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第4回BSE問題に関する調査検討委員会の概要について<暫定版>

(平成14年1月17日)

1.委員の出欠

 委員10名全員が出席された。

2.農林水産大臣あいさつ

3.資料説明と質疑

○資料一覧
資料1 牛海綿状脳症(BSE)感染牛の発生に係る対応の経緯に
ついて
資料1の参考
資料2 肉骨粉等の給与に係る国内措置と農業資材審議会飼料部会に
おける審議経過等について
資料2の参考 その他の出来事と農林水産省の対応について
資料3 第3回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料
参考配布
・ 海綿状脳症に関する検討会議事メモについて(平成13年12月28日プレスリリース資料)
・ 牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査について
・ BSEのリスクに関する有権者の分析等

 関係資料について事務局からの説明後、質疑等が行われた。その中では、次のような御意見・御質問があった。

・ 8月6日に病気の牛が検査にまわってから、その後の対応が混乱していたが、BSEが発生した時に緊急的な対応としてどうすべきかという計画が考えられていたのかどうか。米国ではそのような計画が公表され、英国でも緊急計画ができていなかったことが大きなミスとして指摘されているが、我が国ではそのような計画はなかったのか。
・ BSEの確認について、動物衛生研究所は1996年からプリオン病の研究をしており、技術的にも信頼できるはずなのに、動物衛生研究所で確定したものがありながら、どうして「疑似患畜」として、英国に依頼し、英国の結果が出るまで確認ができなかったのか。動物衛生研究所から提出された検査データ、技術検討委員会での議事録を出していただいて、なぜあの時点で、日本で確定をした上で、再確認ということで英国に依頼することができなかったのか聞きたい。
・ 動物衛生研究所の検査では、2度陰性と判定しているが、国民から見ると、この結果については、動物衛生研究所が判定をするのにふさわしくないか、プリオニクステストという判定法が間違っているか、どちらかしか考えられない。
・ なぜ何週間もたって英国に確認依頼したのか。国民から見ると、我が国には検査能力がないから英国に依頼したと受け取るが、これは本当なのか。
 また、緊急事態が起こった場合の対策には迅速さが必要であるが、確認のために1ヶ月もかかるのは全くおかしい。こういうものの積み重ねが国民の不信につながっている。
・ プリオニクステストは感度が低い傾向があり、1頭目が発生した千葉県のサンプルについては、後で濃縮した上で検査をしたところ陽性になったという話を聞いている。簡易・迅速検査法であるプリオニクステストの陰性の結果と、確認検査であるウエスタンブロット、免疫組織化学検査の陽性の結果を、同等にみなすことはできない。
・ 科学者の立場からすると、科学的に診断されたものが、行政的な判断で「疑似患畜」となるのはおかしい。BSEの確認について、1頭目は英国で行い、2頭目以降は日本でやっても大丈夫であるという対応は、日本の検査技術が信頼されていないことになる。「疑似患畜」とするのはBSEに限ったものではなく、口蹄疫の場合も、宮崎県で発生した時に、OIEの基準では完全に陽性だったが、「疑似患畜」とされ、北海道でウィルスが分離されて初めて陽性と確定した。「疑似患畜」とするプロセス自体が疑問である。
・ BSEをターゲットとして、サーベイランスを強化したのならば、その認識が現場で徹底され、担当者にBSEという意識が頭にあれば、起立不能の牛が出た場合に、簡単にレンダリングにまわされることはなかったのではないか。現場の認識はどうであったのか。また、起立障害は、患畜の中でどのくらいの割合で発生しているのか。
・ 敗血症に感染した牛も起立障害になるのか。敗血症で起立障害になる牛は何頭ぐらい発生しているのか。
・ 8月6日以降の農水省の対応は、認識の甘さが各所に出ている。例えば、8月24日のFAXに気づかなかった点、その後担当者不在により連絡がとれなかった点などは、個人の問題ではなく、全体に危機意識があればキチンと対応されているはず。
