01/11/19 第1回BSE問題に関する調査検討委員会議事録 第1回BSE問題に関する調査検討委員会議事録 平成13年11月19日(月) 三田共用会議所 第三特別会議室 目    次 1  開  会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 2 農林水産大臣挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 3  委員紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  2 4  委員長選出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3 5  委員長挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3 6  委員長代理指名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  4 7  議事の公開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  5 8  資料説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  5 9  質  疑・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 10 今後の日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 11 閉  会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33 開    会 ○農林水産省田原官房長  定刻でございますので、ただいまから第1回BSE問題に関する調査検討委員会を開 催いたします。  私は、農林水産省の大臣官房長をしております田原と申します。本日、委員長が選出 されますまでの間、しばらく私の方で司会進行を担当させていただきたいと思いますの でよろしくお願いいたします。 農林水産大臣挨拶 ○農林水産省田原官房長  それでは、まず初めに、武部農林水産大臣からあいさつを申し上げたいと思います。 ○武部農林水産大臣  第1回BSE問題に関する調査検討委員会の開催に当たりまして、一言ごあいさつ申 し上げたいと存じます。  皆様方には、委員就任をご快諾いただきますとともに、ご多用中のところご参集をい ただきまして、まず心から厚くお礼申し上げたいと存じます。  9月10日にBSEを疑われる牛が発見されまして以来、国民の皆様には多大なるご心 配をおかけいたしまして、まことに遺憾にたえない次第でございます。今回の件につき ましては、国民の皆様の不安を解消するとともに、国産牛肉に対する信頼を回復するた めに、厚生労働省と連携して対応に全力を尽くしているところでございます。これまで 申し上げておりますとおり、牛肉や乳製品、牛乳は、もともと安全であるとされており ますが、10月18日からBSEに感染してないことが証明された安全な牛以外にはと畜場 から出ていくことのないシステムを整備した次第でございます。したがいまして、牛肉 等の安全性の確保と、国民の皆様への正確な情報の伝達にさらに努めてまいりたい、か ように存じている次第でございます。  今後とも国民の健康を守るという基本的な立場に立ちまして対策に万全を期してまい りたいと考えている次第でございますが、一方、今般のBSE問題に関する一連の行政 対応につきましては、関係者間の連絡体制が不十分であった、また、機能しなかった、 こうした対応に混乱がございまして、国民の行政に対する不信を招いたことに対しまし ては、まことに申しわけなく、各方面からの厳しいご批判を重く受けとめている次第で ございます。こうした国民の不信を招くような事態が二度と起こらないようにするとい うことが、今一番私どもに課せられた大きな責任、かように存じておりまして、今回の 教訓を今後の行政に生かしていくことが重要だ、かように認識しております。  このために、BSEに関するこれまでの行政対応の問題の検証と、今後の畜産・食品 衛生行政のあり方について、客観的に、あるいは科学的にご検討賜りまして、この調査 検討委員会におきましてさまざま率直なご意見をいただきたい、かように存じます。そ のような観点から本委員会の開催に至った次第でございまして、本日お集まりの委員の 皆様方には、このような本委員会の趣旨をご理解いただきまして、幅広い視点でご議論 を賜り、ご意見をちょうだいいたしたい、かように存じている次第でございます。この ことを重ねて申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。どうぞよろしく お願いいたします。 ○農林水産省田原官房長  ありがとうございました。なお、本日は、坂口厚生労働大臣は国会にご出席というこ とで、本委員会を欠席されておりますことを申し添えさせていただきたいと思います。  また、本日は、遠藤農林水産副大臣にもご出席をいただいております。 委 員 紹 介 ○農林水産省田原官房長  次に、委員の皆様方を五十音順ということでご紹介をさせていただきます。まず岩渕 委員でございます。加倉井委員でございます。砂田委員でございます。高橋委員でござ います。竹田委員でございます。山内委員でございます。和田委員でございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。  なお、本日は、小野寺委員、日和佐委員、藤田委員、この3人の委員の方々が所用で ご欠席ということでございます。  なお、厚生労働省及び農林水産省から事務方が出席させていただいておりますけれど も、紹介の方は省略をさせていただきます。 委 員 長 選 出 ○農林水産省田原官房長  次に、当委員会の委員長を選出していただく必要がございますが、どなたかご意見が ありましたらお願いしたいと思います。 ○加倉井委員  日大教授の高橋さんをご推薦したいと思います。高橋さんは、農業経済学専門なので すが、生産と流通と両方をみるという立場で勉強なさっている方です。今回のBSE問 題というのは、家畜としての牛の部分と食肉としての牛肉の部分が両方入っているもの ですから、高橋さんでふさわしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。○農 林水産省田原官房長  ただいま加倉井委員から、高橋委員に委員長をお願いしてはど うかとのご意見がございましたけれども、皆様方、いかがでしょうか。      (「賛成」「異議なし」の声あり)  ご異論はないようでございますので、高橋委員に委員長をお願いしたいと思います。  それでは、高橋委員、委員長席にお移りをお願いいたします。      (高橋委員、委員長席に着席) 委 員 長 挨 拶 ○農林水産省田原官房長  それでは、ここで高橋委員長からごあいさつをいただきたいと思います。なお、これ からは、高橋委員長に議事をお進めいただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。 ○高橋委員長  ただいま本委員会の委員長に選任されました高橋でございます。先ほどご紹介ござい ましたように、農業経済から流通問題、最近はフードシステムという言葉を使いなが ら、それをトータルに把握しようというような研究を進めております。ただ、畜産につ いてはそれほど詳しくない。ましてや、BSE問題についてはずぶの素人でございま す。したがいまして、これが務まるかどうか非常に不安でございますが、3年ほど前か ら農業構造改善事業の第三者評価委員会、あるいはことしの1月からは農林水産省の政 策評価委員会の仕事をさせていただき、本検討会がそういった政策評価にもかかわると いうことで、微力ながら務めさせていただきたいと思っております。  いずれにしましても、厚生労働大臣、農林水産大臣の私的諮問機関として設けられま した本委員会、非常に大切な委員会であり、また国民の皆さんが非常に強い関心をもっ ている委員会だと考えております。課題でございますBSEに関するこれまでの行政対 応の問題点を検証すること、今後の畜産行政、あるいは食品衛生行政のあり方について 検討するということは非常に重要なことだということを考え、大変な重責を担っている と認識しております。委員の皆様の自由闊達なご意見を通じて、これまでの行政対応に ついて反省し、あるいは問題点を検証し、今後の行政の取り組みに対して有意義な提言 ができるように委員長として努力してまいりたいと思っております。皆様方のご協力を 心からお願いしたいと思います。 委 員 長 代 理 指 名 ○高橋委員長  それでは、これより議事に入ります。  なお、武部農林水産大臣、遠藤農林水産副大臣におかれましては、所用のために退席 されます。 ○武部農林水産大臣  どうぞよろしくお願いいたします。 ○高橋委員長  報道関係の方は、これから会議が始まりますので、傍聴室の方へお移りいただきたい と思います。  まず最初に、今後の委員会の進め方についてお諮りしたいと思います。開催要領、資 料1がございますが、それの第4の3に「委員長に事故があるときには、あらかじめそ の指名するものがその職務を代理する。」という項目がございます。そこで、委員長の 職務を代理する委員を委員長がここで指名することになっておりますので、私の方から 指名させていただいてよろしゅうございましょうか。      (「異議なし」の声あり)  それでは、山内委員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申します。      (山内委員、委員長代理席に着席) 議 事 の 公 開 ○高橋委員長  もう1点、委員会の進め方についてでございますが、この議事は公開でございます。 その公開の仕方についてでございますが、当然、この議事の透明性を確保し、広く情報 公開するという観点から、会議は公開とする。ただし、可能な限り多くの方々に傍聴し ていただけるように別室に傍聴室を設定して、テレビモニターによって傍聴していただ くという形をとりたいと思います。  会議の資料は、ホームページによって公開する。  