01/11/08 第6回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録 第6回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 第6回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日 時  平成13年11月8日(木)14:00〜16:56 場 所  厚生労働省専用第18会議室(第5合同庁舎)17階 議 事  1.検討事項1について  2.その他 ○桑島生殖補助医療対策準備室長  ただいまから第6回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催いたします。  本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は加藤委員、才村委員、町野委員、福武委員の欠席のご連絡をいただいてござい ます。松尾先生は若干遅れられるというご連絡をいただいてございます。  それでは早速、議事に入りたいと存じます。矢崎部会長、どうぞよろしくお願いいた します。 ○矢崎部会長  では議事に入ります前に、まず本日の資料の確認をお願いします。 ○桑島室長  それでは先生のお手元にございます資料の確認をさせていただきます。本日の資料 1、資料2、資料2の追加といたしまして、松尾先生からいただいております1枚のコ メントがございます。それから、以下参考資料、参考資料については、ご意見募集で寄 せられた意見でございます。それから、机上配付資料といたしまして「ターナー症候群 患者における卵子提供に対する意識調査」の参考資料を配らせていただいております。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは机上配付資料になっております岸本委員からの「ターナー症候群患者におけ る卵子提供に対する意識調査」がございます。岸本委員から簡単にご説明お願いしま す。 ○岸本委員  この資料は豊橋市民病院の不妊センターの菅沼先生からの提供資料です。菅沼先生の 了解を得まして今回提出させていただきました。内容といたしましては「ターナー症候 群患者における卵子提供に対する意識調査」ということで、お手元に図表が10まである と思うのですけれども、簡単に説明させていただきます。  初めに3の図表を見ていただきまして、アンケート調査対象ということで、本人27 人、母親23人、父親1名ということで、51人の方を対象に実施されております。  図表4の「卵子提供」に対するターナー症候群患者の理解度ということで、「たいへ ん知りたい」、「少し知りたい」ということを合わせまして90.8%の患者さんが情報を 欲しがっていたということです。  図表5が「卵子提供」の利用ということで、一般国民、不妊患者に比べてターナー症 候群の方たちは「利用したい」、「配偶者が賛成したら利用したい」ということを合わ せますと93.8%ということで、すごく高率でありました。  図表6の「卵子提供」の是非も同じく、ターナー症候群の人は、「認めてよい」、 「条件付きで認めよい」を入れますと86.3%で、これも高率です。  7番の親子関係ですけれども、「依頼夫婦の実子」が86%で、これもまた高率で実子 と認めています。  出自を知る権利の8番なのですけれども、ターナー症候群の人は、「いつでも知る権 利がある」、「成人になったら知る権利がある」、「婚姻年齢になったら知る権利があ る」ということを合わせますと62.7%で、これも一般国民の36.4%に比べると高率にな っております。 9番が海外における「卵子提供」に対するターナー症候群患者の意識 と実際ということで、「利用したい」、「配偶者が賛成したら利用したい」というのが 合わせて80%以上の方が肯定的であったということなんですね。今のところ、既婚者4 例中、2例の方が「卵子提供」を受けて出産されているということが、この9番の一番 下になります。  10番の結論といたしまして、「ターナー症候群患者は、卵子提供を容認し、その実施 に期待感をもつ意識が高く、早期の適応を望む声が強いものと考えられた」ということ が結論に至っております。  以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。  それでは、本日の「検討課題1について」という項目に入りたいと思います。前回も 各委員の間で大変活発な意見交換を行っていただきましたが、前回同様、事務局の方で 議事録に基づき、議論の結果を資料の中に盛り込む形で整理していただきました。前回 は精子・卵子・胚の提供の条件について議論いただいたと思います。(2)の精子・卵 子・胚の提供に対する対価の条件の17ページ下部に囲んだ部分、「他の夫婦が自己の体 外受精のために採取した卵子の一部の提供を受けて提供卵子による体外受精を行う、こ れは卵子のシェアリングですが、その場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供 した人に対して負担する「当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の具体的な内 容はどのように設定するか?」から、19ページの(3)精子・卵子・胚の提供における 匿名性の条件の「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるか?」までですが、 今回新しく「●」あるいは、(案1)、(案2)というようにつけ加わった部分かと思 います。詳細につきましては、事務局の方から説明をお願いします。 ○桑島室長  それでは、資料1でございますけれども、17ページ、今、部会長におっしゃっていた だきましたけれども、「他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供 を受け〜」、いわゆる卵子のシェアリングの場合に、当該卵子の採卵の周期に要した医 療費等の経費の具体的な内容について、どう設定するかという検討事項に対するまとめ でございます。  次のページをごらんいただきたいと思います。18ページでございます。  ●にしてございます。「当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費」とは、提供 者が当該卵子のシェアリングに係る採卵の周期に、排卵誘発と採卵のために実際に支払 った金額とする」。  それから、次の検討事項2つでございますが、「卵子のシェアリングの場合に提供す る卵子の数(又は割合)はどうするか?」という検討事項と、それから、次の矢印でご ざいますが、「卵子のシェアリングの場合に提供する卵子の選別を認めるか?」。ここ も上の部分は●にしてございますが、卵子のシェアリングに関する基準については、提 供を受けた人が提供した人に対する負担する「医療費等の経費」の額は、当該採卵に周 期に要した医療費等の経費の半分以下とする。このこと以外は、基本的に、個々の事例 における提供する人と提供を受ける人との間の契約に委ねることとする。  以下、(案1)、(案2)分かれてございます。  (案1)といたしましては、卵子を提供する人は、採取された卵子の中から、提供す る卵子の数、質を選別できることとする。  その以下、2つに分かれてございまして、(案1−1)それ以上の基準は示さない。  (案1−2)提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を受ける卵子の数 (割合)に比例させることとする。卵子の質により、提供を受ける人が負担する額に差 異を設けることも認める。  (案2)卵子を提供する人が、採取された卵子の中から、提供する卵子の数、質を選 別することを認めない。提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を受ける 卵子の数に(割合)に比例させることとする。  次の検討事項の、卵子のシェアリングの場合における公的管理運営機関の関与につい てでございますが、この部分については、そもそもの部分で入れてございますので、特 に結論を得てございません。  次のページ、19ページのところで、検討事項といたしまして、兄弟姉妹等からの精 子・卵子・胚の提供を認めるのかという大きな議題でございます。  (案1)では、「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。   ただし、提供を受ける人が、生まれてくる子に対し、当該生殖補助医療により生ま れたことについての将来の告知について約束することを必須の条件とする。また、子の 福祉などを担保するためのカウンセリング体制の整備などの環境整備を条件とする、と いうことでご議論いただいてございます。  (関連)といたしまして、課題2、課題3の部分も至ってございます。  (案2)「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚」は、(当分の間)認めない。  当分の間認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補 助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供によ る生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする、ということでご議論をい ただいてございました。  前回の議論はここまででございます。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。なかなか議論が進展しなくて申し訳ないと思います けれども、前回の部会の後に数名の委員の方からご意見をいただきまして、資料2とし て皆様方に配付しております。ご意見をいただいた委員に簡単にコメントをいただきた いと思ったのですが、あいにく本日は、加藤委員、福武委員、松尾委員がご欠席でいら っしゃいます。荒木先生はいらっしゃいますけれども、荒木先生はこのご質問に対する 回答みたいな形ですので、次回まとめて、また簡単にコメントをいただきたいと思いま す。荒木先生、それでよろしいでしょうか。 ○荒木委員  はい。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。議事の整理の観点から、前回同様、事務局にこのように整 理していただき、そして説明のあった部分、そのほかに関して特段のご異論がないよう でしたら、検討課題1について最後まで一通りご議論いただいた後、二回り目で議論を 深めて改めて検討していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。 ○石井委員  「●」は決定したということでございますよね。18ページの2つ目の「●」のところ なのですけれども、私の認識と少し違うのですが、「基本的に、個々の事例における提 供する人と提供を受ける人との間での契約に委ねることとする」ということで決まった というふうには私は思っていなかったのですが、両当事者ということは匿名でなくなっ て、その間で片方が生まれて、片方が生まれなかったということになると余計問題が生 じるのではないかというような話もあって、個々の間の契約というのはなかなか難しい のではないかという話をしていたような記憶があるのですが、私の記憶違いかどうか、 その辺お伺いしたいと思ったのですが。 ○小林主査  すいません、ご説明申し上げます。ここで個々の契約と書いているのですけれども、 言葉足らずなのですが、受ける人ともらう人が直接にその契約をするという形ではなく て、医療機関を通して、その条件がマッチする人同士でやっていくというイメージで、 言葉足らずなのですけれども、あくまでも直接に契約関係を結ぶというわけではないで す。 ○石井委員  この文章ですと、そう読めてしまったものですから。 ○小林主査  わかりました。もう少しわかりやすいように、次回修正します。 ○矢崎部会長  その点をもう少し明示して、一応「●」にさせていただいて、あと(案1)、(案 2)でまた議論していただくということでよろしくお願いいたします。よろしいでしょ うか。  それでは、そのように、先ほどの石井委員からのご指摘のことは案を少し変えさせて いただきたいと思います。  そういうことで、前回は19ページの(3)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条 件の兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるかまで検討が進んできました。  次の検討課題の、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供における公的管理運営機関 の審査基準を具体的にどのように設定するか?について、兄弟姉妹等からの精子・卵 子・胚の提供を認めるかどうか、見通しが立ちませんと議論が難しいと思いますので、 兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるかどうかの方向性が決まってからご議 論をいただきたいと思います。  そこで本日は、(4)の精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける側の属性の一致等の 条件の精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性を合わせるか、また合わせる 場合どこまで合わせるかから、本日ご議論いただきたいと思います。何か事務局でつけ 加えることありますか。 ○桑島室長  いいえ。 ○矢崎部会長  それでは今の点についてご議論いただければ大変ありがたいと思います。これは余り 議論、専門家の先生にコメントいただくほかないと思いますが、荒木委員か吉村委員か ら何か。 ○吉村委員  それでは少しご説明申し上げます。AIDに関しましては、ドナーの精子が、比較的 卵子と違いまして、ドナーがある程度得られるということで、現在までは血液型を合わ せておりました。そのほかは一切何も検討項目に入れておりません。