01/11/06 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 毒性・添加物合同部会議事録 日時: 13年11月6日(火)10:00〜12:00 場所: 厚生労働省 共用第7会議室(中央合同庁舎第5号館) 議題: (1)電解水の食品添加物としての指定の可否について (2)ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正の可否について (3)その他 出席委員(敬称略): 石綿肇、井上達、井村伸正、江崎孝三郎、小沢理恵子、香山不二雄、黒川雄二(毒性部 会長)、鈴木勝士、鈴木久乃、高仲正、長尾美奈子、中澤裕之、西島基弘、林眞、廣瀬 雅雄、米谷民雄、山崎幹夫(添加物部会長)、吉池信男 事務局:石井基準課長、坂本課長補佐、吉田課長補佐 ○基準課長  先生方、おはようございます。まだ来られていない先生がいらっしゃいますけれども 、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の毒性及び添加物の合同部会を開催させていた だきます。本日は、御多忙のところ御参集いただき誠にありがとうございます。本日の 合同部会でございますが、毒性部会の委員12名中8名、添加物部会の委員14名中11名に 御出席いただくことになっておりますので、本日の部会は成立いたしますことをまず御 報告申し上げます。  また、本日より添加物部会の委員として小沢理恵子先生に御出席いただくことになり ましたことを御報告申し上げます。先生、よろしくお願いいたします。  本来は食品保健部長も本日出席し、ごあいさつを申し上げることになっておりますが 、国会等所用がございまして本日出席できませんので、その点を御了承いただきたいと 思います。  それでは、本合同部会の座長につきましては従前より毒性部会部会長にお願いしてお りますので、黒川委員にお願いしたいと存じます。以後、黒川委員よろしくお願い申し 上げます。 ○黒川座長  おはようございます。それでは、今お話にありましたように、慣例により私の方で座 長を務めさせていただくということでよろしくお願いいたします。  それでは、事務局から配布資料の確認をまずお願いいたします。 ○事務局  それでは、配布資料の確認をさせていただきます。  本日、先生方のお手元に置かせていただきました資料としましては、座席表と青色の ファイルにとじたものとなってございます。ファイルにとじたものでございますけれど も、添加物の合同部会の議事次第が1枚目、それから委員名簿、3枚目が配布資料一覧 となっておりまして、以降資料としましては資料1、資料2、資料3と耳を付けた形で お配りさせていただいております。  なお、本日お手元にお配りしておりますファイルにつきましては、事前に先生方のお 手元にお送りさせていただいているものと基本的には同じでございまして、若干誤植等 がございますものについて訂正させていただいたというものでございます。  それから座席表でございますけれども、津金委員がここでは出席という形になってお りますが、急きょ所用により御欠席という御連絡をいただいております。本日お手元に お配りしました資料は以上でございます。もし不足等がございましたらお申し出いただ ければと存じます。以上でございます。 ○黒川座長  ありがとうございました。資料の方はよろしいでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。まず、最初に議題1の「電解水の食品添加物 としての指定の可否について」ということで御審議願いたいと思います。本件につきま しては平成12年11月30日付で厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会に諮問がございま して、これまで食品添加物調査会で審議を行ってきたものでございまして、今般審議結 果がまとまりましたので本合同部会に報告されているという経緯でございます。そうい うことで、まずは事務局から詳しく説明をお願いいたしたいと思います。 ○事務局  それでは、お手元にございます資料1に基づきまして食品添加物、電解水の指定につ いての調査会報告について御説明させていただきます。  1ページ目には、本品につきまして平成12年11月30日付で厚生大臣から諮問されたと いうことが記載されております。  2ページ目でございますけれども、本品につきましては添加物の調査会におきまして 合計4回御審議をいただきまして今般報告書という形で取りまとめが行われたというも のでございます。  3ページからでございますけれども、1番目は品目名でございます。本品は酸性電解 水というものでございます。本品は、括弧書きでございますが、強酸性電解水と微酸性 電解水という2つのものをまとめて酸性電解水という1つの品目という形になっており ます。成分の分子式及び分子量についてはここに記載のとおりでございます。  用途は殺菌料でございます。  本品の起源及び発見の経緯、使用状況等でございますけれども、我が国におきまして 既に使用が認められている殺菌料としましては次亜塩素酸ナトリウムといったものがご ざいます。しかしながら、この次亜塩素酸ナトリウムにつきましては比較的高濃度で使 用されるということ等から異臭味の原因となる、あるいは塩素臭が発生しやくす環境悪 化の原因となる。あるいは、手荒れを起こしやすいといったような欠点が指摘されてい るところでございます。今般このような次亜塩素酸ナトリウムの欠点を伴わず、かつそ れに代わり得る殺菌料としまして、強酸性と微酸性の電解水というものが各々開発され てきたわけでございます。  本日、真ん中の方に電解水の発生装置を展示させていただいております。事務局の方 から向かって右側の大きい方が強酸性の電解水の発生装置の一例、向かって左側の方が 微酸性の電解水の発生装置の一例でございます。したがいまして、具体的にはこういっ たような電解水の発生装置というものが実際に流通する。それを現場でユーザーがその 都度、この装置を使って酸性電解水というものを自家消費という形で生成するという形 になろうかと思います。  その装置の概略は省略させていただきますけれども、右側の強酸性電解水につきまし てはホースの1つを水道の蛇口につなぎまして、食塩を添加した食塩水が、この装置の 中に有隔膜の電解槽というのがございまして、その中で電解した結果、陽極側の方から 得られる水溶液、それが右側の蛇口の方でございますけれども、酸性側の方から酸性の 電解水が出てくるといったものでございます。それで、このものにつきましては有効塩 素濃度が20mg/kg以上60mg/kg以下、pH範囲が2.7以下というものが出てくるという 形になります。  向かって左側の微酸性の電解水でございますけれども、本日は容器が十分付いており ませんが、その向こうの方に計量カップがあるかと思いますが、そこに塩酸を入れまし て、それで水道の蛇口につなぎまして水がきて、その発生装置の中で、これは無隔膜の 電解槽が中にございまして、そこで実際に電解が起こりまして、陰極側の方に水素ガス が出るわけなんですが、そういったもの以外の陽極側の電解物の全量をその水に混合融 解することによって、その蛇口の方から酸性の電解水が出てくるというものでございま す。こちらの方については有効塩素濃度が10mgから30mg/kg以下、pH範囲が5.0から6. 5以下という形に調整されているものでございます。  それで、両酸性電解水とも主要な成分としましては次亜塩素酸ナトリウムの場合と同 じように次亜塩素酸、それから次亜塩素酸イオンという形になろうかと思います。ただ 、両酸性電解水ともpH範囲が片や2.7以下、片方は5.0から6.5以下という形になって おりますけれども、そのpH範囲内では実際に溶存塩素の大部分が次亜塩素酸という形 で存在いたします。次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンよりも殺菌力が10倍程度強いと言わ れております。したがいまして、次亜塩素酸が多いということから、より低い有効塩素 濃度で殺菌効果が得られるという原理のものでございます。  この中で強酸性電解水の方につきましては我が国におきましては既に1997年以降、手 指の洗浄消毒、あるいは内視鏡の洗浄消毒という形で医療機器として承認されておりま して、医療の現場では既に使われているものでございます。また、海外におきましては 、アメリカにおきまして強酸性電解水生成装置を殺菌剤製造装置として認可していると いう現状がございます。  1枚めくっていただきまして微酸性の電解水の方でございますが、これにつきまして はアメリカ、EU等諸外国では今のところ使用されていないと聞いております。これら 両電解水につきましては当初は個別に添加物指定の要請がございましたけれども、調査 会での審議の結果、本質が同じであるということから、1つの添加物として取り扱うの が適当であろうということになっております。  続きまして有効性のデータでございますけれども、有効性につきましては強酸性電解 水、微酸性電解水それぞれについて各種データが提出されております。まず強酸性電解 水の方でその殺菌料としての有効性でございますけれども、各種微生物あるいは細菌を 使った殺菌効果というのが確認されております。  その中で4ページの真ん中ほどでございますけれども、夾雑物質が存在する場合の影 響というのを見ておりまして、血清、酵母、BSA等を用いて同様の試験を行った場合 に夾雑物の濃度が低い場合では殺菌効果に影響は見られなかったのですが、たん白質が 1mg/mlを超える場合など、高濃度の有機物が存在する場合には殺菌力の低下が認めら れたというようなデータも出されております。  