02/01/18 第5回労働政策審議会雇用均等分科会議事録             第5回労働政策審議会雇用均等分科会             日時 平成14年1月18日(金)                15:00〜             場所 専用第12会議室 (分科会長)  ただいまから第5回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。それでは、議 事に入ります。1番目の議題でございますが、「育児休業、介護休業等育児又は家族介 護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律」、これの施行のための省令 案要綱についてでございます。  この件につきましては、昨年の12月20日に当分科会でご議論いただいたところでござ います。また、その折に申し上げましたとおり、本日、答申に向けた分科会報告を取り まとめたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。この件につきまして は、前回、ほぼご議論が尽くされているかと思っておりますが、何か本日特段のご意見 がございましたらお願いいたします。  特にございませんか。今日は議題も結構多いので、ご発言がなければ、当分科会とい たしましては諮問のございました「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働 者の福祉に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」につきまして、「妥当」 というように認めることとしてその旨の報告を私から労働政策審議会の会長宛に行うこ とにいたしたいと思います。これにつきましては事務局から案文が用意されております ので配付していただきます。                (報告文(案)配付)  これは、ご覧いただければわかりますように、「厚生労働省案は妥当と認める」と、 こういう案でございますが、この案文どおりでよろしいですか。                 (異議なしの声) (分科会長)  それでは、そのようにさせていただきます。2番目の議題にまいります。2番目の議 題は「育児・介護休業法第28条に基づく事業主が講ずべき措置に関する指針案」でござ います。本件は厚生労働大臣からの諮問案件でございます。実は、これにつきましては 既に前回の分科会で素案に基づきましてご議論いただいたわけですが、本日、厚生労働 大臣から労働政策審議会会長宛に諮問が行われましたので、これを受けまして当分科会 において審議をしたいと思います。それでは、事務局のほうから素案からの修正点につ いて説明をお願いいたします。 (事務局)  ご説明申し上げます。題名ですけれども、これにつきまして素案の段階では「事業主 が講ずべき措置に関する指針」ということでしたが、何について事業主が講ずべき指針 かということを明らかにするために、そこにございますように、若干長うございますけ れども、法律の題名等を踏まえました名称に改めております。  前回のご議論を踏まえまして内容的に3点ほど修正いたしております。2頁ですが、 期間を定めて雇用されるものに該当するか否かの判断に当たってのチェックポイントと して、イロハニホと挙げられているうちのロの所でございます。前回も「地位の基幹性 」ということでお出ししておりますけれども、確かにわかりにくい面もありますけれど も、今日お出しした案では「基幹性・臨時性」ということで対義語を置いております。  期間を定めて雇用される者の中にも、例えば2カ月更新の臨時契約社員と、それを2 年ぐらい続けてなることができる1年契約の社員、基幹雇用社員というものがあった場 合にそのより長いほうの臨時的でない労働者について基幹性が認められるというもので ございますけれども、これについて「臨時性」という対義語を置くことによりまして、 若干ではございますけれども工夫をいたしました。  3頁目ですが、三の「不利益取扱い」の所の(二)です。「不利益取扱いとなる行為 の例示」の所ですが、ロは前回お出しした資料では「退職の強要等を行うこと」となっ ていたわけですが、前回、パートタイム等への身分の変更もここに明示的に書いたらど うか、というご意見がございましたので、そのように修正をいたしております。ここを 修正したことに伴いまして、4頁の(三)のイですが、これの最後の2行の所も併せて 修正をいたしております。(二)のロのこれこれに該当することということで、非常に 長くなっておりますが修正をしております。  最後の9頁です。転勤の配慮の関係ですけれども、ここに転勤の配慮の内容を例示い たしております。その最後の所が「確認等を行うこと等があり得ること」ということ で、例示ですので「あり得ること」と書いておりました。前回のご意見を踏まえまし て、1行目の最初に「配慮することの内容として」はの後に「例えば」という言葉を挿 入するとともに、文書の最後は「あること」という形に修正をいたしております。その ほか、若干、文章をきちんと精査したことに伴いまして「てにをは」のような所は直っ ておりますけれども、主な修正点は以上でございます。 (分科会長)  ただいまの説明についてご意見あるいはご質問がございましたらどうぞ。 (委員)  前回の意見を踏まえて3カ所修正が加わりましたので、それは除きまして6点ほど申 し上げたいと思います。1つは、前回の分科会以降10日までにパブリックコメントを求 めていきます、ということでしたので、パブリックコメントはどのぐらい寄せられて、 もしわかればどのような内容が多かったのか、議論の参考のために教えていただきたい と思います。  それから、指針の諮問についてですが、1つは期間雇用者の育児休業などの適否判断 についてわかりにくいということがありますので、事業主の方がその判断基準をわかり 易いために、これから周知等に当たってはぜひわかり易くお願いしたい。