02/02/13 第6回BSE問題に関する調査検討委員会議事録          第6回BSE問題に関する調査検討委員会議事録 平成14年2月13日(水) 農林水産省 第一特別会議室 目    次 1 開  会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 2 遠藤農林水産副大臣挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 3 資料説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3 4 質  疑・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 5 次回の日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41 6 そ の 他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42 7 閉  会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 開会 ○高橋委員長   ただいまから、第6回BSE問題に関する調査検討委員会を開催いたします。  本日は全ての委員にご出席いただいております。  また、本日は遠藤農林水産副大臣にもご出席いただいております。早速ですが、ごあ いさつをいただきたいと思います。 遠藤農林水産副大臣挨拶 ○遠藤農林水産副大臣   皆様、どうもご苦労さまでございます。牛肉の消費もやや落ちついてきて、上向きに 転ずるのではなかろうかと、また、小中学校における学校給食への牛肉の使用も回復し つつある途中で、食肉産地の表示等についていろいろ不正の事実があったことは非常に 残念でありまして、私どもも一生懸命対策を講じておるところでございますが、そうい う面では本当に慚愧に耐えない思いであります。  さて、私は、去る2月4日から夕べまで、ヨーロッパ各国を訪問してまいりました。 まず、OIE、WHO、また、BSE発祥の国といわれているイギリスの獣医研究所、 そして、BSE対策で大層苦労なされ、かつ、EUの中でも中心的存在となっておられ るフランスの獣医担当の局長等にお会いしてまいりました。また、大臣の答弁にもこれ まで出てまいりましたが、イタリアの肉骨粉について実際はどうであったかということ を直接お伺いしてきたところであります。  WHOでは、ヘイマン感染症局長に、――この方はエイズに一生懸命取り組まれた方 だそうですが――、お会いしてまいりまして、さらに、BSEを専門になさっておられ るというメスリン、リケット両教授・博士にお会いしてまいりました。また、英国獣医 研究所では、エドワース所長と、BSEを専門になさっておられるというマシューズ教 授にもお会いして、相当突っ込んだ技術的な問題もお伺いしてまいったところでありま す。  なお、WHOでは、「日本においてBSEが発生したことはまことに不幸なことであ ると。ただ、一方、日本がBSE発生に関する情報の公開等について透明性が高い国と なったことで、いろいろと不明な点が多いBSEの解明に大いに役立ち、かつ、貢献し てくれるのではなかろうか」とのお話を承りました。  また、我が国としましても、日本はアジアで最初の発生国となったわけでありまして 、アジアは不透明な国々ばかりでありますが、我が国は透明国となったことで出された のだということで、したがって、私どもはアジアにおいても大変責任の重い立場にあり 、アジア各国が日本の対応・対策を注目していくのではなかろうかと感じてきた次第で あります。  それから、獣医研究所及びOIE、さらにWHO、また特にイタリアのシルキア保健 大臣からは、ぜひ日本の専門家、学者、研究者との交流あるいは意見の交換、情報の公 開をぜひ進めてもらいたいということを先方からも言われましたし、こちらの方でもO IEの専門家が日本にお越しになることを政府の立場として要請してきたところであり ます。  まだまだ不明なところの多いBSEではありますが、WHOのリケット博士は、「変 異型といわれているv−CJDとBSEとは病原体は同じではなかろうか。しかし、各 国とも突きとめるまでには至っていない」ということをおっしゃられ、「特にそうした 面で各国の情報が交換されることが大切であろう」ということを言っておられました。  なお、EUではそれぞれの国の、最高権威という言葉を使っておられましたが、そう いう方々に集まっていただいて、定期的にまた時によって獣医の関係の方々に集まって いただいて会合をもっているということであり、また、食品の安全等についても、EU 委員会に報告をし、勧告をしているということをお聞きしてまいりまして、日本等も、 これはおこがましいことかもしれませんが、世界中に出回っている肉骨粉という家畜飼 料は当然アジア各国にも行き渡っているわけですから、日本が透明国になったことで、 まだ検査や監視の体制が行き届かない国々に対して、協力し、情報を開示していく責任 を強く感じたわけでございます。  私は政治家であって、研究者でも学者でも専門家でも、またこのような立場の委員と しての専門家でもありませんが、欧州のそれぞれの立場の方々からは、ぜひ日本の方々 との意見の交換をもちたいということを強く要請されたということをご報告申し上げ、 また、皆様方には過去5回にわたって会合を開いてくださいまして、政治家として私ど もが知り得なかったことまで明らかになっており、かつ、そのことが私どもの政治的対 応というものに大変ご貢献いただいていることを厚く御礼を申し上げたいと思います。  また、今日はお忙しいところをありがとうございました。 資料説明 ○高橋委員長   どうもありがとうございました。  さて、本日の会議は、予定では午後4時までになっておりますが、状況によりまして 多少延長させていただくこともあろうかと思います。本日も円滑な議事の進行に努めて まいりたいと思いますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。  毎度のことですが、本日の会議も公開とし、傍聴者の方は別室の傍聴室においてテレ ビモニターを通じて傍聴していただくことにしております。あわせて、会議資料も公開 することにしております。ただし、会議資料については、個人の権利利益を害すること がないよう、役職名は公開とするが、個人の氏名については非公開とし、資料の中で空 欄とさせていただいております。  また、会議について、公にすることにより個人の権利利益を害する恐れがあると私が 判断した場合には、委員会の了承を得た上で非公開とし、非公開の間の議事の概要につ いては、会議終了後、事務局が記者会見で説明を行うこととしたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。  それでは、議事に入りますので、報道関係の皆様は、恐縮ですが、傍聴室の方へお移 りいただきたいと思います。  本日の議題は、「BSEに対する諸外国の対応」についてご論議いただくことにして おります。  まず、事務局から資料が提出されておりますので、その説明をお願いし、その後、質 疑あるいは意見交換の時間をとりたいと思います。  それでは、説明をお願いいたします。 ○農林水産省武本企画評価課長   農林水産省官房企画評価課長の武本でございます。お手元の資料に沿って説明させて いただきます。今日のメインは資料1ということになりますけれど、この資料の説明に 先立ちまして、「リスク分析」という言葉がこの資料1にはたくさん出てまいりますの で、初めに、「リスク分析」という概念についてご説明申し上げたいと思いますので、 資料3をご覧いただきたいと存じます。  資料3は、「食品安全性に関する『リスク分析』について」という資料でございます 。表紙に注で付されておりますとおり、この資料は、「APPLICATION OF RISK ANALYSIS TO FOOD STANDARDS ISSUES 」というもののほか3つの資料に準拠いたしまして、リスク 分析の手法を食品安全性の問題に応用する場合の実施手続等についてとりまとめたもの でございます。  1ページですが、「食品安全性に関する『リスク分析』とは」ということで4行の文 章がございます。「国民がある食品を摂取することによって健康に悪影響を及ぼす可能 性がある場合、その状況をコントロールする過程のことをいう」とされております。「 可能な範囲で食品事故を未然に防いだり、悪影響の起こる確率や程度を最小にすること などを目的とする」ということでありまして、悪影響の起こる確率や程度を最小にする ということであって、ゼロにするということを目的にはしていないという点がまず特徴 的な要素であります。  その構成要素は3つからできておりまして、リスク評価、リスク管理、リスクコミュ ニケーションから成り立っているとされております。  リスク評価でありますが、これは「食品中に含まれるハザードを摂取することによっ て、どの位の確率でどの程度の健康への影響が起き得るかを科学的に評価する過程のこ とである」としております。ここで注目すべきは「科学的に評価する過程」ということ で、決して経済的にとか社会的にとか政治的に評価する過程ではないということであり ます。  リスク管理でありますが、これは「すべての関係者と協議しながらリスク低減のため の複数の政策・措置、――場合によっては単数しかないものもあるかもしれませんが― ―、の選択肢を評価し、適切な政策・措置を決定、実施する過程」のことを言うとされ ています。  そして、「リスク評価を実施するかどうかの判断もリスク管理に含まれる」というこ とで、まず、リスク管理者のリスク評価を受けるか受けないかの判断があってリスク評 価の過程に移るということとされております。そして、「リスク評価の結果を踏まえ、 消費者の健康保護を第一の要素として、それぞれの選択肢のコストと便益、技術的達成 可能性その他の諸要素を総合的に考慮する」とされていますが、この「その他の諸要素 を総合的に考慮する」という中には、当然、経済的な、社会的な、場合によっては政治 的な要素も入れて考慮することがあり得るということを意味しております。  そして、「リスク評価とリスク管理は機能的に分離されていないといけない」とされ ております。ですから、同じ組織でリスク評価と管理を行うというものではないという ことを言っております。ただ、「相互作用が必要とされる」とありまして、ここでは「 相互作用」と訳しておりますが、英語でいうとcollaboration という単語を使っており ますので、「協働」、「ともに働いていく」という概念であります。  3つ目がリスクコミュニケーションでありまして、「(1)(2)の過程において、リスク 管理だけではなく、リスク評価の過程においてもリスクコミュニケーションが行われる ことが前提とされておりまして、すべての関係者、――消費者を始めとする利害関係者 ――、の間で、リスクに関する情報・意見を相互に交換する過程」ということです。「 相互に交換する過程」ですから、いわゆるリスク専門家、あるいは行政の立場から、一 般の人々へリスク情報を一方的に伝達するということではないということでありまして 、受け手の側からも送り手に対して、疑念あるいは疑問、意見という形で情報が戻って くることを前提にしているわけであります。  このことは、リスクにさらされる人々に対して十分に情報を提供して、その問題に対 する理解を深めてもらうということが重要であるという考え方に根ざしているわけであ りまして、信頼回復の手段として、あるいは政府が講ずる措置なり政策に対する国民の 理解を得ていくというためのものと位置づけられております。  こういったリスク分析論が世界的にはどのような位置づけになっているかといいます と、6ページに、参考といたしまして、世界貿易機関(WTO)の「衛生植物検疫措置 の適用に関する協定」(SPS協定)の抜粋と、昨年のジェノバサミットのG8のコミ ュニケの該当部分を載せております。  SPS協定の(3)ですが、「関連国際機関によって確立されたリスク評価の手法を使っ た、人へのリスク評価に基づいていなければならない」ということでありますので、リ スク評価というものをベースにした検疫措置というものが国際的なルールになっている ということになります。  それから、ジェノバサミットのパラグラフ30が食品の安全性について言及している部 分でございますが、4行目をごらんいただきますと、「社会における政府、科学者、消 費者、規制当局者および関連利害関係者の間に進行している対話を評価する、――リス クコミュニケーションということであります――、対話はオープンで透明性を保つとい う原則に従っていなければならない。食品の安全性に関する利益とリスクを一般の人々 がはっきりと理解できるようにするのは我々、政府の責任であると認識する」というこ とです。先ほどのリスクコミュニケーションのところの原理でいいますと、一方通行で はないということと同時に、受け手の側が理解できるような情報の伝達でなければなら ないということを書いております。そして、「独立した組織の科学的アドバイス、健全 なリスク分析、そして最新の科学の進歩に基づいた食品の安全性に関する適切な情報を 消費者に提供するよう我々、政府は懸命に努力しなければならない」ということがうた われているわけです。  こういった考え方に基づきまして、5ページをごらんいただきますと、「リスク分析 」の枠組みというものがフローで示されております。リスク管理とリスク評価とリスク コミュニケーションの関係を図示したものでございます。