02/03/05 薬事・食品衛生審議会薬事バイオテクノロジー部会 平成14年3月5日議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事バイオテクノロジー部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年3月5日(火) 10:30〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(11名)五十音順   甲 斐 知恵子、 小 池 克 郎、○堺   春 美、 澤 田 純 一、   島 田   隆、 清 水 慶 彦、◎首 藤 紘 一、 西 島 正 弘、   早 川 堯 夫、 星   北 斗、 山 口 照 英 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順   入 村 達 郎、 関 水 和 久、 山 口 成 夫 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、   北 條 泰 輔(医療機器審査管理官)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理官 それでは定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生 審議会薬事バイオテクノロジー部会を開催させていただきたいと思います。  本日は部会委員数14名のうち11名の先生方に御出席をいただいておりますので、定 足数に達しておりますことを御報告申し上げます。先生方には大変お忙しい中、部会に 御出席いただきまして誠にありがとうございます。  それでは以後の議事進行につきましては、首藤部会長にお願いしたいと思いますので、 よろしくお願いいたします。 ○首藤部会長 それでは薬事バイオテクノロジー部会の本日の審議に入りたいと思いま すが、その前に資料の確認を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 それではお手元にございます当日配付資料の御説明をさせていただきます。  一枚紙で議事次第、座席表、それから資料2の差し替えということで「ヒト化抗HI Vモノクローナル抗体」、これは一枚目だけが多少変わってございます。それから「参 考」といたしまして「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関す る指針」について、それから「説明資料」といたしまして、「J-TEC-01(自家培養表皮) 概要」でございます。それから各先生方から今回コメントを頂いておりまして、「コメ ント綴り」というものを御用意させていただいております。  なお事前の送付資料でございますけれども、審議資料といたしまして分厚いものでご ざいますが、資料1として「細胞・組織を利用した医薬品等の品質及び安全性の確認に ついて・J-TEC-01(自家培養表皮)」、それからその報告書ということで、資料1-1を準 備させていただいております。  以上でございますが、お手元にない資料がございましたらお申し出ください。 ○首藤部会長 大丈夫でしょうか。いつもこうやって資料の確認を受けても分からない のですが、また後でないところがありましたら、申し出てください。それでは審議に入 りたいと思いますが、本日は審議事項として「細胞・組織を利用した医薬品等の品質及 び安全性の確認について・J-TEC-01(自家培養表皮)」が1件、それから報告事項として 「組換えDNA技術応用医薬品に係る製造計画の確認について・ヒト化抗HIVモノク ローナル抗体」が1件でございます。  まずは審議事項の議題について、事務局から御説明いただきます。 ○事務局 それでは御説明をさせていただきます。まず最初に確認まででございますが、 「参考」という一枚紙で指針の位置付けについて簡単に御説明をさせていただきたいと 思います。  一番最初に「1.目的」でございます。今回確認申請として出てきておりますこの指針 に合っているかどうかの御適合をお願いをするわけでございますが、本指針は、ヒト由 来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療用具の品質及び安全性の確保のために必要な 基本的要件を定めたものでございます。製造業者又は輸入業者は細胞・組織加工医薬品 等の安全性及び品質の確保を期すために、当該医薬品等が本指針に適合していることの 確認を厚生労働大臣に求めることとなってございます。  内容でございますが、「品質及び安全性」ということで製造方法、安定性、非臨床試 験、臨床試験でございますして、この場合の臨床試験はあくまでも外国における開発状 況等がある場合ということでございます。  指針の位置付けでございますが、一般的な流れということで一番最後に図が書いてご ざいます。非臨床試験等が行われたそのデータを基に今回の確認申請がなされまして、 本日のバイオテクノロジー部会で品質及び安全性について御審議をいただくということ になります。この部会での御審議の結果、次の段階に進んでいいということになります と、これは臨床研究ではなく薬事法に基づく申請のための治験ということで治験の開始 が認められるということでございます。この治験のデータ等をベースに承認申請がなさ れまして、再度薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会、あるいは第二部会の方で審議が なされるといった形になっております。こちらが今回の指針の全体の流れでございます。  それでは品目の御説明に入らせていただきたいと思いますが、二枚紙で2枚目に写真 が付いている「説明資料」を御覧ください。「J-TEC-01(自家培養表皮)概要」というも のを簡単にまとめさせていただいております。  今回の品目は「J-TEC-01(自家培養表皮)」ということで、申請者名といたしましては 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)でございます。  製品の概要でございますが、J-TEC-01は患者自身の皮膚を原材料として用いるもので あり、自己由来のものでございます。患者自身の皮膚組織から分離した表皮細胞を培養 し、シート化した自家培養表皮ということでございます。本品は移植による免疫拒絶反 応を引き起こさず、永久生着をさせることにより治療を行うことを目的としておりまし て、対象疾患といたしましては深達性II度熱傷及びIII度熱傷を予定しております。  次は「4.適用法」ということで簡単にまとめたものでございます。まず医療機関で術 前検査をやっていただいて組織を採取すると。それをJ-TECに輸送していただいて、 J-TECの方で受入基準等への適合性を確認した後、培養(製造)して医療機関に再度輸送 をし直し、移植を行うというものでございます。  今回特に課題となります製造方法を「5.」として簡単にまとめてございます。上皮細 胞懸濁液の調整ということで、培養の段階でヒトの組織を消毒いたしまして、真皮層と 上皮層を剥離しトリプシン処理等で初代上皮細胞の懸濁液を得ると。この細胞につきま して、播種及び培養をいたします。その後継代をしてシート化をするということでござ います。これが製品の概要でございまして、2枚目に具体的にイメージしていただくた めの外観の写真あるいは製品容器、密封包装といったものの例を載せてございます。  それでは次に細胞・組織利用医薬品等検討小委員会の「報告書」の概要を御説明させ ていただきます。資料1-1を御覧ください。この小委員会でございますが、本日御出席 の早川先生に座長をお務めいただいておりまして、また清水先生、山口先生も小委員会 の委員という形になってございます。  品目名はJ-TEC-01、申請者名は株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングで ございます。小委員会は三度開かれておりまして、平成13年7月、8月、10月に御審 議をお願いしております。この報告はそれをまとめたものでございます。  「調査の概要」の「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況」でございます が、最初の3段落に予定効能となる熱傷治療の現状などが書かれております。まず現時 点での患者数でございますが、年間約2,000〜3,000人ということでございます。全熱傷 面積が30%を超えると急激に死亡率が増加、高齢者では20%でも非常に危険であるとい うことでございます。  現在の処置といたしましては、大量輸液による循環血液量及び電解質の維持並びに敗 血症防止のための感染症対策ということで、このために特に早期に創を閉鎖することが 望まれるということでございますが、現時点の問題点といたしまして、広範囲の重傷熱 傷のような場合は全層皮膚欠損といったものがあるということでございますので、自家 皮膚移植片の量は不十分であり、移植片不足の解決のためにパッチグラフト(自家皮膚移 植片を小さくして間隔をあけて植皮)やメッシュグラフト(網目状に伸展して植皮)とい った行為が行われております。また組織が足りないということもございまして、自家皮 膚移植片の上へ同種皮膚を重ねて移植する「混合植皮術」といったものも行われており ます。同種の場合につきましてもその皮膚の必要量を確保するのは容易ではなく、また 同種皮膚からの感染症のリスクの問題もあるということで、現在再生医療技術を利用し たこういった自家培養表皮の供給・普及が非常に望まれているという状況でございます。  1ページの一番下段でございますが、自己由来製品の起源あるいは臨床研究が各国で 行われておりまして、ここからその概要をまとめております。  培養表皮は1975年にハーバード大学医学部のGreen教授らによって報告されまして、 わずか切手大の皮膚片から大量の表皮シートが得られるようになったというものでござ います。この培養表皮はマウス胎児由来の線維芽細胞でございます3T3-J2細胞をフィー ダーとするもので、「Green型培養表皮」と呼ばれ、1981年に米国において初めて熱傷 患者に移植され、1984年には全熱傷面積95%以上の広範囲熱傷患者に適用され救命され て以来、欧米並びに我が国でも臨床応用が注目されてきております。本品もこのGreen 型培養表皮の一部でございます。  