戻る  前ページ  次ページ

資料V-3-1 日本の第3号被保険者と同様に配偶者に対する給付を有する国の制度

  日本 アメリカ イギリス
制度名 厚生年金保険 老齢遺族障害保険(OASDI) 国民保険
制度上の平均賃金(A) 36.7万円
(ボーナス込みの手取り換算40.1万円)
$2,539
(289,217円)
£1,707
(314,583円)
Aで満年加入した場合の本人給付額
基礎年金
 67,017円
報酬比例部分
 104,092円
$1,105
(125,871円)
基礎年金週£72.5
(月換算57,890円)
付加年金週£64.2
(月換算51,269円)
配偶者給付額
基礎年金
 67,017円
$553
(62,992円)
基礎年金週£43.5
(月換算34,740円)
配偶者給付
本人給付
39.4% 50.0% 31.8%

※イギリスは、1999年から2010年にかけて付加年金の給付率を減額中。表中は、減額後(代替率20%)の数値を記載


資料V-3-2 現行の制度における保険料負担と給付

現行の制度における保険料負担と給付の図


資料V-3-3 昭和60年改正前後の被用者の被扶養配偶者に係る保険料負担と給付の位置付けの違い

昭和60年改正前後の被用者の被扶養配偶者に係る保険料負担と給付の位置付けの違いの図


資料V-3-4 第3号被保険者の実態について

1.女性のパートタイム労働者等に関する調査(厚生省年金局(平成9年3月))

【調査客体】

 平成8年8月1日現在の国民年金の第3号の女性の被保険者から無作為に抽出した5,000名を調査客体とした。

【調査時点等】

 調査時点は平成8年12月1日とし、調査期間は平成8年12月1日から12月31日までの1カ月間とした。

【調査方法】

 調査客体として選ばれた国民年金被保険者に調査票を直接郵送し、これに所要の事項を記入の上、返送を求めた。なお、調査票への記入は無記名とした。

【回収状況】

 回収票数は、3,053票であった。

第3号被保険者の実態についての図


第3号被保険者の実態についての図


第3号被保険者の実態についての図


第3号被保険者の実態についての図


2.平成9年度 国民生活選考度調査(平成10年2月経済企画庁国民生活局)

 現在、わが国の年金制度では、いわゆるサラリーマンの妻の所得が一定額以下の人は、国民年金の保険料を納めなくても年金を受けとることができますが、この制度についてのあなたのお考えは次のうちどれに最も近いですか。(○は1つ)

1 妻は夫のために家庭で働いているのだから、保険料を納めなくても年金を受け取るのは当然の権利であり、現行の制度のままで構わない

2 妻は夫のために家庭で働いているのだから、保険料を納めなくても年金を受け取るのは当然の権利であるが、妻の家庭内での働きによる便益を受けている夫が、妻の分の保険料を追加した負担するべきである。

3 妻も自立した個人として、何らかの形で金銭収入を得て、自らの保険料を納めるべきである

第3号被保険者制度については、若年層ほど「現行どおり」が多く、中高年層になると「見直すべき」が増える

 第3号被保険者制度についての考えを結婚している女性について夫の年収別、本人の年齢別にみてみると、各年収帯いずれにおいても若年層ほど「現行制度のままで構わない」とする割合が高い傾向にある。

夫の年収を問わず、中高年層ほど現行制度に否定的の図

サラリーマン世帯で支持する割合が高い第3号被保険者制度

 次に、結婚している男女について妻の職業別、夫の勤務形態別みてみると、妻がフルタイム、パートタイム、専業主婦のいずれであるかにかかわらず、夫が勤め人である場合の方が「現行制度のままで構わない」とする割合が多い。特に夫が勤め人で妻が専業主婦の場合は82.4%、妻がパートタイムの場合は74.2%もの割合で現行制度のままであることを支持しており、夫が自営・家族従業者である者との違いが大きい。

サラリーマン世帯で支持する割合が高い第3号被保険者制度の図


 わが国の年金・税制度には、無職の主婦や収入の少ない主婦を持つ世帯を保護するための制度があり、このことが、結果的に女性が無職の主婦、あるいはパートタイムで働く主婦となることを促進している面があるといわれています。仮に、こうした優遇措置が緩和された場合、より多くの収入を求めてより長時間働く女性が増えると思いますか。(○は1つ)

 1 そう思う  2 どちらかといえばそう思う
 3 どちらかといえばそう思わない  4 そうは思わない

6割以上の人が「年金・税制度の優遇措置制度が緩和されればより長時間働く女性が増える」

 現行の無職の主婦や収入の少ない主婦を持ち世帯を保護するための年金・税の制度が緩和されれば、より多くの収入を求めて女性がより長時間働きだすと思うかという問について、既婚の男女を年齢別にみてみると、各年齢層において男性でも6割前後、女性では6〜7割の者が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせた「思う」と答えている。