日本人の場合には Rh+の方のみのドナーからいただいているのが現状でして、ABOのみを合わせると いうことにいたしております。  また、今後、卵子・胚の提供ということになりますと、血液型を合わせるということ は大変困難になるのではないか。ただでさえ卵子提供者が見つからないような状況にお きまして、ここまで属性を合わせるということは現実面として困難ではないかと私は思 っています。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか、どうぞ。 ○鈴木委員  質問です。AIDで合わせるのは夫の血液型に提供者の血液型を合わせるということ ですよね。 ○吉村委員  もちろんです。 ○鈴木委員  同じく卵子・胚に関してもそのことを今ここで話し合っているのだと思うのですけれ ど、属性を合わせる目的は何ですか。それは基本的に子どもにその事実がわからないよ うにするためが第一目的なのでしょうか。医学的には血液型が合っていないということ で何か問題が起こるのでしょうか。 ○吉村委員  全く起こらないと思いますけど。ですから現在まで、過去50年間行われていたAID というものは、完全匿名で、しかも出自を知る権利が認められていなかったわけです。 出自を知る権利が必要であると言われてきましたのはこの10年、5年という期間であり ます。ですから今まではそういう方法でやっていたということだけでありまして、それ が果たして正しい方法であるかどうか、今後それが正しい方向であるかということにつ いては言及いたしておりません。ですから今後は別に属性を合わせる必要はないのでは ないか。また属性を合わせるということは、たとえ血液型のみであっても現実面として 難しいと思います。 ○矢崎部会長  これは全く医学的に問題ないということは。 ○吉村委員  私たちの経験は精子しかありません。旦那さんを選ぶときに何型の人を選んでいたわ けでもありませんから、余りそういうことは問題ない。ただ、子どもと血液型を一致さ せておいた方が、クライアント夫婦や子どもにとってよいのではないか。要するに出自 を知る権利を認めないような状況でやってきたわけですから、ですからそれを合わせて おいた方がいいだろうという考え方からそうなったわけであります。それがいいことか どうかということについては、今後のこういった医療が行われてくるとなるとまた問題 は全く違ってくると思うのですけど。 ○石井委員  卵子でも問題は起きない。 ○吉村委員  医学的には起きないと思います。 ○石井委員  血液型は関係ない。 ○岸本委員  属性という件に関して、私たちの会全体的にアンケートをとったわけでも何でもない ので、声としては出てきてないのですけど、ただ、この間、アメリカに行かれて卵子提 供の受けられた方の話なのですけど、将来的に子どもに告知をするつもりはあると。あ ってもなくても、例えば思春期のときに、私たち思春期のときに、お母さん何型でお父 さん何型で、私何型やねん、という話を結構したんです、経験からして。そのときに子 どもに告知をする、しないにかかわらず、そういうことが結構話題になるのですね。そ のときに一応は血液型を、属性ですか、自分と卵子提供の方と合わせておいて、生まれ るという可能性がある子どもを、生まれたときに思春期時代の問題を1つ、告知する以 前でしたら、問題が生じないのではないかという意味で、その卵子提供受けた方は血液 型と、アジア系の中国の方の卵子を提供していただいたのですけれども、とりあえずは 出自を知る権利を認めるにせよどちらにせよ、血液型だけは思春期を乗り越えるときに おいて、ちょっと必要かなというふうには思うのですけれども。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。これは意見の分かれるところかもしれませんですね。○石井委員  私も、今、岸本さんがおっしゃったのと関連するのですが、本人が知るかどうかとい うこととは別に、血液型か違うということは何らかのときに、人にそういう問題を知ら れることになるという点をどこまで考慮するかということが1つあるのではないかとい うことが1点。  もう一点は、吉村先生が、卵子提供は少ないから合わせるのは無理だろうというふう におっしゃったのですが、システムをどうするかにかかわっていると思うのですね。全 体として情報を一元化して提供ということを管理できるとすれば、前にやった優先性と いうところとかかわってくるのですが、血液型が合う人に提供がいく、そういうシステ ムを考えるとすれば合わせるという方向もあり得るのではないかと思うのですが、それ が可能かどうかということになりますけれども。 ○鈴木委員  多分、血液型も何も合わせませんよということで、このシステムがスタートしたら、 欲しがる人はいなくなってしまうと思うのですね。やはり最低限血液型は合わせてもら えるという前提でないと、希望者も多くの人は希望しないのではないか。あるいは希望 する人にはどこまで認めて、血液型合わせなくてもいいという人にはもちろん、どれで もというか、どの血液型でもいいわけですよね。むしろどこまで希望を受けいれるかと いうことではないかというふうにも思うのですが。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。そのほか。 ○高久委員  私も希望で良いと思います。合わせなくていいという人には合わせる必要はないし、 合わせてもらいたいという人には合わせる。それ以外やりようがないのではないです か。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは、そういうコンセンサスで、事務局の方で、また次回 まとめさせていただくということでよろしくお願いします。  次は、属性以外の提供を受ける者の希望に応えるか?また、応える場合、どこまで応 えるか?(第2子や第3子も同じ提供者から提供してほしい等)の希望が出た場合にど うするかということだと思いますが。 ○金城委員  今、血液型のお話でも出ましたように、希望をまず優先することは大切だと思うので すね。ですから第2子や第3子について、それが可能ならば、提供する数というのは決 まっているわけですよね。ですから、そういうことを考えれば、必ずしもいつも可能と は限らないと思います。でも可能ならば、同じ提供者からの精子を提供するということ でいいのではないか。できるだけ本人の希望に沿う。特に第2子、第3子については、 第1子と同じ提供者から提供してもらいたいという希望は多分あるだろうと思うのです ね。ですからそれに応えられる限りは応えていくというようなことより仕方がないので はないですか。  いちいち詳しいことを書いていても、具体的な事例は非常にいろんなことで変わって きますので、それまで全部詳しくガイドラインに書いてしまえば動きがとれなくなるの ではないかと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。これは第3子の希望も不妊症に対する治療に含まれるので すか。 ○吉村委員  もちろん卵子がない方であれば、第2子欲しい、第3子欲しいということになります し、あり得ます。 ○矢崎部会長  それでは可能ならば……、どうぞ。 ○鈴木委員  私は物理的にそれは難しいのではと。今現在でも、同じ提供者から、要するに上の子 が例えば生まれて、下の子も同じ提供者から欲しいという希望は余り受けていないとい うふうに私は聞いておりますし、例えばその方が1人目を出産したら、その方用に、2 年か3年その精子なり卵子をストックしておかなければいけないわけですよね。その人 が使うか使わないかもわからないのに、それは物理的に難しいのではないかと思うので すが、システムとして。 ○吉村委員  現在まではAIDに関しましては、こういったことは一切お受けしておりません。で すから第2子同じ人にしていただきたいという申し出がありましても、完全匿名を守れ なくなる可能性があるからということで全く。それから、今おっしゃったような、ド ナーがそれまであるかどうかということがもちろんありますし、ある一定期間でドナー さんには終わっていただくことが多いので、今のところは一切こういったことは聞いて おりません。 ○矢崎部会長  先ほどの検討事項と同じように、「可能ならば」という文言は、それも残すのは不可 能でしょうか。 ○吉村委員  皆様方がそうおっしゃればいいと思うのですけど、こういったことをどんどん認めて いきますと、優生思想とは私は言いませんけれども、そういったものになっていく可能 性というのはないでしょうか。例えば、私こういうことを希望している、こういうこと を希望しているということをどこまで、それは第1子が生まれて、第2子が生まれると きに同じものを使ってほしいという希望だけであるならば結構だと思うのですけど、こ れは例えばの話ですよね。属性以外の希望に応えるかどうかということになりますと、 それはさまざまな問題点を起こすということはないのでしょうか。 ○金城委員  それと同時に、今精子の売買がインターネットなどを通じて行われているわけですよ ね。それは病院側が今までは個人の希望に対応してこなかったからということもあると 思うのです。ですから、できれば売買などはない方がいいと思いますので、リーズナブ ルな合理的な要求であれば、それはできるだけ応えていったらいいと思います。でも、 今お話があったように、物理的に不可能だとかそういうことあると思います。ただ、今 は凍結した精子を使っているということですから、そういうことであれば、そのときに ご希望を伺って、そしてしばらく保存しておくとか、そういう細かい対応が難しいとお っしゃることもあると思うのですけれども、しかし、できるだけ希望に添えるようにし ていけばよろしいのではないかと思います。でも、これはあくまでも「できるだけ」と いうことでございます。 ○矢崎部会長  そのほかの委員の方でご意見ございますでしょうか。 ○平山委員  一応の確認ですけれども、その点に関して、1回目の提供で受精卵をつくって、移植 した以外のもの、凍結している場合、移植したときに、第1子を妊娠された場合、その 凍結してある胚で第2子、第3子というのをできるということは実際あり得るわけで す。その点に関しては、この希望に応えるというのに関してはオーケイということでい いのでしょうか。  実際、今夫婦間の体外受精でも、同じときの採卵で、採卵周期の卵で兄弟になってい ることはたくさんあるわけですので、それは提供に関しても同じと考えてよろしいでし ょうか。 ○鈴木委員  その話はとても難しいと思うのです。例えば今年、提供者がいて、提供精子なり卵子 による胚ができて、3年間保存したとしますね。だけど3年後にもその提供者が胚の使 用に関して同意しているかどうかというのは、例えば今年の同意でいいのかという問題 もあると思いますし、そもそもその胚の所有権なり使用の仕方に、提供者にも当然その 胚の使い道に対して物を言う権利があると思いますので、その話はまた別のときにした 方が、要するにできた胚をどのようにその後扱うかということに関しては、また別の問 題なのではないかというふうにも思うのですが。 ○平山委員  すいません、提供された時点で、もうそれは提供を受けた側の所有権が生じるという ふうに考えるのがリーズナブルだと私は思いますけれども。 ○鈴木委員  いや、そこはまだこの委員会でそのように合意ができたというふうには私思っており ませんし、まだ話し合っていないのではないでしょうか。提供によってできた胚、凍結 しておいた胚をその後どのようにするかということに関しては話し合ったのでしょう か。 ○矢崎部会長  正確には記憶はありませんね。だから、話し合って、まだ確定していないことだと思 いますね。  どうでしょうか。そうしますと、最初の属性を合わせるということは、先ほどの委員 の方の意見で、その次の属性以外については、これはこのまま可能ならばといいます と、吉村委員のお話のようにどんどん拡大されていってしまうというご心配もあるの で、これは具体的な提示をしないとなかなか議論が進まないということもありますの で……はい、どうぞ。 ○安藤委員  今の第2子、第3子の希望に応えるというところを見てみますと、前回、検討したと ころの数、18ページのところにありますけれども、18ページの(案1)のところの「卵 子を提供する人は、採取された卵子の中から、提供する卵子の数、質を選別することと する」ということになりますので、この時点で数とかというものが契約されることも考 えられることになるわけですね。もう少し18ページのところとの関連とかも後で考えて いかなければいけないのではないかと思いますが。  今の議論のところでは、可能ならば提供するというところで、私はいいのかなと思い ますけれども、そうした場合に、18ページのところでの数、ここまでの関連として考え なけばいけないのではないかということをお話ししたいと思ったのです。 ○矢崎部会長  この場合、吉村委員、卵子は今余りそのまま第2子、第3子で使える。 ○吉村委員  恐らくシェアリングの場合もそうですけれども、卵を採ってまいりまして、例えば5 つをクライアント夫婦にあげるということになりますと、その時点でご主人の精子を使 って体外受精をする。そして、その受精卵を保存しておくということの方が現実的です ね。今、卵子も凍結しようということも起こっていますけれども、なかなかこれがうま くいってないという現実を見ますと、クライアント夫婦のことを考えますと、受精させ て、その受精卵を、例えば何個か戻して、余剰胚を凍結しておくということの方が現実 的です。 ○平山委員  すいません。 ○矢崎部会長  はい。 ○平山委員  今の吉村委員の意見を受けてですけれども、先ほど私が言ったのは、何で言ったかと いうと、卵子提供の場合に1回に受ける、卵子を提供していただいて、一応新鮮胚で戻 すとしますね、受精させて。それがうまくいかなかった場合は残りのものを凍結してお いてやるというのは前から議論になっていて、それはオーケイとなっていたというふう に考えたのですね。ですから、たまたま1回目に妊娠された方がまた残っている胚を使 って第2子、第3子を持とうとすることというのは矛盾しないのではないかと思ったの で、一応確認をさせていただいたので、先ほどの鈴木委員の意見はちょっとどうなのか なと思うのですけれども、今ここで議論することなのかわからないので、部会長の方に お任せしますが。 ○吉村委員  ただ、私思いますけれども、鈴木さんのおっしゃっていることがある程度当たってい ると思うのは、通常の婚姻関係にある夫婦が胚をつくって、子どもさんが1人生まれた ときに2人目が欲しいと思われるのは当然の思いであります。しかし、例えばクライア ント夫婦にあげた場合に、胚をつくった場合に1人が生まれたということをドナーの方 に知らせないといけないことが出てきますよね。ドナー夫婦は1人ができたということ を知る。2人目を欲しいとおっしゃっているのだけど、どうですか、ということになる だろうと思うんですね。そうすると少しは違ってくる思いは当然あってもおかしくない ので、2人目をもらうときには、もう一回インフォームドコンセントを取り直さなけれ ばいけないのではないかと私は思います。  だから簡単に同じ問題だとは私は言えない面があるのではないかと思うのですけど、 どうでしょうか。言っていることわかりませんか。 ○石井委員  伝えるんですか、生まれたということを。 ○吉村委員  それは伝えないと、2人目も生まれているということに対して同意が得られないので はないかと私は思うんですけど。 ○石井委員  提供した時点で、その結果について知らせるという。 ○吉村委員  そうではなくて、匿名性は当然守りながら、1人が生まれたのだけど、2人目をつく ってもいいですかということは聞くべきだと私は思うんですけど。 ○石井委員  生まれる子どもは1人になるか双子になるか全くわからないわけですね。 ○吉村委員  そうですね。だけどそのときに、例えば3年、4年という期間があるわけですよね。 その間でどう変わってくるか私はわからないと思うのですね、考え方が。例えば、その ときに双子が生まれたかどうかなんて知らせる必要はもちろんないと思いますし、例え ば2つ戻して双子になった、それはいいかもしれませんが、その後、3〜4年経ったと きに、自分の胚が2人目に使われるということについてはある程度同意を得ることが必 要だと思います。その3年間で変わるかもしれませんね。 ○石井委員  それは提供のときに。 ○高久委員  善意の提供の場合には、普通は結果は知らせなくて良いと思います。善意で提供した ということであって、その結果がうまくいって妊娠したかどうかということまでいちい ち知らせる必要があるのですか。 ○吉村委員  私はそれはないと思うのですけれども、年限がたちまして、その胚が、3年後に、例 えば2子目をつくりたいというときには、私はある程度インフォームド・コンセントは とっておくべきではないかと思うのですが。それはそうでなくてもいいと、提供した段 階で終わっているということであるならば、それは私はそれでもいいと思いますけれど も、そういった必要性はないのかと。 ○金城委員  今までの慣行はどうかということをまずお聞きしたいと思うんですね。例えばAID のときに、いちいちそういうことはちゃんと言ってはいないと思うんですね。そして何 人生まれるかということも全く報告なんかしてなくて、今までお使いになってきたと思 うんです。  しかし吉村先生のようなお気持ちもよくわかります。今度は1人の提供者から生まれ る子どもの数もきちんと限定するわけですね。ですからインフォームド・コンセントの ときに、いただくときに、そういうことをきちんと申し上げておけばいいのではないで すか。もしかすると、同じ人が2回提供してもらうかもしれないというようなことまで も全部お話をして、その上で提供していただけばいいのではないかと思うのですけど、 いちいち第2子に使うときまでに提供者に同意を得なければいけないといったのではま すます身動きがとれないのではないかと思うんです。 ○鈴木委員  次の項目の提供された精子・卵子・胚の取扱いともちょっとかかわる問題なのだと思 って伺っていたのですけれども、今のお話ですと、例えば精子の場合、単体で凍結保存 しておくわけですけれども、一度提供してしまったら、それを例えば1年たって、もう 気持ちが変わりましたと。やはり子どもをそれでつくっていただきたくないんですとい うときに撤回ができないのかということになるかと思うのですね。例えば一度提供し て、それでほかの夫婦との間で胚をつくることに合意はしたけれども、で、胚はできた と。けれど、1年後に、私としてはそれを使っていただきないという気持ちになったと き、提供者にはそれをそういうふうに言う権利はないと、撤回できないということにな るわけでしょうか。  それを最初から、これは撤回できない約束事ですよというふうに説明して、それで合 意した人にだけ提供していただくというやり方にしようということなのでしょうか。 ○金城委員  かなり難しいあれなんですけれども、昔はいちいち精子について、これはだれからの だというようなことはなかったかもしれないのです。でも、これからは全部精子につい てマークをつけなければいけないわけですよね、凍結するにしても。そうすれば、撤回 ということであれば、その人からそういう意思が来れば、まだ残っていれば、廃棄をす るとかお返しするとかできるわけですから、それは撤回は認めるというのは医療では前 提ですよね。どんなに一度同意をしても、後になって撤回をすると。 ○鈴木委員  ですから胚の場合はどうなるのかと。できちゃった胚に関しては。 ○金城委員  おっしゃるとおりですね。 ○鈴木委員  単体の撤回は私は十分可能だと思いますが。 ○金城委員  胚ということになると、それはある程度、その点、十分ご説明をしてということにな ると思います。 ○桑島室長  部会長、お願いいたします。 ○矢崎部会長  はい。 ○桑島室長  資料集の専門委員会でのご検討いただいております中で、34ページにその部分に該当 する部分がございます。箱で括ってございます一番下でございますが、「当該同意は当 該精子・卵子・胚が当該生殖補助医療に使用される前であれば撤回することができる」 という専門委員会の中でのご議論がございますが。 ○鈴木委員  ですから、これは単体に関してはもちろん使用前で残っているわけですから撤回は物 理的にも可能なわけですが、胚の場合はどうなるかという話を今していたわけですよ ね。 ○金城委員  使用したことになりますよね。 ○鈴木委員  使用している。 ○矢崎部会長  吉村委員が朝日新聞に、余剰胚をどう考えるかという論説、これにも直接関係ありま せんけれども、今の鈴木委員の胚になったときの撤回というのの倫理的な問題含めて、 不妊学会あるいは不妊治療の関係の方で何か議論ございますでしょうか。凍結胚を、途 中でドナーの方が一部卵子の場合に撤回したいと言った場合に、鈴木委員は胚の対応を どうするかということも含めてでしょうか。 ○鈴木委員  少し整理していただいていいのですが、まず最初に属性を受けるかどうかという話を して、今飛ばしてしまったのですが。 ○矢崎部会長  関係なくはないので、先ほど胚を凍結保存した場合に、第2子、第3子も同じ凍結胚 を用いて、子どもをつくりたいと言った場合に、提供者が、いえ、これ以上は使わない でくださいと。その胚によって、子どもが生まれたか生まれないかはとにかくとして、 数年後に、やっぱり自分でつくられた胚は用いないでくださいということは十分あり得 ることだと思うのですね。ただ、そのときにどういうふうに胚に対して対応するかとい うのが問題になるかと感じたのですけれども。 ○鈴木委員  原則として、提供者のもちろん同意がない胚はもちろん使えないわけですよね。単体 では当然だし、ただ、胚になったときも、原則はやはり提供者の同意があることであろ うと。そのように使ってもいいですよというふうに、提供者も同意しなければいけない と思うのです。要するに同意がなくして、依頼者というか、もらった側の夫婦が自由に 使ってよいというふうにするのかどうかという今問題なのではないでしょうか。提供者 の同意はとらなくてよいと。あるいは提供者が同意してなくても、2人目、3人目用に 保存して、その夫婦のものとして所有権なり使用権があるものとして使ってよいのかど うかという問題ではないかと思うのです。 ○矢崎部会長  先ほどの意見ではボランティアで差し上げたので、だけれども、委員のおっしゃって いることは、途中で、これは……。 ○鈴木委員  気持ちが変わることもあり得ると。 ○矢崎部会長  得ると。それは認めざるを得ないですよね。 ○鈴木委員  変わることは十分当然あり得るわけですが、それを例えば気持ちが変わっても、それ は認められませんと、例えば最初に説明の段階で。 ○矢崎部会長  そういうことはあり得ないと思いますね。先ほど金城委員が言われたように、そうい うことはどなたも言ってないのではないでしょうか。 ○石井委員  胚をつくった後まで認めるかということですね。精子が精子としてある。卵子が今あ ることは考えられないので、精子だと思うのですけど、精子が精子としてとどまってい る間は撤回を認める余地は、使用前というのはそういうことで、胚というのは。 ○矢崎部会長  その前に、私申したのは、撤回した場合、どういうことが起こるかということを頭に 入れて……。 ○鈴木委員  それは提供者が、もし、それを使ってほしくないと言い出した場合に、その胚はどう なるのかということですね。それは逆に規定を決めておく必要があると思います。それ についての後始末というのでしょうか。先ほど不妊治療の現場ではということを部会長 がおっしゃっていましたけれども、これは私はとても言いたいところで意見にも書きま したが、夫婦の胚そのものをどのように保存するか、あるいは夫婦の意見が不一致の場 合、離婚した場合、どちらかが死亡した場合にその胚の行く末をどうするのかという規 定が全くありませんので、それと同様の問題かなというふうに思っております。 ○石井委員  同様ではないと思います。 ○鈴木委員  同様ではないですが、夫婦の場合はちょっとあれなんですが、いずれにしても胚が、 要するにだれがどのように扱うかという問題、今ほとんどまだ決まりがない状態ではな いでしょうか。保存期間はある程度指針がありますけれども。 ○相良委員  本日の資料の22ページのところに、胚の処分ということが参考資料として書いてあり ますけれども、「提供者した胚は、使用前であれば、配偶子の由来する両者の合意によ り提供の撤回ができ、いずれか1人の申し出があれ廃棄できる」という文言があります ので、これを考えると、何年かたって受精卵を使う場合には、提供者の同意をもう一回 確認するということが必要なのかなと思います。それで、もしその間に、ドナーの方が 亡くなったりした場合には、廃棄ということになるのかなという気がするのですが。 ○矢崎部会長  そうですね。そういう場合も大いにあり得ますよね。 ○岸本委員  例えば卵子提供をした女性に対して、後で報告、子どもが生まれましたよとか、残念 ながら、あなたの提供していただいた卵子は流産しましたよとか、そういう報告を提供 した人にするのかしないのかというところは今はどのような形になっているのですか。 その後、例えば報告をその人に、1人生まれましたよとか、2人生まれましたよという 報告をするのであれば、何年かしたときに、提供していただいた女性が、子どもが残念 ながら提供の方にできていなかった場合、自分があげた人ができているけれども、自分 ができてなかった、2年、3年たったときに、1人でも重たい気分になるのに、2人目 も3人目も自分の卵子でできているということを知ったときに、必ずその人は拒否 す。。使わんでくれと言う権利は絶対あると思うのですけど、提供した女性にきっちり した報告、今、精子の場合はどのような形になっているのですか。 ○吉村委員  精子は一切知らせていません。 ○岸本委員  知らせてなくて。 ○吉村委員  全く匿名で完全に出自を知る権利もなく、何人生まれたかということも知らせていま せん。 ○岸本委員  今、提供してくれた人にどれだけのことをどう報告するかというところはきっちりし た形で、まだこの部会では決められていないと思うので、その辺を決めた上でないと、 撤回する権利があるとかというのは話がまとまらないのではないかと思いますけど。 ○矢崎部会長  先ほどの意見では、卵子の場合も、その結果として、どういうふうになったというこ とは提供者にはお知らせしないという、一応委員の皆さんはそういった合意を得られた のではないかと思うのですけれども。 ○岸本委員  しない方で。 ○矢崎部会長  ええ。そうでしたよね、石井委員がそういうふうに言われましたよね。 ○石井委員  いや、それは、提供のときの同意の中身について検討する機会があるんですよね。私 は知らせないのだろうとは思っていたのですけど、本当にそれでいいかどうかというの はもう一度考えてみる必要はあるのだろうと思います。子どもに知る権利があって、提 供者はボランティアなのに全く知る権利がないのかということがいいかどうかというの を考えてみる必要性はあるのだろうと思いますけど。 ○矢崎部会長  原則としては、お知らせするというシステムはないということになるかと思います。 それで、ただ、そういうお知らせする義務はないのですけど、今度は出自を知る権利と 同じように、提供者がどこまで知る権利があるかというのも、また問題だと思いますけ れども、今、鈴木委員が言われたのはそういうこと関係なく、何年かたって、そういう ボランティア精神でもやめたいということが認められるかどうかということを言われた んですよね。じゃなかったですか。 ○鈴木委員  認めるも何も、本人が嫌だと言っているものを無理無理使ってもいいのかという問題 はありますが。 ○矢崎部会長  提供者が、もう使うのやめてくれと言ったら、当然それは認めると。そのときに胚の 廃棄は、そういう場合どうするかというのが、この次の22ページの議論になっていくと 思うのですけれども、ですから、それは提供者の意思は尊重されるということでよろし いですよね。 ○高久委員  いや、それはちょっと。提供者は提供した時点で権利を放棄しないと。だれに子ども が生まれたかということを知るようになりますと、話が非常に複雑になると思います。 ですから提供した時点で、うまくいったかいかなかったか、まだ保存されているかどう かなどということは知らせない方が私はいいと思います。 ○平山委員  すいません。