02/02/22 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成14年2月22日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年2月22日(金) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(14名)五十音順   大 野 泰 雄、 風 祭   元、 金 井   淳、◎河 村 信 夫、   堺   秀 人、 首 藤 紘 一、 菅 谷   忍、 谷川原 祐 介、  ○長 尾   拓、 早 川   浩、 藤 上 雅 子、 村 勢 敏 郎、   矢 崎 義 雄、 柳 川   尭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人2名   欠席委員(3名)   小 嶋 茂 雄、 南 部 鶴 彦、 長谷川 紘 司 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 池 谷 壮 一(審査管理課長)、    黒 川 達 夫(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)    姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画調整部長)、    平 山 佳 伸(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   山 本 弘 史(医薬品医療機器審査センター審査第二部長)、   橋 爪   章(医薬品医療機器審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、医薬品第一部会を開催させていただ きます。本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。当部会委員数17名中13名の 御出席をいただき、定足数に達しておりますことを御報告させていただきます。  本日の審議に際しまして、専門協議に御参加いただいた専門委員といたしまして、議 題1セレベントと議題2エラスポールについて、北里大学医学部診療教授の近藤啓文先 生に御出席いただいております。近藤先生、よろしくお願いいたします。また、議題6 オフサグリーン静注用の審議に際しまして、慶応義塾大学医学部教授の小口芳久先生に お越しいただくことになっております。  審議に入ります前に、本部会の委員の交代に関しまして御報告申し上げます。本部会 の黒川部会長が御都合により昨年末で薬事・食品衛生審議会委員を御退任されました。 これに伴いまして、新しい委員として医薬品第二部会から河村信夫委員に本部会にお移 りいただきました。また、新たに東海大学医学部附属病院副院長の堺秀人委員に、本部 会に加わっていただくことになりました。河村先生、堺先生、順に一言ずつ御挨拶をお 願い申し上げます。 ○河村部会長 東海大学医学部泌尿器科の河村でございます。今まで第二部会の方の部 会長をやらせていただいておりましたが、都合によりこちらに移らせていただきました。 その仕事の前は配合剤第五調査会というものをやらせていただいておりました。それよ り更に前には、泌尿生殖器官用剤の再評価の調査会というものをやらせていただきまし た。かなり年数はたっておりますが、よろしくお願いいたします。 ○堺委員 東海大学の堺でございます。今河村先生が言われた第五調査会の委員をずっ とやっておりました。そのころの専門領域は輸液でございまして、少しはいろいろ分か るかなと思っております。このたび、このような広範な審議の場にお呼びいただきまし て、誠に光栄に存じますとともに、いろいろ勉強させていただきたいと思っております。 どうぞよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。黒川部会長が御退任いたしましたので、 それに伴い部会長を新たに選任する必要がございます。薬事・食品衛生審議会の第7条 の規定によりまして、「部会長は正委員の互選により選任する」とされております。本 日の部会に先立ちまして、正委員の先生方で互選が行われまして、河村委員を部会長に 選任するという結論になりましたので、ここに御報告させていただきます。それでは河 村先生、こちらにお願いします。 ── 河村委員、部会長席へ移動 ── ○審査管理課長 それでは先生、以後の議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○河村部会長 そういうわけで、よろしく御指導のほどお願いいたします。部会長にな りますと、部会長代理を指名する権利があるのだそうでございます。長尾委員に部会長 代理をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。長尾委員よろしくお願い します。 ── 長尾委員、部会長代理席へ移動 ── ○河村部会長 それでは本日の審議に入りますけれども、事務局から資料の確認と資料 作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局より資料の御確認をさせていただきます。資料1〜13までが あらかじめお送りした資料です。本日席上配付させていただいた資料といたしましては、 番号の付いていないものが3種類、いつものように議事次第と本部会の委員名簿、座席 表でございます。それから番号の付いているものといたしまして、まず最初に資料3' として「レルパックス錠20mg添付文書(案)」。これについては、先日資料としてお送り いたしましたものに若干文言の整備等を行ったものですから、最新版ということで本日 配付しております。それから資料14は毒薬・劇薬等の指定等、審議の御参考にいつもお 配りしているものでございます。それから資料15といたしまして、専門協議に御参加い ただいた専門委員の名簿をお配りしております。   それから平成13年1月23日薬事分科会申合せに基づく資料作成に関与された委員の 確認ですが、本部会委員に本日の議題の関与委員はおられません。以上です。 ○河村部会長 ありがとうございました。審議に入らせていただきますが、本日は新医 薬品の承認の可否等の審議事項は8件だそうでございます。よろしくお願いいたします。 議題1のキシナホ酸サルメテロール、セレベント25ロタディスク、同50ロタディスク、 医薬品セレベント25インヘラーの件につきまして、審査センターから審査概要の説明を お願いいたします。近藤先生に専門委員として御出席いただいておりますが、事務局の 方から近藤先生の御紹介も兼ねてお願いいたします。 ○事務局 それでは議題1セレベントについて、審査センターより御説明させていただ きます。本剤の有効成分キシナホ酸サルメテロールは、英国グラクソ株式会社、現在の グラクソ・スミスクライン株式会社において開発された長時間作動性アドレナリンβ2 受容体刺激薬であり、気道閉塞性障害の改善を目的とした開発が進められました。 本邦における本剤の申請は平成5年10月であり、当時の新医薬品第三調査会で既に審議 されておりますが、審議中断等もあり最終的には平成11年5月10日に開催された調査 会において用量反応性試験の信頼性等に問題があり、本剤の有効性及び安全性を科学的 に評価することはできず、質の高い追加の臨床試験が必要であるとの調査会見解が示さ れました。申請者はこの調査会見解を踏まえ、追加の用量反応性試験を新たに実施し、 平成13年6月に試験結果及びこれまでの試験成績を整備し、調査会見解に対する回答書 を審査センターに提出いたしました。 審査センターは本剤については既に調査会で審議されていたため、追加臨床試験の成績 を中心に審査をいたしました。専門協議では調査会で座長を務められ本日お越しいただ いております近藤委員を始め、岩田委員、河野(修)委員、河野(茂)委員、貫和委員、林 委員、宮川委員を指名させていただきました。 本剤は既に110か国以上で承認されており、国際的なガイドラインにおいても定期使用 を前提とする長時間作動性吸入β2刺激薬として位置付けられております。  それでは審査内容について簡単に御説明いたします。規格ですが、調査会からの指示 に従い適切に修正されております。本剤の毒性についても既に調査会において検討され ており、体重増加等について確認をしておりますが、問題はないと考えました。  本剤の薬理作用についても、調査会でβ2受容体への選択性、抗喘息作用等について 検討され、受容体結合実験、気管や心筋標本を用いた実験及び各種モデル動物を用いた 実験から、本剤のβ2アゴニストとしての薬理学的性質は明らかになっているものと判 断いたしました。  ADMEですが、本剤は吸入製剤であり、ヒトに本剤100μgを単回吸入投与した際に は、いずれの測定時点でも血漿中未変化体濃度は定量限界値以下でありました。調査会 では、併用薬の蛋白結合に及ぼす影響や反復投与時の動態等について検討の上、問題な いことが確認されております。 臨床試験結果ですが、成人気管支喘息患者を対象に第II相試験で用量反応性が検討さ れ、 100μg/日群が至適用量とされ、第III相試験以降はこの用量を用いてプロカテロール群、 あるいはアゼラスチンとサルブタモールの併用群を対象とした比較試験が実施され、本 剤の有効性が示されております。小児では50μg/日群と100μg/日群で比較され、有効 性及び安全性は両群で同様であると考えられました。このほか慢性閉塞性肺疾患(COP D)患者に対する試験や、長期投与に関する試験が実施されております。 冒頭にも御説明いたしましたが、調査会の審議において、本剤の用量反応性が明確にな っていないとの見解が示されたため、プラセボ群を含んだ追加の用量反応性試験が実施 され、本剤の用量反応性がFEV1.0%を指標として確認されております。審査センター は、追加臨床試験の成績から本剤の用量反応性及びプラセボに対する優越性が確認され、 その結果は申請当初の第2回用量検討試験と同様に100μg/日以上で改善率が高かった ことから、用法・用量(1回50μg、1日2回)を変更する必要はなく、申請当初の臨床 試験についても評価することが可能であると判断いたしました。 調査会では、本邦における本剤の臨床的位置付けが明確になっていないのではないかと いう点についても検討されており、専門協議においても検討いたしましたが、気管支喘 息に関するGINAガイドライン、慢性閉塞性肺疾患に関するGOLDガイドラインな ど、国際的なガイドラインにおいて本剤の有用性は既に示されていることから、本邦に おいても同様になるものと考えられ、この点を明確化するための市販後臨床試験の実施 を承認条件とすべきであると考えました。 また本剤の小児への適用については50μg/日が原則ですが、喘息症状スコア等一部の評 価項目では100μg/日の服用により更なる改善が見られ、増量した場合の安全性につい ても特に問題はないと考えられ、海外での小児における承認用量が100μg/日であるこ とを参考として、本邦においても小児に100μg/日の用法・用量を適用可能とすること が妥当であると判断いたしました。ただし、市販後に小児に対する用法・用量の適切性 及び安全性を確認する必要があると考えており、当該臨床試験の実施を承認条件とすべ きであると判断しております。  