02/02/28 第10回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録       第10回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録        厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課       第10回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年2月28日(木)14:00〜17:13 場所  厚生労働省専用第21会議室(第5合同庁舎17階) 議事  1.スウェーデン補助生殖立法にみる非配偶者間補助生殖子の自己の出自を知る権利    について  2.検討課題1について  3.その他 ○桑島生殖補助医療対策準備室長  定刻となりましたので、ただいまから「第10回厚生科学審議会生殖補助医療部会」を 開催いたします。  本日は、お忙しい中、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。  本日は加藤委員、福武委員がご欠席のご連絡をいただいてございます。また、松尾委 員、小泉委員、金城委員におかれましては、遅れられるというご連絡をいただいてござ います。  それでは、早速、議事に入らせていただきたいと存じます。矢崎部会長、議事の進行 どうぞよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、まず事務局から資料の説明をよろしくお願いします。 ○桑島室長  それでは先生方のお手元に配らせていただいてございます資料の確認をさせていただ きます。資料1でございますが、「補助生殖子の自己の出自を知る権利−スウェーデン 社会庁アンケート調査報告−」、資料2、毎回出させていただいてございます検討課題 1に関する事務局でまとめさせていただいたもの。毎回インターネット等で意見が寄せ られるわけでございますが、参考資料といたしまして、「御意見募集の意見」をまとめ たもの。机上配付でございますけれども、「生殖補助医療で生まれた子どもの心」とい うことで、渡辺委員から提供いただいた資料、「ターナー症候群の女性における卵子提 供による不妊治療の研究」ということで岸本委員からいただいた資料でございます。そ れから、今回はいろいろと新聞等でもご案内のとおりでございますけれども、「代理懐 胎に関する倫理委員会見解(案)」ということで、日本産科婦人科学会から出されたも の、併せまして、最近の新聞でも賑わせてございますが、卵子の若返りに関する新聞記 事等につきましても、机上配付で資料をお配りしてございます。  以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。  この生殖補助医療部会では、できれば今回で課題1の議論を一応済ませたいというふ うに思っておりますが、それは目途でありますので必ずしもこだわっておりませんので 、よろしくお願いいたします。  本日は、さきの資料で説明がありましたように、議論に先立ちまして、生まれた子が 知ることができる提供者の個人情報として、個人を特定することができる個人情報まで 含めております唯一の国とされるスウェーデンの専門家・菱木昭八朗先生から、スウェ ーデンにおける出自を知る権利について、20分を目安にお話しいただきまして、あと15 分程度質疑応答をさせていただきます。  それでは、菱木先生、大変お忙しいところ時間をさいていただきましてありがとうご ざいます。よろしくお願いいたします。 ○菱木先生  菱木でございます。きょうは皆さんの前で、スウェーデンの補助生殖立法の中で、特 に非配偶者間補助生殖子の自己の出自を知る権利ということをお話しさせていただくこ とができて大変光栄に思っております。  まず初めに簡単な世界の動向、スウェーデンの自己の出自を知る権利がどうして認め られるに至ったかというようなことをお話ししながら、さらにそのためにどういうよう な手続をしているかということを順次お話ししていってみたいと思います。  初めに、まずともかく非配偶者間補助生殖医療、人工授精子の場合に、子どもが生ま れたときに、その子に対して出自を知る権利を認めるべきか否かということは世界でも いろんな国で問題になってきているようでございます。国連内部でも、私の入手した情 報によりますと、スウェーデンはやっていると、ほかの国も見習えというような報告書 が出ているというようなことを聞いております。  世界で非配偶者間AIDの自己の出自を知る権利を認めている国はどのくらいあるか というと、残念ながらスウェーデン、オーストリアぐらいでほかの国ではございません 。ただ、ノルウェーでは最近の補助生殖法改正で3月からスウェーデンと同じように全 面的に精子提供者の情報を開示するということになっているようです。さらに、これは 国ではありませんが、オーストラリアの場合ヴィクトリア州の州法で精子提供者の情報 を提供するというふうになっておるようでございます。  ところでスウェーデンでAID子(人工授精子)の出自を知る権利が認められたのは それ程昔からではなく、1984年、正確には1984年の人工授精法以降のことであります。  しかし、その1984年の人工授精法で非配偶者の出自を知る権利が認められるに至った のですけれども、それまでに至るのは大変な道のりであったようです。というのは、ス ウェーデンもそれまでは他のヨーロッパの国と同じように教えないと。精子提供者ある いは人工授精で生まれてきたということを教えないということが大原則で、人工授精を 施行した病院でも全部そういった資料は隠される、あるいは破棄されていたというよう なことになっておったらしいのです。  まず私の話の中で「補助生殖子」、「人工授精子」、「体外受精子」というような言 葉が出てくると思うのですけれども、もし人工授精子と体外受精子を一緒にしてもいい というときには「補助生殖子」というような言葉を使わせていただきます。スウェーデ ンは専らアステーラーゼン・ベファクレムというような言葉が使われているので、そう いう言葉を使わせていただきたと思います。  スウェーデンで1984年、非配偶者間人工授精子の自己の出自を知る権利が認められた のはもちろん法律ですけれども、そういった法律ができる背景としていろんな理由が挙 げられております。  まず1つは、スウェーデン社会のデモクラシー化に伴う人権意識の向上。スウェーデ ンというのは大変に人権意識の高いところで、何でもいいからデモクラシー、子どもの 権利、ともかく子どもの権利という言葉が言われるもので、そういった考え方。もう一 つは、1970年の後半から人工授精子が急に増えたというようなことが挙げられると思い ます。1953年人工授精法という法律の審議会の草案が発表されましたが、その当時人工 授精子は、 150人ぐらいしか人工授精子がいなかったというので、1953年につくられた 人工授精草案、これは立法化されませんでした。なぜ立法化されなかったかというと、 よく理由はわからないのですけれども、教会側から猛烈な反対があったからだというこ ともあるようです。それで立ち消えになって、スウェーデンでは1984年まではほとんど この人工授精子の立法化問題にはだれも手をつけられなかった。  そういったことから人工授精、今の日本と同じようで、ともかくどこでやってもいい と、どうぞということで、私立病院等で可成り自由に行われていたようです。1980年、 調査をスウェーデンがやっております。これは社会庁でやっているのですけれども、そ のときにかなりの人数の人工授精子が生まれてきております。例えば資料2−1の1978 年〜81年までのスウェーデンにおける非配偶者間間人工授精の実施状況、出産数。1978 年〜81年までの間に公立病院だけで 725人ぐらいの非配偶者間人工授精子が生まれてき ているようです。プライベート病院でやったことは挙げられていません。実はこれがス ウェーデンで人工授精法をつくったときの審議会報告書なのですけれども、この報告書 によりますと、大体年間 230人ぐらいの子どもが生まれておったのではないだろうかと 推測されております。ただ、公式な数字はここに出ているだけです。  そういったことで人工授精子はたくさん増えてきたということがあって、たまたまそ の時期にスウェーデンで「ハパランダ事件」という事件が起きたのです。ハパランダ事 件については、私が専修大学の法学論誌に書いております。詳しい経過はそれを読んで いただければいいと思うのですけれども、どういう事件かと申しますと、ある夫婦が子 どもがないと。そこでどうするか、養子もらうか、それとも人工授精やるかということ で、いろんな相談した結果、人工授精やろうということで、ボーデンというスウェーデ ンの北の方にある町の病院で人工授精を受けることになりました。数回受けたけれども 、いつもうまくいかないというので、最後に、もう一回これが最後だと病院に車で行っ たらしいんです。しかし病院に行く途中、車の中で夫の方から、もう病院にゆくのをや めようというようなことを言い出され、夫婦の間で口論になって夫は途中で車を降りて 一人で家に帰ってしまったらしいです。その後、妻だけがひとりで病院へ行って人工授 精をした。そしたら幸か不幸か受精が成功して子どもが生まれたという次第です。その ときのは論で、二人の間はさめてしまって、じゃ、離婚しようかと。間もなくして離婚 してしまいました。  スウェーデンは、皆さんご存じかどうか知りませんけど、離婚は極めて簡単です。子 どもがいないと、夫婦間で離婚の合意が成立するとその日のうちに離婚ができます。16 歳以下の子どもがいると、半年待ちなさいと。半年待って、裁判所へ行って、離婚の判 を押し、長い間、お待ちどうさまでした。離婚慰謝料請求ということは一切ございませ ん。裁判所で裁判官は、なぜ離婚するのですかということを聞くこともありません。聞 いたらプライバシー侵害だ、おまえに聞かれることない、ばーんと怒られます。だから 慰謝料もない。ということで、極めて簡単に別れる。というので夫婦で別れた。  今度別れた後に子どもが生まれた。生まれたから、じゃ、どうしようかというので、 奥さんの方からハパランダという地方裁判所に父性確認の訴え。スウェーデン法では「 父性存在確認の訴え」というんですけど、それと扶養請求の訴えを出された。それで裁 判所ですったもんだやって、一審では人工授精やることに、だんなさんがオーケイした のだから、それはあんたは認知していることと同じだと言われたわけです。それで一審 は奥さんが勝った。二審へ行った。二審は今度奥さんの方が負けて、それで今度またさ らに最高裁へ行ったと。(後日、菱木氏より一審も二審も妻側の敗訴との訂正あり)最 高裁では、スウェーデンの親子法では人工授精子で同意がなければだめだと。完全に夫 婦げんかしてノーと言っている。だからだめ。親子関係なし、却下ということで、結局 その子どもは父不明の子ということで決着がついたわけです。  そういったことで、その事件が新聞に大々的に報道されたので、スウェーデン政府は これでは困ると。人工授精子もかなり多くなっているということで、急遽人工授精問題 を検討するための審議会を設けようというので、1981年の12月に人工授精問題特別調査 委員会という委員会を設けたわけです。そのときの委員長さんが司法オンブズマンのト ールス・ウエーネィという裁判官だった人がなりまして、いろいろその問題を検討した 結果、1983年に「人工授精子」という報告書を作成して政府に提出した。それがこれな のです。  今まで人工授精子に対して、自己の出自を知る権利を認めている国があるか、それは ないと。どうしたらいいかいろいろ検討した結果、外国の養子縁組、養子研究をして、 特にアメリカ、カナダ、イギリスの文献を調査してAID子の子どもに教えた方がより ベターであろうということで、この報告書で子どもの出自を知る権利を認めるべきであ るという提案を行ったわけです。  しかし、提案は行ったけれども、この提案が出て、翌日の新聞もいろんな意見が出て いました。特に産婦人科のお医者さんのグループから、そんなことしたら、スウェーデ ンで人工授精生殖補助医療が不可能になると。精子の提供をだれもやらなくなるという ことで大反対が起こりまして、中には、ある病院ではもうやめた。そんなこと言うなら 、我々の病院では不妊治療をやらないといって、非配偶者間人工受精を中止した病院も できたそうです。事実、その後のスウェーデンの非配偶者間人工授精子の数が激減しま した。  それがここの資料2−3にあります。人工受精法が施行されるまでは毎年 230人とい う、10分の1ぐらいに激減するわけです。しかし激減しても、スウェーデン政府はしよ うがないと。全く精子提供者はいないことではない、いると。それもカロリンスカ病院 というところで調査しまして、14人のインタビュー調査ですけれども、ほとんどの人が 、教えてもいい、ということで、何とかそれは確保できるだろうということで法律をつ くっておるのですけれども、さらに1980年代から体外受精という補助生殖技術(体外受 精技術)が物すごい進んできたということで、他人の精子を使わないでも、顕微鏡受精 というのでしょうか、マイクロ・インジェクション、こられを使えばかなり成功率が高 いということで、そっちの方にほとんど移ったと。  その実施状況、この資料1を見ていただくとわかりますが、1994年〜1997年の間で人 工授精・体外受精をやった病院の名前がずっとここに出ております。この表を見る限り 、最後のH、私も医者でないので何て訳していいかわからないのですが、Stimulerad cy kelとかstandard、standardというのは、恐らく排卵剤使わない普通のIVFだと思う のですけれども、それを見るとHがほとんどないわけです。昔はかなり人工授精をやっ ておったのですけれども、今はほとんど人工授精をやめて、みんな体外受精の方に切り 替わっている。ここにあります脚注にA、B、C、D、E、F、G、H、Iというのは こういうことですよというのがあります。 ○鈴木委員  四角のところはどうやら文字化けをしているようですね。これはバツの表示ですね。 私たちがいただいたのは。縦棒になっているのはバツ印のようですね。 ○菱木先生  そうですね。 ○鈴木委員  実施しなかったという。 ○菱木先生  そうです。すいません。  そういうことで来たのですけれども、今度スウェーデンで体外受精法の改正をしよう と。今まで体外受精法、ここに条文が資料に入っていますけれども、体外受精は夫婦間 だけにしか認められない、だめということになっておったわけです。しかし、人工授精 で非配偶者間人工授精子認められているのではないか。だから体外受精でも認めろとい う声が国会議員の方からかなり強く出たらしいのです。  と同時に、もう一つは、女性団体から提供精子を使うのなら提供卵子も使えと。男女 平等であると。提供卵子を使わないのは不平等である。けしからん、差別であるという ようなことで、しようがないからそうしましょうということで、政府は審議会をつくっ て、新しい体外受精法の制定に踏み切ったわけです。今、体外受精法はどうなっている かというと、ここにあるこれがスウェーデンの政府の法案です。一応こういうのが出て くる。そうするとそれをもとにして政府は法案をつくって国会に提出する。  国会に提出されますと、各議員さんにこれが全部配られて、これをやって益のあるも のは言ってこいとということをやるわけです。それのうちの締め切りが2月7日で、恐 らくそれをまとめて、1カ月ぐらいかかるかもわかりません。そうすると国会の委員会 でいろんな議論をして、それで本会議に上程する。恐らく4月か5月になると思います 。そして新しい法律が来年の1月1日に施行されるというふうになっております。この 新しい法案でも、非配偶者間体外受精子は人工授精子と同じように、つまり精子提供者 、卵子提供者の氏名を教えるというふうにしております。  ここまでは法律です。法律で非配偶者間補助生殖子の出自を知る権利というものは確 保されたのですけれども、それでは実際どうなのだと。