それから、食品についての殺菌効果もカットキャベツ、カットレタス、それから野菜 、卵、果実、肉等々を使って殺菌効果を確認しておりまして、次亜塩素酸ナトリウム処 理と同等の結果が得られております。  1ページめくっていただきまして5ページでございます。本品の食品中での安定性も 確認されております。強酸性の電解水を使いましてウシのブロック肉、鳥のモモ肉等に 対して10分間撹拌処理をした後、有効塩素が検出されるかどうかというのを見ておりま すけれども、結果としましては有効塩素は検出されず食品中の残留性は低いのではない かという結果が出ております。  それから、次亜塩素酸ナトリウム等で有効塩素濃度が高い場合にクロロホルムの生成 が認められるということが報告されておりますけれども、本品について検討した結果、 キャベツ、鶏肉等を使って実験した結果では処理後の試料中にはクロロホルムは検出さ れていないという結果も得られております。  それから、食品中の栄養成分に及ぼす影響としまして、ホウレンソウを使いましてア スコルビン酸に対する影響というのを見ております。結果としては、総アスコルビン酸 量、それから還元型アスコルビン酸の酸化に対して本剤は影響を与えなかったという結 果を得ております。  微酸性の電解水の有効性について5ページの中ほど、(2)以降に記載されておりま す。ほぼ同様に、各種微生物についての殺菌効果、それから次のページでございますが 、食品についての殺菌効果、食品中での安定性、それから食品中の栄養成分に及ぼす影 響というものが試料あるいは実験条件等、一部違った部分もございますけれども、結果 としましてはいずれにしても次亜塩素酸ナトリウムと比べて同等の有効性というのが確 認できているという結果が得られているというものでございます。  7ページは調査会での審議の状況でございますが、以上の成績から調査会におきまし ては両酸性電解水は既存の添加物である次亜塩素酸ナトリウムよりも低い有効塩素濃度 において、ほぼ同等の有効性を有するということを確認しております。なお、調査会の 審議におきましては酸性電解水の殺菌力が有機物等の存在下では減弱するという試験成 績が得られているということから、あらかじめ汚れを水道水で洗浄除去した後、酸性電 解水により処理を行う。そういった旨を盛り込んだ通知を別途発出する等々して、ユー ザーに対して注意喚起をする必要があるということになっております。  それから、7ページの真ん中ほどからでございますけれども、本剤の安全性について 確認をしております。これについても強酸性電解水、微酸性電解水それぞれにつきまし て各種試験が行われております。まず強酸性電解水の方でございますけれども、単回投 与毒性試験としましてはマウス及びラットを使いまして単回での強制の経口投与での毒 性を見ております。いずれもラットの一部で50mg/kg投与群で軟便を示したという結果 もございますけれども、特筆すべき変化は見られないというような結果になっておりま す。  それから下の方でございますけれども、ラットを用いた28日間反復投与毒性試験とい うのも実施されております。一般状態、摂餌量等については異常は認められておりませ ん。ただ、雌雄で摂水量の減少、尿量の減少というのが一部認められております。これ につきましては、強酸性電解水の特異臭及び特異味によるものであろうと考えられてお ります。尿検査におきましても一部、尿の浸透圧、それからナトリウム濃度、カリウム 濃度の増加、血液生化学検査でも一部生化学的なパラメーターに変動がございますけれ ども、これらは摂水量及び尿量減少に関連した二次的な変動であろうと考察されており ます。血液検査につきましても、GPTの上昇あるいは活性化トロンボプラスチン時間 の延長等のパラメーターに変動が見られておりますけれども、いずれも軽微な変動であ りまして器質的な変化を伴っていないということから毒性学的意義は乏しいと判断され ております。あとは空腸及び十二指腸の分泌亢進が認められておりますが、これは被験 液の酸性度に起因するものであろうと考えられております。  ラットの90日の反復投与毒性試験も実施されておりまして摂水状態、一般状態等々で は特筆すべき変化は観察されておりません。病理組織学的検査におきましては食道粘膜 、胃粘膜等の組織には異常を認めなかったわけですが、強酸性電解水に直接接触する口 腔組織におきましては上皮層の肥厚が観察されております。ただ、この変化につきまし ては強酸性水の摂取による上皮表層への刺激に対する生態の防御反応であろうというふ うに考察されております。  抗原性試験も実施されておりまして、いずれも陰性という結果になっております。  変異原性につきましても陰性でございます。  細胞毒性、それからその他の試験というのも実施されておりますけれども、一部粘膜 刺激の関連、軽度の刺激性というのが確認されておりますが、大きな毒性的意義はない というふうに判断されております。  10ページの中ほどから、微酸性電解水の安全性についても確認されております。単回 投与としましてはラットで行われておりまして、特筆すべき変化は認められておりませ ん。それから、ラットの90日の反復投与毒性試験でございますけれども、これについて も血液学的な検査で平均赤血球容積の有意な減少というのが見られておりますが、これ も軽度な変化であり、ほかの赤血球パラメーターによる変化は認めないということから 偶発的な変化であろうと判断されております。白血球数の有意な増加につきましても対 照群との間に差が認められない、あるいは生理的範囲内の変動であろうというふうに考 察されております。血液生化学検査におけるALAT活性の有意な減少についても毒性 的変化とはとらえないということになっております。器官重量についても生理的範囲内 の変動であろうということで、結論としましては毒性学的に顕著な問題となるような成 績はないだろうというふうな結果となっております。  変異原性、その他の毒性試験も行われておりますけれども、いずれも陰性あるいは大 きな問題はないという結果になっております。  これらの試験成績につきまして、その調査会での取扱いでございますけれども、11ペ ージの下からでございますが、添加物の指定及び使用基準改正におけるガイドラインに おきましては、既に指定されている添加物と塩基部分のみが異なるものの場合には適宜 その添付資料を一部省略することができるというふうにされております。それで、調査 会におきましては今回の両酸性電解水とも主要成分が次亜塩素酸であるということから 、既に食品添加物としてございます次亜塩素酸ナトリウムとその塩基部分のみが異なる ものに相当すると考えられること、それから今回実施されました亜急性毒性、変異原性 試験の成績等では特に問題となる知見は得られていないということ、それから後ほど御 説明しますが使用基準を設定することで両酸性電解水は体内には基本的には摂取されな いと考えられることから、今回提出されました添付資料のみをもちまして両酸性電解水 の安全性については問題ないだろうと判断されております。  ADIでございますけれども、今まで御説明しましたとおり、酸性電解水の安全性に は特段の問題はないと考えられること、酸性電解水が体内に直接摂取するものではない こと、それから水道水で洗い流すことによって食品中には検出限界以下の濃度までいく だろうということ、そういったようなことからADIを評価する必要はないだろうと判 断されております。  使用基準としましては、先ほど来説明しております内容を徹底するという意味で、最 終食品の完成前に除去することという使用基準を設定するのが適当であろうということ になっております。  成分規格でございますけれども、成分規格につきましは本剤の名称の妥当性も含めて 検討された結果、両方の電解水を統一規格としまして別紙3のとおり設定することが適 当であろうとされております。別紙3は20ページに付いております酸性電解水の規格案 というものでございます。定義から始まりまして含量、性状、確認試験、純度試験、定 量法といった項目が設定されております。それで、基本的には統一化できる部分につき ましては統一化するという形にしておりますけれども、一部統一化できない部分、例え ば定義の部分、含量規格の部分、純度試験の部分、定量法の部分、こういったものにつ きましては一部併記した形になっておりますけれども、その他の部分につきましては条 件の統一化ができましたので統一した規格内容という形になっております。このように 、1つの添加物の中に複数のスペックといいますか、規格が設定されているものも既に 添加物の中には例がございます。  あと、調査会におきましては本品の品質の恒常性確保のためにそこに展示しておりま すような生成装置の仕様であるとか、保持等に関して十分な注意が必要であると考えら れましたので、別途通知を出して注意を喚起する必要があると判断されております。そ の通知の案でございますけれども、資料1−1に本品酸性電解水に関する通知の案の骨 子というものを御提案させていただいております。その通知案に盛り込むべき内容とし ましては、1から4の内容を現在考えております。  1番としましては酸性電解水の範囲、今回酸性電解水が指定されるにあたってそのも のの定義といいますか、どういったものが酸性電解水にあたるのかということの明確化 を図る趣旨でございます。  2番としましては、生成装置等に関する留意点としまして(1)から(4)といった 内容を盛り込んだらどうかと考えております。