不利益取扱い の禁止についてで、指針の第二の三の(二)のニに「降格させること。」ということが あります。  不利益取扱いの禁止については雇用均等室に寄せられた事例を基にして定めたという 考え方なのですが、私どもがいろいろな関係する団体等から聞きますと、例えば昇格及 び昇進を停止させることに伴う不利益も結構寄せられている、ということもあったので す。特に、長期間に及ぶ昇進・昇格については本当に不利益に当たるということだと思 いますので、そういう意味では降格のほかに「昇格及び昇進を停止させることを含む」 というように挿入すべきではないかと思います。それが第1点です。  2つ目に、「就業環境を害すること。」という中に、言葉によるいじめというのがあ りますので、これも明記すべきではないかと。3点目には、いずれにしてもこの事例を 今後集積して、今日確認されるであろう指針の不利益対策の内容のほかに、修正も含む 対応が今後必要になるのではないかと思いますので、その辺の考え方をお聞きしたい。  それから、法第21条の関係の周知の努力義務ですが、指針の第二の六の所でございま す。「周知することは望ましいものであることに配慮すること」という書き振りなので すが、配慮するということではなくて「周知するように努めるべきである」というよう に修正できないか。特に、法律が「努めなければならない」というように規定している わけですから、指針で配慮というのは法の効力を弱めることにもつながりかねませんの で、そのような考え方にすべきではないか。  職場復帰の問題について、指針の第二の七の(一)「原職又は原職相当職に復帰させ ることが多く行われるものであることに配慮すること」と、ここも配慮になっているわ けです。「原職又は原職相当職に復帰させること」というように変えていくべきではな いかということです。  ただし、職場の変更等によって原職または原職相当職でなくなる場合もありますが、 それは合理的な理由があるわけでありまして、そういうものを除いてやるようにすべき ではないか、というのが原職復帰についての意見です。  最後に、前回も申し上げたのですが、時間外労働の制限について。基準法に基づい て、特に三六協定の届出様式に特定労務者という欄がありまして、これが、今回育児休 業法にきたことに伴って届出様式の変更も行われると聞いています。集団的時間外労働 の制限の管理と個人管理という違いはあるものの、届出様式などはわかるように工夫す べきだということについて、前回、基準局と連携をとって工夫したい、というご答弁を いただいていますが、その工夫するということについてのその後の基準局との話合いが あったのかどうか。 (事務局)  第1点目のパブリックコメントです。これは前回ご説明いたしましたように、昨年12 月20日、当分科会の終了後に意見募集を開始いたしまして、1月10日で締め切っており ます。このパブリックコメントの結果、省令案につきましてはお1人から、指針案につ きましては6人の方からのご意見を頂戴しておりまして、それぞれ、件数は省令案は合 計6件、指針案については34件ということでございます。  このパブリックコメントにつきましては、いただいた意見についての回答を現在作成 しているところでございまして、この省令、指針が公布される前にきちんと省としての 考え方を公表する予定でございまして、現在、そういった事務手続中でございますの で、詳細について現時点で整理してご報告することはできません。概して言えば、この 分科会で出された意見と同じような問題意識の意見が多かったように思います。近いう ちにきちんと整理したものを公表いたしますので、そちらのほうをご覧いただければと 思います。  期間雇用の指針案の内容ですが、期間雇用のところにつきましてはわかりにくいので 周知に十分工夫を、ということでございましたので、この省令、指針が出来上がりまし て公布されました後、私どもも全国でこの省令、指針等についての説明会を開催してい くわけですけれども、そういった際に使うパンフレット等の資料においてわかり易くな るように工夫をしてまいりたいと考えております。  不利益取扱いの所ですが、昇格、昇進、特に長期間の昇給停止とか、そういうお話が ございました。今回のこの不利益取扱いの禁止について指針で定めますのは、どういっ た場合に不利益取扱いになるのか、ならないのかその判断に当たっての具体的な考え方 を示すものでございます。昇進、昇格の停止等につきまして、前回もご説明いたしまし たように、私ども都道府県労働局のほうに寄せられている典型的な相談事例の中にはそ ういったものがなかったということもあります。もちろん、世の中一般でないというこ とではないのですが。  実際に昇進、昇格というのはそれぞれの企業によってさまざまなシステムで行われて いるのが実態かと思いますので、現時点におきまして、こういう場合には不利益取扱い になる、こういう場合にはならない、というような判断の物差しを今回お示しすること はなかなか難しいというように考えております。  もちろん、ご指摘がありましたように、休業の取得等を理由といたしまして長期間に わたって昇進とか昇給が停止されるようなことは一般的に言えば不利益取扱いに該当す る可能性が高いと思いますけれども、どういう状態になったら不利益取扱いになるの か、というところの考え方は現段階でははっきりお示しするのが難しいものですから、 今回は指針に盛り込んでいないというところでございます。  ただ、ここでもご説明いたしておりますように、この指針に例示したもの以外に不利 益取扱いに該当するケースが当然あり得るわけですし、非常に極端な例として考えられ る長期間の昇給停止というようなこともそういうものの1つになり得るわけですので、 そういった点については十分周知に努めてまいりたいと考えております。  就業環境の言葉によって就業環境を害することですけれども、これは事業主に禁止さ れる行為でございまして、一般的に上司、同僚、いわゆる職場の周りの人たちによる言 葉のいじめが多いのかと思いますけれども、均等法のセクハラのように、そういうよう なことがないような職場をつくる雇用管理上の義務を事業主に負わせているわけではご ざいません。  