02/03/08 第4回建築物衛生管理検討会議事録            第4回建築物衛生管理検討会議事録           日時:平成14年3月8日(金)14:00〜16:00           場所:飯野ビル9階 キャッスル会議室           議事 1)事業者の登録制度について              2)建築物環境衛生管理基準について              3)その他 ○事務局  それでは、定刻になりましたので、ただ今から第4回建築物衛生管理検討会を開催さ せていただきます。  本日は、御多用のところを建築物衛生管理検討会に御出席いただきまして、ありがと うございます。  本日は、6名の委員が欠席との御連絡をいただいてございますので、7名の先生方の 御出席をいただいております。  開会に当たりまして、清水生活衛生課長よりごあいさつを申し上げる予定でございま したけれども、所用の関係で遅れております。到着次第ごあいさつを申し上げます。  それでは、座長の吉澤先生、よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  お忙しいところを本日は御出席をいただきましてありがとうございます。どうぞよろ しくお願いいたします。  まず、今日の議題なんですが、議事録の確認と議題としましては「事業者の登録制度 について」と「建築物環境衛生管理基準について」「その他」でございます。  それでは、まず、事務局の方で資料確認をお願いします。 ○事務局  それでは、資料の確認をさせていただきます。  本日、資料1といたしまして、前回の議事録案、これは委員限りとなってございます 。  それから、資料2といたしまして「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施 行規則の一部を改正する省令の概要」、横長の紙でございます。  資料3といたしまして「事業の登録に係る厚生労働大臣が告示で定める基準案」。  資料4で「建築物環境衛生管理基準について」。  資料5といたしまして「建築物環境衛生管理基準等の見直しについての考え方」。資 料5も委員限りとなってございます。  それから、委員の先生方には参考資料1と2で関係法令、それから、関係通知を準備 させていただいてございます。  以上でございます。不足等があったらお申し付けください。 ○吉澤座長  では、続きまして、議事録の方に入りましょう。 ○事務局  では、資料1をごらんください。これは、前回の議事録の案でございます。速記禄を もとに、事前に委員の先生方には御確認をいただいたものでございます。特段の問題が なければ、この内容で確定した上で、公開の手続に入らせていただきたいと思いますが 、いかがでございますでしょうか。 ○吉澤座長  これは、事前にお配りしまして御確認をいただいていると思いますが、いかがでござ いましょうか。何か訂正等ございますでしょうか。 ○吉澤座長  ございませんようでしたら、これで議事録として確定させていただきますので、どう ぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  どうもありがとうございました。  それでは、議事録につきましては、厚生労働省のホームページに掲載する形で公開の 手続に入らせていただきます。 ○吉澤座長  それでは、早速ですが、議題1に入ります。事業者の登録制度について。 ○事務局  では、登録制度につきましては、資料2と資料3に基づいて御説明させていただきま す。  第2回検討会のときに、法律改正を受けまして登録制度が変更されることになり、厚 生労働省の方で省令等の基準の見直しを行っているということの御説明をさせていただ いたところでございます。  前々回、第2回目の検討会での御論議を踏まえ、また、パブリック・コメントで寄せ られた意見を参考にさせていただき、近日中に省令を公布する予定でございます。本日 は、その省令の概要について御説明させていただきたいと考えております。資料2でご ざいます。  これは、前々回の第2回目の検討会のときに提示させていただいた資料をもとに、先 生方の意見を踏まえ、また、パブリック・コメントで寄せられた意見を参考として改訂 したものでございます。  前回と変わった部分でございますけれども、1つには、登録基準の中の機械器具の配 列が作業の手順に必ずしも従っていないのではないかという意見をいただいていた部分 、例えば、貯水槽清掃業ですとか、飲料水の水質検査業といったところでは、作業手順 に従って機械器具を並べ替えさせていただいております。  それから、従来第1号ですとか、あるいは第6号の一般管理業の中で「清掃用具一式 」「何とか一式」あるいは「その他の何々」という表現を使ってございますけれども、 登録要件として定めるまでもなく業者が保有しているのが当たり前と考えられるもの、 具体的な内容が不明確なものにつきましては、「何とか一式」あるいは「その他の何々 」といった表記を削除いたしました。  それから、個別に申し上げさせていただきます。第3号の今回新設されました建築物 空気調和用ダクト清掃業でございます。1番に電気ドリルおよびシャーまたはニブラ、 これはダクトの開口の道具でございます。それから、内視鏡につきましては、これも前 回意見をいただいたところでございますけれども、写真撮影の機能を有するものに限る ということで、内視鏡の性能を盛り込ませていただいてございます。  それから、第4号飲料水水質検査業でございますけれども、これは第6号で従来「比 色管、分液ロートその他の水質検査用器具」というのがございました。この「その他の 」というのがあいまいで、具体的に何を指すのか不明確だということもございますので 、今回削除させていただいてございます。  それから、第5号の貯水槽清掃業でございますが、前回、照明器具というのは防水型 のものに限定した方がいいだろうという御指摘がございましたので、防水型の照明器具 。それから、色度、濁度の測定に使う色度計、濁度計を備えた方がいいという御指摘が ございましたので、色度計、濁度計を第5号のところで加えさせていただいてございま す。 それから、第6号の建築物排水管清掃業でございます。これも、前回スネークワ イヤーあるいはウォーターラムという表現を使っていたところでございますが、スネー クワイヤーの代わりにワイヤー式管清掃機、それから、ウォーターラムの代わりに空圧 式管清掃機という言葉で整理をさせていただいてございます。  第7号の建築物ねずみ昆虫等防除業でございますけれども、これも従来「その他の殺 そ用器具」あるいは「その他の薬剤散布用機械器具」「その他の安全用具」という「そ の他の何々」という書き方をしてございましたけれども、この表現があいまいだという ことで、削除をしてございます。  それから、第8号の建築物環境衛生総合管理業でございます。これは、下のところに ただし書きで環境衛生総合管理業の業務について書いてございます。『「清掃」「空気 調和用設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修」「空気環境の測定」「給 水に関する設備及び排水に関する設備の運転、日常的な点検及び補修」「給水栓におけ る水に含まれる遊離残留塩素、水の色、濁り、臭い及び味の検査」』を実施するのが建 築物環境衛生総合管理業の業務と考えてございます。  人的基準といたしまして、第3号の空気調和用ダクト清掃業あるいは第6号の排水管 清掃業につきましては、それぞれ業務の監督者、それから、従事者についての要件を設 ける予定でございます。  それから、第8号の環境衛生総合管理業でございますが、空調設備や給排水設備に関 する管理の監督者を置いた方がいいだろうという意見をパブリック・コメントでいただ いてございます。それを踏まえまして、空調設備や給排水設備の運転や管理業務の監督 者といたしまして、職業能力開発促進法に基づく技能検定、ビル設備管理技能士の資格 を有している者、または建築物環境衛生管理技術者の免状を持っている者を対象とした 講習を受講した空調給排水管理の監督者を置いていただくということを考えてございま す。  それから、今回の法改正に追加となりましたその他の基準でございます。その他の基 準の具体的な部分につきましては、厚生労働大臣が定める基準という形で告示で定める ことといたしておりますが、具体的内容につきましては、資料3をごらんいただきたい と思います。資料3が、現時点で告示で定める予定としている内容でございます。基本 的には、参考資料1の30ページ以降に「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び 清掃等に係る技術上の基準」、これは昭和57年の告示第194号で、清掃の実施方法ある いは空調設備あるいは給排水の管理の方法について基準を示してございます。これは、 建築物の所有者等に対する基準でございますけれども、ここに書いてある内容を踏まえ て、事業者が守るべき基準を告示として今回定める予定です。  まず、資料3の1枚目は、建築物清掃業の登録を受けようとする者の基準でございま す。一から五は、先ほど申し上げました昭和57年の告示の内容を踏まえて定めたもので ございます。六は今回新たに定めたものでございますが、清掃作業及び清掃用機械器具 等の維持管理は、原則として自ら実施すること。これらの業務を他の者に委託する場合 は、あらかじめ当該受託者の名称、委託する業務の範囲及び業務を委託する期間を建築 物の所有者等に通知すること。また、当該受託者から業務の実施状況等について報告を 受けるなどにより、当該受託者の業務の実施方法が一から五までに掲げる基準を満たし ていることを常時把握すること。  七といたしまして、業務を実施している建築物の所有者、占有者その他の者で当該建 築物の維持管理について権原を有する者、または建築物環境衛生管理技術者からの苦情 及び緊急の連絡に対して、迅速に対応できる体制を整備しておくこと。この六と七の基 準につきましては、第二号から第八号までのすべての登録業種について同様に設けるこ ととしてございます。  次の2ページ目は、建築物空気環境測定業の登録を受けるに当たっての基準でござい ます。ここでは、二で、測定に使用する測定器について定期的に保守点検を行い、必要 に応じ較正、整備または修理を行うこと。また、現に使用する測定器の保守点検等の記 録を、測定器ごとに整理して保管すること。  三で、空気環境の測定の結果を5年間保存することといたしてございます。  それから、第三の建築物空気調和用ダクト清掃業の基準でございますけれども、これ も一から五において、作業の実施方法と用いる機械器具の維持管理について書いてござ います。  第四の水質検査業につきましては、一でございますが、試料の採取後速やかに検査を 行うこと。また、試料を保存する場合は、試料の水質が変化しないよう冷暗所に保存す ること。  二といたしまして、試薬または標準物質の適切な保管について。  三に、水質検査の実施方法について。  四といたしまして、機械器具の適切な保守管理について。  五に、水質検査の結果を5年間保存することということを定めてございます。  第五の貯水槽清掃業につきましては、先ほどの昭和57年の告示194号の内容を基本的 に引っ張ってきたものでございます。  6ページ目、第六の建築物排水管清掃業でございます。これも一から五までが作業の 実施方法、それから、用いる機械器具の維持管理の方法について定めてございます。  第七、建築物ねずみ昆虫等防除業でございます。これも、基本的には昭和57年の告示 第194号の内容を引っ張ってきたものでございます。