01/10/03「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第 12回)議事録 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第12回)                 議事録            厚生労働省年金局年金課          「女性のライフスタイルの変化等に対応した         年金の在り方に関する検討会(第12回)」議事次第                日時 平成13年10月3日(金)14:00〜16:00                於  厚生労働省省議室 1.開会 2.委員出席状況報告 3.議事   女性と年金をめぐる諸論点についての討議 4.閉会 ○袖井座長  「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」、きょう は12回目でございますが、ただいまから開催いたしたいと思います。  本日は大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。  それでは、事務局より委員の出席状況を報告していただきます。よろしくお願いしま す。 ○中原企画官  まず冒頭お詫び申し上げますが、設備の関係で空調が効きませんので、申し訳ござい ません。ぜひ上着を脱いでいただいて、よろしくお願いいたします。  本日の委員の出欠状況でございますが、本日は翁委員と藤野委員が所用のため欠席し ておられます。その他の委員は全員出席しておられます。以上でございます。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は 、これまで委員の方からのレポートや委員以外の有識者からのヒアリングを通してご議 論いただいた内容及び前回の検討会で専業主婦の方々にご意見をお伺いしましたが、こ れらを踏まえまして、第10回検討会において「女性と年金」問題を検討していく上での 諸論点の中で示されました具体的な論議すべき制度設計上の論点のうち、まず「第3号 被保険者制度」についてご議論いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  それでは事務局から資料をご説明いただきますが、大変丁寧にご説明いただくという ことで少々時間がかかるかと思いますが、事務局よろしくお願いいたします。 ○度山年金課長補佐  それでは、資料の説明にまいります。座長からお話いただきましたけれども、わかり やすくできるだけ丁寧に説明を心がけるつもりでございますので、少々時間がかかるこ とを最初にご容赦いただきたいと思います。  まず本日準備しております資料の1番目、「第3号被保険者についてのこれまでの議 論の概要」ですが、これは前々回の資料としてまとめました「これまでの議論の概要」 という資料の中から、第3号被保険者制度に係る議論の部分を抜き出したものでござい ます。改めて本日ご説明は申し上げませんが、これまでの議論の中から、特に3号制度 に係る保険料負担の考え方という点につきまして、今回の資料を作成いたしましたので 資料1として示しております。  続きまして資料2番目の方にまいりたいと思います。横長の「第3号被保険者制度に 係る論点について」という資料に沿ってご説明を進めてまいりたいと思います。  まず1ページ目ですが、「各制度における保険料(税)賦課の考え方について」とし て、社会保障制度や税制において保険料、税の賦課の考え方、誰に対して、何に対して 賦課をするか。その際どのようなことを考慮するかという点について取りまとめたもの でございます。上から国民年金、被用者保険であります厚生年金、健康保険、国民健康 保険、介護保険、所得税・住民税ということでまとめておりますが、まず国民年金の第 1号被保険者(自営業者)等に係る保険料につきましては、被保険者個人ごとに定額( 現在13,300円) の定額の保険料を賦課しております。一義的な納付義務者は被保険者で ございますが、世帯主及び被保険者の配偶者には連帯納付義務をかけておるところでご ざいます。