職場にあるそういうものを直ちに禁止するというようなことは難しいということもあ り、事業主が自ら行う行為だけが不利益取扱いになり得るわけです。そういったような ことも考えますと、今回、この例示に指針上盛り込むまでには至らないのかなと考えて おります。これも、先ほどの問題と同様に、当然、ケースによっては不利益取扱いにな り得るわけですので、周知なり指導に当たっては十分留意してまいりたいと考えており ます。  いずれにいたしましても、現時点におきます事例を私どもなりに整理いたしましてつ くってきているわけですけれども、委員からお話がありましたように、今後またこの指 針に直接該当しないような事例も出てこようかと思います。そういったものも十分蓄積 を増しまして、必要があればまた適切に見直しを行うというような方針で対応してまい りたいと考えております。  第二の六の「休業等の定めの周知」でございます。これにつきましては、6頁ですけ れども、委員からお話がございましたように、今日もまた書かせていただいているかと 思いますが、法律の条文は第21条になるわけでございます。16頁ですけれども、「事 業主は育児休業、介護休業に関してあらかじめ次に掲げる事項を定めるとともに、これ を労働者に周知するための措置を講ずるよう努めなければならない」と、努力義務でご ざいます。  事業主がこの法律上の努力義務を果たすに当たって留意してほしい、ということをこ の指針に書いてあるわけでございます。したがいまして、この指針で「望ましいもので あることに配慮すること」というのは、休業中の待遇とか休業後の労働条件について定 めるのが望ましいので配慮することではなくて、それは当然、定めるように努めなけれ ばならないわけです。  それを定める、あるいは周知する場合に、その規則を一括して定め、一括して周知す ることが「望ましいものであることに配慮すること」ということでございます。その一 括してやるかどうかというのは法律上何も言われていないわけですので、その法律上、 全く努力義務がかかっていないそういった部分について「望ましいものであることに配 慮すること」ということで、事業主に「できるだけこうやってください」ということを 期待しているものでございます。したがいまして、ご懸念のように法律の意味合いを弱 めるものでは決してございませんのでご理解をいただければと思います。  職場の復帰でございます。同じ6頁の七の所ですけれども、職場の復帰につきまして は決して行われては困るのは不利益取扱いのほうで、不利益な配置の変更というのは禁 止されるわけです。先ほどご指摘があったのは、禁止されるものではなくて、望ましい ものとして原職または原職相当職への復帰というものを記述すべきというご指摘かと思 います。一般的に言えば、我が国の雇用慣行の中ではいろいろな人事ローテーション、 キャリア形成を図っていくための人事ローテーションというものも行われるわけでし て、その一環として復帰後に異動が行われることもあるわけでございます。職場により ましては、休業中に後任の者を配置しないと仕事が回っていかないので、そのための人 事異動を行うケースもあるわけでございます。どういう場合でも原職ないし原職相当職 に復帰させるべきである、というようなトーンでこれを一律に枠をはめるのは適切では ないのではないかと考えているところでございます。  時間外労働の関係ですけれども、前回も申し上げましたように、三六協定の様式とい いますのは労働基準法施行規則で決まっており、労働基準法の施行上の問題です。私ど もとしましては、ただ労働基準法だ、育児・介護休業法だといいましても、同じ時間外 労働についての制度を持つわけでございますので、それが全然本省で取扱っている局が 違うからといってばらばらで行われていいというものではないと認識しております。ど ういうやり方で連携をとっていけるのか。できる限り連携をとってやっていきたいと思 いますが、現在、施行に向けてその辺は検討しているところでございます。なるべく労 使の皆さんに理解していただき易いように工夫をしてまいりたいと思っております。 (分科会長)  よろしいですか。では、ほかに。 (事務局)  いまの原職復帰の問題なのですが、一昨年も同じような議論をしたと思うのですが、 積極的な配慮をする結果として原職から外すような事例もありますので、これでいいの ではなかろうかなと思います。特に、時間外が多い職場とか少ない職場があるわけです けれども、時間外が多い職場にいてこの育児休業をとって戻るときには、いろいろな ケースがあると思うのですが、必ずしも原職に戻るのが好ましくない場合もあります。 そういうことを考えるとこの表現でよろしかろうと思います。  もう一つ、不利益取扱いのところで昇格、昇進の問題ですけれども、これは育児、介 護休業の問題と離れてもかなり難しい問題であるものだと思うのです。特に、何が差別 かというのは非常に難しい問題になってきて書き切れないと思います。多分、一昨年の ときにもそういう議論をしたように記憶しておりますので、そこを入れるのは無理があ ろうかなと思います。 (分科会長)  ほかにご意見ございますか。 (委員)  表現の仕方なのですが、何カ所か出てくるのですが、3頁の(二)のロで「退職又は 正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更」と。内 容はこのとおりでいいと思うのですが、ここにパートタイム労働者等と例示を入れるの がいいのかどうか。つまり、パートタイム労働者は皆非正社員であるという、これは パート労働というようなものに対するマイナスイメージをここに書き込むことではない かと。  パートタイム労働というのは短時間労働者ですよね。正社員にもいるわけです。育児 休業で短時間というものをとれるようにしているのは、まさに、正社員として短時間に 移るわけですから、パートタイム労働者とここに書くのはどうかなと。