 また、9月6日に動物衛生研究所に病理材料を送付し、翌日に到着しているが、重要性を認識していれば、なぜ(その日ではなく)翌日に到着するような送付方法になるのか。
 また、9月12日から13日にかけて、当該牛がレンダリング処理されていたことが判明したことについて、畜産部長以上に報告されていないのは、重要性の認識が足りなかったのではないか。
 また、その後14日に農林水産省の畜産部長と厚生労働省の食品保健部長が協議しているが、その時点では、レンダリングに回っていた事実について、畜産部長は報告を受けていないが、厚生労働省は知っていたのではないか。
・ フランスでは大動物のBSEを診断できる獣医が5000人程度いるが、日本では何人程度いるのか。
・ ヨーロッパには、英国にBSEの症状を呈した牛を見に行くという獣医師のトレーニングがあるが、我が国でもこのようなことを将来行うことを考えられないか。
・ プリオニクステストで、遠心分離して10倍に濃縮してやるとすると、EU委員会の決定したマニュアルに該当するのか疑問である。
・ 諸外国で、初発例の場合に他国に確認を依頼しているケースがあるのではないか。
・ 他国の専門機関に確認を依頼することについては、昨年12月にオーストリアとフィンランドで初めて発生したが、自国での確認の他、英国にも依頼している。
・ 生産者、流通関係者、消費者は、BSEの発生によりvCJDが大規模に発生するのではないかと不安を持っているので、牛肉の消費がなかなか回復しない。これらの者に対して、BSEに対する施策がいろいろ講じられていることを周知するとともに、有識者のBSEリスク分析に関する資料が提出されているが、このようなリスク分析があることも知っていただく必要がある。また、消費者保護の立場から、特に人獣共有の伝染病については、リスク管理体制の強化が必要である。
・ 初発例の確認について、2000年のドイツは、自国で確認している。またオーストリアも自国で確認したものを英国に再確認を依頼したものと理解している。
・ 日本では、英国に研究者を派遣し、BSEの研究で成果を上げており、動物衛生研究所では高いレベルの技術ができていたと思う。
・ 英国で確定するまでは「疑似患畜」であるという決定はどこで判断したのか。
・ 消費者の間では、「どうして日本で確認ができなかったのか。日本はその程度なのか。そんな頼りないことでは・・・」という話があったが、BSEがこれだけ問題となっていたのに、発生したときの準備ができていなかったのは残念である。
・ 8月6日時点では、WHOの報告、EUの報告を担当者も読んでいたはずであるが、日本で発生する可能性を考えていなかったのか。もし可能性があると考えていたとすれば、発生した際の対応マニュアルはなかったのか。
・ 8月6日に千葉県食肉衛生検査所が診断し、24日に千葉県家畜保健衛生所が検査するまで、かなりの時間がある。その間、8月15日に動物衛生研究所でプリオニクステストを行っているが、この検査は、サーベイランス要領によれば、サンプルが到着してから至急行うものなのか、それともある程度サンプルが溜まってからまとめて行うものなのか。
・ プリオニクステストの陰性という結果が、家畜保健衛生所の検査の遅れに関わっていたのか。
・ (第3回委員会の委員御指摘に関する資料について)、厚生労働省の資料では、EUのステータス評価に係る厚生労働省の関与について、この問題は肉骨粉政策に係る評価が主な論点だから対応しなかったとあるが、EUステータス評価は、肉骨粉政策だけだったのかどうか。
・ この問題については、行政の縦割りで遠慮しあうということではなく、相互のチェック機能があってしかるべきことではなかったのか。
・ (1996年にWHO勧告の最終報告を入手した後、同報告を農業資材審議会飼料部会に報告しなかったことについて)WHO勧告の最終報告とプレスリリースは差がなかったとしているが、プレスリリースの中の3では「BSEが発生した国は」と条件が付いていたのが、最終報告では「各国は」に変わっており、条件がなくなっている。したがって、審議会に当然、報告すべきであったはずであり、情報提供が不十分だったことは否めない。
