比較が出ています。確かに、生菓子で米を原料にしたものとい うのは日本がほとんどと思います。そのほか、ケーキのミックスパウダーとか、マカロ ニやケーキ類などというのは国際的に共通の品目だと思います。国によって違いますけ れども、アメリカやEUなどを見ると、この図を見ると使用していないものが多いよう に思いました。何か理由があるのでしょうか。  日本は対象品目が非常に、お菓子に関してはほとんど全部と言ってもいいような感じ です。お菓子もそうだし、ミックスパウダーもそう、全品目にわたっているように見受 けたものですからうかがいたいと思いました。 ○基準課長  各国で食品の分類なども違っていて、細かい点についてはなかなか比較が難しいので す。確かにアメリカなどでは使っていませんが、マカロニ類などは多分共通していると 思います。正直申し上げて、原因はわかりません。ただ、日本はステアロイル乳酸カル シウムだけですが、先ほど言いましたようにステアロイル乳酸ナトリウムというのは、 日本では使っていませんけれども、他の国では使っている。そのような食品添加物の違 いといったものも、加工食品の形成に当たって、その辺も影響してきます。推測で申し 訳ありませんが、そういったいろいろな要素があっての相違だろうと思っています。 ○寺田分科会長  どなたか、ほかにご質問などありませんでしょうか。ほかにご意見がないようですの で、分科会としてはこれを了承したいと思いますが、いかがでしょうか。                 (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、この部会報告を分科会報告の様式として整理して、分科会の報告といたし ます。薬事・食品衛生審議会規定第3条の規定に基づき、分科会の議決をもって審議会 の議決とし、厚生労働大臣宛てに答申したいと思います。いかがでしょうか。                 (異議なし) ○寺田分科会長  両方の答申書案はございますか。 ○事務局  ただいまから答申案を配付いたします。お手元に届きましたら、答申書案を読み上げ させていただきますのでご確認をお願いいたします。                (答申書案配付) ○基準課長  配付している最中ですが、ステアロイル乳酸カルシウムについてはパブリック・コメ ントがありませんでした。そういうことで説明をしておりませんので、よろしくお願い いたします。それから、いま配られています答申書案では酸性電解水に関して既に名称 が変わっていますけれども、これは別に意図したわけではありません。複数のものを用 意して、結果的にこれをお配りしていますので、そのようにご承知おきいただきたいと 思います。 ○事務局  答申書(案)を読み上げさせていただきます。平成12年11月30日付け厚生省発生衛第 328号をもって諮問のあった食品添加物の指定等については、下記のとおり答申する。 記。電解水については、人の健康を損うおそれはないことから、食品添加物として指定 することは、差し支えない。なお、指定に当たっては、名称を「次亜塩素酸水」とし、 別添1のとおり使用基準及び成分規格を設定することが適当である。ステアロイル乳酸 カルシウムについては、別添2のとおり使用基準を改正することが適当である。  別添1、別添2は1枚めくったところについています。詳細については省略させてい ただきます。 ○寺田分科会長  答申書案について何かご意見はございますでしょうか。                 (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、これをご了解いただいたものとして、この答申書案の(案)を取らせてい ただきます。そして、厚生労働大臣宛てに答申させていただきます。なお、この点につ いての今後のスケジュールはいかがでしょうか。 ○事務局  今後の予定ですが、今回ご答申いただいたものについて、今後速やかに省令改正、あ るいは告示改正等の手続を行いたいと考えています。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。最後に報告事項が3件ございます。まず、「ガルシ ニア抽出物を含有する食品に関する情報提供について」事務局から報告をお願いしま す。 ○新開発食品保健対策室長  ガルシニア抽出物を継続的に摂取する健康食品の問題について、ご報告をいたしま す。お手元の参考資料2−2をご覧ください。  