それを教えるのはだれが教える のだ、どういうことを教えるのだ。いつ教えるのだと、いろんな今度細かい問題が出て くるわけです。この問題についていろんな議論がまたありまして、まずだれが教えるの だ。一番いいのは、これはもちろん養子縁組の研究から引き出してきた結論ですけれど も、親が教えるのが一番いいのだと、これは当たり前で、なぜ親が教えるのが一番いい のかというと、親が隠していると必ずばれる。ばれたときに親子間の関係がまずくなる と。とすれば、初めから教えておいた方が無難だと。  スウェーデンの心理学学会などもともかく教えなさいと。結局非配偶者間人工授精子 あるいは体外受精子と親子関係がおかしくなるのは、その真実、非配偶者間人工授精で あったということではなくて、そういった情報から阻害されたという、親に対する不信 感、これが一番問題なのだと言われているわけです。親に一応教える方向でいった方が よいと。それを義務づけるかという問題があったのですが、いや、それは義務づけるま ではいかんだろうと、教えたくない者もいるしと。そこで教えたくない者はどうなのだ と。親が教えればいいけど、教えなければどうなのだと。そうすると非配偶者間人工授 精子・体外受精子は一生知らないで終わってしまうのではないかというような議論が起 こったわけです。 そのときに、社会庁とか児童オンブズマンから、では日本で言う戸 籍法を改正しろと。スウェーデンでは戸籍法と言いません、ホルブブークフェレンとい うんですけど、そこに記載すればいいのではないかというような提案がなされたわけで す。  そしたら、今度政府は、いや、それは困ると。なぜと。スウェーデンはご存じのよう に、憲法上の大原則で、公開の原則、政府とかそういった機関が持っている情報は全部 公開が大原則だと。そうするとそれを全部引き出されたら困る。関係ない者が全部そう いうことを引き出して、おまえだと言われても困る。だから、それはやめようというこ とで、結局親の教育、医者の教育ということでやろうではないかということで今のとこ ろ落ちついておるわけです。  そのために人工授精を受ける人は、まず医者へ行って、医者が非常に詳しく、子ども に教えることはいかに重要であるかということを教育すると。これは医者の義務です。 医者は必ずやれと。そういう助言指導をしなさいというふうになっておるわけです。し かし、親が教えなければどうしようもなくなるだろう。  実は人工授精法あるいは体外受精法の規定では、子どもが自己の出自を知る権利を行 使する年齢、大体これが10代を超えたらいいのではないか。幾つとは書いてありません 。初め、この報告書では18歳、青年に達したらいいのではないかということだったので すけれども、いろいろ議論が出て、18歳になる前でも早熟の子どもがいるだろうと。知 りたいと言うかもわからない。それはどうするのだと。結局認めてもそういうことをし なかったらどうしようもないのではないかということでいろいろ議論があって、十分に 成熟したときというような、極めてあいまいな言葉を使っているわけです。成熟したと きは幾つか。大体13〜14ぐらいからだろうというふうに考えられておるわけです。  ちょうど今ごろ人工授精法が施行された後に生まれてきた子が最高年齢15。ですから1 7ぐらいになりますか。そうするとそろそろ自分の出自を知る権利の請求をしてくる年 かなということで、スウェーデン社会庁はもちろんそれだけではないのですけれども、 今回の体外受精法の改正に関連して、どの程度まで親が子どもに人工授精子であること を教えているかというアンケート調査をやった。それの報告書がこれです(補助生殖子 の自己の出自を知る権利 スウェーデン社会庁アンケート調査報告)。  このアンケート調査はカロリンスカ病院とウーメオ病院(大学付属)の2つの病院を 対象にして行ったものであります。なぜ2つの病院が調査対象になったかというと、こ の病院が自己の出自を知る権利について非常に積極的に行動しているということで、こ の病院を選んだらしいです。  この調査は1998年に行われたものでありますが、調査対象となった非配偶者間人工授 精子の親は人工授精法施行後1997年までに生まれた人工授精子の親、これは194 組ある そうです。調査はアンケート方式によって行われていますが、質問は17項目。ここに質 問用紙が付けられていますけれども、そういった質問のアンケートを送って回答しても らって送ってもらったというようなことでやったらしいのです。結局実際にアンケート が返ってきたのが 148通で、回収率76%ということになっております。  このアンケートの一番重要なテーマは、どれだけ非配偶者間人工授精子の親が子ども に対して人工授精子であるかということを教えているかということであります。この調 査報告によりますと、ここにもデータがありますが、実際教えていると答えた夫婦は20 %(17)しかいません。あとの80%は教えていない(131) というような数字が出てきてお ります。しかし、大体初めのころやった人工授精をやった親は大体教えないということ が前提になっているということで教えないらしいのですけれども、だんだん子どもの年 齢が下がる、1つ、2つということになってくると、親はもう教えるという方向に動い ている。だから将来はかなり教える数も増えてくるのではないだろうか。  さらに自由質問というのでしょうか、そこの答えを合わせると大体40%が、記述式解 答において将来機会があれば教えたいと答えているからです。ただそのうち、20%の親 は絶対金輪際教えないというふうに答えているようです。  なぜ、教えるかというと、それは当たり前だと。子どもには自分のルーツを知る権利 があるのだということが1つ。それから、教えないでおって、だれかからその事実を知 ったら大きな精神的なダメージを受けるだろう。だから、その前に教えておくのだとい う回答。  さらにそういう事実を教えることによって親子関係が一番スムースにいくと。教えな いでおくと、何で教えなかったのだということで、父親に対する信頼感、尊敬の念、そ ういうものが薄れてしまうので教えましょうと。  そういった結果、大体アメリカ、カナダの養子縁組、さらにスウェーデンで行われて いる養子縁組。そういったデータからそういう結論を引き出しております。  さらに幾つぐらいのときに教えたらいいか。これもまたいろいろな研究結果が出てい るので何とも言えないのですけれども、結局早ければ早いほどいいと。早いといっても 、これは1つのときに教えてもどうしようもないから、3歳〜4歳ぐらいになったら少 しずつ教えたらいいのではないかというふうに言われております。  しかし、教えるといっても、何を教えるのだ。親が子どもに、「あなたは人工授精子 ですよ」と教えても、親は精子提供者の情報についてそれほど知っているわけではない 。というのは、スウェーデンでは「秘密保護法」というのがあるのです。公資料公開の 原則と同時に秘密法という法律があって、個人の情報、例えば医療情報・健康、そうい うものについての情報は絶対外に漏らしてはならないと。それはもちろん公立病院につ く原則として、さらに私立病院でもそういった医療・保健・健康情報は全部秘密であり 、漏らしてはならないということがあるので、人工授精を受ける者も、だれが精子の提 供者かわからない。さらに与えた方も、だれがそれを使っているかわからない。という のでそこで断絶がある。  とすると、親が、「あなたは人工授精子ですよ」と教えても、子どもが「お父さんだ れだ」と言ったらどうするのだと。そういったことを教えることによって、かえって子 どもの不信感を醸し出すではないか。だから、そんなのはやめてしまえというような議 論もあるわけです。  そのときに厚生省なんかの説明は、そのときにはいろんな専門家を使おうと。専門家 のアドバイスを受けて、子どもの精神的なダメージを与えないような形で教えると。そ して、将来もう少し大きくなったら、あなたは自分でその情報を入手できますよという ような確実な保障を与えておくということが必要なのだということが言われています。 しかし、どこまで教えるか。  もう一つ、問題になるのは、精子提供を受けて人工授精をする人が、一体どの程度の 情報を持てるか。これはもちろん親戚、兄弟からもらったというと、これは話すまでも なくてわかってしまうということで、それについては、これは医者の考え方にしようで はないかということを言っています。  さらにもう一つは、ここは重要なことなんですけれども、子どもが13歳になった。自 分が人工授精子であることを知った。そのときに親に「私のお父さんだれだ」、親は「 知らん、そんなもの」と。その次に、そうすると結局人工授精法第4条で、自己の出自 を知る権利が確保されても何もならないのではないかということで、そういう場合には 、子どもは自分で福祉委員会へ行って、私のお父さんだれだ、教えろということを言っ て協力を求めることができる。また、そういった要請があった場合には社会福祉委員会 がそれに対して協力しなければならない。これは法律上の義務である。  社会福祉委員会というのは各市町村(コミューン)自治体に必ずある委員会で、そこ に専門家が何人かいて、そこでいろいろな相談にのることができるようにしています。  さらにもう一つ、一般的に病院の義務として医療関係のカルテは長くて20年、普通5 年で破棄される。それでは困るのだ。もし、そんな今までのような医療法で規定されて いる保存期間だけでやったら、子どもが20歳になって行ったらもう既にない。それでは 困る、意味がないというので人工授精法では保存期間が70年となっております。物すご い長いのですけれども、必ず保存しておくということが実施病院に義務づけられていま す。  スウェーデンで人工授精をやるのは昔はどこでもやれたのですけれども、法律ができ て国公立病院に限るというふうになって全部社会庁の許可を得た場合には例外だけれど も、原則は国公立病院ということになっております。  さらに今度の改正体外受精法では、非配偶者間体外受精をやるのは大学病院に限ると いうことになっております。ほかの国公立病院であってもだめというような規定を設け ております。  非常にさっと、えらい慌ててお話しましたけど、時間が20分だそうで、一応これでお 話を終わらせていただきます。ご静聴どうもありがとうございました。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。大変貴重なスウェーデンの出自を知る権利の法案の 経緯と実際の生殖補助医療の実態に及ぼした影響についてまで詳しく述べていただきま した。委員の方々で何かご質問ございますでしょうか。 ○古山委員  実施病院で特別のカルテにいろいろ記載するわけですけど、その項目についてはオー プンにされているのでしょうか。 ○菱木先生  人工授精に関する限り、特別なカルテがあるらしいのです。私は見たことがありませ んけれども、特別のカルテをつくって、それに記入せいと。それには精子提供者、精子 提供を受けた者(夫婦)、さらに生まれてきた子どものこと全部記録されているようで す。それが全部保存されています。  さらに今スウェーデンでは人工授精あるいは体外受精によって生まれてきた子どもの 健康状態、体重何キロ、身長何とかそういうことは全部データがあります。私のところ にも全部、ただ、私は医者ではございませんので、余り興味ないので見ませんけれども 、奇形児が出ているとか、二つ子、三つ子が生まれてきているというような報告があり ます。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。 ○才村委員  先ほど子どもさんの方から出自を知るということで請求できるというふうなお話で、 各市町村にある社会福祉委員会がサポートをされているという話なんですけれども、実 際に請求された事例とかのデータはお持ちなのでしょうか。 ○菱木先生  まだ、それはないようです。 ○才村委員  それは実際に請求されている事例はあるかないかについては。 ○菱木先生  それもまだ出てきていないようです。 ○金城委員  そうすると実際に子どもが親を知って、そしてさまざまな問題が起こったとか、そう いうこともまだ話題にはなってないということですか。 ○菱木先生  多分私はあると思います。ただ、それが表面化していないだけだと思います。 ○金城委員  報道しないということ。 ○菱木先生  はい。というのは新聞などで、この前も最高裁判所でヤミ人工授精で生まれた子ども の父性の問題が出てきましたけれども、しかし、それはあくまでも裁判記録として残っ ているだけでよくわからないです。恐らくこれから出てくるかもわかりません。ただ、 それはプライベートなもので、これを全部公表するか、どういう形で公表するか。これ は恐らく近いうちに社会庁からその指導要綱は出ると思うんです。そうしない限りそこ までの情報はわからないですね。日本でも同じようになかなかしゃべってくれないと。 ○安藤委員  現行人工授精法の資料7の第6条のところですが、冷凍保存精子は社会庁の許可なし には国内に搬入してはいけないということがありますけれども、一括した管理になって おる。 ○菱木先生  私がスウェーデンにおったのは20〜30年も前の話ですけど、ダイレクトメールで、精 子買いませんかと来るらしいんです。そういうこともあって、いろんなのがあって、そ れを入れたら結局親子関係がわからなくなる、ルーズになるとか、だからノーと。それ をもし送ったり、あるいは持ち込んだりしたら、最高6カ月以上の懲役だといった罰則 規定があります。 ○安藤委員  大学病院のみで実施されるということでしたので、この冷凍保存精子とか卵子とか、 そういうものは一括してある機関で管理しているものなのかどうかというところは。 ○菱木先生  各大学で管理します。 ○安藤委員  ありがとうございました。 ○菱木先生  各大学というのはそんなに大学があるわけではないですから、ウプサラ、ストックホ ルム、ヨーテボルイが一番盛んらしいのですが、最近ウーメオという北の方にある大学 、そこでも最近生殖医療が盛んに行われているようです。4つか5つしかないのではな いですか。 ○石井委員  興味深いお話ありがとうございました。幾つかあるのですが、1つ目は、福祉庁に子 どもは請求するということなんですが、親から知らされてない子どもが自分は人工授精 子ではないかということで問うて行って何か情報を得ることができるのかどうか。 ○菱木先生  できます。 ○石井委員  それでも調べてくれるということですか。 ○菱木委員  はい。絶対に却下しません。一応は受け付けてくれます。ただ、そのときに社会福祉 委員会の担当者は子どもといろいろ話をするらしいです。そして社会福祉委員会の面接 担当者が時期面早だと思った場合早いからもうちょっとお待ちとかいろんな説得をした りして、それでもなおかつ聞きたいと言うと、必ず実施病院にどういう情報があるかと いうことを聞くことになっているらしいのです。 ○石井委員  2点目は今おっしゃられたことと関連するのですが、社会庁が十分に成長しているか どうかということの判断はやると。 ○菱木先生  社会福祉委員会であります。 ○石井委員  社会福祉委員会が……。 ○菱木先生  各地方自治体、コミューン(市町村)の委員会で職員が立ち合うらしい。そのときに 、ただ、普通のそういった教育というんですか、受けてない人は困るので、専門家を呼 んで専門家にいろんな話を聞かせるらしいんです。 ○石井委員  もう一点は、先ほどの話でよくわからなかったのですが、近親者からの提供というこ とも認められているということなんですか。 ○菱木先生  認められています。特に今度の体外受精法の改正に際し、あえて断る必要はないので はないかと。というのは、特に卵子提供などは少ないだろうと。そうなれば近親者でも 認めた方がいいということになっています。ただ、法律には書いてありません。 ○石井委員  特に定めてはいない。 ○菱木先生  特に法律では定めていません。 ○石井委員  特に禁止はしてないということで。 ○菱木委員  規定はしていません。ただ、この報告書の中ではそういうふうに書かれています。