こういった一連の手続で実施 されるわけでありますが、特にこのリスク分析論のところで、ある意味では必然的に伴 うものとして、予防措置の原則という考え方があります。  3ページ、「(4) リスク評価の結果を踏まえた検討」であります。(1)リスク評価にお いて、信頼性のある科学的データが十分に得られたと考えられる場合、リスク管理者は 、リスク評価の結果と消費者保護の必要性等を総合的に勘案して、リスクが社会的に許 容可能なものとなるような政策・措置の選択肢を評価・決定する。  4ページ、(2)でありますが、リスク評価において、信頼性のある科学的データが十分 に得られるとは限らないわけであります。しかしながら、悪影響が及ぶことが見込まれ る場合にどうするかということでありますが、その場合には、リスク管理者は、リスク 評価における科学的な不確実性の存在を考慮し、仮にリスク評価で得られたデータを科 学的に十分なものとみなした場合における政策・措置の選択肢((1)のケース)よりも高 い保護レベルとなるような暫定的な政策・措置(予防的措置)を決定・実施する。  この予防的措置は暫定的なものでありますから、事後的にデータが出てくれば見直し をどんどんしていくというものであるということです。  このように、リスク分析というツールを用いるとすると、必然的に予防的措置を講じ ていくということまでを含んでくるということになります。  そこで、資料1をごらんいただきたいと思います。  資料1「主要国の畜産・食品行政における役割分担」ですが、これは在外公館からの 報告に基づき、事務局において整理したものでございます。イギリス、ドイツ、フラン ス、EU、米国、豪州、スイスについてまとめております。  1ページ、イギリスの畜産・食品行政における役割分担についてであります。イギリ スにおける役割分担は、下段にございますような表に整理されている形でありました。 畜産・食品の安全行政については、総じてみれば、当時の農漁食料省(MAFF)が担 当しておりまして、保健省の方は、(7)食品等に関する基準にありますとおり、食品を媒 介とする病気の防止等微生物に関する安全性と食品衛生の確保を担当していたところで あります。  こういった役割分担であったわけですが、労働党のブレア政権が誕生した段階で大き く組織の再編を図ることになりました。そのあたりの経緯が、上段の「組織改正の経緯 」の欄に出ている部分でございます。  まず、1997年4月に、この当時はまだ野党の党首でありましたブレア現首相から、ロ ウェット研究所のジェームス教授という方に食品基準庁(FSA)に関するレポートを 、これはまず依頼してそのレポートを同教授が同年4月30日に公表しております。そし て、イギリスの総選挙が同年5月にございまして、この総選挙によって労働党が政権に つくわけですが、その段階で、ジェームス教授のレポートを基礎に、公衆の意見を聴取 した上で、1999年11月に食品基準法を制定し、2000年4月に食品基準庁を設置するとい う運びになっております。  もう少し細かくいいますと、97年5月に食品基準庁というものをつくるという方針を 示した上で、98年1月に、その食品基準庁を設立するための白書といったものを公表し 、これに基づいて、これに対しての公衆の意見を聴取した上で、99年1月に食品基準法 草案というものを公表しております。そして、いろいろな議論・審議を経まして、99年1 1月に法律が通ったという手続を踏んでいるわけであります。  97年当時の状況については、1.(1) あるいは(2) にありますような状況であったわ けでありまして、(1) は、英国の食品に対する信頼性を早急に回復する必要性があった こと。特に公衆衛生の面での問題点が以下の4点あったということです。  1つは、BSE、サルモネラなどの微生物による食品の汚染への懸念とか、農業、食 品加工、小売りにおける安全性確保は不十分ではないのではないかといった懸念であり ます。  (2)は、生産現場における化学物質等の利用による長期にわたる慢性毒性や累積性など 、食品の化学的安全性に対する懸念であります。  (3)は、遺伝子組み換え食品や新規開発食品に対する懸念であります。  (4)は、食品の栄養的品質についての適切な表示の管理がないという点が問題とされて おりました。  (2) は行政のサイドでありまして、食品の安全性をかなり包括的に担当しております 農漁食料省と保健省が所掌するシステムの有効性に疑問がもたれたということでありま して、(1)〜(3)にあるような点が問題とされたところであります。  (1)は、MAFFの内部において生産振興といった部分と食品の安全性の両要素を抱え ているわけですので、相反する利益の摩擦があったとされていますが、これが内部の段 階で解決されるために、消費者からみますと、その処理が透明性を欠いていた、つまり 、産業界サイドではないかといった懸念を与えてしまったということであります。  (2)は、政策立案、監視・監督を行う関係部局が分裂しており、その調整機能がなかっ たということです。  (3)は、イギリスは地方自治がかなり進んでおりますが、その食品に関する取り締まり が地域によってばらつきがあったといった点であります。  2ページをごらんいただきますと、その食品基準庁を設立してどのように変わったか ということであります。総じていえば、旧MAFFにございました畜産・食品安全行政 のかなりの部分を食品基準庁というものに移管いたしまして、先ほどの用語でいえば、 リスクマネージメント部局として独立性のある機関を設置したということになります。 MAFFそのものは2001年6月に組織改正がございまして、環境・食料・農村地域省( DEFRA)という名称に変わっているわけでありますが、こういった整理がなされて おります。  この食品基準庁ができて安全行政がかなり一元化されたのでありますが、個々の行政 展開におきましては、DEFRAなり保健省と調整をする局面が当然出てくるわけであ ります。この点については、英国では、注2にございますように、農漁食料省と食品基 準庁、あるいは保健省と食品基準庁との間に覚書を締結しております。これは参考配布 1をごらんいただきたいと思います。  参考配布1の資料は、「イギリスの農漁食料省(現:環境・食料・農村地域省)と食 品基準庁、保健省と食品基準庁の覚書」であります。担当する業務が違いますので具体 的な書きぶりは違いますが、構造が同じなので大体同じような記述になっております。 農漁食料省と食品基準庁の方をみていただきたいと思います。  1ページ、前書きと書いてありますが、そこに、「この覚書は、FSA、MAFF( 外庁を含む)の協力関係について、その大枠を合意するもの。法的な拘束、契約ではな く、また両省の関係を全て詳細に網羅しているものではない。むしろ、MAFFとFS Aが十分な連絡と協調を行い、それぞれの観点からの責任を十分に果たすことができる ようその関係を調整する原則の宣言である」ということです。  下から2行目ですが、「この覚書は、FSA又はMAFFのいずれの法制に基づく責 任や権威に優先するものではない。この覚書は公表される」ということであります。  2のパラグラフで一般原則としてですが、これは誰の名義で締結しているかというこ とですけれど、「FSA事務局長とMAFFの事務次官は、政府の質を向上させるよう 、効果的な作業関係を確実とし、可能な限り良質のサービスを提供するよう、共同して 合意を確認する」ということであります。  もう1つ、この覚書の特徴的なものは、12ページをごらんいただきますと、パラグラ フの26と27でありますが、そこに、二者間の覚書の実行と見直しというところがござい ます。「FSAとMAFFは、可能な限り、この覚書の下、いかなる調整も、通常の政 府機関システムにより解決することを約束する」ということが書いてあります。  27でありますが、「この覚書の修正は、FSAとMAFFの間の合意によって、いつ でも行うことができる。これに加え、この合意は、FSAとMAFFの合意した定期ご とに見直しを行い、その実践における運営の経験により、必要であればアップデートを 行う」ということで、常に見直しをしていくということと、その調整過程のいろいろな 実践経験を反映させていくということがうたわれているわけであります。  こういうものを食品基準庁がつくられた後の段階でもイギリスは結んでいるというこ とであります。  資料1に戻っていただきまして、3ページ、イギリスの食品基準庁の体制等でござい ます。  2の組織の性格ですが、「食品基準庁は、議長、副議長及び11名の委員からなる委員 会に指揮される、大臣を長としない独立した行政組織である」とあります。Food Standa rs Agencyですから、イギリスのエージェンシーというのは我が国の独立行政法人をつく る際の参考とされたものといわれておりますが、我が国の独立行政法人とはちょっと性 格が違うのではないかなという気もしますけれど、いずれにせよ、独立性のある行政組 織になります。議会との関係では、閣僚による報告が要件とされておりますので、便宜 、保健大臣を通じてイングランド議会等にその説明責任を果たしていくということとさ れております。  3の食品基準庁の所掌・任務ですが、「フードシステム全体に係わる食品の安全性、 栄養並びに食生活に関して、国民及び政府に対して助言と情報提供を行うこと」とあり まして、ここはリスクコミュニケーションといったことを意識しているわけであります 。それから、「食品安全法等の効果的な執行とモニタリングによって消費者を保護する こと」と「正確な表示を推進して消費者の選択を支援すること」とあります。  4の食品基準庁の予算・定員は、説明を省略いたします。  続いて、4ページ、ドイツのケースであります。ドイツは、2001年1月に大きく役割 分担の変更があったわけでありますが、それまでの間は、畜産・食品行政あるいは安全 行政につきましては、連邦食料・農林省と連邦保健省が分担をしていたところでありま す。なお、連邦国家でありますので、実際の執行は各州政府が行うことになりまして、 連邦政府は制度の企画・立案といった役割になります。  これをみていただきますとわかりますとおり、畜産・食品の安全行政というものは連 邦保健省にかなり集約をされている状態であったわけであります。こういう状況下、そ の組織改正の経緯の欄に書きましたが、その1ですけれど、まず、2000年11月にドイツ において国内牛でBSEの感染した牛が発見されたわけであります。その際に、保健大 臣が、BSEの発生要因を農業の工業化にある、農業の工業化が食品安全に係る重大な 事故につながる可能性があるという指摘をしたのに対し、食料・農林大臣が農民の利益 を代表する従来の農業政策に固執する等、食品安全を所管する大臣間で政策上の相違が 顕著になったということが挙げられております。  それから、シュレーダー首相が有機農業を重視する新しい農業政策を今後の農業政策 の指針とするという方針を明らかにしたのに対しまして、その当時の食料・農林大臣が 対抗案を公表して、内閣で孤立する傾向にあった。  そういったこと等を背景に、2001年1月に食料・農林大臣と保健大臣の交代が起こり ます。ちなみに、それまでは社会民主党の議員が食料・農林大臣、緑の党の議員が保健 大臣になっていたのをかえまして、食料・農林大臣にキューナストという当時の緑の党 の党首をあて、新しい保健大臣に社会民主党の議員をあてるという形をとったところで あります。そして、新大臣のもとで、それまでの農業政策の方向を大きく切りかえる旨 の方針転換が行われたわけであります。(1)〜(3)に書いてございますような方向であり ます。  (1)は、古いタイプの農業政策を転換し、大量生産から品質重視に切りかえ、消費者、 農業者、飼料業者、食品産業、小売業者、政治が連携をとっていくということ。  (2)は、今後の消費者保護政策は予防的消費者保護を原則とし、新たな農業政策はその 前提条件となるものであるということ。  (3)は、有機農業の近代化を図っていくということであります。  このような政策転換に対応する形で、2001年1月に連邦食料・農林省の任務を変更し て、連邦消費者保護・食料・農業省に改組したところであります。  改組後が、5ページになります。2001年1月以降の役割分担であります。  連邦消費者保護・食料・農業省と連邦保健省によって畜産・食品安全行政が担当され ることになったわけでありますが、みておわかりのとおり、ほとんどの業務が連邦消費 者保護・食料・農業省に一体化されたところでありまして、連邦保健省の業務としては 、獣医その他の獣医学関連業に関する規制と動物医薬品の許可、血清・免疫製剤の生産 ・販売に関する規制となったわけであります。  その後、IIIにございますように、昨年の12月18日、連邦リスク評価研究所と連邦消費 者保護・食品安全庁を創設する旨の発表がなされております。この両機関は全く新しい 機関というものではなく、そこにございますように、連邦消費者健康保護・獣医学研究 所、あるいは連邦農業・森林生物学庁等の、それまでございました連邦消費者保護・食 料・農業省傘下の機関を再編成いたしまして、食品安全及び消費者保護の分野における リスク分析についてリスク評価とリスク管理を分離するという考え方のもとに、2つの 機関を新設していくという方針を明らかにしたわけであります。そして、連邦リスク評 価研究所はリスク評価とリスクコミュニケーションを担当することとされておりまして 、連邦消費者保護・食品安全庁はリスクマネージメントを担当することとされておりま す。  