今御説明をいたしましたが、中段に同類の製品の外国等における状況が書かれており ます。Green型培養表皮の製品化につきましては、米国においてはBio Surface社(現 Genzyme Biosurgery社)の「Epicel」という製品で1988年に市場導入がされております。 本邦においてはまだ承認あるいは製品化されているものはございませんが、1985年に Green教授らの方法に準じて作製した「Green型培養表皮」が本邦で初めて臨床研究に使 われまして、その後各種の研究がなされている状況でございます。  株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングにつきましては、名古屋大学ある いはハーバード大学医学部といったところの協力あるいは指導を受けて、Green型培養 表皮の作製技術の確立、それから製品化において重要と考えられる製造管理(安全管理・ 品質管理)システムを構築して、今回の製品でございますJ-TEC-01を開発してございま す。  次に3ページに移っていただきまして、「2.製造方法」でございます。製造方法の概 略ということで先ほど簡単に御説明させていただきましたが、治験施設において通常の 外科的手技に従って原材料として真皮層を含む皮膚組織を約1cm2ほど採取して組織運 搬用チューブ内で輸送をすると。J-TEC社で消毒後、トリプシン処理等をして初代上皮 細胞の懸濁液を得るということでございます。この上皮細胞につきまして、この足場と なりますマイトマイシンCで処理した3T3-J2細胞(フィーダー細胞)上に播種して培養 し、その後継代を行います。継代回数につきましては上限を□回としておりまして、目 的の面積に達するまでこの継代操作を繰り返すということでございます。最終継代にお いて上皮細胞がコロニーを形成した後も培養を継続しまして、コンフルエントの状態を 経てシート化を行い製品化をいたします。  それでは次に「3.原材料となる細胞」でございます。原材料は患者自身から得た正常 組織ということでございまして、疾患部の近傍であること等の目視選定基準で採取した 皮膚からの上皮細胞でございます。  次に「4.細胞以外の製造原材料」ということで、三点ほど書いてございます。特に生 物由来ということで注目されるものについてまとめてございます。先ほどお話が出まし た足場となるマウス3T3-J2細胞につきましては、本細胞株の樹立者から直接分与を受け たものでございまして、入手したマスターセルバンクから起算して□継代を超えない範 囲で使用するということでございます。こちらの分与を受けた3T3-J2細胞の作製方法あ るいは3T3-J2細胞の特徴・性質につきまして、分かりやすくまとめたものがこの報告書 の9ページにございます。9ページを御覧いただきますと図1が作製スキーム、表1に 3T3-J2細胞セルバンクの検討項目といたしまして、必要な検査をしてございます。こち らの左側に書いてございますように、「□□□□□□□□」、「□□□」、「□□□□ □□□□□」、「□□□□」、「□□□□□□□□□□□」、それから「□□□□□□」 ということで、これは厚生労働省の通知に基づいた形での試験がなされているところで ございます。  それでは恐縮でございますが、元に戻っていただきまして4ページでございます。そ のほかこの製品につきましては「(2)動物由来原料」ということで、ウシ由来原料とし てウシ胎児血清、ウシアルブミン、ウシ血清といったものを使ってございます。こちら につきましてもBSE非発生国を原産国としており、放射線照射によるウイルス不活化 並びに各種ウイルス検査の実施したものを使用しているということでございます。その ほか「(3)動物由来成分を用いて製造される原材料」につきましては、こちらの関係通 知に基づいた対応を採っているところでございます。  それでは次に「5.製造工程及び最終製品の管理」でございますが、これも10、11ペ ージに図がまとまってございます。10ページの「検査工程フローチャート」でございま すが、こちらの流れ図に従って「受入検査」、あるいは「工程検査」、「出荷検査」と いうものがされております。最も重要なのは中段の「出荷検査」の部分でございまして、 「□□□□□」あるいは「□□□□□□□□□□□」、「□□□□□□□□□」、「□ □□□□□□□」等がなされてございます。  それでは元に戻っていただきまして5ページでございます。そのほか有効性に関わる 品質試験として、これは今後検討するということでございますが、生細胞率規格値設定 の検討を今後治験の中で行っていくことを考えております。  それから「6.安定性」でございますが、J-TEC-01について試験を行った結果、設定 温度条件内において4日間以上の安定性が確認されております。この「設定温度条件内」 というのは13〜37℃でございまして、安全域を考慮して貯法条件を13〜37℃、有効期限 を2日間ということで設定をしてございます。  また「7.前臨床試験等」につきましては、特に重要なものをここに書かせていただい ております。一番最初は足場となる「フィーダー細胞の残存性」ということでございま す。フィーダー細胞は基本的には上皮細胞のコロニー同士が接触してコンフルエントに 至る過程で脱落するということでございますが、フィーダー細胞の製品への残存を測定 する試験として□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を行っております。 移植床とは接しない外側にフィーダー細胞の点在が認められてございまして、残存率は □□□□□□□□□%ということでございます。  それからこの場合、添加物が使われてございます。「添加物の存在許容量及び安全性 評価」につきましては最終製品1シート当たりの濃度が検討されておりまして、□□□ □□、□□□□□□、□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□、マイトマイシン Cといったものについての検討がなされております。ここでマイトマイシンCにつきま して若干補足させていただきます。マイトマイシンCはフィーダー細胞となる3T3-J2の 増殖能をなくすために上皮細胞を播種前に3T3-J2に対して処理されるものでございま すが、処理後の洗浄等の過程によりマイトマイシンCの残量が急激に減少すると考えら れます。想定値でございますが、上皮細胞播種時の培地中のマイトマイシンの残存量は およそ無反応程度と考えられておりますことから、一応安全性上の問題はないのではな いかという結論が得られてございます。  それから上皮細胞培養における継代回数の限界確認試験がなされておりまして、□回 までの継代であれば大丈夫だろうという結果が出ております。そのほか「□□□□」と いうものが行われております。□□□□につきましても一部問題がございまして、後ほ ど小委員会の議論のところで御説明をさせていただきます。  次に「8.製造施設及び設備」でございますが、これはハード、ソフトの両面でGMP に準拠して管理されているというところでございます。  それでは7ページに移っていただきまして、「9.臨床試験成績」でございます。J-TEC 製のGreen型培養上皮につきましては諸外国も含めて臨床試験はございませんが、本品 と類似のGreen型培養上皮につきまして、欧米において1,000例を超える移植が実施さ れているということでございます。米国では、1988年から広範囲熱傷及び先天性母斑を 対象疾患として製品化がなされているということでございます。国内でのGreen型培養 上皮の臨床応用は複数施設で実施されておりまして、今のところ、真皮への良好な生着 性が報告されてございます。  「10.治験計画」は今後の治験計画でございますが、深達性II度熱傷及びIII度熱傷とい ったものを対象といたしまして培養上皮移植を行い、その後生着率について検討するオ ープン試験を実施することとしております。  それから最後でございますが、「11.小委員会における審議経過」ということで六点ほ ど小委員会の方で特に議論になった点がまとめられてございます。安全性に関して四点 ということで、(1)のマウス3T3ーJ2細胞セルバンクに対してウイルス試験などをしっか りやっているかということ。これにつきましては先ほど申し上げたとおり、各種の試験 が通達に基づいて行われているという確認がなされてございます。それから(2)のウシ等 動物由来原料についても適切になされているということでございます。(3)の培養工程に おける上皮細胞の遺伝的安定性ということでございますが、これは□□□□を行ってお りまして、5例中1例に□□□□□□□□が観察されたということで、これが培養工程 に由来されるものかどうかという検討がなされてございます。こちらの結果といたしま して、採ってきた患者さんが先天性□□□□□□□で、□□□□□□□□□が観察され たと。こういった患者さんの中から報告があるので提供組織由来のものではないかとい うことでございますが、今後の治験の中で更に分析をしていくとしております。  それから8ページに移っていただきまして、安全性の(4)として申請品中の細胞の種類 ということで、上皮細胞以外の細胞についての評価でございます。こちらはGreen型培 養上皮の文献的な調査を行いまして抗原発現細胞は存在しないこと、それからメラノサ イトでは1/14〜1/412の範囲で存在するということが報告されていると。このメラノサ イトについては、今後実際の治験のときに含有量の測定を行い、品質規格としての設定 の必要性を含めて検討するということでございます。  それから品質についても二点議論がございまして、出荷にかかる品質規格ということ で、□□□□、□□□□、□□□□といったものを業者としてはやるというようなお話 でしたが、小委員会の過程の中で□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□、□□ □□□□といったものも必要ではないかということで、□□□□□□□□□□□□□□ □については実施をすると。それから□□□□□□については、今後治験の中でその必 要性も含めて検討をしていくという結果が得られてございます。  それからもう一つ、フィーダー細胞の残存についてということでございます。少量で はあるが存在をするということで、治験時には十分な治験参加者への説明を行って移植 後のアレルギー様症状を観察することで安全性の確認をしたいということになっており ます。  