02/01/30 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成14年1月30日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年1月30日(水) 14:00〜   医薬品医療機器審査センター第2会議室 2.出席委員(13名)五十音順  ◎池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 上 原 至 雅、 川 嵜 敏 祐、   小 池 克 郎、 後 藤   元、 小 室 勝 利、 菅 谷   忍、   早 川 堯 夫、 藤 上 雅 子、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、   吉 村   功 (注) ◎部会長 ○部会長代理   他 参考人1名   欠席委員(4名)   垣 添 忠 生、 神 谷   齊、 木 村   哲、 溝 口 昌 子 3.行政機関出席者   池 谷 壮 一(審査管理課長)、    豊 島   聰(医薬品医療機器審査センター長)    姫 野 孝 雄(医薬品医療機器審査センター企画調整部長)、    平 山 佳 伸(医薬品医療機器審査センター審査第一部長)、   山 本 弘 史(医薬品医療機器審査センター審査第二部長)、   橋 爪   章(医薬品医療機器審査センター審査第三部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、医薬品第二部会を始めさせていただ きます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。後で もう一名いらっしゃることになっておりますが、当部会委員17名のうち現在11名の御 出席をいただいておりまして、定足数に達していることを御報告させていただきます。  審議に入ります前に一つ御報告させていただきたい件がございます。医薬品第一部会 の部会長をお務めいただいておりました黒川委員が御退任されまして、当部会の河村部 会長が第一部会の方にお移りになられました。後任としまして、東京大学の木村教授に お願いをしております。本日は木村先生は御欠席ということでございます。  河村先生が異動されましたので部会長を決めなければいけないのですが、薬事・食品 衛生審議会令第七条の規定で、部会長は正委員の互選で選任するということがありまし て、あらかじめ正委員の先生方の間で池田先生を部会長に選任するという結論に至って おりますので、ここに御報告させていただきます。  それでは池田先生、部会長席にお願いいたします。 ── 池田委員、部会長席へ移動 ── ○審査管理課長 それでは先生、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ただいま御紹介にあずかりました慶応義塾大学医学部内科の池田でござ います。医薬品第二部会という非常に大切な部会の部会長ということで、身の引き締ま る思いでございます。前任の河村信夫部会長は非常にスムーズに会を進行されまして、 軽妙な司会をされていたので、私はその後を引き継ぐということですが、是非先生方に はこの会がスムーズに、そして厳正な審査を行えるように御協力をお願いしたいと思い ます。どうぞよろしくお願いいたします。  審議に入る前に、薬事・食品衛生審議会令の規定によりまして、部会長が部会長代理 を指名することになっております。私といたしましては、部会長代理には引き続き堀内 委員にお願いしたいと思いますが、堀内先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いし たいと思います。それでは先生、こちらの方へお願いいたします。 ── 堀内委員、部会長代理席へ移動 ── ── 菅谷委員着席 ── ○池田部会長 それでは早速本日の議題に入りたいと思います。まず資料の確認と資料 作成に関与された委員の報告を事務局の方から行っていただけますでしょうか。 ○事務局 それでは事務局より資料の確認をさせていただきます。資料1〜6までがあ らかじめお送りした資料でございます。本日の席上配付資料といたしまして、資料7は A4横でございますが、本日審議される品目の概要でございます。審議の際に適宜御参照 いただければと思います。また資料8は専門委員のリストでございます。それ以外に座 席表、議事次第、本部会の委員名簿は番号が付いておりませんが、それぞれ一枚紙で配 付されております。それから追加資料として本日席上配付させていただきました資料3' は議題3に関係いたしまして、以前お送りした資料の差し替えでございます。本日の審 議の際にはこの資料3'を御参照いただければと思います。  それから平成13年1月23日の薬事分科会申合せに基づき、資料作成に関与された委 員の確認でございますが、議題1の医薬品ガチフロキサシンにつきまして、後藤委員が 資料作成に関与されております。後藤委員には議題1の審議では席を外していただき、 現在別室で待機していただいております。議題2から審議に御参加いただくことになり ます。  なお、専門協議に御参加いただきました専門委員といたしまして、議題1のガチフロ キサシンについて、帝京大学医学部の斧康雄先生に御出席いただくことになっておりま す。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。資料の御確認はよろしいでしょうか。特に不 足している資料がございましたら、御連絡いただきたいと思います。  それでは審議に入りたいと思います。本日は新医薬品の承認の可否などの審議事項が 4件でございます。まず審査センターから議題1の審査の概要を説明していただきまし て、後ほど専門委員として御出席いただきました斧先生から御説明をいただくことにし たいと思います。審査センターの方から医薬品ガチフロキサシンにつきまして、よろし くお願いいたします。 ○事務局 資料1のガチフロキサシン、ガチフロ錠100mgの承認の可否等について、審 査センターより説明させていただきます。ガチフロキサシン水和物は杏林製薬株式会社 において合成、開発された新規の経口ニューキノロン系抗菌薬であります。一般に従来 の経口ニューキノロン系抗菌薬は幅広い抗菌スペクトルを示すものの、肺炎球菌等のグ ラム陽性菌への抗菌力が十分でなかったことから、グラム陽性菌に対する抗菌力増強等 を目的として本薬は開発されました。米国のブリストル・マイヤーズスクイブ社及びド イツのグリュネンタール社に導出され、海外では米国、ドイツを始め現在13か国で承認 されております。 本薬の専門委員としては、相川委員、井上委員、奥村委員、斧委員、折笠委員、澤委員、 谷本委員、塚本委員、貫和委員、林委員、渡邊委員を指名いたしました。  規格・安定性、毒性、薬理、ADMEについては、特段の問題点はないものと審査セ ンターは判断しました。  有効性については、慢性気道感染症、肺炎、複雑性尿路感染症を対象とした三本の二 重盲検比較臨床試験において、対照薬であるレボフロキサシンとの非劣性が統計学的に 検証され、内科領域、泌尿器科領域、外科領域、皮膚科領域、産婦人科領域、耳鼻咽喉 科領域、眼科領域、歯科口腔外科領域を対象とした一般臨床試験においても、臨床効果 と細菌学的効果において有効性が認められました。  用法・用量については、二重盲検比較臨床試験において対照薬との非劣性が検証され た用量である1回200mg1日2回が通常用量と設定されました。また、眼科領域や歯科 ・口腔外科領域、単純性尿路感染症については、臨床試験の結果から1回100mgを1日 2回で十分であると考えられることから、「疾患・症状により適宜減量する」と用法・ 用量に記載しております。  安全性については、従来のニューキノロン系抗菌薬で問題となっていた光過敏反応が 本薬の国内臨床試験において認められず、また、中枢神経系副作用の発現も認められな かったとされておりますが、参考として提出された海外臨床試験において本薬との関連 が否定できない痙攣が報告されていることから、添付文書には重大な副作用として記載 しております。また、海外臨床試験において血糖値の異常変動が認められ、国内臨床試 験においても有害事象として血糖値が異常変動した症例の発現率が1.9%(21/1079例) であったため、血糖値変動に関しても添付文書に「重大な副作用」の項に記載しており ます。さらに、海外でQTc間隔延長の副作用報告があることから、添付文書には「重 大な副作用」として記載し、QTc延長のリスクのある患者等について慎重投与とする など、注意喚起をするよう指導しております。  以上のような審査の結果、本薬の有効性及び安全性は認められると審査センターは判 断いたしました。また、本申請は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は 6年とすることが適当であると考えます。なお、本薬は原体のみ劇薬に該当すると判断 いたしました。また、薬事分科会には報告を予定しております。御審議よろしくお願い いたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは専門協議に御参加されました斧先生 からコメントをお願いしたいと思います。 ○斧専門委員 この薬剤はニューキノロン薬としては我が国で10番目に開発された薬 剤です。この薬剤の特性といたしましては、レスピラトリーキノロンという分類に入る と思われます。レスピラトリーキノロンというのは、呼吸器系のメジャーな病原菌は5 種類あるわけですが、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎クラミジア、マイコプラズマ、 レジオネラなどに強い抗菌活性を有する薬剤です。既に先行薬としてトスフロキサシン やスパルフロキサシンの二剤が市場に出ております。しかし、トスフロキサシンは吸収 力が余り良くないという点があったり、スパルフロキサシンにおいては日光過敏症が多 いということで、使いにくい点があったわけです。