ただし、1か所変わっております のは、四のところで「ねずみ、昆虫等の防除を行うため殺そ殺虫剤を用いる場合は」の ところでございますけれども、従前の告示の中では「薬事法等の規定に基づき、使用及 び管理を適切に行い」というような書き方をしてございましたが、「医薬品又は医薬部 外品を用いること」ということで、使用する薬剤について記載させていただきました。  それから、第八の環境衛生総合管理業についても同様に、清掃を行う場合、それから 、空気環境の測定を行う場合、中央管理方式の空気調和設備の維持管理について、機械 換気設備の維持管理について、貯水槽等の給水に関する設備の点検及び補修について、 それから、排水槽等の排水に関する設備の点検について、飲料水の簡易な測定について 、作業の適切な実施方法について定めてございます。  以上の内容につきましては、本日、先生方に意見をいただいた上で、最終的には近日 中に、省令及び告示の公布を行いたいというふうに考えてございます。  以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  どうしますか。御質問をお聞きしてよろしいですか。課長からごあいさつをいただき ますか。 ○生活衛生課長  済みません、遅れてまいりました生活衛生課長の清水でございます。  もう審議も説明も進んでいるようでございますから、どうぞ、座長お進めいただいて 結構でございます。よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明に対して、特に資料2と3につきまして、先生方の御意 見もしくは御質問をお受けしたいと思います。  小さなことなんですけれども、最初の資料2のダクト清掃業にある「シャー又はニブ ラ」というのは何ですか。 ○事務局  これは、金属の切断に用いる用具でございます。ダクトの開口に用いるときに金属を 切断する器具の名称でございます。 ○吉澤座長  たくさんのことがまとまっておりますので、なかなか全部フォローできないおそれが ありますけれども、いかがでしょうか。 ○坂上委員  資料3の6ページでございます。これは新しい基準でありますけれども、二の項のと ころで、「排水管内部の汚物による閉そく」とあり、汚物というと、どこまでを含める のかということがあります。単純に汚物と言えば糞尿等を指すことが多い。特に糞便で すね。ですので「汚物類」とするか、または「汚雑物」というふうにしていただければ 、台所の排水に含まれる油脂類とか、いろいろなものがそこに含まれますので、用語の 御検討をお願いしたいということが1つです。  もう一点、同じ資料の9ページでございます。第六項のところで、「排水槽及び阻集 機」の「機」は「器」の方にお願いしたいと思います。  2点よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ただいまの話は、余り御異議はなさそうな感じはするんですが。 ○事務局  参考にさせていただきます。 ○紀谷委員  前のは「汚物等」とか何かにすればいいのではないですか。「等」を入れれば。 ○事務局  それは、後ほど資料5に基づいて御説明させていただきますけれども、汚物という表 現が法令上の使われ方と社会一般での使われ方で若干差がありまして、そういったとこ ろを整理した上で対応させていただきたいと思います。 ○坂上委員  結構でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ほかに何かございますでしょうか。 ○田中(生)委員  資料3の7ページですが、以前からちょっとこだわっているんですが、四のところで 、防除に用いる薬剤を医薬品、医薬部外品に限っています。基本的には差し支えないと は思いますが、現在、屋内では観葉植物等を置くところが多くなっており、これから害 虫が発生します。しかし、植物に対して医薬品、医薬部外品を使うと薬害が出て、植物 を枯らしたりということが起きてくるので、このところは何か少し加えておいた方がい いのではないかという気がするんです。例えば対象種を「ねずみ、昆虫等の衛生動物」 とするとか。それは医薬品、医薬部外品以外のものを推奨するという意味ではなくて、 むしろ逆に、そういうものに対する影響を排除するという観点で見ていただければと思 います。 ○事務局  建築物ねずみ昆虫等防除業の業務範囲に関係しますが、ここで言うねずみ昆虫等とは 何を指すのかということにつきましては、施行規則の第23条、お手元の参考資料1の20 ページをごらんいただきたいと思います。真ん中下の方に書いてございますが、ここで 、建築物ねずみ昆虫等防除業の対象となる動物でございますけれども、「ねずみ、こん 虫等人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物」。では、ここで言う人の健 康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物というのが、具体的にはこの制度の制定 当時には、病原微生物を媒介する動物であるといった整理がされてございました。そう いった観点からいたしまして、人の健康を損なうおそれのある媒介動物については、医 薬品または医薬部外品の使用で足りると、そのように整理をしている次第でございます 。それ以外の衛生動物といいましょうか、生活害虫といったところについては、このね ずみ昆虫等防除業の業務の中に含まれないという整理でございますので。 ○田中(生)委員  そういうことであれば差し支えないと思いますが、昭和59年、昭和60年の厚生科学研 究で衛生動物を媒介動物、有害動物、不快動物に区分し、いずれも健康被害を与えるも のという整理の仕方をしましたので、健康という解釈が少し広まっているというところ が気になったというところでございます。 ○事務局  また、後ほど資料5に基づいて、この辺りの議論はしていただきたいと考えておりま す。 ○田中(正)委員  今の件ですけれども、「衛生害虫」という文言はいけないのでしょうか。何か法律的 なもので引っ掛かる恐れがあるのでしょうか。人の健康を損なうということですので、 「衛生害虫」というような言葉で言ってもいいのではないかと思うのですが。 ○事務局  衛生害虫の定義でございますが、要するに、病原微生物を媒介するおそれがある媒介 動物という意味の衛生動物なのか、あるいはそれ以外の人間に対する皮膚炎ですとかア レルギー症状を引き起こすおそれのある動物も含むのか、あるいは生理的な毒性はなく ても精神的な不快を及ぼす昆虫等についても衛生害虫という概念でくくるのか、その辺 りの整理がまだ十分されておりません。先ほど田中生男先生の方からございましたよう に、不快動物も衛生動物に入るのだという定義で果たしていいのかどうかという点も、 もう少し御議論いただきたいと考えてございます。 ○吉澤座長  今のは、かなり本質的なことでコンセプトが変わってきていますよね。そういった意 味では、今の両田中先生もおっしゃったような意味まで本当は含めなければいけないん ですけれども、従来の法律の考え方からは難しい面があるんでしょうかね。何かうまく それを回避して広げて読むということはできませんでしょうか。 ○田中(生)委員  混乱が起きるかもしれないというのは、先ほどお話ししましたように、調査研究でそ ういう整理をした上で報告書を出していますから。つまり、健康に被害を与えるという のはどういうことかという定義をそこまで広げましたので、そこが少し心配になるとい うことでございます。 ○吉澤座長  このことは、実はビル衛生管理法そのものがそういうことなんですよね。つまり、労 働衛生で言うような直接的な身体的障害を与えないということをターゲットとするのか 、WHOが1948年に言ったような健やかさというものをターゲットにするかという違い になってきますよね。今は、後者にいっているし、ビル衛生管理法そのものが直接の害 を与えるというのはとんでもない話なのであって、もう少し快適さとは言わないけれど も、それに近いような内容を言っていますでしょう。だから、そういった意味では、こ の辺が改善されるべきではないかという感じはしているんですが。なかなか難しい意味 があるのかもしれませんが。 ○事務局  法律としての規制を考えた場合に、快適性についてどこまでターゲットに広げ得るか どうかというのは、再度整理が必要なのかなと。少なくとも人に直接健康の被害を及ぼ すもの、あるいはそのおそれがあるものについては、当然法規制の対象になりますが、 快適性の部分についてどこまで広げていくかというのは、慎重な検討が必要なのかなと いうふうに考えている次第でございます。 ○吉澤座長  快適性と言ってしまうと確かに問題になると思いますけれども、ビル衛生管理法の基 準そのものは、直接いわゆる生理的な害に結びつくものではないわけですよね。それは もう30年間もやってきたし、WHOなどもそれを認めているわけですよね。ですから、 法律の規制でいうと、確かに難しくてなかなかはっきりと言いにくい面があるのではな いかと思うんですが、そこが今出てきたのだと思います。 ○事務局  施行規則の第23条の表現ぶりをどうするか、衛生害虫の定義という部分につきまして は、また、この後も議論をいただいて詰めていきたいと思いますけれども、今回、4月 1日の法施行に間に合うようにこの告示を出さないといけないということでございます ので、御理解いただければと考えております。 ○吉澤座長  今の田中生男先生の話では、薬品によっては他のものが影響を受けるではないかとい うことなんですよね。それが回避できるといいと思いますけれども。だから、ここで言 う7ページの第七の四というのは、要するに、ねずみ、昆虫等のいわゆる衛生害虫を防 除することを目的とする場合にはこうだということなんですよね。だけれども、これで いいと言うわけではないということなんでしょう。これは法律でもって決まっているけ れども、そのままでいいかということではないと思うんですけれどもね、本当はきっと 。 ○生活衛生課長  これは任意の手挙げ方式の登録制度で、ねずみ、昆虫防除をやるものの業者の要件は どうかということでありますので、登録を受けたものが広義の衛生害虫といいますか、 ほかのものをやることについては、ある意味ではこの法律の直接規制するところではな い、そんな考え方の整理である。必ずそういう広義の昆虫などもやるということを前提 に登録業をやるということ、逆に言えば、登録の要件を加重することになりますので、 それをこの際やるのがいいかどうかというと、ちょっとそういう流れの中では考えてお らなかったというのが1点ございます。  それと、もう一つ、ここで医薬品または医薬部外品を用いるというふうにしたのは、 実は国会でも論議があったわけでございまして、一昨年になるんですか、北海道特別養 護老人ホームで農薬を屋内で使ったという事例がございまして、勿論、その農薬はビニ ールハウス内等でも使うものでありますから、絶対人間のそばで使ってはいかんという ものではないんですが、使用後、相当数時間経ってからでないと入室してはならないと いう注意を守らなかったために、健康被害が起こったのではないだろうかという事案だ ったわけでございます。そのとき内部的に検討いたしまして、医薬局長と健康局長で通 知を出した際に整理したのが、いわゆるねずみ、昆虫等の防除のためには、農業関係と いうことではなくて、人間の通常の居住環境等で使うことを予定されている医薬品等を 使うのではないだろうかということで、この表現を使ったということがございます。し たがいまして、今の2点を考えますと、やはりこの法律において、この登録を受ける防 除業としては、やはりある程度かっちりしたものということで考えるべきではないかと いうことで、こんな整理をしておるわけであります。