なお、この制度改正に伴う法律につきましては、現時点ではまだ制定されておりませ ん。連邦消費者保護・食料・農業省の人たちは、今年秋に連邦議会選挙があるので、夏 休み前までに必要な法改正が行われた上で、組織が設立されるのではないかと予想いた しているそうであります。  6ページです。3番目はフランスのケースであります。フランスにおける畜産・食品 行政の役割分担は、3つの省で分担しているところであります。農漁業省、雇用社会連 帯省、経済財政産業省の3つであります。  フランスの場合には、ここはいずれもリスクマネージメントを行っているセクション になるわけでありますが、ここの部分をいじらずに、概念的にはそれぞれの省がリスク アセスメントを行っていたわけでありますけれど、そのリスクアセスメント部分だけを 取り出して独立の機関をつくるという改正をしております。それが7ページでございま す。  フランスにおける食品等の衛生監視体制であります。フランスの場合には、HIVウ ィルス汚染血液製剤事件ですとかBSE問題といったことによりまして、衛生監督当局 の信頼性を大きく揺るがした事件が続発したわけでありますが、そういったことを背景 に、1998年7月、「食品の衛生安全性の監視及び検査の強化に関する法律」が制定され たところであります。  これによりまして、食品衛生安全庁、衛生安全委員会、衛生監視局というものが整備 されるわけでありますが、最も重要なものが食品衛生安全庁になるわけであります。こ の機関の内容は8ページにございます。  フランス食品衛生安全庁(AFFSA)の体制等でございます。  組織図をみていただきますと、この組織の代表者のほかに、理事会というものと科学 理事会という2つの組織があります。上段の理事会の方は、AFSSAの長期戦略的な 政策を審議し、あるいは年間の予算なり会計、あるいは財務報告等々の審議・議決をす る機関とされております。  下段の科学理事会は、リスク評価方法なりリスク評価の手順について方針を決めたり 、あるいは、政府に対して答申を行っていく際に、幾つかの研究者集団による専門委員 会というものをつくっておりますが、その委員会相互間に矛盾が生じた場合、そういう ことがないように、答申の一貫性を確保していくといったことを取り扱うとされており ます。  この図には出ておりませんが、このAFSSAとは独立に、研究者のグループという 形で、10の部門についての専門委員会があります。この専門委員会が独立してリスク評 価を行う。そして、その専門委員会の事務局としての働きをこのAFSSAが行うとい う関係になっているとされています。  ちみなに、この専門委員会というものは、フランス全土から 800名以上の候補をリス トアップし、その中から 250名を指名するという形をとっているといわれています。  2の組織の性格ですが、「人間及び動物に供される食料に関する安全衛生及び栄養上 のリスク評価を行う独立した行政的機関である」ということ。それから、「農漁業省、 雇用社会連帯省、経済財政産業省に対して科学的見地から政策立案や規制の実施につい ての勧告、助言を実施する」という機能を果たしていくとされています。  9ページは、所掌・任務、人員、予算について書いてございますが、説明は省略いた します。  10ページをごらんいただきたいと思います。続きまして、EUの場合であります。E U委員会には幾つかの総局というものがあるわけでありますが、畜産・食品行政を担当 する総局としては、農業総局、産業総局、消費者政策・消費者保健保護総局の3つが分 担していたところであります。こういう形で分かれていたということもあって、BSE のイギリスでの発生がEU各国に広がっていく、それを抑えることができなかったとか 、あるいは、ベルギーで薬品工場が爆発しまして、その結果、大量のダイオキシンがそ の周辺各国に汚染したという事件が起こるのでありますが、そのダイオキシンに汚染さ れたえさを食べた乳牛が汚染されたミルクを出すということで、かなり問題が起こった 事態がありますが、これに対して、国をまたがっていますので各国政府では十分な対応 ができないわけでありまして、EUに対しての機動的な対応が期待されていたのですが 、必ずしも役割が果たせなかったということで、消費者の信頼性を著しく損なってしま うという事態が起こっておりました。そういったことを踏まえまして、リスクマネージ メント部局を統合していく必要性があったといわれています。  そういう観点で、次の11ページですが、1999年9月に組織改正を行っております。ご 覧いただきますとわかりますとおり、畜産・食品行政、とりわけ安全行政については、 保健・消費者保護総局にほぼ一元化されたところであります。この組織改正のほかに、 今年1月に、IIIにございます欧州食品安全機関が設立されることとされたところであり ます。ここに経緯を書いておりますが、O-157やBSEの発生、食品ダイオキシン汚染 問題等に対応し、域内の食品の安全性確保に向けた包括的かつ統一的なアプローチが必 要との機運が高まりまして、2000年1月に欧州委員会が「食品の安全性に関する白書」 というものを公表いたします。この白書の中に、既に欧州食品安全機関の設立でありま すとか、農場から食卓までの食品の安全性関連規制の見直しでありますとか、食品の安 全性等に関する潜在的なリスクを特定するための早期警告システムの構築、トレーサビ リティの導入等がうたわれているわけであります。  この白書に対しまして、いわゆるステークホルダーといいましょうか、利害関係者か ら意見を求めまして、その意見を踏まえて、2にあります、2000年11月に欧州委員会は その白書を具体化するための包括的な食品安全に関する規則案を提案し、この規則が今 年の1月21日、EU農相理事会で採択をされたわけです。  ちなみに、この2000年11月の食品安全に関する規則案は、参考配布2で提出させてい ただいております。  まず、参考配布2はかなり大部なものでございますので、それを簡単に書いたものが1 2ページでございます。「欧州委員会の『食品安全に関する規則』の概要」というもので ございますが、4行目のあたりに、食品の安全性に関する一般原則と要件を規定すると いうことと、欧州食品安全機関の設立と食品安全性に関する手続を規定することが、「 食品安全に関する規則」の目的でありまして、幾つかのパーツからできております。  まず、1番目が、食品法に関するものであります。食品法の一般原則として、目的、 リスク分析、予防原則、消費者利益の保護を明らかにしております。EUの場合には、 農業政策のように共通農業政策をEUがつかさどると条約上認められているもの以外は 、加盟各国の主権の行使になってきます。したがいまして、食品衛生といった広い意味 での公衆衛生は、各国政府が独自に展開するという形になっています。  その際に、EUの関与の仕方は、各国間で規制のあり方にばらつきがありますとEU 域内の物の流通に支障が生じるということで、レベルを合わせるという観点から各国に 介入していくという形をとっているところであります。そういたしますと、食品とか食 品の安全という概念について、各国それぞれ歴史的背景がありますものですから、ばら つきが実際あるわけであります。そこをそろえていくというところから始めていきませ んと、実効性のある制度とならないということになるわけであります。そういった意味 で、まず、その目的を明らかにしていくということがあるわけであります。  それから、リスク分析ですが、これは先ほど申し上げましたが、リスク分析に基づい たものであるべきであるということを明らかにしております。その結果、必然的に予防 原則をとることとされているということであります。それから、食品安全行政の場合に は、だれの利益を優先するかという意味で、消費者利益を保護するということを明らか にしているということであります。  2番目に透明性の原則でありますが、これは政策の決定過程における透明性を確保す るということで、データの公表なり会議の公開といったようなものを始めとする透明性 を確保することをうたっているところであります。  3番目の食品貿易の義務でありますが、これはWTOルール上、SPS協定等々で輸 出入の規制を加える場合には、国際機関等のルールがある場合にはそれに準拠しなけれ ばならないというものが掲げられておりますので、EUとしてもその原則は遵守します ということを明らかにしているところであります。  4番目の食品法の要件といたしまして、食品・飼料の安全性要件、どういう食品が安 全というのかという概念を明らかにしていることと、あわせて、飼料の安全性を取り上 げたという点が新しい部分であります。  (3) 食料・飼料の製造業者等の責任ということで、消費者が安全な食品を享受する権 利があるということを前提に立論していきますので、食品を供給し、あるいは製造する 者は安全なものを供給する責任があるという構成になっています。それを前提といたし ますと、事後的にいろいろなトラブルが起こった場合に、検証可能にしていく必要が出 てまいりますものですから、農場から食卓までの安全性をトレースできるようなトレー サビリティというものを導入していくという構造になっているわけであります。  こういった食品の安全性を確保していく上でとりわけ重要なのが、各国間のばらつき をただしていく上で、リスク評価を科学的に行っていく独立した機関というものがどう しても必要になってくるわけでありまして、それが欧州食品安全機関を設置する必要性 であったわけであります。  それから、早期警告システム、危機管理及び緊急事態というのは、BSEやいろいろ な事故・事件が起こったことに対しての機動的な対応を保障するものであります。  13ページが、その欧州食品安全機関の概要であります。まず、当該機関の性格であり ますが、1の(1) にありますように、欧州委員会その他のEUの機関からは、法的に独 立した機関として設置されました。つまり、指揮命令を受けないということになります 。  (2) は、その機関の執行理事会、助言フォーラム、科学パネルといった機関が内部に あるわけですが、そのメンバーは独立して職務を行うこととされておりまして、毎年、 書面による宣誓を行うこととされております。  それから、当該機関の所掌・任務でありますが、(1) で総論的に書いておりまして、 主な機能として、(2) にありますような6つの機能を担当することとされています。  (1)は、食品の安全、動植物衛生、動物愛護、栄養、GMO等に関しての科学的な助言 。  (2)は、技術的な食品問題に関しての助言。  (3)は、食生活パターン、摂取状況、リスク等に関するデータの収集・分析等々を担当 することとしています。  3の欧州食品安全機関の予算・定員ですが、(2) の「EFSAの各部署毎の構成等は 以下のとおり」というところをご説明申し上げますと、まず、(1)執行理事会がこの機関 の方針を決定するところになります。ここは14名のメンバーと1名の欧州委代表者から 成るとされておりまして、うち4名が消費者問題と産業問題に知見を有する者から選ば れることとされております。そして、この執行理事会は公開の会議とされています。  (2)助言フォーラムでありますが、これは各加盟国にそれぞれ食品リスク評価部局があ るわけでありますので、その評価部局の代表者から構成される機関であります。これは どういう役割をするかというと、次の14ページの4のその他の(1) の3行目で、「また 、加盟国の科学当局が、そのような対立する見解に関与している場合には、EFSAと 当該加盟国の当局は協力するとともに、『助言フォーラム』に諮問するものとする」と あります。つまり、EUのリスクアセスメントと加盟各国のリスクアセスメントが異な るということが起こり得るわけでありますが、その異なった場合の調整をこの助言フォ ーラムでやりますということをいっているわけであります。  13ページに戻っていただきまして、(3)科学パネルというものがあります。これは先ほ どのフランスのAFSSAの専門委員会というものにあたります。執行理事会によって 任命された独立した科学専門家によって構成されるものであります。これらの科学者は 同機関の職員ではありません。それぞれのパネルがございまして、そのパネルの議長と 各パネルに所属していないという意味で独立した6名の専門家から成る科学委員会があ ります。これは各パネルがリスクアセスメントについて異なった、あるいは矛盾した勧 告案を出すこともあり得ますので、そういった場合の調整をこの科学委員会が行うこと とされています。  以上がEUのケースであります。  続いて、15ページをごらんいただきたいと思います。米国のケースであります。  アメリカは、畜産・食品安全行政を担当するリスクマネージメント部局としては、厚 生省の食品衛生医薬品庁、場合によっては医薬品局という訳がありますが、FDAが基 本的には担当する形をとっております。ただし、歴史的経緯から、食肉と鶏卵につきま しては、農務省の食品安全検査局が担当するという整理になっております。したがいま して、行政の重複や予算執行上の効率性といった観点からは機能を統一すべきではない かという議論は、これまでたびたびなされていたところであります。  それは16ページのIIの2をごらんいただきますと、例えばですが、1998年8月にナシ ョナル科学アカデミーというところが報告書を公表いたしまして、衛生上のリスクに応 じて食品衛生行政を再編するための立法措置をとるべきことを提言しております。これ を受けた形で、当時のクリントン大統領が1998年8月に大統領府に食品安全評議会とい うものを設置いたします。構成メンバーは、農務長官、厚生長官、環境保護庁長官、科 学・技術担当大統領補佐官であります。