(1)が電極についての注意点、(2) が装置の中で特に水に接触するその他の部分、電解槽であるとか貯水タンク等々でござ いますけれども、これは食品添加物等の規格基準の中に器具・容器包装等の規格基準が ございますが、そこで定められた規格に適合するものであるということでございます。  (3)につきましては、品質が安定していて長時間の使用に耐え得ることが確認され ているものであるということ。それから、定期的にメンテナンスを行うべきだというこ とを盛り込むということです。  (4)としましては、実際にこの電解水をつくるに当たっての電解物質でございます けれども、これにどういったものを使うかということを書いております。強酸性電解水 にあっては食塩、これは塩化ナトリウムとしまして99%以上のものを使うということに しております。水は普通の純水あるいは飲用水でございます。微酸性電解水については 塩酸、この塩酸の規格基準は食品添加物として指定された塩酸という形になろうかと思 います。  3番目でございますけれども、酸性電解水の使用上の留意点、実際のユーザーが現場 で使う場合の使用上の留意点でございますけれども、(1)としまして使用前にpHあ るいは有効塩素濃度等を確認するということでございます。(2)としては使用後、食 品を水道水で十分に洗って残留塩素が残らないようにするべきということでございます 。(3)は先ほど御説明いたしましたが、有機物等の存在下では殺菌力が低下するとい うことが報告されておりますので、あらかじめ水道水で食品の汚れを落としてから電解 水を使ってくださいということでございます。  4番目以降につきましてはやや法律的あるいは行政的な取扱いの部分でございますけ れども、酸性電解水を現場で自家消費という形で使用する場合にあっては添加物製造業 の許可、法律に基づく許可は要しないという形にしてはどうかということを盛り込んで おります。  以上が酸性電解水についての報告書でございます。よろしく御審議のほどをお願いい たします。 ○黒川座長  どうもありがとうございました。これに関しましては先ほど御説明がありましたよう に、調査会を4回ばかり開いておるということでございまして、2ページにそのメンバ ーが載っておりますけれども、座長の廣瀬委員から補足がございましたらお願いします 。 ○廣瀬委員  ただいま事務局の方から非常に丁寧な御説明がありましたが、ただいまの説明に加え まして調査会での審議のポイントについて若干補足させていただきたいと思います。  従来から殺菌料として使用されております次亜塩素酸ナトリウムは、先ほど御説明が ありましたように塩素臭が発生しやすく、あるいはまた手荒れを起こしやすい等の欠点 が指摘されておりましたが、今回の酸性電解水の場合はこれが強酸性でありましても、 または微酸性でありましても、主要な成分が次亜塩素酸として存在しているということ でありますから、次亜塩素酸ナトリウムの欠点がなく、またより低い有効塩素で殺菌効 果が得られるものとして、今回指定しても差し支えないという判断がなされたというこ とであります。  有効性に関しましては、酸性電解水が既存の添加物であります次亜塩素酸ナトリウム よりも低い有効塩素濃度においてほぼ同等の有効性を有するということが確認されてお ります。  安全性に関しましては、既に添加物として指定の場合、塩基部分のみが異なるものの 場合は安全性評価上、既存のもので代替できるというように考えられておりますが、本 酸性電解水は次亜塩素酸が主でありますので、次亜塩素酸ナトリウムと塩基部分のみが 異なるものに相当するということ、また本品を用いて実施されました28日間あるいは90 日間の毒性試験、また変異原性の試験等では問題となる所見は認められていないこと。 ただ、強酸性の場合は口腔粘膜に肥厚が見られておりますが、これは強酸の刺激による と解釈されております。  更には使用基準を設定するということで、酸性電解水は体内には摂取されないという ような大きな特徴がありますので、提出資料のみをもって酸性電解水の安全性について は問題ないものというふうに判断しております。  ADIにつきましては酸性電解水の安全性には特段の問題はないと考えられること、 更に酸性電解水は食品とともに体内に直接摂取されるものではないというようなことか ら、特段ADIを設定する必要はないと判断いたしました。  成分規格につきましては名称の妥当性も含めまして検討した結果、両酸性電解水の統 一規格を設定することとしたものであります。  最後に、この酸性電解水は従来の添加物とは異なりまして、その場で機械でつくると いうような特殊事情があるため、特に成分規格に関する議論が多くなされたということ を付け加えさせていただきます。以上です。 ○黒川座長  ありがとうございました。ほかに調査会の委員の先生方がいらしているようですけれ ども、補足はございませんか。  それでは、御意見、御質問がございましたら全般的にこの議題1に関してお願いいた します。 ○石綿委員  規格の原案で20ページのところなんですが、上の方に含量で有効塩素20から60mg/kg を含むとか、10から30mgを含むという含量の規格がございます。それで、下の方に定量 法としてこういう方法で定量しなさいと。それで、チオ硫酸ナトリウム溶液1ccがこれ これmgのCl、塩素ですね。有効塩素Clに相当しますよと。これ自体は矛盾はなくて結構 なんですけれども、このClというのが上の方に戻って有効塩素というふうに読み取れる かどうか、ちょっと気になったんです。今までの、例えば次亜塩素酸ナトリウムとかさ らし粉みたいなもので表記法がそういうふうになっているかどうか確認していただけた らと思います。 ○黒川座長  事務局、どうぞ。 ○事務局  ただいま確認しましたけれども、次亜塩素酸ナトリウムにつきまして定量法の方ではC lと書いておりまして、含量規格として有効塩素という形で規定しておりますので、そ の点については問題ないかと思います。 ○黒川座長  よろしいですか。では、ほかにどうぞ。  ADIのことですけれども、御説明があったかどうか、アメリカなどでもずっと使っ ているということなのですが、アメリカでは同じようにADIを設定していないのでし ょうか。 ○事務局  特段アメリカの方で設定しているというふうには聞いておりません。 ○山崎部会長  強酸性電解水の方は外国でも使っていて、微酸性の方はアメリカ、EUでは使ってい ないというコメントがございましたね。これが我が国では両方を使おうという、その理 由が何かあるかということと、それから使い分けの特質に関する情報のようなものがあ れば教えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局  先ほど強酸性の方につきましては既に医療の現場でも使われているし、外国の方でも 使われているということを御説明させていただきました。微酸性の方につきましてはそ の後、開発されてきたということがございまして、開発の時期の遅れが諸外国でまだ使 われていないということの理由だと考えております。  それで、両者の使い分けというのは今後ユーザーの方でそれぞれ考えていただければ いいという面もあるのかもしれませんが、pH濃度が違うと有効塩素濃度も違うという ことでございまして、殺菌力ということで見ればほぼ同等の効果であるということは確 認しております。一応両方を比較したような成績というのは特段出ておりませんので、 そういう違いに基づいたユーザーの方の……。 ○山崎部会長  わかりました。今、装置を拝見すると装置も違ったものを使うわけですし、当然食塩 と塩酸というふうに電解水も違うわけですね。つまり、つくり方が違う。したがって、 どちらの装置を使って強酸性をつくるか微酸性をつくるかというときに、こういうとき はこちらがいいんだというようなガイドラインまではいかなくてもそういう情報があれ ばと思ったのですが、それは今のお話ですとこれから使っていただく方が考えるという ふうになるのでしょうか。 ○基準課長  これは現に殺菌力とか安全性とか見ると、ともにどちらがいいとか悪いとかはないだ ろう。したがって、存在すること自体は構わないだろうというのがこれまでの調査会で の結論だったと思います。それで、あとはpHの違いがどうなるのかという点について はっきり物は申せませんけれども、このものが野菜から肉から魚からすべてのものに対 してOKという形でよろしいということに指定されればなるわけであります。そうなる と、あとはこのpHの違いが魚のうまさとか、いわゆる殺菌をするということは同じな んですが、それをどのような素材に適用するかというところで多分使い分けが違ってく る可能性があるのではないかと思いますが、その点について両者を比較して我々の方で まだこういう場合にはこうだというのはわかっていないものですから今、担当の方もお 答えがなかなかできないわけです。 ○山崎部会長  わかりました。調査会がそれを実際に使い分ける調査まではおやりになっていないと 思ったものですが、ちなみにこの値段はかなり違うものなんでしょうか。 ○事務局  値段は物によっても違いますし、この大きさによっても違ってまいりますので、一概 にどちらが高いとかと安いとかということは言えないかと思うんですが、値段のレンジ で言えば安いものは50万ぐらいからございますし、もっと大きいものであれば何百万と か、1,000万のオーダーになるものもあると聞いております。 ○鈴木(久)委員  今のお話を含めまして、これからのことなのかもしれませんが、有効性と安全性はわ かった。それで、いわゆる通知のところでやはり有機物の存在で殺菌力低下云々といっ たようなことがうたわれておりますが、これまでの次亜塩素酸ソーダを実際に例えばフ ードサービスの現場ではめちゃくちゃな使い方をしているわけです。