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第4回年金資金運用分科会議事要旨

1.日時 :平成14年2月12日〈火〉15時〜17時
2.場所 :厚生労働省省議室
3.参加者 :・内海委員 ・大和委員 ・杉田委員 ・高梨委員・福井委員
・吉冨委員 ・吉原委員 ・米澤委員 ・若杉委員

4.議事要旨(○は委員、◎は年金資金運用基金投資専門委員、●は事務局の発言)

《第3回分科会の議事要旨について》
 第3回議事要旨については、配付資料のとおり確認。

1.平成14年度財投債引受について
  平成14年度の財投債引受額等について事務局より報告、特に議論なし

2.平成13年度上半期運用状況について
  平成13年度上半期運用状況について年金資金運用基金より報告、特に議論なし

3.平成14年度の移行ポートフォリオについて(諮問)

(基本ポートフォリオ策定上の前提条件の検証について)
 まず、方法論として、この方法のように超長期の過去25年間移動平均の実績値に基づいて数値を推計すれば、1年分実績値を入れ替えてもあまり変わることはないので、前提を変える必要はないという結論が出ることになる。しかし、過去25年間のリスクプレミアム実績値は高く出ており、そこから高く出た要因を除いて推定すると、個人的な感触としては、基本ポートフォリオ策定上用いられている各資産のリスクプレミアム値は、現在の値より、全部が0.5ポイント程度低くなるように感じている。
また、そもそも論ではあるが、25年間の移動平均という手法を用いて算定した数値から5年ごとの予定利率を出して、財政再計算や毎年度の財政検証をしても合わないのは当然で、どのように整合性を保ちながら検証を行うのかという問題がある。
 この検証の結果は、物価上昇率や資産のリスクプレミアムが、それなりに許容範囲におさまっており、直ちに基本ポートフォリオを見直さなければならないような変化は見受けられない、ということを示しているもの。今後の経済や市場の動きによっては、大きくこれらの値にも影響が出始めることもあり得る。
 また、25年間の移動平均という手法と5年ごとの財政再計算や毎年度の財政検証との間の整合性が保ちうるかどうかは、非常に難しい問題であるが、これから、分科会において御議論いただきたいと思っている。当面は、9月頃に行う平成13年度の年金積立金の運用結果を踏まえた財政検証に向けて、御指摘いただいた点をよく踏まえて検討していきたいと考えており、分科会でも御議論いただきたい。平成16年度までに行う財政再計算においても、積立金そのものの運用の在り方を検討する中で、御指摘の点も考えていくことになる。
 経済財政諮問会議に提出された中期展望の数値を考慮すると、実質経済成長率や物価上昇率の数値が若干高めではないかという感じがする。更なる検討が必要ではないか。
 現在の状況が、過去と全く違うという場合には、まず、現実を押さえた上で、フォワードルッキングで、例えば、実質GDPを1%とおいて、資本係数や労働分配率を用いてどのくらいROAが維持できるのか、レバレッジで株式でどのくらいROEが出てくるのか、などを見る必要があるのではないか。実質金利に関しても、マクロ的にグローバルなマーケットでの実質金利などを押さえて、もう一度見直す作業も必要なのではないか。そうは言っても、リスクプレミアムがそう変わらなければ、ポートフォリオはほとんど違ったものにはならないのだが、説明方法として、もう少しマクロ的な要因を入れてフォワードルッキングな方法で計算した方が説得力があるのではないか。
 また、運用利回りというのは、実質的な運用利回りを達成していればよく、4%をどうしても狙わなければいけないというものではないが、国民の方は、それをほとんど理解していない。ここについては、もっとリーズナブルな数字を用意した方が、年金の信頼性を高めることになるのではないか。
 私どもも、現在の経済の状況、将来の見通しについては、懸念を持っており、移行ポートフォリオの作成を行うに当たっても、その状況をどうとらえるべきか、真剣に議論を行った。そのため、このように、一番大きな要素であると考えられるリスクプレミアムについて基本ポートフォリオの策定の過程を考慮して検討を行い、その結果、直ちに今、来年度の移行ポートフォリオの前提を変える必要はないという状況認識を持った次第である。ただ、現在、様々な大きな変化が生じていることも事実であり、この分科会においても、公的年金の負債のとらえ方、そして、財政再計算や財政検証の方法といった、将来に向けた議論も同時に行っていただきたいという前提の下に、この結果を御説明した次第である。
 今は、大変な経済情勢である一方で、議決権行使を通して企業を変えていこうというような動きもある。そういった、現状を打開するような動きも絶えずウォッチしていくことが大事である。
 将来を予測することは難しいので、過去のデータを使用するしかないと思うが、例えば、過去10年のデータに基づいてポートフォリオを組み、その収益率を試算するといった試みも考えられる。
 25年というのは、取り得る一番長い過去のデータではないかと思う。5年や10年のデータに基づき、頻繁にポートフォリオを変更するのではなく、超長期で考えるというのが、基本ポートフォリオの考え方。そういう意味では、過去25年に大きな変化は見られないので、当面変更は行わないという説明は妥当である。
 リスクプレミアムというのは、投資家が、これくらいの利益があるなら、これくらいのリスクをとってもいいというコンセンサスにより形成されるもの。これは、あくまでも未来のことであるため、本来は過去のデータから計測できないものである。過去のデータがマイナスというのは、事後データであるためそのような結果が出てくるのであるが、本来あり得ないはずのもの。我々の知りたいのは、まさに、未来のことであるが、その未来のデータがなかなかとれないので、過去のデータに依存しているわけであり、過去の何年であれば代表的な数値であるなどとは必ずしもいえない。本来、リスクに対して、どれだけのものを投資家が要求するか、又はこの収益であれば、リスクが大きいと見るか小さいと見るかは、株価水準で変わってくるものである。現在は、リスクに対して、皆が非常にセンシティブになってきたため、リスクに対して高いリスクプレミアムを要求するようになっており、そのために株が下がっている、という考え方もあると思う。やはり、リスクプレミアムの変化があるかどうかの検証を行うことが重要ではないか。これは、企業の1株当たりの利益の将来の流列を予測して、それを何らかの形で割り引くような形で行うのではないかと思う。企業利潤やGDPといった分子の部分も大切だが、まさに分母の部分である割引率がリスクプレミアムの関係で重要である。

(移行ポートフォリオの公表について)
 移行ポートフォリオの公表については、市場の共通情報として透明にするのが筋であると思うので、賛成である。ただ、公表の時期や方法については、市場への影響に配慮し、検討する必要がある。
 審議会の答申を頂き次第、直ちにその内容を公表したいと考えている。また、その後、答申を受けて厚生労働大臣が策定する移行ポートフォリオも年度内に公表したい。
 郵貯、簡保の資金投入計画の発表が既に行われているが、その際、市場への影響は特段なかったと思われる。そういう面でも公表することに問題はないと思う。

4.特殊法人改革等について
  「特殊法人整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)について説明、特に議論なし

〜以上〜

〈照会先〉年金局運用指導課
   企画係長  下向(しもむかい)
 TEL 5253−1111(内線3350)
 夜間  3595−2868


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