6割以上の人が制度が変わると長時間働く女性が増えると考えているの図

サラリーマン世帯でも半数以上が「緩和されれば長時間働く女性が増える」

 一方、前問と同様に結婚している男女について、妻の職業別、夫の勤務形態別にみてみると、立場による違いはあまりみられず、いずれも「思う」の割合が67.5%となっており、夫が自営・家族従業者である場合の55.2%を上回っている。

サラリーマン世帯でも半数以上が制度が変わると長時間働く女性が増えると考えているの図


【調査対象】

(1)母集団  全国に居住する20歳以上59歳以下の男女
(2)標本数  5,000人
(3)抽出方法 層化二段無作為抽出法

【調査時期】

97年5月29日〜6月11日

【調査方法】

調査員による個別訪問留置法

【回収結果】

(1)有効回答数(率)    3,773人(75.5%)
(2)調査不能数(率)    1,227人(24.5%)


資料V-3-5 第I案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

【第3号に係る負担を負担能力に応じて負担―妻―定率負担】

潜在的な持分権の具体化による賃金分割を行った上で、妻自身にも分割された賃金に対して定率の保険料負担を求めるという仕組み。

 個人で負担し個人で給付を受けるという考え方を、応能負担のシステムを維持しながら貫くことができ、片働き、共働きを通じて、夫と妻それぞれに給付と負担の連動が明確となる。また、報酬比例部分も含め、離婚した場合の年金給付のあり方が明確となる。

第3号被保険者に係る保険料負担の考え方の図

【議論する際の主な論点】

○潜在的な持分権の具体化による賃金分割という手法が、我が国の税制、労働法制等の社会制度に組み込まれていない中で、現段階で年金のみがこの考え方を政策として採用できるか。

○雇用関係のない第3号被保険者に係る事業主負担をどう考えるか。事業主負担が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるか。

(参考) 第2号被保険者(厚生年金)が納付する保険料 約20.2兆円(平成11年度)第3号被保険者のいる第2号被保険者は2号全体の約3割(これらの者に係る賃金の半分が妻に分割される形となる。現在は、これに相当する部分も含めて2号被保険者の保険料全体を通じて2分の1の事業主負担が行われている)

○雇用関係のない配偶者に賦課される保険料の特別徴収(いわゆる天引き徴収)が可能かどうか。特別徴収ができない場合、未納の増加を招くおそれはないか。

○医療保険も同様に制度を見直して、被扶養配偶者自身が健康保険又は国民健康保険に独自に加入することとするのか。



資料V-3-6 第II案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

【第3号に係る負担を受益に着目して負担―妻―定額負担】

第2号被保険者の定率保険料は第3号被保険者の基礎年金に係る拠出金負担分を除いて設定し、それとは別に、第3号被保険者たる妻自身に、第1号被保険者と同額(現在13,300円)の保険料負担を求めるという仕組み。

 第3号被保険者も含めて個々人全員が受益に着目した負担という考え方から保険料負担を行うことにより、第3号被保険者に係る保険料負担についての不公平感を解消できる。

第3号被保険者に係る保険料負担の考え方の図

【議論する際の主な論点】

○第3号被保険者に係る保険料負担について、受益に着目した負担の考え方を導入することが妥当かどうか。

○雇用関係のない第3号被保険者に係る事業主負担をどう考えるか。事業主負担が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるか。

(参考) 第3号被保険者に係る拠出金負担のうち国庫負担を除いた部分 約1.7兆円(平成11年度)
現在、この2分の1が事業主負担によって賄われている。

○現在、やむを得ず第1号被保険者に対して採られている定額保険料の仕組みを、さらに第3号被保険者にも課すことになり、保険料負担の逆進性の問題を一層拡大することについてどう考えるか。

○雇用関係のない配偶者に賦課される保険料の特別徴収(いわゆる天引き徴収)が可能かどうか。特別徴収ができない場合、未納の増加を招くおそれはないか。

○医療保険も同様に制度を見直して、被扶養配偶者を健康保険から外して、国民健康保険に独自に加入することとするのか。



資料V-3-7 第III案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

【第3号に係る負担を受益に着目して負担―夫―定額負担】

第2号被保険者の定率保険料は第3号被保険者の基礎年金に係る拠出金負担分を除いて設定し、第3号被保険者のいる世帯の夫には、それに第1号の保険料と同額(13,300円)を加算した保険料負担を求めるという仕組み。

 所得のある者から保険料負担を求めるという考え方を貫きつつ、受益に着目した負担という考え方を導入することにより、第3号被保険者に係る保険料負担についての不公平感を解消できる。

