検討会、研究会等  審議会議事録  厚生労働省ホームページ

第5回BSE問題に関する調査検討委員会の概要について<暫定版>

(平成14年1月31日)

1.委員の出欠

 委員10名中9名が出席された(欠席者・・・砂田委員)。

2.資料説明と質疑

○資料一覧
資料1 農林水産省と厚生労働省の役割分担及び政策調整の仕組みについて
資料2 畜産・食品衛生行政に関する農林水産省・厚生労働省間の連携等の事例
資料3 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果(農林水産省)
資料3-2 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果(厚生労働省)
資料4 現地点までのBSEにかかる各国の対応
資料5 第4回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料(農林水産省)
資料5-2 第4回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料(厚生労働省)
資料6 これまでの行政対応に関する委員の主な御意見(第1〜4回)の概要
参考配布

・ 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果票(農林水産省)
・ 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果[質問9及び10に対する回答](農林水産省)
・ 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果票(厚生労働省) ・ 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果[質問13及び14に対する回答](厚生労働省)
・ 委員御指摘の資料項目とそれに対する対応状況 ・ 雪印食品問題の経緯と今後の対応
・ 平成13年2月16日の農林水産省と厚生労働省との定期懇談会において、BSEに関して農林水産省から説明を行った資料

 関係資料について事務局からの説明後、質疑等が行われた。その中では、次のような御意見・御質問があった。

・ アクティブサーベイランスを始めた際に、対応マニュアルを作るべきであった。
・ 第5回牛海綿状脳症(BSE)技術検討会の助言を踏まえ、OIEリファレンスラボラトリーに検体を送付し、最終確認を行うこととしたとあるが、確定診断ができており、技術検討会の議事録を見ても「疑似患畜」とするようにとの助言は読みとれない。どこで「疑似患畜」との扱いにすると決めたのか。
・ 家畜伝染病予防法では、疑似患畜だと市場価格の4/5が補償され、患畜だと1/3が補償されることになっているが、アクティブサーベイランスをやって、BSEと診断された場合と、BSEでないと診断された場合では対応が異なるのか。
・ 食品行政に係る厚生労働省と農林水産省の連携については、平成9年のO-157をきっかけとして、両省の制度上の連携を図ることが行われてきたわけであるが、その後家畜伝染病予防法の改正が行われた際に、O-157は牛の病気ではないとのことで含まれていない。制度上は農林水産省と厚生労働省は役割分担をすることになっているが、家畜伝染病予防法上では連携ができていない。家畜伝染病予防法は、公衆衛生の視点がないのが欠陥である。
・ 「初発例において、我が国の診断技術がOIEリファレンスラボラトリーにより、改めて確認された」というのは、研究者に対し失礼である。
・ (第5回牛海綿状脳症(BSE)技術検討会で)疑陽性という言葉を用いず、陰性なら陰性、陽性なら陽性としてくれと言われたのでそうした。
・ 「我が国の診断技術がOIEリファレンスラボラトリーにより、改めて確認された」ことに関する文書はあるのか。
・ (「疑似患畜」としたことは)研究者の技術を信頼しなかったことになる。第5回牛海綿状脳症(BSE)技術検討会では、「疑陽性」とか「疑似患畜」との結論は出していないが、なぜ「疑似患畜」としたのか。このことにより、一般国民から日本の検査技術についての信頼が失われた。
・ (技術検討会では)英国に送ることは助言にあるが、「疑似患畜」という表現は委員からの発言にはない。