・ 肉骨粉の使用を行政指導に留めたことについて、96年はアメリカ、オーストラリアでも行政指導であったことから、日本が(法的規制を)率先して行うことを躊躇したことは理解できないわけではないが、国民の安全を守るのはその国の行政の役割である。97年にアメリカ、オーストラリアが法的に規制した時点で審議会に報告もなく対応もなかった。行政対応上の問題があったと認識せざるを得ない。
・ 国民が牛肉消費をためらっているのは、「安全宣言」が出たものの、また発生し、国民の期待が裏切られたとの認識があるからである。(農場での)全頭調査は、外観から起立不能かどうかを調べるだけで、これでは科学的に安全とは言えない。しかし、新聞の見出しでは「安全宣言」となっており、見出しだけを見る人もいる。国が安全と言ったがBSEが出ると、国の言うことは信用できないということになる。
・ 現在、牛が売れなくて全国の畜産農家は困っている。熊本で牛が捨てられたが、財産である牛を捨てるということは、畜産農家には売ってもお金にならないという失望感があるからである。行政は本当に畜産農家のためにやっているのか。牛肉の消費を回復したいのなら、国の言うことが信頼できるということを身をもって示す必要がある。
・ 安全宣言が果たして正確な意味での安全宣言であったか、マスコミの伝え方にも若干問題があったかもしれないという反省はあるが、どういう伝わり方をするのかを見通した上で役所は対応すべきであったと思われる。
・ サーベイランスの強化を「清浄国」の確認のためとしていたのは、手間が掛かることを関係者に対し依頼するにはこういう言い方しかないのかなと当初思っていたが、役所も本当は「清浄国」を確認するという希望的観測が強かったのだと感じた。
・ 国民に対する情報提供が必ずしも完全にはできていないのではないか。例えば、農場段階でのサーベイランスの検査結果は公表されているのか。また、24ヶ月齢以上のへい死牛の検査はどうなっているのか。大丈夫であるということを国民に伝えるという意味でも、その結果について資料を出してほしい。
・ 捨て牛、出荷自粛、食肉処理場の入荷制限等の報道があるが、これに対して、行政としてどういう見解で、どう対応しているのか。食肉サイクルが滞っているが、今まで行政指導でいろいろやってきているのに、今ここにきてそれは自主的にやっているということなのか、そのあたりの認識に不安を感じている。
・ (肉骨粉の)再利用に関し、焼却施設はどうなっているか、その見通しと現状を知りたい。環境省が行っている再利用の状況についても聞いてみたい。
・ 国民の最大の関心は、vCJDがどうなのか。96年に英国で10例出て(発症者の)平均年齢26歳というデータがあるが、その後関連するデータ、知見を収集しているのかどうか、それを聞いても明確な返事がない。分からないのであれば分からないなりに今後どのように対応していくのか示して欲しい。
・ これまで委員から要求された資料リストを作成し、回答したもの、回答してないものを整理して欲しい。
・ へい死牛の扱いについて、全頭検査する旨の報道があったが、その事実関係について説明してほしい。
・ 資料1の参考の17ページに、「いたずらに風評被害を生じないよう」と記述があるが、これはBSEの発生前に出されたものである。しかし、その後も農水省のいろいろな資料において、風評被害と言う言葉が頻繁に使われているが、BSEが発生している時点と発生していない時点では言葉の持っている意味がまったく違う。発生してからの風評被害というのは、消費者が情緒的に消費を控えているということと思うが、そこのところは消費者としては納得できない。
・ へい死牛からのBSEの発生率は非常に高いと言われているので、へい死牛においても全頭検査を行う体制を整備して欲しい。
・ 出荷できないでいる乳廃牛がへい死牛になって闇から闇へと処理されてしまい、我が国のBSE汚染レベルが不明になってしまうことが恐ろしい。確かにBSEが発生すればパニックになり問題が起こるかもしれないが、それは今の話であり、将来を見通せば、我が国がどのくらいの汚染レベルにあるかという現実をしっかり確認するということは重要である。

4.次回の日程

 第5回委員会は1月31日(木曜日)14時から開催する予定。


(照会先:食品保健部企画課 内線2455.2450)


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