特に、この局で パートタイム労働者の労働条件、処遇の改善ということを言っている以上、書かなくて もいいのではないか。「退職または正社員を非正規社員とするような」で十分ではない かというだけの話なのです。これだとパートタイム労働者イコール非正規社員という、 非正社員の代表例としてパートタイム労働者を書くようではどうかなということです。 「嘱託など」と書くか。 (事務局)  非正規社員というような言葉が世の中でどれだけこなれた表現として受けとめられて いるかということかと思うのです。ただ、男女雇用機会均等対策基本方針に同様の記述 があったものですから。あれはもう一昨年になりますか。ということで書かせていただ いているので、ご指摘のようなご懸念があるのも言われてみればそうかなと思う面もご ざいます。 (委員)  いままでそれをひきずってきてしまったということだと思うのです。どこかでやめな ければいけないのではないかと。過去にやってるから今度も、というのはどうなのかな と。これから短時間労働というものを良好な雇用機会として位置付けていく議論をして いるわけですよね。育児休業、介護休業法というものは特に短時間勤務というものが入 るような仕組みですね。その辺を考えていただくといいかなと思ったので。 (事務局)  はい、よく勉強させていただきたいと思います。 (分科会長)  ほかにご意見ございますか。それでは、当分科会としましては、諮問のありました育 児・介護休業法第28条に基づきます子の養育または家族の介護を行い、または行うこと になる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図れるようにするために事業主が講ずべ き措置に関する指針案について、「妥当」と認めるということでその旨を私のほうから 労働政策審議会会長に行うことにしたいと思います。これについて事務局のほうから用 意した案文を配っていただきます。                (報告文(案)配付) (分科会長)  お配りしました報告文案文のように厚生労働省案は妥当と認めるということでよろし いでしょうか。                 (異議なしの声) (分科会長)  皆さんのご承認を得ましたので、そのようにさせていただきたいと思います。ここで 事務局よりご挨拶がございます。よろしくお願いします。 (事務局)  どうもありがとうございました。仕事と子育ての両立支援という大変大事な分野の仕 事でございました。たしか、その法律自体は平成3年の法律ですから、10年振りの見直 しで、もちろん、その途中で介護休業制度を導入するための大きな制度改正がありまし たけれども、育児休業、その周辺の問題としては10年振りの大きな見直しの作業をやっ ていただいたことになります。  1年半ご議論いただきましておまとめいただきましたので、後は私どものほうが速や かに公表いたしまして、4月1日からの施行の準備、怠りがないように各地方労働局の 雇用均等室を中心にいたしまして周知を集中的にやりたいと思っております。そのとき には委員の方々にもご協力をいただきたいと思っております。また、この後も雇用機会 均等行政、狭い意味の均等法の施行の状況、あるいは、いま委員がおっしゃったパート タイム労働問題。あるいは、育児介護休業の分野でも介護の分野についての見直しがま た課題として残っておりますので、そういう重要な課題を必要な時期にしっかりご議論 いただかなければいけないと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 (分科会長)  それでは、議題3の「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措 置に関する指針の一部改正案要綱について」に移らせていただきます。本件も厚生労働 大臣からの諮問案件でございます。これにつきましては、本日、厚生労働大臣から労働 政策審議会長宛に諮問が行われました。これを受けまして、この分科会におきまして審 議を行うことにしたいと思います。最初に、事務局から説明をお願いいたします。 (事務局)  資料3でございます。頁をめくっていただきますと、要綱がございます。いまご議論 になった育介法の改正に伴いまして、パート法の中にも指針の所に育介法に関連する部 分がございますので、そこについての所要の規定の整備を行うということでございま す。平成14年4月1日から適用という考え方でございます。要綱は以上ですが、若干、 具体的に次の頁で見ていただきますと、パート法の第8条に事業主が講ずべき雇用管理 の改善等のための措置について指針を定めるということが書いてあります。その指針の 中身ですが、この第二の二の所に「短時間労働者の教育訓練の実施、福利厚生の充実そ の他の雇用管理の改善」、そこの(三)の所に「育児休業又は介護休業に関する制度等 」と、こういうところがございます。ここについての法改正に伴う所要の整備というこ とでございます。  頁をおめくりいただきますと、これはまだ改正のイメージですが、3点修正する所が あるかと思います。1点目は、先ほど指針のご説明もありましたけれども、今回、期間 を定めて雇用される者ということにつきまして、実質的には期間の定めのない契約とい うことについての判断基準がかなり詳しく書いてございます。パート労働者の場合はこ この部分との関連性がかなり強いということでございまして、上段の所にありますよう に、2頁目(三)のイの(ロ)「期間を定めて雇用される者」というように書かれてお りまして、「次に掲げる者に対するものを除く」というようになっていますが、その内 容につきまして、まさに、先ほどありました育介法の指針に定める事項に留意するもの とするということが1点。  2点目は、その次のロの所ですが、「時間外労働の制限の措置」ということが育介法 に加えられたということに伴う修正でございます。