いわゆる、健康食品に利用される食品材料について、長期摂取による健康影響を検討 することを目的として、ガルシニアパウダーの長期安全性について、国立医薬品食品衛 生研究所に試験を依頼していましたが、本年2月4日、中間報告書が提出されました。 中間報告については参考資料2−3、概要については参考資料2−4です。時間の関係 で、報告書自体の説明は割愛いたします。のちほどでもご参照いただければと思いま す。  ガルシニアとはインドやスリランカなどに生えている常緑樹で、柑橘類です。その果 皮を乾燥したものは、酸味づけのスパイスとしてカレーや魚の漬け込みなどに長年にわ たって利用されています。ガルシニアパウダーとは、このガルシニアの乾燥果皮から水 で抽出したエキスを乾燥粉末化したものです。この乾燥果皮中にはヒドロキシクエン酸 が大量に含まれていて、このヒドロキシクエン酸が糖質から脂肪を合成する酵素活性を 抑制する作用があるということで、体重減少や血中脂質改善に有効であることが報告さ れたものですから、ダイエット用「健康食品」として利用されるようになりました。  中間報告では、このガルシニアパウダーをラットの飼料に混ぜ、その割合を0.2%、 1%、5%の割合で混入し、52週間連続的に摂取させました。そうしたところ、5%の 投与分について、オスのラットの精巣への影響が強く示唆されました。また、差し当た りの無毒性レベルは1%とされました。  顕著に影響が現れたという5%レベルというのは、ダイエット用の健康食品の摂取目 安量とされる量の約50倍ぐらいに当たり、差し当たりの無毒性量と言われた1%レベル というのは約10倍ぐらいに当たるということです。  中間報告の提出を受け、3月1日に毒性部会と新開発食品調査部会の合同部会を開催 し、ガルシニアパウダーを含有する健康食品の安全性および必要な対応についての意見 をうかがいました。主な意見としてはそこに書いてあるとおりなのですが、差し当たり の無毒性量、無毒性レベル1%ということについては、周辺情報などを勘案して現時点 で妥当と判断する。しかしながら、データが現時点では不十分なこともあり、ADIな るものを示すのは適切ではないということでした。また、原因物質の究明やホルモン量 に対する影響等のさらなる試験が必要であり、そうした研究成果が得られた上で再度合 同部会を開催し、改めてその安全性を検討するということです。  先ほど、ガルシニアパウダーの主成分はヒドロキシクエン酸と申し上げました。この ヒドロキシクエン酸自体、これまで特に安全性に問題があるという報告はなされてきま せんでした。パウダーを与えてこういう影響が出てきたということなのですが、ヒドロ キシクエン酸が原因なのか、それ以外の何が原因なのか、もしかしたらそれ以外の何か が原因しているのか。また、その作用機序がどうなっているのかということは現段階で はわかっておりません。  参考資料2−2の2頁、消費者に対しては、この知見結果というのは高用量の知見で あるとはいえ、このように精巣への影響が見られたことから、その事実を広く周知する ことが重要です。また、現在流通しているものですが、先ほど無毒性レベルが現在流通 しているものの10倍ぐらいと申し上げました。現在の摂取目安量の範囲で摂取されるな らば直ちに問題である、そういったところまでは言えないのですが、こういったダイ エット目的の健康食品は往々にして、やせたい一心でいっぱい食べてしまうということ があります。また、カプセルや錠剤のような形態であるということで、高濃度に含有さ れているとか、容易に大量摂取する傾向もあるというもので、消費者に対する過剰摂取 への注意を喚起するための適切な情報提供を行うことが、適切な対処法と考えられると いうご意見でした。  参考資料2−1に戻ります。こういったご意見をいただき、3月7日にガルシニア抽 出物、ここではガルシニアの液体のエキス、またはパウダーを指していますが、それら を継続的に摂取する健康食品については、関係団体を通じて関係業者に対応を要請する 通知をいたしました。要請内容は2頁にあるように、過剰摂取を控える旨の注意喚起や 表示を説明書等により、消費者に見やすく、わかりやすく行う。また、ホームページを 通じて、これは直接買う人だけではなくて、一般の消費者にも過剰摂取を控える旨の注 意喚起に努める。  また、現在流通している目安量等は先ほど申し上げました。ただ、現在摂取目安量と 言われている程度であれば、差し当たり無毒性量との関係から直ちに問題とまでは判断 できないのですが、仮にそれを超えるようなものが出回っている、そこまでは私たちも 把握しきれていません。