国民年金の仕組みは被用者年金の後に、それ以外、被用者年金でカバーされ ない方を対象に創設をいたしましたが、被用者年金の場合は賃金ということで稼得活動 に従事しているということが明確なわけでございますけれども、それ以外の方というこ とになりますと、労働の形態、稼得の所得の形態というものが一様ではないということ で、これらの方々に関しては20歳から60歳までの間、年齢で区分をして、稼得活動に従 事している期間だということでみなして、被保険者個人ごとに定額の保険料ということ で運営をしておるというのが今日までの考え方でございます。  ただ、その中にはご負担が難しいという方もいらっしゃるということで、被保険者本 人、連帯納付義務がかかります世帯主、配偶者のいずれもが一定の収入以下であるとい う場合には保険料の一部又は全部を免除する仕組みになってございます。一部と申し上 げましたのは、明年4月より半額免除の仕組みを設けることになっておりますのでこの ようにまとめました。  それから、被用者保険制度でございます厚生年金、健康保険は、賃金という同じベー スで皆さん共通に押さえられますものですから、被保険者個人ごとに標準報酬の一定割 合、厚生年金ですと現在 17.35%という定率の保険料を労使折半で納めていただいてい ます。制度上の納付義務者は適用事業所になっておりまして、被保険者であります被用 者から特別徴収というか天引き徴収する。そういうことができる関係で、特に連帯納付 義務や本人の所得以外の考慮要素はない仕組みになっております。  それから医療保険の方で、被用者以外の方に適用されております国民健康保険につき ましては、被保険者について所得割、資産割、被保険者均等割、世帯割という応能、応 益という考え方を組み合わせて生活の中心であります世帯主にまとめて賦課をするとい う仕組みをとってございます。したがって、納付義務者はその世帯の生計の中心になる 世帯主でございまして、独立した1つの経済主体として世帯を見ておるという考え方か らすると、そこの中心になるものにかけるという考え方がとられている。そういう関係 で特に連帯納付義務はかかっておりません。ただ、特に応益の定額の保険料負担部分に ついて、世帯の所得と申しますか、世帯主、被保険者である世帯員の所得の合計が一定 の金額以下であれば、この金額を減額するという措置がとられているところでございま す。  介護保険の65歳以上の第1号被保険者の保険料につきましては、被保険者個人ごとに 所得段階別の定額の保険料が賦課されております。これは65歳以上ということでござい ますので、公的年金制度の充実、成熟化ということを踏まえますと個人個人に年金の収 入があるというふうに考えることができるということで、個人ごとに定額保険料を設定 をして賦課をするという考え方をとっております。ただし、皆さんがそうでないという 事情もございますので、特に年金からの特別徴収ができない、普通徴収の場合にはその 世帯の世帯主や配偶者に対しまして連帯納付義務をかけておるということでございます 。  定額保険料ということですが、所得段階別の定額保険料ということになっておりまし て、一緒に暮らしていらっしゃるほかの世帯員全員が市町村民税非課税であるといった 場合には、5段階の3段階目を基準額と申しておりますが、その基準額よりも減額され た保険料を課すことになっております。これは第1号被保険者の4分の3が市町村民税 非課税という状態にありますので、可能な限りその中でも特に低所得の方にきめ細かい 配慮を行うために、個人の所得のみならず世帯による保険料の負担能力を加味したとい う説明がなされております。  それから税金の方は所得を稼得する個人に対して所得の一定率、所得段階に応じて累 進構造を持っておる定率ということでございますが、賦課されております。これは所得 がある個人にかかるということでございまして、考慮要素としては納税者や世帯員の人 的な事情による所得の控除が設けられています。  これらを通じてどのようなことが言えるかという点でございますが、まず社会保険の 仕組みの中では定型的に所得がないと考えられるものから、保険料を賦課するというこ とはとられていないということと、負担能力を判定すると、特に保険料を減免するとい うことに当たっては、最終的には個人の負担能力だけではなくて、世帯を単位としてと らえられているということでございます。よく世帯単位、個人単位という対立するよう な概念ということで議論がされるわけですが、こと負担という局面に関していくと、こ の原理は必ずしも各制度において貫徹されているものではなくて、実際には、どこかで 個人と世帯の折り合いをつけて制度は運営されていると考えなければいけないだろうと 考えられます。  