本剤の安全性については喘息死との関連等が懸念されますが、現時点で明確な因果関 係はなく、海外での使用状況等からも特に問題はないと考えられますが、市販後の臨床 試験や長期使用に関する特別調査において十分検討されるべきであると考えておりま す。また安全性を確保する観点から、本剤の適正使用について情報提供等に万全を期す よう申請者を指導しております。 以上の審査を踏まえ、本剤については臨床的位置付けの明確化及び小児での確認を条件 として承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で御審議いただくことが 適当と判断いたしました。本薬は新有効成分医薬品で、原体は劇薬、製剤は毒薬又は劇 薬のいずれにも該当せず、再審査期間は6年、薬事分科会には報告を予定しております。 よろしく御審議のほどお願いいたします。 ── 説明途中にて村勢委員着席 ── ○河村部会長 ありがとうございました。お聞きのように、気管支喘息と慢性閉塞性肺 疾患に対する長時間作動性のお薬だそうですけれども、最初の申請の段階ではちょっと データが足りないのではないかというお話があったそうですが、近藤先生から御意見、 御追加をお願いいたします。 ○近藤専門委員 この薬は、第II相用量反応試験がどうもうまくいっていないというこ とと、当時ちょうどこういう系統の薬の喘息の死亡例が話題になっていたころだったこ ともありまして…、慎重に審議を行ったのだろうと思うのです。そういう意味では現在 と環境が変わっていると考えますけれども、用量反応性が非常に悪かった、それから治 験の質が良くなかったという二つの理由で、もう少し新しい治験を加えて検討してみて ほしいというのが結論だったかと思います。以上です。 ○河村部会長 ありがとうございました。各委員から御意見、御質問ございますでしょ うか。 ○長尾部会長代理 薬理学的には、急性に気管支拡張作用するものと基本的な作用は同 じで、ベースラインに使って必要なら普通の短時間性のものを足すということですね。 ですから、どちらかというとこういうステロイド剤と似たような使い方になるようです が、その辺の教育などがちょっと心配なのですが…。要するに、説明をすれば実用上余 り問題ないというふうにお考えですか。 ○事務局 センターの方からお答えします。先生御懸念の点はセンターの方でも十分に 考えておりまして、確かに短時間作用型のβ2吸入薬の頻繁な使用あるいは過量な投与 によって、喘息死や心抑制といったことが懸念されていたのですが、今回のこの薬につ いて例えば薬理的な作用を見ますと、心筋への作用はサルブタモールなどに比べるとか なり弱い。あるいはβ2に対する選択性はサルブタモールよりも数百倍高いといったよ うなこと、それからこの薬も実際に国際的には広く使われておりますが、その中で明確 に本剤との因果関係を示唆するような安全性上の問題点というのは報告されておりませ ん。  したがいまして、現時点で特に何か問題があるとは考えてはおりませんが、今後この 薬が日本で定期使用されるということですから、当然関係の学会あるいは現在の日本の 喘息治療ガイドライン、COPDのガイドラインなどで本剤の適正使用が明確に記載さ れるべきであると考え、申請者の方にはその旨関連学会とよく連携して進めるように指 導しております。審査センターとしても、そのような形で進めていく予定にしておりま す。 ○河村部会長 よろしゅうございますか。臨床上いかがでしょう。 ○近藤専門委員 追加させていただきます。今の喘息治療の考え方が、いわゆる吸入の ステロイド薬とこういう長期型を組み合わせて、長期型をレギュラーユースで定期的に 使うことによって喘息の発作を防ぐということで、なるべくなら短期、急性型のものは 余り使わないようにしないといけないと。短期型のものはどうしても使い過ぎてしまう という危険の方が高い、そういう考え方ではないかと私は理解しております。 ○河村部会長 ほかに御意見ございましょうか。はい、どうぞ。 ○早川委員 小児科医ですので小児用量のことでございますが、「小児」という名前で 用量が設定されているわけでございますが、御承知のとおり「小児」といっても大小い ろいろございます。気管支喘息でございますから、小は時と場合によっては乳児から、 大はもちろん青年までと体格も大変違います。小児科医の常識としては、普通、薬用量 は「小児」とくくるということはほとんどないのだろうと私は思っているのですが、薬 の性質上余り小分けにする必要はないのだろうと思うのです。このような形で発売され ますと小児科医は混乱を起こすと思いますので、この点については何か御検討ございま すでしょうか。 ○河村部会長 事務局、お願いします。 ○事務局 小児用量のお話でございますが、有効性の観点からは今のところ50μg/日が 通常用量となっております。今回の治験の中では6歳以上の小児が実際に対象となり有 効性を評価しておりますが、6〜15歳の小児を見た段階で例えば特に低年齢層で有効率 が低いとか、あるいは副作用発現率が高いといったようなことは示されておりません。 今後、実際に100μg/日まで増量することができるとなっておりますので、市販後臨床 試験の中できちんと患者に対する、特に小児の低年齢層を対象として有効率、安全性に ついては更に確認をしたいと考えております。 ○早川委員 そういう意味で、要するに何歳以上というような年齢の制限と申しますか、 とりあえずの指定と申しますか、そういうことが指示されるのでしょうか。それとも青 天井でこのまま承認され許可になるような方針になるのでしょうか。 ○河村部会長 どうなのでしょうか。 ○事務局 小児の気管支喘息薬には、先日この第一部会でも審議されたフルチカゾンな どがございますが、フルチカゾンのロタディスクも今回の製剤と全く同じでございます。 あれは確かに適宜増減という用法・用量になっておりますが、今回のものは特に小児で 具体的に減量する、あるいはβ2アゴニストの長期使用という観点から、この薬を増量 することで気管支喘息の症状をコントロールするというよりは、むしろ今は喘息ステロ イド薬を増量、あるいは減量して調整するといったことが一般的であると思いますので、 本剤について現時点で特に制限を設ける必要はないのではないかと考えております。 ○河村部会長 専門協議でもそういう御意見ですか。 ○近藤専門委員 私は小児科医ではないので詳しいことについては分からないですが、 これはやはり小児においても100の方が50よりも効果があるらしいと。それから副作用 的には用量で差がないということで、小児には余り副作用が起こらない薬剤というふう に理解しております。 ○早川委員 そういう急性的な副作用がございますが、先生方も御承知のとおり、こう いう刺激薬は長期に用いますと気道過敏性を亢進するのではないかという学説がござい ます。また、これに否定的な学説もございましたが、この薬品についてはそういう長期 の検討をされているようには思われないのです。今後、発売があってからそういう検討 を小児科医の方ですると思いますが、そういうこともありまして、長期に使用する薬に つきましては、小児科医はものすごく神経質でございますので、そういう意味でちょっ と心配でございます。このデータを拝見しましても、先ほど御説明がありましたように、 6歳以上あるいは10数歳までの間はそれほど差がなかったということでその辺は理解 できますが、先ほどから申し上げておりますように小児の気管支喘息は3〜4歳、場合 によっては乳児もございますので、これを一般に発売いたしますと先生方からどういう ふうに使うかという御質問が必ず出て、いろいろ混乱するのではないかととても心配い たします。 ○事務局 長期の使用に関しては、例えば資料概要327ページを御覧いただきますと、 本邦では35週までの長期試験、海外では例えば資料概要524ページを御覧いただきます と、小児で12か月までの長期試験が実施されておりまして、有効性あるいは安全性に特 段の問題は認められていないということでございます。  また、6歳以下の乳幼児についてはどうかということでございますが、現時点ではそ ういったデータがないわけで何とも申し上げられませんが、市販後臨床試験の中で承認 条件として義務付けておりますので、その中で先生が御懸念の低年齢層の患者について もエントリーをして、きちんと有効性あるいは安全性について確認するよう申請者の方 に伝えたいと思います。 ○早川委員 大体そういうことでございますけれども、以上申し上げました理由で、今 までのデータ、それから御審議の内容から見て、やはり今のデータではこれは例えば4 歳あるいは6歳以上に使うようになっているという内容を付記して、そして逆に例えば 乳幼児については経験がないなどという表現をなさった方が私はいいと思います。 ○河村部会長 はい、どうぞ。 ○事務局 審査センターから追加させていただきます。早川先生の御懸念ですけれども、 添付文書の「7.小児等への投与」の(2)でございますが、一応ここで「低出生体重児、 新生児、乳児又は4歳以下の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)」 という記載をしております。そこのところで、この小児の効能についてはなるべく一般 臨床の方々に情報提供したいと。用法・用量欄で小児を余り縛りますと、またそれに対 して一変をするとか、適用外使用が増えるなどという懸念もほかの分野ではいろいろ出 てきているものでございまして、この「小児等への投与」のところで具体的な情報提供 を図っている次第でございます。 ○早川委員 私の心配はそこのところだけでございます。薬そのものは私は大変結構な 薬ではないかと思っております。以上でございます。 ○河村部会長 今事務局から説明があったようなただし書では、ちょっとまだ…。 ○早川委員 私個人の意見ではちょっと不十分だと思いますが、いろいろな方針もござ いましょうからそれでよろしいかと思います。 ○河村部会長 その辺はまだメーカーの方とも改良の余地はあるのではないですか。 ○事務局 「小児等への投与」以外でも、もっと上のところへ…「重要な基本的注意」 や非常に目のつきやすいところ等への変更も十分考えさせていただきたいと思います。 ○河村部会長 それでよろしゅうございますか。ほかに…、どうぞ。 ○矢崎委員 長期作動型の薬が我々の手に入るというのは、喘息をコントロールする上 で非常に臨床的に有用だと思うのです。ただ、まだ我々はこれを使い慣れておりません。 喘息というのは山あり谷ありですので、短期作動型の薬とよくコンビネーションをとり ながら使うという…、最初にメーカーさんからの情報提供を十分していただきたいとい うこと。  それから今早川先生が言われた、小児のデータというのがまだ我が国ではそう多くは ありませんので、今後も十分その実績を積んでほしいということをお願いしたいと思い ます。 ○河村部会長 それではこれはメーカーさんの方へそういう御意見があったということ を…。 ○事務局 審査センターの方からそのように伝えます。 ○河村部会長 伝えてください。ほかにございましょうか。はい、どうぞ。 ○長尾部会長代理 二つの製剤がありますけれども、この使い分けなどというのは…、 どういうときにどう使えばいいというのはあるのでしょうか。 ○河村部会長 どうぞ。 ○事務局 エアゾール剤と散剤ということでございますが、この2製剤間については同 等性が確認されておりますので、基本的に何か区別して使うということではなく、むし ろ患者の吸いやすさ、散剤で咳をしてしまう患者にはやはりエアゾール剤の方が好まれ て使用されますでしょうし、そういった患者側のニーズが多いかと思います。 ○河村部会長 具体的に言えば好きな方でよろしいということですね。 ○長尾部会長代理 ステロイド剤では、例えばパウダーに慣れている人は結果的にはそ ちらが使いやすいということになるわけですか。 ○事務局 実際、今フルチカゾンの方でもエアゾール剤、あるいは散剤がありますので、 散剤を使い慣れている方はロタディスクの方を使われる可能性が高いと思います。 ○河村部会長 ほかに御意見ございましょうか。一応いろいろ御意見頂きましたので、 それをメーカーの方にも反映するようにお伝えいただくと。これは薬事分科会の方へ報 告ということになるのだそうですが、そのような扱いでよろしゅうございますか。あり がとうございました。  それでは議題2、シベレスタットナトリウム水和物、エラスポール、注射用エラスポ ールだそうでございます。よろしくお願いします。 ○事務局 資料2、注射用エラスポール100について御説明申し上げます。本剤の有効 成分はシベレスタットナトリウムで、小野薬品工業株式会社によって見出された好中球 エラスターゼの選択的阻害剤であり、感染症等によって引き起こされる全身性炎症反応 症候群(SIRS)に伴う急性肺障害の改善を目的とした開発が進められました。SIR Sに伴う肺障害に対しては、ステロイド剤の投与や水分管理、人工呼吸器による呼吸管 理などが併せて行われておりますが、肺障害・肺機能の改善を目的とした薬剤は現在の ところ存在いたしません。本剤は現在米国において開発が進められております。なお、 申請時には「特発性間質性肺炎の急性増悪に伴う急性肺障害」も効能・効果として申請 されておりましたが、審査の過程で申請効能から削除されております。 本剤の申請は平成9年10月の新医薬品第三調査会において既に審議されており、平成 11年10月25日の審議において適切な評価方法を用いた追加の臨床試験を行い、対象症 例を明確化する必要がある等の調査会見解が示されました。審査センターは調査会見解 を踏まえ、対象疾患を明確にするためにも近年米国NIHを中心とした組織のARDS Networkが実施している臨床試験が参考になると考え、追加臨床試験ではARDS Networkが採用している統一した人工呼吸管理や離脱方法をプロトコルに規定すること などを求め、申請者はARDS Networkの基準に準拠した追加臨床試験を実施し、平成 13年10月に試験成績及び調査会見解に対する回答書を審査センターに提出いたしまし た。審査センターは、本剤については既に調査会で審議されていたため、追加臨床試験 の成績を中心に審査いたしました。専門協議では、調査会で座長を務められ本日お越し いただいている近藤委員を始め、折笠委員、炭山委員、高橋委員、林委員、四元委員を 指名させていただきました。 それでは審査内容について簡単に御説明いたします。規格ですが、調査会からの指示に 従い適切に修正されました。本剤の毒性については臨床投与量との関係について確認を しておりますが、特に問題はないと考えました。  薬理ですが、本剤による選択的なエラスターゼ活性阻害作用、エンドトキシン等によ り誘発した各種急性肺傷害モデルに対する作用が確認されております。 ADMEですが、本剤は静脈内投与であり、本剤0.2mg/kg/hrを持続投与したとき血中 濃度は24時間後には定常状態に達していると考えられ、血液浄化法を併用しても影響の ないことが確認されております。また、本剤は主にカルボキシエステラーゼで加水分解 されると考えられました。さらに、ヒト血漿蛋白との結合について併用剤との影響等を 検討いたしましたが、特に問題はないと判断いたしました。 臨床試験結果ですが、後期第II相試験で3用量による用量設定試験が実施され、 0.20mg/kg/hrが至適用量と考えられ、第III相試験は低用量群(0.004 mg/kg/hr)を対照と した二重盲検比較試験が14日間静脈内持続投与により実施されました。全般改善度での 中等度改善以上の割合は、低用量群に比べ0.20mg/kg/hr群で有意に高いという結果が示 されております。  これらの結果は調査会で審議されましたが、冒頭でも御説明しましたとおり、ARD S Networkの基準に準拠した明確な選択除外基準、対象疾患を明確化するための追加臨 床試験が人工呼吸器離脱基準等が規定された上で実施され、主要評価項目についても人 工呼吸器を装着しなかった日数、Ventilator Free Days(VFD)が採用されました。こ の結果、VFDは平均値で14.3日であり、第III相二重盲検比較試験の成績から算定した VFDと遜色はなく、同様の基準の外部対照と考えられる米国ARDS networkにより 実施された臨床試験の対照群の成績を上回るものであり、全般改善度における改善率等 は当初の第III相二重盲検比較試験の成績と同等でありました。したがって、審査センタ ーは対照患者、離脱基準を厳密に規定した場合にも本剤の有効性が認められ、申請当初 の第III相二重盲検比較試験で得られた結果の妥当性は確認されたと判断いたしました。 また審査センターは、本剤投与の対象となる患者を明確にし漫然とした投与を避けるた め、SIRSの基準や肺障害基準を添付文書で記載し投与期間を14日以内とすること等 を申請者に求め、修正がなされております。 本剤の安全性については、現時点で問題はないと考えておりますが、肝障害や感染症と の関連等について市販後に更に検討するよう指示しております。 調査会では本剤の生存率に対する影響についても検討されており、専門協議でも検討い たしましたが、市販後に明確化するための市販後臨床試験の実施を承認条件とすべきで あると考えております。またこの点については、現在海外で実施されているプラセボ対 照二重盲検比較試験の結果を注視する必要があると考えております。 以上の審査を踏まえ、審査センターは生存率への影響、投与期間及び対象疾患の適切性 を確認するための市販後臨床試験の実施を承認条件として本薬を承認して差し支えない との結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は 新有効成分医薬品で、原体及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当せず、再審査期間 は6年、薬事分科会では審議を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたし ます。 ○河村部会長 ありがとうございました。好中球エラスターゼの阻害薬で、いわゆるS IRSの急性肺障害に対するお薬だそうでございます。これも有効ならば非常に有用な お薬でしょうけれども、いろいろな薬を使っている状態でこれの効果を判定するという ことになったので大変だったようでございます。それで「添付文書(案)」のところにも、 一番最初にこういう状態の場合に使えなどと書いてありますが、近藤先生も随分御苦労 があったと思いますけれども、コメントをお願いいたします。 ○近藤専門委員 今この薬が好中球エラスターゼの活性を阻害するという意味で、SI RSの肺障害に非常に有効であろうというのは動物実験レベルでは分かるのですが、本 当の意味での作用が実際の病変部位にどの程度関与しているのかということについてい ろいろ疑問もあります。  それから第III相試験が低用量と至適用量との比較試験という形だったと。ただ、どう して第三調査会で問題になったかといいますと、一つは死亡率で2群間に有意差がなか ったと。もう一つは、全般改善度という指標では有意差があるのですが、いわゆる人工 呼吸器の離脱や集中室から出る率という場合には、どうもはっきりとした差が見られな い。部分的には差があるのですけれども、そういうようなことが問題です。それが当時 ですと、基準がはっきりしなかったということもありまして、いろいろな施設でいろい ろな基準を使っていたということが問題になったのだろうと思います。もう少しきちん とした比較試験をしてほしいということで、第三調査会がそういう意見を述べて、そし てそれに対して今お話があったような追加臨床試験が行われたということでございま す。この臨床試験は、いわゆるARDS Net workというものできちんと定義された方 法論に基づいて行われた試験です。そして、一応この試験で米国などで行われたプラセ ボ、あるいは対照薬との試験を上回る成績が認められたということで、これは比較試験 ではないのですけれども、一応この第III相試験を裏付ける試験だという考え方で今回の 申請がされたものでございます。 ○河村部会長 そうすると、エンドポイントはARDSの基準というか、それに求めて おやりになったということでございますが、いかがでしょうか。御意見はございますか。 読んでみると、何かもやっとしているところがかなりあるのですけれども、本当に効く のなら大変重要なお薬だという気もいたしますが、御意見ございましょうか。  死にそうだというので、必死になっていろいろな薬を使っている中でこの薬も一つ加 え、それを判定するというのは大変御苦労だったことだと思いますし、やむを得なかっ たかなという気もするのですが、御意見ございましょうか。 ○長尾部会長代理 余り大事な質問ではないのですが、pH5以下だと沈殿が起こるこ とがあるということですが、それができると非常に問題なのか、できてもそれほど問題 ではないのかという…、多分いろいろな治療をされるケースだとは思うのですけれども。 ○事務局 先生御指摘の規格のお話でございますが、最終的には中和して溶かした製剤 でございますので、最終的な安定性あるいは品質等は確認されておりますので、特に問 題はないかと考えております。 ○河村部会長 ほかにございましょうか。はい、どうぞ。 ○矢崎委員 このような病態に一番効く薬はステロイドなわけですよね。恐らくそうい う薬を使った上でこれをやらざるを得ないという状況では、今部会長が言われたように 効果の判定が極めて難しいという感じがします。やはりポイントは、死亡率という定量 的な数値で効果が表せられなかったということ。もう一つは、やはりARDSで一番臨 床的に問題になる間質性肺炎で効果が認められなかったというのは、こういう薬の臨床 的な意義が少し弱まるのではないかと。恐らく類似薬はウリナスタチンになると思うの ですが、ウリナスタチンという薬は高い薬でしょうか、安い薬でしょうか。変なことを 聞いてすみません。これは同じエラスターゼの活性阻害薬ですが、余り高い薬だったら どうかなと思います。 ○河村部会長 分かりますか。 ○審査管理課長 ちょっと調べます。 ○事務局 ウリナスタチンでございますが、5万単位で2,200円でございます。これは ARDSでは実際効能がございませんで、急性循環不全ですが、それが通常では大体1 回10単位ですから4,400円くらいです。 ○河村部会長 かなり重症ですから、高いと言うよりは安いと言わなければですね。御 意見ございますか。 ○堺委員 質問ですけれども、エラスターゼのインヒビターは炎症を抑えるだろうとい うことで、以前から随分いろいろな方面で試みが行われております。これまでは主とし て慢性の炎症性疾患に対する効能が多かったと思うのですが、このような急性の炎症を 抑えるであろうということで、今回このような御定義をいただいたわけです。調査会の 方でいろいろ詳しくお調べになられて、もう判明しているのだろうと思うのですが、資 料でちょっと分からなかったものですからお教えいただきたいのですが、局所でエラス ターゼを抑えているというエビデンスは患者さんではなかなか難しいのですが、動物実 験レベルで特に肺に焦点を絞って、そういうエビデンスというのは上がっておりますか。 