そういったものについてはまた話が違うということで、現在の 摂取目安量程度の範囲に収めておくようにという趣旨です。また1頁、さらなる試験の 実施や文献等、情報の入手についても取り組むようにということを営業者に対して呼び かけています。  これらは関係団体ということですが、健康食品業界、および健康食品を販売している ような販売者関連団体ということで、計15団体に発出いたしました。また同時に、こう いった事業者の団体に対して通知を発出したことを了知してもらうとともに、必要に応 じて指導願いたいという趣旨で、都道府県、政令市、特別区、検疫所にも通知を出しま した。ガルシニアパウダーの試験結果の中間報告、概要、また通知に関しては厚生労働 省のホームページに掲載し、広く情報提供に努めているところです。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの報告事項について、どなたかご質問など はありますか。 ○高仲委員  これについては、1年の反復投与毒性試験が行われているわけです。影響は精巣に出 ているようですが、この場合に精子の形成に対しての影響はどうでしたか、お調べに なっていらっしゃいますか。一般的には、1年の毒性試験ではあまり調べないかもしれ ませんが、精巣に対する影響だと精子形成を含め、もう少し短期間、28日ぐらいで見る 習慣があるようです。あるいは、その情報があったらお教えください。  最後の結論を読ませていただくと「わかりません」と書いてあって、それでは困るわ けです。これ以外に精子形成、精殖能に対する影響として、今後どういうことをお考え になっているのでしょうか。これからのデザインで、「わかりません」だけではないだ ろうと思うのですが、それについての概略をお教えいただければと思います。 ○新開発食品保健対策室長  精子形成については、やはり形成の状況が損われているという試験結果になっていま す。部会でもご議論が出たのですが、まずは原因物質の特定を最初に取り組むべき課題 と考えています。ヒドロキシクエン酸自体が原因なのかどうか、ということを試験する のかなと思っています。  メカニズムについては、ここにもちょっと書いているのですが、ホルモンの状況を見 ていくなどの検査をしていくことを考えています。それについてはまた、今後の検討と いうことで考えていきたいと思っています。 ○黒川委員  高仲先生、参考資料2−4をご覧になったでしょうか。7頁あたりから、もう52週で 大体そういう傾向があるとわかったので、すぐに2週、4週と、回復試験を入れたもの を始めて、非常にファインにやっています。これでもまだもの足りないところがあっ て、いままた病理をやっています。直接的に精子の影響というよりも、ライディッヒセ ルを介した間接的な影響であることが大事だろうと思います。 ○高仲委員  生殖毒性のほうはおやりにならないのですか。 ○黒川委員  交配実験はやっていません。 ○高仲委員  なぜですか。精子に影響が出て、どうして生殖毒性はおやりにならないのですか。 ○新開発食品保健対策室長  影響が出て、といったことがいま初めてわかったということです。なぜやらなかった というよりは。 ○高仲委員  いや、そうではなくて、これからの計画の中に生殖に関する問題をあまりご説明いた だけなかったように思ったものですから、それはなぜですかとお聞きしたのです。 ○事務局  部会の中で言われていたのは、まず原因物質が特定されていない状況であるというこ とが1点です。ですから、原因物質をまず特定する。それから、作業をすべきであると いうことがあります。もう1点としては、ホルモンに影響を与えてこういった結果が起 こっているかもしれないので、ホルモンに対する影響を調べるべきであるという意見が 出ました。ただ、ホルモンに対するものを調べるというのはかなり費用がかかる話です ので、物質が特定された段階で、もう少し周辺状況がそろった段階で、そういった調査 を始めたほうがいいのではないかという意見が出ました。我々としては、特に何をしな いというわけではありませんが、そういったものについては必要な知見を得ていく所存 です。もし、「こういったことをしたほうがいい」というご意見があればいただければ と思います。 ○高仲委員  原因物質を追跡されるのもよろしいのですが、実際にこれを使う場合にはガルシニア パウダーとして使うわけです。そうすると、この物が何かを起こすということですか ら、まずその物についての安全性をとことん追うことがもう1つの方法だろうと思いま す。