会議の議事録については、会議の終了後、委員の皆様の了解を得た上で、発言者の氏 名を入れたものをホームページ等によって公表するということでございます。  なお、そのような議事録を作成するのには多少時間がかかりますので、便宜のために 議事録とは別に、議事の概要を事務局の責任において、発言者の名前を伏した形で作成 し、これを会議の数日後にホームページ等によって公開する。この3点でございます。  いかがでございましょうか。そのような公開方式をとる。よろしゅうございますか。      (「異議なし」の声あり)  それでは、そのように進めていきたいと思っております。  ただし、会議の資料につきましては、個人の権利利益を害することがないよう、役職 名では公表しますが、個人の氏名については非公開とする。また、会議については、公 にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあると委員長である私が判断した 場合には、委員会の了承を得た上で非公開とし、その非公開の間の議事の概要について は、会議の終了後、事務局から記者会見で説明を行うということにしてはいかがかと思 いますが、いかがでございましょうか。      (「異議なし」の声あり)  よろしゅうございますか。それでは、そのような形で進めたいと思いますので、事務 局としてはよろしくお願いしたいと思います。 資 料 説 明 ○高橋委員長  次に、本委員会における検討事項、本日の次第は、これから数回開催されます本委員 会の全体を通じての検討事項について議論いただくことが本日の課題でございます。検 討事項の案等について、事務局から資料を提出していただいておりますので、まずはそ の説明をお願いして、その後、委員の皆さんからご意見を賜りたいと考えております。  それでは、説明をお願いします。 ○農林水産省武本企画評価課長  農林水産省大臣官房企画評価課長の武本でございます。お手元の資料に従いまして説 明をさせていただきます。  委員長から先ほどご紹介がございました資料1でございますけれども、今、委員長の 方からお諮りいただいたのが、第4の「委員長」のところと第5の「運営」に関してで ございます。第2の「検討事項」につきまして、次回以降ご議論をしていただく具体的 な検討事項につきまして、当委員会としての共通のご認識と申しましょうか、コンセン サスといいましょうか、これをまず形成をしていただいたらと考える次第でございま す。  資料2をごらんいただきたいと思います。「BSE問題に関する調査検討委員会検討 事項(案)」ということでございまして、当委員会における検討事項は、開催要領の第 2に規定されているところであります。1つが「BSEに関するこれまでの行政対応上 の問題の検証について」であり、もう1つが「今後の畜産・食品衛生行政のあり方」に ついてであります。この2つの項目について、その具体的な検討事項として、事務方と いたしまして、例えば次のようなものが考えられるのではないかということで提出をし たものでございます。  まず「これまでの行政対応上の問題の検証について」というのが1のパラグラフの部 分でございます。次のページに2といたしまして「今後の畜産・食品衛生行政のあり 方」という形にしております。  まず1の「これまでの行政対応上の問題の検証について」でございますが、「これま での」という部分でございますけれども、これをいつからととらえるかということでご ざいまして、事務方といたしましては、(1)にございますように、英国におけるBSE発 生後ということで、1986年以降というようにお考えいただいたらどうかと考えていると ころでございます。  お手元の資料のうち、「参考配布」という資料があろうかと思います。1が「基礎資 料」、2が「牛海綿状脳症(BSE)の疑いのない安全な畜産物の供給について」とい うものでございますけれども、それの1ページをごらんいただきたいと思います。ここ に「牛海綿状脳症(BSE)とは」ということで簡単に、起源でありますとか、原因で ありますとか、主な感染経路等々が出ているわけでございまして、特に今後の議論とい たしまして、3の「主な感染経路」のところに書いてあるところでございますけれど も、この疾病は「接触感染や空気感染はしないと考えられており、BSEに感染した牛 の脳等を含む肉骨粉などの飼料の摂取による経口感染と考えられている。」ということ がまず1つあるわけでございます。こういったようなことから、肉骨粉というものに着 目をしていく必要があるのではないかと考える次第であります。  その資料の2ページをごらんいただきたいと思います。「牛海綿状脳症(BSE)に 関する主な出来事と発生状況」というものを簡単にとりまとめたものがございます。 1986年に英国においてBSE発生を確認(11月でございますけれども)されたわけであ ります。それ以降、英国の次にアイルランド、スイス、フランス、ポルトガルという形 でBSEが発生していったわけであります。そういった意味では、先ほど申し上げまし たように1986年以降ということで考えていったらいかがかなと思うのでありますけれど も、そのうち1996年のところでございます。ここで英国政府海綿状脳症諮問機関がBS Eと新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の関連の可能性を発表した。このことにより まして、それまで家畜の疾病と考えられたものが、ヒトにも感染するおそれがあるので はないかということになってきたわけでございまして、ここが1つの転機になるのでは ないかと思われるわけであります。  また、1996年には、WHOが伝染性海綿状脳症に関する勧告を行うことを決定もいた しているわけであります。  2001年には、我が国もBSEの発生が確認されたということになるわけでございまし て、このようなことを考えますと、1986年以降という形で押さえていったらいかがかな と思うわけであります。  それまでの間は、資料2をごらんいただきまして、1の (1)の(1)にある「英国におけ るBSE発生後(86年)の各時期における我が国(農林水産省、厚生労働省)の対応と その検証について」ご検討していただいたらいかがかなと思うわけであります。  この関係では、資料3をごらんいただきたいと思いますが、席上には資料3の1の部 分と同じ資料を拡大したものがテーブルの上にありますので、こちらをごらんいただい ても結構ですし、全く同じものです。拡大して多少みやすくしたものでございます。3 の1をみていただきまして、先ほどの資料と基本的には、86年以降のことが書いてある わけでございますけれども、この資料には、英国における発生等、それから英国の対 応、EUの対応、農林水産省の国境措置、国内措置、厚生労働省の国境措置、国内措置 というものを整理しているところでございます。この資料のうち、1986年に英国内で初 めて確認されたわけでありますけれども、我が国の対応といたしましては、1990年のと ころをごらんいただきたいと思いますが、農林水産省は国境措置といたしまして、生き た牛について、英国からの輸入を停止、肉骨粉については、英国からの輸入条件を強化 したというのがございます。輸入条件を強化したというのがどういうことかというの は、いろいろ移って申しわけございませんが、「参考配布」の資料をごらんいただきた いのですが、この資料の11ページをごらんいただきたいと思います。ここに「肉骨粉輸 入条件強化の推移」というタイトルの資料がございます。そこの1990年7月13日に英 国、アイルランドを対象として、肉骨粉についての加熱処理条件を定めています。湿熱 136℃の30分、つまりこういう条件をクリアしたもの以外は輸入をしないということを 決めたということでございます。このところについて、1つは、アメリカ等々では、そ もそも肉骨粉の輸入を禁止しているではないかというご指摘がある中で、我が国は輸入 条件を強化するという形で対応したところでございます。この点については、第2回目 以降のご議論の中でどういう背景のもとにこういう選択をしたかについてご説明申し上 げたい。そしてご議論いただきたいと思うところであります。  資料2に戻っていただきまして、2ページでございます。先ほど申し上げましたよう に、1986年以降、牛の病気だと思っていたわけでありますけれども、1996年に英国政府 から新変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病との関連性の可能性が発表されて、ヒトに も感染する病気であるのではないかということになったわけであります。先ほど申し上 げましたけれども、同年の4月にはWHOからも勧告といいましょうか、報告書のとり まとめがなされたわけでありまして、これを踏まえた形で農林水産省、厚生労働省とし ても所要の措置を講じたところであります。この部分につきましては、「参考資料」の 5ページのところにWHOの専門家会議報告書を参考までにつけております。5ページ には「ヒトおよび動物の伝達性海綿状脳症に関連した公衆衛生の問題に関するWHO専 門家会議報告書」というものがございます。その 2.2が「国民の健康保護のための勧 告」ということで、1.のパラグラフは「TSEの徴候を示すいかなる動物のいかなる部 分も製品も、(ヒトまたは動物の)食物連鎖に入らないようにする。」という指摘がな されておるところであります。  また、下の方の3.というパラグラフですが、「各国は、BSE物質を含む可能性のあ る組織が、いかなる食物連鎖(ヒトおよび動物の)にも入らないようにする。」、それ と4.の、「すべての国は、反芻動物の飼料に反芻動物の組織を使用することを禁止す る。」という報告がなされたわけであります。  6ページをごらんいただきたいのですが、平成8年4月11日に厚生省の調査会でござ います食品衛生調査会が厚生大臣に意見具申を行ったものでございます。牛海綿状脳症 等に関する当面の対応ということでございまして、その1.のところでございます。「厚 生省においては、」というところで、3行目に飛んでいただきますと、「3月26日か ら、輸入業者に対して英国産の牛肉加工品等の輸入を自粛するよう指導する等の対応が 行われるとともに、農林水産省においても、動物検疫の観点から所要の措置が講じられ ている。」とあります。「動物検疫の観点から所要の措置」というのは、農林水産省に おきましても牛肉加工品なり肉骨粉等の輸入停止をしたということを指しております。 