ややこしくするのは嫌なんですが、鈴木委員のおっしゃったこともすご く、言われてみて、ああそうだなというふうにも思ったのですが、提供した方の撤回権 を認めるということになったとすると、極論すると、提供して胚移植をして、妊娠しま した。でもその時点で「やっぱり嫌です。あの胚は使わないでほしかったんです」とい うことを認めるということになると思うので、どうするのかということになると思うん です。  ですから使用前、先ほどの22ページにある使用前というのを、提供の場合には、精 子・卵子の状態であるところを言うのか、胚になった後を言うのか、胚移植の後を言う のかというのを議論して決めておかないと多分ぐちゃぐちゃになるのだろうとちょっと 思いました。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○金城委員  これはすごく複雑だと思うんですけど、やっぱりボランティアである人の意思を尊重 するということもよくわかります。だけれども、提供しますということで、精子を提供 してもらって、そして妻の方の卵子を採取して、そして普通は胚にして使うものは使 う。後は凍結保存しておくわけですよね。でも、先ほどのように、おなかの中に入って 成長しているところで嫌だと言われたということも1つありますけれども、胚になった 後、嫌だと言われても、これは生命の萌芽が始まっているということで、胚については 非常に尊重して扱わなければならない。その段階になって、嫌になってからということ で廃棄しなければいけないというのも、私はちょっとおかしな話なのではないかと思い ます。そして卵を出して、子どもを産むつもりでやっていた。もしほかの人からもらっ た精子で胚をつくっていれば使えたのに、たまたま途中で撤回する人の精子でつくった ので廃棄しなければいけない。これでは提供を受けた人の権利を考えるととてもお気の 毒だと思うのですね。ですから、そこら辺は提供を受けた方の利益も十分配慮しなけれ ばいけないと思います。  それで、夫婦の場合であれば、第三者の提供とは随分違ってくると思うのです。なぜ かと言えば、夫婦の場合には生まれた子どもについては、2人で育てていかなければい けないわけです。ですから一方は嫌だ、一方は産みたいというときには、嫌だという人 の意思を尊重して廃棄しなければいけないと思うんです。だけど、第三者から提供され た胚であれば、第三者は育てていかなければいけないという義務はないわけです。です から、そういうことも考えると、使用というのは、胚をつくれば使用だということで、 もう撤回は無理だと。ですから、それはインフォームド・コンセントをとるときに十分 ご説明をするということなのではないかと思います。 ○鈴木委員  幾つか例えばやり方はあると思うんですが、頭整理しながら話しているのですけれど も、まず、例えばそういう場合には凍結保存はしないという選択もありますよね。もう 一つ、第1子なりの妊娠なり出産・分娩の後は、残りは原則廃棄するという方法もあり ますよね、後の混乱を避けるために。吉村ドクター、いかがでしょうか。 ○吉村委員  医学的に考えますと、おっしゃったことの半分は難しいと思うのは、奥様を同調させ ないといけないですね、クライアントの夫婦を、凍結しないということを考えますと。 ○鈴木委員  それは卵提供の場合ですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○鈴木委員  精子提供の話は別ですね。 ○吉村委員  精子提供の話は別です。そのときに来ていただければいいわけですから、精子提供に ついては心配いりませんが、卵子提供については同調させなくてはいけないということ が起こってくる。結構それも、できないということはありませんけれども、大変難しい かなと思うのですけれどもぁ ○鈴木委員  2つ目の方法はいかがですか。 ○吉村委員  2つ目、何でしたか。 ○鈴木委員  第1子の分娩、妊娠でもいいですけれども、確認と同時に残りは原則廃棄するという 方法。 ○吉村委員  それは可能です。せっかく卵子を提供していただいてつくったのだから、もう一人欲 しいという人に対して、私はそれを廃棄するというのもどうかなと。私はこの属性以外 のということについても、これに対して反対しているわけでも何でもなくて、第2子に 対してある程度の期間がたってしまうわけですから、その点について何も知らせないの はいかがなものか。完全に半分は遺伝子はクライアント夫婦のものでありますから、ど ちらか卵子の提供を受けてもご主人の精子を使っているわけですし、精子の提供を受け ても、奥様の卵子を使っているわけですから、半分は自分のものだから、これは要する にクライアント夫婦に属するのだという考えでいけば、私はこのままでも全然構わない と思います。  ただ、精子を提供した方、卵子を提供したドナーが、本当にできてしまうと実際にも う一人つくるというのはどうかなとお思いになるかもしれない。その辺をどうやって、 せっかく善意でくださったドナーに対して、随分その感覚は違ってくる可能性はないの かということを心配しただけです。 ○矢崎部会長  その情報は伝えないと。 ○吉村委員  情報をもし伝えないということであるならば、私は全然問題無いと思います。ただ、 クライアント夫婦に兄弟ができるのと違った夫婦に1人ひとりできるのとは、これは同 じかもしれませんけれども、でもそれは遺伝子的には全然違うものになりますよね。要 するにクライアント夫婦に2人できますと完全な兄弟になるわけですから、この感覚と いうのは、胚の提供については少し考えていかなくてはいけない。例えばAという夫婦 とBという夫婦に渡せば、半分の遺伝子は違ってきているわけですから、これは兄弟と はいえないのか、ちょっとわかりませんけど、半分が遺伝子同じ。そういう意味で感覚 は結構違ってくる可能性はないのかということを心配しただけです。 ○矢崎部会長  話はますます難しくてパズルが解けなくなりますけれども、非常に複雑になりますの で。今幾つかの案があったと思うんです。例えばインフォメーションを与えない。提供 した後で撤回はできないという案から、あるいは途中で撤回も可能ではないか、幾つか の案にまとめて、それでまた考えていただいて、今の議論は一通りここで終えて、案を つくっていただければと思いますけれども。 ○小泉委員  案をつくっていただくとき、単にこういう案というだけでなく、そのときの議論で、 その案でいくとこういうメリットやデメリットがあるというご意見が出ているわけです から、それを付記していただくことを希望しますけれどどうでしょうか。 ○谷口母子保健課長  案を整理させていただくのは事務局として当然だろうというふうに考えておるのでご ざいますけど、その際に先生のご指摘のように、こういうメリットがある、デメリット があるという意見は、先生方から出た意見の中に、おっしゃっていただいたメリット、 デメリットを整理することは可能なのですけれども、全然そこで整理されないメリッ ト、デメリットを事務局で考えて出すというのは、これは私どもは控えた方がいいとい うふうに考えておるのですが、その辺は。 ○小泉委員  もちろん事務局にそれを添記してほしいという意味ではなくて、提案されているとき におっしゃっている、こういう趣旨でこうしたいというように、それで結構だと思いま す。 ○谷口課長  わかりました。それであれば。 ○矢崎部会長  議事録の文言でまとめていただきたいというお話で、事務局で結論をまとめるという ことではないのですけど、ただ、先生、議事録をまとめてここへ入れるだけでも物すご い分量になってしまうので、私としては案を提示させていただいて、あと議事録を各委 員の言っておられることを、そこから斟酌して把握していただければというふうに思い ます。議事録をピックアップして、例えば参考資料として出すということは可能なので しょうか。要するに事務局で発言をまとめて何かするのではなくて、議事録の部分を抽 出して添付する。言葉どおりで添付する。 ○谷口課長  先ほど申しましたように、議事録そのものの中での該当部分だけを抽出、コピーをし て提示するというのは物理的にも可能だと思います。ただ、分量は多くなると思います けれども、その程度でしたらちょっと検討させていただきたいと思います。 ○矢崎部会長  それは2回り目の検討のときには非常に助かりますよね。 ○谷口課長  ただ、事務局の判断でなかなかその辺難しいと思いますので、これは座長にもご判断 をいただかざるを得ない部分があろうかと思います。 ○矢崎部会長  私に任されても困るので、石井委員のこの部分がポイントだと思っても、石井委員は そんなことではない、こっちのポイントだと言って議論が分かれてしまうから、なかな か。 ○谷口課長  どこを選ぶかということについても、ですから事務局の判断が入るというのも、これ はよろしくない話ですので、この辺の扱いは座長とご相談させていただいてから、でき ませんでしょうか。 ○矢崎部会長  私に相談されても、私は議事録で参照しながら、また時間がかかっても納得していた だくようにしないと。なかなか意見、事務局と私に任せていただければ、一定方向にど んどん進んでしまうということもありますので、それでもいいのですけれども。 ○荒木委員  今までの議事録をまだはっきり読み返してないのですけど、胚の提供に関しては 「●」だったのですか。 ○桑島室長  分かれています。 ○荒木委員  分かれていますね。「●」を前提として議論が進んでいるような感じがしています。 私どもの日本産科婦人科学会でも、胚の提供に関しては、今、倫理審議会というところ で検討中で、結論は出ていないんです。12月頃に多分答申が出てくると思いますが、そ の時点まで、この議論、特に細かいところは待っていただくことはできないのでしょう か。「●」を前提として議論されているような感じが今しているものですから。学会の 見解としては何も私共の述べる確かな意見はないので申し上げました。 ○谷口課長  この議論というのは、まだ検討課題1の一巡目といいますか、ひとわたり目でござい まして、すべてここで合意ができればいいと思いますが、それができなければ二巡目で もちろん議論していただいても構いませんので、そういう点でペンディングのものが既 に幾つかございます。そういう意味からすると、今ご指摘のように、次の二巡目で議論 していただくというのも、それは先生方の合意があればもちろん可能だと思います。 ○矢崎部会長  先生、胚については、(案1)、(案2)で当分の間認めないという案もあるのです けれどもこういうのを議論を進める上では、1つひとつ、こうなった場合にはこういう というフローチャートみたいにつくっていかないと、1カ所が抜けちゃうと先へ進めま せんので。ですからこの場合にはこういういろいろな付帯条件とか環境整備をどう考え たらいいかということを議論させていただきたいと思います。一応そういう意味で胚の 議論で、産婦人科学会の会告に全く無視してやっているわけではございませんので、そ の点、ご理解いただければ大変ありがたいですけれども。 ○荒木委員  わかりました。 ○桑島室長  よろしゅうございますでしょうか。 ○矢崎部会長  はい。 ○桑島室長  多少戻らせていただきますが、血液型を合わせるというところは可能な限りというこ とでご議論いただいてございますけれども、例えばそれ以外の属性を合わせる、あるい はもっと言いますと、例えば髪の毛、人種ですとか、いろんなものを合わせるという希 望も出てまいりますが、極端に言いますとデザイナーズベビーといいますか、いろんな ことになりかねないと思いますが、どこまで認めるというご議論はいかがでございまし ょうか。 ○矢崎部会長  それを議論していると、吉村委員が言われたように、非常に際限なく広がってしまう ということで、とりあえずは属性を合わせると。属性以外の、これはもしここで述べる としたら、括弧の中の部分ぐらいを具体的に議論して、それ以外のことは、もう少しこ ういうものが医療として定着した後、どこまでするか。今の状況では全然先行きが見え ないですよね。そうなったときに議論できるようなものが幾つかあると思いますので、 一応属性をここまでに合わせるということは可能な限りということで、この部会でまと めて、それ以外については、繰り返しますけれども、括弧内だけぐらいで、あとは少し 議論をペンディングにして、二周目に何かいいご意見があれば、そこでまとめるという ことで。先ほど議論になりました提供して胚になったものをどうするかということござ いますよね。これも括弧のところに直接かかわるわけですから、それはもう少し胚の対 応というところまで議論進めた後で、また。 ○吉村委員  よろしいですか。ちょっと誤解が皆さんの中にあるのではないかと思うのですけど、 属性を合わせる問題点は配偶子だと思うんです。胚の属性を合わせるなんていうことは 結構、先生、AB型だけでも4分の1×4分の1ですから、16分の1の確率になってき ますよね。  荒木先生がおっしゃったのは、今日本産科婦人科学会でやっているのは、ある夫婦 が、できた胚のことを言っているわけであって、今話しているのは、できた胚のことで すから、胚の話が随分こんがらかっているのではないでしょうか。属性に関しては、で きるだけ配偶子と合わせるということについて理解していただければいいのであって、 胚を合わせるということはそれこそ大変なのではないでしょうか。AB型でA型の男性 と女性でもいいかもしれませんけど、16分の1ではなくなるんですか、8分の1ぐらい になるんですか、ちょっとわかりませんけれども、かなりの難しい割合になってくると 思うんですね。ですから配偶子の、要するに精子をもらう方だったら、ご主人の精子と 同じ血液型のドナーを有する、卵子に関しては、クライアントの奥様の血液型と合わせ るというふうに理解しておいた方が、胚の属性を合わせると結構それは難しいのではな いでしょうか。 ○矢崎部会長  そうしますと、検討事項の精子・卵子・胚の胚はとると。 ○吉村委員  私はそうする方が現実的であるし……。 ○矢崎部会長  でも可能性も先生あるわけですから。 ○吉村委員  それはありますけれども。 ○矢崎部会長  可能な限りで、先生。 ○吉村委員  わかりました。それは結構ですけど。 ○鈴木委員  これは希望をどこまで聞くかという話でもあったと思うのです。