3点目はハの所で勤務時間の短縮等 の措置につきまして、1歳から3歳までに達する子を養育する者に対するところまで措 置をされることに伴う修正、この3点でございます。 (分科会長)  ただいまの説明につきまして、ご意見あるいはご質問がございましたらどうぞ。特に ご意見ありませんか。そういうことでしたら、当分科会としましては、諮問のありまし た事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針の一部 改正案要綱につきましては「妥当」と認めるということとして、その旨を私のほうから 労働政策審議会会長宛に報告したいと思います。これにつきましては事務局から案文を 配っていただきます。                (報告文(案)配付) (分科会長)  お配りしましたような案文でよろしいですか。                 (異議なしの声) (分科会長)  それでは、これによって報告をさせていただきます。最後の議題にまいりますが、 「労働分野における人権救済制度の在り方について」、これについての報告がございま すので、お願いいたします。 (事務局)  報告事項でございます。お手元の資料の資料4と、資料4の後ろに「参考」という分 厚いものが付いております。この2つをご覧いただきたいと思います。特に資料4を中 心にご説明をさせていただきたいと存じます。年末、12月20日に労働分野における人権 救済制度検討会議報告というものが出されておりまして、これについての報告でござい ます。  この検討会議報告が出されました経緯ですが、資料4の表1枚をめくっていただきま す。頁が打ってなくて申し訳ございませんが、報告の文章が付いております。この1枚 目を見ていただきますと経緯が書いてございますが、平成13年の5月25日に法務省に設 置されました人権擁護推進審議会から法務大臣に対しまして「人権救済制度の在り方に ついて」と題する答申が出ております。  この審議会の答申は、一口で申しますと、我が国において、幅広く人権侵害一般につ いて政府から独立した、これは仮称でございますが、人権委員会といった組織をつくっ て、それを中心とする新しい実効性の高い人権救済の制度を創設すべきであると。こう いった内容の提言でございます。  この答申が出た際に、その答申の中でそういう新しい制度をつくる中で既に被害者の 救済にかかわる専門の機関が置かれている分野については新しい機関と従来からの機関 との適正な役割分担を図る必要がある、ということが答申で指摘されたわけでございま す。そういう意味では、労働分野につきましては、この分科会にかかわりの深い均等法 ですとか基準法等々で既に従来から厚生労働省が雇用の分野における差別等々の問題、 人権侵害の問題については中心的な役割を果たしてきたわけですので、法務省から出ま した答申に基づいて新しい制度をつくる際に厚生労働省はどういう役割を果たしていけ ばいいのか、ということが課題になったわけでございます。  この課題を検討するために、資料4のいちばん最後の所にメンバー表が出ております が、昨年の10月に厚生労働大臣が労働分野における人権救済制度検討会議を参集したと ころでございます。これは、いわゆる三者構成の検討会議でございまして、この検討会 議におきまして労働分野における人権救済のあり方をご議論いただきまして、その結論 としてまとまりましたものがこの報告ということでございます。  報告の全体の中身を一言で申し上げますと、法務省の答申にあるような新しい人権救 済の制度ができるに当たって、労働の分野においてもそれと同等の救済制度の創設が必 要であり、そのことは基本的にごく一部を除いて、労働分野についてのノウハウを有す る厚生労働省及び都道府県労働局がこれを担当することが適当であると。一口で言いま すとそういう結論の報告が出ているわけでございます。  もう少し詳しくこのご報告の内容をご説明させていただきたいと思います。少し話が 複雑でございますが、最初に法務省が人権救済全般についてどういう形の仕組みをつく るべきだという答申になっているかということですが、資料を何頁かめくっていただき ますと横表で「別紙」がございますが、これの左半分、「人権侵害一般」と題されてい る所をご覧いただきたいと思います。あらゆる人権侵害を対象にして救済制度を設けて いかなければいけないということで、人権侵害一般につきましては簡易な救済、要する に、任意的な手法でやるような救済手段を設けてこの人権侵害を救済していくというこ とです。  簡易な救済と申しますのは、その頁の下の2つの段相談ですとか簡易な救済、具体的 にはあっせんとか啓発的手法を用いた指導等々でございます。こういった簡易な救済手 段を用いて人権侵害一般の救済を行っていく。  もう一つ、表の中の上から2行目ですが、「積極的救済」という言葉が出てまいりま す。一定の範囲の深刻な人権侵害に対しまして、より実効性の高い救済制度を設けよう ということが規定されております。この積極的救済の対象になる人権侵害の範囲が、そ の下にあります(1)から(4)でございます。  (1)が「差別的取扱い等」ということでポツが3つ並んでおります。人種、信条、性 別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向を理由とする社会生活。具体的には公権 力との関係に係るもののほか、雇用、商品・サービス、施設の提供、教育の領域等と。 そういった分野における差別的取扱い、セクシュアルハラスメント、人種等にかかわる 嫌がらせ、これが1つ目の領域です。2つ目が虐待、3つ目が公権力による人権侵害、 4つ目がメディアによる人権侵害。こういった範囲の人権侵害については積極的救済の 対象とする。  具体的にその積極的救済の方法が次の頁に書いてあります。欄が4つに分かれており ますが、下3つの欄をご覧いただきたいと思います。調停・仲裁、勧告・公表、訴訟援 助でございます。調停・仲裁は通常使われている調停・仲裁と同じでございます。