しかし、このガチフロキサシンは抗 菌活性はもとより、そういった副作用面でも動物実験あるいは臨床試験において少なく 使いやすいという点が特徴であろうかと思います。特にペニシリン耐性肺炎球菌が問題 になっておりまして、気道感染症、肺炎などで大体40〜50%の分離頻度でセフェム、ペ ニシリンの経口薬では対応できにくくなっている現状を踏まえればキノロンに頼らなけ ればいけないと思われます。そういったときに比較的安全に使えて、肺炎球菌、特にβ ラクタム薬耐性菌にも効く薬剤というのが求められている現状でありますから、臨床試 験、抗菌活性というものを踏まえた段階で、この薬剤が10番目に出る意義があるのでは ないかというのが専門協議での一致した考えだったように思います。  副作用の点でも中枢神経作用が動物実験モデルあるいはin vitroでも少ないというこ とが言われておりますし、相互作用の面でも旧来キノロン薬はテオフィリンとの相互作 用に問題があったのですが、そういうものも比較的少ないであろうということがありま す。そういった安全面で改良されている点が特徴ではないかと思います。以上です。 ○池田部会長 斧先生、ありがとうございました。ただいま御説明がありましたように、 10番目のニューキノロンということですが、レスピラトリーキノロンということで呼吸 器感染に非常に…、特に今までのスパルフロキサシンなどと比べると少し副作用を心配 しなくてもいいので多少いいのかなという特徴があると伺いましたけれども、委員の先 生方の御審議をお願いしたいと思います。どうぞ。 ○堀内部会長代理 このものは光学異性体でそのまま使われていると思いますが、光学 異性体で活性、あるいは毒性について変化があるかどうかという情報は何かあるのでし ょうか。といいますのは、前にタリビットというものがありましたが、これは光学異性 体を分離することによって活性体だけを取って、毒性がかなり下がったということがあ りますので、そういうようなことがあって将来を考えているかということも含めてお尋 ねしたいと思います。 ○事務局 光学異性体の件で、まず抗菌力の方は「資料概要」の312ページに出ており ます。S体、R体ということでMIC等を記載しております。 ○堀内部会長代理 抗菌力は差がないということですね。 ○事務局 そうですね。あと388ページの一番下のところから次のページにわたって、 光学異性体の体内動態に関するデータが書いてあります。一応R体、S体間で有意差は 認められなかったと…。 ○池田部会長 体内動態も抗菌力も余り差がないということですね。 ○事務局 それから毒性の方ですけれども、概要には出ていなかったので直接申請者と やり取りをした中で、光学異性体による差はなかったという報告を受けております。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかに何かございますでしょうか。これはクラミ ジア肺炎も適応に入っているということですね。 ○事務局 適応になっております。「審査報告書」の46ページにありますとおり、臨床 試験ではクラミジア肺炎が4例エントリーされまして、すべて有効でございました。一 応旧ガイドラインでは5例が一つの目安となっておりますけれども、この場合は専門委 員にも御意見を求めまして、臨床分離株25株に対してMICが良好であれば一応適応症 として認めていいということで、クラミジアの中でもクラミジア・ニューモニエ、肺炎 クラミジアに対して抗菌力を調べて、一応良好なMICが得られているということで適 応症とさせていただきました。 ○池田部会長 ここに書いてありますように、アメリカ、ドイツでも一応適応菌種とい うことになっているわけですね。何かございますでしょうか。板倉先生、どうぞ。 ○板倉委員 これの「効能・効果」のところで、炭疽というのは今後あり得ることなの でしょうか。 ○事務局 とりあえずこのガチフロキサシンに関しましては、今のところ会社の方から その申し出はございません。ただ、杏林製薬株式会社からバクシダールという同じニュ ーキノロンのお薬がありますけれども、そちらの方では炭疽の効能・効果を申請されて おります。 ○池田部会長 よろしいですか、板倉先生。 ○板倉委員 もう一つよろしいですか。非常に抗菌性が広いということですが、これ自 体が更に耐性というのでしょうか、菌に効かなくなるということについて添付文書等で も特に制限はないわけですけれども、そういう意味で問題というのは起こらないものな のでしょうか。 ○池田部会長 斧先生、いかがですか。一般的にニューキノロンで耐性というと…。 ○斧専門委員 やはり一般的に耐性化は起こり得ると思います。といいますのは、我が 国では比較的適正に使われているとは思うのですが、中国などに行きますと町で買える らしいのです。そうしますと、大腸菌でニューキノロン耐性菌が増加して、なかなか効 きにくいと言われております。耐性化というのはたくさん使用されて、それも中途半端 に使ったり、医師の処方箋がなくて長期間使用したり、中途半端に使ってやめたりとか 勝手にしていると恐らく耐性菌は出てくると思います。 ○池田部会長 それについては特別に記載するということは必要ないわけですね。 ○斧専門委員 感染症学会、化学療法学会からのガイドラインなどが出まして、原則的 には14日間を最長ということは言っておりますが、添付文書には書かれて…。 ○事務局 非臨床試験の方で耐性の起こりやすさですとか、ほかのキノロンの耐性菌に 対する作用等も調べられておりまして、耐性化が起こりやすいかどうかということにつ きましては、これまでに出ている同じニューキノロン系の抗菌薬に比べてそれほどに大 差ない、あるいはやや低いくらいであるという結果が出ております。例えばほかのキノ ロン薬の耐性菌に対しても、やはり同じように耐性で感受性がないということもあるの ですが、添付文書等の注意喚起につきましては、ほかのキノロン薬あるいは抗菌薬等も 同じように記載しておりますので、「用法・用量に関連する使用上の注意」といたしま して、使用する際には感受性を確認した上でというような、それから投与期間を最小限 の期間にとどめるというような一般的な注意喚起をしております。 ○池田部会長 ありがとうございました。板倉先生、よろしいですか。 ○板倉委員 一般的に「最小限」とか非常に漠然とした数字がありますと…、例えば14 日以内といいましても、お医者様というのはその学会に入っていらっしゃる方ばかりで はありませんので、やはりある程度具体的な数字などが入っている添付文書になってい る方が望ましいのではないかと思いますが。 ○池田部会長 それについてはどうですか。 ○事務局 具体的な日数については臨床試験の結果等も踏まえまして、記載ができるか どうか申請者の方に確認した上で、必要があれば追加で記載をするように検討いたしま す。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。用法・用量、安全性などについて、何か…。 どうぞ。 ○堀内部会長代理 膵臓の特にβ細胞にスペシフィックに作用があって、インスリンの 前駆体の細胞内移動を抑制するという副作用のお話が出ました。これについては副作用 として血糖値の異常等が起こるというお話が先ほどありましたけれども、こういう副作 用が起こるのは実験が高濃度で行われているので余り問題ないとお考えでしょうか。要 するに、実際の使用上は余り問題ないのでしょうか。回復性があるからいいのだという ようなニュアンスの文章があるのですが、余り回復性がなければ大変困ります。使用し ている間にそういうインスリン分泌に影響を及ぼすようなことはないかどうか確認して おきたいのですが。 ○池田部会長 いかがでしょうか。特にこれは「低血糖」、「高血糖」と並べて書いて あるのですが、どういうことが起こるのかというのはちょっと一般には分かりにくいか なという気がするのですけれども、何かございますか。 ○事務局 最初に毒性試験の方から副作用関係のことをお答えをさせていただきます。 「審査報告書」の10ページの上の方で、やはり本薬は膵臓のβ細胞に対する影響が非常 に懸念されまして、そこのところは申請者と何度もやり取りをしたところでございます。 しかし、β細胞に対する影響は毒性試験では非常に高用量群でのみ認められた変化でご ざいまして、速やかに回復する変化でありますので、通常の臨床用量で膵臓に影響する のではなく、また血糖値の変化による個体への影響が少くなかったということから、毒 性の観点からは臨床上注意をしながら使うことで問題ないのではないかというように判 断いたしました。 ○堀内部会長代理 例えば糖尿病患者等でも余り問題ないだろうということでしょう か。 ○事務局 糖尿病患者に対する検討といたしましては、「資料概要」の640ページから の臨床試験になりますが、II型の糖尿病患者を対象として本剤400mgを1日1回10日間 連続経口投与をいたしまして、十分な忍容性が認められたと申請者より報告されており ます。 ○池田部会長 どうぞ。 ○三瀬委員 斧先生がよく見ておられるので大丈夫だろうとは思うのですが、例えば効 能でプロビデンシアやセラチア、緑膿菌などには結構耐性率が高く出ていて、それで一 応入っているということはいいのかどうかということが一つ考えられます。先ほどの御 質問にもあったように、ニューキノロン系はDNAジャイレースが突然変異を起こすわ けで、どうしても突然変異が出てきてそれが集積されていくということになると、ここ のデータよりも更に耐性が多くなってきているということもちょっと気になるのです。 マイナーなことかもしれませんが、例えば効能にこういうプロビデンシアなども入れる のはいいのかどうか、少し考慮される必要があるのではないかという気がいたします。 ○池田部会長 斧先生、それについて何かコメントはございますか。 ○斧専門委員 三瀬先生の御指摘のとおりでして、専門協議でもグラム陽性球菌あるい はクラミジア、マイコプラズマなどの呼吸器系の感染症起炎菌に対しては、抗菌活性あ るいは臨床効果等もかなり優れているわけですが、緑膿菌などで比べるとやはり従来薬 よりも抗菌活性がやや劣るというのが指摘されました。ですから、一部の専門委員から は慢性気道感染症の原因菌では、比較的頻度の高い緑膿菌に対してはどうかなという御 意見もあったのですが、泌尿器科領域で本薬剤は尿路排泄型ですので、尿路系の緑膿菌 に関しては十分量移行するということで、有効性が期待できるのではないかと思います。 ○池田部会長 菌種として書いて、あとは部位と分けて書くと…。 ○斧専門委員 そういう記載というのは今までなかったような気がするのですが、この 薬剤だけそのように書くというのは、ちょっと審査センターの御意見を伺いたいと思い ます。 ○池田部会長 いかがですか。感染症によっても部位によって多少効きが違うという…。 ただ、今までだとこういう菌種をまず書いて、それでそれぞれの感染症というような書 き方だろうと思いますけれども。 ○事務局 一応今御指摘のございました緑膿菌やプロビデンシアを適応菌種と考えまし たのは、MICの値がそれほど低いということではないのですが、659ページにござい ますように、「菌別臨床効果」におきましてプロビデンシア属は症例が2例と少ないの ですけれども、2例とも有効以上。そして緑膿菌におきましては有効率75.0%というこ とで一応臨床効果が認められていることから、適応菌種として差し支えないのではない かと考えました。抗菌剤につきましては、使用量の増加等と共に耐性化の話は付きまと いますので、市販後におきましても常にウォッチしていくように申請者に指導したいと 考えております。 ○池田部会長 それでよろしいですか。 ○三瀬委員 よく分かりました。ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほかにございますか。どうぞ、板倉委員。 ○板倉委員 唾液に割合よく出てくるというようなことが書いてあるのですが、例えば 苦みだとかそういったものがすぐに出てくるということがあるのでしょうか。実際に薬 を投与されてから、口の中が苦くてしようがないというような苦情が最初から予期でき るのであれば、そういった注意を投与のときに教えていただくような形にしていただけ れば有り難いと思うのですが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 味、苦みについてはどうですか。 ○事務局 その点については申請者に確認いたしまして、適切な形で添付文書等に反映 するようにしたいと存じます。 ○池田部会長 そうですね。聞いてみてください。私も飲んでいないので分からないで すが…。そのほかにございますでしょうか。添付文書で特にお気付きの点はございます か。 ○小池委員 有効性と併せていろいろな菌種が出ているわけですが、これの耐性の出や すさというのは有効性とはまた違った順序で出てくるのだろうと思うので、両方を加味 して物事を考える必要があるのではないかと思うのです。耐性についてはどのようなデ ータがあるのでしょうか。 ○事務局 効能・効果の設定につきましては、臨床試験の成績の方から有効性が認めら れる菌種ということで設定しております。市販後にそれらの菌種を含めて、感受性並び に耐性に関する調査を実施していただくように指導いたしますので、そちらの方で耐性 が特定の菌種で進むようであればそのときに検討したいと思います。 ○池田部会長 よろしいですか、小池先生。どうぞ。 ○小池委員 もう一つは、副作用の中でこの薬を投与するとトランスアミナーゼの上昇 が起こるというのが出ていますが、これは肝障害ということでよろしいのですか。 ○池田部会長 「重大な副作用」のところに「肝機能障害、黄疸」と書いてありますね。 ○事務局 添付文書の3枚目になりますが、海外報告ということで「重大な副作用」の 中に肝機能障害等が出ております。その下の「その他の副作用」については、国内の臨 床試験で起こったものですので、国内では肝機能障害として重篤と言われるほどの副作 用は出ていないのですが、副作用として肝機能値異常が起こったという程度のものとい うことで、このような記載にしております。 ○小池委員 「審査報告書」の5ページに「本申請においては、毒性に関する資料につ いて不備であったことから毒性試験が追加実施され、提出されている(ニ項参照)」とな っているのですが、追加されて分かったことについてちょっとかいつまんで教えていた だければ有り難いと思います。 ○事務局 「審査報告書」の7ページですが、毒性試験については薬事法の規定により ましてGLPに基づいた試験を実施し、その結果を添付するように定められております。 当初申請された資料については、そのGLPに基づかない非GLP試験による毒性試験 結果が添付文書として提出されておりましたので、再度GLPに基づいた形で同じよう な試験の実施を要請いたしまして、その結果に基づいて提出された資料で審査を行って おります。ですから、試験結果で何か問題があって追加試験が実施されたというわけで はなく、最初にされた試験の信頼性の基準が規定どおりでなかったということで、追加 試験が実施されております。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかに委員の方から何か御意見ございますでしょ うか。藤上委員、よろしくお願いします。 ○藤上委員 添付文書のことについてなのですが、「用法・用量に関連する使用上の注 意」というところに「耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の 治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」という記載があるのですが、最近日 本感染症学会で出されました「抗菌薬使用の手引き」というガイドラインの中には、そ の文言の続きに感受性の結果を待たずに使用を開始した場合も、効果に基づいて治療を 再考するというような文言があったように記憶しているのですが、そういう文言を入れ ることは可能でしょうか。 ○池田部会長 事務局、いかがですか。 ○事務局 先生のおっしゃるとおり、ガチフロに限らず抗菌薬は一般に耐性の問題があ るわけですが、一応他の抗菌剤に関してはそういうことはしていないということで、抗 菌薬全体としてこういう作業を見直さないといけないと考えております。 ○池田部会長 そうですね。学会はそういうリコメンデーションを出しているのでした ら、そういう考え方をはっきり知っていただくというのも一つの考え方だと思うのです が、もちろんほかはまだそういう格好で書いていないわけですね。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 課長、何かございますか。 ○審査管理課長 そちらは安全対策課の方の所管になっておりますが、今日は所用で課 長が来ておりませんので、よくこちらの方から伝えて、全体の問題点ということで整備 させていただきます。 ○池田部会長 藤上委員、よろしいですか。非常に大事な点だと思いますので、抗菌薬 全般としてよく考えていただくということでよろしいでしょうか。そのほかにございま せんでしょうか。もしないようでしたらこれを御承認いただくということで、薬事分科 会へ報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうござい ました。それでは斧先生、どうもありがとうございました。後藤先生にお入りいただい てください。 ── 斧専門委員退席、後藤委員着席 ── ○池田部会長 後藤先生、どうもお待たせいたしました。よろしくお願いします。それ では早速議題2について、審査センターから審査の概要の説明をお願いしたいと思いま す。カルセド原末でございます。 ○事務局 それでは議題2、資料2のカルセド原末、カルセド原末住友、カルセド注20mg 及びカルセド注50mgの製造承認の可否等について、審査センターより説明させていただ きます。  本剤の有効成分塩酸アムルビシンは、住友製薬株式会社で化学合成された、日本では 7番目のアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬でございます。また、本剤の作用にはケト ン還元酵素によって代謝されたより強力な活性を有する活性代謝物、アムルビシノール が寄与していると考えられております。なお、作用機序につきましては、従来のアント ラサイクリン系化合物と同様、DNAインターカレーション作用及びトポイソメラーゼ II阻害作用によることが示されております。  本剤の専門協議では、本日の配付資料8の二枚目に示しておりますが、青柳委員、井 上委員、遠藤委員、下方委員、竹内委員、武田委員、谷川原委員、鶴尾委員、西澤委員、 林委員、貫和委員を専門委員として指名いたしました。  本剤の規格及び試験方法、安定性、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提 出された資料の内容は妥当であると判断いたしましたが、本剤は溶解時のpHが3を超 えると力価の低下や濁りを認めることから、添付文書の「適用上の注意」において、「他 の薬剤との混注を避け、日局生理食塩水又は5%ブドウ糖注射液に溶解すること」、ま た、「溶解後はできるだけ速やかに使用すること」と記載されております。また、アン トラサイクリン系化合物で問題となる心毒性については、未変化体であるアムルビシン では認められなかったものの、活性代謝物であるアムルビシノールではドキソルビシン と同様な毒性を示したことより、添付文書におきましては類薬に準じた注意喚起記載を させております。  次に臨床試験について述べさせていただきます。本剤の当初の申請におきましては、 現在の肺癌に対する効能のほかに膀胱内注入による表在性膀胱癌に対する効能が申請さ れておりましたが、後期第II相試験において比較対照群の塩酸エピルビシンに対し非劣 性を示せなかったことから、審査の過程において取り下げられております。