そ れを決めるのは医者なのだと、お医者さんが決めると。担当医が体外受精を受ける人の 社会的な状況だとか精神的な状況いろんなことを調査をして、これだったら子どもを育 てるに足るなと思ったときにオーケイします。だから、頭がおかしいなんて怒られるか もしれませんが、そういったちょっとおかしいというときには却下です。 ○石井委員  ありがとうございました。 ○矢崎部会長  大変大切な情報をお知らせいただきましてありがとうございました。時間も迫ってま いりましたので、菱木先生のお話はこれで終了させていただきたいと思います。ただ、 この部会の議論に対してパブリック・コメント、そのほかのところから、生殖補助医療 の実態の調査が十分でないのに議論するのはいかがなものかというご意見が随分ありま した。この部会でも最初の方の回にその議論をしましたけれども、実態調査が困難であ るということを委員の先生方からいただきまして、このようなスウェーデンの自己の出 自を知る権利が認められている国でいながら、菱木先生のお話のように実態はなかなか つかめてないということで、出産数その他の客観的なものは把握できますけれども、そ れにまつわるこの部会で一番関心の高い状況についてはスウェーデンでも十分把握され てないというようなお話と理解しました。  本当にどうもありがとうございました。  それでは、引き続き議事に入らせていただきたいと思いますが、先ほど事務局から資 料の説明がございましたように、幾つかの課題がございました。それと渡辺委員、岸本 委員、荒木委員から資料いただきました。まず初めにマスコミの報道にございました卵 子の若返りについて、新聞記事が机上に配付されておりますので、ご参考までにしてい ただければと思います。今回話題になりました卵子の若返りにつきまして、この部会で も少し議論しておいた方がいいかと思いまして、議事の前に少し時間をとっていただき まして議論を進めたいと思いますが、まず話のきっかけに吉村委員から説明を簡単にい ただけますでしょうか。 ○吉村委員  先生、この方法を簡単に説明すればよろしいですか。 ○矢崎部会長  というより、この問題、これは。 ○吉村委員  私はそれを簡単に漫画を書いたのですけど。 ○矢崎部会長  この件にかかわることですね。ですから、これをちょっと参照しながら。 ○吉村委員  私、急いで漫画を書いたのですけど、「若返り」という言葉は普通は新聞が使うだけ でありまして、若返りかどうかは本当にわからないのですけれども、この方法には2つ の方法があるということです。今回やられたような核移植の場合と核以外の細胞質を置 換する方法があるわけです。細胞質を置換する方法については、例えば若い人の細胞質 を年寄りの細胞質の中に入れると。こういったことでは一応子どもさんはもうできてい ます。アメリカなどでもできています。30名〜35名ぐらいだと思いますけれども、正式 な数は私も知りませんが、それはできております。  今回の場合は核の移植であります。これは上の段を見ていただきたいのですが、これ はヒト胚核移植胚です。これは総合科学技術会議で11月の終わりの段階でこれは作成が 禁止された胚であります。以前は9月の答申では、作成はよろしいのではないかと、こ ういったものはいろんな研究的な意味があって作成だけはよろしい。ヒトに返してはい けないということだったのですが、一応誤解を招かないためにどういうものかというこ とをここに説明しておきました。  ヒト胚核移植胚というのは上ですが、ヒトの精子とヒトの卵ですから、ご夫婦で体外 受精をするわけです。それが分割してまいります。そしてもう一つ、別のヒト、若い方 から卵子をもらっても何でもいいのですけど、卵子をいただきます。そして、この別の 方の卵子の核を除核いたします。そうすると細胞質だけになるわけですが、ここに体外 受精で得た小さいもの、「核球」というのですけど、核球の核を移植するという方法で す。これがヒト胚核移植胚です。  今回やられたのはどういうことかと申しますと下の方であります。まず別のヒトの卵 子と妻の卵子があったといたします。これは夫婦に一応いたしました。妻の卵子の核を 取り出しまして、別のヒトの核を除核したものの中に妻の核を入れるわけです。そうす ると妻の核を持った卵子ができます。それをこれは核を取り出す場合に未成熟な卵子な んです。成熟していない卵子。ですから本来ならば、卵胞といいまして、卵胞の中にあ ってまだ未熟な卵子です。この卵子を外で成熟させます。そして排卵したと同じような 状況に卵子をいたしまして、夫の精子を顕微授精するわけです。そしてそれが胚になる 。  これがこの前、新聞に出ていたのは多分のこの方法で行われていると思います。これ は欧米におきましても、まだ学会ジャーナルに発表される程度でありまして、基礎的な 研究は十分に必要であろうということは言われております。  その際に問題点となるのは、まだ、このほかにもあるのですが、一番初めの問題は、 細胞質にはミトコンドリアDNAというのがございます。これは核のDNAとは違うも のですが、核移植胚を見ていただきたいのですが、妻の核は持っておりますが、細胞質 のミトコンドリアDNAは他人のミトコンドリアDNAということになります。夫の精 子が入るわけですから、3人のDNAを持つということになります。  それから、2番目の問題点は、卵子の提供を受ける際に、要するにレシピエントとド ナーの卵子を一緒に採ってこなくてはいけないということであります。同時に採ってき て、たまたま例えば3人の方を体外受精して、卵を採り出してきて、そして成熟してな い卵子が見つかりましたと。そして、若い人の卵子をちょっと貸してくださいというこ とになりますので、これは同期化をさせないといけないわけです。1日に10例、20例や っているところはアメリカでは幾らでもありますので、そういった場合にはこういった ことも可能になるかもしれませんが、大変それが難しいことではないかと思います。  それはもうちょっと難しい話になるのですが、これは理解されないかもしれませんが 、この核を採り出す場合に普通は未熟な卵子を使うわけです。未熟な卵子を使いますけ れども、例えば培養器の中に卵子を置いておきますと自然成熟というのが起こってしま うわけです。ここには非常にまた減数分裂という難しい過程が入るわけですけれども、 減数分裂が再開してしまうわけです。そういたしますと何とかして同時に採ってこない と難しいという点があります。例えばもらう卵子、若い人の卵子を3時間前に採り出し ました。3時間後に目的のちょっと年を取った女性の方の卵子が採れました。そうなり ますと、その3時間を経過いたしますと、若い人の卵子が減数分裂が進んでしまうとい うことが出てきます。そうしますと、一緒に合わせてやらなくてはいけない。その際に 減数分裂をとめておくお薬を使うということも、論文でもそれは書いてないのですけれ ども、恐らくそれはやられている可能性はあると思いますが、すなわち同期化をして、 同時に採ってこなくてはいけないという難しさがあります。  それから、卵子のエイジングによる細胞質の質、こういったことが本当に許されるか 。これは倫理的な問題ですけれども、そういったことが本当にある。この3つの大きな 問題点があると思います。  もう一つの問題点は、核を移植した後に減数分裂を進行させなくてはいけないわけで す。また、これは減数分裂の途中ですので、減数分裂というのは、第1減数分裂、第2 減数分裂あるのですけれども、それを進めなくてはいけない。第1減数分裂までまず終 わらせないといけないわけです。その際に本当に核を移植した胚でまともに減数分裂が 起こってくるかどうかという問題点はまだ完全にクリアーできてないということです。  それから、体外で成熟させることが必要になってくるわけですけれども、これも本当 に効率よく生体内と起こるのと同じように体外で成熟させることができるのかという問 題点もあります。  それから、細胞質の核というのは、互いに相互にインタープレーをしているわけであ りまして、要するに核を採り出し細胞質と全く違ったものであって、本当にインタープ レーが保たれるかどうか、こういった難しい問題点も出てくる。  いずれにしても、まだクリアーしなくてはいけない難しい問題点がたくさんあるとい うことです。  以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。私個人としましては、この生殖補助医療の検討対象 というのは、「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない」ということが入ってい ますので、その点で今回の方法に疑義を持ちたいと思いますし、また、この核を採り出 して核を入れるというのはヒトのクローン技術そのものであって、たまたまこれは精子 ・卵子の核ですけれども、これはそのまま体細胞の核に行けばクローン技術そのものに なると思いますので、私個人的には委員の皆様に意見お聞きする前に、吉村委員から医 学的な問題と、もう一つは、この部会の今までの議論を踏まえた上でちょっと申し上げ ましたが、委員の方々で何か追加のご意見その他ございますでしょうか。 ○鈴木委員  確認なのですが、今までの話し合いでは、卵が1つでも採れる方は、これも卵提供と いうことが前提になる技術なわけですよね。卵が1つでも採れる方は提供の対象にはな らないというふうに今まで話してきたと思いますので、これは使えないと、そういう意 味でもできない技術になるということでよろしいのでしょうか。今までの話の流れであ れば。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。そのほか何かございますでしょうか。 ○金城委員  質問なのですが、DNAが3人混ざるというお話ですよね。ミトコンドリアに入って いるDNAというのは何%ぐらいというふうに理解したらよろしいのでしょうか。 ○吉村委員  それについては、核内についての何%とかそういうことは詳しくわかっていません。 要するにミトコンドリアDNAとは核内のDNAとは異なることはわかっています。ミ トコンドリアにも遺伝子があると。それによってミトコンドリア遺伝病というのはでき てくる。そういうこともわかっていますが、どのくらいの割合を占めているかというこ とについてはわかってないと思います。  核の遺伝子からコードされた装置より、複製、転写されるということがありますので 、核からミトコンドリア遺伝子が影響を受けるいうことはあると思いますので、果たし て切ってしまうとどういうことになるかということについては未知の部分はあるのでは ないかと思います。 ○矢崎部会長  遺伝子という議論になりますと、遺伝子の数のトータルがまだわかってませんので出 せないと思います。ただ、DNAの数からいくと何%ぐらいになるということはある程 度わかっていますが、遺伝子のレベルでは。 ○金城委員  DNAは何%ぐらい。 ○矢崎部会長  間違っていたらごめんなさい。核は30億個、ミトコンドリアは数千ですね。 ○吉村委員  数千だと思いますが、忘れましたけど。 ○矢崎部会長  ただ、非常に重要な機能を持ったたんぱくを生合成することは確かですので、それの 異常によって多くの遺伝性の母系遺伝の有名な疾患がたくさんございますので、生命を 保つ上で重要な遺伝子を持っていることは確かです。  そのほかいかがでしょうか。どうもありがとうございました。 ○鈴木委員  もう一つだけ確認なのですが、今、この2種類のヒト胚核移植胚と核移植、クローン 規制法の指針の方もできつつあったと思うのですけれども、この2つのやり方、もう一 つ、核置換のことも含めてなのですが、体内に戻していいという指針になったのでした か、そこも確認させていただきたいのですが。 ○荒木委員  学会の見解から申しますと、精子・卵子・胚の研究はしてよろしいということ、その かわり登録してほしい。しかし、それを生殖医療に用いてはならないという決まりがあ りますから、戻すことはできない。  それから、もう一つ大事なことは遺伝子操作を行わないということになっていますか ら、これは抵触するかもわかりませんです。 ○町野委員  今の件ですけれども、これはクローン指針のことをおっしゃっているのですか。 ○鈴木委員  はい。 ○町野委員  これはとにかくすべての特定胚といいますか、こういう胚は何の理由もとらず着床さ せてはいけないということになっていますから、その点では最初から変わってないです 。  それから、先ほど矢崎先生とかいろんな方から、これは対象外ではないかという議論 が出ましたけれども、果たしてそういうのかというのは私はかなり疑問を持っておりま して、1つは、先ほどのご意見の中で、ヒトの卵を借りてきてやるというのは、自分の 卵が提供できる以上は対象にならないのではないかというご議論がありましたけれども 、これはそのような例ではなくて、自分の卵を向上させるためのものですから、ヒトの 卵に受精させるというタイプではないですから、この問題ではないだろうと思いますけ れども。 ○矢崎部会長  理由として、高齢による不妊が対象になっておれば、これも対象外にはなると思うん です。 ○町野委員  そうですね。それから、クローン技術を使うから問題ということですけれども、やは りクローン技術が何が問題かといいますと、クローン法の中では、結局複製をつくるの がよくないと。そしてその可能性があるものをつくってはいけないという、アトキメロ とハイブリットがあるわけですから、これと受精してない卵についての核移植の問題と いうのは全然規制の目的が違いますから、それからは言えないだろうと思います。 ○矢崎部会長  同一ではなくてその技術につながるという意味で。ですけど、なかなかその点は難し いと思いますので。 ○平山委員  そうだと思います。非常に難しいというのは、実は生殖医療の今の最前線では、これ はすごい大きなトピックスですよね、吉村先生。これは世界的に一番結構力を入れられ ている技術の1つであるというふうに私は聞いているんですね。ですからクローンとか そういうのとは別として多分生殖医療の研究者たちは考えて進められていると私は理解 しているのですけれども。 ○石井委員  幾つかあるのですが、1点目はクローンで禁止されていることに今回のは当てはまら ないですよね。戻してはいけないということですけど、胚ではなくて卵の核移植だから ということで、指針はもうできているのですけれど、それの該当ではないということだ と思います。  それと先ほどから鈴木さんがおっしゃったことと町野先生がおっしゃったことと関連 するのですけれども、従来の卵子提供として考えていた枠外であることは確かだと思う のですけれども、その点で、きょうここで取り上げていただいたことは大変いいことだ と思うんですが、もう少しきちんと、認めないということであるならば、その認めない ということをはっきりしておいた方がいいのではないか。従来の禁止の枠内で禁止でき るという、そういう取扱いではなくて、これはこういうことで認められないのだ。1つ は加齢によるということで認められないということのということでもいいと思うのです が、ただ、従来の加齢だと50歳をというのがありましたから、新聞報道などを見ると40 歳の人のなんていう形を書いていますから、そうするとこれでは禁止できないことにな ってしまうのではないかということがあるのと、9ページのところでは、「臨床的診断 として自己の卵子が存在しない場合」ということであり、その上には「医師の裁量とす る」というのが入っているので、場合によっては医師が裁量でそういうものは、使える 卵子がないというのは臨床的診断としてないと、そういう解釈の余地があるというよう な理解があっては困るので、はっきりさせておいた方がいいのではないか。そのために はきちんと理由づけをしておく方がいいのではないかと私は思うんですけれども。 ○矢崎部会長  貴重なご意見ありがとうございました。それでは、この件につきましては、どういう ふうに議論を進めて結論をどうするか、また改めて議論して、今、石井委員が言われた ようなはっきりした、この部会での見解を出したいと思います。  