勿論、広義の衛生害虫といいます か、そういうものについて今後どうしていくかというのは、この登録業の在り方自身と 若干分けた形で御論議賜ればというのが、小林補佐も申し上げたところではないかと、 そんなふうに思っているところでございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  いかがでしょうか。 ○田中(生)委員  私も、基本的にはこれでよろしいと思うんですが、他の分野とねずみ、昆虫が一番違 うのは、例えば今の植物の問題にしても、あるいは機器類に出た害虫にしても、それは 衛生的環境と直接関係ない害虫であるという解釈ができないということなんですね。つ まり、機器類の中から出ようと、どこから出ようと、それが広がって食品についたり人 間に対しても影響がある。そういう意味で、少し整理がしにくいというところがあろう かという気がします。  現実には、例えばビルを受け持つ防除業者が、ここは、この法律に関係ないからこっ ちだけやるよというわけにはいかないという難しさがあろうかと思います。その辺は、 少し整理できるようにしておいた方がいいのかなという気がしております。 ○吉澤座長  それでは、ほかに何か御質問か御意見がございましたら。  それでは、この基準案につきましては、時間的にも急がれているということでござい ますものですから、これはただいまの議論を踏まえまして適切に対応していただきたい と思います。  これは、日程はどうなるんですか。 ○事務局  4月1日に施行されることになってございますので、それに間に合うようになるべく 早急に省令及び告示を官報掲載という形で公布したいと考えております。  それから、施行に伴う通知を都道府県の担当部局に対して出したいというふうに考え てございます。本日の議論等も踏まえて、なるべく早く通知を出したいと考えておりま す。 ○吉澤座長  どうぞよろしくお願いします。  では、次の議題に進みたいと思います。次は、建築物環境衛生管理基準についてなん ですが、これは事務局から御説明をいただけますか。 ○事務局  本検討会では、これまで3回にわたって各委員の先生方からさまざまな御意見をいた だき論議をされてきたところでございます。また、毎回、各先生方からいろいろな資料 の提出をいただいたわけでございますけれども、先生方からの御意見または資料等を踏 まえまして、事務局で考え方を整理したペーパーが資料5でございます。  それから、資料4でございますけれども、資料4は1枚目から4枚目までが、左に法 律、真ん中に施行令、右に施行規則を整理してございます。  それから、5ページ目、6ページ目でございますけれども、これは都道府県での立入 検査の結果で、建築物環境衛生管理基準の不適合率の推移を整理した資料でございます 。これも参考にしながら、資料5に基づいて説明をさせていただきます。  まず、資料5の1枚目でございます。この建築物環境衛生管理基準の見直しを行うに 当たって、整理すべき事項について何点かポイントを挙げさせていただいてございます 。  1番目が、区域別管理の必要性について書いてございます。この法律の施行当時でご ざいますけれども、建築物環境衛生管理基準は、統一的管理性、全体性、制御可能性、 この3つの性格に着目したということが言われてございます。統一的管理性というのが 、建築物を統一の基準で管理できること。全体性といいますのが、建築物全体に及ぶこ と。制御可能性は人為的に制御できること。その3つを満たすものとして、管理基準を 設けるということだったわけでございますけれども、現在では建物が大型化しているあ るいは複合用途化しているといった状況の中で、用途等に応じて必要とされる維持管理 の手法やその水準が異なることが指摘されてございます。  特に、空気環境の調整につきましては、温度や湿度の管理あるいは換気量の管理。そ れから、ねずみ、昆虫等の防除につきましても、厨房の区画と事務所の区画とでは生息 する動物の種類ですとか、生息密度が大きく異なっているという状況がございますので 、建築物全体を統一の基準で管理するという統一的管理性あるいは全体性という考え方 は、必ずしも現状の建築物維持管理の実態には合っていないのではないかというように 考えられているように思われます。  そういったことから、建築物の全体性あるいは統一的管理性ということも考慮しつつ 、用途等に応じた区域ごとの適切な維持管理を実施するという考え方を導入する必要が あるのではないかということを1番で指摘させていただいてございます。  それから、2番目に、地域性あるいは季節性の考慮ということでございます。これも 温度、湿度の管理、あるいはねずみ、昆虫等の防除の部分につきましては、地域格差が 大きいということが指摘されてきてございます。そういった観点から、全国一律の対応 というのは難しいと言われておりますが、この基準は全国一律に適用できる基準として 定められているものでございまして、地域性あるいは季節性を考慮した対応は、ガイド ライン等で対応できるのではないかということでございます。  それから、次のページでございます。対象建築物についてでございます。この法律に おいて、建築物環境衛生管理基準は、特定建築物のオーナー等に対して遵守義務を課し たものでございますけれども、法律の第4条第3項におきまして、特定建築物以外の建 物についてもこの基準を守った方が望ましいといいましょうか、維持管理をするに当た っては、この基準に従うよう努めなければならないという努力規定が課せられてござい ます。そういったことから、この基準の見直しに当たっては、特定建築物以外の建築物 の用途での維持管理の実態等についても心得ていただく必要があるというふうに考えて ございます。  それから、省エネルギーの対応につきましても、これも時としてエネルギー管理と衛 生上の管理というのがトレードオフの関係にあるといいましょうか、二律背反的な部分 があるという指摘がございますけれども、建築物のライフサイクル全体のエネルギー消 費を削減するという観点から、維持管理における省エネルギー化の対応ということにも 配慮が必要であるということで書いてございます。  3ページ目以降、個別具体的なテーマについて整理をさせていただいてございます。  まず、空気環境の調整でございます。現行の基準といたしましては、これまで浮遊粉 じんの量、一酸化炭素の含有率、炭酸ガスの含有率、温度、相対湿度、気流の6項目が 定められてございます。  浮遊粉じんの量につきましては、呼吸器等への影響を考慮して、空気1立方メートル につき0.15mg以下と定められてございます。昭和52年当時不適合率が21.9%と高かった わけでございますけれども、その後、時代の経緯とともに低下してございまして、昨年 度には2.2%という不適合率まで下がってきてございます。このように、浮遊粉じん量 が屋内において下がってきている理由といたしましては、防じん技術、空気清浄技術が 高度化していること、また、室内の禁煙や分煙化が進んでいることが考えられます。  浮遊粉じんの量は室内環境の快適性、例えば衛生、健康性の指標となるものでござい まして、経済的に合理的な範囲で可能な限り低減することが望まれます。  現行では、2か月に1回測定することとなってございますけれども、例えば、過去一 定期間、浮遊粉じんの濃度が基準値を超えていない場合ですとか、あるいは排気が屋内 に流入してこないことが建築構造上確保されていること、あるいは分煙化、禁煙化の対 応がなされている場合などには、測定回数の緩和が可能ではないかと考えられます。  それから、2番目の一酸化炭素の含有率でございます。これも現行では100万分の10 以下と定められてございます。この基準も、現時点での知見等をかんがみれば適切な値 かと考えられますが、浮遊粉じんの量と同様に、現在ではかなり不適合率が低くなって いる状況でございますので、過去一定の期間、基準値を超えていない場合、あるいは分 煙、禁煙の対策が取られている場合には、測定回数の緩和が可能であると考えられます 。  それから、二酸化炭素、炭酸ガスの含有率でございます。これは、1,000ppmを超える と人体に対する不快感が強まること、あるいは室内空気汚染を評価する指標として100 万分の1,000以下という基準が定められてございます。エネルギー消費節約の観点から は、過度な換気は不要だと考えられるわけでございますけれども、衛生的な空気環境を 維持するためには、二酸化炭素濃度が現行の基準値以下になるような管理が必要だと考 えられます。  温度の管理でございます。衛生的な空気環境あるいは室内の快適性という観点からは 、温度だけではなく湿度や気流の影響もございます。また、着衣量や活動強度等によっ て温冷感は大きく変化してくることから、建築物の利用者全員に生理的・心理的に満足 が得られる温度管理は困難な状況にございます。しかし、過度な空調による、いわゆる 冷房病の発生あるいは冬の寒冷状況における脳卒中あるいは循環器疾患の罹患率の上昇 、一方、過度の暖房による体力消耗といった健康面での問題がございますことから、適 切な温度管理が必要だと考えられます。  現行では、17度以上28度以下という基準が設定されてございます。この基準につきま しては、かつてこの法律が制定された当初というのは、冬場は16度あるいは18度、20度 といった比較的低温の中で管理されていたわけでございますけれども、最近では冬でも2 0度以上、25度程度の温度で管理されているという実態がございます。現在の熱環境の 実態からは、下限値の17度というのは極めて低い値ではないかという御指摘がございま す。  それから、季節によっては適温が変化するということから、例えば、夏季、冬季、中 間期等で温度基準を区別するべきだという意見もございます。  それから、現行では、この温度は居室の中央部の床上75cm以上120cm以下の位置で測 定することとなってございます。しかしながら、室内の上下温度差が大きい場合には健 康影響が生じるという指摘がございますので、75cm以上120cm以下の位置だけではなく 、下層域、足の部分の温度も測定すべきだという意見もございます。  それから、夏季の窓からの直射日光や冬の冷たい窓面では、室内空気と著しく温度が 異なる場合がございます。そういった場合には、健康に対する悪影響もあることから、 放射熱についての基準も必要ではないかという意見も出されてございます。  相対湿度でございます。特に、夏場の高湿度状態というのは、暑さに対する不快感が 強まるだけではございません。アレルギー疾患等の健康影響の原因になる好湿性のカビ あるいはダニの繁殖を招きやすくなること。  一方、冬の低湿度状態というのは、気道粘膜の乾燥を生じ、気道の細菌感染予防作用 を弱めるとともに、インフルエンザウイルスの生存期間を延長するといったことから、 適切な湿度管理が必要となってございます。  現行の40%以上70%以下という基準でございますけれども、これは、建築物環境衛生 管理基準の中で最も不適合率が高い項目でございまして、過去25年にわたって30%前後 の不適合率で推移をしてございます。  建築物における衛生管理の実態といたしましては、特に、冬の湿度の確保が困難であ ることが建築物の空調設備の設計者の方あるいは維持管理の従事者の方々から指摘され てございます。しかし、建築物利用者の呼吸器症状等を予防するためには、冬における 適切な湿度管理が必要だと考えられます。  一方、省エネルギーという観点からは、夏場の冷房方式といたしまして、低温送風、 大温度差送風といった新しい空調方式が導入されてきてございます。こういった新しい 方式では、運転状況如何では相対湿度が40%以下になるということが指摘されてござい ます。相対湿度が同じ値であっても、温度によっては空気中の水蒸気の量が異なってご ざいます。例えば、夏には相対湿度が40%を下回って35%あるいは30%という値であっ ても、生理的・心理的に満足を得る水蒸気量が確保できるという指摘もございます。こ のようなことから、相対湿度の基準に関する更なる検討が必要だと考えられます。  