「このこと等から、英国産の牛肉加工品等が我が国に輸入される懸念は解消されたもの と考えられ、今後とも、引き続き英国産の牛肉加工品等が我が国に輸入されることのな いよう、輸入自粛の指導等の対策を継続することが適当である。」という具体的な意見 具申が4月11日に出されたところであります。  7ページをごらんいただきたいと思います。「海綿状脳症に関する検討会について」 という資料でございまして、これは農林水産省で開かれたものでございます。4番目に 「検討会出席委員」が掲げられておりまして、5番目に「議題」としまして、「牛海綿 状脳症及びスクレイピーについての、発生状況、疫学、診断方法及び防疫対応方法等に ついて」議論されたところでありまして、その検討会での委員発言の要旨が右側に6点 にわたってとりまとめているわけであります。このうちの4番目をごらんいただきたい のでありますが、2行目の中ほどからでありますけれども、「このような中で、スクレ イピーも含め、両疾病についての届出とその後の措置の義務付けにより、防疫対策をよ り効果的に進めるべきである。」という意見がお示しになられたわけでありまして、こ れを受けまして農林水産省は、96年4月にBSEを政令指定し、サーベイランスを開始 するということになったわけであります。  6番目でございますけれども、「国内の反すう動物の内蔵等については、国内の反す う動物の飼料として利用されることがないよう指導することが重要である。」という意 見があったわけであります。  2ページに戻っていただきたいと思います。1996年の欄の農林水産省の国境措置であ りますが、3月に牛肉加工品及び肉骨粉等について、英国からの輸入を停止しておりま す。  国内措置といたしましては、4月に伝染性海綿状脳症を家畜伝染病予防法の政令で指 定、サーベイランスを開始しております。  その下でございますけれども、反すう動物の組織を用いた飼料原料(肉骨粉等)につ いて、反すう動物に給与する飼料とすることのないよう指導したところでございます。  また、厚生労働省の国境措置の部分につきまして、1つ目のポツでありますけれど も、英国からの牛肉(内臓、骨等を含む)及びその加工品について、輸入自粛を指導す るというのが3月に出されまして、先ほどごらんいただきましたように4月11日の食品 衛生調査会の意見具申を踏まえてこれが続けられたという状況にあるわけであります。  1996年の対応につきまして、とりわけ農林水産省の国内での「反すう動物の組織を用 いた飼料原料について、反すう動物に給与する飼料とすることのないよう指導する」と いう部分については、ほかの国々が法的対応をしているのではないかという指摘がなさ れているところでありまして、この点についても、今後第2回目以降の検討委員会の場 で、どういうことを背景としまして指導という形を、その後維持し続けたのかといった ようなことについて、ご議論をしていただければと考えています。  資料2に戻っていただきますと、1の (1)の(1)で2つ目のポツですけれども、「BS Eに関するステータス評価に対する農林水産省の対応とその検証」というものが書いて あります。これは、資料3の3ページをごらんいただきたいのでありますけれども、 1998年の欄のEUの対応のところをごらんいただきたいと思います。1998年にEUで は、1月でありますけれども、「BSEに関する各国のステータス評価について、具体 的な作業を開始」するということがございます。これまでの間に、大体EU域内はとる べき措置をとってきたということがありまして、今後は外からEU域内にBSEがまた 入ってくるのをどうやって抑えるかということで、ステータス評価を開始したわけであ ります。このステータス評価につきまして、我が国も参加をしていったわけであります けれども、EUのステータス評価につきましては、最終的には6月に、我が国はこれを 受けないという形での対応をしたところであります。  ステータス評価の問題につきましては、2001年の欄の農林水産省の国境措置のところ をごらんいただきたいと思うのですが、5つポツがありますけれども、下から2つ目で ありますが、第三国に対するステータス評価をこの4月から開始をしたところでありま す。ということで、EUの行うステータス評価、我が国、農林水産省が行おうとしてい たステータス評価、それぞれ基準があるわけでございますけれども、こういった基準の 考え方、あるいは国際獣疫事務局という国際機関がございますけれども、ここでもま た、ステータス評価をするに当たっての基準なり考え方というのがとりまとめられてい るわけでありますので、そういったことも含めましてこの問題について、農林水産省の 対応の仕方と、そのことについての検証をご議論をしていただきたいと考えているとこ ろであります。  資料2に戻っていただきまして、1の (1)の(2)の関係でございます。「我が国におけ るBSE発生以降の農林水産省と厚生労働省の対応とその検証」というものがありま す。その下にポツが書いてありますけれども、具体的には本年8月以降に我が国でBS E患畜が確認されたわけでありますけれども、8月以降の農林水産省及び厚生労働省の 一連の対応とその検証を行う必要があるだろうと思うわけであります。この点は、いわ ゆる危機的な状態が出来した際の対応のあり方、その1つのパターンということになっ てこようかと思うわけであります。  これに関しては、資料3の8ページをごらんいただきますと、「2 牛海綿状脳症(B SE)感染牛の発生に係る対応の経緯について」という表題の資料でございますけれど も、8月6日から、事実、農林水産省の対応、厚生労働省の対応、県の対応等という区 分によりまして、どういうことが行われたかということを整理したものでございます。 これが14ページまで続いておりまして、11月11日までの関係のことが記述されているわ けであります。8月6日以降についてでございますけれども、まず検証する必要があろ うかと考える部分といたしましては、8月6日、これは千葉県の酪農家が食肉衛生検査 所で当該牛を「敗血症」と診断し、その後、処理に向かったという部分をスタートとい たしまして、9ページの9月10日に、農林水産省の対応の欄でいいますと4つ目のポツ になりますが、BSEの疑いがある牛が確認された旨、公表したというところまでの対 応を検証する必要があるのではないかと考える次第であります。これは、8月6日から 9月10日までの間というのが約1ヵ月強かかっているわけでございますので、この間の 対応について、どのような対応をしていったのかということについて、みていく必要が あろうかと考える次第であります。  まず8ページの8月6日の欄でございますけれども、食肉衛生検査所で「敗血症」の 診断を受けた後に、その下に千葉県の家畜保健衛生所がBSEサーベイランス、これは 農林水産省が出しているものでありますけれども、サーベイランスの対象として当該牛 の頭部を引き取ったわけであります。これを千葉県から農林水産省の独立行政法人・動 物衛生研究所に検体が送付されまして、8月15日にはプリオニクステストで陰性と判定 されたわけであります。  この後のことでありますけれども、8月24日の欄をみていただきますと、千葉県の家 畜保健衛生所が病理組織学的検査を実施したところ、当該牛の脳に空胞を発見し、その 旨、千葉県の畜産課へ連絡をしております。農林水産省の欄のところをみていただきま すと、千葉県畜産課から衛生課に対し、左記の事実、つまり空胞があったということに ついて、電話連絡の後、ファクスで連絡をしております。あわせてプリオニクステスト の結果の確認及び独立行政法人・動物衛生研究所での病理組織の再検査が必要か否かの 確認の要請がなされているわけであります。これを踏まえまして、農林水産省の方で は、独立行政法人・動物衛生研究所に電話連絡を試みたところ、先方の担当者は不在で 連絡ができず、結果的には30日にその連絡がなされたということであります。  30日の欄でありますけれども、3つポツがありますが、3つ目のポツをみていただき ますと、農林水産省の衛生課から千葉県畜産課に対し、電話により上記のプリオニクス テストの陰性の結果を連絡するということで、ここで千葉県に対して陰性の結果を連絡 いたしまして、独立行政法人・動物衛生研究所に病理材料を送付するよう連絡をしたと いうことになっております。この点につきましては、千葉県の畜産課の認識といたしま しては、8月30日ではなく9月4日にその指示を受けたということになっております。 したがいまして、千葉県から検体が送付されるのが、9ページをごらんいただきます と、6日に送付されまして7日に動物衛生研究所に到着したわけであります。7日に再 度プリオニクステストで検査をし、さらに確定診断法である免疫組織化学的検査に着手 をしたところ、9月8日にはプリオニクステストの再検査を行って陰性と判定をしてお ります。  9月10日に動物衛生研究所から衛生課に対し電話連絡がなされ、農林水産省としてB SEの疑いがある牛の確認をされた旨の公表をしたという段取りになるわけでありま す。そういった形で、かなり時間を要したという状況があるわけであります。  もう1つが、9月10日から9月14日までの対応についてであります。9月10日の4つ 目のポツのところ、先ほど1行読んだのですが、BSEの疑いがある牛が確認された旨 公表して、その際、これは記者会見でありますけれども、「当該牛については、すべて 廃棄され、食用には供されていない」旨説明し、記者からの「焼却処分か」との質問に 対し、「そのとおり、食用には供しないと聞いている。」と応答という部分がありま す。これで、当該牛は焼却処分されたという形になったわけであります。ここのところ は、当日の記者会見の模様を要約しておりますが、正確に申し上げれば、記者の方から 「当該牛の廃棄とは、焼却処分をしたということか」という質問に対して、当方から 「食用に供していないということを聞いているので、焼却をしたはずである」という回 答をしたところであります。このことによって、焼却処分という形で公表したことにな るわけであります。  そのことが、次の10ページをごらんいただきますと、9月14日の欄でありますけれど も、農林水産省から当該牛が焼却処分でなくレンダリング処理されたことを公表すると いうことを行ったわけでありますが、これまでの間について動きをみていきますと、8 ページに戻っていただきますと、8月6日の欄でありますけれども、まず食肉衛生検査 所で「敗血症」と診断し、食肉には不適として、「全部廃棄」の命令が出されたわけで あります。