資料の読み方がちょっと浅かったかもしれず見逃しているかと思いますが、お教えいた だきたいと思います。 ○河村部会長 どうでしょうか。 ○事務局 エラスターゼ活性と臨床症状との関連性ということでございますが、ヒトで のエビデンスで直接的に測っているものはございません。今回、エラスターゼとα1イ ンヒビターの複合体を測っているだけでございますのでございませんが、薬理学的には いろいろな肺障害モデルがございまして、その中で本薬をやるとエラスターゼ活性が下 がって、それに相関して症状スコアが減少するといったことは既に認められております。  また、vitroなどではエラスターゼの働きが過度になると確かに内皮細胞を破壊して、 例えばカドヘリンが脱落して血管透過性が増加するといったことは確認されております ので、可能性としてはあるとしか申し上げられないと思います。 ○河村部会長 それはこちらに記載がありますか。 ○事務局 資料概要の最初のイ項のところで、イントロダクションということで具体的 に記載はされておりますが、その実際のデータは薬理の方で少し肺傷害モデルに対する 作用が記載されております。 ○河村部会長 だそうでございます。そうすると、詳細なデータはまだ得られるかもし れませんね。ほかに御意見ございますでしょうか。私から要望するのは、市販後調査に かなりの部分をゆだねることになるでしょうけれども、そのときにきちんとしたデータ が出るようなプロトコルを相談してやらないと、また曖昧模糊とした結果になるのでは ないかということがありますので、その辺をしっかりお願いしたいと思います。 ○事務局 部会長の御指摘はごもっともかと思います。今海外では、約620例を対象に した大規模なプラセボ対照二重盲検比較試験が実施されておりまして、この試験結果を 再審査資料として提出するように承認条件を課しているというのが一つございます。ま た、この試験はARDS Networkの基準に準拠しておりまして、今後本邦で市販後臨床 試験を実施するに当たっても同様の基準で実施する予定になっておりますから、直接で はないですが、比較可能な試験結果が得られるだろうというのが一つ。  それからもう一つは、実際にはVFDもそうですが、生存率あるいは死亡率といった ようなことについても十分検討できるよう、なるべく症例数を確保して適切に実施でき るよう審査センターの方でも更に検討して、申請者と詰めたいと思います。 ○河村部会長 よろしくお願いいたします。これは重篤な疾患に使う新作用機序の薬剤 だそうですし、効果があるらしいので薬事分科会でも御審議していただくということで 上へ上げてよろしゅうございますか。それではそのようにさせていただきます。どうも ありがとうございました。  それでは議題3、臭化水素酸エレトリプタンファイザー、レルパックスというものだ そうでございますが、事務局から御説明お願いいたします。近藤先生、どうもありがと うございました。 ── 近藤専門委員退席 ── ○事務局 資料3、臭化水素酸エレトリプタンファイザー及びレルパックス錠20mg、一 般名臭化水素酸エレトリプタンについて審査センターより御説明いたします。なお、当 日配付資料としまして、資料3'に添付文書の改訂版を添付させていただいております。  本薬はファイザー社で、5-HT受容体のサブタイプである5-HT1B/1D受容体に対 して選択的に作動する片頭痛治療薬として開発されました。本年1月現在で欧州連合諸 国など41か国で承認され、米国、カナダにおいては審査中となっております。本邦では、 ICH E5ガイドラインを適用し、国内で実施された用量反応試験を、海外で実施された用 量反応試験のブリッジング試験として位置付け、外挿可能性を確認した上で海外で実施 した第III相試験を本邦へ外挿し、Complete Clinical Data Packageを構成して今回申請 がされました。  本薬の審査に関しましては、専門委員として青柳委員、岩崎委員、内山委員、江馬委 員、鈴木委員、林委員、福島委員、松本委員、宮下委員、安原委員、山之内委員が指名 されました。  規格、安定性、毒性及び薬理については特に問題はありませんでした。  ADMEに関しましては、日本人と外国人との比較において、本薬経口投与時のCmax 及びAUCは日本人において約35%低い結果となりましたが、これらの曝露量の違いは、 臨床的には大きな影響を及ぼさないと考えられました。また、本薬はモノアミンオキシ ダーゼの基質とはならず、主にCYP3A4により代謝されます。CYP3A4阻害薬との作用試 験成績などに基づき、HIVプロテアーゼインヒビターは併用禁忌に、マクロライド系 抗生物質などは併用注意とすることが妥当であると判断されました。  臨床試験は、国内においては第II相用量反応試験までが実施されました。国内II相試 験における主要評価項目に関して、本薬の全用量(20〜80mg)群でプラセボ群より統計学 的に有意に高い改善率を示し、また用量反応性も示され、これらがブリッジング対象海 外臨床試験成績の有効性及び用量反応性と類似していることから、海外臨床試験結果の 外挿性が示されていると判断されました。  審査センターはブリッジングが妥当であると判断した上で、有効性、安全性について 検討いたしました。有効性に関しては、国内第II相試験における有効性主要評価項目で ある服用2時間後の頭痛改善度は20mg群、40mg群でほぼ同様であったこと、安全性に 関しては5HT1B/1D受容体作動薬に特有の有害事象発現が用量の増加に伴って増加し、 特に80mg群における本薬と因果関係が否定されない有害事象の発現率は、外国第II・III 相試験と比べても高かったことから、用法・用量は初回用量を20mgとし、効果不十分な 場合は40mgへの増量を認め、1日最大用量を40mgとすることといたしました。  以上のような検討を行った結果、審査センターは本申請を承認して差し支えないと判 断し、医薬品第一部会において審議されることが適当と判断いたしました。本薬は新有 効成分含有医薬品で、再審査期間は6年、原体及び製剤は劇薬に該当し、分科会へは報 告が妥当と判断しています。御審議のほどよろしくお願いします。 ○河村部会長 ということだそうでございますが、片頭痛のお薬でございまして、同様 のものが数か月前にここで出たと思いますけれども、御意見、御質問ございましょうか。 私が見たところでは、日本人は割合とプラセボが効いているのですが、統計的には差が あるということで、外人よりはプラセボが効くから何でも飲ませれば効くのかなと思っ てしまいますが…。どうぞ。 ○谷川原委員 最終的に承認する用法・用量は、海外の用法・用量と同じですか。 ○事務局 海外の用法・用量と比べて約半分でして、現在米国では審査中、英国等の欧 州で承認になっているのですが、そちらの承認用量は初回投与量が40mg、1回に最大 80mgまで投与することができて、1日の最大投与量が160mgになっております。ですか ら、初回投与量と1回最大投与量が日本では半分、1日最大投与量は4分の1になって おります。 ○谷川原委員 その辺り、もう少しデータの解釈を整理させていただきたいのですが、 同じ用量で比較したときに、同じ用量で活性体の薬物濃度は日本人の方が低かったわけ ですね。ところが、その3割ほど低かったけれども、その影響は薬効面で比較すると大 きな違いではないと。確かに資料概要の方に図があるのですが、いわゆるシグモイドカ ーブで見ますと、既に20mgでかなり効果が出ていて、40、80にしても余り変わらない から、そこで3割くらいの違いは薬効には影響を及ぼさないということで、低くても効 くという解釈をされたわけですか。 ○事務局 海外臨床試験成績で実際の曝露量と頭痛改善率というのを見ておりまして、 曝露量が2倍になってもそのときの頭痛改善率が1.2倍にしかならないというデータも ございまして、曝露量と効果というのが直接的に比例しているわけではないと解釈しま した。 ○谷川原委員 片や安全性から見ますと、高用量の方に有害事象が出たということで、 やはり日本人の方は低めに用量を設定した方が妥当だろうと考えてよろしいわけです か。 ○事務局 そのとおりです。 ○谷川原委員 どうもありがとうございました。 ○河村部会長 堺先生、どうぞ。 ○堺委員 最近、海外での臨床試験と国内の結果とを比べる機会が増えてきたと思うの ですが、私の個人的な印象ですけれども、我々日本人は欧米人に比べて特に心血管系の 反応が敏感なのではないか、繊細な民族なのではないかと思っておりますが、これもそ ういう結果が出ております。審査会の方では、民族差よりは個人差の方が大きいという 御判断もあるようですが、実際にこのように用法・用量の面でも工夫をしておられます し、是非市販後調査におかれましては特に心血管系、具体的には血圧と冠動脈について 慎重に追跡調査をお願いしたいと思います。 ○河村部会長 そのような御要望があったということをお伝えください。 ○事務局 市販後調査の方でそのような点について調査させていただきたいと思いま す。 ○河村部会長 ほかに御意見、御質問ございますか。先生、どうぞ。 ○谷川原委員 今の御説明ではよく分からなかったのですが、先行のゾーミックとイミ グランに比べてこの薬剤の特徴というのはどこにあるのでしょうか。 ○事務局 作用機序としましては基本的に同じですが、特に代謝酵素の方が違っており まして、ゾーミック、イミグランの2剤に関しては、モノアミンオキシダーゼで主に代 謝されるのですが、こちらはCYP3A4で代謝されるのが一番大きな違いかと思います。 ○谷川原委員 もう少し正確に言いますとMAO-Aで代謝されますが、MAO-A阻害 薬というのは現状では日本にはないわけです。MAO-Bの阻害薬にはFP錠というもの があるのですが、MAO-Bではないですよね。ですから、現実的にはMAOインヒビタ ーとの間の相互作用というのは、今の現状の日本では起こり得ないと思いますけれども、 センターの御見解では代謝酵素ということですね。分かりました。 ○河村部会長 よろしゅうございますか。風祭先生、どうぞ。 ○風祭委員 これは前のゾーミックのときにも申し上げたことですが、片頭痛の患者さ んをときどき拝見すると、ずっと長い片頭痛の経過があって、今までエルゴタミン含有 の錠剤を常備薬として続けて飲んでいる方が非常に多いのですね。ちょうど喘息の患者 さんが持続的にテオフィリンのようなものをずっと飲んでいて、発作が起こるともっと 効く薬を飲むのと同じように、片頭痛の場合も持続的に予防の薬を飲んでいて、発作時 にさらに特に効く薬を使うという患者さんが結構多いのです。  前置きが長くなりましたけれども、ゾーミックのときにも申し上げたのですが、エル ゴタミンの入っている薬をずっと飲んでいる人がこの薬を飲むには、結局24時間空けて 飲まなければいけない。しかし、患者としては頭が痛い、吐き気がする、食事も摂れな いとなると、やはりどうしてもこの薬を飲んでしまう可能性が非常に高いですね。です から、そういうケースがあるのは仕方がないので、ここの禁忌のところをもう少し分か りやすく、特にそういうことについて書けないかと私は思います。今日配付していただ いた案にも赤く書いてありますが、例えば他の5-HT1B/1D受容体作用薬とか、その横 には「HIVプロテアーゼ阻害薬」とあって、具体的な薬の名前が書いてあるのです。 