勧告 ・公表は、勧告はその人権侵害の加害者に対して「人権侵害をやめるように」という勧 告を出すこと。その勧告を守らなかった場合にその事実を公表できる仕組みです。そう いった手段で救済できなかった場合に、被害者が訴訟を起こす場合にそれを援助する方 法として、1つは勧告をした事案等々につきまして調査の過程でいろいろな資料が入手 できておりますので、それを訴訟に活用できるように資料提供をする。実際に今度は人 権救済機関が訴訟に参加をするという、2つの訴訟援助の方法があります。  こういった積極的救済によってこれらの人権侵害から被害者を救済する仕組みです。 その救済の基になります事実関係の解明が非常に大きくなります。その欄のいちばん上 の所ですが、特別調査ができるようになる。特別調査とは、具体的に過料または罰金で 担保された質問調査権、文書提出命令権、立入り調査権等でございます。こういった、 いわば、非常に幅広い差別を初めとする人権侵害について、人権委員会という機関をつ くりまして積極的救済を行っていける仕組みをつくるべきである、という答申が出され たわけでございます。  これを受けて、それでは従来から基準法や均等法でこういった差別の問題を取り扱っ てきた厚生労働省の役割はいかにあるべきか、ということでご議論いただきました。そ の結論が、2頁目に戻っていただきまして、記の1から10までになっておりますので、 ここでかいつまんでご報告をさせていただきたいと思います。  記の1ですが、これが基本的な考え方でございます。法務省の答申を踏まえまして労 働分野の人権侵害についても他の分野における救済制度と同等の救済制度の整備を図る 必要がある。これが基本的な考え方でございます。  記の2をご覧いただきたいと思います。それではどこがどういう形で分担をするか、 というのが2でございます。労働分野につきましては、基準法や均等法で既に一定の人 権救済にかかわる制度が整備をされていること。労働分野の人権救済に当たっては、労 働法制とか労使慣行とか労務管理実務等に関する知識がどうしても必要になる。こう いったことを勘案すれば、労働分野における積極的救済については、一部、これは訴訟 参加の部分で非常に特殊なものですが、ここを除いて厚生労働省がこれを担当すること が適当であるということでございます。  3つ目に、この人権救済を担う機関の性格です。法務省の答申で出ております人権救 済機関は政府からの独立性を有する委員会組織という形になっております。そういった 組織が必要である、という答申をいただいております。これに照らしまして、労働分野 の人権侵害につきましても、救済制度の公平性や公正性を担保するという意味で、独立 性のある委員会である都道府県労働局に置かれている紛争調整委員会を活用することが 適当であるということが言われております。  次に、4でございます。人権救済につきましては、法務省の仕組みと厚生労働省が一 定部分を担うということになりますと、窓口がいくつもあって混乱するというような問 題が起きないように、利用者に対するワンストップ・サービスの提供という観点が非常 に大事であって、その観点から両機関の連携等、役割分担等をきちんとする必要がある ということが指摘をされております。  5でございます。では具体的に労働分野の救済制度の対象や仕組みをどうするか、と いうことでございます。大変恐縮ですが、先ほどの横表にお戻りいただけますでしょう か。右側が労働分野の人権侵害についての整理でございます。労働分野の人権侵害とし て取り扱うものとして、右側のいちばん上の欄にありますが、黒ポツ3つの分野が挙げ られております。  事業主が人種等を理由にして雇用の領域、具体的には採用とか労働条件において行う 差別的取扱い。職場におけるセクシュアルハラスメント。職場における人種等にかかわ る嫌がらせ。この分野が労働分野における人権侵害として定義をされております。  これに対して、相談、簡易な救済、これにつきましては厚生労働大臣が当たるわけで す。ただ、もちろんこれは任意的な手法でございますので、法務省のほうでつくること になる人権委員会も相談に応じ、必要があれば厚生労働省のほうの機関を紹介したり、 連携をしてこの相談、簡易な救済に当たることになっております。  積極的救済が次の頁でございます。特別調査につきましては、厚生労働大臣、具体的 には都道府県の労働局長に委任されることになるかと思いますが、厚生労働大臣が行 う。調停・仲裁につきましては厚生労働大臣が紛争調整委員会に行わせる。労働問題の 特殊性に鑑みまして、調停につきましては関係労使の意見聴取のための規定を設けるこ ととしております。勧告・公表につきましては、厚生労働大臣が行う。訴訟援助につき ましては、資料提供につきましては厚生労働大臣、訴訟参加につきましては、政府全体 としての人権救済とか、人権侵害全体の状況を見て行う必要があるとか、司法の場合の 行政の参加という非常に特殊な形ですので、そういった意味での専門性もあるというこ とでこの部分については人権委員会が行うと。こういう形が適当であるということに なっております。  もう一度元に戻っていただきまして、6でございます。6は、対象となる差別の範囲 でございますが、差別の未然防止という観点からも積極的救済の対象となる差別とはど ういったものかということを明確化する必要がある、ということが言われております。 当然のことではございますが、均等法に言うポジティブ・アクション等々は差別ではな い、ということが記述されております。  7でございます。このシステムの運営の適正化のためとして職員の研修を行うこと。 紛争調整委員会の運営について、地方労働審議会に報告をして制度の適正な運営を確保 する、ということが書かれてございます。  8は人権侵害の未然防止の関係でございます。そういった観点から、労働分野におけ る人権啓発を積極的に実施するということが書かれております。9が均等法との関係で ございます。こういった労働分野における人権救済の仕組みができますと、均等法に基 づく調停のように、これと内容が重なる部分が出てまいります。