次の2ページ目にまいりますが、第3号の説明とこれまでのいろんな議論の整理に入 っていきたいわけでございますが、まず議論が混乱しないように共通の事実、理解につ いて確認をしたいということでまとめているものでございます。2ページ目にまとめま したのは昭和60年の改正の前後で、保険料負担なり給付の位置づけが異なっておるとい うことでございます。左側の第3号被保険者制度創設前、昭和60年改正前の制度で申し 上げますと、サラリーマンが厚生年金に加入し、厚生年金の方でご夫婦2人の生活を支 える年金をサラリーマン本人に対して支給をし、保険料はサラリーマン本人が報酬比例 で負担をしていた。被扶養配偶者の方は2人分暮らせる年金が厚生年金から出るのに加 えて、いろんなことがあった場合の保障を万全にする意味から任意加入という道を開き 、この場合に保険料の負担は定額で求めておりました。一方、昭和60年改正後の第3号 被保険者制度創設後は、サラリーマン本人に対しては、従前の給付から比べますと、被 扶養配偶者の基礎年金相当部分が分離されておるということでございまして、ここを同 じようにサラリーマン本人が報酬比例で負担をしておる。被扶養配偶者に対して給付さ れます基礎年金は、この給付を含めて夫婦2人の生活を支える水準ということで設定さ れておる。従前の任意加入は廃止されておりますので、この制度の前後で被扶養配偶者 に給付される年金の意味と、それに対応します負担を考えたときの負担の意味は随分異 なっておると理解することが必要であろう。  下の箱にまとめてございますが、被扶養配偶者の基礎年金は、従前の制度でサラリー マン本人に対して行われていた給付が基礎年金として分離したもので、もともと任意加 入であった部分はそれとは別の負担で別の給付であった。  新しい制度においては別の負担、別の給付ということではなくて、従前の厚生年金の 一部が分離した形ということになりますので、このような意味では給付の意味合いが随 分違っておる。この2つの給付、国民年金の1人分ということでは共通しておるわけで すが、以前任意加入で払っていたからということが新しい仕組みにおいても同じように 支払うべきという議論には直結をしないということはひとつご理解をいただきたいと思 います。  3ページ目でございますが、次に基礎年金の費用負担を、特に第2号、第3号の被保 険者についてどのように行っておるかということでございます。  これまでの議論の中で、例えば第3号被保険者に係ります保険料相当分も第1号被保 険者が負担をしているとか、第1号被保険者の保険料が定額ですので、皆が同じように 定額で負担をしているというようないろんな議論が交錯しているように見受けられます ので、ここで改めてどういう仕組みになっているかということを確認したいと思います 。基礎の給付に要する費用は、年度ごとの給付費の総額を、被用者年金制度及び国民年 金制度が、それぞれの被保険者数で按分して負担をする。このようにすべての制度につ いて1人当たりの基礎年金の負担は同額に設定をされておるわけですが、保険料の負担 の構造が報酬比例でございます厚生年金の仕組みにおいては、頭割りで割り振られた額 を、被保険者の標準報酬(賃金)に応じて賦課する定率の保険料の中から負担している ということでございます。報酬比例で取りまして、定額+報酬比例の給付を支給してお るということでございますので、厚生年金制度においては、定額の給付に相当する基礎 年金についても、負担については賃金に比例する形で費用が負担されているというふう に理解ができるだろうと思います。  話がわかりにくいので図示をしましたが、厚生年金を例にとりますと、第2号分の人 数がある。厚生年金加入者の被扶養配偶者の数が第3号分としてある。これに共通の基 礎年金の拠出金単価がかかったものを厚生年金の仕組みで基礎年金の方に負担をしてく ださいということになっております。実際の負担は第2号から報酬比例でいただいてお り、その中でこれらの人の分すべてを賄っておるということになりますと、第2号の中 には所得の高い人、低い人それぞれおられまして、定率でご負担をいただいているわけ ですので、基礎年金相当分の負担というものを抜き出して考えてみた場合に低い方は低 い額、高い方はそれに相当する高い額のご負担をいただいておって、実際の負担という ことを考えますと、下の三角形のような形で負担をして、この四角と三角の色を塗った 、四角と三角の面積が同じような形になるようにご負担をいただいていると考えること ができようかと思います。  