しかしながら、この協議会そのものは昨年1月2 0日にブッシュ新政権の発足に伴い停止状態になっているところであります。  3として、米国の会計検査院が昨年の10日10日付で、「Food Safety and Security」 という報告を出しておりまして、この中で、食品安全を一元的に扱う組織(agency)の 設立が必要であるという報告をしておりますが、これに対する具体的な動きは現在のと ころみられておりません。  17、18ページは、USDAのFSIS、HHSのFDAの体制等でありますが、説明 は省略いたします。  19ページ、オーストラリアの畜産・食品行政における役割分担でございます。  オーストラリアも米国同様、組織の再編は行っておりません。オーストラリアは連邦 制をしいているということから、食品の安全行政については、連邦政府は農漁林業省、 そして州政府がそれぞれ担当するという形をとっております。  特徴的なことは、ニュージーランドとの間に豪州・ニュージーランド食品機関という ものを設置しているということでございまして、これは検疫での共通性などを確保して いくということのようであります。その豪州・ニュージーランド食品機関の説明が下に 出ておりますが、96年に設置をされたものであります。オーストラリア連邦、州・準州 及びニュージーランド政府の保健省等を構成員とする組織でございます。この豪州・ニ ュージーランド食品規制閣僚会議というものは、正確にいいますと、現在はまだ豪州・ ニュージーランド食品基準審議会という名前のものでありまして、豪州ではこの豪州・ ニュージーランド食品規制閣僚会議法が議会を通して成立しておりますが、現在、ニュ ージーランドとの条約交渉をやっているということでございまして、正確にいいますと 豪州・ニュージーランド食品基準評議会という名前の組織でありますが、いずれにして も、こういう名前のものにやがて変わるとされています。  20ページ、スイスのケースであります。スイスはBSEの発生がかなりみられたとこ ろでありますが、EU諸国とは異なりまして、組織再編を行っておりません。スイスも 連邦制をしいておりまして、具体的な法律制度の執行は各カントン(州)が行うことと なっておりまして、連邦政府は制度の企画・立案を行うこととなっております。それを 前提とした上で、連邦政府においては、連邦経済省の農業局・獣医局と連邦内務省の保 健局がそれぞれ安全行政を担当しているという構造になっております。  以上が、主要国の役割分担についての説明であります。  資料2をご覧いただきたいと思います。資料2は、資料1の主要国の役割分担につい て表形式にまとめたのと同じ形式で我が国の畜産・食品行政の役割分担を整理したもの であります。農林水産省と厚生労働省がそれぞれ畜産・食品行政の一部を分担している という形になっておりますが、特徴的な点の1つは、飼料について、厚生労働省の欄に ございますように、厚生労働大臣は公衆衛生の見地から、農林水産大臣へ製造等に関す る基準等の設定等に関し意見を述べ、又は要請することができることとされております 。  動物性医薬品については、厚生労働大臣は公衆衛生の観点から農林水産大臣へ使用規 制に関する基準の制定等に関し意見を述べることができることとされています。  農薬の関係では、(7)の欄の厚生労働省の欄ですが、※印にありますように、残留農薬 の基準の設定に関して、残留農薬の基準そのものは厚生労働大臣が設定するわけであり ますが、その設定に関して、農林水産大臣に必要な協力を要請する。これは農薬の登録 業務を農林水産大臣が担当しておりますので、関係するデータを厚生労働大臣に提供す ることを要請できるということになっております。  このような形になっておりますので、安全行政にかかわるコアな部分につきましては 、我が国においては厚生労働省にかなり一元的に整理されているともいえる状況にある と考えられます。こういう関係にあるわけでありますが、これを前提とした上で、業務 を分担しておりますから、どうしても両省にまたがるような事案が生じてくるわけであ ります。  これをそのページの2の(3) の最後にございますように、前回ご説明申し上げました が、各省間の政策調整を行うシステムを確立してあるわけでありますけれど、この部分 が機能的に働いていなかったのではないかという問題があるわけであります。前回の委 員長からのご質問に、「各省間の調整、これはどうするのですか」という性格のものが あったかと思いますが、1つの対応方向としては、先ほどイギリスのところで申し上げ ました参考配布1のような覚書の締結というものも、具体的な、あるいは積極的な政策 調整を担保する1つの方法ではないかと考えられます。  続きまして、資料4−1、4−2の関係でございますが、これは第2回の調査検討委 員会に提出した資料をベースに、本日、組織再編についてそれぞれいつ何をやったかと いうことを盛り込んだものでございます。いわば、アップデートしたものであるという ことでご理解いただきたいと思います。  続いて、資料5の関係でありますが、これもこれまでの委員会に提出した資料でござ いますけれど、これにつきましては最終ページをごらんいただきますとわかりますとお り、1月31日までの両省の対応について盛り込んだという意味で、これもアップデート したというものであります。  資料6、1枚紙で、「現時点までのBSEにかかる各国の対応」でありますが、これ も前回提出した資料でございますけれど、これにつきましては、表の下にございます1 行を加えております。「我が国のその他の対応:(1)10月17日以前にと畜解体された牛肉 を隔離・焼却、(2)廃用牛の買い上げの推進等への助成(予定)」を入れたものでござい ます。  資料7でございますが、「BSE問題に関する調査検討委員会における委員の主なご 発言(第1〜5回)の概要」ということで、前回は第4回までのものを提出いたしまし たが、前回の委員会における委員のご発言を入れ込んだものでございます。  資料8でございますが、資料8−1、8−2は、前回の検討委員会における委員ご指 摘に関する資料でございまして、8−1は農林水産省で作成したものでございます。  表紙をめくっていただきますと、1ページに、「食品行政」、「食品衛生行政」、「 食品安全行政」の用語の整理をいたしております。「食品行政」という用語につきまし ては中央省庁等改革基本法に、「食品」につきましては食品衛生法等の幾つかの法律に 定義が置かれているという状況にあります。  2ページ、「食品衛生行政」の用語に関してであります。「食品衛生行政」という用 語を使っております法律としましては、中央省庁等改革基本法がございます。そして、 「食品衛生」につきましては食品衛生法にその定義規定が置かれております。  3ページ、「食品安全行政」の用語の整理でありますが、「食品安全行政」という用 語は、現在、法令上用いられてはおりません。ですが、一般に食品の安全に係る行政の ことを指して用いられているということであります。  なお、「食料の安全性」という用語につきましては、食料・農業・農村基本法の中に 、その第16条でありますが、用語として使用しているところであります。  4ページは、「WHO勧告の最終報告を入手した後、農業資材審議会飼料部会家畜飼 料検討委員会において検討を実施しなかった経緯について」ということで、この点につ きましては前回資料を提出したところであります。前回はWHO勧告のプレスリリース 版と最終報告との間で、肉骨粉の反すう動物への給与を禁止するという部分については 何らの変更がなかったので開催する必要がないと理解していた、という資料だったわけ でありますが、幾つかのご指摘もあったことを踏まえまして、さらに担当課長・担当班 長の考え・認識を聞き取ったものを資料として提出しているものであります。  資料8−2は、厚生労働省で作成された資料であります。1ページは、「食品衛生法 の改正・運用強化等に関する請願」ということで、昨年12月の臨時国会において採択を された請願の本文であります。  2ページ以降が、昭和56年10月21日に東京弁護士会が公表いたしました食品安全基本 法の提言の本体であります。  31、32ページは化製場等に関する法律の抜粋でありまして、最後の33ページは会議へ の参加状況ということで、食肉・食鳥処理問題調整協議会への農林水産省からの出席者 、そして、昨年9月のBSE発生後、厚生労働省が開催した研究班会議等の会議におい て農林水産省の関係職員が参加していたかどうかという質問に対する資料でございます 。  参考配布は、先ほど申し上げましたものでございますが、一番下に「第5回BSE問 題に関する調査検討委員会提出資料の訂正について」という資料があるかと思います。 これはまことに申しわけなく思いますが、前回提出をいたしました農林水産省の「牛海 綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果」の集計につきまして、人数の集 計を若干誤っておりましたものですから、それを訂正させていただきたく、提出したも のでございます。  私からは以上でございます。 ○高橋委員長   ありがとうございました。ただいまの説明について、厚生労働省から補足説明をお願 いしたいと思います。 ○厚生労働省吉岡企画課長   食品保健部企画課長の吉岡でございます。資料8−2で全体的な説明が農水省の方か らございましたが、若干補足をさせていただきます。  資料8−2は4つございますが、これはいずれも前回、高橋委員長及び小野寺委員か らご指摘・要求のあったものでございます。  1ページでございますが、先ほども説明がございましたように、「食品衛生法の改正 ・運用強化等に関する請願」ということで、先の臨時国会で採択されたものでございま す。冒頭に書いてございますように、O-157、狂牛病、ダイオキシン、環境ホルモン等 の対策について、中段において、「『国民の健康』や『食品の安全性の確保』という行 政目的を明確」にした上で、最後のところで、「行政措置を拡充するとともに、法律の 改正等、所要な措置を早期に検討されることを請願いたします」という趣旨の請願を頂 戴しております。国会で採択された請願でございますので、中身を十分吟味いたしまし て、関係省庁とも協力の上、今後、必要な措置について検討していきたいと考えており ます。  2点目は、関東弁護士会からの食品安全基本法のご提言でございまして、これは請願 ではございませんが、昭和56年に厚生大臣あてに頂戴したものでございます。内容は、 現行の食品衛生法の改正にとどまらず、法の名称・目的・性格も含めた抜本的に改正と いうことで、具体的には食品等に係ります規制基準の強化、新開発食品に対する規制の 承認制度、あるいは表示制度についてもご提案がございました。さらには、消費者関係 の委員が関係の審議会に参加できるようにといった、広範な内容を含むものでございま す。  これにつきましては、ご提案を受けた法律改正という対応はしておりませんが、この うち、この提案をいただいた後の対応といたしましては、現行の食品衛生法に基づきま して、例えば平成7年には添加物の審査制度の強化をしておりますし、残留動物医薬品 の安全性基準の法的義務化とか、農薬基準の強化、そしてHACCPの導入も前回の法 律改正で対応しております。あるいは、最近では、遺伝子組み換え食品、アレルギー食 品の表示の法的義務化、これは法律改正ではございませんが、食品衛生法に基づく省令 改正等によって措置をとってきている状況でございます。  私からは以上2点補足をさせていただきました。 質疑 ○高橋委員長   ありがとうございました。それでは、これから質問あるいは意見の交換に移りたいと 思います。今まで5回にわたって過去の経緯についていろいろ検証してまいりました。 本日は、それを踏まえて、ヨーロッパ諸国における対応、あるいはアメリカも含めた対 応を参考にしながら、将来、日本でどのような体制をとるべきかということの参考資料 が提供されました。  本日の説明に対する質問に入る前に、今までの経緯の中で若干重要な論点が落ちてい たと山内委員長代理から問題提起がございましたので、まず、ご発言いただきたいと思 います。 ○山内委員長代理   BSEが社会的に大きな問題になった時期というのは、1990年、発生数が1万頭を超 して、しかも猫にも感染が起きて、人にうつるのではないかといって大きな問題になっ た時、そして96年の変異型CJDの患者が出た時、そして2000年にヨーロッパで急増し てきた時であります。そして、これまで、96年と2000年については検証は大体終わって いるように思います。しかしながら、90年に関しての検証がほとんどなされていない。  私は、第2回の検討委員会で、WHO、FAO、OIEでのBSE関係情報を提供し て欲しい申し上げたのですが、OIEに関しては総会のレポートだけですけれど、実は1 990年にOIEはBSEに関するミーティングのかなりちゃんとしたレポートを出してお ります。そして、その中で、BSEが存在していない国でのBSE防止に関連して、「 牛、牛の製品、反すう動物由来のえさの輸入に関する政策や条件を見直すべきである」 と明言しております。そして、そのレポートがまだ提出されていない。これはやはり提 出していただきたいということと、そういう勧告に対してどのように行政が対応したの かお聞きしたいというのが1点目です。  次に、1991年にWHOが、今度は動物と人の海綿状脳症に関する専門家委員会報告を 出しております。これも提出されておりません。WHOのものは96年以後のものしか出 ていません。