血液型については、 希望は一応聞けますよということで、それ以外は聞きませんということなのかなと私は 伺っていたのですが、胚についても、もちろん例えばAAでなければうちは困るという 方は、それが出てくるまで待つしかありませんし、一応希望はそれについては受け付け ますよということではないのでしょうか。 ○矢崎部会長  そう言っていただくと大変ありがたいのですけど。ぜひそれは「●」にさせていただ く。 ○渡辺委員  私も先ほどから言っています18ページのところの、提供のときの契約のところで、卵 子の提供のところなんですけれども、2ラウンド目で契約の内容について、また検討し ていけばいいのかと思っています。 ○矢崎部会長  一応そういうまとめにさせていただいて、また契約の関連のところでもう一度再検討 ということでまとめさせていただきます。 ○石井委員  卵子の提供の場合には、卵子の数を幾つもらえるかということで制限できると思うの ですけど、精子をもらったときに、自分の卵子が10個採れて、提供された精子と10個胚 をつくってしまう、それをどうするかという方が多分難しいのではないですか。 ○矢崎部会長  また、二巡目で議論していただくということで、(5)の「その他の条件」というと ころに移らせていただきます。事務局からちょっと読んでいただけますか。 ○桑島室長  「○」のところからでございましょうか。 ○矢崎部会長  (1)のところから。 ○桑島室長  (1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が知ることがで きる提供者の個人情報の範囲。 ○ 提供者された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、そ の子に係る精子・卵子・胚を提供したひとに関する個人情報のうち、当該精子・卵子・ 胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供し た人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができる。 ○ 当該精子・卵子・胚を提供した人は、当該個人情報が開示される前であれば開示す ることを承認する自己の個人情報の範囲を変更できる。 ○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わら ず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求めるこ とができる。 (要検討事項)  提供された精子・卵子・胚により生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利と して、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定する か? ○矢崎部会長  どこまで知る権利を認めるか、専門委員会でのお話はいかがでしたでしょうか。加藤 先生いらっしゃらないので、石井先生。 ○石井委員  これは妥協の産物としてでき上がったもので、出自を知る権利は認めるのだけれど も、個人の特定はできる情報は認めない。開示できる情報の中身というのは提供者が開 示を許容する範囲ということになるので、どこまで。ただ、最低限、これとこれだけば 情報提供というか、提供するときに、この情報は提供されますよという条件を、個人の 特定しない情報の中で、例えば身長がどれくらいとか、そういう事柄については必ず情 報提供される情報として提供してもらうと、そういう可能性はあるという、そういう話 はしたように私は思うのですが、吉村先生。 ○吉村委員  そうだと思います。ここは2日か3日ぐらいかかったのではないかと思いますけど、 結局結論は出ずに、皆さんのご意見も、時代の要請はわかっていたけれども、出自を知 る権利を認めないという方もお見えになりましたし、さまざまな意見があって、こうい うようになったのではないかと思いますけど。 ○矢崎部会長  見方を変えると、随分うまくまとめたなという感じはしますけれども、具体的な内容 は決めようがないですか、この場では。 ○金城委員  専門委員会が非常に検討していただいてこの報告書を出していただいた大変いい報告 書だと思うのですけど、私はこの点だけは納得できないのです。この報告書の前提は、 子どもの福祉を最優先にするということから始まっているわけですね。そう考えます と、ここでいろいろ出てまいりましたけれども、生殖医療から生まれた子どもが成長し た後、いろんな問題が起こってくる。それは1つはうそをついているからだということ も明確になったのではないかと思うのです。ですからこの際に根本的に検討をし直し て、テリングは必ずしなければいけない。そして、また子どもの出自を知る権利も完全 に認めていこうというような方向でやっていただきたいと思います。  そうすると提供者がいなくなるとか、いろんなことが出てくると思うのです。でも、 そういう便宜的な、親の都合だとかということのために、生まれてきて、自分のアイデ ンティティがなかなか解決できないで苦しむ子どもをつくるということは非常に犯罪的 な行為だと私も思うのです。ですから、これはきちんと認めていくべきだと思います。  それで、最初のころに資料をいろいろいただきまして、その中に外国の論文だったと 思うのですけれども、出自が知れないで非常に苦しんでいるというお話なども出ていま した。私はあれを読んで電車を乗り過ごしてしまったのですけど、本当にそのとおりだ と思います。出自を知る権利というのは、国際的に見ればまだまだ新しい考え方かもし れませんけれども、日本でこそ、そういう方向で認めていかなければいけないのではな いかというふうに考えています。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。今、金城委員から、今までの 生殖補助医療の問題点ということでお話がありましたが。 ○吉村委員  私、あの会のときにも出自を知る権利を認める、認めないかということを大前提に、 私はどう考えるかということをさておきまして、現在までこのAIDが行われてまいり まして、基本的に大きな問題が起こってこなかったというのは、私は子の出自を知る権 利が認められてなかったからだと思います。先ほど言いましたように、完全匿名であっ て、ご両親はAIDをしたということを隠していたから、ですから子どもにも知らせな い。ですから子どもも知らない、ドナーも全く完全匿名である。  これがさまざまな今現実に問題点が出てくるであろうということはわかります。子ど もの福祉を本当に考えているのか。そういった問題はさておき、今までの50年間の歴史 を考えますと、そういったことがあったからこそ、いまだかつて子どもが不幸になって いる事例は少なかったのだと思います。出自を知る権利がなかったということと、完全 にご両親が出自を知る権利を知らなかったということももちろんありますね。ですか ら、そういう点では秘密主義でいっていたから、今までは問題なかったと。しかし、こ ういった医療が、今まではAIDだけだったからまだよかったのかもしれませんが、卵 子をいただく、精子をいただく、胚をいただく、代理母がそこに出てくるとなると、も うこういったことについては、やはり出自を知る権利を、何とかどこかで、どこまで認 めるかは別として、あるということが認識できた上でないと、こういった医療はもうで きていかないのではないか。 ○金城委員  質問なんですけど、アメリカで起こったようなことは日本で起こらなかったとおっし ゃるのですが、アメリカでどんなことが起こったのでしょうか。 ○吉村委員  例えば代理懐胎をした方が、要するに子どもの受け渡しを拒否したとか、代理母関係 についても四十数例の訴訟は起きていますね。私は訴訟のことを言っているだけなんで すけど。 ○金城委員  それとAIDについて匿名であったこととは関係ないです。 ○吉村委員  それは関係ないと思います。 ○矢崎部会長  代理母は別にして、そうではない場合はいかがでしょうか。 ○吉村委員  そうではない場合の何でしょうか。 ○矢崎部会長  代理母以外の第三者提供配偶子による、そういう訴訟問題。 ○吉村委員  それは私はよく知らないのですが、どうでしょう。ただ、アメリカなんかでも、私が 読んだ1990年代の論文は、AIDでも半分ぐらいの方は子どもに知らせたくないという ことをおっしゃっていますね。 ○石井委員  まだ現実に、出自を知る権利を保障した国でも、知る段階まで子どもが育ってないの で、認められてどうなっているかということはわかってないのではないでしょうか。こ のAIDや何かで、スウェーデンでも認めているけど、まだその年齢には達してないの ではないかと思います。 ○吉村委員  あれは86年でしたか、何年でしたか、スウェーデンの人工授精法ができたのは。90年 よりちょっと前ぐらいですね。ですから10歳か、せいぜい14〜15歳か。 ○石井委員  そろそろ問題にはなるかもしれません。 ○矢崎部会長  今、ちょうどお茶が出ましたので、40分まで休憩させていただいて、個人情報の知る 範囲というのを続けて議論したいと思います。                   休 憩                   再 開 ○矢崎部会長  それでは時間がまいりましたので、今の提供者の個人情報の知らせる範囲でございま すけれども、今まではAIDの場合には情報は全く知らせなかったと。しかし、吉村委 員ご自身のお話では、今の時代、そういうことではないだろうということで、この委員 会としては、子の出自を知る権利は認めるということでまとめさせていただきたいと思 うのですけれども、よろしいでしょうか。  それで、具体的にどこまで情報を伝えるかということですけれども、今考えたのは、 全部知らせると、それが(案1)ですね。アイデンティティを、求めに応じて、何も自 ら公開するのではなくて、必要であれば情報はお知らせしますよというのが(案1)。  それから、(案2)は、最低限ここまでは知らせなければいけない。しかし、それ以 上は、専門委員会のディスカッションをお読みすると、ある程度までは守秘義務があっ てはいいのではないかと。それは提供者の数が少なくなるということだけではなくて、 いろんな意味を含めて、あるところまではとどめておいた方がいいのではないかという 情報の線切りがある程度認めるという2つの案があると思うのです。  情報をどこまで教えるかということは、これはまたさらにディスカッションしても、 なかなか具体的にこの項目まではお知らせしていいですよということを、例えば(案 1)ではなくて(案2)をとった場合に、各委員の方から、例えばここまで知らせてい いのではないのというようなアンケートをとってもよろしいのですけれども、一応はそ ういうふうなまとめで、事務局にまとめていただいて、また議論するということでよろ しいでしょうか。いいですか、事務局。 ○谷口課長  わかりました。 ○矢崎部会長  そういうことで、全然議論進んでないのですけど、一見そうやると、何となく進んだ ような錯覚を起こしますので……。 ○金城委員  全部認めるというのが入りましたから、大変いいと思います。 ○矢崎部会長  それが多数意見かどうかというのはまた別問題ですから。 ○金城委員  わかります。 ○矢崎部会長  それは十分記憶にとどめておいて。  それではマル2をお願いします。 ○桑島室長  それでは(2)のところでございます。21ページの一番下でございますが、提供者が死亡 した場合の精子・卵子・胚の取扱い、提供された精子・卵子・胚の保存期間ということ でございます。  次のページへまいります。これは(参考)として、日本産科婦人科学会会告のところ がございます。これはよろしゅうございますでしょうか。 ○矢崎部会長  検討事項と、参考の方まで。 ○桑島室長  わかりました。(要検討事項)で、提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の使用に ついて取扱いを決めなくてよいか?  2つ目が、提供された精子・卵子・胚の保存期間についても具体的に期間を決めなく てもよいか?  この2つの検討事項でございます。  (参考)のところをお読み申し上げますが、「第三者の配偶子提供等による生殖補助 医療のあり方に関するたたき台」ということで、本論のところでございます。 1 第三者の配偶子提供等による各生殖補助医療の是非等について  (4)配偶子の処分   ・精子並びに卵子は本人の死亡により廃棄される。  (5)胚の処分   ・配偶子の由来する両者の合意により、余剰胚を提供することができる。    提供胚の保存期間は5年か10年とする。提供した胚は、使用前であれば配偶子の 由来する両者の合意により提供の撤回ができ、いずれか1人の申し出があれば廃棄でき る。  「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解 4.…精子提供者は、本法の提供者になることに同意して登録し、提供の期間を一定期 間内容とする。 (解説)   …同一の精子提供者からの出生児数を考慮し、精子提供の期間を2年以内とする。 余剰精子を凍結する場合、その保存期間は2年以内とする。 ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する見解 3.胚の凍結保存期間は、被実施者夫婦の婚姻の継続期間であって且つ卵を採取した母 体の生殖年齢を超えないこととする。卵の凍結保存期間も当該婦人の生殖年齢を超えな いものとする。… (解説)  凍結保存された胚は、良好な保存環境下では、理論的にはほぼ半永久的に保存するこ とが可能であると考えられている。いつまでも一個の個体として生育出来る能力を有す るヒト凍結保存胚を、無期限に保存しておくことは、法的、倫理的に大きな問題を含ん でいるが、ヒト胚の凍結保存期間がどの程度まで許容できるかという点に関しては現在 まで統一見解は無い。米国では1984年に米国不妊学会誌に掲載された“ETHICAL STATEME NT ON IN VITRO FERTILIZATATION ”の中で、母体の生殖年齢を超えないことと記載され ており、また英国のWARNOCK REPORT(1984)では10年を超えないことと提案されている。 