具体的には、例えばカフェルゴットやジヒデルゴットなどを続けて飲んでいる人には24 時間の間隔を空けて投与するということを、最初の「禁忌」のところにはっきり分かり やすく書いてないと、頭痛が起こったときに、やはりすぐこの薬を飲む心配があるよう に思いますので、その辺りの表示の仕方を御検討いただきたいと私は思います。 ○河村部会長 そういう御意見ですが、これは先行の薬品もどうなっているかですね。 ○事務局 こちらの併用禁忌に関しましては、先行薬であるイミグラン、ゾーミックの 併用禁忌と同じような書き方をさせていただいております。先生の御発言は、通常患者 さんがお薬を飲んでいらっしゃって、それでもどうしても頭が痛いからここにこういう ことが書いてあっても、例えば本薬などを飲まれて何か有害事象等が起こるのではない かという御懸念がおありでということでよろしいですか。 ○風祭委員 確かに日本では片頭痛の認知度が低くて、頭が痛い、頭痛発作があるとい うと、普通の神経内科や精神神経科でないところに行きます。そして、まずCTや脳波 を取っていろいろな検査をして脳に器質的な疾患がないということになると、緊張性頭 痛とか何かに紛れ込むところがかなりあるのです。これは片頭痛ときちんと診断をされ た方に使えばいいのですが、片頭痛は起こるとやはり非常につらいので、発作自体はと きどき起こるのだけれども、予防的に薬を使っている人というのは結構いるのですね。 ですから、予防的にエルゴタミン製剤を使っている人でもそれが効かないで発作が起き たときに、24時間待ってからこの薬を飲むのは、実際には医者としても患者さんとして も非常につらいことだと思うのです。ですから、これは表示の問題で、この添付文書案 の最初に「禁忌」というのが出ていて、一番最後に「併用禁忌」というのがあるのでそ こを読めば書いてあると言えばそうですが、もうちょっと前の方にはっきり具体的に薬 の名前などを書いておいた方が心配がないと私は思うのです。この薬の効果自体は結構 なので、表示の問題ですね。片頭痛というのは、本当に患者さんがつらくてかわいそう なのです。 ○河村部会長 先生がおっしゃるのは、1ページの(7)のところにもっと具体的に薬の 名前を入れろと…。 ○風祭委員 例えばHIVのプロテアーゼ阻害剤というと「リトナビル」などと書いて ありますから、そうだったら上のエルゴタミンとかそういうところにも少し具体的な薬 の名前をやはり書いておいた方がいいのではないかと思います。 ○河村部会長 それも要望できますか。 ○審査管理課長 先生と御相談させていただいて、申請者を指導して適切な表現に変え るようにさせます。 ○河村部会長 そうすると、先行の薬剤もそういうことになりますか。 ○安全対策課長 審査管理課と協議いたしまして、先行の薬剤についても検討いたしま す。また、必要があれば患者向けの説明文書等を更に適切な手段で、あるいは風祭先生 と御相談の上検討させていただきたいと思います。 ○河村部会長 それでは先生と御相談いただくということで、よろしゅうございますか。 ほかに御意見がございませんでしたら、一応承認を可として薬事分科会の方へ報告とい うことにさせていただきたいと思います。  少し予定を変えまして、小口専門委員がお見えになっているというので、先に議題6 の御説明をお願いいたします。 ── 小口専門委員着席 ── ○事務局 資料6、医薬品オフサグリーン静注用25mgの製造承認の可否等について、審 査センターより御説明させていただきます。  本剤は眼底血管造影、すなわち「網脈絡膜血管の造影」に用いる注射剤でございます。 本剤の成分のインドシアニングリーン(以下、ICG)は、肝・循環機能の検査薬として 第一製薬株式会社より「ジアグノグリーン注」の商品名で製造・販売されておりますが、 このICGはこれまでも適応外で眼底血管造影に用いられてきており、厚生省特定疾患 網膜脈絡膜萎縮症調査研究班の研究報告を始め、数多くの臨床報告がございます。  参天製薬株式会社は、厚生省の研究班の黄斑異常分科会や日本ICG研究会を始めと した医療側からの強い要望を受け、本剤の眼科造影剤としての開発を行うこととなり、 今般、本剤の臨床試験成績及び国内外の臨床論文等の調査結果を基に、承認申請された ものでございます。なお、本剤は第一製薬株式会社との委受託製造により、参天製薬株 式会社が供給するものでございます。  本剤の専門協議における専門委員としましては、本日おいでいただいております小口 委員を始め、金井委員、金子委員、佐藤委員、谷川原委員、藤上委員、本村委員、吉村 委員を指名いたしました。以下、審査の概略を御説明いたします。  規格・安定性、薬理、ADMEについては、特段の問題点はないものと審査センター は判断いたしましたが、本剤は溶液状態で不安定であるため、溶解後はすぐに使用する 旨を「使用上の注意」に記載し、注意喚起いたしております。なお、毒性については今 回新たな資料は提出されておりません。 次に臨床試験について述べさせていただきます。今回の申請では、加齢黄斑変性症の患 者を対象に、第II・III相試験として本剤12.5mg及び25mgを投与することによる検討が クロスオーバー法により実施され、その成績が提出されております。「脈絡膜新生血管 の検出の容易さ」を主要評価項目として検討した結果、本剤25mg投与群は12.5mg投与 群に比べ検出率が有意に高い成績が得られております。一方、申請時には参考資料とし て国内外の安全性評価成績2報が提出されておりましたが、審査センターは本剤の承認 審査を行うに当たり十分な資料が提出されていないと判断し、ICGが投与された眼底 血管造影症例に関する国内外の文献及び成書等をまとめ提出するよう申請者に求めたと ころ、申請者より国内14報、海外8報の計22報の論文が提出されております。 本剤の効能・効果については、申請者は申請当初本剤の効能・効果を「網脈絡膜血管異 常を伴う疾患の診断」としておりましたが、本剤の臨床試験は加齢黄斑変性症以外の疾 患を対象として実施しておらず、また本剤はICG特異的に血管の状態が「見える」こ とが造影原理であり、それを「見る」ことが目的であることから、申請者より本剤の効 能・効果を「網脈絡膜血管の造影」に変更するとの見解が示されました。ICGが本邦 で既に一般的に眼科検査用として使用されており、国内外で脈絡膜疾患のみならず網膜 疾患に使用された報告等もあること、及び本剤の造影原理をかんがみ、審査センターは 本剤の効能・効果の「網脈絡膜血管の造影」は妥当と判断いたしました。 用法・用量については、申請者は当初「インドシアニングリーンとして、通常25mgを注 射用蒸留水2mLに溶解し、肘静脈より速やかに注射する。なお、病態等により適宜増減 する」としておりましたが、審査センターは臨床試験成績より本剤の投与量25mgは妥当 であると判断されるものの、25mgを超える用量の臨床試験データがなく、25mgを超える 用量における本剤の安全性・有効性は十分に検討されていないと判断し、専門協議にお ける議論も踏まえ申請者に見解を求めたところ、本剤の用法・用量を「インドシアニン グリーンとして、成人には25mgを注射用蒸留水2mLに溶解し、通常肘静脈より速やか に注射する」に変更するとの見解が示され、審査センターはこの見解を妥当と判断いた しました。 安全性については、本剤の臨床試験において認められた本剤との因果関係が否定されな かった副作用は、25mg投与直後に認められた一過性の軽微な嘔気1例1件のみでありま した。しかしながら、ICG投与によってショックが起こり得ることが知られているこ とから、既存のジアグノグリーン注と同様、本剤の「重大な副作用」の項にも記載して 注意を喚起しております。 眼科用検査薬の本剤と既承認薬のジアグノグリーン注との識別について、審査センター は本剤の販売名は眼科用であることが明確であり、製品パッケージは本剤では紙箱に詰 める形態へと変更されたことから改善されたものと考えております。また申請当初は、 ジアグノグリーン注と同様10mLの日局注射用蒸留水を添付溶解液としておりましたが、 本剤は2mLに溶解して用いることから、本剤の用法・用量に則した容量の注射用蒸留水 を添付すべきとして再検討を求め、添付溶解液を10mL入りアンプルではなく3mL入り アンプルへと変更するとの回答が申請者より示されました。審査センターは本剤の用法 ・用量をかんが み、本剤の適正使用の観点から申請者の回答を妥当と判断いたしました。 以上のような審査の結果、審査センターは本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬 品第一部会で審議することが適当であると判断いたしました。なお、本剤は新効能医薬 品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当であると考えます。また、 薬事分科会には報告を予定しております。以上でございます。御審議のほどよろしくお 願いいたします。 ○河村部会長 ありがとうございました。お聞きのように、網脈絡膜血管の診断に使う 薬ジアグノグリーンよりも水の量が少なくなったということでございます。小口専門委 員、お忙しいところありがとうございます。コメントをいただけますか。 ○小口専門委員 それでは補足説明をいたしたいと思います。まずこのオフサグリーン に関しましては、資料6の「資料概要」の1ページをお開きいただきたいと思います。 そこに「図イー1」というものが載っていると思いますが、これを御説明させていただき ますと、眼底疾患の診断にはフルオレセインによる蛍光眼底造影とインドシアニングリ ーンによる蛍光眼底造影の2種類があるわけですが、これを見ていただきますと短波長 の500nmの光は網膜の内層の方で反射して網膜の後方まではなかなか行かない、長波長 の赤系統の波長だと奥の方まで行く。これを利用したものがオフサグリーンでございま す。  網脈絡膜の疾患に関しましては、蛍光眼底造影は診断がなかなか難しいということで ございまして、このインドシアニングリーンを使った検査では波長が長いものですから 脈絡膜の血管の状態がよく分かるということです。今一番問題になっている加齢性黄斑 変性症という老人に多い病気(アメリカでは失明率の1位で日本でもかなり増えている) を正しく診断して治療しなくてはいけないわけですが、それに非常に役に立つというこ とでございます。そのほか、この加齢性黄斑変性症以外にもいろいろと網脈絡膜疾患が ございますが、その診断に非常に役に立つということでございます。それに関しまして は、15ページに「IAの意義」と書いてあるところがございますので、これをお読みに なっていただければ分かると思います。インドシアニングリーンはかなり前から眼科で は使われてきていたわけですが、厚生労働省の正式な許可が下りていないということで 問題になっていたわけでございます。それで今回、こういった治験が行われたわけであ ります。  もう一つ安全性という問題がございますけれども、安全性に関しましては今回は57症 例のうち1例だけが軽い嘔気のみでございましたが、これでは不足なのでいろいろと添 付資料を付けるようにということでございました。日本眼科学会の理事長が諮問して「眼 底造影実施基準策定委員会」というのができております。この委員会で検討した結果、 その答申が日本眼科学会雑誌の2月号に記載されております。ここに今持ってきており ますけれども、ちょっと概要を述べますと「眼底血管造影実施基準」というものが12項 目ございます。これには造影剤の性状の把握、検査室の整備や検査の必要性の検討、最 後に副作用報告の例までございます。