少し長くなりましたが、以上結論といたしまして、小委員会の方では薬事バイオテク ノロジー部会に上程することで問題はないということでございます。以上でございます。 ○首藤部会長 どうもありがとうございました。大分分かりやすく説明していただいた 気がいたします。これの報告書をまとめたのが「細胞・組織利用医薬品等検討小委員会」 というところでございますが、座長の早川先生からちょっと追加のコメントがございま したら、お願いいたします。 ○早川委員 特に追加ということではございませんが、今御説明いただきましたように、 これは再生医療技術を利用した自家培養表皮の供給・普及が望まれているという背景の 中で、このものが自家移植でありますので、採取から培養移植に至る間の品質・安全性 確保の問題がポイントであろうということで審議をさせていただきました。  主な議論のポイントは、先ほど御説明がございました品質・安全性に関する六点でご ざいまして、メーカーにコメントをさせてやりとりをしたということでございます。こ の「Green型培養表皮」というのは国内、欧米に使用経験がございまして、国内では既 に100例程度、諸外国でも1,000例を超えるということでありますし、重度熱傷が広範 囲な熱傷を対象としているため救命的な位置付けもあるということ。更にこの申請が治 験を実施する上での品質・安全性の確認であり、これが直ちに承認されて広く一般的に 用いられるというものの審議ではないということも含めまして、現在の水準ではインフ ォームド・コンセントを適切に行えば、治験を実施することについては了承できるであ ろうと判断いたしまして、部会に上程させていただいたということでございます。 ○首藤部会長 どうもありがとうございました。今回、審議が早く済むようにというこ とで、既にコメントを幾つかいただいておりまして、「コメント綴り」というものがお 手元にあると思います。小池先生、島田先生、本日御欠席の入村先生からの三つがあり ますので、まずこれからやっていこうかと思います。まず小池先生の方から御説明いた だけますでしょうか。 ○小池委員 私からは四つほどコメントしたのですが、最初のコメントは実際に移植し た細胞の「生着率」と言うのでしょうか。資料の中にはたしか途中の進行段階の患者さ んの様子か何かが書いてあったと思うのです。これは私が直接そういうものを見たこと がないのでよく分からないのですが、実際に移植した細胞がどれくらい残っているのか と。全部残っているのか、それとも最終的にはなくなってしまっているのかというよう なことは調べられているのかということも含めてのコメントです。  それからコメントの2番目は、一連の操作で表皮細胞に形質転換が起こっていないか どうか何か確かめることを行っているかと。もし行っているのであればその方法は何か ということ。  3番目は、今のお話を伺うと自家移植というのが非常にはっきりしているので、これ は余りコメントにならないかもしれません。  4番目が3T3-J2細胞の使用ということで、この受入はGreen教授のところからもらっ た3T3細胞と…、Green教授は細胞屋さんですから非常にしっかりしていると思います が、3T3細胞にはいろいろな系統があるのでこの3T3-J2に限定していることなのか、そ れともほかの3T3細胞でもそういうものはこういうことに使用できるのかどうかという ことです。  一つ私が分からなかったのは、今のお話の中で3T3細胞についてのチェック項目とい うものがあって、マスターセルバンクともう一つ隣に並んでいる「+」「−」で書かれ ているものがありますが、この「+」「−」の意味というのはこういう試験をやります よということで、結果が「+」とか「−」などという意味ではないのですね。そういう ことも併せてお願いいたします。 ○首藤部会長 いろいろありますが、事務局から御説明できるのでしたら最初にやって いただきましょう。それで補足していただくところがございましたら、小委員会の早川 先生にお願いいたします。 ○事務局 それでは審査センターの方から御説明させていただきます。小池先生の1番 目の御質問の「培養皮膚の生着」という指標でございますが、基本的には定量的なもの や客観的なものというのはかなり難しいところがございます。しかしながら、皮膚の専 門医の方々には一般的なものでございまして、移植面積に対する生着範囲などをその割 合という形で示すようなことでございます。審査センターが治験に関する相談を行って おりますが、詳細に関しましては十分確認させていただきたいと考えております。  2番目の御質問のバイオ表皮の形質転換については、会社の方で□□□□□□□□□ □□□□を実施しているところでございます。実際お手元の添付資料19-1の方で報告が されておりますが、上皮細胞の方での形質転換は認められなかったという結論を確認し ているところでございます。  3番目は先ほど小池先生の方で御了解していただけたかと思いますので、省略させて いただきます。  4番目の御質問でございますが、会社の方は実際Green教授の所から入手した 「3T3-J2」という細胞を用いているわけでございますが、分与された細胞株を使用する に当たりまして、9ページの表1でございますが、その安全性については小委員会の報 告では実施してネガティブであるという確認がされているわけでございます。「+」と いうのは実施したという内容でございますので、御了承いただきたいと思います。管理 に至りましては、マスターセルバンクを作製して一般的なセルバンク管理を行うという ことをしております。また実際の製造に関しましてはワーキングセルバンクからそれを 解凍し、設定した継代回数を超えて培養した細胞についても同様の確認を行っておりま して、ワーキングセルバンクにおきましては、解凍後□□□□□□□□□□□□□□□ □を毎回実施して完了しているということを実施しております。  もう一点でございますが、「3T3」という細胞の性質がいろいろあるかと思います。文 献的なところでございますが、3T3-J2以外の例えばNIH/3T3等に関しましては、同様の フィーダーの細胞としての効果があると聞いているところでございます。実際NIH/3T3 と比較をするといいますか、増殖の比較等を行った経験によりますと、J2の方がコロニ ー形成時間あるいはコロニーの大きさに関しては、有意に優れていたと聞いております。 以上でございます。 ○首藤部会長 1番目の点については難しいところもあるけれども、評価はポジティブ の方向であるということなのでしょうか。これは一番最初に御説明いただいたように、 この委員会は「本指針に適合することが確認された場合、薬事法に基づく治験が実施さ れる」ということでありまして、そういう立場からここでもいろいろ御議論いただいた 方が有効だろうと思いますが、小池先生、今の事務局の説明で何かございますか。 ○小池委員 ほとんど問題はないと思います。一番目について実際にそういうシートを 造って貼り付けて、それがどういうふうになっていくのかというのを目で見たことがな いのでクエスチョンなのですが、皮膚細胞が増殖していくときには、その周辺が増殖し ていくということでいいのですか。貼り付けたシートの周辺が増殖していって周りを覆 っていくという…。 ○事務局 私も実際には見たことがないので難しいのですが、移植した移植片自体がま ず生着しまして、それが周りに広がっていくと。生着ができませんと、その植えたもの 自体が溶けてしまうというふうに聞いております。それが定量的に生着しているかどう かを評価する方法が客観的にといいますか、しようがないので5日目ぐらいに専門家が 上に貼ってあります創傷被覆剤等を一度はがして、目視で生着しているかどうかを確認 すると。それで貼った面積に対して目視でどの程度が生着しているかを評価していくと いうことでございます。現実的には治験の相談はこれから実施することになりますが、 その中で治験の施設又は実施医師によってその辺の評価がばらつかないように、どんな ふうに取決めができるのか慎重に相談に乗っていきたいと考えております。 ○小池委員 どうもありがとうございました。 ○首藤部会長 治験相談がこれからあるので、そこで評価をきちんとできるように工夫 してくださいということでいかがでしょうか。はい、島田先生。 ○島田委員 ちょっと気になるところでございまして、形成外科の友人に聞いたのです が、実はこの中にも入っているのですけれども、この患者さんの状態なのです。III度で もし真皮がない場合は、実はこれは貼ってもほとんど生着しないと。アメリカではもう 分かっているのです。だからその点、今後の治験の進め方をかなり慎重にやらないと、 III度の場合はここにも書いてあるように、実際アメリカではその場合には亡くなった方 あるいはアロの移植をまずやって、その真皮を何とかしてからでないとうまくいかない というのはもう明らかに分かっていることらしいのです。 ○首藤部会長 そうすると、そこも治験のときにIII度は相当に難しいかもしれないよと …。 ○島田委員 治験の方できちんとそこを議論してほしいと。 ○事務局 御指摘のとおりでございまして、この上皮組織については真皮層がないと全 く生着をしません。逆に真皮があればこれまでの実績ではほぼ90%以上の生着が確認さ れておりまして、そこの真皮層をIII度熱傷の場合にはどういうふうに上げてくるかとい うところが重要な治療になります。現実には先生が御指摘のように、取りあえず同種の 皮膚を貼っておいて…、いずれにしても培養に2週間かかりますので、その間は何らか の、同種のものか自己のメッシュにするか、又はより人工のグラフトで全身を覆ってお いて、真皮用組織数の少し上がってきたところでこれを貼るということで治療をやって いくことになりますので、これから相談なのですが、治験のプロトコールは現実的には そのIII度熱傷の患者さんの状態がかなり悪くて、恐らく患者さんごとにもかなり違うと 思われますので、その辺の治験の状態のコントロールをどういうふうにやっていけばい いのかが非常に難しいところでございます。皮膚科の専門家の先生方にも御意見を聴き ながら適切にできるようにしていきたいと思います。 ○首藤部会長 それでは2番目のはいかがでしょうか。私はよく分からないのですが、 □□□□□□□□でどれだけのことが分かるのか。□□□□□□□□で異常を認めなか ったということで、それで必要十分なのですか。 ○山口(照)委員 よろしいでしょうか。 ○首藤部会長 どうぞ、山口先生。 ○山口(照)委員 ほかにもいろいろ形質転換の測定法はあるのですが、使用方法といい ますか、使用方法も含めてこの時点では□□□□□□□□□だけでいいのではないかと いう結論でございます。 ○首藤部会長 小池先生、いかがですか。 ○小池委員 □□□□ですか。 ○山口(照)委員 そうです。 ○小池委員 それで出ては困るのですが。それで出るようでしたらお話にならないとい う…、それで出ないということで行ったのですか。 ○首藤部会長 山口先生、いかがですか。 ○小池委員 悪いと言っているわけではないのですが。 ○首藤部会長 これでいいというよりもこれで出ないというのは…、全くの必要条件な のですね。ただ、どれをどれだけやっていったらいいのかというのは、現実的には難し いところもありますね。 ○山口(照)委員 そうですね。多分これは出ても困る話なのですが、先ほどちょっと説 明がありました染色体解析などの点も考慮しながら、もし何か異常が認められたら更に 考えないといけないというか、治験との関係がありますので、そういう評価ではないか という気がしますが。 ○首藤部会長 3番はいいですね。小池先生、先ほどの御説明で4番で何か更にござい ますか。 ○小池委員 この会社は3T3-J2を使って具合がいいからそれにするということなので すが…。そういうことはないだろうとは思うのですが、恐らくほかの3T3でもこのGreen 教授の細胞はチェック項目でやったようなことはクリアすると思うのです。もっとも3T3 がそれをクリアしないと具合が悪いのですが。ですから隣にある細胞でも使えると思っ ては具合が悪いでしょうね。 ○首藤部会長 事務局、どうぞ。 ○事務局 これは当然、いずれの製造工程も含めた上でこの後承認という形を採ります ので、そこの細胞が全く別製品ということで、もしそういったものを使いたいという場 合は改めてこういった部会でも御審議をいただきますし、承認も取っていただく必要が あると考えております。 ○首藤部会長 山口先生、何かございますか。 ○山口(照)委員 いえ、そういうことで。 ○首藤部会長 そういうことですか。現在、国内でいわゆる研究的な臨床試験でほかの 3T3を使われているということはあるのですか。 ○事務局 事務局の方では聞いておりませんが、非常に初期のころにNIH/3T3等が用い られたこともあると。しかし、現在はJ2が手に入りやすいということもありまして、論 文的にですが、国内ではJ2を使っているのがほとんどだと思います。 ○首藤部会長 将来このJ2ではないもので、何かしようというときにはここにかかるの ですね。そういう理解をしていますが。  それでは次に行きまして、島田先生の方から幾つかのコメントがございますので、お 願いいたします。 ○島田委員 これは直接安全性とは関係ないものが入っているかもしれないのですが、 疑問点です。まず先ほど生着率の問題が出ましたが、実際細胞が樹立するのはほとんど 100%できる技術なのかどうかということが1番目です。  それから2番目は実は副作用のことがこちらの厚い方に少し書いてあるのですが、一 覧表があるだけでほとんど内容的なことが書いていないので、もう少し分かった方がい いのではないかと。  3番目はこれは治験の方なのかもしれませんし、もちろん場合によっても違うのでし ょうが、実際皮膚を患者さんから採取して戻すのにどのくらい時間がかかって、その間 そこの部位はどうしているのか。何もしないでいるのか、それともやはりほかの治療法 をするのか、その辺のところをはっきりさせておく必要があると思うのです。  それから4番目は今回日本でやろうとしているのは、実際Green教授のオリジナルの 方法とどこが違うのかというのが今ひとつはっきりしていなくて、アメリカでも今現在 どうやっているのかというのがよく分からないのですが、例えばオリジナルの論文を見 ると、フィーダー細胞は紫外線照射でマイトマイシンではないですよね。ですからその 辺のところとか、それから中にありましたが、たしかこのEGFとかトランスフェリン の基のものを使っているが使わないとか、そういう変更点がありますよね。その辺をも うちょっときちんと比較していただきたいと。  それからこれは3T3を培養するのでウシの血清を使っているわけですが、3T3でした ら血清培地でも増えるし、場合によっては自家血清というものも可能性があるのではな いかと。これはサジェスチョンですね。  6番目は「キャリア」という名前が出てきますが、これは何のことか分からなかった ので教えていたただきたいということです。  7番目は一般的な話ですが、ウシの血清は今「生物製剤」と言うとどうしてもいろい ろ入ってくると思うのです。最近「ウシ」と言うとすぐBSEがどうのこうのという話 になってしまうのですが、ここに書いてある原産国を調べるだけというのは、それを書 いておくことに余り科学的に意味がないような気がするのです。ですからそのようなこ とを書くよりも、今最新の実験的事実がどうなっているのか、私も細かくは知らないの ですが、例えば血清では感染性がないという実験がたしかありますよね。実際発症して いるウシから採ってきた血清では大丈夫だったということをきちんと書いておいた方が いいのではないかと。これは原産国を限定しているから安全ですという意味で書いてい るのかもしれませんが、それは余り科学的根拠がないような気がします。  それからこれも治験に関係していることですが、アレルギーの検査というのがありま して、マウスにアレルギーがあるかどうかというのは打ってみないと分からないのでは ないですか。ふだん実験している人はマウスにアレルギーがあるのか分かりますが、で きればこういうアレルギー検査をやった方がいいのではないかと。  それから最後はこのインフォームド・コンセントのところに「代諾者」という言葉が 出てくるのですが、こういう言葉を出すときには今は必ずその代諾者の条件を、どうい うときに代諾者を認めるかとか、どこまで認めるかということをきちんと書いておく必 要があると思うので、これも向こうの治験を申請するときに意見として出してほしいと 思います。 ○首藤部会長 まずはそこまでです。いろいろございますが、1番目の細胞の樹立がど うかということです。 ○事務局 審査センターの方から簡単に御説明申し上げます。まず1番目でございます が、お手元の概要の69ページの表3-1の中には、J-TECがこれまで臨床研究の中で使っ て実施した成功例、不成功例として挙げているところでございます。その不成功に至っ た理由が書かれておりますが、初期の段階におきましては採取する場所に関しての規定 というものがなかったと聞いておりまして、実際過多な採取をすることにより、感染が 起こっているような部位に不成功が起きていた場合があると聞いております。この検討 の中にはまず組織量がどの程度必要かということの検討もございまして、少量過ぎた場 合におきまして失敗しているということもあるそうでございます。  したがいまして、初期の段階でかなりの失敗例はありますが、現在に至りましては組 織量に関して「1cm2」が妥当だろうということで決定しており、また採取に際しまし ては目視でございますが、感染がないような場所の確認をして採取をするという条件を 付けて採取をし培養皮膚を作製することを、近々のものですと100%に近い値が出てい ると伺っているところでございます。諸外国に関してでございますが、文献的な調査を したところがないと、情報としてないということを聞いております。  2番目の米国での有害事象に関する詳細でございますが、お手元の概要の一番最後の 106ページに先生から御指摘していただきました外国でのデータとして、今現在分かっ ております内容が記されているところでございます。これに関しましては、文献等の検 索では副作用に関してはほとんどございません。またこの表に掲げられているものは公 開されているものでございまして、それ以上の情報が入手できないというのが現状でご ざいます。  3番目の培養の期間に関しましては、採ってから次の手術にトライする場合に約2週 間かかるということでございます。もちろん患者さんの細胞でございますので、培養の 期間というものが多少長くなったりするということはございますが、「2週間」と聞い ております。その間の治療でございますが、先ほども御説明させていただきましたよう に全身管理を中心に、また皮膚の状態を見てグラフトあるいは同種の皮膚を移植という ようなことで、2週間ほどは患者さんには頑張っていただくというような通常の処理に なるかと思います。  4番目はGreen教授の方法とどのように違うかということだと思いますが、先生が御 指摘のとおり、まずフィーダー細胞の処理というのが今回はマイトマイシンC、Green 教授あるいは諸外国におきましては、放射線を用いた方法で実施しています。国内にお きましてはすべては臨床応用された例でございますが、文献的にはマイトマイシンCが 用いられているという状況です。もう一点、違う部分でございますが、□□□□□□□ □の添加がGreen教授ではされていますが、今回のJ-TEC-01ではされていないと。この 二点が違っているということでございます。  5番目の無血清培地あるいは自家血清を用いた場合の情報でございますが、まずは無 血清培地での培養でございますけれども、Green型の培養皮膚での報告というものは全 くありません。フィーダーを用いないで表皮の核化細胞を培養するときに無血清で培養 したという方法がございまして、コロニーは形成するのですが、最後にシート化といい ますか、そういう状況に至らせるためには重層化しますので、血清が必要であるという ような報告がされているところでございます。また自家血清のお話ですが、文献的には 全く報告されていないということと、J-TECも全く経験がないと伺っております。対象 疾患が重傷熱傷患者さんということもございまして、ある程度の量の血液が必要になる ということを考えますと、なかなか厳しいのではないかとは考えているところでござい ます。  6番目は「キャリア」と、ちょっと分かりづらい表現かもしれませんが、培養皮膚の 実際を考えますと培養フラスコにコンプリートになった状態で、見た目がシートのよう な状態になるわけでございます。しかし、実際にそれに触ってみますと軟らか過ぎてこ しがないといいますか、非常に薄いもので、お手元の資料の中にもこういうような表が ございますが、これはキャリアがくっついた状態で存在しているのです。しかし非常に 軟らかいというようなことがございまして、適用するに当たって貼り付けるには非常に 不都合であると。