気流についても、衛生面や温熱環境の快適性という観点から重要な項目でございます 。現行の0.5m毎秒以下という基準は、気流の人体に対する影響を考えれば適当である と考えられてございます。  それから、次の下の(2)でございます。中央管理方式以外の空気調和設備または機械 換気設備の基準についてでございます。  現行では、中央管理方式の空気調和設備または機械換気設備を設けている場合におい て、先ほど申し上げましたような項目についての基準が適用されることとなってござい ます。法律上、中央管理方式ということに限定されている理由は、この法律が施行され た昭和45年当時におきましては、建築物の空調方式は中央管理方式のものが一般的であ ったこと、また、建築物環境衛生管理基準を定めるに当たって、統一的管理性あるいは 全体性といった考え方が前提としてあったことが挙げられます。  中央管理方式以外の個別式空調方式、個別分散式空調方式といったものは、法律の制 定当時には、専ら家庭用のクーラーとして利用されてございましたけれども、最近では 、大型の建築物においても導入されることが増えてきている状況でございます。  建築物衛生法の規制の対象となる施設の中でも、1台の室外機により複数の部屋の室 内機に冷媒を供給するビルマルチタイプの空調方式といったものもかなり普及してきて いる状況でございます。  ビルマルチタイプの空調方式、個別分散式の空調機につきましては、現行では維持管 理の基準が定められておりません。そういったことから、維持管理に問題があるケース があるのではないかという指摘がなされているところでございます。  建築物における衛生的環境の確保という観点からは、中央管理方式であるか否かにか かわらず、空気環境を良好に維持するための基準を設け、これに適合するような維持管 理を行うべきだという指摘がなされてきてございます。具体的には、中央管理方式では なくても現行の6項目についての基準も適用すべきだと考えられてございます。  ただし、個別式の空調設備では管理する空調設備の数が多いということもございます ので、中央管理方式の空調設備に求めている維持管理の方法をすべて適用することは現 実的ではないといったことから、合理的な維持管理について検討する必要がございます 。  化学物質における室内空気汚染問題への対応についてでございます。  近年、新築・改築後の住宅等において、建築材料等から発散する化学物質による室内 空気汚染等により、皮膚粘膜症状、頭痛、めまい等、居住者にさまざまな健康影響が生 じる状態が報告されてございます。シックハウスと言われる現象でございます。こうい った問題が生じてきた背景といたしましては、住宅等の機密性の向上、冷房の普及等ラ イフスタイルの変化に伴い、換気量が低下する一方で、化学物質を放散する多様な建築 材料や家庭用品等が普及したことが考えられてございます。  最近、住宅等において多数の実態調査が実施されてございますけれども、例えば、ホ ルムアルデヒドといった化学物質が比較的高い濃度で存在する住宅もあることが指摘さ れてございます。  一方、建築物衛生法の規制の対象となる特定建築物におきましては、化学物質による 室内空気汚染の原因と考えられる健康影響の報告例は極めて少ないのが現状です。その 理由といたしましては、建築物環境衛生管理基準において、個別の化学物質についての 基準はこれまで定められておりませんけれども、炭酸ガスの含有率を100万分の1,000以 下、1,000ppm以下になるように空気を浄化することと規定されていることから、特定建 築物では、この基準になるよう十分な換気量が確保され、結果的に建築物の室内空気環 境が化学物質による汚染から免れてきたからであると考えられます。  実際、地方公共団体等でこれまで実施されてきた測定結果を見ますと、十分な換気量 が確保されている状況下では、ホルムアルデヒド等の化学物質の室内濃度は比較的低い 状態にあること、また、建築物の竣工後、時間の経過とともに化学物質の濃度が低下す る傾向にあることが明らかとなってございます。  特定建築物をはじめとする多数の者が利用する建築物において、化学物質の濃度を測 定する必要があるという意見もございますけれども、炭酸ガスの含有率が100万分の1,00 0以下になるような十分な換気量を確保することによって、化学物質による健康影響の 発生を防止することが可能であり、必ずしも定期的な化学物質濃度の測定は必要でない と考えられます。  しかし、建築物の工法等によりましては、工事期間中あるいは竣工後使用開始に至る までの期間に、一時的に化学物質の濃度が高くなることがあることが指摘されてござい ます。また、実際、化学物質による室内空気汚染が原因で、作業者に健康被害が発生し たことを示唆する報告もございます。このため、建築物の竣工時や大規模な改修工事の 後、建築物の利用を開始する前に、化学物質の濃度が十分低減されていることを確認す るための濃度測定を行うべきだということも意見として出されてございます。  次に、微生物による室内空気汚染問題への対応についてでございます。例えば、冷却 塔におけるレジオネラ属菌の繁殖、あるいは空調設備の不備による結核の集団感染、あ るいはインフルエンザの集団感染、加湿器の維持管理の問題による細菌感染、あるいは 真菌の発生による過敏性肺炎の発症といったように、微生物の繁殖が感染症をはじめと するさまざまな疾患の発生に関与する可能性が指摘されてございます。実際、空気清浄 装置、加湿器、冷却塔、ダクトといった空調システムの構成機器が、種々の細菌や真菌 の汚染源となり得ることが報告されてございます。  このため、空調設備の日常的な維持管理を確実に実施するとともに、空調システム全 体の点検及び清掃を定期的に実施することが必要と考えられます。  なお、一般環境中あるいは空調システムの中の微生物の存在状況と個別疾患との関係 については、必ずしも明確になっているわけではございません。また、一般環境や空調 設備内の細菌数や真菌数の測定の意義については、必ずしも合意されているわけではご ざいません。そういったことから、細菌数や真菌数の測定を義務づける必要性はないと 考えられますけれども、微生物における室内空気汚染問題については、今後、重点的な 調査研究が必要だと考えられます。 ○吉澤座長  非常に長いので、この辺で切りましょうか。今、御説明がございました資料5につき ましては、空気環境、それから、給排水、ねずみ昆虫、それから、もう1つか2つある わけですね。ですから、大体1項目20分ぐらいを目安としまして議論を進めていった方 がいいのではないかという感じがします。  まず、最初に、空気環境についての議論をお願いします。その後に水関係ということ にさせていただきます。 ○事務局  お願いします。 ○紀谷委員  ちょっといいですか。空気環境に入る前に、1ページ、2ページの総論的なところで 1つ意見があるんですがよろしいですか。  1ページの(2)の地域性、季節性という話で、先ほどの御説明でも、おおよそ空気環 境的な話を説明されましたけれども、前回の資料でも提出しましたように、水の管理と いう点でもこの問題は絡んでくると思いますので、何か書いておいていただきたいと思 います。 ○事務局  わかりました。修文いたします。 ○吉澤座長  なるべくいいものをつくるように、ひとつ御提案をお願いしたいと思います。  それでは、今までの問題を含めましていかがでございましょうか。ちょっと内容が多 いので、必ずしも今日だけでは終わらないかもしれませんが。 ○田中(正)委員  3ページのところに、定期的に測定し回数を減らすとあります。今は2か月ごとの測 定とありますが、回数を減らすということに私は賛成なんですが、例えばどのくらいと いう目安はあるのでしょうか。 ○事務局  温度、湿度あるいは気流といった項目につきましては、季節変動があるということか ら、また、二酸化炭素の含有率は換気の状況を把握するため、これらの項目については 現行の2か月以内ごとに1回という測定回数を減らす必要は必ずしもないのではないか と考えられますが、浮遊粉じんの量や一酸化炭素の含有率につきましては、それほど季 節変動がないことから、適切な維持管理がなされていることが明らかな場合であれば、 測定頻度を減らすことも可能なのではないかと考えております。具体的な回数について は、特段考えは持ち合わせておりませんので、先生方から御意見をいただければと考え ております。 ○田中(正)委員  危険度から言いますと、一酸化炭素の方は生命への危険度が大きいですね。浮遊粉じ んの場合は、喫煙室とそうでないところと、場所的なことがかなり関係してくると思い ます。その辺が測定回数にも関係してくると思います。実際に測定するとなりますと、 ある項目だけを制限するというよりも、全体的に制限した方がいいと思います。 ○吉澤座長  どうしましょうか。何か御提案がございますか。 ○事務局  現行では、6項目すべてについて2か月ごとに測定することとなってございます。 ○田中(正)委員  私は、減らすのであれば、四季か、季節ごとに年4回の測定ではと思います。 ○吉澤座長  測定の変更があったりすることがありますでしょう、そういうことも考えないといけ ないことはありますね。  何かほかにございましょうか。  ここで、ちょっと私の方から、3ページ目の一酸化炭素の含有率に関してなんですけ れども、10ppmというのは実際のビルでは今絶対にあり得ないですよね。もし、10ppmに なったとしたら、これはえらいことになってしまうんです。実は、昔は外気中の汚染物 質が高かったのですが、今は、室内でもしも一酸化炭素があったとしたならば、1つは 、駐車場の排気とか外の空気が流れ込むとか、もしくは燃焼器具の不完全燃焼があると いうことなんですね。ですから、むしろ私の感じでは個人的には、あれは異常状態の警 報だと見ているんです。というのは、一酸化炭素は非常に高濃度になってしまいますと 人を殺す状態が起きてしまうものですから。普通のビルではまずそれはあり得ないと思 うんですけれども。  もう一つ、私がちょっと気になったのは、7ページ目にございます化学物質汚染です 。下から3分の1ぐらいのところにありますね。炭酸ガスが1,000ppmに押さえられてい ればまず大丈夫であろうと。これはそうだと思うんですが、炭酸ガスを1,000ppmという のは裏返して言うと、一人当たり毎時30立方メートルの外気を入れていることです。そ うしますと、30立方メートルの外気を入れていればいいことになりますので、そのよう な対策で来たわけです。それで、何が問題であったかといいますと、部屋の濃度の予測 ということが消えてしまったんです。部屋の濃度が幾らになるかということの予測がも しできているならば、汚染物質、例えば、ホルムアルデヒドにしましても発生量から濃 度予測ができて、今度は逆に汚染物質濃度が許容値を超えないような材料や工法を使う という方向にいったわけですよね。これが外気による希釈で済んでしまったし、実際に 効果があったものですから、そういうコンセプトが消えてしまったんですね。このこと は、逆にシックハウスの誘因になってしまったとも言えないこともないわけです。これ でいいと思うんだけれども、ものをつくる側の人たちは、今、濃度予測を行う方向にい っているんですね。そういう意味では、例えば厚生労働省で決まった基準値があれば、 そうなるようにつくっていく。それを今度は確認するということになりますね。ここに 書いてございますように、確認するということがあればいいと思うんですけれども。だ から、実測を行うべきであるということになっているのは、そういった意味合いがあり ますので、非常に重要な内容ではあるわけです。これは、一番最後に出てきます完成検 査に絡んでくると思います。  余計なことを言ってしまいましたが、何かほかにございますでしょうか。