これを踏まえて、下の最後の方に出ていますけれども、先ほどいいました が、頭以外は化製場へ回り、レンダリング処理されたわけであります。  9ページをごらんいただきたいと思うのですが、9月8日の欄であります。農林水産 省の対応の欄でありますけれども、これは陰性と判定されたということが一方ではあっ たわけでありますが、千葉県畜産課から衛生課に対し、当該牛は全部廃棄され、食用に は供されていない旨の電話連絡がなされているわけであります。そういったようなこと を踏まえて、先ほどの9月10日の記者会見につながっていくわけでありますけれども、 9月10日には、県の対応等の欄をみていただきますと、千葉県の畜産課から同県の衛生 指導課に、BSEの疑いのある牛が確認されたことが連絡され、同衛生指導課は茨城県 の生活衛生課に対し、当該牛のレンダリング処理の可能性について調査依頼を行ってお ります。  10ページをごらんいただきまして、9月11日でありますけれども、県の対応のところ でありますが、茨城県生活衛生課から千葉県衛生指導課に対し、8月6日に千葉の業者 から茨城の業者に原料の搬入があったこと、さらにその原料はレンダリング処理され、 養魚用飼料として出荷されたこと等をファクスにて報告をいたしております。  9月12日の欄でありますけれども、厚生労働省の欄のところでございますが、2つ目 のポツのところであります。千葉県衛生指導課から監視安全課、これは厚生労働省監視 安全課に対し、当該牛はレンダリング処理され、養魚用飼料として出荷されていたとの 連絡があり、監視安全課は事実関係を確認するよう千葉県に指示を出しております。  3つ目のポツでありますが、監視安全課から農林水産省衛生課に対し、当該牛はレン ダリング処理され、魚用のえさになったと千葉県から情報があった旨の連絡をしており ます。  また、県の対応等の欄をごらんいただきますと、千葉県の畜産課は、同県衛生指導課 より11日のファクスを入手いたしまして、これを9月12日の農林水産省の欄であります けれども、衛生課に対しファクスにより当該牛の処理、焼却処分ではなくレンダリング 処理されたことについて報告をいたしております。  9月13日には、徳島県の畜産課から衛生課に対し、業者が当該牛に係る肉骨粉を保管 しているがどうすべきかの相談があった旨の電話連絡がなされております。こういった ことがあった後に、9月14日、農林水産省として当該牛が焼却処分でなくレンダリング 処理されたことが公表されたわけであります。というのが10日から14日にかけての流れ であります。  もう1つは、10月10日から12日にかけてであります。12ページをごらんいただきたい と思います。厚生労働省の対応の欄でございますけれども、10月18日から全頭検査を行 うということを前提に、検査の研修を行うこととなっていたわけでありますが、10月10 日の厚生労働省が実施するBSE技術研修に使用するサンプルを東京都中央卸売市場食 肉市場より提供され、研修においてスクリーニング検査(エライザ法)を実施したとこ ろ、陽性の結果が出たところであります。  10月11日に上記BSE技術研修において2回目の検査を実施し、再度陽性の結果が得 られたわけでありまして、これが午後4時のころであります。東京都衛生局に検査結果 を連絡したわけでありまして、これが当日の10時ごろであります。  10月12日でありますけれども、厚生労働省の対応のところでありますが、東京都が今 後の対応等について公表をいたしまして、その後、横浜検疫所において確認検査を実施 し、一番最後のポツでありますけれども、ウェスタンブロット法の結果、陰性であるこ とを確認し、公表したということであります。この一連の流れの中で、厚生労働省から 農林水産省への連絡が10月12日の午前10時ごろという状況であったということでありま す。  以上が、8月6日以降の一連の対応についての主だったものでございまして、これを 含めて、より具体的な対応のあり方等について検証していっていただいたらいかがかな と思うところであります。  資料2の検討事項(案)に戻っていただきまして、1の (1)の(3)であります。「農林 水産省と厚生労働省との連携の検証」ということでございます。これは、今回の事態が 出来した大きな理由の1つは、縦割り行政の弊害ではないかというご批判がございま す。まず客観的事実といたしまして、農林水産省と厚生労働省の役割分担、あるいは政 策調整についての考え方、あるいは政策調整に係る仕組みなり運用状況等についての実 態をお示しをし、検証していっていただいたらいかがかなと思うところであります。こ れの関係でいいますと、資料3「参考資料」の15ページをごらんいただきたいと思うの ですが、ここに「生産から消費までの流れ」を図示いたしております。牛及び食肉の流 れということで、生産、処理、加工・製造、販売、消費というものでございます。ちな みにこれは、10月18日以降の姿を示しているところでございまして、農場で飼われてい た牛がと畜される段階には、と畜場に連れていかれるわけでありますけれども、こうい った一連の流れと農林水産省、厚生労働省の衛生に関する行政からの観点から業務分担 をみたものが、その図の下の方にある部分でございます。薄く塗りつぶしてある部分が 農林水産省の業務でございまして、それ以外が厚生労働省の業務ということになりま す。端的に申し上げれば、と畜場の入り口までが農林水産省の担当業務ということにな りますので、飼料、動物用医薬品の使用規制とか家畜伝染病の対応等、家畜衛生の確 保、家畜の健康とか安全とか、それにかかわるものというのが農林水産省の業務になり ます。食品となる過程以降からと畜場の設置許可、と畜検査の実施等々、一連の業務が 厚生労働省の担当ということになります。ただ、肉骨粉につきましては、下の方に化製 場の設置許可は厚生労働省の担当でございますけれども、肉骨粉が配合飼料の原料とい う形でえさで使われますものですから、飼料、飼料添加物の製造等に関する基準・規格 の設定、これが農林水産省の担当になっておりますものですから、この部分で農林水産 省が関与するという形になっているところでございます。こういった農林水産省、厚生 労働省の役割分担がなされているわけでありますので、この役割分担の考え方なり、あ るいは政策調整のあり方等につきまして、資料を用意いたしましてご議論、検討をして いただければというように考えます。  資料2に戻っていただきまして、2ページ目をごらんいただきたいと思います。 (2) の諸外国の対応についてであります。BSEに対する諸外国の対応につきましては、2 点そこに書いてございます。英国におけるBSEの発生の確認以降の諸外国の対応でご ざいますけれども、国境措置、国内措置でありますが、ここの部分は、議論としては前 のページの1の (1)の(1)の1つ目の「英国におけるBSEの発生の確認以降における農 林水産省及び厚生労働省の対応とその検証」、ここで、議論としては一緒にしていただ いたらどうかと思います。つまり我が国の国境措置なり国内措置を講ずる際に比較され るのは、諸外国はどうであったか。比較において我が国の対応について検証をしていっ ていただいたらどうかなと考えます。  2ページでありますが、 (2)のBSEに対する諸外国の対応の2つ目のポツでありま すけれども、「BSEの発生への対応を踏まえて行われた諸外国の行政のあり方の見直 し」ということであります。このことにつきましては、特に (2)の表題のところにも書 きましたけれども、イギリスでありますとか、ドイツ、EUのほかの国々でありますけ れども、そういった国においては、BSEの発生及びその対応を踏まえて、食品安全行 政についての組織のあり方なり行政の対応についての見直しが行われております。した がいまして、その点についてはどのような考え方のもとに、どのように再編をされてい るのかといったようなことを、資料としてご提出申し上げ、ご議論をしていただいたら どうかと考えております。  以上が、これまでの行政対応上の問題の検証という部分になるわけでありまして、そ ういったことを踏まえた上で、2ページの2の「今後の畜産・食品衛生行政のあり方」 についてご検討の上、ご提言という形でのとりまとめをしていただければと考えるとこ ろであります。  以上が、事務方として考えております具体的な検討事項の一例でございまして、この 具体的検討事項についてご意見をいただければと考える次第であります。  また、今申し上げましたポツごとの項目というのは、資料にいたしましてもかなりの ボリュームになってくるのではないかなと想像されますし、非常に検討に慎重な部分を 要する部分があろうかと思っておりますので、幾つかのものをまとめてやるというやり 方をやりますと、十分なご議論が必ずしもできないのではないかと考えられますので、 それぞれの部分について、2回目以降ご議論をしていただくというような取り扱いをし ていったらいかがかと考える次第であります。  例えば、1の (1)の(1)の2つのポツがあるわけでありますが、これにつきましては、 それぞれ、次回の第2回目は英国におけるBSE発生の確認以降における農林水産省及 び厚生労働省の対応とその検証、このときには諸外国の同時期の対応もあわせて検討し ていただく。次の第3回目には、BSEに関するステータス評価に対する農林水産省の 対応とその検証といったような形でご検討をしていただくというように考えたらどうか ということでございます。という進め方をあわせてご論議いただければということで、 事務方の説明とさせていただきます。  以上でございます。 ○高橋委員長  ありがとうございました。  ただいまの説明は、農林水産省並びに厚生労働省にまたがった説明でございました が、厚生労働省から補足説明するようなことはございましょうか。 ○厚生労働省吉岡企画課長  ただいまの説明、特段補足することはございませんので、よろしくお願いします。 質    疑 ○高橋委員長  それでは、今の説明を踏まえまして、いろいろ質疑応答、それから、今後の検討に向 けての資料請求等をご発言いただければと思っております。  