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第7回BSE問題に関する調査検討委員会の概要について<暫定版>

(平成14年2月26日)

1.委員の出欠

 委員10名中6名が出席
 (欠席者・・・小野寺委員、加倉井委員、砂田委員、竹田委員)。

2.遠藤農林水産副大臣挨拶

3.資料説明と質疑

○資料一覧
資料1 1990年〜1991年頃の国際機関の報告等
資料2 科学運営委員会(SSC)、海綿状脳症諮問委員会(SEAC)の組織
資料3 食品の安全に関連する農林水産省及び厚生労働省の組織等
資料4 地方における畜産・食品衛生行政について
資料5 主要国における「食品安全性に関するリスク分析」について
 (リスク評価・リスク管理を担当する組織)
参考配布
1. 主要国の畜産・食品行政における役割分担(第6回委員会提出資料)
2. 日本の畜産・食品行政における役割分担(第6回委員会提出資料)
3. 主要国及び日本の畜産・食品行政組織(第6回委員会提出資料)
4. 食品安全性に関する「リスク分析」について(第6回委員会提出資料)
5. 世界の牛海綿状脳症(BSE)の発生状況と主要各国及び我が国の対応について(第6回委員会提出資料)
6. 牛海綿状脳症(BSE)感染牛の発生に係る対応の経緯について(第6回委員会提出資料)
7. 現時点までのBSEにかかる各国の対応(第6回委員会提出資料)
8. 「BSE問題に関する調査検討委員会」における委員の主な御意見(第1〜6回)の概要
9. 小野寺、砂田委員からの資料
10. 第6回BSE問題に関する調査検討委員会における委員御指摘に関する資料
11. 1990年前後のBSEに関する主要論文