ということは、塩 素濃度がきちんと守られていなかったり、下洗いをしないでそこに突っ込んでしまった り、すすぎをしなかったりといったようなことは、いわゆる作業性の問題を含めてある わけです。  この辺のところが、恐らくコストさえ引き合えば調理の、特に営業的な中で使われる 可能性があるんだろうと思いますので、その辺りをできることならばここの会議ではな いのかもしれませんが、現場での使い方のマニュアルを含めた実験とか研究をしていた だかないと、例えば泥の付いたものをちょっと水洗いだけしてその中に突っ込んで殺菌 ができると思い込まれてしまっても、危険がかえって起きるのではないかと考えます。 ○黒川座長  その点、事務局どうぞ。 ○事務局  その点については検討させていただきまして、最終的には例えば課長通知とか、そう いった中にそういう使い方のマニュアル的なものを同時に配付するといいますか、そう いった形にするようにといった内容を通知の中に盛り込むことはできるかと考えており ます。 ○黒川座長  そういうことでよろしいでしょうか。では、どうぞ。 ○井村委員  素朴な疑問を2つばかり伺いたいと思います。1つは今、問題になっておりました通 知のところで、食品を水道水で十分に洗浄して残留塩素を除去すると書いてあるんです けれども、この定量法というのは水道水の中の残留塩素はもちろん検出限界以下ではな くて以内にちゃんと検出できるような定量法なんですね。違うんですか。分析をなさっ た方に伺いたいんですけれども、つまり水道水の中には当然残留塩素が含まれているわ けで、それはどういうふうに……。 ○事務局  提出された資料では、私どもで定めている食品中の食品添加物分析法という本を出し ておりまして、この中に次亜塩素酸等の測定方法というのを定めさせていただいており ます。それで、今回出されました資料では、例えばここに書かれているような方法を使 って測定した結果が出ているわけでございますけれども、この方法によりますと水道水 に添加されたものも含めた合算値という形で測定値が出てくるという形になっておりま す。ただ、ここで結果の解釈に当たってはもちろん先生御指摘のように水道水の中に入 っているものもございますので、それをキャンセルした形で結果の解釈はしているとい うふうに理解しております。 ○井村委員  そうしますと、ここの文章は十分に洗浄することだけでいいんじゃないかという気が するんです。というのは、マニュアルが付いていくのでしたらよけいここはもう除去す ることと書かない方がいいんじゃないかという気がいたします。何か矛盾があるので。 ○事務局  それでは、そのようにさせていただきたいと思います。 ○井村委員  それからもう一つよろしゅうございますでしょうか。これはもっと素朴な疑問なんで すけれども、通常の次亜塩素酸ナトリウムを使ってやる場合に、食品添加物の規格に合 っている塩酸でpHを調整すれば、当然この電解水の中と同じような割合の次亜塩素酸 が存在する液が得られるはずなんです。こんなまがまがしい機械を使わなくても、塩酸 でpHを調整すれば当然それと同じような次亜塩素酸の割合を含んだ水が得られるはず なんですけれども、それはどうなんでしょうか。別にこれがいけないというわけではな いんですけれども。 ○石綿委員  使用時に次亜塩素酸ナトリウムに塩酸を加えるというと、新しい一種の合成になるの で、それが法的にいいかどうか、ちょっと私はわかりませんけれども、1つにはこの電 解水のいいところというのは固形物が残らない。乾燥してそのまま全く何も残らないと いうのが一つのうたい文句、大きなメリットだったように記憶しております。次亜塩素 酸ナトリウムを使うと使った後、乾燥その他をすることによってナトリウム塩が残る。 固形物が残る。そういう点で、この次亜塩素酸あるいは電解水を使うことによって乾燥 によって何も残らないという非常に大きなメリットがあったように思います。ですから 、次亜塩素酸ナトリウムに塩酸を加えて同等のpHまで持っていって次亜塩素酸として 使うというのとはまた別の使い方あるいはメリットがあると思います。 ○井村委員  少なくとも微酸性の方は固形物が残ると思うんですけれども。 ○石綿委員  微酸性は塩酸を加水分解でできたのが次亜塩素酸だけですから、乾燥によって……。 ○井村委員  調製した次亜塩素酸溶液においてpHは幾つになるんでしょうか。 ○石綿委員  非常に薄い10ppmから30ppmということで、実際に私はつくったことはないんですが、 そういうふうな規格でできると聞いておりますが、規格の資料を見ている限り、その規 格案の範囲のものができているようです。 ○米谷委員  次亜塩素酸ナトリウムにはもちろん殺菌作用があるんですが、もう一方で漂白作用と いうのがございますね。それで、次亜塩素酸ナトリウムの使用基準に対象食品としてゴ マには使用してはならないというようなことがあったかと思います。それで、以前に許 可されていました次亜塩素酸でもそういうのが入っていましたけれども、今回は強にし ましてもかなり次亜塩素酸ナトリウムで使う場合よりも薄いと思うのですが、漂白作用 というのは全く考慮しなくていいのでしょうか。使用基準に、例えばゴマとか、あるい は何かの漂白に使ってはいけないとか、そういうようなことを入れるべきなのか。ある いは、その濃度が薄いので全くそんなことは荒唐無稽なことなのか。その辺をちょっと 確認させてください。 ○事務局  ゴマの漂白効果のデータにつきましては、今回の調査会の報告書の中には盛り込ませ ていただいておりませんけれども、提出されたデータの中には強酸性の方についてはそ ういう漂白作用はないという結果が出ております。1つは食品中の安定性のデータとい うのがこの報告書の中には出させていただいておりますけれども、その中でアスコルビ ン酸とかの効果を見て、酸化されないというようなデータが出ておりますので、有効塩 素濃度が低いということから漂白作用はないということでそういう形になっているのか なと思います。 ○米谷委員  例えばモヤシなどを漂白するときにこれを使おうと思っても使えないぐらいの弱いと いうか、全然そういう作用はないと解釈してよろしいんですか。用途は殺菌ということ で。 ○事務局  そのように考えております。 ○石綿委員  蛇足のようなことなんですが、先ほどからのお話を伺っていまして、特に調査会の座 長からもこの殺菌力が次亜塩素酸ナトリウムを使っていた時代に比べるとはるかに低い 濃度で殺菌力があるというようなお話があって、それと日常使うときにアルカリ性のも のを使うということのデメリットがこの際なくなるということで、私はこれは現場でか なり使われることになるのかなと考えております。先ほど鈴木委員からもお話がありま した、この使い方がきちんと守られていくということが必要だと思うんです。間違いな いと思うんですが、その点について特に強酸性と微酸性という2種類が出てくることに よる混乱等を防ぐような指導と言うと大げさですが、そういうようなことをやっていた だくのがいいんじゃないかとちょっと思いましたので付け加えさせていただきました。 ○香山委員  10ページの90日の反復投与毒性試験のところのことなんですが、ここの赤血球等の記 載に関してちょっと気になることがありますので申しますが、その前に私が以前実験し ていたとき、血液幹細胞の研究で全身にレントゲンを照射しまして一応幹細胞を押さえ まして実験をしているときには、必ずマウス、ラットにも非常に薄い希塩酸を飲ませろ というふうに昔から言われておりまして、希塩酸を飲ませると非常によいと。それは経 口から入ってくる雑菌ですね。食道炎とか、あるいはそういう上部消化管辺りの雑菌を 抑制する。完全に白血球がない状態になっていますので、そのためにしているのだろう と思っていたんですけれども、ここには少し赤血球のボリュームの減少があるとか、あ るいは白血球数の増加があるとか、胸腺にも変化がある。相対的な有意な胸腺の重量の 増加があるとか、そういうことが書いてあって、私から考えるとこの変化はどちらかと いうといい変化ではないかなという気がその経験からすると思われるんです。  そこで、ここに書いてある文言はどちらかというと何となく言い訳的な感じがするん です。ですから、むしろ余りこういう解釈を書かずに、11ページの初めに偶発的な変化 と判断したとか、軽微な変化でありとか、こういうのは書かないでそのまま観察したこ とだけを書いた方がよろしいんじゃないかという印象を受けるんですけれども、それは 私の率直な感想というだけですので。 ○黒川座長  この点はどうですか。 ○廣瀬委員  所見だけを書くという方法もあるかと思いますけれども、ただ、それですと実際にど うして減ったのか、それが本剤の投与によって起こったというようなことになってしま うということがありますので、できるだけ電解水で起こったわけではないというように 一般的に考えたいということで、例えば赤血球のボリュームが減ったということでも、 ほかのパラメーターが動いているようなことがありましたら当然これによって起こった ということになりますけれども、ほかの所見がないということがありますので、やはり こういう変化はありましたが、この添加物の影響ではないよということをはっきりさせ るということでこういうふうに書いてあるということです。もしこれを書かないのなら ば所見も一切書かないということにした方がまだいいかと思いますけれども、それもち ょっとまずいかなと思うわけです。 ○井上委員  香山先生のお話は、この毒性をどう記載するかということと、その前の実験動物学的 なことがありますので、その実験動物学的なことだけちょっと申し上げます。このコメ ントは事務局には御連絡したんですけれども、直接関係がないので発言しないつもりで いたんですが、この種の滅菌水というのは実験動物学的には余りよくないんです。