本学会では、当該夫婦の所有権を尊重する立場から一応米国に準じて母体の生殖年齢を 超えないことと定めた。… 以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。検討事項は、まず提供者が死亡した場合の取扱いを どういうふうに行うかということでございます。先ほど提供したけれども、途中で意思 が変わった場合にどうするかということの議論ありましたけれども、これは死亡した場 合というのはまた全然次元の違う話でございますので、ここで新たに議論していただけ ればというふうに思います。 今お読みいただいたように、学会では余り正式にはないのですね。 ○荒木委員 ワーキンググループで検討したのではないでしょうか。 ○矢崎部会長  学会ではなくて、ワーキンググループが、精子並びに卵子は本人の死亡により廃棄さ れるというふうになっておりますが、いかがでしょうか。 ○金城委員 ちょっとご質問なのですが、こういうワーキンググループのたたき台では、こういう 問題が出ていたにもかかわらず、報告書には入れられなかったのはどうしてなんでしょ うか。 ○吉村委員 石井先生、どうしてだったのですかね。私たちこれは話し合いをちゃんとしましたよ ね。 ○石井委員 ただ、この配偶子とか胚の処分についての議論のときは多少混乱があって、提供され たものというだけの議論ではなかったのではないかというところも私の記憶だとある。 ]現実に申しますと、精子並びに卵子は、本人の死亡により廃棄されるといいますけれど も、提供者が死んだかどうかということをだれがどう把握するのかということ自体無理 な話ですよね。撤回なら本人から伝わってくるけれども、死んだということを、だれが 報告するのかといえば、胚の保存期間、また精子・卵子も一定期間を区切って、もう保存しないということはあり得るとは思うんですけど、胚をつくる前の精子・卵子という ものについては、死を基準にするというのは現実にはなかなか難しいのではないかな と。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○荒木委員 産科婦人科学会の会告の中には、同一の精子提供者からの出生数を考慮し、精子提供 の期間を2年以内とすると決められております。また精液に関しても、余剰精液を凍結 する場合も保存期間は2年以内とするとされております。もちろん死亡した場合はその 時点で廃棄すると。ただ、死亡の確認が非常に難しい点は確かでございます。 ○石井委員  議論したのは、死んだ人のものでつくっていいのか、その人のが生まれてくるという ことが問題ではないかという議論から、死んだ人のものは使わないというそういう議論 はしたのですけど、現実にそれがうまく機能するかどうかということを考えると難しい です。 ○矢崎部会長  これはカップルの間では言うかもしれませんけれども、こういう第三者提供の配偶子 の問題は確認が確かに難しいので、これは学会の指針でやれば現実的にいかがですか。 吉村委員。 ○吉村委員  そうだと思います。ただ、死亡がわかったときに廃棄するということは一応述べてお いた方がよろしいのではないかと思うのですけど、死亡したらどうするのだと聞かれた 場合、その死亡を確認することは大変難しいのかもしれませんけれども、死亡したとき のことも書いておいた方が私はいいのではないかと思います。 ○高久委員  死亡が確認された場合には廃棄する、ではどうですか。 ○吉村委員  それでいいと思います。 ○矢崎部会長  それでは、保存期間は2年以内とすると。提供者の死亡が確認された場合にはその時 点で廃棄するということで、これは「●」でいいですよね。 ○鈴木委員  同時に撤回の申し出があった場合も廃棄できるということでしょうか。保存期間内に 本人からの……。 ○矢崎部会長  配偶子の場合はどうでしょうか、吉村委員。よろしいですか。 ○吉村委員  精子もあり得るのではないかと思いますので、それは入れておいてもいいと思うので すけど。 ○矢崎部会長  卵子の場合ですね。 ○吉村委員  卵子の場合は、今のところ現実面でない……。 ○鈴木委員  凍結できませんので。 ○吉村委員  一応できるということもあって、こういうふうに書いたのだと思います。 ○矢崎部会長  それは先ほどのところに戻って。 ○鈴木委員  これは保存期間と廃棄の取り決めの問題ですから、ここではないかと思うのですが。 ○矢崎部会長  こっちの方に入りますね。今のご意見でいかがですか。 ○石井委員  考え方が2通りあると思うんです。私は撤回を認めていいとは思うんですけれども、 2年と決めてしまって、もう2年間は撤回なしという考え方もあり得るということだと は思いますけれども、それ以上は保存しませんからという。 ○鈴木委員  そうなんです。ですから更新もありなのか、まだ、もちろん医学的には使えるわけで すから、例えば保存していたセンターの方から、更新の意思はありますかというよう な、例えば通知が行って、あと2年更新していいですというようなこともあり得るの か、もう2年が来たら自動的にばんばん廃棄していくのか。 ○矢崎部会長  原則として廃棄すると。これはいちいち更新云々と確認するのも大変だと思いますか ら、自動的に廃棄させていただくということです。それは精子の、卵子は難しいです ね。 ○鈴木委員  それは先ほどのできた胚をどうするかという問題にも関係あります。 ○矢崎部会長  ということですよね。ですからちょっと分けて考えないといけないので、精子につい ては大体コンセンサスが得られましたけれども、卵子・胚、これは卵子も胚も、この場 合は同じようなものだと思いますが、この取扱いについては、この次の胚の処分ですけ れども、これはワーキンググループは、「配偶子の由来する両者の合意により、余剰胚 を提供することができる。提供胚の保存期間は5年か10年」て、これ随分2倍も違うの ですね。これは撤回ができる、ワーキンググループはなっていますね。撤回を認めた場 合には非常に、吉村委員のお話では混乱が起きるのではないかというお話がございまし た。これはワーキンググループのこういう線で、保存期間をある程度定めて、もし撤回 する意思があれば、廃棄できる。  先ほど随分議論がありましたけれども……。 ○鈴木委員  ちょっと待ってください。ここで言っている配偶子の胚というのは、夫婦間でできた 胚のことですよね。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○鈴木委員  提供でできた胚のことではないですよね。 ○矢崎部会長  ちょっと待ってください。1は第三者の配偶子提供等による……。 ○鈴木委員  ワーキンググループで言っている(5)の。 ○石井委員  余剰胚です。 ○鈴木委員  ですよね。 ○矢崎部会長  そうです。ただ、この場合は夫婦間の余剰胚のみをディスカッションしているのでし ょうか。第三者の配偶子提供を中心とした、ワーキンググループだと思いますけれど も。 ○金城委員  これは私読んで思うのですけれども、両方提供を受けてつくられた胚ということで す。ですから先ほどあったように、自分由来の卵と提供を受けた精子と、それではない ですよね。これは両方とも提供を受けたものです。ですから、こういうものについて は、全く要らないということで提供しているわけですから、一方が嫌だと言えば廃棄を するということで、これは余り問題はないのではないかと思います。ただ、生命は始ま っているから、そこら辺はどう考えるかということですけれども。 ○古山委員  一般的に余剰胚というと、夫婦間で生殖補助医療を受けて、それで余ったというか、 既に妊娠して、それでもう要らないよというのを余剰胚というんですよね。ですから、 胚の処分の1行目に、「配偶子の由来する両者の合意により、余剰胚を提供することが できる」と、余剰胚とありますから、精子と卵子の提供を受けてつくった胚ということ ではないのではないかと思うんですが、この文章は。 ○吉村委員  忘れておりましたけど、今思い出しましたので。今先生おっしゃったように、夫婦間 でのできた胚と、胚の提供においては、これは精子提供、卵子提供によってできた胚も 胚として、胚の移植を受けることができるという文言がこの委員会ではありましたの で、この両者を含んでいるというふうに理解していただいて結構です。 ○石井委員  ただ、これはワーキンググループのときには、それぞれを受けるというのは認めてな かったのではないですか。 ○吉村委員  結果的にはそうなるんですね。ですから、ワーキンググループの6月のときには、先 生がおっしゃったように、夫婦間で余った胚のことを意識していたんですけれども、専 門委員会で最後になったときに、精子・卵子それぞれ提供を受けてできた胚ということ も含まれるようになってしまいましたので、両方を含んでいる。ただ、大部分は、先生 がおっしゃったように、夫婦間でできた胚の余剰胚という理解でよろしいと。 ○鈴木委員  先ほどの議論との関連で整理したいのですが、今、胚というのは3種類あるというこ とですよね。夫婦間でできた胚と、それから精子又は卵子の提供を受けてできた胚と、 両方提供でできた胚と、この3つをごっちゃに議論するのは難しいのではと、すべてを 同じというふうにはいかないのではないかと思うのですが。 ○矢崎部会長  おっしゃるとおりで、第三者の全く別な精子プラス全く別の卵子で胚をつくるという 議論は、この委員会でまだしてないですよね、十分に。それはあえて余り議論しないで 飛ばしてしまったんですよ。だから、今ご議論いただきたいのは、夫婦の間でできまし た余剰胚に関して、これは委員の皆様このとおり認めていただけるかどうかということ と、今、鈴木委員がおっしゃられた精子又は卵子で胚をつくった場合、これをどうする か。これが先ほど鈴木委員は撤回ができると、提供したけれども、途中で撤回ができる というご意見を賜ったのではないかと思いますけれども、高久委員からは、提供したの だから、もうそこで終わりにしてはどうかというお話を伺って、その2つのご意見があ ったと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  ここで言っている胚はどちらの胚のことなんですか。 ○矢崎部会長  ですから、精子又は卵子の提供を受けた。 ○鈴木委員  の胚のことを、今議論しているわけですね。 ○矢崎部会長  夫婦ではなくて、ちょっとさっきのクライテリアで言いますと、不妊症の治療のため に作成された胚のうち、夫婦のものと配偶子を提供受けたものと。人為的に両方の配偶 子を体外で人工的に、全然関係のない配偶子同士を合わせて胚をつくるということは、 この際除いて議論していただければと思うのですけれども。 ○高久委員  この部会では夫婦間のことは議論しないのではないですか。余剰胚といったときに は、提供されたものという前提で。 ○鈴木委員  質問です。ここで言っているのは、つまり提供によってできた胚を、さらに別の夫婦 に提供できるということですか。 ○吉村委員  ここで言っていないことを言った方が早いですね。ここで言っていないのは、鈴木さ んがおっしゃっている卵子の提供を受けて胚をつくった。これを言っていないのです。 あと、ほかは言っているんです。 ○鈴木委員  つまり夫婦間でできた……。 ○吉村委員  余剰胚を言っています。 ○鈴木委員  のことを話しているんですね。それのみのことを言っているのですか。 ○吉村委員  それと、ちょっとそこが複雑になるのですけれども。 ○石井委員  それは、でも部会長が除こうと今おっしゃったのだから。 ○吉村委員  そうです。 ○鈴木委員  わかりました。 ○矢崎部会長  ただ、夫婦間でできた胚を余剰胚として第三者に提供するというのは入ってくる。そ れは議論はあると思うんです。私議論除きましょうと言ったのは、全く人為的に胚をつ くるというのを、鈴木委員の言われた3番目のケースですよね。それはちょっと今回は 非常にシビアな問題ですから除かさせていただいて、この中で議論できるのはもうちょ っと倫理的な面でいろんな省庁の勧告いろんなのがありますので、それに則って、それ は議論していかないといけないと思います。  整理しますと、夫婦の間でできた胚に関して、そのもともとの夫婦に、ほかに提供す るという意思がない場合は、これはここで議論してないわけです。そういうものでも全 く血縁のご夫婦にそういう胚を提供するという、鈴木委員の言われた、それが1つです ね。  2つ目は、ご夫婦でない方、要するに胚をつくられたときには片方はご夫婦の1つ で、1つは提供者からもらってできた胚が余った場合、これはまた血縁関係の全くない 第三者に、ただ、それは胚、生命そのものは、ある不妊治療のためにつくられたといい ますか、そういう胚と、そういうまとめでよろしいですか。 ○石井委員  それについては議論はしてないですね。 ○吉村委員  してないです。 ○矢崎部会長  そうですか。夫婦でできた余剰胚をどうするかだけですか。 ○吉村委員  そうです。この時点ではそうだったんですけど、3つありますよね。今話している3 つ。ご夫婦がつくられた胚で余剰胚で余ったと。この胚をどう廃棄するかという問題が 1つです。  2番目は、胚をつくる場合に精子提供・卵子提供それぞれどこからか提供受けて胚を つくることもできるわけです、この専門委員会の報告書では。その胚もこれには含んで いると。 ○矢崎部会長  だから、それはこの際置いておいて。 ○吉村委員  この際置いておいて。3番目は、鈴木委員がおっしゃるように、卵子を提供受けて、 自分のご主人の精子を使ってつくった胚、このことについては全くこの件では含んでい ません。そうですよね、先生。 ○石井委員  多分、と思いますけれども、それをさらに提供するという話はしてなかったと。 ○矢崎部会長  それは提供しないということで。 ○石井委員  しないということも決めてはいないのではないか。 ○吉村委員  いないんですけど、そのためにつくってほしいわけですから、それをまた他人に提供 するとかそういうことは一切考え……。 ○石井委員  ただ理論的にはもともとのもらった方の卵子の人は提供する意思があって、そうする ともらった2人が同意すれば提供するという可能性もないわけではないとは思います ね。 ○吉村委員  そのことについては、ここでは含んでいません。 ○石井委員  また、その提供とは別に、このあれで逆に胚の保存期間を決めてしまえば、先ほどの 問題は起きなくなる可能性はあるわけですね。何年間しかもう保存されないから、5 年、10年だと先ほどの問題は生じてしまうのですけれども、長期に保存しないというこ とになれば。 ○鈴木委員  1年でも出ます。2人目は1〜2年目でも欲しいと思われる方は当然いらっしゃると 思います。 ○矢崎部会長  これは保存ですよね。まず保存期間ですね、議論を絞りますと。 ○鈴木委員  ですからどの胚のことですか。 ○矢崎部会長  それは変わりありますか。 ○鈴木委員  変わりあります。違うと思います。 ○金城委員  夫婦間の余剰胚、それから精子も卵子も提供受けてできた余剰胚、これについては同 じに論じてもいいと思うんですね。でも精子の提供か、卵子の提供を受けて、そして不 妊の人の精子・卵子は卵子を使ってつくった胚、これはまた別に議論しなければいけな いと思います。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢崎部会長  それについては専門委員会での議論はなかった。 ○金城委員  なかった。 ○吉村委員  ですから、先生、まず胚の処分に関しては、ここで言っていることは、先生が今おっ しゃった前二者を言っていると。 ○金城委員  はい、わかりました。 ○吉村委員  含んでいるのですけど、矢崎先生は2番目のものをここから除きましょうというふう におっしゃったわけですよね。1番だけで議論するということになると私は思うんです けど。 ○金城委員  2番目のはどうするんですか、将来という感じですか。 ○吉村委員  ただ、私はこの2番目のものも1番目のものも全く同じでいいと思うんです、このと おりでいいと思うんですけど。ですから配偶子のいわゆる両者の合意、これは夫婦であ るかもしれないし、全く夫婦でないかもしれない。要するに精子を提供した人、卵子を 提供した人、これらが要するに提供の撤回をできると。 ○金城委員  それは結構です。では3番目ですね。 ○石井委員  ばらばらにつくった場合……。 ○矢崎部会長  ちょっと待ってください。 ○金城委員  3番目なんですけれども、精子ないしは卵子の提供を受けて、そして治療を受けてい る人の自分の精子ないしは卵子とつくった胚、これについてはどうしますか。 ○吉村委員  それは違いますね、これと。 ○金城委員  改めて考えるということですね。それは非常に重要だと思いますので。 ○鈴木委員  お願いですが、とりあえず1つずつ確認していっていただけませんか。これは2番と 同じでしたねというふうに言っていただいた方がわかりやすいのですが。まず通常の夫 婦の余剰胚のことについて確認していただければと。 ○矢崎部会長  ワーキンググループは余剰胚に関しては、これは産科婦人科学会もあるわけですよ ね。夫婦間の胚の凍結保存期間は当該婦人の生殖年齢を超えないものとする。ですから 夫婦間でつくられた胚に関しては、期限を何年と決めるわけではなくて、その夫婦間の ご婦人の方の生殖年齢を超えた場合にはそれは廃棄すると。学会の、これは非常にリー ズナブルだと思いますけれども、よろしいですか。  それではご夫婦間の余剰胚、これは提供することができるということはいいんですよ ね。それはもちろん。 ○鈴木委員  2つ意見があったと思いますが、認めるのと認めないのと2つ案が出ていたと思いま すが。 ○石井委員  胚提供を認めるかどうか。 ○鈴木委員  胚提供を認めるという意見と認めないという意見。 ○矢崎部会長  それは前に認める認めないという議論があって、そこに戻っちゃうとまたあれですか ら、一応これは認めるという前提でやっているわけで。ですから胚の提供を認めるとす れば、これはご夫婦でできた胚は合意によって提供することができると。提供胚の保存 期間はご夫婦のご婦人の生殖年齢を超えないものとすると。あとはどうでしょうか。荒 木先生、答えにくいでしょうね。 ○荒木委員  学会は夫婦間に限るということで議論していますから、第三者の卵子提供、精子提供 に関しては何の議論もありませんでした。ただ、生殖年齢は超えないことにしました。 もう一つ問題になったのは、婚姻期間はどうするのか。それが離婚したりしたときの意 見はちょっと分かれるところでございました。学会はあくまでも法的な夫婦に限っての 議論でございますけれども、もし別れた場合の夫婦間の余剰胚はどうしたらよろしいの でしょうか。 ○矢崎部会長  なるほど。 ○平山委員  一応今の夫婦間の体外受精の場合、当院では廃棄にしております。凍結している方が 離婚されたりした場合は廃棄処分、というふうにHARTクリニックではしておりま す。 ○高久委員  学会の会告の場合にはあくまでも夫婦間ですから、妻の方に返すという前提だから生 殖年齢ということを言ったわけで、提供になりますと相手が若い可能性は幾らでもある わけですから、生殖年齢は関係がない。 ○吉村委員  全く関係ないです。 ○高久委員  私は5年などに限った方がすっきりすると思います。永久にはできない。 ○矢崎部会長  大変ありがとうございました。これは産婦人科学会は、これは提供ということを念頭 に入れないで、ご夫婦に戻すということでつくられているので、基本的には違います ね。ご指摘のとおりです。  そうしますと、例えば10年とすると。その場合に提供の撤回ができると。この胚の処 分に関してはそういうことでよろしいでしょうか。 ○鈴木委員  精子が2年で、どうして胚が10年なんですか。根拠が全くないと思います。 ○矢崎部会長  これはどうですか、吉村委員から。 ○吉村委員  これは全く別次元の話ですから、2年とか10年という話になるのであって、要するに 2年と限ったのは、精子を提供した人から生まれる子どものことを考えて2年というこ とを決めたわけですね。非配偶者からの体外受精というのは、そんなにAIDほど症例 も少ないでしょうし、そういったことからそういうふうになっただけでありまして、2 年と10年というのは、これは別に違っても全然おかしくはないと思います。ただ、胚と いうものは、できたものを廃棄するということは、私はせっかく善意でいただいたわけ ですから、それは長く長く保存しておいても構わないのではないかと思います。  例えば先ほど属性を同一視するかということを考えていく上においても、胚はなるべ く長く置いておいた方が、1人のドナーからいただける胚というのは限りがあります。 3回までしかできないということが決まってありますし、せいぜい採れても30個の卵子 しか採れないわけですから、そういうことを考えますと、胚はできる限り保存しておい た方がよいと思います。この点については同意が得られることが大事ですから、5年か1 0年かと迷ったのは、10年たつとそのドナーさんがどうなっているかわからないというこ とで5年にしたわけでありまして、精子とこの提供者に関しては違っていても何ら不思 議はないと思うのですけど。 ○荒木委員  精子の提供は医的侵襲を受けなくて容易に得られることができるということで短期間 にしたと思うのです。卵子の場合の提供は、排卵誘発剤とか採卵とかいろいろ問題があ りますから、そのずれはあってもよろしいのではないかと思います。保存期間はどのよ うに決めたらよろしいのか。 ○矢崎部会長  ただ、可能な限り長くというのもちょっといろいろ、十年ひと昔と言いますから、余 り科学的ではありませんけれども10年ぐらい経つとその方の意思とかそういう考え方も 変わってくる可能性がありますから、一応10年ということで提案させていただきたいと 思います。よろしいですか。 ○金城委員  10年ですか。 ○矢崎部会長  10年。 ○金城委員  どちらでも結構です。 ○矢崎部会長  そうしますと、問題のもう一方の方ですね。今のは夫婦間、一応それは1つ、鈴木委 員から分けて話してくださいというご要望で、夫婦間の余剰胚については。 ○吉村委員  2番目が精子を提供受けた、卵子もどこからか提供受けた場合、そしてつくられた胚 ということを一応胚の提供では認めているわけですね。それをどうするかということで すね。 ○矢崎部会長  それはちょっと。 ○吉村委員  それはやめるんですか。 ○矢崎部会長  ええ。 ○金城委員  両方同じように考えられるわけですから、まずそれをやってしまって、で、3番目と いう方がいいのではないですか。 ○石井委員  それをもし認めるとすればといえばいいんですね。 ○矢崎部会長  認めるということで、恐らく。 ○金城委員  認めています。 ○矢崎部会長  松尾委員と渡辺委員が、仮にということで、私も抵抗あるんですけど、実を言うと。 皆さんある程度抵抗あると思うのですけれどもね。それはどうでしょうか。 ○石井委員  保存期間は同じに考えてもいいと思うんですけど、撤回について、使用前であればと いう、使用というのが、胚を戻すことなのか、胚をつくってしまったときに使用と見る かどうかということですね。 ○矢崎部会長  胚の処分になっていますから、ですから、もし配偶子の場合であれば、撤回すれば、 そこで胚ができませんから。 ○石井委員  ただ、配偶子を提供しているんですね、今の場合は。配偶子を提供した、その配偶子 で胚をつくるという話ですから、配偶子の段階での撤回ということになる。 ○矢崎部会長  それはできる……。 ○石井委員  そこまではできますけど……。 ○矢崎部会長  できますよね。 ○石井委員  胚をつくった……。 ○矢崎部会長  胚をつくった後どうするか。 ○石井委員  提供胚という形で考えれば、移植前であれば撤回できるという、余剰胚についてはそ ういうことですよね。ここで言っている使用前というのは。 ○矢崎部会長  だから、ご夫婦間でできた胚と同じように。 ○石井委員  でいいのですかということです。配偶子の段階。 ○矢崎部会長  配偶子ではなくて胚をつくっちゃった。 ○石井委員  ときも撤回はできると。 ○矢崎部会長  ええ。要するに配偶子の段階で撤回すればいつでも撤回できると思うんですけれども ね。 ○石井委員  ただ、配偶子を提供した人にとっては、つくられた胚については同じですよね。 ○矢崎部会長  そうですけれども、でもそのとき、吉村委員のお話では、胚になったときに撤回とい うのはなかなか、この使用はそうですね。もう一度。 ○吉村委員  胚ができるということを、専門委員会では認めたわけですよね。要するに精子ももら いました、卵子ももらいました、そして胚がつくられました。その場合に、精子を提供 した人、卵子を提供した人、そのどちらか一方が胚を使ってもらっては困ると言ったな らば廃棄できるということで私はいいと思うのですが。 ○矢崎部会長  ご夫婦の場合と全く同じ。 ○吉村委員  そうです。 ○矢崎部会長  10年間。 ○吉村委員  10年間でいいと思いますけど。ただ、10年間というのは、私は長ければ長いほどいい と言ったのですが、10年の間で配偶子を提供してくれた両者に対して撤回をどうやって 伝えるかとか、その辺は非常に難しいことは起こってくるだろうと思うのですけど。 ○矢崎部会長  ですから10年で。その前に撤回を申し出たら廃棄できると、10年前でも、そういうこ とでよろしいでしょうか。 ○石井委員  私がこだわっているのは、先ほど自分の卵子で精子を提供してもらった。そのときは どうするかという話がありましたよね。 ○吉村委員  それはやってないです。 ○石井委員  そのときのと同じ論理で、胚がつくられた後も撤回できるのかという問題はあるので はないかということなんです。精子を提供した人が撤回できるのは精子としてとどまっ ている間であって、胚を提供したわけではないですからね。という考え方もあるのでは ないかということです。 ○吉村委員  わかりました。そこまで考えておりませんでした。 ○石井委員  つまり卵子を提供した人にとっては、せっかく提供した卵子がそれでむだになると、 そういうことですよね。 ○吉村委員  わかりました。そうですね。 ○矢崎部会長  難しくなってきた。 ○石井委員  そこまで考える。 ○金城委員  ES細胞つくるときでも何でもそうなんですけれども、胚になったらば、これは生命 になる可能性があるから尊重しなければいけないという考え方が基本にあるわけですよ ね。ですからそこら辺を考えに入れておかなければいけないと思います。ただ、両者の 意思を尊重するということは一方ではあるわけですね。ですからどちらに重きを置くか ということではないかと思います。 ○矢崎部会長  本日の一番最初の議論のときに、ですから胚の廃棄というのは、そういう重い部分が あるのでそう簡単には決められないのではないかと。要するにもうやめました、という ことで、簡単にその場で、それでは廃棄しましょうということにはならないのではない かということを、私最初に申し上げたので、配偶子の場合にはある程度いいんですが、 胚の場合には、金城委員が言われたそういう重みがありますよね。ですから……。 ○石井委員  鈴木さんがおっしゃったように、更新を認めるかどうかということもあるのではない ですか。両者にたどれなかったら廃棄はするけれども、たどれて、いいですよ、と言っ たら更新するという可能性もあるのではないかと思いますけど。 ○矢崎部会長  10年後に両方聞くのはなかなか難しいかもしれないですね。 ○石井委員  それほど本当に数が余るのだろうかという気もしますけど。 ○矢崎部会長  そうしますと、今、2番目のケースは、夫婦の余剰胚と同じようにすると。もう一つ は、せっかく提供した卵子がむだになってしまうので、石井委員の言われたのは、撤回 に少しブレーキをかけようということですか。 ○石井委員  使用というものをどう考えるかということなんです。 ○鈴木委員  1つだけいいですか。 ○矢崎部会長  はい、どうぞ。 ○鈴木委員  通常の例えば子づくりをするときの選択であれば、それはつくる、つくらないという のは、セックスをするかしないかということで、その日に、その場で例えば決めること ですよね。できた胚というのは、つくろうとしたときの気持ちと、実際にその子宮に戻 されるまでに非常にタイムラグがあるわけではないですか。本人つくってもいいと思っ た時期と、実際におなかの中に戻る時期、そこで考えが変わるということもあります し、いずれにしても、自分がその時点では子どもをつくりたくないと思った人の配偶子 を使うということは、その人の例えばリプロダクティブライツの侵害にならないかとい うことです。