一方肺癌に 関しましては、本申請用法であります3日間連日3週間ごとの投与で行われた第I相試 験の結果、投与量規制因子は白血球減少を主とする骨髄抑制及び消化管障害であり、最 大耐容量は50mg/m2でありました。さらに、前治療のない非小細胞肺癌患者を対象とし た二つの後期第II相試験では、本申請用法・用量である45mg/m2、3日間連日3週間ご と投与による同一プロトコールで実施され、試験1では適格例61例中CR1例、PR16 例を認め、奏効率は27.9%であり、生存期間中央値は11.3か月でありました。また、 試験2では適格例60例中PR11例を認め、奏効率は18.3%であり、生存期間中央値は 8.2か月でありました。一方、前治療のない進展型小細胞肺癌患者を対象に実施された 第II相臨床試験におきまして、45mg/m2、3日間連日3週間ごと投与により、適格例33 例中CR3例、PR22例を認め、奏効率は75.8%であり、生存期間中央値は11.7か月 でありました。以上の臨床試験成績を踏まえて、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌に対する 本剤の有効性は認められると判断いたしました。  次に本剤の安全性に関してですが、ほかの効能取得を目的とした試験も含め、安全性 評価症例510例中3例に本剤との因果関係が否定できない死亡例が認められておりま す。内訳は合併症である間質性肺炎の増悪によるものが2例、骨髄機能抑制の持続によ る感染症の併発によるものが1例であり、添付文書の「警告」欄において注意喚起の記 載がなされております。本申請の効能及び用法・用量によって実施された臨床試験での 安全性評価症例181例での主な副作用は、白血球減少、好中球減少、ヘモグロビン減少、 血小板減少等の骨髄機能抑制、食欲不振、悪心・嘔吐等の消化管障害、脱毛、ALT上 昇、AST上昇等の肝機能障害、発熱等でありましたが、患者の状態に応じて減量する 等、適切な処置を施すことで対応可能であると判断いたしました。  以上のとおり、審査センターでの審査の結果、非小細胞肺癌及び小細胞肺癌に対する 本剤の有用性は認められ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第二部会で審議する ことが妥当と判断いたしました。なお、本剤は再審査期間6年、原薬は毒物、製剤は劇 薬に該当すると判断しており、薬事分科会には報告を予定しております。御審議よろし くお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。塩酸アムルビシンの代謝物アムルビシノール に活性があるということで、非小細胞肺癌と小細胞肺癌に効能・効果を認めるというこ とですが、どうぞ御議論いただきたいと思います。第7番目のアントラサイクリン系の 化合物ということです。この薬物は海外では開発されていないで、我が国だけですね。 ○事務局 はい、今のところは海外開発の予定はないそうです。 ○池田部会長 藤上委員、どうぞ。 ○藤上委員 一つは、臨床において他のアントラサイクリン系薬物と本剤とを比較した ときに、安全性において差が見られたかどうかをお聞きしたいのと、それから他のアン トラサイクリン系薬物の使用実態から見て、癌化学療法に十分な経験を持つ医師だけが 使用するとは限らないようなことが見られます。それで添付文書等で、投与時の諸注意 についてきめ細かい記載が必要であるということを常日ごろ痛感しているのです。例え ば重篤な副作用に対処するための検査の在り方等について、添付文書上できめ細かい情 報提供というのはできるものでしょうか。 ○池田部会長 事務局の方、いかがですか。 ○事務局 まず他のアントラサイクリン系薬物との比較でございますが、これにつきま しては事前に藤上委員よりコメントを頂いておりましたので、申請者に確認いたしまし たところ、現在進行中の悪性リンパ腫に対する後期第II相試験、これは二重盲検比較試 験でございますが、これにおいて塩酸ドキソルビシンとの直接比較を行っております。 その結果によりますと、出てくる副作用や頻度もほぼ同じということで、質的にはほぼ 同じという結果でございました。  それからもう一点の副作用に対する対処法でございますが、主に出てくるものは骨髄 抑制と嘔吐でございます。このうち骨髄抑制については、今回は間に合いませんでした けれども、添付文書上の「臨床成績」の項に具体的に、白血球数、好中球数、血小板数 の本剤投与による最低値と最低値到達までの期間、それから回復までの期間というもの を一覧表で載せて、それを基に医師の判断で使っていただくということにしたいと考え ております。 ○池田部会長 投与した後に今までの経験でどのくらい下がるかと、血球減少はどの程 度のときに起こるかということを具体的に書こうということですね。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 藤上委員、よろしいでしょうか。 ○藤上委員 分かりました。 ○池田部会長 間質性肺炎の増悪の方はその点についての配慮は何かございますか。 ○事務局 間質性肺炎が増悪して死亡に至った例ですが、それは治療の前から間質性肺 炎の明らかな存在が指摘された症例ということで、やはりそういう症例に本剤を投与す ることは増悪を来すおそれがあるので危険ということで、添付文書上では「禁忌」のと ころに記載させております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。抗癌剤の場合には、実際にたくさん使われるよう になると患者さんの状態が悪い場合に使われることが多いものですから、治験の間より も余計に副作用の報告が出てくる傾向があると思うので、なるべく安全に使っていただ くようなその辺の配慮が大事だと思います。そのほかに…、どうぞ。 ○堀内部会長代理 代謝産物のアムルビシノールが、細胞によっても違うのでしょうけ れども、例えばin vitroの肺癌細胞ですと20〜220倍とアムルビシンと比べるとかなり 高い活性を持っているということを考えると、本体はプロ体と考えてよろしいのですか。 ○事務局 要するにプロドラッグということですか。 ○堀内部会長代理 プロドラッグと考えてよろしいのでしょうか。 ○事務局 薬理試験の結果を見ますと、アムルビシンを静注した場合とアムルビシノー ルを静注した場合がございまして、それを比較すると不思議なことにアムルビシンを投 与した方がよく効くと。そのときに腫瘍内の薬物濃度を測りますと、アムルビシンを投 与した方が腫瘍細胞内のアムルビシノールの濃度が高いという結果になっています。こ れを考えますと、腫瘍細胞内で働いているのは恐らく代謝物のアムルビシノールであっ て、最初にアムルビシンで投与しておかないと細胞内でアムルビシノールに変わらない のではないかという結論になっております。したがいまして、主に抗腫瘍細胞に寄与し ているのがアムルビシノールではないかと考えております。 ○堀内部会長代理 ですから、プロドラッグという位置付けでよろしいのですね。 ○事務局 そのような性格には…。 ○堀内部会長代理 要するにアムルビシンをやると、臓器特異的に分布するということ ですね。 ○事務局 そうです。 ○堀内部会長代理 それで細胞内に入ってそこでアムルビジノールに変わり、作用する ということですね。 ○事務局 そういうことです。 ○堀内部会長代理 その辺のところはもう少し明確に記載しなくてよろしいのでしょう か。 ○事務局 申請者はプロドラッグとしては主張はしておりませんで、その辺はちょっと …。 ○堀内部会長代理 要するに、使用する場合に位置付けを明確にした方がいいだろうと いうことです。それと関連するのですが、投与する場合に沈殿を起こすケースが大変多 いですね。ですから用時調製のような形で3時間以内に使えというお話になっています が、この投与の仕方はアムルビシンだからそういうことが起こると考えてよろしいです か。アムルビシノールだと起こらないということはないのでしょうか。 ○池田部会長 その点はどうですか。 ○事務局 両方とも□□□□□や□□□というものが類縁物質として出てきますので、 アムルビシンもアムルビシノールもほぼ同じような性質かと思います。 ○堀内部会長代理 添付文書では20mLのブドウ糖あるいは生食に溶かして静注すると いうことになっているのです。それでも6時間までは変化はしないけれども、それ以上 だと沈殿を生じてしまうということで、ある面では大変使いにくい薬であるということ なのですが、その辺の投与の仕方あるいは希釈の仕方のことと関連してどうかなと思っ たのですが。 ○事務局 一応pH依存性でございまして、pHが2.5〜3の間に入っていれば安定で はないかと言われております。確かに現在の添付文書の書き方ですと、「室温保存で3 時間以内」という記載でちょっとあいまいになっておりまして、今この辺のもう少し詳 しいデータを求めております。現在得られている情報では、30℃で保存しますと3時間 では多分駄目だろうという話が一点と、それから冷蔵庫保存しましたところ3時間まで は安定だったということで、その辺の詳しい情報も含めてここの記載をもう少し具体的 に書けないか検討したいと思います。 ○堀内部会長代理 これはかなり高濃度ですので、希釈した場合にはどうかということ も検討していただきたいと思いますが。 ○事務局 一応用法・用量で希釈の濃度は決まっていますので…。 ○堀内部会長代理 ですから、投与の仕方が20mLぐらいで静注というやり方ですよね。 そうではなくて、もう少し希釈をして点滴をするということにはいかないのかというこ とですが。何を言いたいかと申しますと、要するに最近こういう抗癌剤等は病院では普 通薬剤部で混合をして、できるだけ無菌的に供給をしているわけです。そうしますと3 時間というのは大変短いわけです。