参考までに具体的な数字とともにご説明を申し上げたいと思います。これは資料には 書いてございませんので恐縮でございますが、厚生年金から平成11年度に基礎年金勘定 に保険料分で 5.9兆円という額を繰り入れてございます。平成11年度の年間の標準報酬 月額をすべての被保険者について累計をいたしますと 124.8兆円という数字になります ので、単純に前者を後者で割りますと 4.7%という率が出てまいります。年金給付は、 いただいている保険料からだけではなくて積立金の運用収入も含めて全体を賄っておる という構造になっておりますので、そういった意味もあって基礎年金に相当する保険料 が 17.35%のうち幾らかということは一義的には決まらない仕組みでございますが、仮 に今申し上げました 4.7%という数字で考えてみます。平成11年度の1人当たりの拠出 金単価が保険料で賄う分が1万 2,016円という額でございますので、約1万 2,000円と 考えまして、この 4.7%という率と逆算をいたしますとおよそ26万円という数字が出て まいります。  これは何を意味するかと申しますと、26万円の標準報酬の方が 4.7%のご負担をいた だくとちょうど1万 2,000円の負担になるということでございますので、ちょうど下の 三角形の図で点線で書きました四角との交点に26万円ぐらいの人がいらっしゃるという ふうに考えることができると思います。ですので、それ以下の報酬の方は、それ以上の 報酬の方の保険料負担で支えられて全体基礎年金の費用負担を行っているというふうに 言えるかと思います。  ちなみに26万円を1つの分岐点に考えますと、それより低い方、24万円以下の標準報 酬の方がどれくらいいらっしゃるかというデータでございますが、一般の男子の方で申 し上げますと、男子の2号被保険者のうちの22.1%、女性の方ですと収入の低い方が多 うございますので、この率が73.3%という状況でございます。  今、ご説明いたしました 4.7%や26万円という数字につきましては、平成11年度の実 績のみをもとに計算をした結果ですので、制度的にここで均衡がとれているとか、この 率であるということではないということを留保として申し上げたいと思います。そうい った数字であることを理解をした上で、今ご説明をいたしました数値の意味をご理解い ただければと思います。  総じて申し上げますと、保険料負担のない第3号被保険者の基礎年金の費用を2号が 持っておるというのは真実でございますが、同時に賃金が低く、保険料負担の低い第2 号被保険者の基礎年金の負担も高賃金の第2号被保険者が支える仕組みになっておると 。絵の中で申しますと(a)という矢印が強く意識をされておるわけでございますが、 同時に同じような意味で(b)という矢印もあります。後ほど基礎年金の負担について 応益ということを考えるときに、この(b)の部分の所得移転と申しますか、これをど のように考えるかというところで改めてご説明申し上げたいと思います。  それから、第1号被保険者はこの外側にある仕組みでございますので、第1号被保険 者の保険料で第3号被保険者を支えるという仕組みにはなってないということは確認し ておきたいと思います。  次のページでございます。現行の仕組みにおいて保険料負担と給付がどのようにバラ ンスをしているかということで、ご夫婦の単位(世帯の単位)で報酬額が同一である場 合に保険料負担、それに対応します年金給付がどのようになるかということをよくご説 明をしてきたわけですが、ここで改めて整理をしております。これからこういう図示が たくさん出てまいりますが、計算の前提を申し上げますと、保険料は報酬の 17.35%で 労使分合わせて記載をしております。本来保険料は段階的に引き上げて長期的に給付と 負担のバランスをとっていくこととなっておりまして、17.35 %で固定ではないわけで すが、この要素を入れますとややこしくなりますので、この図では捨象しております。 したがいまして、この保険料を40年納めればこの給付が受けられるという意味ではなく て、現時点での負担、給付の理念形を1つの図にまとめたということでご理解をいただ きたいと思います。  