以前 、紫外線滅菌法なども実験動物の飼育に使ったことがあるんですけれども、実験動物の 範囲では残留塩素などが残っている方が24時間ボトルの中が汚染しないのでかえってい いというメリットがあるんです。ですから、もし実験動物の水にこれを使うことを考え る方がおられたら、余り適当ではないということをコメントしておきます。 ○黒川座長  香山先生、どうでしょうか。 ○香山委員  井上委員の御意見、ありがとうございます。  それから、先ほどの評価をこういうところに書いた方がいいという方向性でありまし た、もちろん書いていただいた方がいいと思います。 ○高仲委員  香山先生のおっしゃるように、文章を読んでいますと言い訳的なニュアンスがありま すね。それで、このものを評価するときにこれはだれがどこでどういう目的で評価した かということになると思います。それで、ここで書かれた文章がこの調査会で評価をし て、調査会の意見としてこういう評価が出たならばそれはうなづけると思うんですが、 これを書いた論文の中、あるいは報告書の中にこれがあるとすれば、それはデータを研 究されたところの評価だと思うんです。ですから、調査会の評価もこの中に入ってきて いればそれなりのものとして受け取れると思いますが、一般的に調査会で得られた評価 の書き方はこういう書き方ではないように思うんです。  というのは、レビューアーと実験者との間で文章を少しずつ変えて書くのが常識でご ざいますので、どうもこれによるとおっしゃるように言い訳的になっていて、多分これ は実験者側の評価だろうと思います。ですから、その点はもしこれを調査会でおやりに なっているのでしたらそういう形で読み取れるように書いていただけると更によろしい のではないかと思います。 ○廣瀬委員  確かに、この文章は恐らく試験された方が書いた内容に近いものだと思います。ただ 、実際の内容は我々で検討しておりまして、これで特に間違いはないということを確認 しておりますので、その点に関しては問題ないと思います。 ○高仲委員  それではもう一つお願いします。安全性のところですが、強酸性電解水の部分です。 この8ページを見ていただきますと、90日反復毒性試験というのが(ウ)の項にござい ます。このものについて主に出てくる電解液による作用としては、口腔組織においての 変化だろうと思います。ここにも中ほどに、口腔組織においては上皮層の肥厚が観察さ れたと書いてあります。更に数行下に、強酸性電解水の12日間投与ラットでも同様に認 められているということで、この後でこういう変化は投与開始後比較的早期に発現し、 投与継続により進行しないものと考えられたと書いてあります。  1ページ前に戻っていただきますと、7ページに(イ)の項で28日反復投与毒性試験 がございます。この中には何らこういう記載がございません。そうすると、12日間の追 加試験では変化が見られて、そして90日で見られた変化が28日では見られていないとい うことになるわけで、多分これは実際に28日の動物の毒性を調べた中にはこの変化は記 載されているだろうと思うんですが、ここで抜いてしまいますと何かおかしくなってま いりますので、この辺をもう一度初めに立ち戻って御検討いただければと思います。 ○廣瀬委員  そこまで覚えていないんですけれども、この28日間試験はGLPでやっております。 それで、食品添加物の試験としてやっておりますので、これは確認しないといけないと 思いますけれども、口腔の粘膜は見ていない可能性があると思います。これは後で事務 局の方で確認していただきたいと思います。 ○高仲委員  ということは、当然素人でもこれを一番初めに読めば、この水に接したところに変化 が起きるのはだれでもわかるわけですから、それを見ていないということはその試験に 対して、このものの毒性を見る立場からすれば十分なケアが行われていなかったと判断 できるかもしれませんね。  それから今、先生がおっしゃったGLPとそういう試験のデザイン、内容の信頼性は 全然関係ないと思うんですが、いかがでしょうか。 ○廣瀬委員  GLPは、やはり試験の内容とある程度の信頼性を与えるという意味では重要な試験 だと思います。それで、これは90日試験に関しましてはGLP試験では行われておりま せん。たしか1990年代に歯科大学で行われた試験でありまして、この試験の場合には特 にこれは最初から電解水をやるということで、特に上部消化管の変化についてフォーカ スを当ててやっている試験でありまして、大学でやったということもありますので、こ れはGLPの試験ではありません。それで、一般的に今回提出されている試験の中には GLP試験はなくて、先ほど申しましたように28日間試験が唯一のGLP試験でありま す。 ○高仲委員  GLPがこういう試験のサイエンスとしての内容について立ち至るというのは、どの 条文でそういうことが規制されておられますでしょうか。私の解釈では、GLPはそう いう科学的な部分についての評価はしないということを宣言して今、調査しているよう に思いますが、いかがでしょうか。 ○黒川座長  わかります。確かに、高仲先生がおっしゃるようにサイエンスとGLPは私は別だと 思いますけれども、その論議は時間の関係もありますし、ちょっとここで打ち切らせて いただいて、もう一度文献的なところを少し調べましてこの報告書に反映させるように してください。  それで、特に問題といいますか、資料1−1ですか、先ほどから何回か出ましたけれ ども、案となっておりますので御意見があればこれを議論して終わりたいと思います。 ○西島委員  資料1−1で質問というか確認なんですが、その3番で「使用前に」というのは、こ れは毎日使っている場合は毎日朝というような理解でいいのか。  それともう一点は(2)で「水道水で」と書いてありますけれども、よく水道水と井 戸水を併用しているようなところもあると聞きますので、これは「飲料水」じゃなくて やはり「水道水で」というのがいいのか。そこの2点をお願いします。併用していると ころは実際かなりあるようですね。 ○基準課長  これについては今後更に検討させていただきたいと思いますけれども、現段階の私ど もの考えとしましては、使用前にpHの有効塩素濃度を測る。これにつきましては原則 使用の都度ですから、毎日使うならば毎日測っていただく必要があると考えております 。  それから、使用後の洗浄につきましては一応水道水と書かせていただきましたが、こ こで書かせていただいている主旨は完全に使った酸性電解水をちゃんと洗い流してくだ さいということでございますので、水道水でなくてもほかのものであってもそれは構わ ない。最終的に殺菌料たる酸性電解水をきれいに洗い流してくださいという主旨でござ いますので、もし不適切であればこの表現はまた改めさせていただきたいと存じます。 ○黒川座長  改めるんですか。 ○西島委員  いえ、質問しただけですので。 ○黒川座長  少なくとも3−2の(2)は、残留塩素を除去することはちょっと強過ぎる表現だか らとさっきありました。ほかにこの案についてございますか。 ○石綿委員  2の(1)の、電極は白金及び酸化イリジュームで焼結云々というところなんですが 、白金またはですか。あるいは、白金及び酸化イリジウムで焼結したチタン等につなが るのか、その辺のところをちょっと確認したいことが1つです。  それから、(4)の3行目の真ん中辺に塩酸の規格基準に適合したものを「水に希釈 したものである」は「水で希釈したものである」の方がいいかと思います。  それから3番の(2)と(3)、これは順番からして逆の方がいいかなという気がし ます。というのは、3番で使用上の留意点で(1)で塩素濃度確認、(2)で食品を洗 った後電解水を使いなさい。(3)で使った後は水でよく洗いなさいという順番の方が いいかなと思いました。 ○事務局  御指摘の点については、改めさせていただきたいと思います。電極につきましては白 金または、このチタンというのは酸化イリジュームで焼結被覆したチタンという、そち らにかかると理解しております。 ○黒川座長  それでは、よろしいでしょうか。その案について随分コメントがありまして、今すぐ にこれをプリントし直すというわけにはいきませんから直したもの、特に発言のあった 先生方だけでもいいかもしれないけれども、ファックスかメールをして御確認いただく ということにしましょう。  それでは、この電解水、食品添加物としての指定について一応、可とすることという 結論でよろしいでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○黒川座長  それでは、そういう結論をもって分科会に上程させていただきます。ありがとうござ いました。  それでは、次に議題2の「ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正の可否につい て」ということに移りたいと思います。本件は平成12年11月30日付で厚生労働大臣より 薬事・食品衛生審議会に諮問され、これまで食品添加物調査会で審議を行ってまいりま したけれども、今般審議結果がまとまったということで本部会に報告されているもので ございます。では、まずは事務局の御説明をお願いします。 ○事務局  それでは、お手元の資料2に基づきましてステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改 正に関します調査会での報告書について御説明させていただきます。  資料2の1枚めくっていただきまして2ページ目でございますけれども、本品につき ましては食品添加物の調査会におきまして2回ほど御審議をいただきまして今般部会に 報告させていただくというものでございます。  