このレポートはほとんど人への感染防止が主体ですが、動物に関連しては 、OIEが1991年にガイドラインを、案かもしれませんが、作っていると書いてありま す。ただ、私はこのガイドライン案というものは見たことはありません。ですから、W HOのレポートに載っているOIEのガイドライン、それは「detailed guideline」と 書いてありますが、それを提出していただきたいと思います。  90年というのは非常に重要な時期でして、90年の時点からBSEはそれぞれの国の中 で広がっていった。96年よりはるかに重要な時期であったと考えております。そして、9 0年のOIEの勧告を受けたのだと思いますが、例えばアメリカですと、「BSE Risk Ana lysis」というのを定量的・定性的とそれぞれ別々の本でちゃんと出しています。そうい ったことが日本ではどのように受けとめられていたのか、その辺についてもご説明をい ただきたいと思います。 ○高橋委員長   それでは、1990年、91年のOIEあるいはWHOの文書について回答いただきたいと 思います。 ○農林水産省松原審議官   審議官の松原でございます。ただいま山内委員からご指摘のございました資料でござ いますが、現在、手元にございませんので、これをそろえましてまた改めて提出させて いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○山内委員長代理   OIEのガイドラインについてWHOのレポートでは触れておりましたので、それも 探していただきたいと思います。 ○厚生労働省吉岡企画課長   WHOのレポートにつきましても、ご指摘の文書を確認の上、資料がございましたら 次回に提出させていただきたいと思っております。 ○岩渕委員   最近の報道の中で、1990年に英国政府から日本政府に肉骨粉の使用禁止に関して通知 が来ているという報道がありました。その真偽と、もしあったのなら、その資料も当然 出していただきたいと思います。もう調査なさっているでしょうけれど。 ○農林水産省伊地知衛生課長   衛生課長でございます。NHKの報道のことをいっておられるかと思います。2月10 日、NHKで報道された内容でございますが、イギリスからの書簡が日本にも来たので はないかということで、私ども、当時の担当者に確認いたしましたが、受け取った記憶 がないということでございました。それと、翌日は休日でしたが、数名の者が出勤して 衛生課の中と書庫等を探したのですが、現在のところ、そういう書簡自体は確認されて おりません。引き続きもう少し調べてみたいと思いますが、12年前になりますか、資料 等も探しておりますが、現時点では確認されておりません。 ○高橋委員長   そういったイギリス政府からの書簡は、外務省を通ずるのですか、直接来るのですか 。 ○農林水産省伊地知衛生課長   恐らく、あちらの衛生当局から衛生当局に直接来たのではないかということで、私ど も衛生課の中で探しているところでございます。 ○高橋委員長   では、それも出てきましたら、ぜひ公表してください。  90年に農林水産省の職員が現地調査をしてレポートされていますね。90年、91年当時 のことをもう少し追求する必要があるのではないかと思いますが、ぜひ一連の資料を準 備していただきたいと思います。  それでは、今日報告いただいた主要国の畜産・食品行政に関する役割分担について、 どなたからでも結構ですので、ご質問等をどうぞ。 ○岩渕委員   細かいことで恐縮ですが、英国では、環境・食料・農村地域省と保健省との間の覚書 というのはあるのですか。資料には出ていないようですが。 ○農林水産省武本企画評価課長   直接的な協定という意味ですか。 ○岩渕委員   ええ。 ○農林水産省武本企画評価課長   確認しますが、ないはずです。食品基準庁を機軸にして保健省とブリッジになってい ますので。 ○岩渕委員   要するに、その間の覚書というのは全く必要性がないということになるわけですね。 ○農林水産省武本企画評価課長   だと思います。確認はします。 ○山内委員長代理   今日ご説明いただいたのは全部行政組織なのですが、食の安全というのは科学的基盤 に則ってやっていかなければいけない。そして、それぞれの行政は科学者グループに相 談をもちかけるとかいろいろなことを言っておられましたが、そういった面での組織が どうなっているのか。例えば、英国の場合ですと、BSEが出てからサウスウッド委員 会というのができて、そこで提言があって、ティレル委員会、それが海綿状脳症諮問委 員会になって、実はあれは研究推進のための組織であったわけですね。  そこが中心になって科学的な見地からBSEの安全対策をずっと進めてきた。そして 、EUはもう一方で科学運営委員会がやはり科学的な面の検討をしながら、行政に対し ての発言もやっている。ですから、その辺の現状をもう少し整理して資料として提出し ていただきたいと思います。行政のハードの面といいますか、組織面だけでは私の場合 にはなかなか判断し切れないように思います。 ○農林水産省武本企画評価課長   調査をして、資料を整えたいと思います。 ○小野寺委員   ドイツのことですけれど、資料1の5ページに「連邦リスク評価研究所及び連邦消費 者保護・食品安全庁の創設」と書いてありますが、これはアウトラインができただけで まだ動いてはいないわけですね。そうすると、これがどういう具合に機能するかという のは、なかなか評価が難しいですね。 ○農林水産省武本企画評価課長   はい。 ○小野寺委員   わかりました。 ○高橋委員長   ほかにご質問や確認することはございませんでしょうか。  幾つかの国の例が説明されましたが、全体を通して、ある筋書きのようなものが見え るのか見えないのか、その辺の説明をしていただきたいのです。本日の冒頭の説明で、 リスク分析について3つのテーマに分かれているということで、特にリスク評価につい て、例えばイギリスでは基準庁ですか、その基準庁の中をみてみますと、リスク評価だ けではないですね。 ○農林水産省武本企画評価課長   マネージメントです。 ○高橋委員長   マネージメントですね。そうすると、イギリスの場合はリスク評価をどこでやろうと しているのか、あるいは、フランス、ドイツの場合にはどうかという、その最初のリス ク評価、リスクマネージメント、コミュニケーションは両方でやるということですが、 それを整理した上で、もう一度簡単に概要を説明していただければありがたいと思いま す。 ○農林水産省武本企画評価課長   まず、英国の場合は、リスクマネージメント部局をそれまで農漁食料省が担当してい たものを、そこから分離して、独立機関たる食品基準庁というものをつくります。これ はリスクマネージメントをやるところです。リスク分析論からしますと、アセスメント とマネージメントは機能的に分けますということが考え方としてありますから、イギリ スの場合には、そういう観点から、基準庁とは別に、独立の科学者による専門委員会を つくり、そこでリスクアセスメントをするという整理を行っていると承知いたしており ます。  ドイツは、5ページにございますように、連邦消費者保護・食料・農業省にリスクマ ネージメント部局を統合した上で、さらにリスク評価とリスク管理、リスクマネージメ ントを分離していくという意味で、昨年12月のキューナスト大臣の発表によれば、リス ク評価機関としての連邦リスク評価研究所をつくりますということです。そして、マネ ージメント部局として、連邦消費者保護・食品安全庁をつくっていきますということに なります。これは具体的なものが出来ないと、リスク評価研究所の中身がよくわからな いところがあります。  わからないという意味は、フランスのAFSSAというのは、食品衛生安全庁という 形ですが、これはリスクアセスメントを行う機関とされていますけれど、アセスメント を行うのは専門科学集団が別途あって、それの事務局という位置づけになっているわけ です。ですから、安全庁そのものがリスクアセスメントを実施するという形をとってい ないというところがあります。でありますので、ドイツがフランスのような形にいくの か、それとも、本当にここがリスクアセスメント機関になっていくのかが、今の段階の 情報だとよくわかりません。  フランスの場合は、先ほど申し上げましたように、リスクマネージメント、つまり、 ルールをつくったり、具体的な規制を加えていくとか、行政処分をやっていくという、 そういう部局はこれまでと同様、農漁業省、雇用社会連帯省、経済財政産業省が担当す るという形をとっています。  観念的にいえば、マネージメントをやるところがアセスメントも今までもやっていた はずです。やり方の形はどうであれ、あるはずなんです。その部分をいわば抜き出して きて、食品衛生安全庁という独立の機関をつくった。ですから、アセスメント機関とし てつくったということにフランスはなっております。  EUは、先ほど申し上げましたように、10ページですが、マネージメントをするセク ションがそれまで大きく3つの総局に分かれていたものを、11ページにありますように 、おおむね保健・消費者保護総局というところにマネージメント機能は統合するという 形になります。このこととあわせまして、リスクアセスメントを行う機関として、欧州 食品安全機関というものをEU委員会とは独立した機関としてつくることに、今年の1 月21日に決めたという段階です。これもどういう人がそこに入っていくのかというのは 、これから人を雇ったりするわけでありまして、今のところの情報によれば、本年の5 月か6月ごろに具体的に動き出すだろうということです。  その中に、組織としては、先ほど見ていただきましたが、13ページの3の(2) に書い てありますように、具体的な方針決定をするのは執行理事会というものがあります。で すから、その下に当然事務局が張りつくという形になっているのだろうと思います。そ れとは独立した助言フォーラムというのがあって、これは加盟各国との間のリスク評価 についての不都合を調整する場とされています。  それから、個々のケースについてのリスク評価を行う場というのは、科学パネルとい うものが予定されていて、これはこの欧州食品安全機関とは別の独立したものとして位 置づけられております。ただ、ここの科学パネルがリスク評価をする際に、いろいろな 意味でのサポートを欧州食品安全機関の事務局が行うという関係になっていくのだろう と思います。  よろしゅうございますでしょうか。 ○高橋委員長   はい。多少の説明がありましたが、いかがでしょうか。 ○山内委員長代理  細かい質問ですが、今の欧州食品安全機関の科学委員会というのは、6人の専門家か ら成るとなっていますが、これは科学運営委員会とは別のものでしょうか。科学運営委 員会は8名ででき上がっているはずなのですが。 ○農林水産省武本企画評価課長   これがまだでき上がっていませんで、科学運営委員会はありますので、この欧州食品 安全機関がワークするまでの間、科学委員会が果たす役割は科学運営委員会が果たすこ とになっています。恐らく最終的には、今は科学運営委員会なり独立した科学委員会が 8つぐらいあるはずですが、それらが全部これに吸収されていくという形になると思い ます。 ○和田委員   資料3でリスク分析についての説明を伺いました。これはこれから食品の安全を確保 していくために、日本でも制度化してきちんと定着させていかなければならないものだ と考えております。私たち消費者もちょうどおととしぐらいからこのリスク分析につい て何度か勉強会をもったりしておりましたが、なかなかわかりにくくて、まだまだ本当 にこういう考え方があるのだという入り口のところでありますが、今回、具体的なBS Eというものが頭にあった上で、具体的な問題としてわかりやすく、大変関心をもって 説明を伺いました。  それで、具体的にお伺いしたいのは、今の日本でというのは、これはまだ実施されて いないわけですから、今の制度の中でですけれど、リスク評価とリスク管理とリスクコ ミュニケーションの中で、専門家の方の間でのリスク評価というのはされておりますけ れど、リスク管理というのは、制度的にもそういう場というのはあるのかどうか、私は 非常に疑問です。  リスク評価というのは、先ほどご説明がありましたように、例えば科学的に評価する のであって、政治的あるいは社会的とかそういう要素は一切考慮しないで評価するのだ ということです。これは非常にわかりいいわけですね。ところが、リスク管理になりま すと、ここに書かれている「消費者の健康保護を第一の要素として」というのは当然の こととして、その次の行に「便益とか技術的な達成可能性、その他の諸要素」、ここに 政治的あるいは社会的な要素というものが加味されて、総合的に考慮して判断を下して いく。  私が常々感じておりますのは、リスク分析とかそういう言葉がないときに、日本とい うのは、この場がないのだなということを痛切に感じていたのですけれど、あるのでし ょうかということをまず伺いたいんです。どこかでこれをやっているということであれ ば、それがどこであるのかということをお伺いしたいと思います。 ○高橋委員長   資料3のリスク分析について、日本の現状はどうなっているのかということが最終的 なことだと思いますが、リスク評価については、BSEについての幾つかの委員会はあ りますね。しかし、あれは次に来るリスクなどについての恒常的な委員会ではないです ね。という意味で、あるといっていいのか、ないといっていいのかということもあろう と思います。  それから、リスク管理については、それぞれの省庁がマネージメントをやっていくの だということで今までにもやってきたのだ、と解釈できるのか。