それにつきましては、 新たにつくられるシステムのほうが非常に強いシステムでございますので、重なる部分 につきましてはその強いシステムを使えるような法律の規定整備をする、ということが 書かれております。  最後、10でございます。9までの所はこの三者構成の検討会議で各側の意見が一致し たところですが、10の所で各側の意見が若干異なった点が記述されております。1つ は、労働側の委員から、調停・仲裁などの救済手続は独立性の高い国家行政組織法第3 条の委員会で行うべきである、という意見が出されております。  年齢差別につきまして、労働側委員からは、これらの差別的取扱いの中に年齢による 差別が含まれていないことは非常に問題である、というご指摘がありました。これに対 しまして、一方、使用者側の委員からは、そういった問題を救済制度の対象となる差別 とするべきではない、というご意見が出されております。  以上のようなことで、労働分野の救済制度について、人権全体の救済制度と同等の仕 組みを厚生労働省が担うものとしてつくるという結論が出されたわけです。この後の作 業といたしましては、この会議の報告を踏まえまして、厚生労働省で法務省と共同で次 の通常国会に所要の法案を提出していくということになっております。 (分科会長)  ただいまの説明に対して何かご質問がございましたらどうぞ。 (委員)  その結果、均等法が改正するということがあるのかどうかについて教えていただきた いのです。 (事務局)  これから法制局と技術的な問題として検討をしていかなければいけないのですが、何 かの形で、とにかく、女性に対する雇用の分野における差別の事後救済としては重なる 部分があると思います。いまの均等法の13条、14条の部分が重なりますので、その部分 について何かの形でその重なっている部分は両方の手段が概念的に使える部分について は強いほうの手段、法律を適用するのだよ、ということが読めるような形の規定整備を しなければいけません。それは、均等法の中に書かれるかもしれませんし、新法の中に 書かれるかもしれませんし、あるいはどこかの条文を削除して、それで終わってしまう のかもしれないのですが、そこはまだ技術的に詰めなければいけません。ただ、いずれ にせよ、整備の趣旨としては、重なる部分の適用関係を明確にする、強いほうが使える ようにする、という形の整備が必要になると考えております。その形はいまのところま だはっきりしておりません。 (委員)  女性が差別をされるということで、男性が差別されるというようなものまでこっちの 人権委員会のほうでやれるわけですよね。そうすると、今度は男性が差別されるという ことが持ち込まれたときは、均等法ではできないけれどもこちらではやれる、というよ うに今度できるものでやれるということですか。 (事務局)  おっしゃるとおりでございます。 (委員)  この機会にそれも含めて均等法を変えるという考え方はない。 (事務局)  実は、それはこちらの検討会議でも最初にご質問が出た点ですけれども、基本的には 非常に深刻な人権侵害があったときの事後救済の手段としての新しいシステムで、これ は、当然、男性も対象とすべきだというところまで世論がきたわけでこういう答申に なっているのだろうと思います。その限りにおいては、当然、男性も対象といたしまし て、今度、厚生労働省でその部分もやるということでございます。  均等法は事後救済だけではなくて、女性差別に関するかなりトータルな法律ですの で、その中で男性を扱っていくかどうかというのはもう一つ次元の違う問題として新た に議論をしなければいけない問題というように整理をしております。 (委員)  質問ではなくて感想です。検討会に参加をさせていただきました。この間、均等法に かかわる課題、私の主張のスタートはそこなのですが、均等法にかかる課題としてとら えるときに個別紛争の問題を巡る機関の議論と今回の人権救済機関のかかわりで均等法 のテーマが出てきたという経過があったと思います。どうも印象として副次的に出され てきているというような、それは私自身の主観的な意見です。  そういう状況を見るとやや不安になるのが、均等法というのは、これから連合が均等 法の制定や改正に向けて、いま委員もおっしゃったように、本来、性差別を禁止して雇 用の分野の平等法というものを目指すことがその目標です。その中では、これからまだ 検討が必要と思われますが、間接差別の問題をどうしていくかとか、セクシュアルハラ スメントも人権委員会の中で幅広く扱われますが、そもそも、職場におけるセクシュア ルハラスメントを禁止する措置というのは、いまの段階の防止のレベルでは十分ではな いという問題意識や、現在の均等法が、独立性や公正や、いくつかの点で十分でない 等々、均等法としての課題が多く残っております。  正直、職場から見た場合、幅広く人権侵害を救済することは大変歓迎なのですが、身 近なところで誰もがその法律を理解して使いながら、むしろ、それを起こさないように していくという意味でも均等法というのはまだまだ期待が高い。それに対して少し不安 を持ちました。そういうことはないとは思いますけれども、ぜひ今後、こういったこと とは別に均等法の実効性を高める議論を積極的に、パターン化された議論ということだ けでなくやっていく必要があるだろうと思っています。  最後に、大変恐縮ですが、私は、正直、労働行政で人権侵害を救済できるのか、とい う素朴な疑問というか不安を持っています。かといって、法務省でそれをやればいいと いうことでもないので、自分の気持も矛盾するのですが、本当に私たちの社会というの は人権というものをどうとらえているのか、ということを、女性労働だけではないので すが、被害者の立場に立って改めて考えていく。  あるいは、相談者がどう戸惑わずにそういった機関で早急に働き続けるというか、そ ういった働きが続いてできるかということを、先ほど研修という所がありましたけれど も、ぜひそこを積極的にやっていただきたいと思いますし、同様にそれは私たち労働組 合の課題でもあると考えております。