これには先ほど申しましたフルオレセインとイン ドシアニングリーンによる蛍光眼底造影の二つについて書いてございます。最後に、フ ルオレセインによる蛍光眼底造影とICGによる眼底造影についてホープロスという方 が報告したものがございますが、副作用を軽度、中等度、重度の副作用、それから死亡 という4段階に分けますと、軽度の場合はインドシアニングリーンによる副作用が0.15 %、フルオレセインによる場合は大体1〜10%、中等度のものがインドシアニングリー ンだと0.2%で、蛍光眼底造影だと1.6%、重度のものは両方とも0.05%でございます。 それから死亡例はインドシアニングリーンは33万3,333人のうち一人だけです。フルオ レセインの場合には22万2,000人に一人だということが出ておりまして、重度のものは フルオレセインとインドシアニングリーンは余り変わりありませんが、軽度あるいは中 等度のものはインドシアニングリーンの方が副作用はかなり少ないという結果が出てお ります。  1996年に日本全国16の施設からデータが出ておりまして、これでは2,820例のうち 13例に副作用があったということでございますが、その副作用に関しては重度のものは ございませんで、嘔気が4、発熱が4、蕁麻疹が1、便意を催したのが1でありました。 それから血管痛が1で、血圧の下降が2ということでございます。   こういうことで、安全性に関しては日本眼科学会の方からインドシアニングリーンを 用いる施設に対してこういう基準を出しておりますので、これを用いるドクターは熟読 してやってもらいたいということでございます。それからインドシアニングリーンを使 用するドクターの施設ですが、これは多分普通の開業医ではやらないと思います。なぜ かと申しますと、これをやって診断をつけても開業医レベルではなかなか治療に持って いけないということがございまして、総合病院や大学病院、あるいは内科があるような 大きな病院でないとなかなかできにくいのではないかと思っております。 以前は製剤に10mLの蒸留水が付いていたわけですが、これだとなかなか紛らわしいとい うことで、すなわち実際には医師が詰めるわけではなく、看護婦さんが多分詰めると思 いますので、そうしますとこの溶解液10mLというのは、もしそれに溶いてしまうと薄く なってしまうわけでございます。そういうことで、眼科独自の製剤にしていただいた方 がいいということであります。インドシアニングリーンの中身は同じですけれども、溶 く量が違うということでこういうふうになったわけであります。  以上のことから、本剤の有効性、安全性は評価可能でありまして、承認してもよいの ではないかと考える次第でございます。以上でございます。 ○河村部会長 ありがとうございました。診断用のお薬でございますが、金井委員から 何か御意見はございますか。 ○金井委員 小口専門委員の方で御説明されたので、それでほとんど問題ないと思いま す。眼科分野においては、やはりフルオレセインと同じようにこのインドシアニングリ ーンというのは診断に大変重要ではないかと思います。小口専門委員も言われたように、 施行する場所というのは大学病院や大きい病院がほとんどでございますし、ショックや 何かに対する対応というものも一応全部設備を整えたところでやっているのがほとんど だと思います。以上でございます。 ○河村部会長 ジアグノグリーンがかなり使われていますから、一応のことは分かって いるだろうと思いますが、御意見、御質問はございましょうか。よろしかったら、ここ で御承認いただいたことにして、薬事分科会の方へ報告とさせていただきますが、よろ しゅうございますか。小口先生、お忙しいところどうもありがとうございました。 ── 小口専門委員退席 ── ○河村部会長 それでは順番を戻しまして、議題4のアセチルシステイン内用液の御説 明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 資料4、医薬品アセチルシステイン内用液17.6%「センジュ」の承認の可否 等について審査センターより御説明いたします。本剤の有効成分アセチルシステインは、 昭和39年に承認された去痰を効能とする吸入剤に含有されておりますが、本剤はアセト アミノフェン過量摂取時の解毒を効能として申請されたものであります。アセトアミノ フェンは比較的安全な解熱・鎮痛剤として汎用されていますが、過量に摂取した場合、 肝臓での代謝に必要なグルタチオンが枯渇し、毒性代謝物による肝障害が発生いたしま す。本剤はグルタチオンの前駆体であり、アセトアミノフェンの代謝を促進することで 肝機能障害を抑制するとされています。 本剤は英国、米国を始め海外において本効能で承認されており、国内でも海外の臨床成 績等を参考に既承認の吸入剤が適応外使用されております。この実態を踏まえて、平成 11年に発出された適応外使用に係る通知を利用した申請となりました。したがって、品 質に関する資料のほかには、公表論文を中心に構成されており、審査センターでは本申 請を医学・薬学上公知とすることの妥当性を中心に審査を行いました。なお、アセチル システイン製剤の本効能取得につきましては、日本救急医学会からの要望書も提出され ております。  本剤の専門協議における専門委員としては、相川委員、井上委員、大橋委員、林委員、 宮坂委員、吉岡委員、与芝委員を指名いたしました。  以下、審査の概略を御説明いたします。審査センターでは、1988年にThe New England Journal of Medicineで報告された米国での多施設オープン臨床試験の結果を、本剤の 有効性・安全性を示す最も重要な公表文献として評価を行いました。本試験では、アセ トアミノフェンの急性中毒により肝障害の発生が予測される患者に対し、今回申請され た用法・用量と同一プロトコルで本剤が2,540症例に投与されております。本試験の結 果、アセトアミノフェン過量摂取後8時間以内に本剤の投与を開始した患者では、投与 開始時の血中アセトアミノフェン濃度にかかわらず肝機能障害の抑制効果が認められ、 アセトアミノフェン過量摂取後、少なくとも24時間以内に投与されれば本剤の肝機能障 害抑制効果が得られるとされております。この報告を始め、本剤の有効性・安全性に関 する数多くの公表論文等が提出されており、国際的な中毒学の成書においても、アセト アミノフェン中毒に対する治療薬として本剤が第一選択とされていることを確認し、本 剤の用法・用量、効能・効果について、医学・薬学上公知と判断することが妥当と判断 いたしました。 また審査センターでは、本剤が救急医療の現場で緊急に用いられる医薬品であることを 踏まえ、アセトアミノフェンの急性中毒に対する本剤の適切な使用方法について現在ま でに得られている情報の整理を行い、適宜添付文書及び医療機関向け使用マニュアルに 反映させることといたしました。 以上のような審査を行った結果、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部 会で審議することが妥当と判断いたしました。本剤は新投与経路医薬品であることから、 再審査期間は6年間とすることが適当と判断しております。御審議のほどよろしくお願 い申し上げます。 ○河村部会長 ありがとうございました。アセトアミノフェン中毒の急性のものに対す る解毒剤として使うのだそうですが、これは剤型が変わったのですか。 ○事務局 もともと吸入薬であったものを経口でということでございます。 ○河村部会長 お手元のアンプルで飲むらしいですが…、「禁注射」と書いてあるもの です。何かちょっと危なっかしいなという感じもするのですが、いかがでございましょ うか。御意見、御質問はございますか。はい、どうぞ。 ○堺委員 今の部会長の御発言のフォローをさせていただきたいと思います。矢崎委員 と私がたまたま厚生労働省の医療安全対策検討会議の委員を務めておりまして、間もな くその報告書が出てまいります。薬剤については、その中でも薬剤自体、あるいは容器 の形状が誤りを起こす可能性を少しでも避けるようにということが書かれることになる であろうと思っております。やはりこのようなアンプル型になっておりますと、救急の 現場で注射と混同する可能性が多少は高まるかと思います。可能ならばできるだけ早く 容器の形状を変える、あるいはもう少し踏み込んでいつまでに容器の形状を変えること という指導をしていただければと思います。 ○河村部会長 そういう御要望はいかがでしょうか。 ○審査管理課長 確かにそういう御懸念があるだろうと思います。ただ、このお薬は医 療上非常に必要と判断しておりますので、もし御了解いただけるのであれば、審査管理 課と安全対策課で申請者を指導して、剤型については大至急変えるように指導していこ うと思っております。 ○河村部会長 よろしゅうございますか。ほかに御意見ございますか。それでは一応そ ういう御要望があったということをお伝えください。これは薬事分科会の方には報告と いうことになりますが、よろしゅうございますか。ありがとうございました。  次に議題5、これははり薬でございますが、エストラダーム、エストラーナの御説明 をお願いいたします。 ○事務局 資料5、医薬品エストラダーム M、エストラーナの製造承認事項一部変更承 認の可否等につきまして、審査センターより御説明いたします。  本剤につきましては、平成11年に「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う下記症状、血 管運動神経症状、泌尿生殖器の萎縮症状」の効能で既に承認されています。今般、閉経 後骨粗鬆症、閉経後骨量減少症改善の効能追加のために一部変更承認申請がなされたも のです。なお、本剤の申請効能につきましては、米国、英国等においても本剤と同様の エストロゲン貼付製剤が「骨粗鬆症の予防」の効能で承認されています。  本剤に関する専門委員としては、井口委員、高岡委員、林委員、森田委員、吉村委員 を指名いたしました。  まず閉経後骨粗鬆症の効能について審査の概略を御説明いたします。臨床試験におき ましては、後期第II相試験で退行期骨粗鬆症患者168名に対しプラセボ又は本剤0.36、 0.72、1.44mgを含有する製剤を2日ごとにはり替える、投与期間24週の比較試験が行 われています。その結果、24週後の骨密度変化率でプラセボ群から1.44mg群の範囲で 用量反応性が見られております。  一方、安全性においては、1.44mg群では副作用重篤度で高度な副作用が他の群に比べ 多く見られ、また、概括安全度で問題ありとされた症例も多く見られました。以上より、 至適用量は0.72mgとされています。  第III相比較試験では、アルファカルシドールを対照薬とし、原発性骨粗鬆症患者98例 に対し、本薬0.72mg含有製剤を2日ごとにはり替える、投与期間52週の二重盲検比較 試験が行われております。その結果、最終評価時の骨密度変化率で、本薬群は対照群に 比べ有意に骨密度を増加させております。 安全性については、申請用量の0.72mgに関して更年期障害等の既承認効能申請時に提出 された試験と比べ、今回提出された臨床試験では乳房症状が高い頻度で見られたことを 除き、ほぼ同様でありました。この乳房症状につきましては、新たに乳頭痛、乳腺症を 添付文書の「副作用」の項に記載しました。また、骨粗鬆症では投与期間が長期にわた ることから、長期投与の安全性について、特に子宮内膜癌等の危険率の増加に関し文献 等により考察を求め、子宮内膜癌については黄体ホルモンの併用により相対危険率が減 少すること等、長期投与においても大きな問題点が見られていないということを確認い たしております。  