・ 資料5の2ページの表現は適切ではないので、文章の修正につき事務局と相談したい。
・ 厚生労働省と農林水産省の連携について、年1回開催されている両省の定期懇談会の議事運営は、推察ではあるが、単に説明して終わりではないか。中央省庁等改革では、利益が相反する場合は別々の所管にし、その場合はそれぞれが責任分担を果たしながら緊密な連携を確保していくべきということで、厚生労働省と農林水産省の関係が新たに発足したと思うが、この定期懇談会では、緊密な連携とは言い難い。
・ 例えば、飼料安全法では、厚生労働省は農林水産省に対し意見を言えるようになっており、この制度を積極的に活用すべきであった。そのような本当の意味での連携が図られていくべきであったが、行政が縦割りになっており、互いに関知しないという態度をとったために対策が遅れたという事実は大きな問題である。
・ コーデックス連絡協議会についても、資料では関係者に対する情報提供、消費者等からの意見聴取を行うと書いてあるが、コーデックスの部会等の事後説明のみで、事前に意見を伺う場とはなっていないのが実態であり、この記述は誤解されやすい。
・ 食肉・食鳥処理問題調整協議会において、構成員は、厚生労働省は食品保健部長、監視安全課長、担当課長補佐、農林水産省は、畜産部長、食肉鶏卵課長、担当課長補佐となっているが、協議の内容に応じ、上記以外の関係者を構成員に加えることができるとなっている。これまで、衛生課や技術会議から協議会に参加したことがあったのか。
・ 1996年4月11日の厚生省の食品衛生調査会常任委員会・乳肉水産食品部会については、農林水産省技術会議がオブザーバーとして参加している。BSEが発生した後にもこの会議があったが、技術会議から出席していたのか。
・ アンケートについては、かなり回収率も高かった。将来ビジョンも示されている。
・ 農林水産省と厚生労働省の機能分担に係る用語で、食品行政の定義と食品衛生行政の定義との関係はどうなのか。また、食品安全行政という文言は省庁再編で定義づけられていたのか。
・ 各省間の政策調整について、府省は、任務達成の範囲において、他の府省に対して意見を述べることができるようになっており、これは相互にチェックし合うという精神であったと思う。しかし、両省は、身を引きながら、相手の動きを観察してきたのではないか。各省間の政策調整システムとからめて今回の事態をどう評価しているのか。
・ 精神論だけでは実際の調整はできないということが今までの経験から出てくるが、これを今後どのように詰めていくかが課題である。
・ 省庁の連携について、消費者が不便と感じているのが表示の問題である。同じ内容のものがJAS法と食品衛生法で表示が異なっていて非常に困る。
・ コーデックスの会議の関係では、農林水産省はボランタリーで、事前に出席者の意見を聞く場を作ってくれた。しかし、消費者が関心のあるテーマは、厚生労働省が所管しているテーマが多いが、厚労省からの出席、資料提供はスムーズにいっていない。消費者の立場にとって必要なところは緊密な連携があってしかるべき。
・ 両省は利害が相反するので分かれたのだから、互いにチェックする機能が必要である。しかし両省ともそれがされていなかった。
・ 衆参両国会で「食品衛生法」の改正の請願が採択されたが、その内容がどのようなものであるか、また、それに対してどのような取り組み行われ、厚生労働省と農林水産省でどのような連携が行われているのか、資料を提出してほしい。また、10年前に、「食品安全法」制定の提案があったが、厚生労働省、農林水産省はどのように承知していたのか。
・ 省庁間の連携についてであるが、食品の問題について農水省・厚生省どちらに照会したらよいかということで、過去には、例えば両省とも引いてしまい行き場所がなくなる場合もあれば、両省が取り合って当惑したこともあり、また省内でたらい回しされた経験もある。平成元年より前の話であるが、両省にまたがるような問題について、経済企画庁国民生活局に仲介をお願いしたが、お手上げであった。平成元年より厚労省及び農水省の間で定期的な懇談会が開催されるようになったが、積極的にやっていこうとするか、そこから引けた感じになるかで全然違う。
