戻る  前へ  次へ

4 まとめ及び行動計画

 内分泌かく乱化学物質とは、内分泌系の機能に変化を与える外因性化学物質のうち生体内に障害や有害な影響を起こすものを指すが、現時点では、合成ホルモン剤の薬理効果のような例を除けば、ヒトに対して内分泌かく乱作用が確認された事例はない。この点については、平成10年に中間報告をとりまとめた時点と大きく変わっていない。
 3 重点課題と検討成果において、今後必要な調査研究等の取組が提言されている。現時点ではヒトに対する明白な影響は分かっていないとしても、ヒトの健康を確保する観点から、提言された取組を着実に進めていくために行動計画を定め、具体的な達成目標を以下に示す。

行動計画

行動 目標
 スクリーニング試験系を構成する各試験についてガイドライン及び評価基準を整備する。 〜2002年度
 スクリーニング試験を行い、ホルモン様作用(低用量域の作用を含む)を有することが生物学的に説明可能な物質を順位付けし、リスト化する。 2002〜2005年度
 リストされた物質の詳細試験を行い、ヒトに対して内分泌かく乱作用を有するかどうかを予測する。 2002年度〜
 詳細試験の結果及び暴露の実態を踏まえ、必要な化学物質について監視の対象とする等の措置を講じる。 2002年度〜
 生体試料について、信頼性の高い採取・分析法ガイドラインを整備する。 〜2002年度
 複数の試験機関で同一試料を分析した結果を評価し、分析法の信頼性を確認する。さらに精度管理保証のための措置を講じる。 〜2003年度
 実験動物について、飼育環境及び実験環境からの暴露調査を実施し、動物実験の信頼性を検証する。 〜2002年度
 低用量域のホルモン様作用を検出する実験結果の再現性に関する問題を克服するための調査研究を進める。 〜2005年度
 スクリーニングの結果の補強と内分泌かく乱性の確定試験の開発を狙った研究を進める。 〜2005年度
 内分泌かく乱性の試験評価に関する包括的ガイドライン(仮称)を策定する。 〜2005年度
 いわゆる内分泌かく乱化学物質の暴露と疾病についての現状把握と継続的な監視を行う。 2002年度〜
 主として日本人を対象とした、疫学の方法論に基づく相当規模の研究を進め、あわせて生体試料の保存を継続的に行う。 2002年度〜
 疫学研究を継続的に総括し(刊行論文のレビューと更新)、その成果を広く国民に周知する。 2002年度〜
 同一母体の複数部位及び当該母体の胎児からの生体試料について、いわゆる内分泌かく乱化学物質の濃度分析データを蓄積する。 2002年度〜
 いわゆる内分泌かく乱化学物質が生体内に実際に存在する暴露量の範囲で、どのような作用が発現するかを解明するための研究を進める。 〜2005年度
 リスクコミュニケーションガイドラインを策定する。 〜2002年度
 リスクコミュニケーションの効果を継続的に判定し、改善に生かす。 2002年度〜
 行政科学規準を整備する。 〜2005年度


トップへ
戻る  前へ  次へ