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第5回年金資金運用分科会議事要旨

1. 日時 平成14年3月12日〈水〉14時〜16時
2. 場所 厚生労働省省議室
3. 参加者 ・大和委員 ・杉田委員 ・高梨委員 ・竹内委員 ・福井委員
・向山委員 ・吉原委員 ・米澤委員 ・若杉委員

4.議事要旨(○は委員、◎は年金資金運用基金、●は事務局の発言)

《第4回分科会の議事要旨について》

 第4回議事要旨については、配付資料のとおり確認。

1.年金資金運用基金の平成13年度第1−第3・四半期運用状況について

 年金資金運用基金の平成13年度第1−第3・四半期運用状況について事務局より報告

 ○ 資料1の2ページ目の(2)において、「注 国内債券・外国債券は10月から、国内株式・外国株式は4月からの実績である」とあるが、どういう意味か。
 ◎ 9月まで採用していた旧年金福祉事業団のポートフォリオにおいては、債券という資産クラスに国内債券と外国債券が入っており、ベンチマークとしては国内債券のベンチマークを使用していた。一方、10月から採用している平成13年度の移行ポートフォリオにおいては、国内債券と外国債券はそれぞれ独立の資産クラスとされており、ベンチマークも各々別のベンチマークを使用している。このため、9月までと10月以降で取扱いを分けたものである。
 ○ 外資系と内資系を区別して運用成績を比較することはできるのか。
 ● 外資系、内資系という区別はしていないが、旧年金福祉事業団の時代から、運用機関について、個社ごと、運用の手法ごとに、ベンチマーク対比の成績等をディスクローズしている。旧年金福祉事業団の平成12年度の運用状況をディスクローズした際にも、参考資料において、各社の固有名詞を明記して、成績を公表している。
 ○ 為替のヘッジについてであるが、外国債券、外国株式の為替のヘッジ比率の公表について、今後検討して欲しい。まず、為替のヘッジの考え方については、一度議論したい。
 ● これは、重要な検討課題の1つである。年金資金運用基金ともよく意見交換をしながら取り組んでいきたい。また、いずれ機会を頂いて、分科会の場でもご意見を伺いたいと考えている。
 ○ 四半期ごとに情報をディスクローズするのはよいが、年金資金の運用は、長期的な運用なので、四半期ごとのパフォーマンス自体に一喜一憂するべきではない。

2.平成14年度の移行ポートフォリオ(案)について

 平成14年度の移行ポートフォリオ(案)について事務局より報告
 その後、最近の動きとして、以下の2点を説明。

 (1) 政府の総合デフレ対策の取りまとめの経緯について
 総合デフレ対策の取りまとめの過程において、「株式市場対策に公的年金の活用が考えられる」といった内容の新聞報道等が行われたが、最終的に取りまとめられた政府の「総合デフレ対策」においては、年金資金を用いた市場対策は盛り込まれなかった。
 厚生労働省としては、年金資金の運用は、運用の基本方針に沿って行われており、デフレ対策等に年金資金を用いることは、専ら被保険者のために運用するという運用の目的に反するとともに、長期資金である年金資金にとって不適切な運用を行うこととなり、法令違反となるため行い得ないことを各方面に説明した。

 (2)資金の投入、回収状況の事後的な公表について
 年金資金運用に関しては、情報公開を徹底的に進めていく方針でこれまで取り組んできたところである。各資産への資金の投入・回収状況を事後的に公表することについても、公表する方向で検討することが必要であると考えている。ただし、市場への影響には十分配慮することが必要であるため、公表のタイミングや方法については、今後、検討していくことが必要と考えており、分科会でも御相談させて頂きたいと考えている。