この前も同じようなことを申しましたけれども、投 与期間がどのくらいかできるだけきちんと調べて、安定の範囲内で長い時間を記載して いただいた方がいいと思いますが、この場合には少量に溶かして、かなり高濃度で投与 をしているところが問題かなと思いましたので、お聞きました。 ○事務局 一応冷蔵保存でのデータを求めておりまして、冷蔵庫保存ですともう少し時 間を置けるようですので、その辺のデータが出次第もう少し余裕のある添付文書の記載 ができるかと考えております。 ○堀内部会長代理 20mLで静注という投与の仕方はもうこれ以上変えられないのです か。 ○事務局 使い方に関して、点滴で使う場合があるかどうかにつきましては、申請者に 確認してみたいと思います。 ○池田部会長 やはり「使用上の注意」の調製の問題は非常に大事だと思います。今堀 内委員がおっしゃったように、安全に抗腫瘍剤の準備をするという…、多くの病院では 病棟で医者、看護婦が忙しい合間につくるのでミスがあるということで、どこの病院で もその方向を是正しようということで努力をしていることになります。ですから薬剤部 でつくって、ある時間たって輸送するということが当然考えられますので、その辺も頭 に置きながらこの「使用上の注意」も書いていただくように、ちょっと事務局の方から 相談してください。 ○事務局 分かりました。 ○池田部会長 板倉委員、どうぞ。 ○板倉委員 皆様方がおっしゃっているので付け加えることはないのかもしれないので すが、はっきり申しまして治療者側に責任を持たせるような書き方の取扱説明書になっ ているのが、私は非常に心配です。例えば先ほどの「用法・用量」も、3時間以内に投 与しなければいけないというのが「用法・用量」のところに入っていなくて、あちこち ひっくり返してみてやっとそれが分かるとなっていたら、やはり問題は起こると思うの です。それから3ページの「使用上の注意」等でも、例えば「頻回に血液検査を行うな ど」というけれども、「頻回」というのは何なのだろうかとか、最初の方の「警告」の ところも「有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること」と書 いてありますが、ではこのときに有効性をどういった形で示せるのかということですね。 先ほどほかの委員の先生からほかのものとの比較でどうなのかとお話がありましたけれ ども、なぜこの薬を選ばなければいけないのか説明するに足りない。患者はこれが選ば れた理由も含めて知りたいと思うのです。しかし、そういった判断材料が示されないま まに添付文書だけで対応しなければいけないとすると、やはり説明も不十分で、患者の 方がインフォームド・コンセントを受けたところで判断ができないのではないかと思わ れるのです。ですからそういったことについて、薬剤の提供側の方できちんと準備すべ きではないかと思います。  3ページのところの「基本的注意」の場合は先に必ず理由があって結論が出るという 形になっているのですけれども、例えば(6)ですと「性腺に対する影響を考慮すること」 ということだけ突然に出てきて、「性腺に対する影響を考慮する」の後ろを見ていくと、 理由がやっと分かるようになっています。ですからこの取扱説明書につきまして、やは りこのまま一文を少しずつ変えるような形で手直しするだけでは、実際にこの添付文書 だけで情報を得る立場で判断して、この薬の安全性を十分に担保しながら治療効果を上 げていく使われ方をしないのではないかという危惧を非常に感じます。資料1と比べて も、添付文書が素人目に見ても分かりにくくて、錯綜していて整理されていないと。薬 害が非常に問題視されますが、だれが見ても分かりやすくてきちんとすぐに理解できる ような形になっていなければ、結局ここに書いてあったではないかということで訴訟を 受けるのは医療従事者なのです。もう少しメーカーの方で、添付文書自体をきちんと分 かりやすさを加味して書いていただかないと、最終的には国民の方の影響も非常に大き いのではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○池田部会長 どうぞ。 ○事務局 まず審査センターの方からお答えいたします。先生の今の御懸念はごもっと もでございまして、添付文書を作成する場合は私どもは別に医療従事者だけではなくて、 読まれる側、患者さん等に対しても読みやすい情報になるように常に心掛けているつも りでございます。しかし、添付文書もたくさんございまして、従来の慣例や安全対策課 の添付文書に関する規定等いろいろな制約があります中で、なるべくいい状態に持って いこうという努力を今しておりまして、カルセドは従来の他のアントラサイクリン系で 直近で承認をいただいております種々の抗癌剤の添付文書とほぼ横並びのような形で記 載しているものでございます。ただ、それに関してもいろいろな問題点があるというこ とは承知しておりまして、安全対策課に聞くところによりますと、例えば添付文書の改 訂の班を今いろいろ設定いたしまして、例えば非常に重要なところは最初に持ってきて、 詳しいいろいろな情報をもう少し階層分けして電子上でそれを見ていくとか、今いろい ろな試みがなされているところでございます。ですから、この抗癌剤に限ったものでは なく、今進んでいる作業が実現した時期で先生のいろいろな御懸念が払拭されるのでは ないかというふうに考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。非常に大事な作業だと思いますので、安全対 策課とも協力してその作業を進めていただきたいと思います。それから先ほど事務局の 方から骨髄抑制の話が出ていましたが、ああいうふうに具体的に書けるところはなるべ く具体的に書くように指導していただけたらと思います。そのほかに…、どうぞ。 ○堀内部会長代理 添付文書については今改訂を計画しているところだと思いますけれ ども、今の段階で最初に添付文書を作るのはここの責任であるということだろうと思い ますので、是非よろしくお願いしたいと思います。具体的な文章なのですが、「添付文 書(案)」の8ページの「蛋白結合率」というところに、「ヒト血漿及び4%ヒト血清ア ルブミン(HSA)溶液中(in vitro)の蛋白結合率は次表のとおりであった」とあります。 それも一つの例だと思いますけれども、何がどうなのかというのが具体的になっていな いですね。やはりこういうところも文章上の読み方の違いが起こらないような表現を是 非お願いしたいと思います。 ○事務局 これに関しましては、もう一度申請者に確認を取りまして検討いたします。 ○池田部会長 これはそっけないですね。そのほかにいかがでしょうか。先ほど未変化 体と活性体で、細胞内で活性体の濃度が非常に高くなるという話。ただ、血中濃度を見 ると活性体はかなり長い間血中濃度は維持されているのですね。そうすると、このこと は何を意味するのでしょうか。血中濃度がある程度長く維持されているとは言っても、 活性体の方はある意味では入りにくいのですよね。 ○事務局 そうです。 ○池田部会長 そういうことですよね。未変化体の方は入りやすくて、細胞内で活性体 に変わってその作用を発揮するということですから、これを見ると活性体は血中濃度が ずっと維持されていて際立っていいように思ってしまいますけれども、その辺はどうな のですか。 ○事務局 この辺は動物とヒトの違いというものがあるのですが、一応未変化体から活 性体に変わるケトン還元酵素というものがあらゆる細胞に存在しまして、多分どこでも 代謝が起きているのだろうと。その代謝されたものが血中に出てくるので、この物質の 性質として多分血中濃度としては維持されているのではないかというように考えており ます。血中にあるものが腫瘍に移って効くということは、動物実験のはないようです。 ○池田部会長 そういう意味ではないということですね。 ○堀内部会長代理 逆に言うと、これは441ページにあるように組織中への移行と代謝 物のパターンが臓器によって大分違いますね。この薬の場合には、血中濃度に代謝産物 がどのくらいあるかということよりも、臓器による分布が大分違います。それからやは り代謝活性が違っていると思うのですけれども、そうではないのですか。アムルビシノ ールは肺などでは大分高いのではないかという気がいたしますけれども。とにかく分布 が違うというのが、どこの臓器に有効であるかということのかなり大きな要因になって いるような気がします。このように表現した方が分かりやすいのではないかと思います が、いかがでしょうか。 ○事務局 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。 ○早川委員 承認の可否に直接かかわる話ではございませんが、安定性試験の在り方の 問題で「審査報告書」とデータを拝見しますと、3ページの安定性試験のパラメーター に例えばエンドトキシンであるとか、重金属、強熱残分というものを測定の指標に使っ ているのです。こういうものは保存中に変化しないものなので、わざわざ試験に使うこ とはないでしょうということをメーカーに御指導いただければということだけです。無 駄な実験だと思うので。 ○池田部会長 よろしいですか。何かコメントありますか。 ○事務局 ではこれにつきましては、メーカーの方に確認いたします。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかにございますか。効能と安全性につい て、そして添付文書の書き方について何か御議論することがございますでしょうか。よ ろしいですか。特にございませんでしたらこれも承認を可とさせていただきまして、薬 事分科会へ報告とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。どうもあり がとうございました。  引き続き議題3の審議に入りたいと思います。審査管理課から御説明をお願いしたい と思います。 ○事務局 それでは本日配付をしております差し替え資料でございますが、資料3'を用 いまして説明させていただきます。「生物学的製剤基準の一部改正について」でござい ます。