1枚めくっていただきまして、3ページからが報告書の内容でございます。3ページ ですと若干わかりづろうございますので、4ページの改定案の比較表というもので簡単 に御説明させていただきたいと思います。  本品ステアロイル乳酸カルシウムにつきましては、乳化剤といたしまして昭和39年に 添加物として指定を受けているものでございます。この4ページの上の改定の比較表に ございますように、今般の改正内容といいますのは下線部を付したところが今回の内容 でございまして、それ以外のところは現在の内容となっております。これまでは主に小 麦粉を原料としたお菓子、ケーキでありますとかパンでありますとか、そういったよう なものに使用されてきたわけでございますけれども、今回はお米を原料とした生菓子と か、あるいはそれの中間原料たるミックスパウダー、それから蒸しパン、蒸しまんじゅ うにおけるミックスパウダーといったものにも使えるように適用を拡大したいというこ とで、それぞれの対象食品ごとに使用量を設定して使用基準を改正するというものでご ざいます。  本品の安全性に関しましては、既にJECFAにおきまして1973年に評価を受けてお りまして1日摂取許容量、すなわちADIにつきましてはステアロイル乳酸ナトリウム と合算した形で1日当たり20mg/kg体重という形で評価を受けております。このうち、 ナトリウム塩につきましては現在我が国において添加物として指定を受けておりません 。したがいまして今回はカルシウム塩、本品についてのADIについて20mg/kg体重と いうものを採用しております。なお、JECFAの評価以降、安全性に関する文献検索 を行いましたところ、その安全性を疑わせる新たな知見というのは得られていないとい うことでございます。  4番目は一日摂取量についての評価でございますが、今回の使用基準の改正案に従い ましてその上限、すなわち最大使用量まで使用されたというふうに仮定した場合の理論 最大摂取量というのを各年代別に計算したものがこの4に記載しております。これの理 論最大摂取量を先ほど申し上げましたADIと比較いたしますと、1歳から6歳で93.1 %、以降62.4、40.02、33.77及び29.65というパーセンテージになっております。  なお、これを年齢を外しまして全世代共通で計算しますと対ADI比40%程度という ふうになっております。  5番目の有効性に関する知見でございますけれども、今回のステアロイル乳酸カルシ ウムの添加物としての有効性といいますか、使用目的でございますが、基本的にはお菓 子で比容積を増加させる。ふんわり感というか、ふっくらさせるというのが柔らかい表 現かと思いますけれども、そういったものでありますとか、固くなることを老化と称す ようでございますけれども、老化を遅くする。あるいは、食感をよくする。そういった ような効果があるというふうに言われておりますけれども、今回の適用拡大の食品につ きましてもそれぞれ言われているような効果があるということが確認されております。  2枚めくっていただきまして6ページでございます。これは御参考まででございます けれども、諸外国の状況と比較させていただいております。ただ、ここに記載させてい ただきましたものは日本で使用が認められている適用のみを抜粋した形で書かせていた だいておりますので、諸外国と比べて日本が非常に適用が広いというような印象を持た れるかもしれませんが、その点については日本関係のところだけを抜粋しているという ことをお含みおきいただきたいと存じます。  あとはこの見方で注意事項といたしましては、一応食品分類というものを、コーデッ クスという国際的な機関がございますけれども、そちらの方で用いている分類に便宜上 当てはめた場合の比較表という形にさせていただいております。ただ、このコーデック スにおける食品分類についても現在検討中ということでございますし、この便宜的に当 てはめさせていただいた食品群とこのコーデックスのものが必ずしも合致しているとい うふうにはまだ言えない段階でございますので、あくまでも御参考までにごらんいただ くというものに留め置いていただきたいと存じます。  なお、この注2のところでAWLとございますが、これはオーソライズ・ウィズアウ ト・リミテーションということで、韓国、マレーシアにおいて限度を決めず使用を許可 しているものとなっているもののようでございます。  本品につきましては、以上でございます。よろしく御審議をお願いします。 ○黒川座長  ありがとうございました。これもこの調査会が2度ばかり行われております。その座 長を務められた廣瀬委員、御追加ありますか。 ○廣瀬委員  これに対しましては特に付け加えることはないんですが、本添加物の有効性に関しま しては先ほど御説明がありましたように菓子の比容積の増加、つまりふっくらさせると いうようなこと、それからいわゆる菓子の老化ですね。固くなるということを防ぐとい sう効果が認められております。  安全性に関しましては、JECFAではナトリウム塩と合わせてADIが既に設定さ れているものであります。それで、調査会では今回の使用基準改正に伴いまして特に理 論最大摂取量の対ADI比を各年齢層別に確認し、いずれも一応ADI以内であり問題 はないということを確認しております。以上です。 ○黒川座長  ありがとうございました。それでは、御質疑がございましたらお願いします。 ○鈴木(久)委員  1つだけ質問があります。これの添加物を実際に使用するにはメーカーが使われるわ けですね。 ○事務局  そのとおりでございます。 ○鈴木(久)委員  そのときに、例えばパンというのは小麦粉が実際に製造現場の中でミックスするんで すか。それとも、小麦粉の中に既に入っている可能性があるわけですか。小麦粉という 製品の中にこれらのものが入るということは考えられるんですか。家庭で使う、例えば ケーキミックスのようなたぐいのものが最近随分いろいろな加工品ができておりまして 、それをただ牛乳と混ぜて焼けばケーキができるといったようなものがあって、恐らく そういうものの中にはこういうものが入る可能性があると思うんですが、家庭でパンを つくるときにそういうパン用の小麦粉として売っているものには入る可能性があるのか 、一般の小麦粉にもこういうものが入ってくる可能性があるのか。それとも、あくまで もパンの製造現場の中で使うのかということについてどのような形になっているんでし ょうか。 ○事務局  本日の資料の4ページをお開きいただきたいと思います。この中の4つ目の欄のとこ ろに「菓子の製造に用いるミックスパウダー」とずっとあった後に「パンの製造に用い るミックスパウダー」という項があります。これは、さっきも言ったホットケーキミッ クスのようなものですね。そういった形で実際に流通する形もあり得る。これが実際に 家庭までいくかどうかについてはそこまで詳細はあれですけれども、少なくともこうい うパンのミックスパウダーの中に入るというものはあると思います。  それから、あとは現場で各業務用という形で小麦粉を買ってくる、あるいはこれを買 ってきてその場で混ぜるという形もあり得ると思いますので、結論としましてはそうい うミックスパウダーの形で流通するものもあり得ると考えております。 ○黒川座長 ほかにございますか。 ○小沢委員  今のことに関連しての御質問なのですが、ミックスパウダーあるいはミックスパウダ ーを使ったおまんじゅうを売るなどというときに表示の問題なんですけれども、これは 加工助剤として表示をしないでいいのか、きちんと物質名表示が必要なのか、どちらで しょうか。 ○事務局  すみません。確認させていただきたいと思います。 ○黒川座長  終わるまでに確認できればお願いします。ほかにございませんか。 ○事務局  今の小沢先生の御指摘でございますけれども、食品での表示については乳化剤という 形で表示しても構わないということで、その場合にはこのものの物質名は必ずしも必要 ではないという形になっております。 ○黒川座長  よろしゅうございますか。ほかにございませんか。  それでは、大体御質問も終わったようでございます。そうしますと、このステアロイ ル乳酸カルシウムの使用基準改正ということを可としたいと思いますが、いかがでござ いましょうか。  それでは、お声なしということでよろしいかと思いますので、この改正を可とするこ とにいたしまして分科会に上程させていただきます。ありがとうございました。  それでは、報告事項が1つあるということでございます。どうぞ、資料3でございま す。 ○事務局  それでは、報告事項でございます。お手元の資料3、タイトルが「ステビア抽出物に ついて」でございますけれども、これに基づきまして報告させていただきます。ステビ ア抽出物といいますのはキク科のステビアの葉っぱから室温時あるいは熱時水で抽出し 精製されたものでございまして、ステビオシド及びレバウディオシドAを主成分とする というものでございます。  今回の報告に至るまでの経緯でございますけれども、本品につきましては平成8年の 4月にステビア抽出物につきまして既存添加物という形で既存添加物名簿に収載されて おります。その後、安全性に関して確認作業をやってきたわけでございますが、平成8 年度には厚生科学研究の中でその評価を行いまして、新たな安全性試験を早急に行う必 要はないという評価になっております。  その後、平成10年から11年ごろにJECFAにおきましてステビア抽出物のADI設 定に関する評価を実施しましたところ、資料不足等が指摘されましてADI設定に至ら なかったということがございます。