それを貼り付けやすくするためにある程度こしのあるシート状のもの を上に乗せて、そこにへばりついたものを患者さんには適用するというような流れが「術 式」と聞いております。キャリア自体がどのようなものであるかということでございま すが、今回用います「□□□□□」という蟹のキチンを主成分とした繊維を、不織状に 加工してある医療用具を用いてキャリアとしては実施すると聞いております。文献的に は和紙のようなものでもやられているという報告があるということでございます。  7番目のウシ由来の記載というところでございますが、実際に原産国や主要部位等を 記載していただいております。これは厚生労働省の通知に基づいての記載ということで 書いていただいているところなのですが、まず現時点で通常求められる最低限のことは 書いていただいて、先生がおっしゃるところの血清でのテストでネガティブであるとの 記載ぶりに関しては、実は書いていないのが現状でございまして、まず最低限通知どお りに書いていただくということで、こちらの方からは指導しているところでございます。  次のアレルギーに関してですが、今回使われている動物の中ではウシ、マウスという ことでございまして、確かにマウスでのアレルギーというのは一般の方々には非常に分 かりづらいと思います。基本的には問診が中心になると思うのですが、実際IgGの測定 キットというものが臨床検査キットの中に存在しておりまして、今後治験指導の中でも マウスの血清蛋白というものでそういうものを実施する、あるいは「検討する」という 意味でございますが、検討させていくということを考えているところでございます。  次は代諾者の条件はどういう範囲かということかと思いますが、確かに詳細な記載は ないというのが現状でございます。これは治験計画書の中でも代諾者によるケースとい うものが想定されているところでございます。詳細に関しましては、治験の中で相談す るというところでございまして、対象患者さんの状況にもよるとは思うのですが、十分 にその場での同意ができにくいような場合も想定して「代諾者」という言葉を入れてき ていると思われます。基本的に「代諾者」というのはどういう範囲なのかといいますと、 「細胞・組織を用いた取扱いに関する基本的な考え方」の中でも書かれているような範 囲というふうに御理解いただければいいと思いますが、一般的には法廷代理人あるいは 二親等程度の親族が同意するというような想定で考えているところでございます。  規定としましては、本部会でまとめていただきました「細胞・組織利用医薬品等の取 扱い及び使用に関する基本的考え方」の中にございますので、ちょっと読み上げさせて いただきます。 「代諾者は、ドナーの意思や利益を最もよく代弁できると判断される者でなければなら ず、代諾者の同意に際してはドナーと代諾者の関係について記録が作成され、同意書と ともに保管されていること。」 としているところでございまして、この条件は当然治験の中でも確認する必要がござい ますし、この考え方といいますのはGCP省令にも合っていると考えているところでご ざいます。以上でございます。 ○首藤部会長 島田先生、どうぞ。 ○島田委員 大体結構です。そうすると「キャリア」というのは、実際その細胞シート を患者さんの皮膚のところまで持っていくときに運ぶ何かなのですね。実際にそれを使 うわけではないのですね。 ○事務局 はい。 ○島田委員 そうすると、これはそういうことで人に使った経験のあるものなのですか。 ○首藤部会長 これは細胞を採ってそれをまた持っていって、ガーゼのような、ガーゼ というか、患者のところまで持っていくのではないですか。 ○事務局 細胞はフラスコの中に入りまして、それを上からこういうふうに□□□□□ を当てますと、ディスパーゼで処理してありますのでくっついてまいります。それを持 っていきますとこちら側が基底層になりますので、それを患者さんに乗せます。実際に はその□□□□□を上に乗せたまま包帯等で処置をして、1週間なりそのまま置いてお くというふうに聞いております。その□□□□□自体は医療用具の創傷被覆剤として、 創傷面への適用が認可されている製品を使うということでございます。 ○首藤部会長 よろしいでしょうか、島田先生。そのほかにございますか。先に星先生 からどうぞ。 ○星委員 すごく違和感があるので一つ確認したいのですが、先ほどから生着をどうや って確認するのかあるいは物がどうなっているのかということが…、ここには組織学的 に物そのものの検証はしているのですね。ただつけた後どういう組織学的変化をするの か、病理学的にどういう所見があるのか、そしてその細胞が残っているのか、脱落して なくなってしまうのか、こういうことに関して全く記述がなくて、やってみたらくっつ いたと。原理的にはくっつくのだからいいではないかというような感じが否めなくて、 ラボから突然臨床に持ち込もうとしているような感じをどうしても払拭できないのは私 だけかなと。これをもって臨床応用してみてもいいですよと言うには、もっと基本的な 研究が足りないのではないかと思うのですが、先生方はその辺りをどのようにお考えな のか教えていただきたいと思います。 ○首藤部会長 これも治験に入るかどうかという問題に絡むことだと思いますが、何か 御意見はございますか。 ○星委員 ちょっとよろしいでしょうか。何を申し上げたいかと言いますと、これをい きなり熱傷患者の現場に持ち込んで、そして判定の方法もとにかく目視によるものだと いうことでやっていった限りにおいて、良かった悪かったという判断は一体何ですかと いうことになってしまうのではないかと思うのです。 ですから私はこれを臨床応用する 前に、もう少ししなければいけないのではないかと。つまり、この細胞を培養して戻し てあげたときの後の振る舞いがどうなのかと。その生体に戻したときにどういう振る舞 いをするのかということの…、安全性試験、前臨床試験というのでやっているのは、た だ単に物そのものの状況しか確認していないのです。ところが一方で生着試験ですが、 これはやっているのか、やっていないのかよく分かりません。ただ外国の文献でこうで したという文献の中にもその辺の記述が見当たらないので、私の意見ですが、これはい きなり熱傷患者に持ち込むと、ベースの状況によってその生着率や何かに必ず問題が発 生してくると思います。ですからこの振る舞いをもう少し正常なところで一旦きちんと 調べた上でこういう治験の計画を立てていかないと…。この間も申し上げましたが、何 を見ているのか分からないものを一生懸命見ていて、効いた効かない、ついたつかない といった議論をし続けると、せっかく科学的にこれだけのことをやっているのに評価さ れないということになりはしないかと思います。 ○首藤部会長 一つは先ほど小池先生がおっしゃった生着率といいますか、評価の仕方 が今の時点ではあいまいだということですね。それから先生の御意見は、余り重症では ない患者でやった方がいいのではないかと理解してよろしいですか。 ○星委員 そうですね。むしろ本当に必要なのは熱傷患者でカバーの要件がより必要な 人なのでしょうが、基本的に10cm角でやりますと言っているわけです。必要なら何枚で も使いますと言うのですが、その辺もよく分かりませんし、またどういうデザインをし ているのか。私はこの治験計画を読む限り大変乱雑な作りをしていると思うのですが、 10cm角で助かるのでしたら普通でも助かっているわけです。ですからそれをしないとこ ろと比べてどうだというような評価をするのか、あるいはそうでないのだとすれば、II 度熱傷の比較的軽度のものあるいは人工的に造ったII度熱傷でもいいですが、そういう ものを試してみるというプロセスがないと…。 ○首藤部会長 試してみるというか、治験にはそういうところから入るべきだというこ とですか。 ○星委員 そうだと思います。 ○首藤部会長 その辺はどういうふうなお考えをお持ちですか。 ○事務局 先生御指摘のようにこの治験をどうやるかは非常に難しゅうございまして、 この治験に入る前の性能をどう確認するかというところですが、これは自家の細胞だと いうこともあって動物で実験することは非常に難しいわけです。通常10cm2程度ですと、 II度熱傷の場合これをしなくても治ってしまいまして、2週間ぐらいでもう自分の上皮 ができます。これ自体が要らなくなってしまいます。これまでのGreen型の経験から言 うと、真皮があれば90%以上生着はしてしまうので、そういう例での治験を実施するか どうかも含め治験相談の中で検討は必要なのですが、先ほど島田先生から御指摘のあり ましたように、問題なのはIII度熱傷で真皮がない状態で同種移植をしておいて、真皮様 の組織が下から少し上がってきたところにこれをやって、どのくらい生着ができるのか というところが恐らく評価できなければいけないのだとは思うのです。ただそうします と、今先生御指摘のようにIII度熱傷の患者さんは感染との戦いがすべての治療なので患 者側の状態の影響が相当ありまして、そこをどう評価していいのかというのが、正直申 し上げて今の時点ではセンターとして明確な回答がないのです。これから皮膚科の御専 門の先生方ともちょっと御相談をさせていただきながら、治験相談をきちんとやってい きたいと考えております。ちょっとお答えになっていなくて恐縮でございます。 ○星委員 結局培養してシート状にしたものをくっつけたときに、この細胞がどういう 振る舞いをするのかということが書いていないので、すごく不安なわけです。要はその 細胞が何かの細胞に取って代わるのか、どこかに足を突っ込むのか、それこそ真皮用組 織ができて、そこにくっつけるときにどういう立ち振る舞いなのですかと。そしてそれ は4週間しか観察しないことになっていますが、長期に置いた場合にその細胞というの は本当に脱落してなくなってしまうのか、あるいは一部別の組織に形態を変えてそこに とどまるのかといったようなメカニズムがよく分からない。したがって、造っているも のの安全性、有効性がどうかということを評価するにも、やってみたところくっつきま したと…。Green教授やアメリカでは何をやったかというと、結局やってみたところく っつきました、よかったですねということを長年続けてきたと。しかし、これを医薬品 としてあるいは一つの製品として日本でしていきたいということならば、その辺りのと ころをきちんと分かるようにしてもらわないと、これはやってみたところよかったです ということでしかないのではないかと思います。 ○首藤部会長 その辺の承認のときの条件としては、相当厳しいものである必要がある ということでしょうか。もう一つは、現時点である程度臨床試験をされているわけです から、先ほどの質問の横に増えていくのか、元のものがなくなってしまうのかというの はもうちょっと説明があってもいいところではあるわけです。きちんとしたものは承認 のときまでに持っていけばいいのだろうと思うのですが、その辺はどれくらいまで…。 先ほどの質問では脇に伸びていくかどうかもはっきりしないようなことを言っておられ ましたが、いかがですか。 ○事務局 先生から御指摘いただいた点は正に我々も非常に懸念をしているところでご ざいまして、一つは先ほどの「品質」という観点で、特に有効性を担保するための品質 をどうとるのかと、これをひとつしっかり決めましょうということでございます。今現 時点、小委員会で御指摘をいただいたものの一つの代表例としまして、□□□□□□の 試験をやって、□□□規格値といったものを見ましょうということがございます。更に 臨床試験のエンドポイントをどうとるのかと。これは先ほどお話しいただいたように、 II度とIII度とは考え方が違ったエンドポイントをとらないといけないかもしれません。 これにつきましては、日本国内での臨床研究としても100例程度ございます。Green型 のものは先生方からお話しいただいたように、これはやってみたらというようなお話も ありました。結果としては、生着したあるいは生着していないという結果が出ておりま すので、そういったものを踏まえて先ほど審査センターからお話しした、つまりエンド ポイントをどうとるかというのを明確にした上で、治験を進めるという形でやっていき たいと思っております。 ○首藤部会長 実際に治験が入るのはまだ先になるわけですね。ですから時間はまだあ るということでしょうか。 ○事務局 これから治験相談を…。 ○首藤部会長 これから治験相談が始まって、少なくとも何か月かはかかると。1週間 で終わってしまうという話ではないでしょう。 ○事務局 いえ、そういうことではないです。 ○審議官 企業には指示すべきではないでしょうか。 ○首藤部会長 ですから今日の御意見は後で最後にまとめていただいて、こういう治験 のときはこういう答えが、あるいはアイデアが出ていないと難しいですよということは 必要だと思います。それからやはり一番難しいのは星委員、小池委員から御指摘のとお り、結局評価ということなのだろうと思いますが、そこは相当にしっかりと治験相談で やってもらわないといけないということだと思います。 ○島田委員 ちょっとよろしいですか。 ○首藤部会長 どうぞ、島田委員。 ○島田委員 評価はアメリカでは一応出ているのです。ですからこれはIII度にこれをや っても別に役に立たないということは分かっているわけです。ただアメリカの場合は、 亡くなった方からの一時的な移植でその間をカバーできて、それと組み合わせればいい ということが分かっているわけです。ところが日本では今すぐそれができないですよね。 ですから私もやはりこれだけではほとんど治験にならないと思うのです。ただファース トステップとしては、この企業がどこまでやるのか知りませんが、これでそういうこと もやって、その次のステップとしてはそのアロのものをどうするかとか、それから亡く なった方からの移植をどうするかというところまで行かないと本当の治験にはならない と。アメリカがやり出したのは何十年も前の話で…、これは20〜30年やっているのです よね。 ○事務局 20年ぐらいです。 ○島田委員 それはもうある程度はっきり分かっているのです。III度の熱傷でこんなこ とをやっても効かないということはもう分かっているのです。ですから正に治験の進め 方です。 ○首藤部会長 これは医薬品で言えばフェーズIIに当たるのですか、フェーズIIIに当た るのですか。フェーズIでもなさそうな気もするのですが。 ○事務局 フェーズIIIになってしまうと思います。 ○首藤部会長 フェーズIIIになってしまうわけですか。 ○事務局 フェーズIIIではありますが、もちろん小規模で確認をしながら進んでいくと いうことはできると思います。 ○首藤部会長 はい、西島委員。 ○西島委員 関連することで質問が一つあります。同種移植をしたときにその同種移植 をされたものの表皮はなくなるが、真皮は少し残ると書いてあります。先ほどの御説明 からすると、その真皮として使われるものも本人の少しできてきた真皮を使うというこ となのですか、それともその移植したものの真皮が主に役立つということなのですか。 この文章からすると、移植されたものの真皮だけが残ってそこに表皮がつくというふう に読み取れるのです。また、もし後者の場合だとすると同種移植されたものの真皮がず っと残るのであれば、それはその後どうなるかということです。  そのことを質問として挙げて、それから先ほどの議論とも関連するのですが、こうい うことを実際に臨床で行うときに、同種移植を含む場合と含まない場合についてきちん と実験系を区別しないと、何の評価もできないということがあると思うのですが。 ○事務局 先生の御指摘につきまして、個々にはまた審査センターからお答えさせてい ただきますが、臨床試験の組み方として当然有効性が認められなければ、その効能につ いては承認がなされません。そういう意味では先生が御指摘くださったのは、恐らく審 査報告書2ページの中段のことだと思いますが、こういった真皮層が存在しない創面に 対しての対応方針というのは文献等で出ておりますので、文献等を踏まえながら、こう いった前処置として仮定した場合において、では臨床試験をこういう形でやりましょう と。もしそういった形でしか有効性が効かないのであれば、その上での有効性はどうな のだといった形での承認になると考えてございます。 ○事務局 同種の皮膚を移植しておいてその後これを乗せるわけですが、同種ですので、 ここに書いてあるとおり基本的には真皮の部分の細胞は脱落していってしまいます。ち ょっとここは明確な表現ではなくて恐縮なのですが、上を覆ってあることで例えばこれ は同種でなくても、人工のグラフトを上に乗せておくだけの場合もございますし、その ような場合には病理学的にどういう組織なのか正確に理解していなくて恐縮なのです が、下から自身の真皮用の組織などが上がってくるというふうに聞いておりまして、そ こにこれを乗せることで生着していけると。ですから何度も御指摘いただいております ように、真皮がないところに単にこれを乗せただけでは、いずれにしても生着しないこ とは明らかですので、治験の段階でどのようにこれを乗せていくかは、先生が御指摘の ように同種を乗せたところにこれを乗せていく患者さんの分と、又はグラフトを乗せた ときにはどうなのかとか、それは同時並行でやるのか、段階を追ってやるのかは分かり ませんが、きちんと計画を分けて評価ができるようにしていかなければいけないとは思 っております。 ○首藤部会長 島田委員、星委員、小池委員皆さんそうだと思うのですが、今議論にな っているのは例えばどういうときに使うかということ。この治験の中での認識がフェー ズIとは考えないでいいと思うのです。フェーズIIかIIIかあるいはII・IIIといいますか、 その辺の認識をはっきりさせておけば、この辺の問題は解決するのではないですか。III でもないような気がするのですが…、お答えが今すぐには出ないかもしれないですが。 方法論自体が分かっていないし、対象も分かっていないという状況ですと…。 ○医療機器審査管理官 これは私の理解するところによりますと、フェーズIIです。多 分有効性自体の評価もこれからやっていくようなお話だろうと思いますので、いわゆる フェーズIIという段階だと考えられます。いろいろ御指摘をいただきまして、当部会に おきましては、使われているものの品質面なり安全性面を御確認いただいた上で、それ を踏まえて治験にこれから入るわけでございますが、星委員からの御指摘などもござい ましたように、これ自体の有効性がまだ少し明らかではないような部分もあります。そ れから適用する範囲、どの熱傷に対して使うのがよろしいのかというところも含めて、 少し段階を追って進めていく方がよろしいと考えております。 ○首藤部会長 そういうことですと、すべてではないですが、幾つか解決するような気 もしますが。 ○星委員 結局、これは外国でもいきなりフェーズIIIをやったのですね。ですからフェ ーズIIで本当は集めるべき情報が集まっていないのではないかと思うのです。おっしゃ るように、結局これを見ても出てこないのです。そういう認識でお進めいただくのであ れば、物そのものの安全性や有効性を見られるという環境を整えるための実証実験的な ものであって、その上で臨床的に効果があるかどうかということに進まないことには、 何の条件でついたかつかないか分からないけれども、この人にはついた、この人にはつ かなかったという話をどんなにしてみても、それこそ治験全体の評価ということにはな らないと思うので、そういうことであればいいのではないかと思います。 ○首藤部会長 どうもありがとうございました。それではまだほかにあるかと思います が、出ているものからやってしまいましょう。入村委員からのコメントが一つございま して、出荷判定の基準の内容があいまいであるとコメント集にありますが、ここについ てはいかがでしょうか。 ○事務局 入村委員の御意見は、まず□□□□□□□□というような基準のことだと考 えられますが、本品の性能を発揮する意味としましては「□□□□」というものが非常 に密接に関係しているということが推察されておりまして、小委員会の方でもかなり議 論として取り上げられております。実際にその治験の中でその□□□□を同様に培養し たものに関して測定して確認をし、情報を集めるというようなことで会社の方は決めて いるところでございますが、実際にその「□□□□」という指標は基本的には出荷判定 の中でも半定量といいますか、定性的な判定だというふうに認識しております。現時点 の判定基準といたしましては敷石状の形、具体的に言いますと概要の7ページにござい ますように、「(b)コンフルエント時」というものが「敷石状」と一般的に言われると ころでございますが、そのような継代がすべてを占めていることが良好であるというこ とを判定の基準としています。実際敷石状以外のものにはどういうものが入ってくる可 能性があるかといいますと、線維芽細胞をもうちょっと長くしたようなものでございま すが、そういうものが混入しているかどうか。