生物学的製剤基準については、薬事法の第42条に基づきまして、保健衛生上特別 な注意を要する医薬品として基準を定めております。今回はそのうちの医薬品の各条、 乾燥細胞培養痘そうワクチンの一部改正について御審議をお願いいたします。資料3' の2〜3ページに基準の改正案をお示ししております。  まず3ページでございますが、現行基準と改正基準案の「新旧対照表」を示させてい ただいております。この部分が分かりやすいので、この「新旧対照表」を用いて説明さ せていただきます。  今回の改正箇所につきましては、「本質及び性状」欄、「貯法」及び「有効期間」欄、 それから「添付文書等記載事項」のうち「用法」欄の三つでございます。まず一つ目の 「本質及び性状」欄でございますが、本製剤のpHは7.30付近ということで製剤に含ま れているフェノールレッドとペプトンの混合により、帯黄色から帯赤色の領域になるこ とから、現行基準の「帯赤色」に「帯黄色」を追加するものでございます。  それから二つ目の「貯法」及び「有効期間」欄でございます。現行基準は多少古く、 昭和55年にできた基準でございます。「倉出し後」ということで倉出し規定がございま して、倉出し後は10℃以下、1年と規定しております。最近の品質管理技術の向上にか んがみ、倉出し後の規定、倉出し後の保管方法を削除するとともに、「表示事項」で規 定されております倉出し年月日を削除するものでございます。なお、御参考でございま すが、「倉出し」とは製造所の貯蔵庫から販売又は輸送の目的で取り出すことを言いま す。  それから三つ目でございますが、「添付文書等記載事項」のうち「用法」欄でござい ます。現行基準では「多圧法による」という形で規定をされておりますが、多圧法より 能率が良く接種医の熟練を要さないWHOの標準法である「多刺法」へ変更するもので ございます。この「多刺法」の中身でございますが、「参考文献1」としてWHOの方 法、「参考文献2」の8ページに文献を参考までに付けさせていただいております。な お、こういった参考文献に書いてある多刺法の具体的な中身につきましては、別途承認 申請書上に規定をされることになります。以上でございます。御審議のほどお願いいた します。 ○池田部会長 ありがとうございました。痘そうワクチンにおける生物学的製剤基準の 一部改正について審査管理課の方から御説明いただきましたが、何か御意見ございます でしょうか。どうぞ。 ○吉村委員 こういうふうにせっかく改正するときには、ほかの部分もついでにという 感じがするので発言するのですが、最近は「mL」を「ml」ではなく「mL」と書くのが普 通になっているのですが、ついでにそういうところを改正するというのは駄目なのでし ょうか。 ○池田部会長 事務局、どうですか。 ○事務局 御指摘を踏まえまして…、一部もう改正されているところもございますが、 資料の関係で誤ったところがあるようでございます。失礼いたしました。 ○池田部会長 基本的によろしいのですね。吉村委員、よろしいですか。 ○吉村委員 はい。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかに何かございますでしょうか。板倉 委員、どうぞ。 ○板倉委員 特にこの審議の中身というのではないのですが、4ページに「別紙」とい うものがありまして、この意味がちょっとよく分からないのです。「BTB試験紙での 測定」ということで「7.2〜7.4」と書いてあるのですが、「BTB」というのはブロム ・チモル・ブルーですから、どうしてブロム・チモル・ブルーでの測定の数字がここに 載っていて、フェノールレッドの説明がここに載っているのがよく分からないのです。 フェノールレッドはこのpH7.2〜7.4で変わりますよという説明であれば、これが載っ ている意味があると思うのですけれども。なぜBTBの測定が「別紙」で添えられてい るのかについて、教えていただけると有り難いのですが。 ○事務局 pH指示薬として今回フェノールレッドを使っております。併せてこのBT B試験紙でもこういう形で測定をしているということを、あくまで参考という形で載せ させていただいております。ちょっと分かりづらい資料で申し訳ございません。 ○板倉委員 ということは、フェノールレッドはpH7.2〜7.4で色が変わると理解して よろしいのですか。 ○事務局 よろしいでしょうか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○事務局 今回資料で説明申し上げていますとおり、安定剤としてペプトンが入ってお ります関係上、フェノールレッドの色調が実際のpHとは違う色調で現れておりますの で、それはpHの範囲を超えているものではなくて、pHメータあるいはBTB試験紙 で測った場合には、きちんと規定のpHの中に収まっているということでデータを添付 してございます。 ○池田部会長 そういう意味ですね。分かりました。よろしいですか。この「生物学的 製剤基準の一部改正について」はよろしいでしょうか。特にないようでしたら、お認め いただきたいと思います。ありがとうございました。それでは本件については御了解い ただいたということで、続いて議題4についても審査管理課から御説明いただきたいと 思います。 ○事務局 それでは資料4-1と資料4-2はほぼ同じ内容でございますので両方を併せて、 特に資料4-1を重点的に説明させていただきます。  これも先ほど御議論いただいた生物学的製剤基準の一部改正についてでございます。 また同じように資料4-2ということで、薬事法の第42条基準、特に保健衛生上特別な注 意を要する基準として日本抗生物質医薬品基準というものがございますが、この両者の 一部改正について御議論いただきたいと思っております。  ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品につきましては、過去の経験等 を踏まえまして、特に現時点での科学的水準に基づいた品質及び安全性確保体制を講ず ることが必要と考えられております。このような状況を踏まえまして、薬事・食品衛生 審議会の前身でございます中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会において、昨年 12月にこういった医薬品の考え方、細胞組織利用加工医薬品等の取扱い及び使用に関す る基本的考え方がまとめられております。基本的考え方では、医薬品等の原料として用 いられる動物については飼育管理等が適切に行われていることが求められております。 このような状況を踏まえまして、事務局としては公的規格書であります生物学的製剤基 準、あるいは日本抗生物質医薬品基準につきましても、早急に原料の規定としまして健 康な動物を原料として使用することを通則で明らかにしたいと考えております。  通則の案といたしましては、先ほどのものは個別の品目ごとの各条でございまして、 今回のものは幅広く生物学的製剤基準の全般に係るものということでございます。一般 的原則として、「医薬品の原料となる動物は、原則として、健康なものでなければなら ない」という記載を追加したいと考えております。「参考1」でございますが、「ここ でいう『健康なもの』とは、各医薬品の適切な使用方法において、ヒトへの感染性を有 する疾病又は感染を有さない動物をいう。なお、この『健康なもの』の基準は、人獣畜 共通感染症等に関する新たな知見等を踏まえ、見直されるべきものである」というふう に考えております。なお、公布は今のところ平成14年3月を予定しております。なお、 また「参考2」でございますが、同様の議論について同じように公定書でございます日 本薬局方部会において議論がされておりまして、同様の通則が追加されることとなって おります。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。生物学的製剤基準の通則の43項目に「医薬品 の原料となる動物は、原則として、健康なものでなければならない」ということを加え ようということでございます。小室委員、よろしいでしょうか。 ○小室委員 二つほど質問させていただきたいのですが、私どものワクチン関係を考え ますと、動物の範囲というものが問題になりまして、鶏卵等はこの中に入るか入らない かという質問を是非ともしておいてくださいという依頼が一点ございました。それから 改正要件に「原則として」という言葉が入っておりますが、「原則として」という言葉 が入っているということは必ず例外があるであろうと。その範囲をどの程度に考えられ ているかという二点を教えていただきたいのですが。 ○事務局 どちらも「原則として」という部分にかかるかと思います。先ほど説明させ ていただいたように、通則では一般的にすべての医薬品に係る条項ということで一般原 則を書かせていただきます。そのほか、先生には十分御承知いただいておりますけれど も、生物学的製剤基準では各条ごとに細かい規定がございまして、それぞれの医薬品ご とに細かく定める必要のあることについては記載をするということを考えております。 この「原則として」という考え方でございますが、医薬品は多種多様でございますので、 医薬品の種類によってはやむを得ず…、例えば死んだような細胞を使うような場合もあ り得るということ等もございます。ですから多種多様な医薬品があるということで、個 別に慎重にやらなければいけないところは各条で書くと。ただ、ここでは原則的なとこ ろを書くという内容になっているかと思います。 ○小室委員 動物の範囲の方はいかがでしょうか。 ○池田部会長 動物の範囲、卵はどうですか。 ○事務局 ここでは生き物というふうに解釈されますので、原則でございますけれども、 卵についても入るというふうに考えます。ただ、先ほど言ったように卵の健康性という 部分をどうやって見るかというところもございますので、そこは原則として健康な動物、 例えばきちんと管理された鶏から生まれていると。そしてその上で更に必要な規定があ れば各条で書いていくという形になろうかと思います。 ○池田部会長 どうぞ、小室委員。 ○小室委員 ただいま質問いたしましたのは、例えば実際に製品が出来上がって問題が 起こったときに、各条に違反しているのか、通則に違反しているのかという様々な問題 点が今後出る可能性があるものですから、質問させていただきました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。小室委員、今の回答でよろしいですか。 ○小室委員 はい。「原則として」という使い方が非常によくできていたと思いました。 ○池田部会長 そのほかにございませんでしょうか。よろしいですか。それでは本件に ついても御了解いただいたということで、処理させていただきたいと思います。  ただいま塩酸アムルビシンに関して、少し手直しをした添付文書が配られたと思いま す。承認条件について事務局の方から説明していただけますか。 ○事務局 議題2に戻りまして、カルセド注の承認条件について説明させていただきま す。先ほどお配りいたしました資料の10ページの最後になります。この品目については、 「肺癌に対する本剤の国内における臨床的有用性及び安全性をより明確にすることを目 的として、国内で適切な対照群との比較臨床試験を行い、その結果を含めた市販後調査 結果を報告すること」と記載されておりますが、この上に更に「心毒性に関する市販後 特別調査を実施すること」という文言が付け加わります。以上、御確認をお願いいたし ます。 ○池田部会長 承認条件としてこういうことを付け加えるということですが、先ほど一 応御了解いただいて分科会に報告するということをお話ししましたけれども、この承認 条件について何か御意見ございますか。 ○板倉委員 添付文書についていろいろと御意見を頂いている部分は、承認の条件とは 全然関係ないということなのでしょうか。 ○池田部会長 ニューキノロンのこともそうですが、先ほど来幾つかここで御議論いた だいてメーカーに確認するということについては、こちらの委員の御意見を反映させて 添付文書を手直しするということでよろしいのですよね。 ○事務局 審査管理課からお答えいたします。まずただいまの承認条件につきましては、 薬事法上承認をする際に条件を付すことができるという規定に基づいて、これは承認書 に記載するものとしてお示しをしております。これは行政的な取扱い上、承認の条件を 付されて承認されたものについては、原則的に添付文書の方にその承認条件を記載する というルールがございますので、それに基づいて記載しているものでございます。  もう一つは整理の問題でございますが、薬事法上の承認事項というのが薬事法の施行 規則等に承認申請書の様式として定められておりまして、それに定められている項目と いいますのは、用法・用量や効能・効果、それから規格及び試験方法、貯蔵方法、有効 期間といったものでございます。その承認の内容以外に実際にこの医薬品を使う際に必 要な情報を伝達するものとしては添付文書がございます。ですから、使用上の注意ある いは臨床適応、薬物動態といったような添付文書上の記載事項というのは、薬事法上の 整理としては承認事項ではございません。ですから、承認条件とはまた別の観点からこ ちらの部会の方で御意見をお伺いし、整備をさせていただいているものでございます。 こちらの部会でいろいろ御意見を頂いたものにつきましては、その内容を踏まえ事務局 の方で責任を持ってメーカーの方に伝え、実際にこの医薬品が世に出る際にはその御意 見を反映した形で世に出るようにさせていただいております。以上でございます。 ○池田部会長 板倉委員、よろしいですか。ありがとうございます。どうぞ、吉村委員。 ○吉村委員 今新しい文書が配られたのですが、この文書を新しくコピーしてお配りに なった趣旨は何でしょうか。 ○事務局 ただいまの承認条件を確認していただきたいというのが趣旨でございます。 ○吉村委員 つまり前に頂いたものとこれとは文書が違うのですね。 ○事務局 本品目の場合、承認条件がかなり後になって付きましたので、事前にお配り した部会資料のどこにも載っていないということで、本日改めて確認させていただきま した。 ○池田部会長 このものについては、10ページの一番下にある「承認条件」というもの が付いているという…、今事務局が御説明になったようなことで、この薬剤に関しては これが付いているということで、それを追加したということです。 ○吉村委員 ちょっといいですか。この9ページの「骨髄抑制の発現及び回復時期」と いうのが、前に頂いたものには載っていなかったように思うのですが。 ○事務局 これは先ほど御説明いたしました白血球数、好中球数、血小板数の最低値到 達までの期間、回復までの期間を表形式で載せるということの具体的なものです。 ○吉村委員 これは今ほんの20〜30分の間に作ってきたのですか。 ○事務局 そういうことではないです。これは3日ぐらい前でしょうか。現時点で最新 の改訂案でございます。 ○吉村委員 前には我々は頂いていなかったものですか。 ○事務局 部会資料にはまだ盛り込まれていないものでございます。 ○池田部会長 ではこれを少し御覧いただきたいと思います。どうぞ。 ○川嵜委員 全然大したことではないのですが、ちょっと教えていただきたいと思った のですけれども、今頂いたものでは一番最後の11ページのところに「主要文献」という のが記載されていますね。その中にいわゆるパブリッシュされたものと、それから半分 くらい「投稿予定」と書いてあるわけですが、どういう意味合いでこういうものが載っ ているのでしょうか。ちょっと教えていただけますか。 ○池田部会長 事務局、どうですか。「投稿予定」というのはちょっとあれですね。 ○事務局 多分通常はアクセプトが間に合わない場合は「社内資料」という形で、添付 文書で皆さん方が御覧になる「社内資料」というのが最近多くて、以前は承認の添付資 料というのは公表論文ということが義務付けられておりましたけれども、それが現在は なくなっておりまして、社内資料でも可能となっております。このフィックスの時点で アクセプトされていれば、きちんとしたピュアレビュージャーナルなり、論文雑誌とい うものの名前がこれに載りますし、それ以外の場合で実際にこれが世に出るときは、「社 内資料○番」という形で出てまいります。ですから、今日お配りしておりますのはこの 辺りは承認事項と少し関係ないところでございまして、実際には最終的に添付文書が完 成する段階でアクセプトされればそこに公表論文の名前が載りますし、アクセプトされ ていなければ「社内資料」という形で掲載されるという、ちょっと過渡的な状況のもの でございます。 ○池田部会長 このまま添付文書として世に出るわけではないのですよね。 ○事務局 はい。 ○池田部会長 よろしいですか。板倉委員、どうぞ。 ○板倉委員 先ほど見落としているのだと思うのですが、4ページの「相互作用」のと ころに「併用注意」と書いてあって、括弧して「(併用に注意すること)」と書いてある のですが、この添付文書からどのようなことを読み取ればよろしいのでしょうか。 ○事務局 これも一応添付文書上の決まり事といいますか、恐らくほかの添付文書を全 部見ていただいても、「併用注意(併用に注意すること)」というただし書が書いてある ものでございまして、多分いろいろな表現でこれを読む方が理解しやすいようにという 昔からの配慮ではないかというふうには察しますが。 ○板倉委員 例えば最近薬害の訴訟などですと、添付文書にこう書いてあるのに従事者 がこうしたから問題があるのではないかと争われる可能性があるのですね。そうすると、 「注意すること」と書いてあるのに注意しなかったではないかといった場合に、注意と は何かが分からないわけですね。素人目に見ると、「注意」と書いてあるのだから増強 するということをきちんとやって、なぜやめなかったのかというようにも読んでしまう 文章になるわけです。ですから、併用した場合にはこういうことが起こるのでという具 体的なことがあればいいのですが、「注意」という言葉が注意するだけでいいのかとか、 どういう手だてをしなければいけないのかとか、読み取れない言葉で単に言葉のあやみ たいな説明だけであると、実際にどこまでが添付文書の責任であり従事者の責任である かが分からないのではないかと思いましたので、ちょっとお聞きしたのですが。 ○池田部会長 アントラサイクリン系の薬剤は、今まではみんなこの形になっているの でね。 ○事務局 さようでございます。板倉委員が御懸念のいろいろな症状に対する対応等に 関しましては、例えばこの薬であれば心筋の障害が増強されるおそれがあると。投与前 に心臓部あるいは縦隔への放射線照射等が行われていれば、心筋障害が増強されるおそ れがあるので注意しなさいというように、添付文書を書く段階ではどういうことが可能 性があって、それに対してもし処置があれば処置を書きますし、処置がない場合でも情 報提供という形でその段階で分かっている情報はどんどん盛り込むと。市販後の段階で いろいろな情報が得られてくれば、ここの承認事項ではございませんが、安全対策課の 方でいろいろな市販後のデータを基に随時書き換えてまいりますので、非常にダイナミ ックな変化を受ける…、アップ・ツー・デートな情報をこの辺に記載していけるという ことだと思います。 ○池田部会長 先ほど来添付文書の書き方の作業も進んでいるということですので、こ の辺も含めてよろしく御議論をお願いしたいと思います。  そのほか、今新たに配られた資料の中の9ページには、先ほど来ちょっとここで議論 が出ていますが、なるべく具体性を持って添付文書をという一つの現れとして、最初に 配ったものと比べると、骨髄抑制について最低値が幾つぐらいで、それまでに到達する 期間が何日ぐらいで回復までどのくらいかかっているかということを「臨床成績」とし て具体的に挙げているということです。こういう一つのことをとって少しずつ添付文書 の具体性…、今先生方から頂いた添付文書の書き方の問題も現在改良中ということです ね。そういうことでよろしいですか。