一方、もう一つの効能である閉経後骨量減少症改善については、審査センターでは対 象者を食事・運動療法といった非薬物療法で十分な効果が見られない場合、又は閉経後 急激な骨量減少が認められる場合といった、骨粗鬆症になる可能性の高い群を対象とす べきと判断しましたが、提出された臨床試験ではその検討が十分ではなかったこと等か ら、申請者は閉経後骨量減少症改善の効能を取り下げております。  以上のような審査を行った結果、本薬の骨粗鬆症に対する有効性が確認され、安全性 についても大きな問題が認められなかったことから、閉経後骨粗鬆症の効能追加につい ては承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議することが妥当と判断しま した。本薬は新効能医薬品でありますので、再審査期間は4年、薬事分科会へは報告が 適当と判断しております。御審議のほどよろしくお願いします。 ○河村部会長 はり薬でございまして、既に発売されているものの効能追加でございま すが、御発言、御質問ございましょうか。横並びでしようがないのでしょうけれども、 「更年期障害」、「閉経後」という縛りが付いているのに、妊婦に対しては使用しない ことと書いてあるのですが…、これはまた例によってしようがないのですね。また、た まに使われることがあってはいけないということで書いてあるわけですね。横並びのよ うでございます。 ○事務局 そのようなところでございますが、添付文書の記載の方については、今安全 対策課の方でも総合的な見直しを検討されていると伺っておりますので、それに合わせ て検討されるかと思っております。 ○河村部会長 御発言ございましょうか。既に売られているお薬でもございますし、よ ろしければ御承認いただいたものとして薬事分科会の方へ報告とさせていただきます。 ありがとうございました。  次は議題7、キュバール50エアゾール、同100エアゾールについて御説明をお願いい たします。 ○事務局 それでは議題7キュバールエアゾールについて、審査センターより御説明い たします。  本剤の有効成分は、プロピオン酸ベクロメタゾン(合成副腎皮質ステロイド薬)で、既 に本邦においてフロンを使用したエアゾール剤(CFC-BDP)が気管支喘息に対して承認さ れております。今般、申請者は噴射剤にHFA-134aを用いたフロン代替定量噴霧式吸入用 エアゾール剤を開発し、気管支喘息を効能とする承認申請を行いました。本剤は既に31 か国で承認されております。本申請は新剤型に係るものであり、毒性、薬理に関する資 料は提出されておりません。専門協議では規格、臨床等に関して、青柳委員、谷本委員、 下方委員、工藤委員、宮川委員、盛田委員を専門委員として指名させていただきました。  それでは審査内容について簡単に御説明いたします。規格については幾つかの修正を 経て適切に設定されたと判断いたしました。本剤は3年間の安定性が確認されておりま す。  臨床成績でございますが、第III相試験においてCFC-BDPを対照とした二重盲検比較試 験が実施され、起床時PEF値の変化量を指標として、本剤200μg/日とCFC-BDP400μ g/日の同等性が検証されており、薬物動態の観点からもその妥当性が示されております。 また、本剤800μg/日、CFC-BDPの1,600μg/日に相当する高用量での臨床試験も実施さ れ、特に問題はないと考えられました。  本剤の安全性については、CFC-BDPと比較して特に問題となるものはないと考えてお りますが、長期使用時の安全性については市販後に調査が必要と判断しております。ま た、スペーサー使用との関連についても調査するよう申請者に指示しております。 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で 御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、毒薬又は劇薬のいずれにも該 当せず、再審査期間は4年間、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審 議のほどお願いいたします。 ○河村部会長 お聞きのとおり、気管支喘息に使うお薬だそうです。フロンガスを除い たということで、人間に対するよりも地球に対しての考慮があった薬になるかもしれま せんが、御発言ございましょうか。地球のためにはよろしいでしょうから、御承認いた だいたものとして分科会の方へ報告ということにさせていただきます。  議題8の希少疾病用医薬品の指定について、御説明お願いいたします。 ○事務局 それでは資料8を御覧ください。田辺製薬株式会社から申請されたインフリ キシマブについて御説明させていただきます。予定されております効能・効果は、ベー チェット病による難治性網膜ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)」でござ います。  それでは審査報告書の2〜5ページを中心に御説明させていただきます。ベーチェッ ト病は原因不明の多臓器侵襲性の炎症性疾患でございまして、増悪と寛解を繰り返しな がら遷延経過をとる難治性の疾患でございます。ぶどう膜炎の罹患眼の約40%が失明、 発症年齢の平均が35歳ということでございます。  対象患者数でございますが、厚生労働省の研究班による疫学調査によると、国内での ベーチェット病の推定患者数は16,000人程度とされております。そのうち約70%の患 者に眼病変が認められたことになるため、対象患者数は多くて13,000人程度と考えられ ます。このことから、対象となる患者数は希少疾病医薬品の指定要件を満たすものと考 えております。  次に医療上の必要性でございますが、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に 対しての既存の治療法としては、シクロスポリンが承認をされております。しかし、副 作用として腎機能障害や神経症状の誘発等が知られており、長期間投与で効果が減弱す ることも示唆されているため、十分な治療を受けられない患者も少なくありません。本 剤は既存の療法とは作用機序の異なる薬剤であり、既存療法では十分な治療効果を得ら れず、失明を余儀なくされているベーチェット病患者にとって新しい治療法となるもの と考えられることから、本剤の医療上の必要性は高いものと考えられます。また34ペー ジでございますが、日本眼炎症学会の方から是非承認をということで御要望を頂いてお ります。  次に開発の可能性でございます。現時点までに実施された国内における前期第II相試 験においても、本剤はシクロスポリンを含めた既存の治療法では眼発作をコントロール できないベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対して有効性が認められている ことなどから、本剤の可能性はあるものと考えております。また、堺先生の方からは事 前に希少疾病用医薬品として指定することは了承すると。ただし、易感染や遅発性過敏 症への注意喚起や、脱髄疾患、うっ血性心不全合併症例には投与しないよう注意するな どの情報提供は徹底することを要請するというコメントを頂いております。これは前回 のクローン病のときも問題になったかと思います。この御指摘を踏まえまして、指導を 徹底させていただきたいと考えております。  なお、御参考でございますが、希少疾病用医薬品として指定された場合には、開発に かかる補助金を含め全ての優遇措置を活用したいという希望を申請者から聞いておりま す。以上でございます。 ○河村部会長 そういうものだそうでございます。堺先生、よろしゅうございますか。 金井先生、何かコメントございますか。 ○金井委員 ベーチェットの場合、今までほとんどコルヒチンが効かなかった、シクロ スポリンが出てから抑制されるのではないかと期待しております。これにも効果がない ようなものであれば、大変よいのではないかと思います。ただ、FK506で以前こうい う治験をやられたのですけれども、たしかそのときは余り有効性が出ていなかったとい うことです。今まではシクロスポリンだけに有効性がありましたので、その上にまた新 しい薬ということで大変いいのではないかと思っております。  ただ、シクロスポリンで効果がなかった場合にのみ使われるのですか。オーファンド ラッグの使い方の場合ですが。 ○事務局 審査報告書の2〜5ページを見ていただきたいのですが、クローン病の際に 結核等の副作用、あるいは因果関係が明確にならない症状が出ているということで、開 発者の方から既存治療法では対応できないものに限りたいという御要望が来ておりま す。 ○河村部会長 よろしゅうございますか。御発言ございましょうか。はい、どうぞ。 ○矢崎委員 これは抗ヒトTNFαのキメラ抗体で、今お話のあった希少医薬品として のベーチェット病のことでございますが、もう既にクローン病急性期の適応であるとい うことと、慢性関節リウマチに大変有効であるといううわさを聞いておりますので、そ うなったら希少疾病用医薬品指定というのは解除になるというふうに理解してよろしい でしょうか。 ○事務局 制度の御説明でございますが、オーファン制度の場合は各効能ごとに指定を するということになりますから、解除にはなりません。ですから、当然企業の方がイン センティブを持ってその患者数の少ない病気にアプローチをしていただかなければいけ ないものですから、こういった患者数の少ない病気の患者さんに対してしっかり開発し ていただくという意味で、改めてオーファンの指定の可否をすることはございません。 ○矢崎委員 インターフェロンが開発されたときに、例えば皮膚癌とか腎癌に対する適 応で通って、遺伝子工学で造られた初めての薬ということで非常に高価だったのです。 それが肝炎に広がり、相当医療費圧迫になったということで問題になったのです。今現 在、キメラ型モノクローナル抗体というのがいろいろな疾患に認められておりますが、 例えば悪性リンパ腫などは非常にオーファンドラッグ的に認められて、20数万円と極め て高価なのです。ですから、これが例えば慢性リウマチに非常に効くということになり ますと、相当用量が増えると思うのです。ですから、そういうことを今後どういうふう に考えるのかというところもあると思うのです。 ○河村部会長 これは当局の方から御返事ください。 ○審査管理課長 この場では科学的に御審議いただければと思っております。値段を決 めるなどということは中医協の方で御審議いただいているわけでありまして、製薬企業 の方もいろいろ作戦はあるとは思いますが、やはりここの場は患者さん、医療関係者に とって必要な薬なのかどうかということで御審議いただければと思っております。 ○矢崎委員 すみません。この場では視点の外れたものかと思いますけれども、まずそ ういう希少疾病用医薬品として患者さんのニーズに必要だからと認められて、それが適 応拡大になったときにどうするかということになると、それは次の段階だと思いますの で…、これはこの場の議論には合わないということで大変申し訳ありません。 ○審議官 多分保険局の方では、希少疾病用医薬品と認められた後に普通の効能で拡大 されたという場合、薬価が是正というか改定を特別に行っていると思うのです。一つは 希少疾病用医薬品の用法・用量と、普通の効能の用法・用量が大分違う場合には企業の 方も物を別に出してくる可能性があるのです。