また、EU委員会におきましてはステビア抽出物の 新規添加物としての評価を行ったところ、当時委員会が入手したデータでは甘味料とし て承認することはできないという結論が出たわけでございます。  こういった諸外国の状況を受けまして、平成11年12月の毒性・添加物合同部会におき まして当時の状況につきまして報告させていただいております。さらなる安全性の確保 のために代謝試験とか変異原性試験等を追加実施するということを11年の12月の部会に おいて報告させていただいたということでございます。  我が国でのステビア抽出物と申しますのは、2番に書かせていただいておりますが、 既存添加物たる食品添加物でございまして、現在公定規格は設定されてはいないわけな んですが、自主規格というものが設定されております。それは資料3−1にございます 。  それで、現在流通しているステビア抽出物としましてはステビオシドを主成分とする もの、それからレバウディオシドAを主成分とするものの2つに大別されまして、その ほか一応酵素処理をしたステビアなどもあるという形になっています。  「試料3−2」と書いておりますが、「資料」の間違いでございます。おわびして訂 正させていただきたいと思います。  1枚めくっていただきまして2ページ目でございますが、「これまでの安全性評価結 果の概略」ということでまとめさせていただきました。  (1)は先ほど御説明しました厚生科学研究で評価した結果、新たな安全性試験を早 急に行う必要はないというものに分類されたということでございます。  (2)番としましてJECFAでの評価概要というものの概略を書かせていただきま したけれども、問題となった事項としては規格が不明確でありますとか、人の代謝に関 するデータがない。それから、慢毒・発がん試験も1系統でしか実施されていない。そ れから、in vivoにおける変異原性データが不足している等々といった理由からADI の設定はできないと評価したわけでございます。それで、再評価を行うに当たっては規 格の設定と人での代謝試験、それからステビオールに関するin vivoでの変異原性試験 が必要であるというようなコメントになっております。  また、平成11年のEU委員会での評価でございますが、大きく4つございます。(1) としましては、試験に使用されたステビアの純度が明確でないということ、(2)としま しては、人での代謝試験あるいはステビオールのin vivoの変異原性試験が必要である ということ、(3)としましては、実際に慢毒・発がん試験が行われた試験系では必ずし も発がん性について評価できないのではないかというようなこと、(4)につきましては 、ステビオールで繁殖毒性が認められているというようなことが指摘され、結果として データ不足からステビア抽出物を甘味料として容認することはできないという形になっ たわけでございます。  1枚めくっていただきまして3ページでございます。これが前回の毒性・添加物合同 部会、平成11年12月の部会に報告させていただきました報告の内容でございます。(1) としましては、先ほど御説明しましたEU委員会で問題にもなったわけでございますの で、EU委員会に事務局の方から照会させていただきました結果を報告させていただい ております。その内容としましては、ステビア抽出物についての評価資料というのはイ タリアの企業から提出された資料を基に評価されたものだということ、それから現時点 というのは当時でございますけれども、当時では食品添加物として許可するための必要 なすべてのデータが提出されていないという認識であって、ステビア抽出物の安全性を 疑問視しているのではないということをEU委員会に確認したということでございます 。  (2)としまして専門家の御意見ということで、EU委員会等で指摘された内容につき まして当時、毒性の先生方を中心とした専門家の先生方の御意見をいただきまして、そ れについて結論としては毒性学上問題となる知見は認められないということを報告させ ていただいています。その詳細については5ページの別表1の方にございますけれども 、詳細については省略させていただきます。  結論としまして(3)でございますが、EUの指摘に直ちに対応する必要はないと考え られる。しかしながら、JECFAの指摘を考慮してさらなる安全性確保のために今後 規格の設定、それからin vivoでの変異原性試験、代謝試験を行うことを検討するとい うことを11年の合同部会に報告させていただきました。  それで、長くなりましたが、今般この宿題事項となっておりました試験結果というも のがまとまってまいりましたので、それについて今回報告させていただくというもので ございます。  4番目に追加試験結果、安全性に関する最近の知見というものをまとめさせていただ いております。吸収・代謝に関する試験、変異原性試験と、大きく2つの試験が実施さ れております。  それから1枚めくっていただきまして4ページでございますけれども、更に変異原性 の方に関しましては最近の知見といたしましてタイの方で実施された小核試験の試験成 績というものを公表文献として入手しております。これらの追加試験結果、それから今 、申し上げた最近の知見といったものをまとめますと、6ページの別表2のようになろ うかと思っております。ちょっと横になっていて大変恐縮でございますが、別表2の6 ページの方が代謝試験についてで上の方が追加試験結果とそれの概要でございます。そ れで、カラムの一番下の方に今回の追加試験の結果どういったことが言えるのかという ことをまとめさせていただきました。それを読み上げさせていただきますと、「追加試 験の結果、ラット小腸においては、ステビオシド自体はほとんど吸収されず、腸内細菌 叢によってステビオールに代謝された後体内に吸収されると考えられること、また、ヒ ト腸内細菌叢においてもステビオシドはステビオールに代謝され、それ以上は酸化代謝 が進行しないこと、さらにステビオールはヒト肝臓においてほとんど代謝を受けないこ と等が示唆された」というような結果になろうかと思います。  1枚めくっていただきまして7ページでございます。こちらに変異原性試験の追加試 験結果と新規文献の結果について、試験結果をまとめさせていただいております。変異 原性の追加試験としましてはレバウディオシドAについての染色体異常、それから小核 試験と、あとはステビア抽出物あるいはステビオールに関しますin vivoでの変異原性 試験の成績という形に大別されるかと思います。レバウディオシドAの方につきまして は染色体異常あるいは小核試験いずれもネガティブだったという結果になっております 。  それで、ステビア抽出物あるいはステビオールの方に関してでございますけれども、 7ページの表の一番下のところにちょっとまとめさせていただきましたが、今回特にス テビオールの方でございますが、3機関において別々に実施されたステビオールのコメ ットアッセイにおきまして1試験で結腸粘膜上皮細胞に陽性反応が認められたという結 果になっております。しかしながら顕著な陽性反応ではないということ、それからほか の2試験の結果は陰性であるということから、ステビオールはin vivoにおいてDNA 損傷性は示さない。あるいは、仮に示すとしても問題となるものではないというふうに 今、考えられるかと思います。  更に、その新規文献としまして新たに報告されましたハムスター、ラット及びマウス における小核試験におきましても、小核の確実な暴露が期待し得る用量におきまして、 いずれの動物でも小核の試験の成績が陰性であったということ、それから発がん性試験 においてはもともとマイナスであったということから、このコメット試験陽性の結果と いうのは少なくとも発がん性を示唆するものではないのではないかと考えられると思っ ております。なお、御参考までにステビオールの試験のコメットアッセイで3試験の結 果がばらついたということにつきまして考察を加えさせていただきました。次の8ペー ジでございますけれども、これら3施設のコメットアッセイの比較をさせていただいて おりますが、使用動物のマウスの系統の違い、それから試験方法の中のホモジナイズの 方法の違い等々が影響したというふうには考えられるわけでございますが、明確な結論 には至っておりません。ただ、繰り返しになりますが、そのほかの情報とも合わせます とin vivoでの変異原性については特に問題はないのではないかというような考察にな っております。  また戻っていただきまして、4ページの真ん中の最後の「今後の課題」ということで ございます。今回のまとめのような形でございますけれども、今回追加実施された試験 結果、それから新たに得られた知見からは、ステビア抽出物について現段階において安 全性上問題があるというふうには考えられないのではないかと思っております。  あと、品質規格の部分がございますので、これにつきましてはほかの既存添加物の規 格整備の一環と合わせまして、ステビア抽出物に関しまして現在自主規格が設定されて いるわけですが、そういった自主規格も参考にしつつ、公定規格を策定するということ を検討したいと考えている次第でございます。長くなりましたけれども、以上でござい ます。 ○黒川座長  ありがとうございました。これは5ページに専門家の御意見ということで、要するにA d Hocに5、6人お集まり願って最近の情報といいますか、試験結果を評価していただ いたということで、私が読んだ限りでは変異原性や何かちょっと問題といいますか、話 題になったかと思うので、専門家は林委員だと思いますけれども、何かありますか。 ○林委員  今、事務局の方からかなり詳しく説明していただいたのでそれほど付け加えることは ないんですけれども、要するにJECFAだとかEU委員会の方からin vivoでの成績 が少ないというようなことが指摘されまして、それでin vivoでどういうふうな試験を 追加すればいいかというような議論があったかと覚えております。