そのほかに何かございますでしょうか。どうぞ、 小池委員。 ○小池委員 これはちょっと個人的な理解が足りないため生じているのだと思うのです が、「審査報告書」の13ページの最後の「以上の結果から」というところの三行目に、 「本薬及び塩酸アムルビシノールの作用機序としては…」とありまして、これは 「Cleavable Complex安定化作用であると申請者は推察し、本薬とDXRは作用機序が 異なるとしている」というわけです。それに対して、次の14ページの上の方からちょっ と行ったところに、これは審査センターからのコメントなのでしょうか、「本剤及び塩 酸アムルビシノールはDXRと異なる作用機序で抗腫瘍作用を示すとすることは妥当で はないと考える」と。それでその後少しありまして、最後のところにまた「Cleavable Complex安定化作用は作用機序の一つにすぎないと判断している」というふうに、ちょ っと意見が違っていると思うのです。この結果は最終的にはどういうふうになったわけ ですか。 ○事務局 こういうアントラサイクリン系のお薬は、大体トポIIやCleavable Complex とかフリーラジカルとかいろいろな作用があるというのは薬理作用として言われていま して、企業の方が当初はどうしても差別化をしたいということでいろいろな主張をされ ている中で、審査センターとしてはいろいろなメカニズムがあって当然だから、差別化 にこの薬効のある部分を抽出してきていいという主張はまずいでしょうという判断か ら、「審査報告書」の最後のところで、いろいろな作用があるから余り断定的にこれが ある面で優れた薬剤であるとかいうことはしてほしくないと言うつもりで、この記載を したと思っております。 ○小池委員 説明のときにはそういうことを言ってはいけないということなのですね。 ○事務局 申請者の側ですか。 ○小池委員 はい。 ○事務局 私どもとしては、なるべくニュートラルな主張をしていただきたいと。もし これが非常に優れているということを薬効・薬理で主張されるのであれば、現在の科学 レベルでそれが優れているということを十分主張していただければ、当然それはそうい う差が見られましたというふうに私どもは考えます。また、余りそうではない、いいと ころ取りの試験結果の解釈である場合には、そうではありませんということを「審査報 告書」に残すように指導しております。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○小池委員 どうもありがとうございました。 ○池田部会長 それでは塩酸アムルビシンについては追加資料を含めて御了解いただい たということで、お認めいただきたいと思います。それでは報告事項に移りたいと思い ます。本日は4件の御審議をいただいたわけですけれども、報告事項について事務局か らよろしくお願いいたします。 ○事務局 報告事項の議題1及び議題2につきまして、資料5を用いまして簡単に御報 告させていただきます。こちらはバイエル薬品株式会社からの申請でございます。有効 成分名は錠剤、細粒剤が塩酸シプロフロキサシン、注射剤がシプロフロキサシンでござ います。こちらの申請は「効能・効果」の追加が主でございまして、次のページでござ いますが、「炭疽菌」が追加され、対象感染症名のところも「炭疽」が追加されており ます。こちらはバイオテロ対策に伴う迅速審査を行いまして、昨年の12月21日に既に 承認されている品目でございます。簡単でございますが、以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。報告事項について何か御質問ございますか。 よろしいでしょうか。そのほかに報告事項はございますか。 ○事務局 もう一件ございます。資料6を御覧ください。希少疾病用医薬品の取り消し について、御報告をさせていただきます。今回指定の取り消しを行いますものは、平成 9年3月に腸管出血性大腸菌の産生するベロ毒素(志賀様毒素:SLT)の腸管内からの 除去を予定される効能又は効果として提出された、略語で「TAK-751S」というものでご ざいます。平成8年当時、大阪堺市において腸管出血性大腸菌O-157感染症が集団発生 したということで、関係閣僚会議による緊急行動計画の中におきまして、生体内の毒素 を中和・吸着する医薬品等の開発を推進することとされました。このような状況を踏ま えまして、武田薬品工業株式会社がカナダのシンソルブ社からTAK-751Sを導入し、日本 においても有用性を検討することとなっておりました。疾患の緊急性もかんがみ、平成 9年3月には希少疾病用医薬品という形で指定をさせていただきまして、海外での開発 と平行し、この開発中止理由書の1ページの「3.開発の概要」の(1)〜(4)にあるよう に、国内において安定性試験、毒性試験、薬効薬理試験、あるいは第II相試験等を実施 してきたものでございます。  しかしながら、3ページの(5)に記載されておりますように、海外において実施され た第III相比較試験の中間解析結果において、対象群に対して統計的に有意な差が認めら れないということから、残念ながら実際の臨床試験で有効性が確認されなかったという ことで、本薬の開発を断念して試験研究の中止届が提出されたものでございます。最終 ページに開発の計画がまとまった表がございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。この報告事項について何か御質問ございます か。どうぞ。 ○吉村委員 これが取り消されて開発が中止になっても、実際の医療現場では何か代わ る薬剤などがあって、特に支障はないわけですね。 ○事務局 その点についてでございますけれども、O-157感染症による溶血性尿毒症に 関する医薬品として、実はもうこの部会でも御議論いただいているわけでございますが、 帝人株式会社の方から抗II型志賀様毒素ヒト型化モノクローナル抗体が平成13年4月 23日付けでオーファン指定がなされておりまして、その進捗状況を聞いていると、今の ところそれなりに進行はしているということでございます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。特にこの報告事項について御質問、その他ござい ませんでしょうか。どうぞ、菅谷委員。 ○菅谷委員 今の説明ですと、これを中止した理由は外国でやめたから日本でやめたと いうふうに聞こえたのですが、そうですか。 ○事務局 これは元々カナダで開発していたものを国内に入れるということで、日本国 内、海外両方併せて検討してきたということでございます。総合的な結果としまして、 やはりこれ以上の開発は困難であろうということで、開発を断念するという話になって おります。 ○菅谷委員 いや、ですから日本の検討結果はどうだったのかということを聞いている のです。 ○事務局 日本における第II相の試験の結果は、あくまでこれは第II相ということでご ざいますので、対照群等のデータを置いていないということでございます。その際の結 果につきましては、第III相ではないので十分なことは申し上げられませんけれども、そ れなりの結果が得られたということでございます。しかしながら、先ほど申し上げまし たとおり、私どももこの部分については十分に検討させていただいたのですが、実際に 海外で大規模な臨床試験が行われて有効性が示されないものについて、特に国内で小児 を対象にして臨床試験を実施するのはいかがなものかと、有効性が期待できないだけで はなくて、倫理的にも困難であるということでございます。また、これを元々開発して いた会社自身の方も開発をストップさせて供給をしないということを言っておりますの で、元々指定した背景も踏まえまして、これ以上会社に無理強いをするのは難しいので はないかと考えております。 ○池田部会長 菅谷委員、よろしいですか。そのほかはよろしいでしょうか。 ○板倉委員 こういった場合には、助成金等の扱いや審査というのはどうなるのでしょ うか。 ○事務局 助成金につきましては、これは実際に開発をしている最中のものについては もう助成をしてしまっていて、当然開発も目的にいたしておりますので、支給をさせて いただいています。ただ開発を断念した時点で、それ以降使用をしなかったお金につい ては御返還いただいております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほか、特にございませんか。ありがとうござ いました。本日予定しておりました審議、報告は以上です。事務局から何か連絡事項は ございますでしょうか。お願いします。 ○事務局 最後に事務局より前回平成13年11月21日付けで当部会で審議されました品 目の承認状況について御報告させていただきます。前回御審議いただきましたもののう ち、ジスロマック錠600mgにつきましては、HIV感染症関連の医薬品ということで緊 急に承認をいたしておりまして、昨年12月13日付けで承認させていただいております。 そのほかの品目のロイスタチン注8mg、ゾラデックスLA10.8mgデポ、シナジス筋注用 50mg、同100mg、タミフルドライシロップ3%につきましては、昨年12月10日の薬事 分科会を経まして、本年1月17日付けで承認しております。それから併せまして、昨年 8月31日の当部会で御審議いただきました注射用シナシッドにつきましても、規格関係 の審査が遅れておりましたが、今回同日付けで承認いたしております。以上でございま す。 ○池田部会長 ありがとうございました。課長から何かございますか。 ○審査管理課長 本日はどうもありがとうございました。次回は2月20日午後2時から を予定しておりますので、先生方、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは本日の審議はこれで終了させていた だきます。先生方、どうも御協力ありがとうございました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 33 -