いやいや、ここに書い てあるとおりのことを果たしてやってきたのかどうか。  これはどなたにご説明いただいたらよろしいでしょうか。 ○厚生労働省吉岡企画課長   個人的な見方の域を出ない可能性もございますが、厚生労働省からコメントさせてい ただきますと、リスク分析という中身として、リスク評価、リスク管理、リスクコミュ ニケーションという、こういった概念整理はそれほど昔からあるものではなく、最近、 BSEなどを契機としたり、EUでの組織見直しに当たって、1つの理念型の形で整理 した上でこういう手法が必要であるということで、最近、浸透してきたものだと思って おります。  今日の農水省の方でおまとめいただいた資料をみますと、リスク評価という部分は、 食品に含まれるいろいろな危険物を摂取することによって、ここには「確率」という文 言がございますけれど、数字的に出すかどうかは別にして、例えばいろいろなデータを 検証いたしまして、残留農薬を例にとりますと、ある農薬についてどの程度の量が許さ れるかとか、農水省では、飼料についてそういうハザードがどんなものがどこまで許さ れるかを評価します。例えば、現行の組織で申し上げますと、おととしまでは食品衛生 調査会、現在は薬事・食品衛生審議会という、いろいろな分野の先生方がお集まりにな った場で、必要に応じて、科学的に検証していただくということで、機能的あるいは組 織的には、科学者の集まりの審議会の場が、そういうステージになるのではないかと個 人的には思っております。  もう1つ、リスク管理のところですが、リスク管理自身は非常に抽象的な言葉ですが 、先ほど、英・独・仏の例で、アセスメントはここがやっている、それ以外の行政的な ところはここがやっているといった、そういう概念分けをいたしますと、食品の安全で 申し上げれば、現在の食品保健部の各課がこれを担っています。厚生労働省の食品衛生 法上の任務としても、食に起因する健康の被害を防止するとなっております。  資料にもございますように、健康被害の防止というのはリスク低減のためにどういう 措置をとっていくかということですので、個人的な感じですが、リスク評価の部分は、 いろいろと審議会でやったり、BSEの場合であれば、それぞれ専門家のお集まりの場 がございまして、そこで評価いただいて、実質的にどういう形でリスクを軽減するかと いうのは、いろいろな政策のミックス、あるいは、安全の基準からはここまででいいの だけれど、政治的な配慮でもう少し広目に措置をとるとか、そういう部分は厚生労働省 なり農水省の各行政部局がこれを担うのではないかと私は思っております。これは1つ の見方かもしれませんが。 ○農林水産省武本企画評価課長   今の吉岡課長の説明で基本的によろしいのではないかと思います。和田委員のご指摘 の点というのは、ここに書いてございますようなすべての関係者と協議しながらという 話ですとか、リスク評価とリスク管理は機能的に分離されていないといけないが、相互 作用が必要とされるという部分のところで、我が国がとっているリスク評価部局とリス ク管理部局が機能的に分離されているかどうかという話と、もう1つは、リスクコミュ ニケーションの話ではないかなと思います。  要するに、食の安全性の関係でありますから、消費者の健康保護を第一にするという 観点から、リスクコミュニケーションが消費者の方々からみて、必要にしてかつ十分に 行われるような体制になっているのかどうか。さらにいえば、消費者のお考えが具体的 な政策あるいは措置の企画・立案や実施の段階に反映することが可能になるような仕組 みになっているか、ということのご指摘かなと思うのですが。  ここは行政の立場から言えば、基本的には、情報を公開していくとか、あらゆる機会 に消費者を始めとして国民に対して説明責任を果たしていくという方向にありますので 、つまり、どういうものがあるべき姿かというのは一概には言い切れないところがある かと思っておりまして、「リスク評価、リスク管理はやっているのか」と言われれば、 「やっております」ということになるということです。 ○和田委員   確かにこの数年、情報公開は相当程度徹底してまいりましたし、パブリックコメント を求めるというような機会も増えてまいりましたので、形をみると確かに消費者の意見 を表明する機会というのは確保されていると言えると思います。ただ、ここにあります ような、まさに今おっしゃいましたけれど、関係者と協議しながらということが本当に やられているかというと、決してそうではないということが言えると思います。  具体的なことで考えないと私もよくわからないものですから、例えばですけれど、今 、消費者が非常に関心をもっております遺伝子組み換えの食品につきましても、薬事・ 食品衛生審議会の場で、リスク評価は安全の審査というのを、――私たちからみるとま だまだ不十分な点はあると思いますが――、されていると言えると思いますし、農薬に ついてとか、食品添加物についてとか、一つ一つについて専門の方が科学的に評価とい うものを出していらっしゃると思います。  しかし、リスク管理について、例えば、今申し上げました遺伝子組み換え食品につい て、私は、場違いであることは承知していながら、薬事・食品衛生審議会の場で発言す ることがあるのですが、本当は薬事・食品衛生審議会というのはあくまでも諮問された ことに対して答えていく場であって、遺伝子組み換えという技術が日本にとって今必要 なのかとか、有用性であるとか、そういうことを議論する場ではないことを承知の上で 、私は毎回それを出すのですけれど、時によっては、「この場が食品については最終的 な場なのだから、意見を出していただいて結構だ」と言われることがありますけれど、 もともとそういう場ではありません。そこで改めてここにありますような有用性とかい ろいろなことを総合的に入れた上で考えていく。日本にとってどうなのかとか、世界の 食料の逼迫状況はどうなのかとか。そういうことを議論する場がないというのは言い過 ぎかもしれませんけれど、余りにも足りないのではないか。ほとんどないといってもい いのではないか。  普段いろいろと意見をいう場はあり、パブリックコメントを出す場はありますけれど 、それを目的として議論する場というのは、今の日本の制度的には余りにもないのでは ないかなと感じておりますので、ここではっきりリスク管理ということが出されて、こ れが具体化すれば、いろいろな意味での議論というのがもっと深まったり広まったりす るのではないかなと思ったものですから、ちょっと質問いたしました。 ○日和佐委員   リスク分析についてはまだまだ理解度が深まっていないので、もっとみんなで勉強す る必要があるのではないかなと実は思っていますが、日本の状況を照らし合わせてみる と、何がリスクであるかという評価がまずされて、では、そのリスクを軽減するために どのような規制が必要なのか。具体的にいえば、残留農薬基準値をどう設定すればいい かとか、もっと言えば、それは農薬として認可すべきであるか、すべきでないか。そう いうところをきちんと議論するのがリスク管理であると思っています。日本の場合はリ スク評価とリスク管理が一緒になって行われているわけですね。ですから、全く切り離 されていないというのがこのリスク分析の理論の中では言えるのではないかと思います 。  海外の状況をご説明いただいたのですが、このリスク分析の考え方からいって、完璧 にリスク評価とリスクマネージメント、リスク管理が完全に分離されているかという観 点でみますと、イギリスにしてもフランスにしてもやはりあいまいなところがあるんで すね。ドイツはこれからきっちり分離していこうという考え方でいっていますが、現実 にこれがどうなるかということがまだ明確になっていない。それぞれの国の今までやっ てきた基盤がありますから、リスク分析を導入するといっても、その理論どおりにきれ いにはなかなかいっていないのだなということがわかった部分もあります。  ですから、こういうものをシステムとしてそのまま今後導入するということよりも、 まずどういう考え方でいけばいいのかという、食品安全に関する哲学とでもいいますか 、そこをまず議論した方がいいのではないかなと実は思っているわけです。システムそ のものを単純に導入するというのは非常に無理があるわけですから、どういう考え方を 導入していったらいいのかということを議論していって、そのためにどういうシステム 、組織が必要なのかということで議論を進めていった方がいいのではないかなと思って います。 ○高橋委員長   いろいろな審議会があって、それなりにやってきたと言いますけれど、その審議会の 委員構成をみますと、業界代表がかなり入ってくる審議会もありますし、利害関係者が かなり出ている。それから、日本の例でみても、農林水産省あるいは厚生労働省でそれ ぞれ基準をつくっておりますが、その基準は結局は業界団体の申し合わせ事項ではない か。ですから、そうではないもっと極端に業界から離れた、いわゆる産業省から離れた 立場でリスク評価をする必要が出てくるだろうと思います。  そういう意味で、資料3に、リスク評価をやるのはリスクマネージメントとは別組織 で独立した組織をつくるのだということで、しかも、科学的な立場からやるということ 、これだけはかなり重視してもいいのではないか。産業省の場合にはどうしても抱え込 んでいる関係者を配慮せざるを得ない面も出てきますので、これを離すというのは方向 としてはいいのではないか。少なくとも、こういった切り離した形でのリスクアセスメ ントの組織が全くなかったというところは、少し反省すべきところではないかと思いま す。 ○砂田委員   1人のジャーナリストとしてコメントしたいと思います。なぜ日本では、リスクコミ ュニケーション、リスク管理、リスク分析というものが大衆の言葉になっていないかの 1つの理由は、日本人は、人と会ったとき、「何をなさっているんですか」とは聞かな いで、「どこの会社で働いていますか」と尋ねる。「どこの大学を出ましたか」とはと は聞くけれど、「何を勉強しましたか」とは聞かない。個人より帰属で人を判断する。 自分の健康は自分で守るみたいに、個で守るという意識が欧米に比較してかなり差があ る。私たちはまだそういうふうに学習していないところがある。  「リスク」という言葉の逆の言葉が「安全」なんですね。例えば、交通安全教育は交 通リスク教育です。交通安全教育をこれだけやってきたから交通事故も減ってきている 。その対策もあるし、予算もある。そういう専門家もたくさんいます。私たちは政治家 もメディアも行政も全てが、このBSE問題を機会に、交通安全教育以上に食べ物の安 全教育をやらなければいけない。  なぜいま、BSE問題かというのも、ほとんどの人がこれを赤信号か黄色信号だと思 っているわけです。けれど、それを説明する専門家がいない、学者がいない、国際比較 するわかりやすい絵本、グラフ、漫画とか、交通安全教育のように誰にでも理解できる コミュニケーションが日本にほとんどないということではないでしょうか。  もう1つ、私はこの委員になり、発言したいなと思ったのは、食育こそリスクコミュ ニケーションなのです。参加して毎回学習しているのは、リスク管理、リスク分析、リ スクコミュニケーションは予防が原則であり、消費者の健康保護であることと、独立性 を保つということです。この3原則が日本でも欧米並みに行き渡れば、食生活ジャーナ リストが担当するコラムやページが確立され、もっと国際会議に出席するだろうし、そ ういう会議が日本でも開かれるし、食の安全とかリスク国際会議も国内で主催されるで しょう。私たちはこういうことがもっともっと大衆の目に触れ、日常会話になるような 活動をしなければならない。  交通安全教育は交通リスク教育ですから、それと比較するとわかりやすいのではない でしょうか。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」みたいなことを繰り返していても仕 方ない。これを機会に「リスク」についてみんなで考え、責任を分担したいと思います 。  私は先頃の懇談会でいいましたけれど、アメリカは毎年9月の1カ月間が食の安全教 育月間、3月の1カ月間が食の栄養教育月間です。それはもう20年ぐらい前からやって いるわけです。例えば、「食品安全には休日も祭日もない」というスローガンは誰でも 知っています。「Food safety takes no holiday. 」という言葉はアメリカ人の30〜50 %は知っているんじゃないでしょうか。小学生でも幼稚園児でも。私たちは、リスクコ ミュニケーションを大衆路線の国民的大運動として、小さな親切運動と同様、何かやる べきです。私は、交通安全運動の10倍、食の安全運動が必要だと前から思っています。 ○岩渕委員   資料要求をお願いしたいと思っているのですが。役所の役割分担というのをいただき ましたけれど、非常に大ざっぱでわけがわからないというのが正直なところです。先ほ どからの議論の中でも、何がリスク分析であるかという、そのこと自体すらはっきりし ないというのが日本の現状であることは、これはやむを得ない部分もあります。  しかし、事ここに至りまして、リスク分析に関する勉強を少なくとも我々はしてきた わけで、役所側も大分理解が進んできた中で、では、一体、日本のリスク分析がどうい う実態になっているのかということについて、もう少しわかりやすい説明が欲しいと思 います。  その場合に、官庁文学で説明されてもわかりづらいところがありますので、端的にわ かりやすいと思いますのは、それぞれの部や課の中でどういった仕事をやっているのか という説明、それは基本的なことで当たり前の話なのですが、そのことに関する説明と いうのは我々は受けていないし、よく理解していない部分があります。  