かなり内容 がいっぱいありますので、気がついたところからおっしゃっていただければと思います 。  相対湿度に関しましていかがでしょうか。これは大きな議論になっていましたね。今 、40%から70%となっていますね。70%というのは、カビなどの生え方からいうとちょ っと高いんですよね。そういった意味では、下の40%かどうかという問題がありますが 。 ○田中(正)委員  相対湿度の不適合率が高いからということで、最初の前提の制御可能性ということに 、引っ掛かるのかと思うんですけれども、この相対湿度の不適合率は低い方で不適合な のか、高い方で不適合なのかはわかりますか。 ○事務局  必ずしもそこまでデータを取っておりませんが、過去の幾つかの報告によりますと、 基本的には低い方の40%が守られていないということが指摘されてございます。 ○田中(正)委員  湿度の制御は技術的に可能のすので、設備面で努力をし、適合率をあげてほしいなと 思います。平成7年の不適合率26.9%、一番高い時には32.6%とかなり変動があります 。むしろ、努力をして低い方の湿度を40%に保持してほしい。逆に、高い湿度の70%で 、これは夏や梅雨時が問題と思います。むしろ今の基準より低い湿度にしてほしいなと 思います。 ○吉澤座長  ほかにございますでしょうか。 ○紀谷委員  もう一つ基本的なことで。この資料5の取扱いのことがちょっとはっきりしないんで すが、これは、今後、近々出される管理基準の見直しについての基本的な考え方という ことですね。今のような具体的な数値等について、ここでも例えば5ページに冬と夏は 区別して考えるようなことが書かれていますから、最終的にそういうものが盛り込まれ るというふうに理解してよろしいのか、あるいはここで今そういう具体的な数値等を議 論しないと、もう間に合わないのか、その辺のタイムスケジュール的なことを伺いたい んですが。 ○事務局  実は、本日の資料5につきましては委員の先生限りで、傍聴者の方々には公表してお りません。これまでの先生方からいただいた意見ですとか資料を整理して、事務局で暫 定的にまとめた資料でございまして、今回以降御論議いただく上でのたたき台としての 位置づけですので、それぞれの先生方の意見を踏まえて考え方を整理していきたいと思 います。 ○紀谷委員  そうすると、趣旨そのものよりも、考え方として過不足はないかどうかという意見を 出した方がいいわけですか。 ○事務局  両方でございます。 ○吉澤座長  私の考えでは、これは後から提案しなければいけないと思っているんですけれども、 これはここでいろいろな議論をいただきまして、それをまとめたものをパブリック・コ メントという形になると思うんですよ。ですから、なるべく早い時期にこれに対する全 くの技術的な、またフィロソフィカルな意見というものを出していただいて、それを基 にしてパブリック・コメント用のドラフトをつくる形になるのではないかと思うんです 。完全なものではないと思いますけれども、そうしないとこれはまとまりがつきません から、この時点についてのまとめという意味では、そう思っていたらいいのではないか と思っております。ですから、余りゆっくりはできないけれども、できるだけたくさん の御意見を出していただいて、まとめる方向に持っていっていただきたいと思います。 だから、今日出せなかったらおしまいではないわけです。でも、やはり近日中に出さな いとおしまいになってしまう可能性はありますが、この時点ではですが。その後に、ま た変えてもいいと思いますけれども。 ○紀谷委員  ですから、ここで発言するだけではなくて、後で文書で出してもいいということです ね。 ○吉澤座長  そういうことです。むしろ、今日御欠席の先生方もおられますし。またパブリック・ コメントもいただきたいと思っておりますので。なるべく原案としてはまとまった方向 のものに、ここではまとめて持っていきたいと思っております。 ○相澤委員  先ほど座長が言われた一酸化炭素なんですが、確かに、これは事故で労災などで亡く なる方が多いんですけれども、こういったビルで亡くなるという方はほとんどなくて、 コンクリート養生とかトンネルで内燃機関を燃やすといったことで発生しているのがほ とんどだろうと思うんです。ですから、これは定常的に一酸化炭素を測っても、余り意 味のないことではないかと思います。昔は恐らく石油やガスなどを使っていたので測定 項目として入っていたのではないかと思うんですが、そういうことではないんでしょう か。 ○吉澤座長  これは、大気汚染なんです。大気汚染が粉炭を使っていたものですから、外気はかな りたくさんあったんですね。その後ぐんと下がってしまいましたが。ですから、むしろ 危険度のインディケーターとしての役割を今しているのではないかと思っております。 測定自体も検知管でいいのならば難しくはないので、そういった意味での、ビルによる と思うんですけれどもね。普通は余り必要ないと思いますけれども。 ○相澤委員  そうですね。そういう特殊な場合以外は、余り必要ないというのが現状だと思います 。 ○吉澤座長  ただ、これは人が死にますのでね。 ○坂上委員  現状では、一酸化炭素は検知管でやっているのですか。 ○吉澤座長  両方ですね。今、赤外線型のものもございますし検知管もございます。これは、高濃 度ではないことを見るということならば、検知管が一番いいと思います。 ○坂上委員  その程度ですと、安いものですね。 ○吉澤座長  炭酸ガスに比べて少しばらつきはありますよね。 ○坂上委員  燃焼とか外部の空気が、現在は順調に改善されていますので、普通ではあり得ないと は思いますが、一酸化炭素は低地測定というか低項目測定という意味で、先生がおっし ゃる異常感検知というインディケーターの意味も含めて、従来どおりやっておいて特に 問題はなく、費用のことに関しても検知管レベルであれば問題ないであろうという気が します。  それから、相対湿度だけではなくて温度なんですが、建築の室内環境設計というのは 、当然、夏季、秋と春の中間期と冬季というふうに3つの設定を行って、それにフィッ トするような仕掛けを設備として用意するというのが当たり前のことです。というわけ で、外気の状態と室内の状況とのいろいろなドラフト関係もございまして、夏はやはり 暑さと湿気になれた体で室内に入るわけですから、冬とはまた違います。お互いに違う 条件でのなれということもあります。そういう意味で、是非、通年一律基準ではなくて 、ある範囲、レンジにしましても、やはり季節によって変えた方がいいのではないかと 思います。  それから、インフルエンザ云々というところですけれども、これはたしか50%でした よね。この前の資料では、50%ぐらいでぐんと罹患率が下がるというふうなことでした よね。 ○田中(正)委員  いえ、40%です。 ○坂上委員  40%でしたか。だったら、大変意味はありますね。 ○石塚委員  2ページのところなんですけれども、対象建築物について、一番最初のときにそうい う議論も出るという話もあったんですが、そういう議論が余りなく来たように思います 。たまたま中小ビルの管理実態を聞くチャンスがありましていろいろ聞いたんですけれ ども、中小ビル、ここで言うと努力義務対象ビルですが、やはり非常に問題を抱えてい て、保健所等でいろいろ指導して入ってできたところは比較的いいんですが、できてい ない部分が相当あるとか、そういう問題があります。そういう点で若干議論は必要だと 思うんです。3,000平方メートル以上と規定されていて、その建築物の中で更に問題が あるということが言われているわけですが、その上で、もう少し対象範囲を広げていく というようなことを今後検討すべきではないか。特に、中小ビルはいろいろな問題を抱 えていて、なかなか解決できないと。大きなビルは問題ないわけですけれども、中小ビ ルがいっぱい大きな問題があって、特に、オーナーの方の管理に対する認識が低いとい うのも問題でしょうし、いろいろ問題があるんですが、それを努力義務でカバーできる かというと、やはりなかなか難しくて、ある程度法律的に強制するところもあえて必要 ではないかという点を感じておりますので、何らかの対象範囲を広げていくことは必要 ではないかと意見を述べたいと思います。  以上です。 ○吉澤座長  ありがとうございます。  そういう問題がございまして、実は、対象ではないビルに問題があるんだという話は 一番最初からあったんですね。全部を対象とはできないし、一部に良いビルができてく ると、みんながそれをねらって引きずられるだろうということを願っていたのではない かと思うんです。多少そういう面があったと思うんですが、なかなかそうはいかないで 、おっしゃったように、やはり何か積極的に少し切り込んでいくような努力も絶えず進 めなければいけないなと思っていますので、これも対象建築物につきましても、何か突 破口ができたらいいなと思ってはいますけれども。 ○事務局  具体的に、例えば今3,000平方メートルとなってございますが、この3,000の根拠とい うのが、そもそも法律の第1条に、「多数の者が使用し、又は利用する建築物の維持管 理に関し環境衛生上必要な事項等を定める」とありまして、規模が大きくなればそれだ け使用者の数が大きくなる、健康影響が及んでくる人間の数が多くなるということで定 められております。  例えば、建築基準法の中でも3,000平方メートル以上の建築物は主要構造部が耐火構 造であることといった規定があることから、建築物衛生法においても、3,000という床 面積の値が設定されてきたわけでございますけれども、具体的にどこまで下げるべきな のか。実際には、すべての建物にというのが当然考えられるわけなんですが、規制を掛 けるとなれば、やはり合理性といったことや実現可能性ですとか、そういったところも 考慮する必要があるというふうに考えます。具体的な数字というのはございますでしょ うか。 ○石塚委員  具体的な数字があるかというと、非常に根拠は少ないです。大都市での建築物の状況 を考えますと、1つの数字として2,000平方メートルという数字があろうかと思ってお ります。 ○吉澤座長  確かに2,000平方メートルが1つ区切りだと思います。だけれども、ほかのビルも全 部努力義務があるんだということをもっと宣伝していいと思うんです。知らないでしょ う、やはりそれはまずいので、どんな建物だってこういったものを守らなければいけな いんだというようなこと。ただ、守らなかったからといって、別に後ろに手が回らない というだけの話なんだということだと思うんですけれども、その辺をもう少しPRする 必要があるのではないかという感じがします。 ○田中(正)委員  3ページのところにあります浮遊粉じんですけれども、分煙化が進んでいる所では、 低くなります。たばこを吸わない状態ですと0.15mg/m3をかなり下回っています。分煙 になっているのか、そうでないのか、これがかなり粉じん量に影響してきます。大体の 職場においては分煙化が進んでおりますので、そういった面から、基準の0.15mg/m3を 厳しくしてもいいのではないかと思います。 ○吉澤座長  いかがですか。私もそんな感じはしますけれどもね。 ○事務局  具体的な数字はございますか。環境基本法に基づく大気汚染に係わる環境基準では、 大気中の浮遊粒子状物質の1日平均値が0.10mg/m3以下という基準がありますが、室内 の浮遊粉じんの量について、具体的な数字ですとかその根拠はございますでしょうか。 ○田中(正)委員  今の大気の場合の0.10mg/m3というようなことがありますので、そういったものも1 つの根拠かと思います。実際に普通の室内環境で測定してもかなり低いものですから。 では、濃度が高ければ被害がどの程度とか、低ければどの程度という実験的なものを求 めるのはちょっと難しいと思います。 ○吉澤座長  ビル管法の規定レベルの値というのは、直接的に生体影響が出るものではないんです ね。私もよくわかりませんが、多分このビル衛生管理法の粉じんの規定が決まったとき の根拠は、大気汚染の長期と短期の平均だと思うんです。ですから、そういうことを言 うならば、むしろ長期の値をつけてしまったっていいのではないかという感じはします よね。いずれにしろ、生体影響の問題に関してここでは踏み込めないわけですので、そ ういった指標を取らざるを得ないかなと思いますけれども。  それから、これはここに書いてございますように、昭和52年度では21.9%であったん ですが、たしか法律施行当時の直後では、60〜70%が不適だったと思うんですよ。これ は東京都の方のデータにあると思います。ですから、とんでもない値だったわけです。 それが、ぐんぐん減ってきて、今では数%になってしまったということですから、いろ いろな意味での対策が有効だったという1つの例なのかもしれないですね。  では、先に進んでよろしゅうございますか。水の方の問題に関しまして説明をお願い しましょうか。 ○事務局  水の関係でございます。当初、飲料水や排水についても資料を整理する予定だったん ですが、時間の都合がございまして、今回は給湯水と雑用水について資料を整理させて いただいてございます。  資料5の9ページでございます。給湯水の維持管理についての考え方を前回までの議 論を踏まえて整理させていただいてございます。  建築物に設置されております給湯設備でございますけれども、現在はさまざまな方式 のものが活用され利用されているという状況でございます。給湯方式には局所式のもの と中央式のものとに大別できるわけでございますけれども、特に、加熱と貯留を繰り返 す給湯設備では、細菌類の繁殖ですとか金属類の溶出といったことに伴う水質劣化が見 られることが報告されてございます。そのため、衛生管理のために必要な維持管理が必 要とされてございます。  それから、レジオネラ属菌ということにつきましても、国内でも給湯水が原因と疑わ れるレジオネラ感染の事例も報告されてございますので、そういったところからも給湯 水の適切な維持管理が必要と考えられます。  しかし、現時点では、給湯水に関する法令のような規定がございません。そういった ことから、何らかの基準の必要性が指摘されてきたところでございます。  その場合に、考えるべき事項が幾つかございますけれども、1つには、規制の対象と なる使用用途でございます。給湯水は、飲料水と隣接した場所に水栓が設けられ、飲用 される機会も多いことから、基本的には飲料水と同等の管理が必要であると考えられて ございます。しかし、給湯設備のすべてに飲用を前提とした維持管理と水質検査を義務 づけることは相当な経済的負担を強いることにもなります。そういったことから、給湯 水が人の飲用、その他これに類する用途に利用される場合、または、飛沫発生の可能性 がある用途での使用が想定される場合に、維持管理の基準を設けてそれを適用すること が妥当ではないかということでございます。  それから、維持管理の具体的な項目等でございますけれども、給湯水の衛生的な管理 という観点からは、定期的な水質検査が必要だと考えられます。具体的には、特に、高 熱になった場合に溶出が想定されます鉄、銅、鉛、亜鉛といった重金属を測定すること が考えられます。  それから、次の10ページでございます。温度の管理でございます。これも前回いろい ろ御議論いただいたところでございますけれども、55℃から60℃の範囲で維持すること が望ましいという意見がございます。具体的には、1週間に1回程度、定期的に温度測 定を行って給湯の温度を管理すべきということを記載させていただいてございます。  それから、それ以外の維持管理の方法でございます。例えば、貯湯槽あるいは膨張水 槽はレジオネラ属菌の繁殖の可能性があることから、定期的な測定を行うこと。給湯設 備内全体での保有水量が使用量に比べて過大であると、滞留水となって水質劣化を招く おそれがあることから、滞留水防止のための措置を講じる必要があること。貯湯槽、給 湯管の機能等を定期的に点検し、必要に応じ補修等を行うこと。こういったところを盛 り込む必要があるのではないかということで挙げさせていただいてございます。  次に、11ページで雑用水の維持管理についてということでございます。雑用水とは人 の飲用、その他これに類する用途以外の用途に供される水の総称として用いられている 表現でございます。  実際は、原水あるいは水の処理方法、使用用途等は多種多様にわたってございます。  雑用水の利用は、水資源の有効利用の一手法として、また、渇水時の緩和策として、 また、災害時における水供給を保管する方策として、その普及・拡大が期待されてござ います。  雑用水につきましては、昭和50年ごろから便所の洗浄水を主な用途として利用が始ま りましたけれども、その後、使用用途は拡大している状況にございます。現在では散水 、冷却塔の補給水、修景用水、消火用水、栽培用水、さまざまな用途で使用されている ことが明らかとなってございます。  原水の種類といたしましては、1つには建築物内の排水等を再利用する。洗面用水、 厨房排水、雨水、汚水、湧水、冷却塔のブロー水といったものが使われることがござい ます。あるいは広域循環水、地区循環水、工業用水などが利用されることもございます 。  雑用水は人の飲用に供される水ではございませんけれども、配管等に不備がありクロ スコネクションや逆流等が生じれば飲料水が汚染されるおそれがあること、腸管系病原 性微生物に汚染されれば建築物利用者の健康を害するおそれがあること、エアロゾルを 発生する修景施設で使用されればレジオネラ属菌の繁殖を招くおそれがあること、こう いった衛生上の問題が指摘されていることから、適切な維持管理が必要でございます。  昭和56年に、厚生省局長通知「再利用水を原水とする雑用水道の水洗便所用水の暫定 水質基準等の設定について」という通知が出されてございましたけれども、この中で雑 用水の維持管理の方法が提示されてございます。この通知は、再利用水を原水とした水 洗便所用水の利用を前提としたものであって、現状における多様な原水の利用、または 利用用途が拡大している実態には必ずしも合致していないことが指摘されてございます 。  こういったことから、次の点に考慮して適切な基準を設けることが必要だと考えられ ます。1つは、使用用途の制限ということでございます。最近では、高度な水処理技術 が導入されつつあり、高いレベルの水質の確保が可能となってございます。そういった ことから、原水の種類によって使用用途を制限するというのは必ずしも適当ではないと 考えられます。  しかしながら、原水にし尿を含む場合には安全確保の観点から、当分の間は人が直接 触れる可能性が高い用途への使用を禁じるべきだという意見もございます。  次の12ページでございます。原水の種類や使用用途に応じた水質基準の設定でござい ます。使用用途に応じて要求される水質のレベルが異なることから、使用用途に応じた 基準を設けることが適当ではないかと考えております。例えば、水洗便所の洗浄水の場 合、大腸菌群数、臭気、外観、残留塩素等を基準とする。修景用水、散水及びこれらに 類する水利用の場合は、大腸菌群数、pH、濁度、臭気、外観、残留塩素等の項目につ いて基準を設け、定期的な測定を求めることが考えられます。  それから、維持管理の在り方についてでございます。雑用水設備だけではなく、飲料 水系などについても同時に全体的・統一的に維持管理を行うことが必要であると考えら れます。建築物内に排水の処理設備を設けている場合には、当該設備の維持管理を適切 に行うこと。原水、処理水、雑用水の水量を常時把握し、雑用水の供給に不都合を来さ ないようにすること。原水槽、雑用水の貯水槽、給水管等の機能を定期的に点検し、必 要に応じ補修等を行うこと、といったことを雑用水について整理をさせていただきした 。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ここで一区切りをつけまして議論をいたしましょう。  給排水についてもこういったものが出てくる可能性があるわけですか。 ○事務局  今回は時間的な制約で用意しておりません。 ○吉澤座長  では、後ほどということになりますね。もしかしたら、書面審議になるかもしれませ んが、今の給湯及び雑用水の問題について何か御意見はございますでしょうか。 ○紀谷委員  それでは、何点か。まず、9ページですけれども、給湯水というふうにここに書かれ ていることは、これ自体はこのとおりでよろしいんですが、印象としてといいますか、 何となく中央式の給湯設備に加味しているような意味合いになるわけですが、今、問題 になっているのは、更に循環式浴槽とか温泉、こういう入浴施設が問題になっているわ けで、ここの表現だとちょっとそれが読み切れないかなという気がしますので、何か一 言必要かなと思います。  それから、11ページですが、4番目の段落の一番右側に「汚水」という言葉が入って いますが、この辺がいつも紛らわしくて困るわけで、汚水というのは便所系統の排水と いうふうに限定するか、下水道法で言うと汚水というと前に書いてある洗面排水も厨房 排水も冷却塔のブロー水もみんな入ってしまいますので、この辺用語に気をつける必要 があるかと思います。  それから、修景用水を入れていただいたのは結構なんですが、これは厚生科学研究、 前に公衆衛生院でやった報告書があるわけですが、その中で修景用水の中でもエアロゾ ルが発生するタイプと発生しないタイプという2つの分け方をしていまして、発生しな いタイプは必ずしも残留塩素まで考えなくてもいいかなという話もあります。この辺は 、慎重にやる必要があると思います。  以上です。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  循環式浴槽は、今回の議論の中には入るんですか、入らないんですか。 ○紀谷委員  別扱いでも。 ○坂上委員  ここで言うところの特定建築物に、循環式のそういう施設があるやなしやというとこ ろだと思います。それが、大変レアケースというか少なければ、そこまで盛り込むかと いう話もあります。しかしながら、将来の用途拡大、福祉施設とかを遠くにらんでいる とすれば、紀谷先生がおっしゃるように、実際に問題になっているのはそういう浴槽等 々ですから、それを今含めるかということもあります。これはもう少し検討しなくては いけないと思います。 ○吉澤座長  そうですね。ちょっとここではなかなか。 ○紀谷委員  別に入れなさいと言っているわけではないので。 ○坂上委員  それから、12ページに雑用水についての管理施設項目が載っておりますが、修景用水 で、ここでは水浴びみたいなことはするのかしないのかというのが1つあります。遊具 で使う修景用水というのもありますから、単に眺めるだけのものと2種類あります。そ れによって項目が違ってくるということがあるのと、それから、人の触れないもののエ アロゾルによって呼吸器に入っていくということであれば、問題はレジオネラの話です から、それは残留塩素でカバーできるかのかどうか、そういう御判断というのもお聞き したいと思います。 ○事務局  建物の中の水系施設であれば、基本的に直接的に積極的にその中で遊ぶということは 頻度としては少ないのかなと。要するに、エアロゾルの飛沫を浴びることはあっても、 積極的に水を浴びるような形での利用は少ないというふうには考えております。 ○坂上委員  レジオネラに対しては、残留塩素の管理を徹底するということですかね。 ○事務局  レジオネラだけに限らず、広く細菌類、微生物の汚染を抑制するということでござい ます。 ○吉澤座長  だけれども、これは建物の中だけではないですよね。敷地の中にあってもいいわけで しょう。