そういう場合には、この保険の方も問題 なく価格を決められるのだと思うのですが、そうではなくてたまたま同じような用法・ 用量で希少疾病、慢性のリウマチなどにも効くというものについては、やはり同じ製剤 になってしまうと。その場合には、やはり今やっている保険局の方での価格改定を使う しかないのではないかと思います。我々としても、できるだけ取れるものだったら一緒 に取ってほしいのですが、どちらかというと難病の方がちょっと急がれるもので、そう いうところがちょっと…。 ○矢崎委員 それは重々分かるのですけれども、この慢性関節リウマチの方も間もなく 結果が出るというときに、難病でこういう患者さんだということでこの薬価の方に回る というのはやむを得ないと思いますが、そういうケースがあるので少し留意していただ ければということです。 ○審議官 そうですね。 ○審査管理課長 つい最近、中医協の方で効能追加する場合、それから用法・用量を変 えて多量に使う場合の算定のルールについて検討しておりました。たしかその検討結果 というのが前々回のときに議論されて、ルールができたと思います。もしそれが必要で あれば、先生の方に保険局から説明させるというふうにしたいと思います。 ○矢崎委員 それもよく分かっているのですけれども、適応の拡大や販売のときの薬価 の査定を低下させる限界があるわけです。ですから、私が申し上げたようにここの場で 議論することではないのでしょうが…。菅谷先生がいらっしゃいますけれども、非常に 高い薬がこのオーファンドラッグとして申請されて、その後適応が著しく拡大するよう な薬の在り方というのは、やはり考えていただいた方がいいのではないかということで す。  ですから、オーファンドラッグは特別なのだという鑑定で普通の適応拡大ということ ではなくて、オーファンドラッグとして認められてそれが拡大したときは通常の適応の 拡大とか、販売数が多くなったということではなくて、何か考えないとまた同じような …。あらゆるところでモノクローナル抗体がオーファンドラッグ的にたくさん申請され ているのですが、これは今後非常に広く使われる可能性がありますので、そういうこと です。この審議会では関係のないところですけれども、できればリウマチと一緒に申請 していただければ、そういう意味ではフェアではないかなという感じはします。 ○審議官 企業の方が相談に来ている一つの例として、例えば普通の薬の効能を最初に 取って、研究していくと希少疾病の効能がどうも期待できそうだと。そうすると、研究 開発費の回収の観点から、やはりそれを取ったときに保険局の逆のケースのときになか なかうまく考えてくれていないなという印象をちょっと持っているので、そこはまた先 生方によろしくお願いしたいと思います。 ○事務局 先ほど御説明が十分ではなかったのですけれども、御参考までですが、希少 疾病用医薬品の制度では、この医薬品とこの効能・効果が一緒になって初めてオーファ ンドラッグという形になりますので、当然リウマチが効能であればこれはオーファンド ラッグとは言わないということでございます。 ○河村部会長 どうぞ。 ○菅谷委員 矢崎先生の言われるのはごもっともだと思うのですが、別の観点から言え ば要するに一般薬として開発できるものをわざわざオーファン指定するのはおかしいの ではないかと。慢性関節リウマチの薬剤として当然出てくる、間違いない条件がそろっ ているのではないかと。その際に、わざわざ日本の方でオーファン指定するという、そ の指定の在り方の考え方をもう少し見直す必要があると思います。そうでないと、先ほ どから出ているように価格にいろいろ反映していきますから、また非常に問題が出てく ることになりますので、一度申請してきて該当すればそれでオーファン指定するという ことではなくて、諸般の状況をきちんと見て対応するということが必要ではないかと思 います。 ○審査管理課長 オーファンの制度というのは、とにかく開発しにくいもの、企業にと っても開発しても経済効果が薄いもの等について、資金等からいろいろ優遇制度をとっ てできた制度でありますが、今矢崎先生、菅谷先生からお話があったように、どうも合 間を縫っているようなところがないわけでもないので、ちょっと検討させていただこう と思います。 ○河村部会長 そういうお話でございまして、当局は一応御要望は承ったということか と思います。具体的に言えば、余り乗せられてくれるなということだと思いますが、薬 剤としてはこの適応で御了解いただけますでしょうか。それでは御了解いただいたもの とさせていただきます。  次に報告事項の方に入らせていただきます。事務局の方からよろしくお願いします。 ○事務局 報告事項につきまして、簡単に御説明させていただきます。まず資料9をお 願いいたします。医薬品亜硝酸アミル「三共」の製造承認事項一部変更承認の可否につ いてでございます。本品目は、昭和26年より三共株式会社から狭心症の効能・効果で販 売されております。今回の申請は、シアン中毒に関する効能追加について、適応外使用 に係る通知に基づき申請がなされたものであります。審査センターでの審査の結果、シ アン及びシアン化合物による中毒に対する亜硝酸アミルの有用性は医学・薬学上公知で あると考えられ、新たなる臨床試験を課する必要はなく、承認して差し支えないと判断 されたものでございます。  続きまして資料10をお願いいたします。医薬品ケイツーN注、ケイツーカプセル5mg の製造承認事項一部変更承認の可否についてでございます。本品目は、昭和47年よりエ ーザイ株式会社からビタミンKの欠乏による新生児低プロトロンビン血症等の効能・効 果で販売されております。今回の申請は、クマリン系殺鼠剤中毒に関する効能追加につ いて、こちらも適応外使用に係る通知に基づき申請がなされたものでございます。審査 センターでの審査の結果、クマリン系殺鼠剤中毒に対するメナテトレノンの有用性は医 学・薬学上公知であると考えられ、新たなる臨床試験を課する必要はなく、承認して差 し支えないと判断されたものでございます。  続きまして資料11をお願いいたします。こちらはタリオン錠5、同10でございます。 本剤は抗ヒスタミン作用を有するもので、既にアレルギー性鼻炎の効能・効果で承認さ れております。今回の申請は、蕁麻疹、皮膚疾患に伴う掻痒の効能・効果を追加するも のであり、既に1月22日付けで承認されております。  続きまして、資料12-1のアルマール錠5及び同10から、資料12-10の塩化レボカル ニチン「コンゴー」、エルカルチン錠100及び同300までは、10種類の品目についての 再審査結果でございます。こちらの品目につきましては、市販後の使用成績調査・特別 調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、いずれの品目についても薬 事法第14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効 果、用法・用量等の承認事項については変更の必要はない「カテゴリー1」と判定した ものであります。これらの結果につきましては、来月にはそれぞれ通知する予定といた しております。 ○事務局 資料13でございますが、希少疾病用医薬品の指定取消し品目について御報告 いたします。今回指定の取消しを行うのは、平成11年3月にサントリー株式会社より強 皮症の効能にて指定されたレラキシンでございます。本剤は臨床第II試験においてスキ ンスコアーの改善、及び主治医による評価の改善等が認められたことにより、強皮症の 治療薬になり得る可能性を有することが示され、オーファン指定を受けております。そ の後、サントリー株式会社は非臨床試験の実施等を行っておりましたが、平行して行わ れた臨床第II相、第III相試験の成績が明らかになり、その結果、有意な有効性が認めら れなかったということでございます。本試験は臨床第II相試験と比べて症例数も多く、 その信頼性が高いことからこれ以上の開発を行うことが難しいと判断し、今回試験研究 の中止届が提出されたものでございます。  なお、御参考でございますが、本剤の開発に関してサントリー株式会社に対する助成 金は交付されておりません。以上です。 ○河村部会長 資料9〜13まで御質問ございましょうか。よろしければお認めいただい たものとしますが、資料14、5については御説明いただけるのですか。 ○事務局 資料14、15は議題の中での参考資料ですので、説明はございません。 ○河村部会長 それでは本日は一応これで御審議…、どうぞ。 ○谷川原委員 その他の件でよろしゅうございますか。本日もいろいろと出てきました が、医学・薬学上公知、新たな試験を課することなく承認をするという仕組みが今ござ います。その逆のケース、例えば承認された用法・用量がいわゆる専門学会で望ましく ないとされたケースはいかにお考えなのか。実は最近アダラートカプセルの舌下投与の 点でガイドラインが望ましくないが、添付文書上は承認された用法であるということで 若干医療現場に混乱を来しておりまして、その点を厚生労働省でどうお考えなのか御意 見を伺いたいのですけれども。 ○河村部会長 御意見をお伺いしたいと思います。 ○審査管理課長 そちらの方は、非常に問題が大きいということでありましたら、再評 価の方で対応させていただくということになります。 ○河村部会長 簡単なコメントですけれども…。 ○審議官 先生方の方にも今おっしゃられたような御意見がありましたら、この場でも いいから言っていただければ、再評価指定をする一つの種としてずっと使っていきたい と思っております。 ○谷川原委員 医療現場で多少の混乱があるようでございますので、そういうことを配 慮して再評価等をお考えいただけるよう、よろしくお願いいたします。 ○河村部会長 再評価のときの御参考になさるというのは、具体的な品目について御意 見を賜ればということですか。 ○審議官 例えばそういう御意見があれば、再評価に指定して必要なデータを取らせて、 またそれが公知であれば再評価でもってできるだけ早い時間に是正すると。 ○河村部会長 ということだそうでございます。よろしゅうございますか。それでは本 日はどうもありがとうございました。最後に事務局の方から今後の予定、その他の報告 があるそうです。 ○事務局 前回、前々回の当部会で御審議いただいた新医薬品の承認状況について御報 告させていただきます。昨年10月3日に当部会で御審議いただいたリバビリンと、イン ターフェロンα2bのC型肝炎に対する併用療法でございますが、11月5日の薬事分科 会における審議を経まして、11月21日付けで承認いたしております。このものにつき ましては、社会的有用性等もかんがみまして、迅速な審査を行って承認を早めておりま す。  それから昨年11月9日の当部会において御審議いただいたレミケード、リセドロン酸 ナトリウム、ジェノトロピン、シムレクト、ナボールLAとタナトリル錠等につきまし ては、昨年12月10日の薬事分科会での審議及び報告を経まして、本年1月17日付けで 承認させていただきましたので、御報告いたします。どうもありがとうございました。 ○河村部会長 ありがとうございます。次回の予定についてはどうですか。 ○審査管理課長 次回は4月以降になると思いますが、また先生方の方に御連絡させて いただきますので、日程の調整等よろしくお願いいたします。 ○河村部会長 おかげさまで時間ぴったりに終わったようでございます。本日はどうも ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 37 -