それから、それぞれの部とか課とか係がどういった人たちでどのくらいの人数で構成 されているのか、どういう権限をもってどんな仕事をしているのかというのを、少なく とも食に関する限りはそんなにたくさんはないと思いますので、そのことを少しわかり やすく説明していただきたい。そういう資料が欲しいということです。  なぜそんなことを申し上げるかといいますと、役所側も、あるいは我々も頭の整理を して、日本におけるリスク分析というのが、現状がどのレベルにあるかということを一 旦とりあえず確認したいと思いますし、これからそれを深めていくにはどのようにした らいいのかという、物を考える1つの手がかりになるのではないかなと思います。  もう1つ、これが一番大きいのですが、これから先、行政システム、あるいはリスク 分析、その他のことを考えていく場合に、今どういうスタッフがいるのかというのを知 っていないと話にならないと思います。理念的な物の考え方は大事ですが、現実的に割 り振りするときなどは、行政改革の時代でもありますし、当然ながら国民は焼け太りと かといったことも懸念しているわけでございますので、そういった疑念を晴らすには、 きちんとした我々なりの意見をまとめないといけないと思います。  その前提条件として、今、マンパワーとしてどういう人たちがどこにどれだけいて、 どんな仕事をしているのか。それを知るのが一番基礎の基礎であろうと思います。その 間の資料が今まで出ていなかったというのは、要求しなかった我々の方が悪かったと反 省しております。  その内容でございますが、役所でいいますと、安全対策、消費者保護、情報公開、こ ういったことが絡んでくるのではないかと思います。それでお願いしたいのは、その関 連する部署だけでもちろん構いませんが、内閣府、農林水産省、厚生労働省、環境省、 そして経済産業省も絡んでくるのではないかなと思います。  しかも、なおいえば、産業振興を担当しながら、なおリスクマネージメントもやって いる部局が結構あると思います。そういうところが、例えば肉骨粉の扱いなども、ここ は権限をもってリスクマネージメントをやりながら、しかも、リスクコミュニケーショ ンをどうしたのかというところまでわかるような、どういう仕事をしているのかという のを説明する形での資料をいただけないかなと思います。 ○高橋委員長   私からもぜひお願いしたいと思いますが、今の岩渕委員のご要望は食にかかわるもの だったわけですけれど、食にかかわらない、両省の危機管理に対する対応、あるいはシ ステム等もあわせて資料を提供していただければと思います。 ○加倉井委員   質問したいのですが、今までの農水省、厚生労働省と違った独立の食品安全に関する 機関を設ける気があるかどうかを、農水省と厚生労働省の両方の方にお聞きしたいと思 います。どうしてそういうことをいうかというと、今まで現実の問題として、リスク評 価とリスク管理を同じ官庁がやっておりました。それがどういう結果になったかという と、リスク評価をして、何か危ないものが出たら規制をするというように規制のことを おっしゃいますが、いいかえると、実はお金がかかるんですよね。リスクを評価すると お金がかかると考えたらいい。そうすると、お金を誰が負担するかという問題が出てき て、当然、政治的な圧力がそこへ入ってきます。  ですから、今までの実績でいいますと、リスク評価をして、何かあったのだけれど、 出さないでおいて、リスク管理ができるような体制をとってからリスク評価が出てくる 。本当は具体的なことをいってもいいのですが、それをいうと問題になりますのでいい ませんが、大体そういうやり方なんですよ。ですから、分離するということが1つの案 ですし、ヨーロッパでもそういう流れが出たのだと思います。それに対して、農林水産 省、厚生労働省はどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ○高橋委員長   自由民主党のどこかの部会でも、食品安全庁をつくるといった案が出ているという新 聞報道も出ておりますが、それはさておいて、今のご質問について、これはやはり両官 房長から一言ご意見をいただければと思います。 ○農林水産省武本企画評価課長   その前に、ちょっとよろしいでしょうか。先ほどの高橋委員長のご発言の中にもあり ましたし、今の加倉井委員のご発言の中にもありましたが、今の厚生労働省と農林水産 省の業務の分担、あるいは設置法上の権限からいいますと、食品の安全性に関するリス ク評価というのはどこがやるかというと、それは厚生労働省がやるという整理になって いるわけです。ですから、昔でいえば食品衛生調査会というところが専門家を入れてや る。そのやり方がどうかというのは、立場、立場でいろいろ議論があるのだろうと思い ますが、そういう形になっているということがまず第1点であります。  そういう意味でいえば、農林水産省が食品の安全性についてのリスク評価をするとい う業務は、基本的にはもっていない。それに近いものとして、飼料の安全性については もっているかもしれませんけれど。今はそういう整理になっているということをぜひご 理解いただきたいと思います。  ですから、評価と管理をはがしていくというふうにおっしゃっていますが、独立させ るという意味でいうならそうなのかもしれませんけれど、今の役所の構成が、農林水産 省が食の安全性のリスク評価もやっているし、産業振興的な部分を含めたマネージメン トもやっているから、そこは分けるべきではないかという議論の立て方をされますと、 ちょっと正確ではないのではないかなという感じがします。  それから、厚生労働省の立場からいえば、それは私よりも吉岡課長が言った方がいい のかもしれませんが、リスク評価とマネージメントはそういう意味では厚生労働省とい う大きなくくりの中では一体ですけれど、厚生労働省自体についての例えば食品産業を 振興していくとか、農業を振興していくという役割は与えられていませんので、その部 分に関していうと、同じ省でやっているわけでは今のところないわけです。それが設置 法とかいろいろな法律制度上の整理になっています。事実としてはまずそういう関係に あるということを申し上げておきます。 ○厚生労働省戸苅官房長   厚生労働省の官房長でございます。基本的には、今、農水省の企画評価課長が申し上 げたようなことだと思います。要するに、産業の振興と当該産業の運営なり結果たる製 品なりの安全の確保、これは切り離した方がいいだろうというのが基本かなと思ってお ります。従来、薬害エイズのときに、薬品の製造の振興と製品たる薬品の安全の確保と 、ここを薬害エイズ事件を教訓に分離をしたわけです。担当の局を健康局と医薬局とに 分けたわけです。  基本的には食肉の振興と食肉の安全は省レベルで分かれているわけですから、今回、 BSEの問題が起きてしまったということは、むしろ分けているということの問題では なく、分かれたそれぞれの省庁の連絡・連携にどうも問題があったという方が大きいの ではないかと基本的には思っているわけであります。  ただ、先ほど来のお話で、リスクの評価とリスクの管理、このあたりをどのような関 係で考えるのかというご議論があるわけですが、それは今でも厚生労働省の中では、リ スクの管理を行っているのは省の担当者が行っているわけですけれど、リスクの評価は 、今、座長の方から関係業界も入っているではないかというお話がありましたように、 関係業界も入っているケースもあるわけですが、第三者の方々からなる審議会等でいろ いろご議論いただいているということだろうと思います。ただ、その審議会の機能があ くまでも受け身になっているのではないか、もう少し前向きな審議会の運営があっても いいのではないかというお話は確かにあるだろうと思います。  基本的には、産業の振興とその結果である製品等の安全規制は分離した方がいいので はないかというのは我々も考えておりまして、今でも分離されているわけですが、その 上で、両者の連携漏れのないように、あるいはそれぞれがタコつぼにはまり、あるいは 縄張り意識で何となく意地を張り合って連絡が悪くなってしまう、そういうことのない ようにするにはどうしたらいいか。そういうことが重要なのかなと思っております。 ○農林水産省田原官房長   農林水産省の官房長でございます。率直なところを申し上げますと、先ほどの加倉井 委員のご質問の件というのは、私どもとしては非常に答えにくい分野でございます。と 申しますのは、私どもは権限が自由自在にあるということではなく、基本的には、国家 行政組織に基づきます各省庁設置法に基づきまして、大臣に権限なり任務が与えられて いる。それを私どもがそれぞれ分担するという関係でございまして、私どもが自由自在 に白地に絵をかくように、こういった権限をとりたいとか、あるいはこういった権限を 離したいといったことをこういう場で申し上げるのは、極めて不適切ではないかという のが私どもの感じでございます。  むしろ、だからこそ、先ほど厚生労働省の官房長も申されましたが、縦割りの弊害と いうことに端を発しました今回の問題、こういったことにつきまして、ともすればタコ つぼに入りがちな私どもだけでは、こうした組織の問題についての発想も限界があるの ではないかということで、両大臣の諮問機関ということでお願いしているわけでござい まして、むしろ外部の方々からそういった問題点等につきましていろいろとご提言をい ただきながら、私どもはそれを受け、この後、政治過程が法律改正ですとか予算要求と いったことで続いていくわけでございますが、そういったことを受けながらそういう過 程に乗せていくというのが、私どもの基本的な役割ではないかと考えている次第でござ います。 ○高橋委員長   その前に、企画評価課長が言われたことをもう一度復習をしてみますと、リスク評価 は厚生労働省である、リスクマネージメントは両方でやるというお話ですが、例えば、 EUからのステータスの評価がございましたけれど、その時に厚生労働省では、「これ は肉骨粉の問題だから」ということで避けられたわけですね。ところが、結局、リスク 評価というのはそこに原因があるとすれば、当然、それについてくちばしを入れるべき ではないか。あるいは、今後、そういうくちばしを入れることができる体制がとれるの かどうか。その辺はいかがでしょうか。 ○農林水産省武本企画評価課長   こちらがお答えするのがいいのかどうかわかりませんが、先ほど、資料2で、今回、 注意喚起という意味で厚生労働省のところに※印で、「飼料について、厚生労働大臣は 公衆衛生の見地から農林水産大臣へ製造等に関する基準等の設定等に関し意見を述べ、 又は要請することができる」ということでありますので、人の健康にかかわるようなこ とについて責任を負っている厚生労働大臣が農林水産大臣に対して意見を述べ、あるい は「こういう行為をすべきである」と要請ができるというシステムはできているわけで す。  さらにいえば、先ほども申し上げましたように、各省間の政策調整も、中央省庁等改 革基本法によれば、単なる消極的な調整ではなく、積極的に提言を言えとか意見も言っ ていけという形の規定があるわけでありますから、そういうシステムもできているわけ です。  ですから、そういった中でこれまでのことを踏まえれば、私の方から申し上げたのは 、組織再編をしてマネージメントをかなり一元化したイギリスの場合であっても、覚書 というものを結んで両省間の調整をしていこうということを決めているわけですから、 それが私どもにとっても重要な対応の方向の1つになるのではないかと申し上げており ますので、それが絶対だとはいいませんが、少なくとも検討に値するテーマではないか なと思っております。 ○厚生労働省尾嵜食品保健部長   委員長のご発言について、若干ご説明をさせていただきたいと思う点がございます。 老婆心で申しわけございませんが、1つは、リスク評価をどうしているかということで ご議論がございました。それで、農林水産省の課長からのご説明があったとおりであり ます。ただ、流通する食品という形になったものについての安全性リスク評価というの は厚生労働省、というご理解をきちんとしていただきたいと思います。その前の、例え ば家畜伝染病の発生のリスクとか、あるいは稲をつくっている過程などでの被害とかリ スクとか、いろいろな立場、立場のリスクというものがあるわけでございまして、そう いう意味では農林水産省ももちろんリスク評価をなさっている。そこのところはご理解 いただきたいと思います。飼料というものについてのリスク評価は、当然ながら農林水 産省はおやりになっているということが1つございます。  ですから、リスク評価というのはそれなりにそれぞれ省庁の中で対応しているという のが実態だと思います。その実態の中身として、私どもの官房長からもお話がありまし たように、審議会で今はリスク評価を主にやっている。その場合に、確かに業界の方も 入っている、あるいは消費者の方も入っている、専門家だけではない構成をとっている 。  例えば、私どもの薬事・食品衛生審議会の方の関係で申し上げますと、分科会や本審 議会のような一番ゼネラルな議論をする場とは別に、遺伝子組み換え食品について安全 性を審査するとか、食中毒関係などについて個別の部会などがありますが、その部会の 下に調査会があり、研究学者の方々によりまして、まず科学的にどうかというところを 私どもはお願いをして報告をいただき、それを部会にかけるわけです。そして、部会の メンバーの中には業界の方や消費者の方など専門家でない方もいらっしゃる。そういう 仕組みで動いているのが私どもの今のやり方の実態でございます。