そうすると、よそから子どもが来て水浴びをするというのはいつもあることで すからね。それは、すごく気にはなっていますね。 ○坂上委員  余りないとは思いますけれども。 ○吉澤座長  1つ可能性としてありますからね。やはり何か対応を考えておいた方がいいのではないかという感じはしますが。 ○坂上委員  通常は、そこに入ってはいけませんということをちゃんと看板等で表示しますね。 ○吉澤座長  よく新聞などで出ているでしょう。子どもたちが遊んでいると、夏になると。 ○坂上委員  あるいは団地などの遊具のために雑用水を使っている場合もあります。 ○吉澤座長  確かに、子どもたちは入って遊んでいますね。だから、やはり何か手を打たないとい けないという感じはしますね。ここでやるかどうかは別ですけれども。  ちょっと時間の問題がありますものですから、今の件に関してまた御質問があれば後 でも受け付けることにしまして、先に行きましょうか。 ○事務局  では、続きまして、13ページで清掃についてまとめてございます。清掃についての衛 生学的な意義ということでございますけれども、建物の中で発生するごみ、汚れ、ほこ りなどを除去して、生命活動の継続を確保するというものでございます。  現行の法令上の書き方は「適切な方法により掃除を行い、衛生的な方法により汚物を 処理すること」とされてございます。この「汚物」という表現については、先ほどから 御指摘があったところでございます。何点かまとめてございます。  まず、1つ目に、清掃の衛生学的な位置づけでございます。ごみを掃除することの意 義ということでございます。ごみが散乱したり、集積すると、ハエやゴキブリ、ねずみ といった衛生動物が発生するおそれがある。また、ごみが生活環境に存在すると、いわ ゆる浮遊粉じんという形で二次的に衛生上の害を及ぼすおそれがございます。こういっ たことから、建築物における衛生的環境を確保する上で清掃は重要だと考えられてきま した。  一方、最近では、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、このようなア レルギー性疾患の増加が指摘されてございます。国民の2割以上が何らかのアレルギー 性疾患に罹患しているといった報告がある中で、さまざまな物質がアレルギーの原因に なり得るところでございますけれども、中でも建築物内のほこりに含まれるカビの胞子 、ダニ、屋外から入ってきた花粉といったものが主要なアレルゲンとなることが考えら れてございます。  そういったことから、アレルギー予防という観点からも建築物の清掃の意義を位置づ けることが可能だと考えられます。  2番目に、汚物の名称についてまとめてございます。施行令では先ほど申し上げまし たように「衛生的な方法により汚物を処理すること」という記載になってございます。 この法令上の「汚物」という表現の使い方でございます。現在では、廃棄物の処理及び 清掃に関する法律という法律がございます。いわゆる廃掃法でございますけれども、こ の法律ができる前、古い法律で清掃法という法律があったわけでございます。この旧清 掃法の中では、ごみ、糞尿等を制限的に列挙して、これを汚物という概念で包括して用 いてございました。ところが、その廃棄物法ができるとき、いわゆる廃棄物の増加、そ れから、ごみと言われていたもの汚物類の質的な多様性が顕著となってきたため、汚物 という概念ではこのような事態への対応が不可能だということから、廃掃法の中ではご み、糞尿等を例示的に列挙して、汚物に加え不要物という概念を包括したものとして廃 棄物が定義されてございます。要するに、汚物と不要物を合わせたものが廃棄物という 定義が廃掃法上でなされてございます。  建築物清掃により発生するごみ等についても、現在ではその種類が多様化しているこ とから、「汚物」の代わりに「廃棄物」の用語を用いて、その適正な処理について規定 する必要があるかと考えられます。  次に、14ページでございます。廃棄物の保管設備等の維持管理の考え方についてでご ざいます。近年、資源循環型社会の構築に向けた法制度が進められているところでござ いますけれども、ごみも資源物としてリサイクルするための分別回収を排出者に義務づ けるための措置が講じられつつあります。廃棄物の分別収集や分別保管は、廃棄物保管 設備等における衛生害虫の発生あるいは悪臭の防止といった観点からも非常に重要なも のだと考えられます。  また、廃棄物の再資源化を促進するために、建築物内で廃棄物の再分別や圧縮、脱水 等の中間処理が行われることがございます。これらの作業に支障を来さないように、廃 棄物を適切に保管できるような廃棄物保管設備を設けるとともに、建築物における衛生 的環境を確保する観点から、当該設備における適切な維持管理が必要だというふうに考 えてございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  何かこの項に関しましてありませんか。 ○石塚委員  このとおりで結構でございます。 ○吉澤座長  また、後に引き継ぐことにしまして、時間の関係もございますので、次の「ねずみ昆 虫等の防除について」の項に進みましょう。 ○事務局  引き続きまして、ねずみ昆虫等の防除につきまして、15ページをごらんください。  ねずみ昆虫等の防除の意義ということでございます。これは従来、病原微生物を媒介 して人に感染症をもたらすおそれがあるといったことから、防除の必要性が重要視され てきました。現在、我が国では媒介動物が関与した感染症の発生が極めて少なくなって ございます。しかしながら、世界的には発展途上国だけではなく、米国といった先進国 においても、しばしば媒介動物が重要な疾病問題を惹起している現状がございます。  また、近年、建築物の大型化あるいは室内の温熱環境の向上に伴い、都市部において ねずみやゴキブリが増加していることが指摘されてございます。そういったことから、 建築物においても今後、疾病予防の観点からねずみ、昆虫等の対策に引き続き注意を払 っていくことが必要だと考えられます。  1番目に、IPM、総合防除についての考え方を書いてございます。前回御指摘がご ざいましたとおり、IPMの概念は、主として農業分野における害虫防除の体系として 発展してきたものでございますけれども、近年、建築物における害虫防除においてもこ の考え方が注目されてございます。  個別具体的な方法あるいは効果については、まだ不明確といいましょうか、対象種に よっては問題が指摘されていることもございますけれども、ねずみ、昆虫等の管理はI PMの考え方を取り入れた防除体系に基づいて実施することが適当だと考えられます。  2番目に防除の目的でございます。従来は、専ら病原微生物の媒介による感染症の発 生を防止するという観点から、ねずみ、昆虫等の防除が位置づけられてきたところでご ざいます。しかし、先ほど清掃の中でも申し上げましたように、アレルギー性疾患の関 係では、ダニなとがその主要なアレルギーになり得るわけでございますけれども、ダニ 以外にもゴキブリなどの昆虫がアレルギーの原因として指摘されてございます。そうい ったところから、アレルギー性疾患予防という観点からも、害虫の防除を目的の1つと して位置づけるべきだと考えられます。  それから、これは、本日の最初の方で議論になったところでございます。具体的な衛 生上の害を与えるわけではございませんが、人に不快感を与えて嫌われる害虫、いわゆ る不快動物についても、とらえ方によると広義には衛生動物に含められることがござい ます。しかし、被害の受け止め方に個人差があること、主観的な要素が強いということ から、建築物衛生法上で防除の目的に含めることはいかがなものかということを書かせ ていただいてございます。  それから、3番目、生息状況の調査についてということでございます。施行令におき まして、ねずみ、昆虫等については適切な方法により発生及び侵入の防止並びに駆除を 行うこととなってございます。しかし、時として殺そ殺虫剤を使用すること、散布する ことが、ねずみ昆虫等の防除であるというふうな解釈がされてございます。ねずみ、昆 虫等の生息状況等を十分調査した上で、殺そ殺虫剤を必要に応じて用いるのが本来のね ずみ、昆虫の防除の在り方でございます。  しかし、これらが誤解を招いている原因といたしまして、施行規則の中で、ねずみ、 昆虫等の防除を6か月以内ごとに1回、定期に統一的に行わなければならない、このよ うな規定がされていること。また、明確な防除基準が定められていないことから、防除 業者あるいは利用者の方が昆虫等の発生をゼロになることを求める傾向があることが指 摘されます。  ねずみ、昆虫等は環境によって繁殖要件が異なること、また、防除の必要性も異なる ことがあることから、建築物全体を統一的に防除を行う必要はないのではないかと考え られます。むしろ、ねずみ、昆虫等の生息状況を定期的・統一的に調査することが重要 であり、調査結果に基づいて必要に応じて防除を行うこととするべきであると考えられ ます。すなわち、法令上、防除作業を現行のように6か月以内ごとに1回定期的にやれ と明記するのではなく、生息状況の調査の実施について定めることが必要ではないかと 考えられます。この場合、具体的には、例えば25℃で孵卵したゴキブリの幼虫が約50日 で成虫となること。また、その1か月後には成虫が次の卵を産卵し、2か月の期間でゴ キブリが繁殖するということから、2か月以内ごとに1回の頻度での調査の実施を求め るということがあり得るのではないかと考えられます。  それから、薬剤の使用上の注意でございます。これも、本日の最初の方で申し上げま したけれども、薬剤の適正な使用についての社会的な関心が高まっている状況にござい ます。調査により、生息状況等を確認した上で、必要不可欠な場合に必要な区域に対し て適切な薬剤を適量使用する、そういったことに対する関係者への普及啓発が必要であ ると考えられます。  建築物におけるねずみ、昆虫等の防除作業におきましては、殺虫剤は医薬品または医 薬部外品が通常使用されてございます。しかし、極めて例外的なケースだと思われます けれども、毒物劇物取締法に基づく毒物・劇物に相当するもの、要するに、急性毒性が 強い化学物質の原体を適量希釈して用いるような業者があることが指摘されてございま す。このような使用法は、建築物の使用者・利用者に対する安全が確保できないことか ら不適当だと考えられます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  いかがでしょうか。 ○田中(生)委員  よく整理されていると思います。2つだけ意見を言わせていただきたいんですが、1 つは、先ほどの不快の問題です。これはお話しするとまた蒸し返しになりますから、私 もするつもりはございません。ただ、例として非常に面白いなと思ったのは、昨日ねず みの会合がありまして、自治体の方が実態報告をしたんです。東京23区内なんですが、 大変多いようです。ねずみに対する問題点は何かと質問したら、1つは騒音、もう一つ は、不快感と恐怖感だというんですね。恐怖感とは何かと聞いたら、私も信じられない ような例を挙げたんですが、ある女性が家に入ろうとしたら玄関にねずみがいた。恐怖 心で家に入れなくなって、携帯電話を通してすぐに保健所に電話が来たそうです。つま りこれは1つの典型的な例ですけれども、全体的にそういう問題が非常に増えています から、ビルの快適性が何かという最初の問題に返ったときには、なるべく早目にこうい う問題も何らかの形で取り入れていく必要があるのではないかと思います。  次に、16ページのところにありますように、IPMで防除を進めいく上で一番必要な のは維持管理基準です。この維持管理基準を設定をしないと、求めるところが常にゼロ になってしまいますから、なるべく早い時期に設定をしてほしいというのが、私の意見 です。