世帯報酬50で、左側に片働き世帯、右側に共働き世帯で、現行の仕組みでは報酬のあ るところに定率の保険料が係るということでございますので、両者の保険料負担は同一 になります。  給付につきましては、1人ひとりに基礎年金があり、報酬に比例した年金が厚生年金 の被保険者にはあるということでございますので、世帯報酬が一緒ということであれば 、両方足し合わせると年金額も一緒、すなわちトータルの年金額も同じということにな ります。  下に世帯報酬30の場合も併せて記載しておりますが、やはり同じ関係に立つというこ とで、夫婦の世帯で報酬額が同じであれば、保険料負担は同額で給付も同額ということ をまず確認をさせていただきたいと思います。  ただ、この説明が成り立たないケースというものが指摘されております。次のページ にまいりますが、年金の保険料賦課、年金額の算定となる標準報酬につきましては、過 大な年金給付を避けるという意味で、報酬が高ければ高いなりの給付と負担ということ になっているわけではございませんで、上限が設定されており、年金制度における現在 の上限額は62万円となっております。これを超える、例えば80万円の賃金を得ている方 でございましても、保険料年金額の計算上62万円というふうにして計算をされており、 世帯報酬が80のケースで片働きと共働きというものを想定して同じ図を描いてみますと 、左側の世帯は報酬額は80であるわけですが、制度上の保険料の賦課のベースは62万と いうことです。右側は両方とも62万の中におさまっておりますので、世帯合わせると賦 課ベースが80になるということでございまして、右側の世帯の方が保険料の賦課のベー スとなります報酬額がトータルで多いということになりますので、先ほど申し上げたよ うに基礎年金の負担が報酬比例で行われているということを考えますと、賦課ベースの 大きい右側の共働き世帯の方が相対的に左側の世帯よりも大きな負担をしているという ことになります。  まとめますと、夫婦世帯で報酬額が同じであっても、報酬上限額が働くことによって 、片働きと共働きで保険料賦課ベースが異なるケースが存在しております。  この場合、左側の世帯、右側の世帯を比較してみますと、右側の共働き世帯の方が相 対的に重たい負担をしている結果になります。  次のページ、もう一つ成り立たないケースとしてよく指摘のあるケースですが、老齢 年金では確かにバランスがとれておりますが、ただ、パートナーがなくなった後の遺族 年金ということまで考えると、このバランスは成り立たないのではないかというご指摘 がございます。この検討会でも何度かご説明してまいりましたが、厚生年金のある妻の 夫が亡くなったときの年金につきましては、妻自身にまず基礎年金が出る。それに加え て妻自身の厚生年金か夫の厚生年金の4分の3の水準の遺族厚生年金、あるいは妻自身 の厚生年金の半分と夫の厚生年金の半分を併給する、3つの選択肢のいずれかを選択す ることになってございまして、左側に片働きケース、右側に共働きケースというものを 置いております。  片働きケースの場合は、妻自身の厚生年金がございませんので、夫の4分の3という 選択をとることになる。右側の世帯の方は、妻自身の厚生年金がございますので、3つ の選択肢のうち最も高いものをとる。このケースにつきましては、両方の半分という3 のケースが一番高うございますので、これで比較をしてみますと、左側の片働き世帯の 方が高いという結果になります。  まとめますと、夫婦世帯で報酬額が同じ場合、老齢年金では給付と負担の関係が同一 であっても、遺族年金については同一とならないケースがある。これは現にそのような ケースは存在します。ただ、この問題につきましては、第3号被保険者の問題というよ りは遺族に対する年金の水準の問題ということですので、回を改めてまたご議論をいた だきたいと思います。  次のページの、これまで議論のあった第3号被保険者に係る保険料負担の考え方です が、現行の仕組みがこのようなバランスになっておるということを確認をした上で、こ れまで各先生方にいただきましたレポート、議論の中でのご発言で様々な保険料負担の 考え方について議論がありましたものですから、これまでの議論を整理する意味で、例 えばどういった点に着目をして保険料負担を求めるのか、あるいは具体的にだれに対し てどのような形で負担を求めるのかというような幾つかの切り口で、今まで議論のあっ た考え方を典型化・パターン化して整理をいたしました。  