本日初回でございますが、恐らくご意見がたくさん出るだろうと思いますので、時間 の許す限り、場合によっては多少時間を延長することも含めて、自由なご発言をいただ きたいと思います。  それでは、どなたでも結構です。ただいまの説明についてのご質問、あるいは今後の 委員会の進め方についてのご意見、いただきたいと思います。 ○岩渕委員  今の説明は随分よく整理されていまして、これぐらい整理されているともっと適切に 対応できたかなと思うぐらいよくできているのですが……。  よくいわれることなのですが、狂牛病問題は、英国の教訓をどこまできちんと生かし ていくかというのが一番大きな課題だったのではないかと思うのです。日本の場合、前 者の轍は、当初、英国のわだちを走ってしまったなという感じを受けるのです。発生後 は、にわかにEUのモードに乗りかえて、結構それなりには対応できたなというように 評価しています。  ですから、農水省と厚生労働省との協力、あるいは対応の検証については、日本で第 1の症例が発生して以降のことのように今おっしゃいましたけれども、むしろその前の 方がよほど問題ではないかと思います。  もちろん、ここにあります「英国におけるBSEの発生の確認以降における農水省及 び厚生労働省の対応」という項目の中で、厚生労働省と農水省との連携がどうだったの かというのは、当然ながら議論になるとは思うのですけれども、そこを事務方もきちん と踏まえて、そのあたりが今日に至る一番大きな問題点だったのではないかと思います ので、その点をよろしくお願いいたします。  それと、この表、本当に両省の役割分担がかくも画然ときれいに仕分けされているの をみて、日本の縄張りというと変ですけれども、所管の分け方というのは随分きちんと しているのですが、どうもきちんとし過ぎて、よく指摘されることですが、相互に内政 不干渉になり過ぎた傾向があるのではないかというところで、これからこれらの点をポ イントにしてこの会合に臨んでいきたいと思っています。 ○高橋委員長  特に回答いただくことではなくて今後の進め方ということで、ほかに、どうぞ。 ○山内委員長代理  英国、EUが外国の例として挙げられているわけですが、現実には、例えばスイスは EU以外として独自の対策をとってきています。アメリカも、かなり早い時点からリス ク評価などもちゃんとやって対応している。それから、スクレイピーもフリーである オーストラリアなどは、また別の形での対策をしていると思うのです。やはり国際的に 1986年以降、どのように動いてきたかということがわかるような形での資料が必要では ないかと思います。EU自体というのは大きなグループなものですから、なかなかまと まった意見は出てこなくて、そうではなくて、個々の国での動きというのがかなり参考 になるのではないかと思います。  それから、発生してから後の問題に関しましては、例えば、8ページの8月6日の時 点で食肉衛生検査所、これは厚生労働省の管轄です。そして、もう一方では家畜保健衛 生所、これは農水省です。そうしますと、その間で一体どのような結果が報告されて、 どのようになっているのかというのが、この中には全然出てきていない。そういったと ころをもっと詳しい形で、資料でもいいのかもしれません。そして、動物衛生研究所で の検査の内容。これは、私は専門家としてもっとちゃんとした内容のものが欲しいと思 います。  今、気がついた点ではそんなところです。 ○高橋委員長  続いてどなたか、どうぞ。 ○加倉井委員  資料請求になるのかもしれませんけれども、そこにある表には出ていないのですけれ ども、1986年にBSEの存在が確認された後、87年ぐらいには、もうイギリスでは肉骨 粉が感染源ではないかという疑いが学者の中で議論されていたというのです。そうしま すと、そういう情報は日本にどういうルートで入るようにシステムとしてなっているの か。例えば、大使館のアタッシェなのか、それとも衛生課が自分で、家畜の病気なのだ からそのくらいのことは、多分、世界中探っているだろうと思うのですが、そういう ルートなのか。あるいは、OIEから情報が来たのか。ルートがきちんと確立されない と、またどこかで大変な病気が起こったときに、同じようなことをやるのではないかと いう心配があります。農水省は、それをどのようにやっているのか。  なぜ農水省かというと、このときはまだ人畜共通伝染病ではないわけですから、家畜 の伝染病と思っていたわけですから、農水省はそういう情報をどうやって集めているの か。そういうものをきちんと集めるシステムがあるのかどうか。その辺の資料をいただ きたいと思います。 ○高橋委員長  竹田委員、どうぞ。 ○竹田委員  私、専門ではありませんので、むしろ山内先生にお伺いしたいのですが、BSEは人 の感染症としての位置付けは96年、今の資料で明快なのですが、先生のご専門で96年以 前に関しては人の感染症という認識は全くなかったということでいいですね。 ○山内委員長代理  人との問題は、それが取り上げられたのは1990年です。1990年に、まずBSEの発生 が1万 5,000頭という非常に大きな数になった。 ○竹田委員  動物の? ○山内委員長代理  牛の間で。そこで人に来るのではないかという議論が起きて、しかも、その際に猫が 猫海綿状脳症、同じくプリオン病で死んで、そこで大きな社会問題になったわけです。 そのときから議論はずっと続いています。  そして、実際に人への感染が問題になったのは96年3月ですが、その時点では状況証 拠といいますか、あらゆる可能性を全部否定していくと、やはり変異型のヤコブ病はB SEからの感染しかあり得ない。そして、その後、現在は科学的ないろいろな知見があ りまして、両方の病気は同じ病原体から起きているというのが明らかになっています。 ○竹田委員  したがって、この委員会は人の感染症であるから大きな問題点があって、これが獣の 感染症であるならば問題ないわけですから、どこから議論するかというときに、この資 料でしたら96年以降の議論であって、人に感染を起こさないということであると、今も これだけ大きい問題にはならなかったという認識をするわけです。  したがって、何年から議論するのか。今、86年の話があるのですけれども、86年から BSEは牛の感染症としては問題であったけれども、認識として人の感染症ではなかっ たわけです。したがって、レトロスペクティブにどこまでさかのぼるのでしょう。 ○高橋委員長  一応、事務局の案としては、86年以降ということは、牛にかかわるBSE問題も本委 員会の非常に重要な課題だろうと思います。人間に感染するからだけの委員会ではない という意味で、86年が1つのさかのぼる限界だろうと思うのです。しかし、それ以前に スクレイピーの話などがありますので、必要に応じてはもっとさかのぼってもいいので はないかと考えています。 ○岩渕委員  86年の段階では牛だけの話だったという認識だということですが、では86年の段階で 人間には一切関係なかったかといえば、当然ながら病気、事柄の性質として、人間に感 染する可能性だってあったわけだし、してたかもしれないわけですから、それを認識が なかったから96年というのは、そんな仕切りの仕方はないと思うのです。当然ながら、 86年までさかのぼらないと。 ○高橋委員長  当然、86年です。96年ではございません。86年までさかのぼってと。  和田委員、どうぞ。 ○和田委員  1点、意見を申し上げて、1点、質問したいと思います。  既に山内先生からお話がありましたように、やはりいろいろな情報をみてみますと、 各国でのいろいろな情報が、ほんのわずかですけれどもいろいろなところに出ているの です。ですから、EUと一くくりにしないで、ぜひそれぞれの国の情報を示していただ きたいと思います。例えばですけれども、ジェトロの通商広報というのが私どもの手元 に来ているのですけれども、みてみましたら、例えばデンマーク、スペイン、ドイツ、 イタリア、オランダなど、主要各国の狂牛病対策とその成果というところで時々出てい るのです。ですから、ぜひそういう資料を示していただきたいと思います。  もう1つは質問なのですが、きょう配布されております資料は事前に送っていただい たのですが、私の場合、事務所へ送っていただいたものですから、きょう届きまして、 きょうちょっと寄ったほんの10分ぐらいで、ああ、資料が来ていたのだなと。土日を挟 みましたので十分拝見しておりません。  その上で、分厚い資料がありますが、ここに農水省の通知とプレスリリースが入って おります。今、これをみましたら、あるのかもしれないのですけれども、9月10日のプ レスリリースが入っておりますのかどうか。一番初めの次のページに、目次ではないで すけれども、ありますところは9月12日からになっているのです。  それで10日というのが、生産局というので今手元にもっておりますけれども、これに 先ほど非常に問題になっております「当該牛はすべて廃棄され、食用には供されていな い」ということが明記されているのです。先ほど、廃棄と焼却の言葉の使い方は詳しく お話があって、それは了解しますけれども、9月10日の「当該牛はすべて廃棄され、食 用には供されていない」と明記されているプレスリリースがこの中に入っているのかど うか。入っていないとすれば、私は納得できないのです。何か理由があるのか、それを 教えていただきたいと思います。 ○高橋委員長  1点は資料請求です。それはひとつよろしくお願いします。  2点目は、ひとつご説明ください。 ○武本企画評価課長  説明の際に、「第1回BSE問題に関する調査検討委員会(通知、プレスリリース等 資料)」の農林水産省と厚生労働省医薬局食品保健部の資料について言及するのを失念 しておりましたけれども、まず、「通知、プレスリリース等資料」は、9月10日以降に ついて行われている通知及びプレスリリース等をまとめたものでございます。ご指摘の 9月10日は、農林水産省の資料は、前段、表紙をめくったところに通知文書がずっと書 いております。  今、和田委員がご指摘になられましたプレスリリースは、まことに申しわけないので すが、ずっとめくっていきますと通知文書というのは96ページで終わります。そこから 以降がプレスリリースでございまして、最初がお尋ねの13年9月10日、生産局の「牛海 綿状脳症(BSE)を疑う牛の確認について」の1「経緯」の (1)にアステリスクでな お書きで、ご指摘の部分があります。 ○和田委員  わかりました。 ○高橋委員長  それでは、砂田委員。 ○砂田委員  私は畜産問題とかBSEの専門家では全然ないけれど、食べ物、食生活、健康づくり の国際比較などを報道したり講演したりして、25年以上の食生活・健康ジャーナリスト と名乗っている者です。私はアメリカの新聞社に在籍していたことが10年ほどありま す。そういう体験から申しますと、なぜ今、狂牛病問題、BSEが大騒ぎなのか。これ は人にうつるからだと思います。  要は、皆、一般大衆は安全、安心が欲しいのです。食の安全、安心を解説するという か、証券市場でいいますとアナリストみたいな人があまり日本には育ってこなかった。 風評問題とか、急に牛肉が売れなくなって被害が大きいとか、どうしてどうなったのか ということを大衆にわかりやすい言葉で解説する人がいない。一方、野球でも、サッ カーでも、いろいろな解説、分析、それからページも時間も多い。  私は自分がいたニューヨーク・タイムズと日本のマスメディアを比較して、ここにマ スコミ関係の人が3人いますので皆さん同意なさると思う。21世紀のいま、これだけ食 生活が国際化、メニューが国際化、情報が国際化して、世界中のものがいつでもどこで も何でも食べられるのに、国際比較すると問題なのは、学校で「体育」があって「食 育」がないことです。  文部科学省で来年4月から食育は始まるのですが、大衆がわかる、いわゆる発行部数 の多い有力紙をみたら、毎日、スポーツ、体育のページが2ページ、4ページあるの に、食の安全のページとかコラムが確立されていない。健康の記事が確立されていな い。食問題は社会部の記事として、社会問題、ニュースとしてあるのですけれども、ず っとしつこく追い続けるという記事がほとんどない。そういう記者もいない。これを機 会にぜひ日本も、例えば、ニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストとかロンド ン・タイムスみたいな食専門記者を育てるべきです。行政も、メディアも、一般大衆 も、そういうものを強く求めていると思います。関心が高いのにないというのはおかし いのではないか。  例えば、きょうは、データ、ものすごい膨大なすばらしい、細かい資料を読みまし た。しかし、一般大衆だったら、日本には一人当たりの牛肉の消費量がこんなに伸びて いる。若い人はたくさん牛肉を消費している。消費の70%が輸入されている。一体安全 検査官が日本に何人いるだろうか、どこでだれがどのようにチェックしているだろう か、検査場所が全国どこに何ヵ所あるのか、そういう数字があれば、そのようなデータ の方がもっと大衆にはわかりやすいのではないだろうか。  きょうの会合は、どちらかというとトップダウンのトップの方。ボトムアップで、大 衆が求めている牛肉、狂牛病、BSEに関する情報というのは、もっとわかりやすくて 素人でもすぐ理解できる、安心、安全に関することではないだろうか。国際比較も非常 に大事だけれど、自分が牛肉を買う立場になると、わかりやすい説明をしてくれるニ ュース解説とか、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の報道です。そういう人材を、これを機 会に私たちみんなで育てたらどうでしょうか。私の希望であり提案です。日本には毎日 どれくらいの牛肉が消費され、何人がきちんと安全検査しているか、どこにそういう検 査所があるかがわかれば大衆はもっと安心するではないでしょうか。 ○高橋委員長  ほかに何か。――では、私からも2点ばかり。  1つは、情報として、どういう情報がいつの段階で入ってきたのか。例えば、BSE の発生がイギリスで起きたという情報が、先ほどどういうルートというお話がありまし たが、いつどういうプロセスを経て、だれのところに入ったのか。もう1つ、BSEの 原因が肉骨粉であるということの情報が、いつどんな形で入ってきたのか。それから、 入ってくるプロセスについて、研究者、農水省の研究機関からのものもありましょう し、あるいは厚生労働省の研究機関からのものもあろうと思うのですが、そこから挙が ってくるものと、大学、他の研究機関から挙がってくる場合もあろうと思うのですが、 そういう情報がどのような形で行政に反映されているのか。それから、いろいろな情勢 が入ってきたときに、危機管理という意識が生まれていたかどうか。また、万一、日本 に入ってきた場合にどういう対処するかというマニュアルみたいなものを作成したのか どうか。例えば、イギリスからの肉骨粉の輸入量についていろいろデータが錯綜してい る。しかも、つい最近になってそれが問題になっていたわけですが、危機管理だったら 当然最初にやっておくべきことだろうと思うのですが、そこはどうなっているのかとい う点が1つです。次回のときに、そういうことを資料として出していただければいいの ではないかと思います。  それから今、申し上げた研究者の情報というものがどんな形で行政に反映するのか。 もちろん、技術的、自然科学的な研究情報も非常に必要ですが、社会科学的な研究情報 もそれなりに重要ではないかということでございます。たまたま、これに関連した研究 会を日本大学でやりましたところ、畜産経済学、食肉経済をやっている同僚からいろい ろな話を聞きました。その中の一つについて、正確を期すためにメモをファクスしても らっていますので、それを読んでみたいと思うのです。  1991年6月、日本畜産副産物協会、現在は日本畜産副生物協会主催の研究会で、この 問題の危機を訴えたそうです。その内容は、また後で後半に書いてありますが、そうし たら講演の翌日に、横浜動物検疫所の所長から、「BSEに関する話題については、今 後触れないでほしい」という電話が研究室にかかってきた。その理由としては、現時点 ではBSEの原因物質が不明であることから、治療、あるいは予防措置がないこと。そ れから、BSEの蔓延が日本に及ぶことが不明であることなどでした。  この同僚が話題として取り上げた理由は、当時、アメリカから子牛の生体輸入をして いた。その購入先がシカゴ周辺でした。そのシカゴ周辺ではスクレイピーの発症密度が 高かった。感染牛が輸入される危険性を感じていたからである。当時の知見では、よだ れから経口感染するのではないかといわれていたということも背景にあったようです が、「このような情報というのは、今後決して触れないでほしい」といわれるのではな くて、むしろそれを生かしながら官民一体で危機管理に当たる必要があるのではない か。これにもいろいろ事情があろうかと思いますが、その辺も今後の話題にしていきた いと思います。 ○山内委員長代理  これは資料請求になるのかもしれませんが、1998年にEUがBSEステータスの評価 を始めて、日本もその評価を受けたと。ここでは、実際にBSEの各国の専門家が日本 の現状を全部調査しているわけです。農水省には当然届いていると思うのですが、その 内容は我々に全然知らされていないのです。その内容を示していただいて、あの時点で 諸外国の人たちが日本の現状をどのように評価していたのか。それに対して、日本はど う対応したのか。そのデータがないと議論ができないのではないかと思っています。 ○高橋委員長  これは、資料2の1の(1)の2番目のポツにかかわることですね。 ○山内委員長代理  そうですね。 ○高橋委員長  それは資料としてぜひ提供してほしいと思います。  ほかに、どうぞ。 ○加倉井委員  単純な質問をしますけれども、参考配布の1ページの3のところに「主な感染経路」 というのがあって、「接触感染や空気感染はしないと考えられており」、これはそうだ ろうと思うのですが、「考えられており〜経口感染と考えられている」という文脈にな っているのですが、母子感染というのがあるのです。これは、母親から子供に感染する というのを完全に無視しています。可能性があるかどうか知りませんけれども、論理と してそれを完全に無視しているから、もし何か理由があったら教えていただきたい。 ○山内委員長代理  母子感染は当初非常に大きな問題になりまして、実際にBSEの牛 300頭から産まれ た子牛 300頭と、一見健康な親牛 300頭から産まれた子牛 300頭、全部で 600頭につい て母子感染があるかどうかを英国で7年かかって調べたのです。そうしたらば、最終的 には全部ブラインドテストで答えを出すつもりだったのですが、検査が終わるころに行 政の圧力で全部ブラインドをとられてしまって、最終的にはBSEの牛から産まれた子 牛で15%、健康な牛から産まれた子牛で5%、BSEが出た。差し引きすると、10%。 だけど、それをちゃんと本当に解析していきますと、多くのものは恐らく豚や鶏用の肉 骨粉からの感染の可能性が非常に高かった。だけど、これは英国政府の、行政の圧力 で、結局、研究者の方がそこまでの解析ができないで終わってしまっています。  したがって、現在、英国では、今後のBSEの発生状況の推測はすべてマキシマム10 %の母子感染があるという前提でやっています。一方、仮に最大限10%あったとして も、肉骨粉をえさとして与えなければBSEは終息する。そういう結論といっていいと 思います。 ○加倉井委員  わかりました。ありがとうございました。 ○高橋委員長  竹田委員。 ○竹田委員  今のお話を伺っていまして、私、ヒトの感染症が専門で、現職の前は感染症の研究所 の所長をしておりましたけれども、話が牛の話とヒトの話と混在すると大変誤解を与え ると思うのです。今、山内先生は牛の話をされた。ご質問が牛の話なのか、ヒトの話な のかということが明快ではないわけです。ヒトの母子感染という印象を聴衆に与えると 大変誤解を生じると思います。したがって、話を分けていかないと。例えば、5はヒト の話をしているのです。新型クロイツフェルト・ヤコブ病との関係はヒトの話です。そ の前の「BSEとは」というのは牛の話なのです。だから、これは議論を分けていかな いと、非常に混乱を生じると思います。今の質問も、私はそういう立場からもう少し仕 切り直していただかないと。 ○高橋委員長  それでは、発言に牛、あるいはヒトというように分けて、誤解のないように進めてい きたいと思っております。  ほかに何かございませんか。 ○加倉井委員  ここのタイトルは「BSEとは」と書いてあるわけだから、牛と一々いわないで、B SEといったら牛ですから、そのときにまた牛というのですか。「BSEとは、牛は」 というのですか。それは論理としておかしいのではないか。 ○高橋委員長  少なくとも、それがわかるような形でということで、BSEといったら牛のことで す。それから…… ○竹田委員  だから、今の質問は、母子感染は牛の話を聞いておられるのか、ヒトの話を聞いてお られるのかがわからないということを申し上げている。 ○加倉井委員  「BSEとは」というので書いてあるところですから、「BSEとは、ヒトは」とは いわないと思います。ですから、BSEとは何かという話の中で伺ったのです。それは もちろん、人間の話とは違うというのは当然です。ヒト海綿状脳症を新変異型クロイツ フェルト・ヤコブ病というわけですから。 ○高橋委員長  誤解があるようでしたら、その都度、質問していただいて、例えば、参考配布の1 ページのBSEについての質問であるとすれば、当然これは牛にかかわるものになりま しょう。 ○竹田委員  私は誤解していないのですが、傍聴席の方もおられるし、公開されたときに聞く側が 誤解をしないような表現をしてほしいということをお願いしたい。 ○高橋委員長  わかりました。そのことについては異論はないと思います。  ほかに、和田委員どうぞ。 ○和田委員  この検討委員会が何をやるかというのが、これまでの行政対応上の問題の検証が課題 だということが頭にあったものですから、BSEそのものについていろいろ伺いたいこ とがあるのです。それを出していいのかどうかというのをちゅうちょしておりました が、BSEに関していろいろな情報が出ておりまして、例えば牛、ヤギ、羊とか反すう 動物に限られているのだという話と、情報によりましてはダチョウにもそういう例があ る。あるいは、先ほどからお話の出ています豚の場合であるとか、犬は出ないけれども 猫の場合にはあるとか、いろいろな情報がありまして、入り口のところでどうなのだろ うかという話が私どもの間では出ております。これは専門家の先生のお話を伺うことに なるのかもしれませんが、その辺を伺いたいと思います。 ○高橋委員長  技術的な認識をある程度共有していかないと、この委員会は進まないと思いますの で、また専門家の先生が2人いらっしゃいますので、時間の許す限り必要な技術的な質 問はぜひして、それでお答えいただき認識を共有していきたいと思っております。たし かミンクにもあると。 ○山内委員長代理  BSEは、はっきりわかっておりますのは牛です。  それから、羊には実験的に食べさせて感染も起きます。ただ、羊の場合はスクレイ ピーとBSEの区別がつかない可能性があるので、非常に大きい問題を英国だけではな い、ヨーロッパは抱えています。  ダチョウのお話が出ましたが、これは実際に調べてみると、はっきりBSE感染とい う証拠はありません。現時点では証明されていない。  それから、猫は間違いありません。猫だけではなくてネコ科の動物、トラとかピュー マ、チーターといったものも感染しています。すべて経口です。  あと、豚の場合には、かなり大量の病原体が入っているというか、BSEに感染した 牛の脳を豚に食べさせて、6年か7年か忘れましたが、多分7年間だったと思います。 観察した結果では、経口では、食べさせた場合には発病していません。ただし、脳の中 に接種した場合には感染しています。  ところが、経口接種と脳内接種と比べますと、脳内接種は約10万倍ぐらい感染効率が 高いので、脳の中に注射をした量の10万倍の牛の脳を豚に食べさせない限りは感染は起 こらない。いいかえれば、それだけ大量のBSE、牛の脳が入った肉骨粉を食べない限 り、豚は発病しない。現実には、そういうことが起こり得ないという結論です。  それから、ミンクは全然別の病原体です。  今、アメリカでシカが問題になっていますが、シカの病原体は、BSEでもスクレイ ピーでもないということが実験的にもある程度のデータが出ています。  大体、そんな感じです(「クールーは」の声あり)。  クールーは人間の間で、ニューギニアの原住民の間で起こっていたものであって、死 んだ人を食べるという習慣から広がったものと考えられておりますし、現実に人を食べ る習慣がなくなった後で産まれた人では、クールーの患者は出ていません。ただ問題 は、その習慣があった時代に産まれた人、これは1960年代以前です。そういう人の間で 現在でもわずかながら患者が出ているということは、三十数年という潜伏期でも経口感 染で発病し得る。実は、この問題がヒトの変異型ヤコブ病の潜伏期がわからないという ところにつながっているので、大変関心をもたれている。そういう状況です。 ○高橋委員長  よろしゅうございますか。 ○和田委員  わかりました。 ○岩渕委員  そのついでで不勉強で恐縮ですが、人間の場合、英国で若い人たちの感染が多い。そ の理由というのは、はっきりしたものが出ているのですか。 ○山内委員長代理  若い人だけが多いかどうか。現時点では、ほとんど若い人。だけど、70歳代の人でみ つかった例もあります。ただ、これまでみつかってきたきっかけというのは、やはり若 い人でヤコブ病になる例というのはまずなかったということが、恐らく大きな理由では ないか。年とった人の場合には、孤発型といいますか、古典的なヤコブ病もありますの で、それでみつかっていない可能性もあります。それ以上はわかりません。 ○高橋委員長  またもとに戻りますが、8月6日でしたか。敗血症ということで診断された。たまた まその脳を、頭の部位がサーベイランスの対象となったということで、どうもこれは偶 然発見されたのではないか。サーベイランスに必ずかかるという保障はなかったのでは ないか。そのとき、たまたまサーベイランスの対象になったからこれだけの問題になっ た。もし、それがサーベイランスの対象にならなかったら、恐らくまだ日本では問題に なってなかったのではないかと思うのですが、サーベイランスの対象になったきっかけ はどういうことだったのでしょうか。 ○農林水産省宮島衛生課長  ただいまのお話でございますが、このBSEの検査につきましては、先ほどのお話の 中にありましたように既に1996年から――私ども、また後ほどお話しさせていただきま すが――検査の対象ということにさせていただいております。その一環で検査を続けて まいりまして、さらに本年に入りまして、この強化を図るべきというような技術検討会 のご意見も賜りました。そういった一環の中で、その対象をふやしてございます。  そういった中で、と畜場、と畜検査に協力いただいて検査をするという体制をしいて きたわけでございます。その中で、千葉県のと畜検査のものについて調べた結果、本件 が摘発されたということでございます。 ○竹田委員  サーベイランスという言葉で出ていますが、その場合には母数が幾らに対して1頭や るという感じのサーベイランスなのか。技術的にはどういう感じですか。 ○農林水産省宮島衛生課長  今のお話でございますが、先ほどお話のありましたOIE(国際獣疫事務局)という のがございます。人間でいえばWHOに相当する機関でございますが、そういった中で 調べる対象というものがございました。その中で一定の規模を調べる必要がある。例え ば、日本の家畜の数からすれば、 195頭程度調べることが正常性を確認するような状況 になってございました。  そういったことで、調べる対象につきましても、中枢神経異常を示したものを中心に 調べるということになってございまして、そういったものを対象に調べてございまし た。 ○山内委員長代理  今の件、さっきも申し上げたのですが、食肉衛生検査所は厚生労働省であって、そし て家畜保健衛生所は農水省であって、食肉処理場の方でと殺された牛が、今度は家畜保 健衛生所でサーベイランスの方に回っていって、そこで検査の結果が出たわけです。  そうすると、さっき申し上げた両方の間でどういう役割分担ができていたのか。どう いういきさつでこのような結果になったのか。敗血症というのは食肉衛生検査所の判断 であって、敗血症自身であれば、サーベイランスの対象にはならないのでないかと思っ ております。ですから、これは本当は2回目の会議のときの議題かもしれませんが、そ ういったこともぜひこの次の回に資料を出していただきたいと思います。 ○農林水産省宮島衛生課長  かしこまりました。 ○高橋委員長  それと、今の資料3の8ページ以降、日にちのところにぜひ曜日を書いておいていた だくといいと思います。例えば、8月24日は金曜日なのです。その日に電話が通じなか った。担当者がいなかった。しかし、それから8月30日に通ずるまでは、これは木曜日 で相当時間があるわけです。曜日を書いておいていただければ、もう少し議題が深まる と思います。 ○和田委員  たびたびで申しわけありませんが、10月18日から全頭検査が始まりまして、これは私 たちとしても1つの区切りというのでしょうか、そのように感じておりますが、死亡牛 の大半が対象外になっているのではないか。そういうものについての危険部位というの を含めて、肉骨粉になっているのではないかという情報も、特にこの数日、ちょうど全 頭検査から1ヵ月たったものですから、また改めていろいろな情報が出ておりますけれ ども、その辺のところも大変関心があり、不安の種になっておりますので伺いたいと思 います。 ○高橋委員長  このことは国会でも問題になったようでございますが、後日また詳しく説明いただく として、本日、概要等、多少説明いただければと思います。 ○農林水産省宮島衛生課長  ただいまの死亡牛に対する検査についてでございます。これにつきましては今回の発 生にかんがみまして、従来も生きた家畜について、先ほど申し上げましたようにBSE を疑うもの、中枢神経の症状を示す、また類するものについては調べるということでや ってまいりました。  それに加えまして、今般、この死亡牛につきましては、そういった可能性をもって死 亡したものについてはすべて対象にするということで、現在、私ども共済の統計なりを みますと、そういったものが大体 5,000〜 6,000ございます。いわゆる起立不能――山 内先生の方がお詳しいのでございますが、海外の情報を得ましても、摘発率の高い部分 についてはすべてその対象にするということでやってございます。  加えまして、先ほどに関連するのですが、従来、EUでモニタリングというものをや ってございます。そういった中で、例えば24ヵ月齢以上で何頭以上ということがござい まして、参考資料3の16ページにございます。