そのあとで原因物質など、そしてそれが除けるならばということに入るのだろうと 思います。  ホルモンへの影響というのは、実験をやる場合、それほど高いお金ではないと思いま す。ねずみのお金のほうが高いかなぐらいでいける部分もあると思うのです。その辺も 含めて総体的に、精子形成というのは今後非常に大きな問題だろうと思いますので、十 分なデータをお集めいただければと思います。 ○和田委員  いわゆる健康食品の中での検査、発表を大変関心深く拝見しました。私を含め、周り の者はいわゆる健康食品の売り場へは普段あまり行かないものですから、これを部会で 知ってから何人かでそのような売り場へ行ってみました。ガルシニアを含んでいるもの があまりにも多い。錠剤の形でのもの、それからクッキーのようなもの、飴、アルコー ル飲料、ダイエットの売り場の中でまた大きな売り場を占めているのです。本当に知ら なかったものですから、びっくりしました。  会員の中には、自分の家にあったものを調べてみたらガルシニアが入っていたという ような人がいて、瓶を持ってきたり箱を持ってきたりということがありました。特に若 い人たちというのはダイエットの一心で、必要以上に摂取することがあり得ます。とに かく、ガルシニアが入っていること自体を知ることが大事だから、私たちはそういう意 味での情報を周りの人たちに流していこうということをみんなで話し合いました。  これが普通の食品として、例えば調味料みたいな役目で、お肉や魚を調味液につける ときに、味をつける目的でガルシニアを入れるということまでは云々する必要はないと 思います。しかし、こういう使い方というのはこれからもまた、ほかのものに出てくる 1つの前例として関心を持っていますし、影響が大きいので、是非研究を進めていただ きたいということを申し上げておきたいと思います。 ○田中委員  参考資料2−3の8頁、「まとめ」を見ていただきたいと思います。上から6行目を 見ていただいたらわかりますように、「5.0%群に両側性の精細管の萎縮、水腫、生殖細 胞の消失及びセルトリ細胞の空胞変性などが認められる」とあります。  ちなみに、泌尿器科の某大学医学部の教授に病理組織像を見ていただいたときに、一 瞬にして非常に驚かれました。これほどすごい異常が出るかということを言われました し、合同部会でもその旨の発言がありました。引き続き、そこにありますように「精巣 上体では滞留する変性生殖細胞残屑の増加と精子の減少あるいは消失がガルシニアパウ ダー投与による影響として観察された」と書かれています。精子の減少、消失が観察さ れています。  いま、高仲先生からご指摘がありますように、これはいわゆるモニタリングとして、 健康食品として市販されているものから一部抽出して、その安全性あるいは有効性の検 査をしていくという中で引っかかってきたものです。高仲先生のご指摘によると研究デ ザインに問題があるのかもしれません。やはり、このような内容を観察されたときに は、そういったことがあったという事実を国民の皆さん方に情報提供することが必要だ ろうという考えで、この合同部会では情報提供という形を取らせていただきました。  ちなみに世界中の文献、メドライン等を中心にして検索しましたが、こういった報告 は認められておりません。これが1編です。もう1つ、私の研究所のグループが別の肥 満ラットを使って同じような研究をしていたところ、やはり同様の病理学的所見を観察 しているという、この2編です。したがって、それによって例えば商品を回収する、販 売を自粛する、製造を禁止するといったことは非常に大きな問題である、確立された概 念でない、ということも部会でディスカッションされました。しかし、やはり見つかっ た限りにおいては、これを消費者側に提供するのが義務だろうという見解です。した がって、いろいろご指摘があった問題点については、国立医薬品食品衛生研究所でさら に研究を続けていくということになっている実情を説明させていただきました。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。私も全く適切で、ありがたかったと思っています。 しかも、これこそ独創性のある、いい研究の1つですから、国民にも役に立ちますし、 そういうことを今後もきちんとやっていただきたいと思います。  いま高仲先生の言われた点、私もこのデータを聞いたときに言ったのですが、非常に 簡単でいいですから、ミーティングをやってみてどのぐらいの効果があるのか。