それが混入していれば、それは不適と判 定すると聞いております。  実際このような観察には、経験あるいは知識というものがとても必要になってくると 思われますので、こういうような判定者に関しましては十分な知識と経験を持った者が 実施すると決めているところでございます。 ○首藤部会長 治験に入る前に、判定基準もどこかできちんと規定するということです ね。 ○事務局 はい、そうです。 ○首藤部会長 それではコメント集にあるのは取りあえず議論したつもりですが、ほか にありましたら、どうぞ。時間が迫っておりますが、少し延ばしても構わないでしょう。 はい、西島先生。 ○西島委員 2ページの上から二つ目のパラグラフのところです。先ほどの御説明とこ こに書かれていることの内容がちょっと違うように思えるのです。同種移植したときに は「同種皮膚の表皮、真皮の細胞成分が拒絶反応によって脱落するが、真皮骨格成分は 拒絶されずに残り…」と書いてあるのですが、先ほどの御説明であるのでしたら、ここ のところをそのように表現を変えた方がよろしいかと思うのです。これですと、移植し たものの真皮が残っているというふうに私には読めるのです。 ○事務局 真皮の細胞としてはもう脱落してしまうのですが、多分コラーゲンは成分と しては残るということだと思います。 ○西島委員 ここで言っているのは、コラーゲンとかそういうことですか。 ○事務局 はい。そして下からは患者自身のものも上がってくるというふうには聞いて おります。 ○西島委員 それでは患者からの血管新生だけではなくて、真皮の新生も若干あるとい うふうなことですね。 ○事務局 はい。「真皮用組織」というふうに聞いています。 ○西島委員 それなら分かります。 ○首藤部会長 これは丁寧に議論した方がいいと思います。それでは「報告書」の7、 8ページに「11.小委員会における審議経過」というのがありますので、もう一度ちょっ と復習してみたいと思うのですが、(1)が「フィーダー細胞として製造に用いられるマウ ス3T3-J2細胞セルバンクに関し、ウイルス試験を含む品質・安全性確認評価の実施内 容」、(2)が培養工程上の、特にウシの問題。それから(3)が凍結・培養工程における上皮 細胞の遺伝的安定性、(4)が申請品中の細胞の純度などについて。  また今ちょっと議論になりましたが、品質については(1)として出荷判定の問題、(2)が フィーダー細胞の残存についてという6項目について、小委員会で検討したということ でありますが、もう既に幾つかの関係することはここで議論されていると思いますので、 追加がありましたら、早川委員あるいは山口委員から追加のコメントを頂きたいと思い ます。いかがでしょうか。 ○早川委員 特に追加はございません。 ○首藤部会長 それでは私の方から。先ほどのことで確認しておきたいところが一つあ りまして、これは島田委員の御質問と関係するところなのですが、外国品は放射線照射 で増殖されていて、こちらはマイトマイシンであると。それの理由をまずお聞きしよう かと思います。 ○事務局 理由については特に確認をしておりません。これは臨床研究でやられたもの ですが、日本でこれまで行われてきている数百例の、J-TECがやったものでないものも もちろん含まれております。J-TECは一部ですが。臨床研究はすべてマイトマイシンで 行われてきておりまして、J-TECはそこからの技術移転を受けたということで、マイト マイシンをそのまま使っているというのが実態でございます。ですから放射線ができな いなどということで、もちろんマイトマイシンということではないとは思います。 ○首藤部会長 島田委員から御指摘のことですが、方法としてはそこが結構大きな違い かなという気がするのです。放射線拒絶反応があるからかもしれませんし、技術的な問 題かもしれないのですが、そこはちょっとはっきりさせてほしいと思ったところです。  それと関係して6ページの一番上の「マイトマイシンC□□未満であり」とあります が、これは5ページの下から2行目からの文章で見ますと、この記述は少なくとも間違 いであるというふうに認識していいのでしょうか。それともこれは生きているのでしょ うか。先ほどの補足説明で、残存しているマイトマイシンは無反応量に相当する、ある いはその前後であるというふうな御説明だったのですが、そのときはこの「□□」とい うのは間違いだということにならないと。そこははっきりしておく必要があると思うの です。 ○事務局 この「□□」というのは彼らがLCマウスで最終の上皮細胞、シートになっ た細胞を全部壊しまして、その中の残存のマイトマイシンCを測る際にLCマウスの検 出限界値としては、ng/molでございますが、試験条件の結果、検出限界を計算しますと シート当たりは□□になってしまうということで、彼らの検査レポートとしては「□□」 というのがシート当たりの検出限界になってしまうのです。「□」という数字になって しまいますが、最終の上皮細胞中のマイトマイシンではなくて、マイトマイシンを処理 された3T3、マイトマイシンの濃度が一番濃いだろうところにオンされる上皮細胞、こ こがどのくらいのマイトマイシンに曝露されるかという点について、先ほど追加補足で 無反応量程度であろうということを御報告させていただきましたように、計算によれば 無反応予定量になると。そのときの3T3に一番初めに上皮細胞を巻いたときの量は、も ちろんその後も3T3を洗いますのでかなり微量になっておりますことから、無反応量程 度だろうというふうに算定したものでございます。 ○首藤部会長 「わずかに残存することから」と書いてありますが、これが□□ではな くて無反応量程度であるということなので、それは調べればただの計算だけではなくて きちんとした実験的なサポートができると思いますので、少なくとも治験を開始すると きまでには、この量はもうちょっとリライアブルな無反応量程度というものにしておく ことが必要ではないかという気がするのですが、いかがですか。 ○事務局 それでは3T3に初めて上皮細胞を乗せたときの上皮細胞中のマイトマイシン Cの濃度について、実際に分析をさせたいと思います。 ○首藤部会長 早川先生、フィーダー細胞の残存性というのは、これくらいは問題ない ということですか。みんな消えてしまうと。 ○早川委員 そのように理解しております。それから実際適用するときに、そのフィー ダー細胞の面を直接表面のベースに乗せる逆のサイドにフィーダー細胞が来るというこ とも含めまして問題ないかと私どもは判断いたしました。 ○首藤部会長 いかがですか。余りこれは本質的なことではないかもしれないですが、 J-TECという会社はどういう会社か御存じない方が多いのではないかと思うので、御説 明いただいた方がよろしいのではないかと思います。 ○事務局 それでは簡単に御説明をさせていただきます。日本ではバイオベンチャーと して医薬品製造に頑張っているところでございますが、J-TECもその一つでございまし て、資本金が約8億円程度で平成11年2月に設立されたベンチャーということでござい ます。ただベンチャーではございますが、その背景といたしましては医薬品あるいは医 療用具メーカーの例えばニデック、INAX、富山化学工業といったところが出資をし ておりまして、そこからの派遣社員等も入っているということでございます。事業内容 といたしましては、培養皮膚、培養軟骨等の研究開発といったものをやっておられると いうことでございます。 ○首藤部会長 どうもありがとうございました。そういう会社のようでございます。更 に何かございませんか。 ○西島委員 報告書のことでちょっと…。 ○首藤部会長 はい。 ○西島委員 報告書の8ページの上から4行目に「抗原発現細胞」と書いてありますが、 これは「抗原提示細胞」ですね。 ○首藤部会長 全体の議論として丁寧な治験相談をしてくださいということだと思いま す。それから医療機器審査管理官の方から、一応現時点においてはこれはフェーズII的 な認識をしておられると。そうするといろいろ治験相談もやりやすくなるのではないか と思います。何かほかにございますか。  それではこの部会としては、治験に入るためには…。何かございますか。どうぞ。 ○事務局 一点だけ御確認をお願いいたします。先ほどのマイトマイシンCの実際の分 析値でございますが、こちらは確認後部会長の方でお預かりしていただき、御確認をい ただくということでよろしいでしょうか。 ○首藤部会長 そうですね、もしよろしければお預かりさせていただきまして、小委員 会あるいは専門の方と御相談して処理したいと思います。原則的には特に問題がなけれ ば御承認ということになるかと思います。小池先生、どうぞ。 ○小池委員 この薬はほかの薬と比べてちょっと事情が特殊なのかという…。 ○首藤部会長 この薬というのは。 ○小池委員 この薬というか、この皮膚移植の件です。というのは、どうも非常に緊急 性が必要であるというようなこととか、造って置いておくことが余りできないというよ うなことを考えると、例えば患者さんが収容されている部屋の隣の部屋でこれを造って、 出来上がったら即植えるという、そういうような状況なのだろうと思うのです。もうち ょっと安定した医療用具とか薬というものと同じように取り扱うことができない面が多 々あるのではないかと思うのですが、その辺はどういうふうに…。今後起こってくる問 題なのですか。 ○事務局 御指摘のとおりでございまして、細かいことで恐縮ですが、その使用期間に ついては安定性の試験の結果、一応2日間ということで置いております。J-TECは愛知 に位置する会社ですが、一応2日間で患者さんへ届けるということでやっていくつもり のようです。ただ、御指摘のようにこれは患者さんから採ってきてその患者さんに戻す ということですので、二度と同じものはないようなものでございます。通常の医療用具 又は医薬品のように、ロットを構成して品質が管理できるというようなものではござい ません。もちろん安全性もですが、有効性を確保するために出荷する製品の品質をどう いうふうに確保するのかということは非常に難しいと認識しておりまして、そこも生細 胞率を確保すればできるのかなど、承認に向かっていろいろなことを検討させていきた いと考えております。 ○首藤部会長 よろしいですか。 ○小池委員 はい。 ○首藤部会長 難しいものであることは確かです。いろいろ御意見を頂きましたが、ほ かにないようでしたら、細胞・組織を利用した医薬品等の品質及び安全性の確認につい ての本品目は確認されたと考えます。