 関係資料について事務局からの説明後、質疑等が行われた。その中では、次のような御意見・御質問があった。

・ 90年〜91年頃の国際機関の報告等について、前回、私が指摘したのは、OIEのミーティングレポートにおいて、「BSEの存在していない国でのBSEの発生防止」として、「反すう動物由来のたん白質を反すう動物に飼料として与えることについての政策、条件を見直すべきである」という勧告(資料1の13ページの3)の部分があるが、これに対して我が国はどういう対応をしたのかということである。この点について回答がなされていない。
・ 以前実施したアンケート調査で、前任者からの引き継ぎについて必ずしも全て引き継がれていないとの調査結果があったが、(OIEのミーティングレポートなど)このような重要な資料は、前任者から引継があったのか。
・ 参考配布11にある90年当時の論文では、BSEは10年くらいで消滅するとの記述があり、危険性について強調されていないが、この論文は、人への危険性が問題となる前の89年頃の状況(この当時は英国でも楽観的であった。)に基づいており、必ずしも90年における世界の情勢を反映しているとは言えない。
・ 農林水産大臣、農林水産事務次官が総理大臣に面会したとの話があったが、どのようなことを総理大臣に報告したのか聞きたい。この委員会が検討する前にどんどん話が先に進んでいるのではないか。
・ 厚生労働省では、今までの経緯もあり、健康危機管理に関する体制がそれなりに作られているが、この機関では、96年にBSEが人にうつるというニュースが出た段階でどのような対応をしたのか。
・ 90年〜91年頃の国際機関からの報告について、当時として我が国はどのような評価をしたのか知りたい。
・ ここからは、本日の資料を離れ、当初予定していたフリーディスカッションとして、報告書をまとめる論点について御議論いただきたい。
・ 食の安全の議論が中心であるが、食材となる家畜の健康も考えるべき。これまで家畜衛生の視点での議論がされていない。家畜伝染病予防法は、公衆衛生の視点が欠けていて、例えばO-157が入っていない。OIEの国際動物衛生規約では、動物もしくは人に病気を起こす病原体を対象としているが、日本ではそうなっていない。そういう面での家畜衛生の問題がある。
・ グローバリゼーションの時代に家畜衛生の重要性が増していることを認識すべきである。英国では、BSEの対策の結果、と畜場を集約したことが、口蹄疫の大発生につながった。今BSEで騒いでいる間に口蹄疫など他の家畜衛生の問題に跳ね返ってくる恐れがあるので、家畜の健康という視点をとらえて考えて行かなければいけない。
・ リスクアセスメントについては、組織を独立するかは今後詰めていく必要があるが、機能的に独立することについてはほぼ委員の合意はできていると解釈している。リスクマネージメントについては、BSE発生後の両省の連携のまずさを反省して、どういう形で進めていくかであるが、新聞報道などでは食品行政の一元化といった意見もあるが、その点について意見をお願いしたい。
・ 英国でBSEが発生した86年の状態を考えると、当時英国では農漁食料省が食品衛生からと畜場まで一元化して担当していたが、最初は動物の健康対策を行い、人の安全対策は1年半遅れた。BSEの発生の状況や危険性の情報を保健省に伝わるのが遅れたためである。その後、90年にSEACが保健省と農漁食料省の合同の委員会として作られ、そこで研究者が特定危険部位の除去等人への安全対策を考えた。こういう英国の経験を踏まえた上で我が国でどのようにやっていくかを考えるべきであり、簡単に一元化という議論ではない。少なくともリスク評価は専門家がやるべきであるが、リスクマネージメントの一元化は、改組を行った諸国の現状はどうであるか、過去はどうであったかの検証をじっくりやるべきである。
・ どのようなシステムを作るべきかという組織論から入るのではなく、食の安全に関してどのような考え方を持つべきかといったところから入るべき。
・ 一番大事なのは、リスクアナリシスシステムを取り入れていかざるを得ない状況にあるということである。リスクアナリシスの考えを入れるに伴い、当然予防原則の考えが入るし、リスクコミュニケーションとの関係では情報の開示という考えが入る。また、何よりも優先されるのは、消費者保護のプライオリティをきちんと位置付けることであり、その中では当然消費者の参画という考えが入ってくる。そのような基本的な考え方を話し合い、合意した上で、その考え方を導入するにはどのような組織が必要かということで話を進めていくべきである。
・ 私も同様の進め方をすべきと考えている。最初に大命題として何を対象にするか、食品の安全性確保、消費者保護、食品の品質確保などと思うが、これをまず決めることが必要。次に組織よりも制度を先に考え、1点目は食品の安全管理の制度、2点目はリスクマネージメント、リスクコミュニケーションであるが、それを踏まえるとどういう組織が妥当かを諸外国の実態を踏まえ絞り込んでいくことで議論を進めた方がよい。その背景には、生産者と消費者の信頼度の維持向上、今後要求される国際的な対応を的確にすることを前提とした両省の連携などもあるが、改善する項目、大命題をどこに絞るかをまず決めるべき。
・ 新しい組織の話などがマスコミなどに出て議論になっているが、あくまでも消費者の健康保護を第一の基本に据えて、今後の食品安全行政がどうあるべきかをまず考えるべき。その上で組織、制度がどうあるべきかを議論すべき。