それか ら、これは女性がたくさん食べると思います。女性は「大丈夫だ」と言われるのです が、特にマウスやラットで女性の生殖系細胞の異常などというのはなかなか難しいと思 います。それを少なくともグローブなところで、生殖能力がちゃんと保たれているのか どうかぐらいは、グローブに見えますから、そこから見て病理的にもっと詳細に卵巣な どをきちんと見られる。これは専門家がいっぱいいらっしゃいますから、それをやって いただいて、今後ピュアのコンパウンドではなくて、今度は食べ物としての毒性がどう かということをまず詰めていただくと、そのあともしこの中に入っているこういうもの が悪いというか、強力な作用があるということになると、全く別の話ですが逆に新しい 薬ができるかもわかりません。大変面白いなと思いました。どうぞよろしくお願いいた しますとともに、情報をきちんと流して、そういうことは知らなかったとか、万が一の こと、言われるように量はずいぶん違いますけれども、こういう危険性もありますとい うことをきちんと知らせていただいたほうが私はいいと思います。どうもありがとうご ざいました。 ○高仲委員  情報を提供することは私も賛成です。ただ、実験をやった結果をそのまま表に出すこ とに対しては、トキシコロジーの側から見ると少し疑問があります。というのは、いま 先生もおっしゃったように、こういうことが起きることはあるわけです。そこで何が必 要かというと、精子の生産が止まったというよりも、そこで次の世代への影響がどう出 てくるかが問題だろうと思います。そういう点も含めて、きちんとした追跡の網を張っ た上での情報を正確に流すということだろうと思います。  この計画を読ませていただくと、最初に1年の試験をおやりになって、それからあと で原因を追うために、さらに短期の2週間から4週間の試験ということです。これは毒 性部会長の黒川先生がいらっしゃるわけですが、一般の毒性試験の概念からは外れたや り方になっていると思います。ですから、ここでただこのままの情報を表に出すという ことは、逆に言うと十分な回答というか、質問に答えられない状態での情報にもなりか ねないと思うので、その点は十分吟味していただきたいと思います。  やったことそのものについておかしいというのではなくて、やはりトキシコロジーの 試験というのはガイドラインに従って、添加物も農薬もそうなのですがワンセットの試 験を、それも複数回繰り返した上で見ていくことが常識的に行われています。ですか ら、食品としてはこのような合成品、農薬や添加物以外のものであっても、トキシコロ ジーのラインに乗せて見るとなれば、やはりその方式を踏襲していく必要があるのでは ないかと思います。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。次に「コーデックス委員会のバイオテクノロジー応 用食品特別部会第3回会議の概要について」お願いいたします。 ○基準課長  時間の関係で簡単にご報告いたします。参考資料3をご覧ください。CODEX委員 会の特別委員会、タスクフォースとして、いわゆる遺伝子組換え技術を用いた食品につ いての安全性を評価する上で、どのような基本的考え方ですべきか。具体的に植物の場 合はどうか、微生物を使った場合はどうかというような、細かいガイドラインというも のを国際的なコンセンサスを得て作り上げようという活動がCODEXの場にありま す。  その場が「コーデックス委員会のバイオテクノロジー応用食品特別部会」というもの で、日本が議長国を務めています。その議長はもう帰られましたが吉倉先生です。もう 既に、平成12年より2回の会合を行い、今年3月4日に第3回目の会合が行われたわけ です。その会合の概要を簡単に説明させていただくというものです。  ただし、この会合は来年をもって報告書としてまとめ上げ、CODEXの総会に上げ るということなので、来年をもって最終ということになります。その中身がどうまとま るかが非常に大きな問題です。  今回の結論として、来年十分に結論が得られるというところまで、その議論が進んだ ということをまず申し上げます。(1)は次の2文書がステップを8、いわゆる最終段 階まで合意したということです。1つは「バイオテクノロジー食品のリスクアナリシス のための原則案」というものです。いま「リスクアナリシス」という言葉が非常に広く 使われていますが、基本的考え方、原則をまとめたものが最後のところまで行った。