これは薬事分科会へ報告する事項ですが、薬事分 科会への報告というのはいつごろになるのですか。 ○事務局 3月18日を予定しております。 ○首藤部会長 そうすると割とすぐということですから、少なくともそのときまでには 幾つか整理しておくことがありますね。 ○事務局 そうさせていただきます。 ○首藤部会長 それでは時間がちょっと過ぎておりますが、審議事項を終わりまして、 次は報告事項の議題1について事務局より説明をお願いいたします。ちょっと丁寧にイ ントロだけこの取扱いについて説明していただきましょう。 ○事務局 それでは資料2'につきまして御説明をさせていただきます。  組換えDNA技術を利用するに当たって医薬品等の品質及び安全性状の管理、確保を 期するために、当該製造に利用される設備・装置及びその運営管理方法等が「組換えD NA技術応用医薬品等の製造のための指針」に適合していることの確認を厚生労働大臣 に求めることができるとされております。  今回御報告されておりますのは、資料2ページの「(4)組換えDNA製造指針に係る 確認を受けた製造計画一覧」にございますとおり、財団法人化学及血清療法研究所から の組換え体に係る製造計画の確認申請でございまして、本品の組換え体に係る製造計画 の特徴は、この1ページの(3)にまとめてございます。  「『ヒト化抗HIVモノクローナル抗体』はHIV-1感染症治療薬の有効成分として開 発されている」ということで、今回のものはこの抗体の製造工程に用いる組換え体でご ざいます。その詳細につきましては宿主は非病原性であり、ベクターは大腸菌の宿主に 多用されるpBR322由来の複製オリジン及びアンピシリン耐性遺伝子、hCMVエンハンサ ー/プロモーター配列、SV40ポリAシグナル並びにグルタミン合成酵素cDNA遺伝子等か ら構成されておりまして、既知の有害塩基配列は含まれてございません。挿入DNAは 目的生産物質に応じたものでございまして、病原性を持つ可能性のある塩基配列は含ま れていないということでございます。組換え体の安全度はGILSPであって、ヒトに 対して感染性を持つカテゴリー2以上の分類に相当するものではないということになっ ております。  こちらの方は調査会の方で御審議いただいて、御報告という形になっております。続 けてよろしいでしょうか。 ○首藤部会長 ちょっと確認ですが、1ページの(3)に「HIV-1感染症治療薬の有効成 分として開発されている」と書かれておりますが、これは「開発中」であるということ ですね。 ○事務局 そうです、これからということでございます。 ○首藤部会長 そういうことだそうです。 ○事務局 この指針自身はむしろ製品というよりも組換えDNA技術を使っております ので、製造上の安全性あるいは品質ということで、当該製造に利用される設備や装置及 び運営管理方法等が適切かどうかと。いわゆる従業員とか周りの環境への影響が出ない ようにしっかりと封じ込め等がなされているかどうかということを目的としているもの でございます。 ○首藤部会長 こういう問題は、審査センターと小委員会の…。 ○事務局 こちらは澤田先生の方にお願いをしております調査会がございまして、資料 2ページに書いてございますが、228件、平成13年度も2件目ということで、毎年調査 会の方で御審議いただいたものを御報告させていただいているというものでございま す。 ○首藤部会長 澤田委員、何かございますか。 ○澤田委員 これは似たようなものが幾つか出ておりまして、多分問題ないと思うので すが、いつも問題になることはそのウイルスの問題であります。現在の調査会レベルで はそこまでは踏み込んで議論は…、一応しておりますが、余り言っていない面が従来あ ったということを補足しておきます。 ○首藤部会長 そういう状況ですが、いかがでしょうか。島田委員、どうぞ。 ○島田委員 一応コメントを書いたのですが…。 ○事務局 そのコメントにお答えさせていただきます。島田先生からのコメントという ことで、「宿主にウイルス様粒子及びX-MLV(異種指向性マウス白血病ウイルス)が認め られている」ということで、抗体の最終製品のウイルス否定試験の結果はどうかと。そ れから「X-MLVにはヒト細胞に感染性があるか。他の医薬品の製造に用いられているこ とを理由に安全と判断していいか。HIV感染患者は免疫抑制状態である」といったコ メントを頂いております。  また澤田先生の方からもお話がありましたが、この点につきましては調査会でも御審 議をされておりまして、実際に申請者からのこの点についての回答といたしましては、 培養前の組換え体で再生、亢進のためにin vitro及びin vivoの外来性のウイルス否定 試験を実施しているということでございます。そういったもので異常を認めていないも のを用いると規定をしているということでございます。そのほかにも培養後の細胞につ いて、電子顕微鏡観察及びS+L−フォーカス包括試験を実施した結果、レトロウイル ス様粒子あるいは感染レトロウイルスは検出されていないと。それから形質転換及び培 養による感染性ウイルスの放出も認められていないということでございます。  それから精製工程のウイルスクリアランスを確認したところ、このX-MLVのモデルウ イルスである、MLV(マウス白血病ウイルス)に対しては12ログ以上の総クリアランスが 得られているという回答が得られておりますので、調査会の方では安全性につきまして は、先ほど申し上げましたとおり指針の適合性という観点で見ておりますので、指針の 適合性の本来の要件ではないけれども、そういった回答を頂いたので了承したと伺って おります。 ○首藤部会長 はい、島田委員。 ○島田委員 一応調べて結論も出たということでしたらいいのですが、ちょっとよく分 からないのは、なぜそれをきちんと書いていないかということです。その意味がよく分 からないのです。正にそのことを、そのウイルスがきちんと検出されていないと、ある いはあるレベルでクリアされているということを書いてもらう必要があるのではないで すか。 ○事務局 今回は報告事項ということで、資料では要点のみを書かせていただいてござ います。報告の中身につきましては、指針の各項目の中でこういったことについてよく 調べなさいという項目があるものですから、その要点だけを抜き書きさせていただいて いるということでございます。 ○首藤部会長 この見出しの1ページにウイルスのことも書いておいた方が親切だとい う御意見であるということです。 ○島田委員 ポイントのところだけ…。 ○事務局 今回先生から御指摘がございましたので、今後資料を作る際にはこういった 御指摘も踏まえた上で作らせていただきたいと思います。 ○審議官 ここも書いてはどうですか。 ○事務局 はい、そのようにさせていただきます。 ○首藤部会長 記録でもいいと思いますので、今の御質問が追加されるということで。 はい、星委員。 ○星委員 一応審議が終わったということですので、一点だけ確認させていただきたい といいますか、発言をさせていただきたい点がございます。小池委員からも御懸念があ ったようにこの手のものは、この間の麒麟の自家血のものもそうですが、今までの組織 ・細胞利用医薬品というものとはカテゴリーが違うのだろうと。それでどうも前回、今 回と違和感があって、そしてその製造から利用に至るまでを見ていると、そこに断崖の ような絶壁があって、そこを飛び越えなくていけないようなものをさり気なく議論され ているような気がするのです。  この件について私が部会長に御提言申し上げたいのは、これはもしかしたら現委員に も御賛同いただけるのかもしれませんが、こういう自分のものを取り出して、ある非常 に極めて特殊な環境で何かそこに加工の技術を使って、そしてまた体内に戻すといった ようなものについて、もっと根本的な安全性、有効性の確認の方法論のようなものを医 療現場での利用なども含めて議論をしておいた方がこういうものが普及していく、ある いは開発をしていく上で、むしろそういう懸け橋をきちんとつけておいた方がうまくい くのではないかと思います。これは結局この違和感を持ったままこの話がどんどん進ん でいくと、どんどんいろいろなものが出てくると思うのです。ここでするのかどうかは ちょっと分かりませんが、その辺りの議論をするべきではないかということで、御意見 を申し上げたいと思います。 ○首藤部会長 これは自己のものですね。これはやはり自己ではないときの問題と一緒 に考えていかなければいけないような気がするのです。他人からあるいは大量生産で造 られるものとこういうものとを考えるときに、これからは自己ではないものがたくさん 出てくると思うのです。そちらの方がもっと難しい問題かという気がするのですが、難 しい問題も現実化しつつあるということも考えていかないといけないと思うのです。医 薬局はどういうふうにお考えですか。 ○医療機器審査管理官 今日御審議いただいている自家培養皮膚を含めまして、いわゆ るヒトであるとか動物の組織・細胞を使った医薬品、医療用具の安全対策の観点から、 現在医薬局の方ではこの辺の制度の抜本的な見直しを行っていこうということで、今検 討を進めているところでございます。今日はちょっと詳細な資料を御用意しておりませ んのでまた次回でもと思っておりますが、基本的にそのような製品の中で安全対策上特 に必要性の高いもの、例えば血液製剤や今日のようなものなど、そのようなものは「生 物由来製品」というふうに定義いたしております。従来はいわゆるGMPあるいは構造 設備、規則の中で上乗せ規制をやっていたわけでございますが、更に市販後の段階も含 めまして製造から市販後まで全般にわたるような安全確保体制というものを採るべく、 所要の法改正を今検討しているところでございます。  その中で今、星委員が御指摘のそれぞれの個別のものにつきまして、それではどのよ うなことを検討していけばいいのかということにつきましては、また薬事分科会の担当 の部会の方で御議論をいただければと考えているところでございます。 ○首藤部会長 今御説明の薬事法も改正されて、その中でこの種類の薬といいますか、 バイオロジカルなことも議論されているようでございます。本当はそれをここで詳しく 聞きたいところですが、近いうちに折を見てそれの運用について、ここの御意見も反映 していただきたいと思います。  それではちょっと時間を過ぎましたが、これで終わらせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743) - 35 -