つくりたくないと言っている人の子どもを、例えば子宮に戻す。もちろん 私は子宮に戻したものまでどうこうしろということはありません。それはもちろん言え ないと思いますけれども、やはり胚に関しては同意がないものは使うのは難しいのでは というふうに思うのですが。 ○平山委員  1つ考え方として、胚を提供する方というのは、自分が生まれてくる子の親にならな い覚悟というのが必要であるという考え方があるのですね。そのためにドナーのカウン セリングもするわけですし、この人が「この子が生まれてきても自分は親ではないの だ」というふうに納得しない人がドナーになるべきではないという考え方も1つあると 思いますので、今の問題はそういった考え方をとればクリアーできるかなというふうに も思っております。 ○荒木委員  生殖補助医療の議論からちょっと外れるかもしれませんが、私どもの学会では、再生 医学に関してもこの余剰胚を提供できるという会告に本年12月を目処にほぼ変わると思 います。  そういった場合に、生殖医療だけでなくて再生医学に関しての提供も含めてもう少し 議論していただき、結論は急がないでほしいという気持ちを私共は十分持っているので す。非常に貴重な余剰胚ですので、再生医学の利用ということを視点に入れてもう少し 十分に検討してほしい項目です。 ○高久委員  10年あれば、もう再生医学のためにするようなラインはこの1〜2年でほとんどでき てしまう。10年もあれば十分だと私は思いますけど。今でも60〜70あるわけですから、 やろうと思えば、もう1〜2年で数百のセルラインできますから、別な問題あるかもし れませんけれども、そんなには考える必要ないと。  先ほどの議論で、これはあくまでも余剰胚ですよね。余剰胚ですから使用前というの は、余剰胚をまた別な人にあげる前ということですね。胚は確かに重要だけれども、あ げる前ですと、ある程度提供した人の権利を認めざるを得ないのではないですか。だか ら廃棄ということもしようがないと思うんです。それでありませんと、自分が希望して ないのに、余剰胚を提供して、あと今度生まれてくる子どもの出自を知る権利とかいろ いろなことが起こってくることを考えると、これは考えざるを得ないのではないです か。 ○矢崎部会長  全くおっしゃるとおりだと思うんですけれども、石井委員が言われたのは、全くイン ディペンデントな方が提供して胚をつくった場合に、せっかく卵子を提供したのに片一 方の方が不賛成だということでむだになるのはもったいないというご意見だった……。 ○石井委員  それも考えなくてはいけないのではないかと言っただけであって、その方がいいと言 っているわけではありません。 ○矢崎部会長  でも高久委員がおっしゃられたようなこともあるので、これは慎重にやっていくとい う意味で、もしそういう異論があって、お子さんが生まれるというのは極めてゆゆしき 問題ですので、申し出があれば廃棄できるということでよろしいでしょうか。  それではそうさせていただきます。それで、先ほど3番目は違うというのはどういう ところが違うのでしょうか。2つのケースがありましたよね。 ○吉村委員  違うとおっしゃっている先生がお見えになるということで、私はそのときでも、今の 原則を当てはめればいいと思うんですよ。例えばドナーになる卵子を提供する方が嫌だ と言ったら、これはどうすることもできないということが出てくるだろうと思うんです よね。契約だったからどうのこうのということが、契約だから提供していただかなくて は困りますよということではない。ですからドナーが嫌だとおっしゃったら、それは胚 としてできていたとしても戻すことはできないと決めても、それはおかしくはない。  金城先生はそれに対してはそうではないとおっしゃると思うのですけど。 ○金城委員  別な配慮が必要だということです。撤回をするようなドナーではなくて、安全に提供 してくれるようなドナーと、それから自分たちの精子なり卵子なりを使っているわけで すから、胚になった以上はこれはもらった方が決めていっていいのではないかというこ とです。ですから使用ということをどう考えるかといえば、胚が提供されたというよう な場合には使用というのは移植だと考えてもいいと思うのですけれども、自分の精子な いし卵子と、提供されたものと一緒にして胚をつくった。そういうような場合には、胚 の作成、これをもって使用と考えていくべきだというのが私の考えです。 ○矢崎部会長  そのケースの違う微妙な違いが、先ほど鈴木委員も3つのケースに分けて考えないと いけないと言われたのですけれども、そんなに違うものですか。 ○鈴木委員  私はとりあえず3つ順番に話して、結果的にすべて同じですね、というのであれば、 それでいいのですけれども、とりあえず1つずつ考えていきたいという意味で申し上げ たのです。 ○矢崎部会長  もうちょっとクリアーに金城委員から、3つのケースありましたよね。2つのケース は大体ここに則ったようなことで進めていいのではないかというコンセンサス得られた と思うのですけれども、3番目のケースはどういうふうに違うかということ。 ○金城委員  精子ないしは卵子の提供を受け、本人の卵子ないし精子と胚を作成した場合には、胚 作成のときから提供者は提供の意思を撤回できないとする。そういうことです。○吉村 委員 よくわかります。賛成かどうか別ですよ。 ○金城委員  こういうことは不妊治療の現場で起こりうると思うんですね。何回か移植を受けて、 これで出産できると思っていたご夫婦がいきなり撤回されて、自分の、例えば卵とか精 子を使ってつくった胚を、ですから自分の分身でもあるわけですよね。それを廃棄しな ければいけないというのでは治療の現場では非常に混乱が起こるし、ご本人にとっても 大変気の毒だという気がします。 ○矢崎部会長  そうすると2番目のケースと同じですか。ご自分の卵子で、そうすると廃棄というの は、精子を受けた方が嫌だと言った場合には廃棄になるのはしのびないという。 ○金城委員  ですから今言っているのは1番目と3番目ですね。1番目は夫婦の余剰胚、3番目は 精子も卵子も提供されてできた余剰胚、これについてはこれでよろしいということにな った。ですから2番目を申し上げているわけです。 ○矢崎部会長  3番目は。 ○金城委員  1番目と3番目で2番目というふうに前おっしゃったから、私はそういうふう に……。 ○矢崎部会長  私はそう言ったんだけど、いつの間にか2番目になっちゃったんですよね。 ○金城委員  3番目で結構です。 ○相良委員  確かにドナーとクライアントの配偶子を使ってつくった胚の場合には、配偶子の提供 を受けた時点で所有権がクライアントになるという考え方はあるとは思います。ただ、 生殖医療の場合には影響が世代を超えていきますよね。単にものをあげるとかもらうと かということとは違って、その影響が子々孫々まで及ぶという非常に重大な問題だとい うふうに思うので、それは子宮に戻すまでドナーの意見も聞いてもいいのではないかと 私は思います。 ○矢崎部会長  ケースは3つありますけど……。 ○金城委員  そういうことで、多数でそういうふうに決まるというのであれば、私は少数意見を申 し上げたということで、結構でございます。 ○石井委員  私も金城先生には賛成したいんです。 ○矢崎部会長  石井委員の場合には、1番、2番、3番に関係なく、せっかく提供……。○石井委員  いや、それはかなり違うと思います。自分が子どもをもうける意思で自分の卵子と提 供された精子でつくった胚、それが相手の意思だけで廃棄されてしまうということと、 提供して自分がそれで親になる意思がなかったときの廃棄されるとは全然質が違うと思 いますから、私は最初の、先ほどの議論のときは賛成はしますが、自分で既に子どもを 持つために提供受けて胚をつくって戻す段階までいった人に、いきなり撤回したという ことで、その治療が中止になることは大変影響が多いのではないかと思うんですね。  先ほど平山さんがおっしゃったように、もっとカウンセリングのときにきちんとし て、そういうものが起こらないようにすることが大事なのであって、いつまでも撤回で きますという形で同意をとっていくことは危険なのではないかと思うのですけれども。  確かに一たんしちゃったらということがあるとすれば、提供の意思決定してから少 し、実際に提供するまでに時間を置くとか、何かそういう猶予期間みたいなものを設け るということを考えることはあり得るかもしれませんが、いつでも撤回できる同意です という、そういう同意のとり方については疑問を持つのです。 ○矢崎部会長  これは余剰胚に限ってというわけにいかないのですか。 ○石井委員  とりあえずここのは余剰胚の話だったのですが。 ○矢崎部会長  余剰胚の場合にはよろしいわけですよね。だめですか。 ○石井委員  余剰胚はみんな合意したんです。 ○金城委員  合意はいいんですよ。 ○吉村委員  それはいいです。3だけです。 ○矢崎部会長  私は最初は2と言ったんですけれども、ちょっとごっちゃになりますけれども、それ はおっしゃるとおりですね。これは少数意見では決してないと思いますよね。ただ、い ろんな問題が後で高久委員からご指摘になられたように、いろんな問題が出たときに対 応が難しくなる可能性もあると。 ○石井委員  また話がややこしくてすいませんが、つまりつくった後、凍結保存されているときと はまた話が違ってくる可能性はあるとは思うんですけど、先ほど問題になった2番目、 3番目という話になると、その治療の段階と同じかということはまた考えられることは あるとは思いますが、そこは除いておいた方が話が複雑になるかなと思いますけど。○ 矢崎部会長 一応それではケースが3つ分かれて、2つの場合はこのとおりにいくと。 3番目の場合には(案1)と(案2)に分けて、また議論をしていきたいと思います。  以上、一応は課題1は四苦八苦で来たような感じで、加藤委員は、矢崎さんは楽しん でやっているのではないかというふうな誤解を受けましたけれども、決してそうではな くて、できるだけ委員の皆様の意見を聞きながら、一見効率悪いように見えるかもしれ ませんけれども、一応ご意見を網羅すると。ただ、これは私、個人的ですけれども、あ る程度、専門委員会で出たものをベースにして議論を進めて、できるだけ早い機会にあ る程度の結論に達しないと、きょうにもいろいろ新聞記事出ておりますけれども、ある 程度の方向性を出さないと、この不妊治療の第三者から提供された配偶子の生殖補助医 療が我が国で医療として認知されるタイミングを失してしまう可能性もありますので、 できるだけ早い機会に部会でコンセンサスを得たいというふうに思っています。  一応ご議論をいただいて、次回からはもとに戻って、「提供された精子・卵子・胚に よる生殖補助医療を受けることができる者の条件」から「●」を付けていきたい。何も 全員の意見をまとめていきたいというふうには思っていませんし、現実的に不可能だと 思います。したがいまして、恐らくその場合でも、もう一つの考え方、あるいは数が少 なければ少数意見ということで議論の結果をまとめさせていきたいと思っていますので その辺は十分ご了解いただきたいと存じております。  そういうことで、次回は検討課題1について、2回り目の検討を行いたいと思いま す。ただ、検討課題1でも、将来の2、3にかかわるところがあるので、永遠に結論が 詰まらない課題がありますから、それは飛ばさせていただいて議論を進めたいと思って います。 ○金城委員  すいません、管理機構をどうするかとか、そういうものはどうするのですか。 ○矢崎部会長  それは、したがいまして、検討課題1、次2ということではなくて、2、3について は少し後回しにして、また検討課題、だから2回りも4回りしてもいいのですけれど も、一応検討課題1は2、3にかかわる、そこを議論しないと前に進めない部分は抜か させていただいて、それでない部分を大体の方向性を決めさせていただきたいと思って いるのです。 ○金城委員  事務局からも前あったと思うのですけど、管理機構をどうするかというのはいろいろ 検討していくときに全部関係してくるのではないかと思うんですけど。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○金城委員  ですから、それはあらかじめ早めに検討する必要があるのではないかと私は思いま す。 ○矢崎部会長  わかりました。それでは、そういう機構をどういうふうにつくるかということは、事 務局とも相談しまして、どういう形にするかというのをできるだけ早い機会に皆様にお 示しして、こういうことを頭に描いているというか、あるいは案として提出していただ いて、それに対してご議論いただくというふうにしたいと思いますので、よろしいです よね。そういう方向で。  では大変きょうも活発にご議論いただいて、ありがとうございました。また、次回も 懲りずにご参加いただきまして、一歩でも二歩でも、なるべく早い段階でこの部会の意 見をまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  事務局で何か。 ○桑島室長  それでは次回の日程についてご報告を申し上げます。次回は11月30日(金曜日)15時 から17時45分までの予定とさせていただいてございます。場所は厚生労働省の5階共用 第7会議室でございます。  なお、各委員からのご意見やご指摘を引き続きメールあるいはFAXで事前に送付い ただければと考えてございますが、申し訳ございませんが、締め切りをつけさせていた だきます。11月28日の水曜日の午前中までとさせていただきたいと存じます。  併せまして、委員の先生方のお手元に日程調整表を配らせていただいてございます。 日程調整表に今後の先生方の日程をご記入いただきまして、この紙面に書いてございま すけれども、11月16日(金曜日)までにFAXあるいは郵送で事務局までお送りいただ ければと思います。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。午後3時で、従来の2時から1時間後ろに下がりま すので、その点、お気をつけいただきたいと思います。  それでは本日はどうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 桑島(内線:7933) 小林(内線:7939)