特 にトレーサビリティーという点についての取扱いについて、バイオテクノロジー応用食 品だけではありませんけれども、バイオテクノロジーのほうの原則案の中で「トレーサ ビリティー」という言葉は使いませんが、いわゆるトレースをするということも非常に 大事なことという点を入れ込んだ上で最終案になりました。  (2)は具体的に、植物由来の組換え食品の安全性の評価はどのようにすべきなのかとい うことが議論になりました。これも特に心配となりますアレルギー誘発性ということも 含み、今回かなり突っ込んだ議論がなされ、これも最終段階まで行き、すべて合意をし たというものです。  残された問題点は(2)です。組換え技術を用いた微生物を用いた食品、例えばヨー グルトなどがこれに該当すると思います。そういったものの安全性の評価はどのように すべきなのかという点について、初めて案が出されましたが、そのステップを5に上げ ることができました。多くの点も合意し、さらに残された点を次回議論しようというも のですので、来年ステップ8に上がる公算が非常に強くなったものです。  紙面裏ですが、組換え食品の検知法が表示との関係で非常に重要になってきます。そ の一方、ドイツが座長を務めた作業部会で検知法の検討が進められていました。この中 身もほぼ固まり、別なCODEXの部会である分析・サンプリング部会(CCMAS) に検討を移行することが提案され、了承されました。これも特別部会の役割を果たしま した。  以上のような結果から、第4回会合は来年の3月10日から14日、横浜で開催すること が予定されています。次回の議題案としては、他のCODEX部会からの回付事項、あ るいはWHO等、他の国際機関からの関心事項について報告を受け、微生物が残されて いると申し上げましたが、その旨に関してのガイドラインのステップアップについて議 論をする。またトレーサビリティーというのは、今回一応終わりましたけれども、重要 な案件なので自由な意見交換をすることを予定するということで、無事第3回会合を終 了いたしました。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。事務局、吉倉さん、部会長、会のやり方について大 変評判が良かったというように聞いています。何かご質問、あるいはご報告やコメント はありますでしょうか。どうもありがとうございました。  引き続き、「BSE問題に関する調査検討委員会の報告について」事務局よりお願い いたします。 ○企画課長  参考資料4、「BSE問題に関する調査検討委員会報告」をご覧ください。最近新聞 をにぎわせていますが、これは3月14日、第8回の委員会に提出された報告のスケルト ンです。今後は4月2日の最終報告に向けて、あと1回審議が行われ、その日に報告と いうことになっています。  これはご案内のとおり、昨年9月、我が国で初のBSE感染牛発見以来、ある意味で 行政の混乱等もあり、未だに消費者の信頼も回復していないというものです。こうした 経過をもう1度、行政対応上の問題点ということで、これには厚生労働省と農水省、両 省を中心とした行政対応上の問題点をきちんと、科学的事実に基づいて検証し、今後の 畜産あるいは食品衛生行政のあり方についてご提言をいただく。これは厚生労働大臣お よび農水大臣、両大臣の諮問機関として昨年11月に発足した委員会です。本分科会の和 田委員にも各回、熱心にご議論を頂戴しており、4月2日の最終報告を待つという形に なっています。  3月14日に出たスケルトンだけ、今日資料として提示しています。第I部が先ほど申し 上げたような、これまでの行政対応の検証です。これは当然、昨年9月の千葉における 第1号の発見以降だけではなくて、当初は国内発症はないだろうと言われていたBSE 感染牛が、実際には侵入を食い止めることはできなかった。中身は省略いたしますが、 飼料の禁止等について縷々検証を行うわけです。それが第I部です。  次の頁に第II部として、こうした検証に基づいて、BSE問題にかかわる行政対応の 問題点や改善点を総括しています。項目だけ申し上げますと、1が「危機意識の欠如・ 危機管理体制の欠落」、2が「生産者優先・消費者保護軽視の行政」、3が「政策決定 の不透明性」、4が「両省の連携不足」、5が「専門家の意見の適切な反映の欠如」、 6が「情報公開と消費者理解の不徹底」、7が「法律と制度の問題点」というもので す。  こういう形で、過去の両省を中心とした行政対応について総括をした上で第III部、今 後の食品安全行政のあり方についてにつながります。