 ○ 平成13年度の移行ポートフォリオと平成14年度の移行ポートフォリオは、同時に公表するのか。
 ● 本日、答申を頂ければ、速やかにその内容を記者発表させて頂きたいと考えており、その際に、併せて平成13年度の移行ポートフォリオも公表することを考えている。
 なお、平成14年度の移行ポートフォリオは、答申を踏まえて厚生労働大臣が策定することとなっているが、今月中には、厚生労働大臣告示の「運用の基本方針」の一部改正として官報に掲載するという形で公表したいと考えている。
 ○ 諮問案において打ち出されている「線に沿うように、乖離許容幅の下で、均等な割合で増加又は減少させる」という運用の方針と、事後の資金の投入、回収状況の情報公開とは一体のものと考えてよいか。つまり、年金資金の運用に当たっては、市場に恣意的に影響を与えず、均等に資金の投入、回収を行っているということを示すために、事後的に情報を開示するのか。
 ● 長期資金である年金資金の運用においては、従来から、資金の投入、回収の時期を、特定の期間に集中させず、リスクを分散させながら、なだらかに資金を市場へ投入していくという方針で運用を行っている。市場に影響を与えないようにするという方針は、既に運用の基本方針にも明記されており、法的な拘束力を持っている。
 従って、諮問案において、運用の基本方針に文言を追加している趣旨は、新たな方針を加えるということではなく、意図的に特定の時期に集中して資金の投入を行うことはできないという従来の当然の方針を、改めて明確にする、ということである。
 一方、情報公開については、非常に重要であると従来から考えており、透明性の向上にも積極的に取り組んできている。事後的な資金の投入、回収状況の情報の公開についても、今回の、運用方針の明確化に伴って取り組みを検討することとしたのではなく、公表する方向を既に考えていた次第であり、国会等で質問を頂いた際にも、このような情報公開の基本的な考え方について御説明したところである。ただ、公表の方法や時期については、市場への影響に配慮し、混乱を招かぬよう、分科会にも御相談させて頂き、十分御議論頂いた上で公表したいと思っている。
 ○ 乖離許容幅の上限が設定されていない資産があるのは何故か。
 ● 基本ポートフォリオの達成に向けて資産構成割合を増やしていく資産については、上限を定めてその上限を超えた場合に売却を行うこととした場合、翌年度にはまた資産構成割合を増やすことになるため、再度資産を購入せねばならない可能性が高く、不必要な売買を行うことになりかねない。このような非効率な売買を避けるために、資産構成割合を増やしていく資産については上限を設定していないものである。ただし、基本ポートフォリオの資産構成割合に到達すれば、当然上限をつける。
 ○ 「線に沿うように、乖離許容幅の下で、均等な割合で増減させることにより、当該年度末に達成されるべきものとする。」とあるが、移行ポートフォリオは、年度末に達成されればよいのか、それとも、年度内においても、四半期ごと、又は、毎月、達成されなければいけないのか。
 ● 移行ポートフォリオは、年度末の一時点のみをとらえて、そこで達成されていればよいというものではない。「線に沿うように、乖離許容幅の下で、均等な割合で増減させる」という諮問案の文言は、年度内においても、前年度末の数値から当該年度末の移行ポートフォリオの数値に向けて、なだらかに移行させ、乖離許容幅についても連続的に持っていく、という運用方法を表したものである。
 考え方としては、このように、年度全体を通じてなだらかに移行させるということであるが、実際の運用を行う年金資金運用基金においては、管理目標値を設け、四半期ごとに資産構成の状況を押さえていくことを考えている。
 ○ 総合デフレ対策を決定する過程で、様々な議論があり、市場活性化対策として、年金資金が何かできないかという話も出ていたと思う。年金資金は、運用の基本方針に沿って運用しなければならず、デフレ対策等に用いることはできないのは当然のことだ。
 ○ デフレ状況を何とかしたいという政府内部の方々の気持ちは分かるが、年金の運用は、被保険者の利益を最大限にするという観点で運用されるものであり、市場活性化に使われることがあってはならない。
 ○ 分科会の議決として、運用の基本方針に沿った運用を行わねばならないということを、貝塚会長への報告書に記載することも考えられるが、いかがか。
 ○ 賛成である。
 ○ PKOは絶対しないという方針は堅持すべきである。事後的な資金投入の公表等は、PKOなどを行っていないことを実績として証明する意味も持つ。
 ○ 「公的年金積立金の運用に当たっては、運用の基本方針に沿った運用を引き続き堅持するよう要請する。」という文言を、報告書に記載してはどうか。
 ○ 賛成である。

(分科会としての報告案を読み上げ)

 ● 分科会での御審議、報告案の取りまとめ、ありがとうございました。巨大な資産を運用することの責任を、事務局としても、非常に重く受け止めており、年金資金の運用に関しては、できる限り多くの情報を公表すべきだと考えている。但し、公表の方法については、今後ともよく議論をし、分科会でも御相談させて頂きたい。また、その他の本日の議論で出た事項についても取り組んでいきたい。
 ● 今後の手続について御説明したい。社会保障審議会令、社会保障審議会運営規則により、分科会の議決は社会保障審議会の会長の同意を得て、社会保障審議会の議決とすることができる。従って、只今頂いた分科会の議決を、本日速やかに若杉分科会長から貝塚審議会長に御報告頂き、同意を頂ければ、そこで分科会の議決が社会保障審議会の議決となり、答申を頂けるということになる。その後、答申の内容について、記者クラブに説明したいと考えている。

〜以上〜


〈照会先〉年金局運用指導課
   企画係長  下向(しもむかい)
 TEL 5253−1111(内線3350)
 夜間 3595−2868


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