私、ちょっと先走ってお話ししましたけれども、荒木委員がおっしゃられたように、 子宮に戻さないということは学会でははっきりした倫理委員会の意見として出されてい るわけですね。 ○荒木委員  出しています。 ○矢崎部会長  ですから、その倫理委員会にこれがどこまで当てはまるかどうかの議論も必要だと思 いますので、また機会を改めて議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○町野委員  確認なのですけど、子宮に戻さないと言ったのは下の場合についても、議論した上で のことですか。一番上の方は戻さないのは明らかだろうと思いますけれども、下の方に ついてまでご議論があったということなんですか。 ○矢崎部会長  上も下も含めてもう一度、今の胚の移植の。 ○町野委員  産科婦人科学会の方のあれは上の方の問題ですね。 ○矢崎部会長  はい。 ○町野委員  わかりました。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは次に机上配付資料として、渡辺委員、岸本委員、荒木 委員から資料を提供されておりますので、それについて簡単にそれぞれお話しいただけ ればと思います。まず渡辺委員からよろしくお願いいたします。 ○渡辺委員  私の方の資料ですけれども、ことしの2月の助産婦雑誌に「生殖補助医療で生まれた 子どもの心」という論文を出させていただきました。これは私自身の臨床経験の中で出 自に問題に絡んで、子どもたち自身が苦しんだ症例を中心に述べてみましたけれども、 同時に今参考になると思われる幾つかのフィクションになるかもしれませんけれども、 小説や欧米で出されておりますいろんなアンケート調査を検討いたしました。  生殖補助医療ということに限らず、子どもにとっての親子関係、家族関係がいかに子 どもの人格形成、生きている存在の原点として大事かというあたりを改めて確認しつつ 、こういう生殖補助医療を考えていきませんと、やはり技術が先走って生まれてくる子 どもたちの悲劇を私たち自身の手で生み出すことになりかねないと思いまして、当事者 の方たちの意見に直接私は触れているわけではないので、こういう検討をすることによ って、当事者の方たちがもっと日本の中でもご自分たちの意見を言ってくださって、私 たちの考えの方向を当事者中心のものにしていける、そういうステップにと思って資料 を提供させていただきました。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。続いて岸本委員からよろしくお願いします。 ○岸本委員  私の方からは、「ターナー症候群の女性における卵子提供による不妊治療の研究」の 紹介ということで提出させていただきました。この資料は、イギリスとイスラエルとフ ィンランドのものを、うちの「ひまわりの会」の会員さんと小児科のドクター、産婦人 科のドクターの協力を得て訳していただいたものです。内容といたしましては、ターナ ー症候群にとって、今までは不妊で妊娠をあきらめなければいけない状態だったんです けれども、この卵子提供によって、ここの内容としては流産率というのはすごく高いの ですけど、すごく厳しい段階ですけど、こういう研究がされることによって、今後ター ナーの人にとって非常に希望もありますし、また、これからの今後のますますの研究に 期待したいと思います。  以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。続いて荒木委員からよろしくお願いします。 ○荒木委員  日本産科婦人科学会では、前から倫理審議会で代理懐胎に関する諮問を行い、答申を 受けてまいりました。その倫理審議会からの答申を受けて倫理委員会で慎重に検討し、 今月の2月23日の土曜日、産科婦人科学会の理事会にこれを提出いたしまして、理事会 案が認められました。この資料は、「倫理委員会見解(案)」と書いてありますが、こ れは日本産科婦人科学会理事会(案)ととっても結構でございます。その内容を一言で 言えば、代理懐胎の実施は認められないということです。  また、2番目はめくって書いてありますけど、また代理懐胎のあっせんを行ってはな らないと。その理由はこの1)、2)、3)、4)と書かれております。右側にその解 説が1つひとつ書かれておりますので、ごらんいただきたいと思います。  倫理委員会では、倫理審議会からの答申で少し変えたところは、第1番目に「生まれ てくる子の福祉を最優先すべきである」ということをここに置きました。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。 ○荒木委員  補足させていただきますけれども、長野県の根津医師が国のガイドラインの指針を待 たずして、そういうことをいろいろ察知して、さらに2回目、3回目の代理懐胎を行う というようなことを聞いております。したがいまして、本委員会でもなるたけ私どもの 学会の会員に混乱を起こさないためにも、早くこの本委員会でも検討し、ある程度の指 針をつくっていただきたいという希望は私ども持っておりますので、つけ加えさせてい ただきます。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。今の倫理委員会見解を含めて、先ほどの渡辺委員と岸本委 員の資料についても、何かコメントありましたら。代理懐胎については、1回目の検討 では、この部会では認めないという方向で議論が進められましたけれども、また最終的 に議論をするということでよろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。よろし いでしょうか。  それでは、前回まで(案1)、(案2)などと分かれているものについて、一応方向 性が認められたものに「●」がついたかと思います。今回も検討課題1の中だけで検討 できる検討事項については、検討課題2に移る前に可能な限り方向づけをつけていきた いと思います。きょうは前半の議論で時間がとられて、最後まで行けるか疑問ではござ いますが、まず前回まで、15ページの精子・卵子・胚の提供者について、どのような感 染症の検査を行うかから、17ページのシェアリングに関する検討事項まで検討されまし たので、室長からちょっと説明をお願いいたします。 ○桑島室長  それでは、前回のご議論を私ども事務局でまとめましたものをもう一度先生方にご確 認をいただければと思います。15ページの四角い枠の中でございますけれども、「●」 はいただいてございます。精子・卵子・胚の提供者についてというところの一番上の「 ●」でございますが、波線を振ってございますのはHIV抗体検査という検査という文 字が入ってございましたので、検査等について検査を行うというのはおかしいので、言 葉の整理をさせていただいたので、波線が引っ張ってございます。  それから、その下の2つ目のところでございますが、前回は卵子は他の精子・胚と別 にしましてウィンドウ・ピリオドを考慮いたしまして、その後でもう一度検査をしない でインフォームド・コンセントをしておけばいいのではないかというご議論であったわ けでございますが、前回のご議論の中で、精子・卵子・胚についてはすべて同じ扱いと いうことで、やはりウィンドウ・ピリオドを終了した後にもう一度検査を行って陰性を 確認したものだけを使っていくべきではないかということでご議論をまとめていただい てございます。  それから、下の2つの「●」は変わってございません。  次のページにまいります。16ページでございますが、ここも大きく議論が分かれたと ころでございます。要検討事項としては、実費相当分として認められるもの、この具体 的な決め方でございますけれども、前回は2つほどに一たんまとめていただいたところ でございますが、事務局がもう一度議事録を確認させていただきますと、やはり多くの 議論に割れていたかなということで、それをまとめきれずにこういったまた再び5つの 案に割れてしまったところでございます。恐縮でございますが、こういうことになりま した。  (案1)は、個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支 払った金額に一定額、これを仮に固定といたしますが、「実費相当分」として認めると 。加算を認める具体的な額としてはクエスチョンでございます。  (案2)が個々の事例について、実際にかかった額を含めた額を一定の額として認め ていくと。  (案1)は実費の部分とさらに固定の謝礼といいますか、その部分を加えた分。それ から、2つ目はそもそも全体を固定しておいて、その中に実際にかかった額もすべて含 まれているというもの。  (案3)は個々の事例について、実際に提供者が負った負担に応じた額「実費相当分 」として認める。  先ほど交通費などにプラスすると申し上げましたが、そこに例えば機会所得の損失分 ですとか、いろんな精神的な負担ですとか、非常に実際の金額としては示しにくい部分 でありますが、そういう非常に可変的な部分を加えていく部分が(案3)でございます 。  (案4)が、個々の事例について、提供のために提供者が実際に支払ったいわゆる領 収書そのものがあるものについて、その分のみを認めていくというものでございます。  (案5)は、特段これ以上の表現はしないと。具体的に基準は示さないというところ で、恐縮ではございますが、いろいろと意見が分かれましたので、そのまま記載をまと めさせていただいたところでございます。  いずれにいたしましても、この部分につきましては、全体の構想、検討課題3が終了 した時点でもう一度ご議論いただきたいところではございます。  それから、シェアリングにつきましても全体いろいろとご議論いただいたわけでござ いますけれども、最終的に次のページの中段でまとめてございますが、公的管理運営機 関の具体的な業務(検討課題3)について議論した後、シェアリングについて特段のル ールを設けるかどうかも含め、改めて議論していただくということで、前回最終的には そういった結論をいただいたかと思います。シェアリングそのものについてはもちろん 否定的なことはなかったわけでございますが、金銭的な面あるいは選別のことについて は、もう一度議論をしていただくということで議論を終了してございます。  以上でございます。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。前回議論が一番分かれたのは16ページで、これで随分時間 を費やしてしまったのですが、大きく分けて2つあって、1つは支払ったのみの本当に 金銭の授受がないということと、ある程度負担した額、見合った額をプラスアルファに して支給してもいいのではないか。大きく分けて2つの案だと思います。実際にプラス アルファの額を認めるとしたら、内容としてどういうものがあるかということで幾つか の案に分かれてしまったということで、基本的には2つの案でどちらにするかというこ とで意見が大きく分かれたところで、まとめ切れなかったところがございます。また、 次の機会にもう少し整理してからお諮りしたいと思います。  それでは、今回は一応シェアリングについてご議論いただきましたが、これは先ほど のスウェーデンのお話の社会福祉委員会という非常に公平な機関がある。それから施設 についても大学病院で、日本のように大学が多くなくて、全国で4つか5つしかない。 そういうお国柄だというところも大きな示唆を与えるところではないかというふうに思 いました。そういう意味で、今後環境整備というのがやはり大事だということを改めて 感じましたが、課題2、課題3の議論を済ませた後で、またこの問題に立ち返りたいと 思います。  本日は18ページから、精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件というところから 、2回り目の議論を始めたいと思います。まず室長から。 ○桑島室長  それでは、18ページのところをもう一度確認をしていただきたいと思いまして読ませ ていただきます。  「精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持」ということで専門委員会で決めてい ただいているところでございますが、精子・卵子・胚を提供する場合には匿名といたし ます。ここでちょっと注釈をつけさせていただいてございますが、この場合の匿名とい うのは、あくまで提供する人と提供を受ける人との間の関係のことだけを言っておるわ けでございます。  「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」でございます。  精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供す る人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当 該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、 かつ当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供す る人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われ ないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとする。  兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、そ の実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件 に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。というところ が専門委員会の中で決めていただいてございます。  今回の要検討事項としては、そもそものところにまた戻ってございますが、兄弟姉妹 からの精子・卵子・胚の提供を認めるのかということで、(案1)、(案2)でござい ますが、そもそも「認める」というのが(案1)。  ただし、提供を受ける人が、生まれてくる子に対し、当該生殖補助により生まれたこ とについての将来の告知について約束することを必須の条件とする。また、子の福祉な どを担保するためのカウンセリング体制の整備などの環境整備を条件とする。  (案2)は、当分の間、認めないというところでございまして、当分の間、認めない 場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されて から一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実 施の是非について再検討することとする。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。まず、1つ目の「精子・卵子・胚の提供における匿名性の 保持」は、これは専門委員会のとおりということで、提供を受けて生まれたお子さんの 出自を知る権利というのは後で述べさせていただきますので、この場合は提供する人と 提供を受ける人との関係で、これは匿名性の保持というのは皆さんのご意見一致したか と思います。  「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」についてでございますが、読み上げてい ただいた(案1)、(案2)で議論が分かれたところでございますが、委員の皆様どう でしょうか。ここである程度の方向づけでまとめられるか、いかがですか。 ○鈴木委員  1つだけ確認をよろしいでしょうか。前回の議事録をきょうちゃんと読んでくればよ かったのですが、「等」がどこまで含まれていたのだけ、もう一度確認させてください 。 ○矢崎部会長  これはどうでしたか。親しい友人とかそういうものまで入っていたような議論だと思 いましたが。 ○小林主査  専門委員会での議論では、「等」という中に親しい友人とかも含まれるということで あったかと思いますが。 ○鈴木委員  父・母は。 ○小林主査  専門委員会の議論では父・母も含めてということだったと記憶しております。 ○鈴木委員  ではきょうの議論もその前提で、考えた方がよろしいのでしょうか。父・母となると 、また随分問題は複雑ではと考えますので、そこはちょっとはっきりさせてからの方が よいのではと思います。 ○矢崎部会長  わかりました。専門委員会のご議論でどうなんでしょう。父・母まで含めたご議論さ れたのでしょうか。 ○石井委員  まず母は年齢的に無理だろうということは言えると思うのですが。 ○吉村委員  それは年齢的に無理、20で生み、20歳の子がやるということになればですけれども、 具体的には現実面として無理だろうと。母のことは一切そういうことについては考慮に は入れておりませんでした。父親に関しては、日本の風土として父親のものをいただき たいという方が多いということを考慮にしたのですが、精子の提供は55歳未満というこ とになっておりますので、なかなか難しい条件になってくるだろうというような話があ りまして、父を否定したということではありません。そうでしたね。 ○石井委員  全体としては父については否定的な方が多かったということと、もう一つは、精子に ついてはほかに提供者がいないということは考えがたい。こちらは年齢の問題というよ りは、これはほかに提供者がいない場合に、「兄弟姉妹等からの」ということですので 、そちらで多分父を認める必要はないということになるだろうというふうな話をしたと いう記憶でございます。  そして「等」の中に兄弟姉妹と同様の関係にあると見られるような友人も入るべきで あるという意見があって、「等」という形になったという経緯があるのですが、広く認 めようという意向で「等」まで入れて、兄弟姉妹とそういう人も認めましょうという方 向で委員会の意見がなされていたというふうには私は思ってないので、なるべく認める 方向ではない方の議論、ただ、兄弟姉妹が認められるのなら、なぜ姉妹がいない人に友 人が同じような気持ちで提供することを否定することになるのかということについて意 見があったものですから「等」が入ったという経緯だと思っております。 ○矢崎部会長  それではお茶が出ましたので、大分時間が過ぎていますが、10分間、休憩いただいて 、45分からまたよろしくお願いいたします。                   休憩                   再開 ○矢崎部会長  それでは、先ほどの「兄弟姉妹等からの」という「等」の定義をきっちりしておいた 方がよろしいと思います。父母からの提供というのは、現実にあり得るのか、吉村委員 からも現実にある得るかなということで、今、荒木委員にお聞きましたら、実例がある というお話なので。 ○荒木委員  父親です。 ○金城委員  幾つぐらいの。 ○荒木委員  5例。学会では注意勧告を出しましたけれども。 ○矢崎部会長  それははっきり言葉として話していただけますか。 ○荒木委員  これはマスコミでも取り上げられた、昨年(一昨年です)だと思いましたけど、北九 州の某クリニックで5例、父親からの精子をもらって赤ちゃんが出産したということが 報じられました。学会でもその事実関係を問いただしたところ、事実でありますし、そ の先生はまた本にも書いてあるんですね、やるという。  それで学会といたしましては、その会員を学会の方へお呼びいたしまして、厳重に注 意いたしました。これは戒告とか勧告ということでなく注意だと思いました。そして書 面でも注意して、今後一切いたしませんという謝罪文をいただきまして、これで決着し たわけでございますけれども、除名とかそれまでには至らなかったわけです。そういう 経過がございました。 ○古山委員  ただいまのお父さんから、本当の娘さんでしたら法律的にまずいのではないでしょう か。ですから法律的に許される範囲内でないと、結婚と同じこと。 ○荒木委員  夫の父親。 ○古山委員  だから、そういうふうにきちんと書かないと、親ですとちょっとまずいかなと。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。そうですね。そうすると卵子の提供も同じようなことが言 えるかもしれませんね。 ○荒木委員  古山先生、夫の父親だったら問題ないんですか、遺伝的には。 ○古山委員  遺伝学的には他人ですから近親婚にはならない、そういう意味ですね。 ○町野委員  今の点、もうちょっと調べられた方がいいと思います。近親婚の禁止というのはただ 単に血縁だけの問題でないということは石井さんもご存じだろうと思いますし、もうち ょっと法律を見られた方が私はいい思います。 ○石井委員  近親婚ではないけれども、問題はある。 ○矢崎部会長  近親婚ではないけど。 ○荒木委員  遺伝的な問題はさることながら、もう一つは、学会としては匿名性を守ってほしいと いうことで、これは父親であれば、匿名は保たれないということで厳重注意したわけで す。 ○矢崎部会長  学会は兄弟姉妹も。 ○荒木委員  認めてないです。 ○矢崎部会長  どうしましょうか、「等」を鈴木委員が言われたので。 ○町野委員  まだご議論は出てないと承りましたけど、第三者の範囲ですよね。第三者から提供を 受けられるというのは当然のことなのですけれども、それがどの範囲かということ、つ まり本人が自分は親の方がいいと言ったら、そのまま第三者で認めるということは恐ら くないだろうと思いますから、これはそちらの方の問題と私は連動しているというぐあ いに思いますけれども。  友達についても同じことでございまして、私は第三者の精子として友達の精子をもら いたいということを言ってきたときはどうするかという問題ですね。ですからいわば精 子・卵子、恐らく胚もそうだろうと思いますけれども、公的な何か管理のそれを最初か ら認めちゃうかということですね。そのことの議論がないとこの問題は生きてこないよ うに思いますけれども。 ○矢崎部会長  まさにそれが兄弟姉妹からの提供、本題になるわけですね、今議論しているのは。 ○町野委員  私が申し上げている趣旨は、もし第三者というのは、その本人が、提供を受ける方が 第三者を勝手にピックアップできると。話をつけてくる。いいことだとするならば、い くら兄弟姉妹認めないとかいってもそんな理屈はないわけですから、やはりそちらの方 の議論が先ではないかというのが私の意見ですけど、少なくともそっちは議論しなけれ ばいけないだろうと。 ○石井委員  先ほどの匿名原則ということは、第三者指定ということを原則として認めないという ことで、その例外として兄弟姉妹は別に認めましょうというのが委員会案ということだ と思います。 ○町野委員  わかりました。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか、ありがとうございました。 ○高久委員  ですから「等」というのは外した方がすっきりする。そのかわり広げることにはなり ますけれども、兄弟姉妹だけに限った方がいいのではないですか。親しい友人でも第三 者には間違いないわけですから、わからないようにしなければならないわけですから、 どんなに親しくても。 ○矢崎部会長  大変ありがたいご提言ですけれども、専門委員会で「等」と入っています議論で…… 。 ○吉村委員  これはどうして「等」が入ったかもう一回ご説明申し上げますと、原則論として兄弟 姉妹を反対なさる方が大変多かったことは事実なんです、専門委員会でも。その状況の 中で兄弟姉妹が認められるくらいだったら、どうして親友を認められないのか。かえっ て親友の方が、さまざまな家族関係とかそういったことに問題は少ないのではないかと 。そのために「等」が入った経緯があるのですが、ご理解いただけますでしょうか。兄 弟姉妹になりますと当然親が近くにいることになります。当然その子どもも知ることに なってくるわけですが、そういたしますと、子どもにとっていろんな問題点が起こって くるだろうと。兄弟姉妹においてはさまざまな問題点があります。ただ、そういったも のが許される状況において、どうして親友が許されないのだろうかといった観点からこ の「等」が入りまして、兄弟姉妹よりはかえって友人の方がいいのではないかという意 見もあったわけであります。そのために非常にあいまいな言い方ですけど、「等」が入 った。 ○金城委員  これは物すごい妥協ですよね、匿名性という大原則がある。にもかかわらず、これを 入れたのは、卵子の提供というのはほぼないだろう。でも妹だとかお姉さんがそういう ことならするときには認めてあげたらいいではないかということで入ったわけなんです ね。ですから精子なんていうのは、こういうことが書いてあっても、兄弟からの提供、 友人からの提供はほぼ考えられない。卵子についてだけ、これは1つ意味を持つという ことなんですね。そこは確認をしておいた方がいいと思います。ですから、そういうこ とになると姉妹でも友人でも同じではないかという議論になってくるわけです。  ですから精子についてどうしてもないというのはちょっと考えられないわけですから 、あるいはこれはなくしてしまった方がいいのかもしれないと思います。胚についても 、これも子どもが生まれた人にとっては提供しましょうという人はいると思いますので 、これももうなくして、例外は卵子だけだということにしておくと、極めて例外的なも のなのだということになるのではないかと思います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○新家委員  ちょっとよくわからないのですけど、提供する人は提供を受ける人を選べるんですか 。その逆もあると思う。提供を受ける人は提供者を選べるのか。その辺がわからない。 ○矢崎部会長  これは原則は選べないといいますか、匿名性で。 ○新家委員  匿名性があるのだと思うんですね。 ○矢崎部会長  はい。その中の特例として、この条項を入れたらいかが……今、金城委員が言われた ように、卵子の提供は極めて困難ではないかということで、こういう特例が入ったと思 います。 ○新家委員  胚のときもそうだったのですけど、あくまでも卵子の場合も提供する人が少ないだろ うという予測で、これを私は加えているのだろうと思うんですよ。だから、これを特例 として認めると全体がおかしくなるような気がするのです。つまり提供が少ないから胚 にしても、この兄弟姉妹等も入れたのではないかなと私は思ったんです。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○平山委員  すいません、つながらない議論で申し訳ないのですけど、1つのデータとして聞いて いただいたらと思います。私個人の意見ではないのですが、ブリュッセル自由大学の研 究が1つありまして、ここは原則として匿名、ドナーというのがあるのですけれども、 それがほとんどいないので、レシピエント夫妻が自分でドナーを見つけてくるというこ とを認めているんですね。そのときにどういうドナーを見つけてきたかということを調 べた調査がありますので、本当は配ったらよいのですけど、申し訳ありません。  そのときに、自分で連れてきたドナーをそのまま使うか、あるいはフランス方式でほ かの方と交換してやるのかというのをレシピエント自身が選べるというシステムでした 、この大学は。 144組のカップルのうち68.8%が自分で選んだドナーを自ら使いたいと いうふうに言っておられました。レシピエント夫婦とドナーの関係ですけれども、これ は連れてきた例ですが、姉妹が27.8%、夫の姉妹が 3.5%。卵子提供、夫の姉妹という ことは、つまり自分ではできませんから、それは交換するケースのみになりますけれど も、友人が35.4%。それから自分が新聞広告等で募集した人は13.9%、その他大きいと ころで言うと、いとこが 7.6%などとなっています。  自分で連れてきたドナーをどうして自分で利用したいかというか、自分でドナーを使 いたいかという理由については、遺伝形質の起源がわからないことへの不安がある、匿 名の場合には。という意見が一番多かったです。次いでドナーの人格を信頼しているか ら、その人の卵がもらいたいということ。姉妹などのように、遺伝的つながりがあるか ら、という意見もありました。次いで、身体的に似ているからということでした。  逆に匿名ドナー、匿名ドナーというのは交換する方を選んだ理由としては、ドナーと レシピエントの2つの家族の間に明確な境界を引きたいという理由が一番大きかったで す。次にドナーを守るため、ドナーとその家族を守るためということ。それからドナー と生まれてくる子のつながりを最小限にしたいからということだそうです。そういう意 見がありました。  実際また生まれたい子に告げたい理由とか秘密にしようと思うというところのデータ もありますが、今はレシピエントとドナーの関係ということの議論でしたので、参考ま でにデータを出させていただきました。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  新聞広告も含まれるということで、その場合、金銭授受の問題というのはどうクリア ーできるのでしょうか。それは先ほど自分が連れてきた人という場合にもつながる危惧 だと思うのですけれども、裏で金銭授受ということは防ぎようが恐らくないであろうと 考えるのですが、いかがでしょうか。 ○平山委員  すいません、そこに関しては書いていないので、この論文からはちょっとわからない のですけど。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。 ○石井委員  改めて議論しているので、委員会報告とは離れて、私、今の個人的な意見としてです けれども、私としては高久委員の意見に賛成したいというのが1点です。それは1つは 、鈴木委員が今言われたことと関係するのですが、友人となると一体本当に友人なのか どうか。きょうそのために友人になったということも防ぎ得ないと思うので、私は余り 広げない方がいいのではないか。  もう一つは、委員会報告と関連するのですけれども、匿名の提供者がいないというこ とが兄弟姉妹等からのを認めるということですので、当分の間は匿名の人がいるかいな いかということはわからないわけですから、当面は認めないということでいいのではな いかと私は思うということです。以上です。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。ただいまのご意見は、匿名性を保つというのが大原則で、 特例としては兄弟姉妹に限ってという。 ○石井委員  認めるとしても。 ○矢崎部会長  認めるとしてもですね。先ほど高久委員が言われた……。 ○高久委員  要するに「等」を入れますと、知人といっても本当に範囲がわからないんですね。だ から匿名ということを尊重するなら兄弟姉妹しかないと。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。それでは、匿名を大原則として兄弟姉妹を特例とするということ で「等」を除かせていただいて、それで(案1)の方は、子の福祉などを担保するため の環境整備ができた上で認めるというのと、今、石井委員が言われました、本当に特例 を認めなければいけないのかどうかというのをある程度状況判断したのを、この特例を 新たに認めるという案の2つがございますが、いかがでしょうか。 ○金城委員  アメリカなどでの卵の提供というのは有償だからあるわけです。有償でなければ、こ れはほとんどないということは経験的に言える。どこの国でもそうなんですね。言える と思います。ですからやってみなければわからないというのもそれなりに理由もあると 思うのですけれども、ないことはほぼ確実なのですから、やはり例外として兄弟姉妹か らは認めると。しかも、私としては精子だとか胚、これはカットした方がいいのではな いかと思っています。 ○矢崎部会長  先ほどの対価の項目では金銭の授受はできるだけ排除すべきだというご意見があった ので、そういうときに骨髄移植とか脳死臓器移植に比べると、卵子の場合は負担が大き いということで、なかなか実現できないのではないかという議論が専門委員会の方々か らも今まで言われてきましたが、その辺どういうふうに対応するか。 ○町野委員  私は例外的に認めるというのは、石井委員たちの言われるようなことでいいと思いま すけど、幾つか「匿名性」ということは表面に出ていますけれども、私はむしろ問題の 本質は、これから議論あるだろうと思いますけど、商品となるということが一番の問題 なので、そのことを排除するためには今のようにした方がいいのではないかという意見 ですけれども、金銭授受、もちろん禁止はしておりますけれども、裏でどういうことに なるかわからないわけですから、なかなかそれはできませんので、そのことを防ぐため に近親の人だけに、極めて限られた範囲だけ、そのような対価の事情恐らくないだろう と思われるようなものだけ認めるという方がいいのではないかと思います。  先ほど、これは私はまだ理解していなかったところありますけれども、匿名性の保持 というのも確かに大切だろうと思いますけれども、出自を知る権利等の議論が、これか らある範囲で認めるということになりますと、部分的にはこれは崩れてくるといいます か、それを全部貫けないというところまでくるわけですから、そうすると最後に残った ところというのは今のところではないかという感じが私はいたします。 ○矢崎部会長  これは提供者と提供を受ける人のその時点の匿名性なんです。 ○町野委員  それはわかりますけれども。 ○矢崎部会長  その裏にはそういう金銭の授受とかそういう内容にという配慮でなっていますけれど も。そうしますと先生は、要は石井委員の言われたような、当分の間は認めないと。 ○町野委員  兄弟姉妹しか認めない。 ○矢崎部会長  兄弟姉妹はよろしいわけですか。 ○町野委員  はい。 ○矢崎部会長  そうすると(案1)の方に。 ○町野委員  そうです。金城委員の言われましたとおり、恐らく精子については、私は認める必要 はないのではないかというぐあいに思いますけれども。 ○矢崎部会長  そうしますと、卵で、兄弟姉妹の卵子の提供を例外とする。 ○吉村委員  姉妹です。 ○松尾委員  兄弟姉妹からの提供ですけれども、経済的なことだけ取り上げれば、そういう不純な ものが介在しないと、一面的にはいいと思いますけれども、子どもの立場から考えます と、同一家族の中に2人の母親が近親者の中で存在するという非常に避けなければいけ ない事態が生ずるわけですね。これは子どもの立場にとって考えますと一番避けなけれ ばいけない問題なので、この(案1)というのは小児科医としては絶対に賛成できませ ん。子の福祉を担保するというふうに非常に簡単におっしゃいますけれど、現在の日本 の状況は、普通の健康な子どもでさえもこの問題は非常に難しいわけであります。公的 管理運営機関がかなりの責任を負うことになりますが、果たしてこういうことがこの機 関でできるかという議論もなしに、このことを先に論ずるのは非常に危険だと思います ので、少なくとも(当分の間)、(案2)というふうにするべきではないかと思います 。 ○荒木委員  私どもは従来から主張しております(案2)、むしろこの(当分の間)まで、括弧を 削ってもらいたいのですけれども、妥協としては私は(当分の間)を入れても構いませ んけれども、ぜひ(案2)で理解していただきたいと思います。 ○矢崎部会長  松尾委員何か。 ○松尾委員  私も(当分の間)を取りたいのは本当のところでありますけど、妥協点としては少な くとも(案2)だと。 ○岸本委員  以前の部会にも発言させていただいたのですけど、私個人的な意見ではないんですけ れども、「ひまわりの会」として皆さんにアンケートをとって、要望書をちょうど1年 前ぐらいに出させていただいたのですけれども、姉妹、ターナーの人の妹とかが卵がな くて姉が出産も終えている。子どもを生むつもりもない人が妹のためにもお金云々関係 なしに卵をあげたいと言ったときに、(案2)の状況で認めてなければ、第三者という ことになっていくのですけど、要望書の中にあったのですけど、養子縁組の件に関して も、姉妹がたくさん子どもを持っていらっしゃる方にいただいているという現実がたく さんあると思うんですね。この卵子提供、姉妹間に関しても、受精卵養子と言われてい ますけど、受精卵養子という形でいくと必ずしもそれが家族破壊になるとは限らないで すし、ひまわりの会としては姉妹を認めている人もいるので、選択肢を少し残していた だきたいという思いがありますので、(案1)の方で希望いたします。 ○平山委員  結局これは第三者だからいいとか、近親者だからだめだというのはまだ理論上のこと でしかないんです。実証的なデータは出ていなくて、幼児期までの発達しか確かに出て いない。ドナーで生まれた子の発達的な問題もまだ幼児期程度までしかわかっていない 。その段階では少なくとも今のところ親子関係、統計的には子の情緒的発達には問題な いということは言われている。危険性というのは十分に言っておられるのは、まだ実証 的なデータではなくて、理論的にはそうであろうというところになってしまうのですね 。現実的にその結果を待つのが得策であるという判断がこの部会でなされるのであれば 、それはそういうことなのだと思いますけれども、どうでしょう。法律でいくら縛って もそこから漏れてくることはきっとあるのだろうし、そうであれば、私はできるだけ、 その方々を出生後、生まれてくる子も含めて、提供されたご夫妻、その家族、提供した 夫婦、そのご夫妻も含めたトータルのサポートシステムをつくっていくことでフォロー していくということが一番現実的で、その人たちの幸せを担保する方法ではないかと思 います。一概に幸せ、不幸せというのは今の時点で判断することは私たちには絶対でき ないことだと思います。という意見です。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○高久委員  私も平山委員がおっしゃるように、なかなか今の時点で難しい問題だと思うのですね 。確かに2人の母親がいるということがわかったときにどう対応するかというのはケー ス・バイ・ケースで非常に違うと思うんですね。もしも1を認めるなら、そのことを十 分にどれだけ理解できるかという問題あるにしても、そういうトラブルが起こることを 覚悟してやらざるを得ないですね。それは母親の勝手と言えば勝手ですけれども、そこ のところまでなかなか予測するのは難しい。家族によって随分違う、個人によって違い ますしね。  (案1)の場合に、「将来の告知について約束することを必須の条件」、これは無理 だと思う。これはそんなこと今の時点で約束してもするかどうかさっぱりわからない。 何の保証もないことをこういうことに書くとかえっておかしいのではないかと思うんで す。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。確かに「必須の条件」というのはどこから入ってきたのか 、ちょっと記憶に余りはっきりしたのはないのですけれども、確かにおっしゃられると おりに、これはスウェーデンでもやっぱり生まれた子の意思に従うということですか。 これもご指摘のとおりだと思います。どうもありがとうございました。 ○才村委員  私も今それを言おうと思っていたところなんですけれども、「将来の告知について約 束することを必須の条件」というのは、法で罰則も設けられることでありませんので、 そういうことが大事なことではなくて、私は前から言っているのですけれども、子ども から求めたときに出自を知る権利があるというふうに思いますので、兄弟姉妹のところ だけ、こんなふうに公的機関が入って子どもを育てるための条件をがちがちに条件づけ をするということ自身がおかしいのではないかというふうに思いますので、私自身はこ の論議から離れますけれども、すべての生殖補助医療について、そういうことをしよう とする人は子どもに対して約束ではなくて告知することが子どもにとって非常に大事な ことなのだということを、実施するところがその方にかなり話し込むといいますか、そ の辺の価値観、多様な価値観を受け入れる幅の広い、精神的にも社会的にも、もちろん 経済的にもですけれども、育てられる条件というのがやっぱり必要だと思いますので、 その辺のことをしっかり話し込んだ上で、そういうことを実施されることが大事だと思 いますので、兄弟(姉妹)だけのところでこんなふうに条件をつけてしまうというのは おかしいかなと思いますし、また、そういう告知の約束などもできませんし、子の福祉 などを担保するためのカウンセリングを条件というふうなことですけれども、これは兄 弟(姉妹)でなくて、ほかのすべてのそういう生殖補助医療についてもそういう条件が 私は必要だと思いますので、あえて(案1)でこんなふうに出されるということには反 対です。  結果的には(案2)の方でいきたいと思います。 ○矢崎部会長  そうしますと(案1)、(案2)は、下のただし書きは、今、ご指摘のとおり、提供 配偶子による生殖補助医療の基本的な問題ですので、知る権利を担保するということと 、しっかりした第三者の目が入るといいますか、透明性を高めた生殖補助医療を実施す るという精神は、姉妹からの卵子提供だけには限らない。基本的な前提事項ですので、 (案1)は、姉妹からの卵子の提供を認める。(案2)は当分の間は認めないというこ とで、その当分の間というただし書きはある程度よろしいかと思いますが、それでいか がでしょうか、ご議論を。 ○松尾委員  蒸し返して申し訳ございませんが、議論の順番が逆だと思うんですね。果たして現在 の状況の中で比較的まともなカウンセリングシステムとか公的な管理機構というのは意 味のある体制がとれるかということをまず議論して、そして、それならそういうことも 一部認めようというふうにやるのが順番だと思うんですけれども、その辺のところの議 論が非常に薄くて、いきなりここで(案1)か(案2)を決めるというのは、私は議論 が逆さまではないかと思いますけれども。 ○矢崎部会長  これは前からの議論で、検討課題2と3で議論をするということで、松尾委員の言わ れたコメントで先に進まないで残してきたという経過が、今まで一番大事なところが積 み残しがあるんですね。 ○渡辺委員  (案1)がこのような将来の告知について約束などの文が加わったということは、私 は素朴に考えて、姉妹からの卵子の提供を認めた場合、早晩かなりの率で家族の中で混 乱が起きて、そして大変になるだろうということを想定しやすいわけですよね。ですか らそれだけのリスクがあると専門家たちは言っていると。そういった非常に危険で子ど もの福祉につながらないということはわかっているけれども、あえて姉妹からの提供を 確保して認めるという、そういう説明が必要だと思うんですね。事実こういうケースは うまくいく例の方が少なくてうまくいかない例が多いと思います。  というのは、実際に私のところに来ている患者は、例えば先妻の方と後妻の方がいる 兄弟とか、ほんの普通の日本の状況でかなり許容できている家族状況の中でも不幸な状 況が、キャラクターの不一致などがつながったために、一見常識的には大丈夫なはずの ものから問題が起きていて、結局はその子どもたちが心身症や精神障害になって苦しん でいるわけですね。そういう事実がありますので、これは(案1)をもし認めるのであ れば、これはリスクが高いということをはっきり明言してリスクを高いものをあえて行 うのだと。それをこの委員会が認めたのだとなれば、この委員会の認めたこと、委員会 が認めて、責任をある部分をとるのだという形で認めるのであればオーケイですけれど も、かなり多くの方たちが現在の精神医学や家族カウンセラーの方たちが、この件に関 しては経験的にいろいろな論議が提案できると思いますので、私は小児科医の中の精神 保健ですけれども、子どもの福祉は無理だと思います。ともかくこういうレベルでない 家族の機能不全が日本に蔓延して、そしてなおかつ私どもがその治療に日夜明け暮れて いて、そして似たような家族状況の境涯がはっきりしていない人間が担当したりした場 合に、担当者や治療者自身もおかしくなっていくという、家族の世代境涯とか父母連合 とか親役割とかという機能が、今社会的にあいまいになっている家族機能不全の蔓延し ている日本で、普通の核家族の治療さえも難しいのに、こんな難しい新しい未知のプロ ジェクトに取り組めるだけの専門家が日本にはいないというふうに私は経験的に思いま す。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○鈴木委員  私も結論から言いますと(案2)でお願いしたいと考えています。今、渡辺先生から のお話もありましたけれども、この委員会の中で子どもの福祉あるいは小児という臨床 に携わっている方々から、そういう意味でさまざまな危惧が繰り返し繰り返し言われて いるわけですよね。そのことはやはり大事に受けとめなければいけないと私は考えます し、いや、大丈夫だよ、不幸になる子ばっかりじゃないよ、という形で押し切っていけ るものでは決してなかろうかというふうに考えるのです。  今、委員会の責任というふうにもおっしゃったので思ったのは、法の不作為というよ うな言葉もこのごろ議論されていたり、委員会が訴えられるなんていうことはあるのだ ろうかなんて思いながら、実はそのことも私は考えながら、この議論を、すごく大事な ことを決めているのだということは重々考えていかなければいけないというふうに思っ ていましたし、そういう意味では、もちろん不妊の人の中にもいろんな意見があります 。1つ、先ほど男性の精子は多分供給の方は十分あるであろうから、精子の話は外して いいというふうなこともあったのですが、むしろ兄弟からの提供を希望なさっている方 も卵子同様いるわけですよね。ちょっとそのことは外しちゃって大丈夫なのかなという 危惧が実はちょっとあります。ここはご確認いただきたいということ。  今言っていたのは、うちのスタッフでこのごろ話しているのは、どうもこの部会、あ るいは前の専門委員会の結論でも優先順位が上から、もらいたいカップル、ドナー、子 どもになっているような気がすると。私たちは子どもが欲しいのはもちろんやまやまだ し、ほかの人が欲しいという気持ちももちろん体験者としてよくわかる。だけれど、こ の場合、優先すべき一番上に来るのは生まれてくる子どものことを考えることであって 、その次がドナー、くれる方たちの健康なり人生のこと。そしてむしろもらう私たちは 最下位ではないかと、そのぐらいで考えるべきではないかというふうな話をこのごろし ています。  それから、3つ目、兄弟姉妹からのこの話が出てきたのは、新家先生がおっしゃった ように、提供者がいないのではないかという危惧、それは確かにあるのですが、実はき ょう1つはっと思ったのは、こちらにきょう配付されたスウェーデンの事例、菱木先生 が出していただいた新しいスウェーデン社会庁の体外受精法改正草案、11ページになる のですが、ちょっと読みます。卵子提供者の項なんですが、第4条、「他人の受胎を助 けるために卵子を提供することができる者は、自ら体外受精手術を受けることを目的と して医療処置を受けている者でなければならない」となっているんですね。つまりこれ はシェアリングがまず一番なのだという考え方なのだなと。 ○金城委員  その点については、私先生に確認したんです。先生ちょっとお願いします。 ○鈴木委員  お願いします。最後まで、解釈はともかくとして、なるほど、こういう考え方もある のかなというふうに思いました。シェアリングのことを、私たちまだ最終的に詰めてい ませんので、これが1つうまくどう機能するかによっても、卵子提供があるかないかと いう話は随分変わってくるのではないかということ。それから、これが先に出されたと いうことで、私たちは逆に不妊仲間の相互扶助精神というのでしょうか、お互いに助け 合うというような意味でのシェアリング感覚というのも、決してないとは言い切れない のではというふうなことも思ったんですね。以上です。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○金城委員  先生、今、鈴木委員のお読みになったところは、今回の改正ではもっと変わっている というお話でしたけど、その点よろしくお願いいたします。 ○菱木先生  説明します。ここに現行体外受精法とスウェーデン社会省体外受精法改正草案と体外 受精法政府改正案と3つ出ております。この社会省案は、この面もやるという形で出て きたのですけれども、これが出た後いろいろと議論が分かれまして、もし他人の受胎を 助けるためにやるというけれども、その人が本当に子どもが生まれるかどうかというの は、その人が体外受精を受けるということはそもそもが子どもが生まれないということ で体外受精を受けているのではないのかということで、これもおかしいじゃないのと。 次に体外受精政府改正案、これもほとんどこのとおりいくと思うんです、今度。ここの 規定ではそういう規定がなくなりました。  そのかわり第5条の特別審査という規定が設けられまして、ここで専門家を入れて十 分に検討すると。今議論になっている兄弟姉妹はどうするかと。政府案では一応それは いいではないか。というのは提供者がいないのだから、そこまでは認めなければならん ではないかというけれども、これも恐らく私はこれから国会、委員会で議論になると思 います。その反対理由がもちろんあるんです。まず匿名性をどうするのだと。これをや ったら匿名性が崩れるのではないか、今皆さんが言った議論。それから、もう一つ、精 子・卵子を選択する権利は医者なんだと、担当者なんだと。この権利を侵害することに なるのではないのか。これを医者に聞かないで勝手にやることについては問題があると いう反対論がウスプラ大学とかから出ております。恐らく今の兄弟姉妹については、さ らに社会庁で議論されることになるだろうと思います。今そういう段階です。  社会庁の草案をつけ加えたのは、こういうプロセスで改正案ができ上がるということ をするためにつけ加えたので、その点ご了承を願いたいと思います。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。そういうことですので、よろしいでしょうか。その ほかいかがでしょうか。 ○高久委員  ちょっと別な話ですけど、確かにシェアリングというのは可能だと思うんですけれど も、その場合に卵子を正常な状態で凍結保存する技術が早く開発されれば、その問題は ないわけです。半分受精して半分置いておいて、本人がもちろん成功すれば半分あげる し、成功しない場合は残った半分を使うということですから、その技術の開発はいつご ろになるのですか。意外と早いような気がするんですけれども、ほかのものはいろんな 臓器でさえも、臓器移植のとき、臓器全体を安全に保存することはだんだん可能になっ てきているのに卵子だけができないというのはよくわからないです。 ○吉村委員  高久先生おっしゃることは非常にわかるんですけれども、これは古くから1970年の後 半ぐらいからやられているんです。この30年間いいデータが出たという報告もございま すが、ほとんどこれがこういった医療に使えるまでには成功していない。卵子というの は、先生もご存じのようにハプロイドでありまして、大変にディプロイドとは違いまし て非常に弱い。受精卵にすれば、非常にディプロイドになりましていいんですけれども 、その辺がなかなか難しい。ですから、これが使えるまでには、当分5年とか10年とか 、そういうスパンではないかなと思いますが。 ○矢崎部会長  卵子の若返りとか医療技術が日進月歩で、高久委員の言われるように、あるところで ぱっとブレークスルーが出るかもしれませんが、なかなか先が読めないところがありま すので。吉村委員のお話では、卵子提供というのは難しい順序で言うと、余剰胚が高く てその次がシェアリングというようなお話を伺ったような気がしますが。 ○吉村委員  そうですね。胚も少ないと思いますけれども、胚の方があるだろうと。その次シェア リング、しかしシェアリングというのは結構欧米でも行われているのですけれども、な かなかこれはうまくいっていない現実が。これはやはり自分が妊娠したいといって来ら れる方が、これをあげますという方はなかなかお見えにならない。しかもあげちゃうと 、卵子のない方の方が妊娠してしまうといった現実を直視されますと、二度目から絶対 やらないということになる。だからシェアリングというのは大変いい方法なんですけれ ども、なかなか難しい。そうすると匿名の第三者からいただいた卵子提供というのは無 償であるとすると、アメリカのように有償であって、金額の高いお金でやるということ であるならば、学費を稼ぐためにもやられる方は多いかもしれませんが、これは極めて 難しいと思います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○金城委員  そうしますと卵子の提供を認めたわけですよね、今回の報告書では。でも現実問題と して姉妹からの提供を認めなければ、ほとんど現実には認めたことの意味は全くないと いうことになりかねないわけですよね。やはり非常にいろんなケースがあると思うんで す。ですからそういうときにいろいろな条件をつけるのはよろしいと思うのですけれど も、しかし、例えばターナーの方々とか、本当につくれない、そういう人に対して1つ の道をつけておくというのはいいのではないかと思います。ただし、実施に対してはい ろんなところでチェックをかけていくということにしてはいかがでしょうか。 ○矢崎部会長  なかなかこれは委員の中で1つにまとめるのは不可能で、大変家庭の問題、子どもの 生まれてきた子どもの問題を考えますと、それは当分の間認めないというのが一番結論 は出しやすいわけですけれども、やはり子どもを持ちたいという、これは議論の中で家 を保つとか子孫を残すという、家ということだけでなくて、子を持つというのは、私自 身は女性ではないんですけれども、女性としての本能ではないかと思うんですね。そう いう方に、私としては道をこういうところで狭めるのはいかがなものか。  もう一つは、もし、ここで非常に狭めた場合にどういうことが起こるかというと、皆 さん外国に行って、高いお金を出して卵子をもらってということになると思うんです。 そうしますと、今もそうですけど、脳死の臓器移植がみんな海外でやられて、特に脳死 の臓器移植の場合には商業主義が入らないですけれども、現実的にはそれが1つのビジ ネスとしてアメリカでは行われているという現状で、そういう道が片一方であって、我 が国の中で法律的に締めてしまうのはいかがなものかというのが私個人の心情なんです けど、石井委員いかがでしょうか。 ○石井委員  1点目は、前の委員会は卵子提供を認めたのだからということですけれども、認める ということはそれを推進するということとは別で、やることについて禁止しないという 考え方で、認めるからどんどんやりましょうということではないので、もし提供者がい なくて行われないとしても、それはそれで仕方のないことだというふうに私は思ってい たのではないかと思うということです。確かに全くいないのでは困るという意見があっ て、兄弟姉妹もという話になっていったことは事実ですけれども、推進するという考え 方はもともとないということを1点確認しておきたいということです。  それと兄弟姉妹を最初から入れてしまうとそれが原則になってしまうのではないか。 一般の人も兄弟姉妹がいるのだったら、何でその人に提供してもらわないの。これを言 ってはいけないかもしれませんが、移植やなんかでも周りの人に対してそういう形に動 いてしまうのと同じように動いてしまう。周りからの圧力で提供するという方向にいっ てしまう危険性がかなりあるのではないかということ。そして、その結果が、先ほどか ら渡辺先生や松尾先生が心配していらっしゃるようなことを生むとすれば、それを推進 する、兄弟姉妹をまずやりなさいという形に持っていくような形の制度を導入してしま っていいのかという危惧を思います。  ついでにもう一つ、兄弟姉妹の方にはそういういろんな心配があるからこそ、確かに すべての場合にいろんな配慮が必要なのですけれども、ただし書きがあったのは特別な 手当が必要であるという、そういう趣旨だということです。 ○矢崎部会長  私申し上げたのは、石井委員と全く同じで推進するという意味ではなくて、全部閉ざ してしまうとどういうことが起こるかということを危惧してお話したので、石井委員の 言われたご意見もごもっともだと思います。 ○町野委員  委員会の報告でかなり議論された上で私はこのように決まっただろうと思います。松 尾先生とか多くの方が言われることもかなり重みはあるし、よくわかるのですけれども 、だからといって、これを全部禁止してしまっていいのかということは、それを委員会 が前に決めたことを覆すだけの理由はないのではないかというぐあいに思います。私自 身は余りこれは確かに言われるとおり好ましいかどうかかなり危惧を持っていることは 事実ですけれども、それを政策的にしてしまうのはいいかと、ここで決めてしまうのは 。それはやはりそれだけの理由がといいますか、ないのではないかというぐあいに思い ます。それだけで(案1)の方がよろしいと思います。 ○矢崎部会長  これがこういう道があるからこの道を選択できますよというニュアンスにならないよ うな何か案があれば、そういう案であればよろしいでしょうか。 ○高久委員  私も矢崎部会長言われたように、外国に、卵子をもらいに行かなくても姉妹でアメリ カに行って、そこで体外受精して帰ってくるということが行われると思うんです。姉妹 でやってだめだといったら、これはかなり安い費用でできてしまう。そういうことが起 こる確率が非常に高いと思いますね。また、そんなに難しい技術でも何でもありません から。  それから、先ほど町野さんおっしゃったように、前の専門委員会で非常にここのとこ ろを議論して、この結論になったのを、これを覆すということにどうかなという気もい たしますので、先ほどは、こういう条件ちょっとおかしいのですけれども、皆さんが納 得するような条件で一応せざるを得ないというのはおかしいのですけれども、した方が 、私自身も実は迷っているんです。渡辺委員や松尾委員がおっしゃったようなことは十 分に考えられるけれども、ここで当分の間だめよと言うと、恐らく半永久的にだめにな っていいのかなと。日本の風潮見ますと、「当分の間」というはほとんど半永久なんで すね。 ○石井委員  町野先生や高久先生が前の委員会の結論ということを尊重してくださるのはありがた いことなんですが、前の委員会はある意味で合意がうまくできなくて玉虫色のこういう 「等」まで入れた結論ができているので、これがどうしても尊重される結論と言えるの かということについては、私は疑問は思うということ、吉村先生はどう思われるかわか りませんが。 ○松尾委員  「当分の間」というのは永久ということではなくて、体制の整備ができるかどうかと いう期間を見て、何年か後に必ず見直すということであれば、高久先生がおっしゃった ような危惧はなくなると思うので、初めからこれをゴーサインをしてやるには余りにも 無謀ではないか。前の委員会の中には子どもの立場で発言する人はいらっしゃらなかっ たわけです、委員の中に。ですからそういう点も考慮していただいて、いきなり(案1 )にいくのは非常に危険だと私は思いますけど。 ○矢崎部会長  議論が尽きませんので、法律で禁止するというのは、私自身は少し抵抗があるので、 (案1)で今のご意見をまとめた上で「●」にしていただく一方、ただし書きを事務局 の方と相談しながら、もう一度ただし書きをつけて、非常に難しいということを十分知 っていただいた上で、石井委員と松尾委員、渡辺委員のご意見も十分配慮できるような 、ちょっと配慮を試みてみます。どうしてもだめそうな場合には(案1)、(案2)つ けて、これは括弧はなしで当分の間ということで(案2)をつけさせていただきますが 、できれば議論がぐるぐる回ってしまいますので、大体委員の皆様の議論が収束するよ うな附帯事項を入れて、もう一度また課題2、3をやった後でご議論いただくというこ とで宿題にさせていただきたいと思います。 ○荒木委員  何となく(案1)の方に傾いているような感じですけど、私ども当分の間というのは 非常に重みがあると思うんですね。松尾委員が言われたように、そんなに長くなくてい いと思います。社会が熟して認めようとしてくれば、私どもは変えていいと思うんです 。ただ、今の時点で、これは卵子の提供がないからといえば特例にならないんですね。 もう初めからこっちへいっちゃうわけです。ないということを前提に立って。だから、 あるかないか、我が国ではまだやってないんだからわからないんですね。だからしばら く、こういう卵子の提供を求めてもいいと思うんです。  もう一点、大きく不妊の人ばかり、カップルを重視した意見ですけど、片や不妊でい ろんな治療してもやはりできなくて子どもをあきらめたという人たちのカップルに対し ての配慮というのも必要なんですね。あるいは子どもいなくても夫婦は幸せにやってい けるのだという考え方も否定するような意見になっていくのが非常に怖い。それだった ら、もしいろんなことをトライしながら、だめであったら、じゃ、姉妹からもらいなさ いというような方向へ行くことが、非常にまずいのではないか。片やそういう夫婦だけ で一生終わって幸せに生きていこうという決心した人の気持ちも尊重してほしいと思う 。 ○矢崎部会長  よくわかります。 ○才村委員  私の方も少しお話したいのですけれども、先ほど女性は子どもを持つのが本能だとお っしゃいましたけれども、その考え自身が、子どもを持たない女性は女性でないという ふうな考えにつながっていくのではないかと思いますので、やっぱりそうではなくて、 今言われたようにいろんな生き方があると。生む、生まないも自由だし、そんなに必死 で子どもが欲しいというふうな社会づくりをしていかなくてもいいと思うんです。です からその辺で多様な考え方で生きられる社会というのをつくっていくべきですから、な いから卵子だけを認めるという案には私は反対です。 ○矢崎部会長  でも逆に言うと認めないというのもいかがでしょうか。これはすごく重みがあって、 それは私も意見が極端になりましたけれども、私自身も生殖補助医療というのはいかが なものかという、本当に子を持たないで幸せに努力されているカップルもたくさんいら っしゃることは私も承知の上での、ですから高久委員が言われたように非常にケース・ バイ・ケースで、これは断定的にこうだということは言えないと思うんですよね。そこ にこの問題の難しさがあるので、1つで線切りできないというところですね。  それともう一つは、先ほど申し上げたように、ほかのところではやっているときに、 我が国で法律でだめだということがなかなか難しい現実問題引き起こす可能性があると 。しかもその場合には何らカウンセリングとか松尾委員、渡辺委員が言われた姉妹から の卵子提供で起こる非常に危険な状態というのを余り認識されずに外国に行って、姉妹 あるいは第三者の卵子でいってしまうということを、我々はできるだけ防いであげたい という気持ちで、認める、認めないというのがちょっと難しいですね。 ○石井委員  最終的には確かに法律をつくって、そこに基づいて指針等がつくられるということに なると思うのですが、「当分の間」認めないというのは、法律に書くのではなくて、当 分の間の制限は法律でなくてできるのではないかと私は思ってはいるのですけれども。 ○矢崎部会長  法律的には認めないということになるのですか。 ○石井委員  認めるけれども、認めないというやり方ですね。 ○矢崎部会長  そういうやり方も法律的にできるのですか。 ○石井委員  法律的にできるではないですね。 ○町野委員  それをやるときは付則をつけてやるわけで見直しですよね。見直し規定であって、当 分の間とか、これを程度としてというのは法律の条文としては書けないと思います。そ れはできません。 ○矢崎部会長  認めるか認めないということになって……。 ○石井委員  兄弟姉妹ということを特則を設ける必要はないわけですね。スウェーデンのような形 にしておいて、兄弟姉妹については当分認めないというのを別途置くという形の取扱い をするという。 ○町野委員  私は体裁の問題として言っているので、そのことの見直しは後で行うというような付 則をつけるのはいいけれども、当分の間というようなものをボディの中に書くことはそ れは技術的に不可能だということです。 ○高久委員  脳死法案でも、クローンの法案でも何年後と書いています。ですから当分の間という ふうではないと思うんです。ただ、脳死法案でも見直すと言って実際には見直されてな いんです。いろんな議論があると、それと同じようなことが起こる可能性は十分ありま すね。ディスカッションする方の範囲がもっと広くなりますから、国会になりますと。 ○荒木委員  私どもの学会で、ある委員が偏った対象でございますけど、東京女子医大の学生にア ンケート、10%は卵子を提供していいという回答得ているんですね。それは特定な集団 でございますけれども、やはりやってみれば、ある程度は卵子提供者は出てくるのでは ないかということを私は思うんですけれども、まずやってみるということ。だから、ま ずそれを兄弟姉妹の方は私は特例として認めたくない。まず最初に第三者の匿名女性か ら卵子を求めるということにしていただきたいと。 ○新家委員  卵子の提供なり胚の提供を受ける方というのは一応待っていらっしゃるわけですね。 しかも優先順位というのがあるわけでしょう。そうするとたまたま姉妹があるから、じ ゃ、姉が妹にあげようという横道ができちゃうわけですね。そっちの方が当然多分確率 的には高いと思うから、待っている人というのは物すごい不公平になってしまう。ただ 、その待っている人がたまたまひとりっ子の夫婦だったらこれは永久にだめですよ。そ ういう提供者はいなくなっちゃうんです。もし姉妹で卵をあげてもいいのだということ になれば、それは一回国の管理する機関に提供するということをしていただいて、それ でそれを別の人に、つまり第三者の人にあげるという何か法則をつくってあげないと、 待っている人がえらい不公平になるのではないかという気がするんです。 ○岸本委員  それは多分姉妹、自分の姉だから、自分の妹だからあげたいと思っていると思うんで すよ。それを別の人にあげるために申請しますという人は多分いないと思うので、卵巣 機能不全の人にしたら、卵子提供者がたくさんあったとしても、本当に少量だとしても 、姉が妹にあげたいと、それが本当に推進でなくて、それを第一希望とされている方は 絶対いらっしゃると思うんですよ。そういう人に第三者がたくさんあるから、余剰胚が あるからということでこっちを使いなさいと。そうではなくて、ある、ないにかかわら ず、姉妹だからいただきたいというのは、そしたらどうなるのかという部分では思いま す。 ○新家委員  さっき私確認したんですけど、提供する人も提供受ける人も特定できないですね、原 則は。 ○岸本委員  だから、それは姉妹間以外にということを先生が。 ○新家委員  そこは話し合いで、提供する意思があるのだったら、一回意思表示をしてくれと。そ のかわりした人の例えば姉妹でもらうという人であれば、待っているランクを1ランク あげるとか何かしてやらないと非常に不公平だと私思います。例えば二十幾つで姉妹が あるから、その人は提供受けられる。45になってもできないということになったら、ち ょっとおかしい。 ○矢崎部会長  これはケース・バイ・ケースでいろいろ違って、議論しているとエンドレスになりま すので、もう一度確認したいのですが、法律的になりますとどういうことに。先ほどの ご提言で、姉妹からの卵子の提供を認めるとか認めないという条文になって、それで付 則で説明なんでしょうか。例えば認めないとした場合に。 ○石井委員  その条項については何年後に見直すという付則というのも1つの方法ではあると思い ます。 ○矢崎部会長  ただ見直すというのは、高久委員が言われたように本当に可能になるのかどうかとい うことですね。 ○高久委員  日本の現状を考えるとなかなかそういう体制が、皆さんが満足するような体制という のは非常に時間かかると思うんですね。もし本当にしばらくモラトリアムにしてやると すれば、さっき言ったみたいに、みんなどんどん外国に行ってそういう状況になる。例 えばたしかバイアグラなんかは皆さんがインターネットで買ったものですから、慌てて 厚生省が認めたわけですね。副作用も起こったものですから、そういうふうに現実論が 先に先行したときは認めざるを得なくなってくるということの方が、私は早く、実際問 題として皆さんが満足するような環境整備というのはそんなに簡単にはできないと思う んです。今まで必要があると言われながら余り行われてこなかったわけですし、これか らどうなるかは別にして、現実の方が先行する可能性の方が高いと私は思います。 ○石井委員  環境整備そのものは卵子提供一般においても、それに加えたあれは必要ですけど、こ の場合の現在認めないで見直すという段階の見直しは多分1つは、匿名の第三者の提供 がないという、そこがはっきりするということだと。その上で従来の第三者を予定した 体制に加えて必要な整備ということで、カウンセリングの専門家がいるかどうかという のはそこはわかりませんけれども、一番は匿名の第三者の提供がいるかいないかという ことの状況を見るということが、今当面のということを言っている私の理由ではありま す。 ○町野委員  論争に割って入るつもりは全然ないんですけれども、これは実施されるのは産科婦人 科学会の方たちですよね。その方たちがもし法律でこれを認める道を開いたとしてもし ないということは、これは可能だろうと思うんですね。それを最初から絶対これを認め ないと。何年か見直して、それは私はやるべきではないという感じがある。それはまさ にプロフェッションとしてのお医者様方と提供を受ける側との間の話し合いの中でこれ はやっていくべきもので、私はここで一律にこの道を塞いじゃうということは、先ほど の繰り返しになりますけれども、前の委員会が議論されたので、玉虫色と言われました けど、要するにノーと言わなかったということははっきりしているわけですね。ですか ら、それをここでノーというのは、ある意味ではそれだけの越権行為をするだけの私は 資料はないのではないか。むしろプロフェッションと当事者との間の話し合いに将来委 ねられるべき問題ではないかと思います。  ですから法律でつくるか、あるいはガイドラインでつくるかは私はまだ知りませんけ れども、いずれにしてもそこら辺のところは第1案でいいのではないかというぐあいに 思います。 ○松尾委員  命の誕生の最初の部分は産科が担当されますけど、一番大事なのはその後の子どもが 育っていく過程でありまして、その議論が抜けているので、それも片手落ちではないか と私は思いますし、前の委員会と今回の委員会の違うところは実はそこにあるわけです から、産科だけがこれを担当する領域というふうに決めることはちょっと賛成できませ んけれども。 ○石井委員  それと産婦人科学会は会告で決めたとしても現実に今起こっているように、会員以外 には何の拘束もないということがありますので、プロフェッションという場合には個々 の医師に委ねるという、そこでいいのかという問題になるのだと思うんですが。 ○町野委員  私の趣旨はそうあるべきだという考えです。守らない人がいても、それに法の制裁を 加えるべきではないという考えです。それはまさに産科婦人科学会だけやるかどうかは 別といたしまして、やっぱりプロフェッションとしての考えの軽重を問われている問題 だろうと私は思います。 ○荒木委員  学会の立場と言いましたのは、事実これは確かに任意の職能機能団体ですからおっし ゃるとおりでございます。私どもはだから皆さんがやってはいけない、やっていいとい うことは言えませんけど、ただ、現実問題として元会員が姉妹からの卵子の提供を受け て除名になったわけですね。それが国のレベルで裁判中なんです。私ども被告になって います。その方に訴えられるから、ただ、学会だけの問題で終わるわけにいかないんで すね。これは社会が非常に注目しています。もうそろそろ結審になります。私も何十回 と東京地裁の方へ出廷して議論を争っているわけですから、ただ学会だけの勝手な言い 分でやっているのだという誤解は先生どうぞしないでいただきたいと思います。 ○町野委員  それはわかっております。 ○矢崎部会長  わかっている上でのご議論だと思います。 ○鈴木委員  仮にもし(案1)というか、禁止はしないという方向で進むのであれば、逆に姉妹に 限らない方がむしろよかろうと考えてしまいます。兄弟姉妹ならよくて、とても親密な いとこでなぜ悪いか。要するに大事なのは金銭授受の問題を排除することであって、逆 に兄弟姉妹だから必ず金銭授受がないとも言えないわけですよね。と思います。また蒸 し返しですけれども。 ○矢崎部会長  私自身としても結論はつけられないのですが、原則として今までありましたように匿 名性の保持ですよね。生殖補助医療がやる時点では匿名性を第一にするということです ので、もし法律的に可能であれば、兄弟姉妹については付則で何かつけるということは 可能でしょうか。ですからご懸念は姉妹からの卵子の提供を認めるということであると 、何かそれを推進するということになるので、匿名性の保持、すなわち第三者からの提 供ということは大原則だけれども、付則としてそういうものをつけるという可能性はい かがでしょうか。  というのは、認めないということは非常に重いと思うんですよね。町野委員が言われ ましたけれども、確かに松尾委員のご意見も貴重だと思いますが、法律として認めない ということは非常に大きな判断だと思うんですね。ですから大原則は匿名性の保持とい うことで、その中で何か法律的に決める。結局今の議論をしますと、認める、認めない という紅白には分けられないというふうな、玉虫色というのはまた誤解がありますけれ ども。 ○石井委員  法律は結論に合わせてどう定めるかという技術的にはいろいろ可能性はあると思うん ですけど、それはどういうふうに現実を動かすということに基づいて法律をどう定める かということになるので、そこがはっきりしないということになるのではないでしょう か。 ○谷口母子保健課長  ちょっとよろしゅうございますか。今の段階で立法形式論の方から結論を縛るような ことは事務局としてはつらいものが正直言ってございますので、大事な話かと思います けれども、もう時間もないことでございますので、きょうの議論をもう一度幾つかの論 点を整理いたしまして、次回にもう一度先生方に資料としてお示しをいたしたいと思い ます。その上でご判断をいただくということではだめでしょうか。 ○矢崎部会長  いや、それですと、また議論が繰り返しになるおそれがありますので、ですから今ま でのご議論いただいた上で、今の課長の発言も当然考慮しながら、結論は今回出せませ んので、事務局とも相談しまして、対案をある程度、さっき私(案1)のあれでと言い ましたけれども、結局は認める、認めないという議論にまたもとに戻りますので、少し 相談して改めて、きょう検討課題1の最後までいくつもりでしたけれども、この議論も 非常に大切なところですので、むだな議論ではなかったと私ども理解しておりますので 、またきょうは時間が過ぎましたので、(案1)、(案2)をちょっと工夫して、また 提案させていただいて議論させていただきたく思いますので、きょうは予定の時間過ぎ て大変恐縮ですが、これで終了させていただきたいと思います。  本日はお忙しいところありがとうございました。事務局から。 ○桑島室長  ありがとうございました。それでは次回の当部会の日程をお知らせ申し上げます。次 回は4月3日(水曜日)14時から17時までの予定となってございます。場所につきまし ては、まだ現在のところ未定でございまして、決まり次第事務局からご連絡を申し上げ たいと思います。なお、毎回同じことを繰り返し申し上げますが、ご意見等いただけま すれば、4月1日の午前中まで受けさせていただいてございますので、事務局までいた だければと思います。以上でございます。 ○鈴木委員  1つ質問なんですが、後で結構ですので、スケジュールについて。 ○矢崎部会長  スケジュールが、ある程度のスケジュールで議論を進めていかなければいけませんの で、今まで月1という議論でしたけど、もしかするともう少し、前回の専門委員会は29 回でしたね。ですからそれほど大変で、今度は委員の方々も違った領域の方々がたくさ ん入っておられるので、もっとかかるかもしれません。月1ではなくてもう少し開く可 能性もあると、ご承知の上でお願いしたいと思います。 ○鈴木委員  あと代理出産の話は、これのひと回り目の一番最後にやるのでしょうか。それなりの 心の準備をしてきたいなと思うんですけれども、場合によっては次回ということになり ますか。 ○矢崎部会長  これは1回目の議論では、代理出産は専門委員会の報告どおり認めないという部会の 議論だったと思うのですが、これは別に1回目が結論ではありませんので、全体の検討 課題終わった後で、もう一度議論することになるかと思いますので、それはそのときに また議論したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○鈴木委員  パート3というか、カウンセリング機関とかが全部終わってからということですか。 ○矢崎部会長  そうしないとなかなか無理だと思うんですね。環境整備の議論までしたら。 ○鈴木委員  はい。 ○矢崎部会長  よろしいですか、事務局として。 ○谷口課長  スケジュールの話出ましたので、矢崎部会長のご発言を基礎に考えてまいりたいと思 いますけれども、実はきょうの議論も聞きながら、私個人的に考えておりましたのです けれども、当初14年度中の目標ということで議論させていただいて、今までもそれでや ってきたつもりですし、今後もできるだけそういう形でやっていきたいと思うのですけ れども、ちょっと予測できないようなテーマがひょっとして今後出てきたりすると、そ れをすっ飛ばして拙速をということも事務局としてもなかなかつらいものがございます 、はっきり言いまして。その辺は局内でも慎重に考えたいと思いますが、余りにも拙速 を求めて結論を誤らないようにという気持ちを我々は持たなくちゃいけないのかなとい う、きょうの議論を踏まえながら感じたところでございます。きょうはその程度で。 ○矢崎部会長  事務局がそういうふうに構えていただくと、私としても非常に安心しますけれども、 また、議論繰り返していると、加藤委員から、矢崎部会長は議論を楽しんでいるのでは ないかというご意見もあって、私としてもつらい立場にあります。ただ、議論尽くせば といっても、ある程度のスケジュールがあると思いますので、議論は少しタイトスケジ ュールになりますが、先を急ぐということではなくて、回数を増やして十分議論してい ただきたいというふうなことですので、その点ご理解いただければと。委員の皆様方に 大変負担になりますが、その点は十分よろしくお願いしたいと思います。  この会は、本当に委員の皆さんお忙しい中、すごく出席率が高くて大変すばらしい部 会だと思いますので、この議論で恐らく法律になりますれば、国会で討論、いろんな議 論があると思います。そのときに、委員の皆様方の発言1つひとつが国会の議論の中で 活かされてくると思いますので、答申としてはある程度まとめますけれども、いろんな 討論のときに、恐らく皆様方のご発言がすごく資料になると思いますので、そういう意 味でいろいろな方のご議論がたくさん出るということは決してマイナスではありません ので、課長もオープンマインドで懐深く受けとめていただけるみたいですので、通常の 部会ですとタイムスケジュールで急がされてしまいますが、なぜかこの会は非常に担当 課長が責任を持って対応してくださるような感じですので、そういう意味でじっくり議 論をまとめていきたいと思いますので、今後ともご協力のほどよろしくお願いします。  どうも本日はありがとうございました。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                             桑島(内線:7933)                             小林(内線:7939)