第3号被保険者に係る保険料負担の考え方の図

【議論する際の主な論点】

○第3号被保険者に係る保険料負担について、受益に着目した負担の考え方を導入することが妥当かどうか。

○雇用関係のない第3号被保険者に係る事業主負担をどう考えるか。事業主負担が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるか。

(参考) 第3号被保険者に係る拠出金負担のうち国庫負担を除いた部分 約1.7兆円(平成11年度)
現在、この2分の1が事業主負担によって賄われている。

○現在、やむを得ず第1号被保険者に対して採られている定額保険料の仕組みを、さらに第3号被保険者にも課すことになり、保険料負担の逆進性の問題を一層拡大することについてどう考えるか。

○片働き世帯の夫(妻)に課される保険料が、共働き世帯の夫と妻に課されるものよりも高くなることについて、事業主の理解が得られるか。また、雇用行動に何らかの影響を及ぼす可能性はないか。

○被用者間でのリスクの違いは、第3号被保険者の有無だけでなく、例えば性別の違いや子どもの有無のように様々なものがある中で、社会保険制度の下で国民が共有すべき社会的なリスクをどう考えるか。

○医療保険も同様に制度を見直して、被扶養配偶者の受益に着目した保険料負担を求めることとなるのか。



資料V-3-8 第IV案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

【第3号に係る負担を受益に着目して負担―夫―定率負担】

まず第2号被保険者の定率保険料を第3号被保険者の基礎年金に係る拠出金負担分を除いて設定し、第3号被保険者のいる世帯の夫には、それに第3号被保険者に係る拠出金負担に要する費用を第3号被保険者のいる世帯の夫の賃金総額で割った率を加算した保険料負担を求めるという仕組み。

 被用者の保険料負担に係る応能負担の考え方を貫きつつ、第3号被保険者について世帯単位での受益に着目した負担という考え方を導入することにより、第3号被保険者に係る保険料負担についての不公平感を解消できる。

第3号被保険者に係る保険料負担の考え方の図

【議論する際の主な論点】

○第3号被保険者に係る保険料負担について、受益に着目した負担の考え方を導入することが妥当かどうか。

○雇用関係のない第3号被保険者に係る事業主負担をどう考えるか。事業主負担が求められない場合、これに代わる財源をどこに求めるか。

(参考) 第3号被保険者に係る拠出金負担のうち国庫負担を除いた部分 約1.7兆円(平成11年度)
現在、この2分の1が事業主負担によって賄われている。

○片働き世帯の夫(妻)に課される保険料が、共働き世帯の夫と妻に課されるものよりも高くなることについて、事業主の理解が得られるか。また、雇用行動に何らかの影響を及ぼす可能性はないか。

○被用者間でのリスクの違いは、第3号被保険者の有無だけでなく、例えば性別の違いや子どもの有無のように様々なものがある中で、社会保険制度の下で国民が共有すべき社会的なリスクをどう考えるか。

○医療保険も同様に制度を見直して、被扶養配偶者の受益に着目した保険料負担を求めることとなるのか。



資料V-3-9 第V案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

【第3号に係る負担を、応能負担をより徹底する形で負担―夫―定率負担】

夫の所得が高くなると専業主婦世帯の割合が高まることに着目し、高所得者について、標準報酬上限を引き上げて、保険料の追加負担を求めるという仕組み。

 片働き世帯が相対的に高所得であることに着目して、高所得者の保険料負担を引き上げることにより、実質的に第3号被保険者に係る保険料負担についての不公平感を縮減できる。

第3号被保険者に係る保険料負担の考え方の図

【議論する際の主な論点】

○第3号被保険者に係る保険料負担について、標準報酬の上限があることにより生じている基礎年金の負担の不均衡への対応案であり、部分的な解決策にとどまるのではないか。

○賃金の高い者により多くの負担を求めることにより解決を図るという手法が、今日の税制や社会保障制度における所得再分配施策の流れの中で、どのように位置付けられるのか。

○一定以上の報酬について、給付に反映させずに保険料負担のみを求めることは可能か。



資料V-3-10 第VI案

【第3号被保険者に係る保険料負担の考え方】

第3号被保険者を、育児・介護期間中の被扶養配偶者に限るという仕組み(その余の期間については、他案のいずれかの方法で保険料負担を求める。)。

 第3号被保険者としてのメリットを受けられる期間を育児等の活動を行っている期間に限定することにより、第3号被保険者に係る保険料負担についての不公平感を縮減できる。


【議論する際の主な論点】

○育児・介護等の期間中にある者以外の被扶養配偶者の扱いをどうするか。

○育児・介護期間中にある者に対して年金制度上の特別な配慮を採ることが妥当かどうか。



トップへ
戻る  前ページ  次ページ