これはBSE問題の行政対応の検 証を踏まえて、委員会でのご議論の中でこれにとどまらず、この際、今後の食品安全行 政全般にも指摘をしておくべきだろうというものです。第III部は畜産物だけではなく、 全般に及んだ、非常に幅広いご提言という形になろうかと思います。  第III部については1、2、3、4とあります。まず第1点目に、食品の安全性の確保 に関する基本原則を確立すべきだろう。消費者保護の最優先、あるいは(2)では最近 のグローバル・スタンダードである、食の安全についての「リスク分析」の手法を導入 すべきだろうというものです。(3)としてリスク管理の一環として「トレーサビリ ティー」、これは食べ物の川下から川上に遡れるような、原産地を遡れる仕組みを導入 すべきだろうという、基本原則の確立が1です。  2番目に、食品の安全性の確保に係る組織体制についての基本的考え方です。この部 分がマスコミ等で非常に話題になっています、いわゆる「食品安全庁構想」、あるいは 「食品安全にかかる監視委員会構想」という形で、現在いろいろな形で議論がされてい ます。  この報告のスケルトンとしては、まず1として、先ほど触れたリスク分析をベースと した組織体制の整備があります。とりわけ「リスク評価」体制において、評価と管理を きちんと機能的に分離しながら、その相互作用も確保するという点などについて言及さ れています。  以上申し上げた、1の基本原則の確立、あるいはこれを確保するための組織体制の考 え方、1と2の実現のために3として、基本法ならびに新組織体制の構築のための検討 機関の設置があります。仮称ですが「食品安全基本法」、この「基本法」という言い方 についてはその後さらに議論がされていて、こういう形になるかどうかはまだわかりま せん。それから(2)、欧州各国も英国をはじめ、BSEの洗礼を受け、これを機会に 畜産物だけではなくて、食品安全全般にわたる新たな組織が構築されたわけです。  そういうものも踏まえ、こういうものを参考に食品の安全性の確保に必要な条件をビ ルトインするための新たな組織体制の構築を図る。そのために検討機関の設置という形 で、スケルトンでは書かれています。その後の議論により、最終的にどういう形になる かについてはまだ決まっていませんが、概ねこういうスケルトンで4月2日の最終報告 を待つことになっています。これは両大臣の諮問機関ですので、この報告を十分吟味さ せていただき、ご指摘事項についても今後、食の安全にかかわる対応を政府としても検 討していくという対応になろうかと考えています。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの報告に関して、どなたかご質問がありま したらお願いします。  1点だけ質問します。ここはBSEが主に出てきていますから、どうしても食品行政 全体をやろうとすると、やはりヨーロッパはBSEの始まりですから、ヨーロッパをモ デルにしてということがあるわけです。例えばFDAとか、所帯が大き過ぎますがアメ リカのシステムとヨーロッパとではちょっと違うし、重点が違う点があると思います。 そこはあまり考慮には入っていないわけですか。 ○企画課長  いま分科会長がご指摘のとおり、アメリカとヨーロッパではだいぶ仕組みが違いま す。ただ、我々としては外国の食の安全についての考え方ということで、当然アメリカ やオーストラリアも含めて委員会では資料を提出させていただいています。  ただ、アメリカとヨーロッパの違うところは、実際にBSEの洗礼を受けたかどうか という点がいちばん違うわけです。委員会のご議論としては、ヨーロッパのほうをいろ いろ参考とするということです。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。大幅に時間をオーバーしてしまいましたが、これで終わり となります。事務局から何かございますか。 ○事務局  特にございません。 ○寺田分科会長  物をその場で作る添加物の話。それから偶然モニタリング中に見つかった、いわゆる 健康食品の中で、危険性としては可能性があるというところですが、そういうことが出 てきていろいろな議論をしていただき、時間がオーバーしてしまいました。どうも、申 し訳ありませんでした。今日の分科会はこれで終わります。どうもありがとうございま した。 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部企画課 電話 :03−5253−1111(内線2452)