それを動かしている のは厚生労働省の役人だろうと、そういう意味では評価とマネージメントの人間がごち ゃごちゃになってやっているというのも事実でございます。  そういうことでご理解いただければと思います。 ○竹田委員   今後のあり方について意見を申し上げたいと思います。委員会のスケジュールにより ますと、次回は2月26日がフリートーキングとなっておりますが、私は次回は既に外国 出張が入っておりますので、そのディスカッションに加われないので、ここで意見を申 し上げたいと思います。  今回のBSEの問題に関して、3点、非常に大きな問題があると私は理解します。第 1は農水省の対応、第2は農水省と厚生労働省の連携、第3は専門家の意見を汲み上げ るシステムがなかったと理解しております。  第1点については、もう十分に議論されて、いろいろな問題点がこの委員会でも議論 されていると思いますが、第2点の農水省と厚生労働省の連携の問題については、それ ほど深く議論されていないように私は理解しております。  第3点の専門家の意見を汲み上げるシステムがなかった、ないしは汲み上げられなか ったということに関しては、ほとんど議論がされていなくて、例えば、山内先生、小野 寺先生が既に1990年時点からいわゆるリスクアセスメントはしていたという発言がある し、あるいは両先生の書いたものを読みましても、十分にそれはなされていたと思いま すが、それが行政に取り上げられなかった。  この3つが総合して、あるいは複合要素として、今回の問題が発生したと私は理解し ております。  そこで、今後どうしたらいいかということで私の意見を申し上げますと、農水省の対 応ないしは農水省と厚労省の連携の解決として、既にけさの新聞各紙で報道されている ように、総理大臣が食料安全庁のようなものをつくってもいいということを国会で発言 されておりまして、既にこの席でもそういう意見もあったと思いますが、私はそういう ことをしても何の解決にもならないと思っております。  その理由は、食料安全庁をつくって、誰がそこで働くかというと、農水省の出身者と 厚労省の出身者が働いて同じことを繰り返すだけであって、形式的に統合されるだけで はなかろうかと。今日の資料には、イギリスの例、フランスの例等々が出ましたが、そ れぞれの国民性、ないしはそれぞれの省庁の方々がどういうスタンスで働いているかと いうことは何の説明もなく、形式の説明で参考資料として出て、これが官邸に行ったか どうかわかりませんが、総理大臣は統合という意向の表明をされていて、私は今日新聞 4紙を読んでまいりましたが、ほとんどの新聞各紙はそれに対してどちらかというと賛 成的な意見があるわけです。  しかし、それを議論するのだったら、次回、食料安全庁ができたら、両省の出身者の 間で覚書も必要のないような融和した政策ができるのかという担保をぜひとっていただ きたい。それはここに出席されている両省の関係者だけでなく、全職員に担保をとらな い限り成り立たないと思います。  では、どうしたらいいかということを私なりに考えますと、第3点の専門家の意見の くみ上げができていない、あるいはそれを将来するための問題として、私は我が国には 世界に誇るシステムが既にあると思います。それは総合科学技術会議という内閣府にあ る会議です。私は、20数年、国立大学に勤め、10数年、厚生省の直轄研究所の幹部職員 を勤めましたが、国立大学に勤めているときに、文部省、科学技術庁、農水省、通産省 、環境庁等々の科学技術政策というのは極めてばらばらで、何かが起こっても省庁間の 縦割りが出てくるのを、総合科学技術会議ができて、ここに京都大学の元総長の井村裕 夫先生、あるいはノーベル化学賞の白川先生等が常任議員として参加されて、そして、 今、日本の科学技術政策は完全に一本化されていると私は理解しております。そこで出 てきたものは各省庁は聞かざるを得ない、従わざるを得ない形で政策が進んでいて、こ れは私の友人の外国人数人に聞きましても、世界にないいいシステムだと言われており ます。  総合科学技術会議はBSE問題は取り扱っていません。理由は、将来の科学技術のこ とを考えるのであって、現在の国民の健康の問題は考えない――というとしかられるか もしれませんが、少なくとも今この問題にはタッチしておりません。総合科学技術会議 が1990年にあったら、このBSEの問題を取り上げたかといったときに、それを取り上 げるほど余裕はなかったのではなかろうか。  そうすると、健康政策総合会議とでもいいましょうか、国民の健康被害を考える総合 会議を内閣府の中に総理大臣を議長としてつくることによって、今日の議論で、大変問 題になっているリスクアセスメントについて「骨太の方針」をつくっていただいて、そ れを元に各省庁で議論していただくということではどうであろうかということを考えて おります。  こうした考え方がいつできたかといいますと、O-157の問題のときで、私自身は30数 年、O-157を専門としております。O-157の時も農水省と厚生省の間で、今のBSEの ミニ版のようなことが現実に起こっているわけです。しかし、これに関してはこういう 委員会もできなかったし、そのときの経験の反省を踏まえた何の対策も対応も行われな かったのですが、今まさにBSEの議論を数回聞いていまして、このBSEの問題をO- 157と置きかえても、恐らくかなりの部分は同じ問題になっております。  こうしたことを考えたときに、総合科学技術会議のような、総理大臣を議長にした常 設機関、しかもここに勤務している人は省庁とは関係のない専門家で、そこで必要なら ば専門家から成る委員会を作って討議し、権限をもって方策を立案し、厚生労働省なり 農水省におろすことはできないだろうかということを考えました。  例えば、O-157のときに象徴的な出来事がありました。それは、堺の事件はある日出 荷されたカイワレダイコンが原因であるということは、サイエンティフィックに間違い ありません。これを研究発表した人は厚生省の技官です。この席におられます。しかし 、それは報道を中心に全く抹殺されてしまったわけです。そういうときに、本当の意味 合いの科学的なアセスメントをする機関がない限り、厚生省の技官が「カイワレが原因 である」と発表してもその評価が割り引かれてしまう。実はこの成果は著名な国際学術 雑誌に掲載されて、昨年の秋、京都で第4回O-157国際会議で私が会長を務めた時にも 絶賛を浴びているのですが、そのこと自身を国民は知らされていない。そういった意味 合いで、やはり権限をもった専門家の意見を行政に反映できるシステムをつくっていた だくことによって解決ができないであろうかということを考えました。  もしそういうものができていれば、その健康政策総合会議とでもいうべき会議の権限 ないしは任務として、早い時点でBSEの問題を当然取り上げていたのではなかろうか 。そういうことを考えまして、私はこういう提案をしておきますので、次回にぜひとも 討論していただきたいとお願いいたします。 ○高橋委員長   ありがとうございました。次回、ぜひ反映したいと思います。 ○小野寺委員   この前、資料請求をしまして、それに関しての答えが資料8−2の33ページにありま すので、それに関してコメントを少しさせていただきたいと思います。  会議への参加状況についてですが、食肉・食鳥処理問題調整協議会が農水省と厚労省 の協議会ということであって、確かにこういったハードの制度面はできたのですが、開 催回数をみると1年に1回ぐらいですね。もう1つ考えられるのは、平成13年8月21日 というともう既に肉骨粉が話題になっていたときですが、そういうことも特別挙げられ たような形跡もないしということで、制度をつくったけれど、その運用のソフトのこと をもう少し強化されておいた方が今後のためにいいのではないか。将来、どういう格好 になるか知りませんが、そういうことを思いました。  それから、下の方で、厚生労働省の関係の会議で、例えば、技術会議などに参加して いたかどうかという質問をしたのですが、これに対しても、回によっては衛生課が、あ るいは食肉鶏卵課がというように、回によって出る人が違う。これは帰った後にお互い に連絡をちゃんとやっていたのかなと半分ぐらいは思ってしまいます。  それから、牛海綿状脳症に関しては、特にこれからやられるであろうへい死牛のサー ベイランスは動物衛生研究所が中心になってなさると思いますので、そうした場合は上 の方の技術会議の人が厚生労働省とよく連絡をしておいた方がいいのかなと思いました 。 ○藤田委員   関連しまして、先ほどからご説明がありましたように、各国における畜産・食品行政 における役割分担ということで、国によって対応が異なっているし、また、最近の組織 改正でも多少のバリエーションがあるということであります。それぞれの事情がござい ますでしょうから当然だと思うのですが、ただ、その対応を決定した方法というのは別 にしましても、例えばEUのような機関としても、食品の安全性確保と消費者の保護と いう点には非常に重点を置いているという共通点があるのではないかと思います。  一方、今日の論議にもございますが、我が国においても、前回ご説明がありましたよ うに、制度的には各省庁間の調整システムが構築されているということですが、これま では難しい点があったのではないか。  こうしたことを考えると、今後、どういう格好でやるかですが、政策調整に関する実 効性を確保するということについては、関連した事項について討議する、あるいは検討 する共通の場について、これは制度と組織の両面からこの会議でも検討されるのだと思 いますが、どこかそういう共通の場を設けるとしても、英国の例でみられていますが、 少なくとも具体的な事項について3つ必要性があるのかなと思います。  それは、実施についてのマニュアルのようなきちっとしたものができて、そしてその 制度のついて法レベルで了解を得て、さらにその内容について公開性を持たせるという 点に留意を置きながら論議が進められていかなければいけないのかなという感じを受け ております。 次回の日程 ○高橋委員長   ありがとうございました。予定の時間を大分オーバーしました。次回のフリートーキ ングにかかわるようなご発言もかなりございましたので、次回は2月26日ですが、ご出 席できない方はぜひメモを提出していただきたいと思います。 その他 ○高橋委員長   それから、もう1点、これは委員の皆さんとご相談したいわけでございますが、今後 の報告書をとりまとめるに当たって、諸外国の事情について実際にヨーロッパの関係国 や関係機関に赴いて調査を行ってはどうかという武部農林水産大臣からのご発言があっ たそうです。その点についてご説明いただきたいと思います。 ○農林水産省武本企画評価課長   大臣の発言というのは、今、高橋委員長からあったとおりでございまして、昨日の朝 、農林水産大臣から、3月中にBSE問題に関する調査検討委員会が今後のあり方につ いて報告するに際し、その報告をまとめる前に委員会のメンバーの方々にヨーロッパの 、――大臣が言ったとおりに申し上げますと――、WHOなりOIEその他のところに 行って、BSEの対策、あるいは組織再編もあるかもしれませんが、そういったものを 実際に調査をしていただいて、とりまとめをしていただいたらどうかということで、委 員の皆様にお諮りして欲しいというのが、大臣の私どもに対する指示でございます。 ○高橋委員長   それでは、これでこの検討委員会を終わりまして、その後ちょっと残っていただきま して、調査といってもそんなに日程はございませんが、皆様お忙しくて予定が入ってお りますので、果たして可能かどうかということも含めて協議していきたいと思います。 ○岩渕委員   時期的にも政治的な忖度がされるというのも、私どもとしても配慮しなければいけな い部分もあるのではないかなという懸念を持っています。しかも、調査ということにな りますと、これは当然ながら国民の税金が出ると思われますので、国民は厳しい目で見 ていますので、今、説明のあった範囲内ですと、例えばEUはどうなのか、あるいはイ ギリスはどうなのかというところがよくわかりません。それは今後の詰めがあるとは思 いますが、間違っても、甘い話だったら乗るわけにはいかないということだけははっき り認識しておいていただきたいと思います。  そして、なおいえば、調査することによって両省に対しては我々の目が甘くなること は決してなく、さらに厳しくなることは覚悟しておいていただきたいと思います。その つもりで今後の計画なりを立てていただきたいと思います。 ○日和佐委員   資料提供に関してですが、食品衛生法の改正についての請願についての中身は今日ご 紹介がありました。日本生活協同組合連合会は私どもの会員なのですが、この請願に基 づいて、具体的に食品衛生法を研究してそれをまとめた冊子が発刊されておりますので 、今後のことを考える上でも資料としてそれを提供していただくということをお願いし たいと思います。 ○厚生労働省吉岡企画課長   資料の中身をもう一度確認をさせていただいて、委員長ともご相談をさせていただき ます。 ○高橋委員長   具体的な条項の改正案のような、素案のようなものができているわけですね。 ○日和佐委員   はい。 閉会 ○高橋委員長   それでは、大分時間が延びましたが、委員の皆さんにもうちょっと残っていただいて ヨーロッパ視察のことをご相談したいと思います。では、これをもちまして第6回のB SE問題に関する調査検討委員会を終わらせていただきたいと思います。どうもありが とうございました。                                   ――了―― (照会先:食品保健部企画課、内線2455,2450)