そのときに、かなり 検出感度が高いということと、いろいろな臓器で見られるというようなことからコメッ トアッセイというような選択肢が出てきまして、実際にコメットアッセイを行ったとい う経緯がございます。  その結果、いろいろな臓器、今の別表の3のところにもありますように、肝臓とか精 巣、腎臓についても評価していまして、それは全然きれいな陰性の結果になっていたん ですけれども、結腸の粘膜上皮の部分のみに少し陽性の結果が認められた。そして、そ の陽性の結果というのも非常に強いものではなくて、かなりデータのばらつき等もあっ たことから、それの再現性をもう一度きちんと確認しましょうということで第2、第3 の試験がなされたというように理解しております。それで、その第2、第3の試験で同 じように結腸粘膜上皮細胞を使って試験をしたところ、それは全く異常が認められなか ったというようなことから、先ほど事務局の方からもお話がありましたように、まずin vivoでも遺伝毒性というものは心配なかろう。しかし、そういうふうな陽性になった結 果があるということは事実ですので、それはひょっとしてあるのかもしれないけれども 、実際には我々の生体にとって問題となるような強いものではないことはほかの第2、 第3の試験からも示唆されていると考えております。 ○黒川座長  ありがとうございました。何か御質問がありますればどうぞ。 ○長尾委員  今の第2、第3の試験というのは同じ機関での確認ですか、別の機関ですか。 ○林委員  これは3機関とも全部異なっています。それで、一応最初のプロトコールをできるだ けそれぞれの機関で忠実に再現しようと試みたという意味です。 ○長尾委員  そうすると、その差があった理由はまだよくわかっていないということですか。 ○林委員  その差についてもかなりいろいろ検討はしてみたんですけれども、実際に先ほど事務 局の方からも説明があったように何が違ったかというと、第1番目と2番目の試験では 使用したマウスの系統が違っています。BDF1とCD1を使っていますので、それが 違っていますけれども、3番目のラボで使ったものはやはり最初のものと同じBDF1 を使っています。そのほか試験法の相違点としてちょっと細かい話になってしまうんで すけれども、このコメットアッセイというのは細胞をばらばらにして、それを寒天のよ うなものの中に埋め込んで電気泳動する方法なんですが、その細胞をばらばらにする方 法が少し違います。それで、そのばらばらにする仕方によって少し疑陽性となるような 結果が出るようなことも知られておりますので、その辺が一番大きな原因ではないかと 考えております。 ○小沢委員  御報告をいただきましたのでむしろ要望ということなのですが、ステビアと申します と一般的に消費者の立場からしても非常に関心の高い添加物でございます。それで、古 くから使われているということもあるのですが、たまたま私も甘味料全般に興味を持ち ましてこの8月の一週間に322世帯の御家庭に記録用紙を配りまして、実際に買ってき て食べようかなと思う食品すべてを全部引っくり返して表示を見てくださいと。そこに 甘味料と書いてあったらその括弧の中身を全部記録してください。それはどういう食べ 物でしたかということを記録してもらいました。そうすると、その甘味料が延べ2,649 件ぐらい出てきたんです。それで、その2,649件の甘味料のうちの32%がステビアだっ たんです。  それで、使い勝手がいいんだと思うんですが、非常に範囲の広い食品に使われている ことは予想されてはいたんですが、やはりスナック菓子ですとか、夏でしたのでアイス クリームだとか、漬物だとか、梅干しだとか、清涼飲料、それから珍味、おつまみで、 出現の割合が5割を超えてございました。それから、こんなものにもというようなとこ ろで、例えば焼きうどんに付いている小さなタレの中に使われているとか、ヨーグルト だとかおせんべいだとかキャンディー、ガムはもちろんお総菜の中だとか生ハムの中、 タラコだとかかす漬けだとかノリだとかコンブだとか、とにかく日本人の食生活になじ むようなものに非常に多用されているという実態がありました。経過があってJECF Aでも検討が進んでいない。それから、EUの中でも使われている実態がない。日本と か韓国ではあるようですが、かなり日本人の食生活の中で特異的にというと言い過ぎか もしれませんが、非常に使われている添加物であるということで関心はかなり高いのが 実態でございます。  ただ、ステビアについてこれだけ幅広く使われているにもかかわらず使用基準がない んですね。最近は高甘味度の甘味料につきましてもスクラロースだとかアセスルファム カリウムのときは使用基準がつくられてきているという経緯がありまして、アスパルテ ームなどには使用基準は一方でないんですが、いずれにしてもこれだけ多方面に使われ ていて、特に子どもが食べるものからお年寄りが食べるものまで広く使われているので 、是非使用基準が検討される方向になればいいんじゃないかと思っております。  それと、したがってADIも検討されたことがございませんので、今回の結論として は規格のところだけは公的なものをつくりましょうということがありますが、今後是非 その使用基準とADIの御検討を進めていただければと存じます。以上でございます。 ○黒川座長  それでは、事務局どうぞ。 ○基準課長  今、先生がおっしゃられたことは、私どもも添加物の安全性評価の面では一番気にし ているところでございます。平成7年の食品衛生法改正においてもいわゆる天然添加物 、それまで無規制でありましたが、それを規制の対象にするということで、それまで使 っていた天然添加物もすべて安全性評価を一からやり直すかという点については、そこ まではする必要はないだろうということで範囲を明確にして、それで既存添加物名簿と いうものに一応の枠組みを決めた上で逐次安全性評価をしていくということになってお ります。これは御承知のとおりでございます。それで、その中で安全性の評価、ADI の設定、それから使用基準を明確にしてリスクマネージメントをするということが我々 の目標でございます。  ただ、400以上にわたります添加物、また更にそれが抽出物とかいろいろなものがご ざいまして、そのものの安全性評価ということに対しても非常に時間と予算もかかるこ とであります。  そういう中でどういうものからやっていけばいいのかということで逐次我々はやって きたつもりではありますが、多く使われているものはやはり優先順位は高いと思われま すので、ステビアがいつまでにできるかということでお約束はできませんが、一方で今 の使用実態を見ながら使用基準をうまくつくれるかどうか。そういう面での検討はさせ ていただきますし、それはステビアだけではないと思っておりまして、ほかのものも含 めてやっていこうと考えております。  どちらかと言うと今、私どもは安全性の評価をまず進めたいということで変異原性試 験とか90日投与試験とか、そういったできるだけ多くのものを早くともかく安全性につ いては一定の安心をしていただきたいということをまず進めております。使用基準の方 はそれと合わせてではありますが、なかなか使用実態の把握というのは難しゅうござい ますが、それも合わせてやっていきたいと思います。その方向に向かってやるつもりで おりますので、その点を御理解いただきたいと思います。 ○黒川座長  よろしゅうございますか。ほかに何かございますか。  ございませんようでしたら、この議題は終わって、今日はこれで一応議事終了という ことでございますが、事務局の方はよろしいでしょうか。 ○基準課長  どうもありがとうございました。  1点、先ほど酸性電解水の議論の中で、使用基準につきまして最終食品の完成前に除 去することというので御提案を申し上げ、全体としては多少その通知案なりは変えます けれども、御了解いただいたというふうに理解をしておりますが、私ども電解水はこれ で指定要請があってこれでやるわけでいいのですが、そういうことになりますと他の次 亜塩素酸ナトリウム、ほかの塩素系の殺菌剤、滅菌剤につきましては現在、最終食品の 完成までに除去することという縛りがございません。先ほど米谷先生から御指摘があり ましたように、漂白の目的でゴマには使ってはいけないというものがあるだけでありま して、基本的には同じものだという位置づけで今回このものについて御了解いただきま したので、次亜塩素酸ソーダの方についてもいわゆる除去するなり何なりというような ある程度の使用制限といいますか、使用上の基準というものを設定するべきではないか と事務局としては思っておりますので、検討だけはさせていただきたいと思っておりま す。その点をちょっと申し上げておきたいと思います。 ○黒川座長  2つとも分科会上程というけれども、スケジュールの方はどんな感じなんですか。 ○基準課長  これは新たな指定でありますから、これはこのまま上程をいたします。それで、その 際に既存の指定されているものについての使用基準については一緒に挙げるということ ではなくて、こういう形で使用基準が設定されますので残りのものはどこかの時点で変 更できるかもしれないという前提で検討を事務局の方で進めたいということでございま す。これと一緒に上がるということではございません。検討させていただきたいという ことです。 ○黒川座長  よろしいでしょうか。  それでは、これで今日の合同部会は終了いたします。ありがとうございました。 −了− 照会先:医薬局食品保健部基準課 吉田、中井     電話(代表)03−5253−1111       (内線)2489、2453