先ほどもお話しさせていただいておりま すが、死亡獣畜、EUの今までのモニタニングの中でそういった基準がございまして、 日本の24ヵ月齢以上の数からすれば 4,500頭、無作為に抽出して調べることが必要だと いうことになっております。そういったものをあわせて対応することになっておりま す。  具体的には、ここにございます発生前までの流れですと死亡・廃用牛がございまし て、BSEの検査を家畜保健衛生所でいたします。そこでやったものについては、すべ てその中で焼却していくということでございます。これまで、それ以外で事故などで、 明らかにBSE以外のものであるといったものについては、死亡獣畜取扱場で解体され て肉骨粉ということで出荷されておりました。  しかしながら、現在、BSE発生後の対応というところをみていただきますとわかり ますように、BSEの未検査のものにつきましても廃棄物焼却施設ですべて焼却され る。あるいは、死亡獣畜取扱場に行ったものにつきましても、BSEの発生後の流れと いう右側の囲いの中でございますが、ここにありますように化製場で肉骨粉にレンダリ ングされますが、その後、すべて焼却されるという形になってございます。 ○高橋委員長  よろしいですか。 ○和田委員  はい。 ○高橋委員長  私からもう1点、例えば、今回の発生の原因について、まだ究明されていないという ことを新聞報道等で聞いております。このことについては、恐らく後の委員会で特に論 議されないだろうと思いますので、若干説明していただければと思います。  それから、参考配布の2ページをみてみますと、諸外国の発生事例があります。黒く 塗っているのが、その国でもともと飼っていた牛から発生したものであるということを みますと、ドイツの場合、たしか去年11月に最初の1頭が発見されたと聞いております が、それから1年後、114頭にふえているわけです。スペインについてもかなりふえてい る。日本の場合には極めてうまくいっているのか。それとも、これからぐっとふえるの か。その辺、どのように解釈していいのか。非常に微妙な問題ですので言い難いでしょ うけれども、その原因追究の話とからめて説明いただけないでしょうか。 ○農林水産省梅津審議官  まず、原因の調査状況ですけれども、川下、つまり、千葉と北海道の2つの農場の当 該牛に給餌していたえさのルートからいろいろ調べております。具体的には、そこに供 給していた配合飼料工場、あるいは配合飼料工場が手当てしていた原料の供給者、配合 飼料以外の補助飼料なり動物用医薬品、そういったところまで広げて最大限の把握を今 している最中です。  もう1つは、川上の方から輸入肉骨粉の流通経路を追っています。具体的には、EU の発生国であるイタリアとデンマークの日本への肉骨粉の輸入状況と、それが入ってか ら国内での流通状況の調査をしています。ご承知のように、だんだん枝分かれして対象 の事業者がふえてまいりまして、作業的にはかなり膨大な作業になっております。  先般、国会で大臣が今月中にもその状況を中間的にとりまとめて公表すると申し上げ ておりますので、今、その方向に向かって作業をしている最中でございます。  2点目ですけれども、これは率直にいって、その後、EUでふえているというデータ がございますが、具体的なデータはもっておりません。英国でも最盛期で一農場当たり の発生頭数が平均3%、2頭未満が半分以上ということで、かなり個体差のある家畜疾 病であるということを伺っておりますし、大臣もかねてから、「絶対にないとだれも断 言できない」と言われているわけですけれども、まだ現時点では確たるデータをもって おりません。 ○高橋委員長  原因追究について、まだ調査の途中段階であると解釈してよろしゅうございますか。 ○農林水産省梅津審議官  はい、そうです。 ○高橋委員長  どうぞ。 ○山内委員長代理  まず、ドイツの件についてだけ一言申し上げますと、ドイツも各州によって随分違っ ていて、今、実際にはほとんどがババリア地方でたくさん出ている。何か特殊事情があ るのではないかという感じがします。  もう1つの原因調査について、これはお願いということになるのかもしれませんが、 肉骨粉の流通経路を調べてみても、感染源というのは最終的には恐らくわからないだろ うと。科学的には、株のタイピングという方法があります。これはマウスの脳の中にB SEの牛の脳乳剤を注射して、約1年間かかりますが、その脳の9ヵ所の部位での空胞 のできぐあいのカーブをとりますと、BSEは非常に特徴的なカーブを示します。その 結果で英国のものは1つのタイプしか流行しておりませんし、フランスで発生したBS Eも同じタイプです。ということは、日本のものもその検査をすれば1年後には答えが 出てくるだろうと。  もう1つは、脳の乳剤をウェスタンブロットでやった場合に、今、タイプ1、2、 3、4という分類があるのですが、BSEはタイプ4なのです。今度の千葉のケースも タイプ4なのです。そういう意味では、かなり近い。非常に雑な見方ですが、要するに 違ってはいない。そういう答えがあります。  したがって、今後、どういう研究調査をされるつもりなのか。そういったことを次回 以降、いつでも結構なのですけれども、教えていただきたいということ。  それから、動物衛生研究所は今度独立行政法人になりました。今までは農林水産技術 会議の所属であった。一方、家畜衛生行政は畜産局の衛生課の管轄であって、その両方 の間は必ずしもうまくいっていたとも思わない。うまくいっているときはいいのですけ れども、必ずしもいっていない場合も随分ありました。こういうものはどのようになっ ていくのか。その辺についてのお話も聞かせていただきたいと思います。 ○高橋委員長  ほかに何か。今後の進め方、少なくとも次回、この資料は準備してほしいというもの はございませんでしょうか。 ○砂田委員  これは消費者の一人として、ジャーナリストの一人として、この会議、6回の会合か ら最終的に日本人が食べ物の安全性ということに対してもっと関心を高める。そして、 自分の健康は自分で守れる。最終的に牛肉を食べるか、食べないかは消費者が選ぶわけ です。だから、牛肉が口にやってくるのではなくて、消費者、エンドユーザーが、食べ る人が箸でフォークで口に運ぶのです。そういう人たちのために、この会合が安全な牛 肉をおいしく食べていただくために、どういう情報提供をしたらいいかを議論するとこ ろに意味があると思っています。例えば、アメリカは毎年9月が食の安全教育月間で す。日本は交通安全教育に予算があるけれど、食の安全教育はあまりしてこなかった。 体育の日はあっても食育の日はまだない。これを機会に大衆がもう少し食べ物に対して 安心、安全、それから栄養、健康、保健ということに目覚めるように、何かこの会合が そういう意味で貢献できたらすばらしいのではないでしょうか。私の希望的な観測で す。  今はバイオテロリズムなど、不測の時代、不確実性の時代です。予測できないことが ものすごいたくさんあります。ペットからうつる病気とか、感染症も想像を超えて広が っている。また結核が、マラリアが復活するとか、本当に克服したはずのものが私たち に襲いかかる。全然予測していなかったことが私たちに襲いかかる。だから、より多く の大衆に目覚めていただくようなコミュニケーションを私たちがどう発信していくか を、これからみんなで官民合同で研究開発していけたら、このBSE委員会の開催の意 味があるのではないでしょうか。 ○高橋委員長  恐らく、委員の皆さんは同じ気持ちだろうと思っております。  ほかにございませんか。――私からもう1点、これは「AERA」という週刊誌の情 報ですが、14年前に、日本で似た病気が獣医学会で報告されたという報道を読みまし た。牛のスクレイピー様疾患という報告があったそうです。その学会報告をしたのは帯 広畜産大学の若い方だと記憶しています。その点について、何か資料等があればぜひ紹 介してほしいと思います。 ○農林水産省梅津審議官  「AERA」の記事の点ですけれども、次回、適切な資料があればご説明したいと思 いますが、たしか2つの例は、12ヵ月と19ヵ月の牛の例だったと思います。これは山内 先生がご専門ですけれども、20月齢未満の牛については、ほとんどBSEの事例が報告 されておらないというのが事実だと思います。  それから、健康な牛であっても脳に空胞がある場合があるということを承っておりま す。そういったことで獣医学会に報告された例については、いわゆるBSEではなかっ たと判断して差し支えないと承知しております。 今 後 の 日 程 ○高橋委員長  さて、そろそろ予定の時間がまいりましたが、ご発言よろしゅうございますか。―― それでは、予定の時間がまいりましたので、次回以降の委員会の審議に当たっては、皆 さんから伺ったご意見を十分踏まえて進めていくことにしたいと思います。  次回以降の日程について、事務局から案を説明してください。 ○農林水産省武本企画評価課長  それでは、ご説明申し上げます。  事前に委員の皆様にご都合をお伺いしたところでございますけれども、できるだけ多 くの委員の方にご出席いただける日程といたしまして、第2回の委員会は12月7日金曜 日、午後5時より、そして第3回委員会は12月21日金曜日、午後3時より開催すること としてはいかがかと思います。  また、お手元に、平成14年1月から3月にかけての日程の確認表を今配布させていた だいているところですが、委員の皆様方、大変お忙しい方々ばかりでいらっしゃいます ので、来年1月以降につきましても、できれば次の回に、大体このあたりということで 皆様のご了解をいただければと思っております。できますれば今週木曜日、11月22日ま でにファクスなり何なりでお送りいただければと、このように考えております。 ○高橋委員長  それでは、次回、12月7日金曜日、午後5時から、場所は農林水産省だと聞いており ます。第3回が12月21日金曜日ということでございます。それから、今配布されました 今後の日程表に出席の可否を記入して22日までに出してほしいということでございます ので、ご協力いただければと思います。 閉    会 ○高橋委員長  それでは、次回までいろいろ資料等の整理もあろうかと思いますが、事務局の方、よ ろしくお願いします。本日はこれをもちまして閉会としたいと思います。どうも皆さん ご苦労さまでございました。                                   ――了―― 照会先:医薬局食品保健部企画課 (内線:2445、2450)