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  不快を建築物衛生に含めるのは不適当であると書いてあるんですけれども、これは人 への影響の中で大事な心理的な影響だと思うんです。今後は、いわゆる病気などという のはもってのほかでありまして、やはり心的影響も含めなければいけないのもあります し、ビル衛生管理法はその辺をむしろねらっていたということだと思うんですけれども 、ですから、初めから建築物衛生法上の問題としては不適当だと言わないで、やはりそ ういった心理的な影響も今後は考えに入れたものをしていただきたいという、これは、 私としてはむしろ強くお願いしたいと思っています。多分、それは今の田中先生のおっ しゃったこともそういうことだと思うんですね。 ○田中(生)委員  私も、まさにそういう趣旨だったんですが、現実的な問題としては、ねずみ昆虫等の 防除という表現でかなり網羅されるだろうという気がいたします。しかしながら、ビル 管理法の趣旨からいって、人間の健康とか不快という問題は、やはりどこかでいずれ、 ほかの分野も含めて取り入れていかざるを得ないのではないかというふうに考えていま す。 ○事務局  現行の病原微生物の媒介となるという可能性から整理されている動物種以外に、建築 物の中に侵入してくるような動物種といったものに対する防除の方法といいましょうか 、殺虫剤の使用については、現行では余り知見がないのかなというふうには思われるん ですけれども。 ○田中(生)委員  ユスリカやチョウバエなど知見が充分でないものも多くありますが、現実にはここに 出ています医薬品、医薬部外品、それから、清掃等で対処できると思います。 ○吉澤座長  よろしゅうございますか。  それでは、あと2点あるんですね。これを説明してください。 ○事務局  17ページに、特定建築物の10%除外規定ということで整理をさせていただいてござい ます。  これは、先ほど若干、特定建築物の範囲についての御意見が出ましたけれども、法律 の第2条において、特定建築物とは「興行場、百貨店、店舗、事務所、学校、共同住宅 等の用に供される相当程度の規模を有する建築物で、多数の者が使用し、又は利用し、 かつ、その維持管理について環境衛生上特に配慮が必要なものとして政令で定めるもの をいう」と定義されてございます。これを受けて、施行令の第1条において建築物の用 途、延べ面積等により特定建築物が定められてございます。  この法律の制定時におきましては、最初の1ページ目に書いてございましたとおり、 建築物全体を同一の基準で維持管理をするということ、すなわち建築物の統一的管理性 あるいは全体性が規制の前提とされてございました。そういった観点から、特定建築物 の全体あるいは大部分を同一の基準で規制するためには、一般的な衛生規制になじまな い他の用途部分がある程度以上存在しないことが必要だという理由から、特定用途以外 の用途に供される部分の延べ面積が特定用途に供される部分の延べ面積の10%を超える 建築物は、法規制の対象から除外されております。  しかしながら、近年、建築物の大型化・複合用途化が進んでおり、上記規定により、 特定用途部分の延べ面積が極めて大きい場合であっても法規制の対象とならない建築物 が増加している状況にあること。平成9年度に実施された調査の結果、10%の除外規定 を受けた建築物におきましては、空気環境の調整、ねずみ、昆虫の防除等の項目におい て不適合率が高いということが指摘されてございます。建築物全体を統一の基準で管理 するという統一的管理性あるいは全体性の考え方は、建築物の維持管理の実態に必ずし も合致しておらず、この考え方に基づいた特定建築物の除外規定は合理性を欠いている とも考えられます。このようなことから、従来、法規制の対象外にあった10%除外規定 適用建築物に対しても、法規制の対象とすることが必要ではないかということでござい ます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  次もついでに行ってしまいましょう。 ○事務局  これも、この検討会で御意見が出されている空気調和設備、給排水設備等の性能検証 についてでございます。  建築物における衛生的環境を確保する上で、空気調和設備、給排水設備等の設備シス テムの維持管理を適格に実施することが重要でございます。このような建築設備システ ムの性能の向上を図るための手法として、近年、コミッショニングという考え方が注目 されてございます。  コミッショニングの概念あるいは具体的な方法については、現時点では研究段階でご ざいますけれども、建築物衛生法の体系の中でコミッショニングの考え方を衛生的環境 の確保という観点から取入れを検討することが可能ではないかということでございます 。  特に、竣工時の設備性能検証により、設備の初期性能を把握することができれば、日 常の維持管理に当たって有用な情報を得られること、経年使用による性能劣化の診断が 容易になり、建築物の衛生的環境の向上に大きく寄与することが考えられます。  しかしながら、検証を実施するとなった場合に、経済的負担に関する考慮も必要とな ります。そういったところから、建築物衛生法の体系上これを導入する場合には、建築 物における衛生的環境の確保のために必要な最小限の項目を行うとすることが適切であ ると考えられます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ただいまの2つの問題に関しまして御意見をお願いします。 ○石塚委員  17ページの方ですが、先ほども私から議論を出した件ですけれども、特定建築物の対 象範囲を今後広げていく必要があるのではないかということを考えておりますので、こ の10%除外規定は今後、是非、見直していただくようにお願いしたいと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。  ほかにございますでしょうか。  ちょっとコミッショニングのことについて私の方から。一番最後に「建築物衛生法の 体系上これを導入する場合には、建築物における衛生的環境の確保のために必要な最小 限の項目に限定すべきである」と書いてあるんですが、これは言ってみれば差し当たっ てでしょうね。これは、使うという立場からの建築の性能というものを確保するために 非常に大事なことなんですね。ですから、そういった意味で、つくる側の方の技術やや り方についても大変に影響を与えますので、やはりこういったものはなくてはならない と思っています。ただ、ここにも書いてありますように、すぐにやりますといろいろと トラブルが起きますので、差し当たってはこういうことなのであって、ほかのことはま た別に検討しなければいけないということだと思うんですけれども。勿論、経済的なこ ともあります。でも、それはもしもオーナーさんが、支払うべき経済的な負担よりかも っと大きな利益が得られるとしたらならば、可能性は高いですよね。そういったことも 含めまして、これはビル衛生管理法の非常に大事な面だというふうに考えているわけで す。一番最初からこういったことはあったんですけれども。 ○紀谷委員  今のお二方の話を更に強調するような意味になるんですが、確かに、今、吉澤先生の おっしゃったように、こういったようなことは設計者がちゃんと処置をしておけば後は できるということになるんですけれども、残念ながら、設計者はそうやっていなかった からビル衛生管理法の存在意味があったということで、逆に、今、世の中では維持管理 がうまくできるようにあらかじめつくるべきだという議論展開になってしまっているわ けですね。ですから、そういう点では大変重要なので、余りしり込みする必要はないの だろうと。  それから、10%規定も現実にこれは悪用している人がいっぱいいるわけで、10%以上 つくってしまえばビル管法も外れるということで、わざわざそういう部分をつくってい るという設計者もいるわけですから、そういうところをきちんと押さえる意味では、も うちょっと頑張る必要があるかなという気がいたします。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。10%の問題については、最初から私も理解できなくて、なぜああ いうものがあったのかというのはわからなかったんですが、確かに、余り意味がないよ うな気はしているんですけれども。ですから、差し支えなければ、やはりやめてしまっ た方がいいのではないかという感じは持っています。 ○紀谷委員  これは、一番最初の区域別管理で処置できれば大分違うと思います。 ○吉澤座長  あともう5分しかないのですが、スケジュール的にはどうなりますか。この資料につ きまして、これは最終報告の骨子になります非常に大事なことなのですが、各委員の先 生方から御意見をいただいて、それを基にして修正したものをパブリック・コメントと して公表することになるわけですか。 ○事務局  先ほど先生から御指摘がございましたとおり、この資料の位置付けでございますが、 本日いただいた意見、それから、本日また御欠席の先生方にも見ていただきまして、手 を入れていただいて、それを今月末を目途に一般の方々から意見をいただくという手続 ができればというふうに考えてございます。 ○吉澤座長  先ほど私が提案いたしました、そのような形で持っていけたらいいなと思ってはいる んですが、ですから、ある程度の時間の区切りをつけまして先生方からの御意見をお願 いして、それをどうするんですか。それは、事務局の方でまとめていただいて。 ○事務局  先生方から事務局の方に意見をお寄せいただきまして、それを座長の吉澤先生とまた相 談をさせていただいて、パブリック・コメントといいましょうか意見募集という形で厚 生労働省のホームページに意見を求めると。 ○吉澤座長  それに関して、この骨子と非常に大きく変わったとか何かがありましたならば、もう 一遍、先生方の会合をお願いしようかと思いますが、もしもそうではなくて、微小なり 割合に軽微な修正で済むならば、私が判断すればそういうふうに持っていきたいと思う んですが、いかがでございましょうか。 ○坂上委員  一任いたします。 ○吉澤座長  それでは、直接、先生方の御意見をよくお聞きになってください。 ○事務局  わかりました。 ○吉澤座長  ですから、是非ともパブリック・コメントでは広く皆様方からの御意見というのをお 聞きしたいと思っています。 ○坂上委員  そうしますと、意見がある場合は3月末までに提出すればいいわけですか。 ○事務局  もう少し早めに御意見をお寄せいただければと思います。 ○田中(生)委員  それは、今日出した意見以外という意味ですね。 ○事務局  今日出した意見は踏まえさせていただきますので、それ以外にもございましたら、事 務局の方にお寄せいただければと思います。 ○生活衛生課長  場合によりましては、今日いただいた意見をペーパーでいただけるのであれば、いた だいても結構でございますし。 ○吉澤座長  その方が楽ですよね。ですから、事務局の方でまとめやすいような形で出していただ ければ、それは確実ですし、積極的にやっていただきたいと思います。  日程調整は後でしていただくんですね。 ○事務局  次回の開催につきましては5月の中旬から下旬ぐらいに掛けてを1つの目途として考 えてございます。  後ほど日程調整表をお渡しさせていただきますので、都合のいい日に印をつけてお返 しいただきたいと考えております。 ○吉澤座長  それでは、今日はこれでよろしゅうございますか。  今日は長時間どうもありがとうございました。今後もまたよろしくお願いいたします 。 ○事務局  どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省健康局生活衛生課 林(2434)、小林(2432)