そこだけ感想を申し上げたいと思います。 (事務局)  委員がおっしゃったいまの均等法が片面的で男性差別を扱っていないという問題と か、いま委員がおっしゃった間接差別の問題、セクシュアルハラスメントの問題、いず れも均等法の将来の法制を考えたときの検討課題だという認識は引き続き持っておりま す。働く女性の現状や企業の雇用管理の現状がどのように変わっていくのか、労使の意 識や社会全般の意識がどのように変わっていくのか、ということを見ながら適当な時期 に、そんなに遅くない時期を期待したいと思いますが、またここの審議会でそういう議 論をしていただくことになれば大変いいなと思っております。  今日、参考までに予算資料をお配りいたしておりますけれども、その中にも出てくる のですが、例えば間接差別問題一つとっても、まだここの審議会でご議論いただくほど の世の中の問題意識の煮詰まりがないと思いますので、例えば間接差別についてはそれ を検討する場を別途設けるための予算要求も平成14年度にさせていただいております。  日本の労働市場で、日本の雇用管理の中で、何が間接差別に当るのかというようなこ とについて、諸外国の例なども参考にしながら、その日本版の概念というのか、そうい うものも勉強したいと思っております。ですから、引き続き、均等法制上の大きな課題 が残っているし、それらの課題をいつの日か遠くない日に解決したいという気持は十分 持っております。 (委員)  法律上のいろいろな整備とかはこれから作業があって具体的に詰められて、実際に各 企業や職場での実行という、そういう手順になると思うのです。その場合に、私たちが お伺いしていても非常に複雑というか、非常にわかりにくいわけですよね。均等法で網 をかけて、紛争のあれでかけて、基準法の関係でかけて、また今度人権という。  それに、それぞれにいろいろ実効上の強さなども違う、強制力が違うと。企業の側に とってはペナルティの大きさが違うし、働く側にとっては、頑張って押せるんだ、とい うような違いとか、私たちが伺ってもすごく難しい。ぜひ、全体のそういうわかり易 い、働く人にとってもガイドとなるように、また、企業の雇用管理担当者の方たちも大 変難しいと思いますので、そういうものをきちっとつくるのは厚生労働省でつくるとい うことになるのかと思います。ということを要望として出したいと思います。  それに併せてもう一つなのですが、そういう形である均等法の全体像があるわけです けれども、ある部分はかなり強制力を持って、ほかの法律とも絡んであるのだけれど も、ほかの部分は弱いというような色分けみたいなものも見えてくるわけです。  そうすると、何か、懸念材料としては、こっちを犯したら大変だけれどもこれは大し た強制力がないのではないか、というような風潮も出てくる懸念がないとも言えないと 思います。でも、均等法というのは、強制力というのは労働の現場の現状を踏まえて、 これはこの程度の強制力を持ち、ほかのものはそれを持たないほうがうまくいくだろ う、というようなこと。全体像としては強制力の弱いものも来たるべき社会へ向けての そういうルールとして、均等法の精神として打ち出しているものなのですから、全体像 としてきちっと理解していただくという。実行上、いろいろと色分けについてきちっと 情報を知らせると同時に、均等法全体のあるべき姿、今後の姿というようなものもこれ から厚生労働省を中心として情報をきちっと提供していただければと思います。 (事務局)  そのとおりですから、努力をしたいと思います。結果としては、働く女性の事後救済 という意味では今回の人権救済法が成立しますと扱われる領域の広さ、救済する手段の 強化ということで大変な朗報だと思いますけれども、確かに、根拠になる法律がややこ しくてわかりにくいというのはそのとおりだと思いますので、働く女性の側からとって みて、あるいは企業の人事管理をする方から見てわかり易いような広報のための資料は 工夫をしてつくっていかないといけないと思います。 (分科会長)  ほかに何かいまのようなご感想でもありましたらどうぞ。特にこれ以上ございません でしたらば、本日の分科会はこれで終了したいと思いますがよろしいですか。 (委員)  予算の関係でいま資料を配っていただいていると思うのですが、育児介護休業法の関 連で話が出ていました子どもの看護休暇と短時間勤務等の助成金についてはどこの部分 に書かれているのかご説明いただけたらと思います。 (事務局)  2頁に「仕事と家庭の両立支援対策の推進」という所があります。この2の中の文章 をお読みいただきますと、看護休暇制度導入奨励金の創設と。もう一つ、育児両立支援 奨励金、これは勤務時間短縮等の措置ですけれども、そういったものの奨励措置と併せ て予算の政府案には入っております。今年の4月からの予定でございます。 (委員)  個別の助成金の規模は国会でお話が出ていたような金額になるわけですか。 (事務局)  金額は、それぞれ、おおむね1億円程度だったかと思います。 (委員)  トータルではなくて、1つの企業に対する助成金の金額というのは。 (事務局)  要求の段階と変わっておりません。 (委員)  30万と40万ですね。 (事務局)  そうです。 (委員)  奨励金の話ですけれども、もともと、看護休暇は努力義務であって、有給・無給は問 わない、という前提の議論が進められておりますので、そういうことで結論が得られて おりますので、奨励金支給の前提として有給・無給を的にしないでください。 (事務局)  それは無給でも対象になるということでやる予定にいたしております。 (分科会長)  よろしいですか。それでは、本日の分科会はこれで終了させていただきます。                 <照会先>                  雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課                           企画係 (内線 7855)