・ 食品の安全を考える場合、BSEだけの問題でなく、感染症、ダイオキシン、内分泌かく乱物質などいろいろ問題が出ている。この委員会のメンバーはBSEを入り口として食品の安全を検討しているが、組織の具体的な絵を描くまでは無理である。そういうメンバー構成にはなっていない。
・ はっきり言えるのは、リスク分析を制度として入れることが大事である。リスク評価は不十分かもしれないがある程度できているが、リスク管理は消費者も加わって議論する形にはなっていない。行政内部で、社会、経済、政治などを配慮して判断することになってしまっている。何かあると審議会で答申が出ているということを言うが、審議会がリスク管理を行う場になっているかどうか疑問である。
・ どういう組織・システムを作るかは先の話であり、まずリスク評価とリスク管理をはっきり分離することが必要。また、情報公開を徹底して、政策決定がどういう経緯でなされているかをはっきりさせることが必要。
・ (資料5の3ページによれば、食の安全について)農林水産省はリスク評価を担っていないということか。
・ 3委員から発言があったが、賛成であり、そのような形で議論を進めるべきである。
・ リスクマネージメントはそれぞれの場でそれぞれの役所がやっているが、消費者保護、情報開示がどの程度なされているかがわからない。特に消費者保護は業界振興との関係をどのように考えていくか難しい点もある。消費者保護、情報開示は、言いっぱなし、聞きっぱなしであればいくらでもできるが、具体的に反映されるようにするにはどうすればよいか。現時点ではそのような素地すらないことを懸念している。
・ 食の安全確保など消費者保護、情報開示、政策のサーベイランスなどの機能をどこに持たせるか。どこかにそのようなシステムを持たせることについては委員の意見が一致していると思う。どういう組織を作るか決め打ちは難しいかもしれないが、こうした機能をどこかの組織が責任を持って果たせるような形での組織の考え方を報告書に盛り込む必要があるのではないか。
・ 過去の行政対応を検証することにより問題が明瞭になり、その問題を解消していく場合の理念が何であるかといった方向性を出すことにより、自ずと次の展望が出てくるのではないか。ただ、その展望については、我々は必ずしも詳細なところまで答えを出す準備がない。我々は方向性を提示した上で、何らかの機関・組織で、消費者を含めた形で、詰めていくということが必要になると考えている。その過程で、EU委員会で、理念・組織の変更の基礎となった食品安全性白書を作っているが、我が国でも、農水省、厚生省などが参画しながらそのようなものを作るというのがスタートになるかもしれない。
・ これまで調査してきたことの問題点を報告書に書くべきである。それは大きく分けると、3つか4つに分かれる。1つは、90〜96年までであるが、これについては、今日資料が出てきたばかりなのでどの程度書きこめるか不安がある。2点目は、BSEが人にうつるということが確認された96年であり、WHO勧告を巡る我が国の農林水産行政、食品行政の問題点があげられる。3点目はEUのステータス評価を巡る問題点であり、これは消費者としても大きな課題と考えている。もちろんEUのステータス評価によってBSEの発生をくい止められたという状態ではないと思うが、あの評価をキチンと受け止めていれば発生した時にこのような混乱は起きなかったと予想され、そういった点を含め大きな出来事であると考えている。4点目はBSE発生後の混乱した状況である。
・ ここで出てきた行政の問題点としては、1つは政策決定の過程が不透明であり、WHO勧告、EUのステータス評価などへの対応がどうしてそうなったかがわからない。もう1つは縦割り行政の弊害もあげておく必要がある。
・ このような形で委員会で検討した結果をまとめた上で、今後の食品行政として何が必要であるかをまとめていくという整理にすべきである。
・ (過去の行政対応の検証については)今の4つの点の他に、10月18日までの短い期間に全頭検査体制ができたことは評価すべきである。この体制ができた背景としては、1980年代半ばに帯広畜産大学の品川教授がスクレイピーの研究を始め、その10数年間の実績により、1ヶ月間で全頭検査体制を構築することができた。しかし、その研究を始めるに当たっては、1970年代半ばに品川教授がスクレイピーの病原体を研究材料として使用するため、農林水産省に輸入申請したが許可されず、その後1979年に輸入された羊が病原体を持ち込んだことにより研究が可能となったが、あの時にスクレイピーの羊が輸入されていなかったら、おそらく日本は今大変な事態になっていたと考えられる。結果としては全頭検査は素晴らしい行政対応であるが、それが可能になった背景も報告に付け加えるべきである。

4.その他

 高橋委員長より、

・ 欧州現地調査については、3月3日から7日までの間、高橋委員長と岩渕委員が調査を実施する予定である。
・ 坂口厚生労働大臣と委員との懇談会を2月26日(火)午後5時45分から 武部農林水産大臣と委員との懇談会を3月5日(火)午後7時から、それぞれ開催する予定であり、その懇談会自体は非公開とするが、終了後事務局より概要を説明することとする。
ことを報告。

5.次回の日程

 高橋委員長より、第8回委員会は3月14日(木曜日)14時から開催する予定であり、本日に引き続き、「今後の畜産・食品衛生行政のあり方に関するフリーディスカッション」を行うこととしたい旨、発言。

(照会先:食品保健部企画課、内線2455、2450)


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