・ 行政対応に関する調査を見ても「人員不足でできるような状態でなく、もっと別の機関を作ることが必要」等積極的な意見が寄せられている。既存の組織とは全く別の組織が必要とも思うので、今後それを考えていく必要があるのではないか。
・ 何のために行政改革があったのか。やたらに図体が大きくなることがいいことではない。実のあるものにして欲しい。
・ 雪印問題の資料に関して、10月17日以前にと畜された牛肉は、現在どういう状態で保管されているのか。また目視も含めた検査で国産牛と輸入牛の区別はつかないのか。
・ 改正JAS法により表示が拡充され、大いに期待している。ただ工業製品と異なり食品は分析しても必ずしも結果が出てこない。内容と表示が合っているかチェックするのが大きな課題。今回の雪印の問題で、食肉のみならず食べ物の表示全体の信頼性が疑われることも懸念される。信用を回復しないと表示の意味がなくなる。
・ 厚生労働省及び農林水産省の連携についてお互いやっていたと言えるのか。例えば千葉県において国内初のBSEが確認された件について、8月6日に食肉検査所で敗血症と診断されてから、9月10日に記者発表するまでの間、各時点において、厚労省及び農水省でどのような連絡がなされたのかを確認したい。
・ 両省で異なる基準でサーベイランスを実施している。両省が異なることをやっている状況でBSEが発生した。BSEの発生を想定したマニュアルがなかったことが問題である。
・ 二つの省が連携を行うことは非常に難しく、省の中でさえも連携が難しい。特に今回の問題は、緊急時にどう対応するかという問題であり、平常時に定期懇談会を開くというレベルのものとは異なる。臨時的に、機動的に何ができるかであり、システムがどうあるべきだとは別に、リーダーの感受性がどうかということではないか。
・ 阪神・淡路大震災の時に、救助犬の狂犬病の検疫の問題があったが、農林水産省のトップの判断で検疫の特例を運用したことがある。
・ 食品の安全に関しては、生産者には政治家の応援があるが、消費者、食の安全には政治家の応援は少ない。厚労省は農水省に遠慮しながら言っていたと思うが、食の安全については国民全部が応援するので、もっと強く打ち出すべきである。
・ これまでの経験を踏まえて、両省がさらに連携を強化しなければならないが、そのための場を設置する必要がある。既存の連絡会議で足りるのか、恒常的な組織、場が必要になるのではないか。その際、過去の報告ではなく、今後の施策を議論できる場が必要ではないか。
・ 両省の組織の中に、関連した情報を収集・分析・流布する人材/ユニットが必要である。特に人獣共通伝染病(農薬なども含める必要があるかもしれないが)について、技術と科学及び行政の施策が連携できる組織、人材が必要。
・ 資料1の4ページに、他の省の施策について、「提言・協議・調整を行い得る」となっているが、こう書くと裁量の余地がある。他人の仕事に口を出すのは難しいが、人命・健康に係ることは、遠慮が命取りになる。「提言・協議・調整を行わなければならない」とすべき。「〜できる」という法律用語が多いので、関係する法律も、場合によっては見直す余地があるのではないか。
・ 4頭目が発生していないが、捨て牛、出荷調整の問題があり、へい死牛のように検査に回らないものが出てきている。これらの問題は行政指導をすべきである。また、このような牛の検査の確実な実施とその結果の公表をしてほしい。
・ 病原体に汚染された肉骨粉を給与された牛がまだ多数いると思うが、諸外国の例からみて、これからもBSEの牛が出る可能性はある。しかし、そのような牛は食卓には回らないことが確実であり、食卓の安全性は確保されていると理解すべきであるが、世間ではBSEの牛がいなくなったと理解している感じがある。今度4頭目が出ると安全宣言は嘘ではないかという話になりかねない。国民に、安全について正しい知識を伝えるべきである。
・ ドイツでは、2000年11月に1頭出て、2001年に100頭以上発生しているが、その例を考えると、我が国でも2桁ぐらい出てもおかしくはない。今後、1頭出て大騒ぎするということではなく、出るけれども、これだけの体制が整っていると自信を持って対処して欲しい。

3.次回の日程

 第6回委員会は2月13日(水曜日)14時から開催する予定。

(照会先:食品保健部企画課 内線2445、2450)


トップへ
検討会、研究会等  審議会議事録  厚生労働省ホームページ