したがって、いろいろご発言をいただいたり、レポートいただいたそのものではござ いません。発言とは趣旨がやや違うという点もあるかもしれませんが、議論を整理をし て典型化をして進めていくために整理をしたのでご容赦いただきたいと思います。  ここから先の議論では、第3号被保険者は定型的な所得がない集団ということで議論 をしてまいるわけですが、現行の仕組みは 130万以下であれば被扶養者として取り扱わ れています。この範囲がどうなのか、所得がないと言えるのかという議論が別の次元の 問題としてあるわけでございますけれども、これも、回を改めてご議論いただくという ことで、ここでは定型的に所得のない第3号被保険者ということで議論を進めさせてい ただきたいと思いますので、ご了承いただければと思います。  それから、ここから後の資料でございますが、本来第3号被保険者は男性にも適用さ れる仕組みでございまして、中立的な説明をしなければいけませんが、そのように書き ますと、「被用者」と「被用者の被扶養配偶者」となり、それだけ文字数をいっぱいと ってしまうものですから、スペースの関係上、第2号被保険者を夫、第3号被保険者を 妻として記載をしているということについてご容赦をいただきたいと思います。  現行の仕組みですが、保険料の負担は賃金に比例した応能の負担、具体的には賃金、 稼得を得ております夫に定率で負担を求めておるということでございます。第3号被保 険者については、通常所得のない第3号被保険者に独自の負担を求めることとせずに、 第3号被保険者の分の拠出金負担は夫の加入する被用者年金制度全体で定率負担をして いるという構造でございます。  幾つかパターン化して整理をしていくわけですが、まず基本的な構造を崩さずに妻に 負担を求めるということができないだろうかと考えますと、この検討会の議論の中でも 、夫の収入の半分は妻の収入と考えることができるという、潜在的持ち分権というもの を賃金収入というものに対して具体化をして考えると、妻にも半分の収入があるという ふうにみなすことができる。そのようにみなした上で妻自身にも分割された賃金に対し て定率の負担を求めるという考え方が1つございます。  それから、IIでございますが、基礎年金給付に対して、給付があるのだから、それに 相応した、その受益に応じた応益的な負担を受給者である妻自身に求めるという考え方 があるわけでございます。すなわち2号の定率で設定しております保険料は、第3号被 保険者の基礎年金の拠出金負担分を除外をして計算する。あくまでそれば2号の人たち の分ということで計算をする。それとは別に3号の被保険者に対しまして、第1号被保 険者の同額の負担を求める。3号という仕組みをやめてしまって全部1号にするという ことと効果的には同じでございますが、そのような形。  IIIは、所得のある夫に保険料を求めるという構造を維持したまま、今の考え方をと るということでございますので、第3号被保険者のおります世帯の夫には定率の保険料 と、それに第1号の保険料と同額の保険料を加算をした保険料負担を求めるという考え 方ができるということでございます。  IVでございますが、第3号被保険者に係ります基礎年金給付という意味で応益負担と いう考え方をとりながら、実際に個々にどのように負担を求めるかということに関して は、被保険者年金制度全体が定率の負担構造を持っておりますので、定率の負担構造の 中で第3号被保険者に係る費用を分担をしていけばどうか。結果的には第3号被保険者 のいる被用者とそうでない被用者の2段階の保険料率になるということになろうかと思 いますけれども、そのような考え方でございます。  Vは、今まで説明いたしました4つとはちょっと切り口が違うのでございますが、第 3号被保険者としてのメリットを受けられる期間を育児・介護という活動を行っている 期間に限定し、それ以外の期間についてはいずれかの方法で保険料負担を求めるという ような意見もございました。  また、切り口が違うわけでございますが、現行の基本的な構造を維持しながら、専業 主婦家庭の割合が高収入になると高まるということに着目すれば、高所得者について保 険料の報酬上限、先ほどご説明をいたしました62万円という報酬上限を引き上げて、更 に保険料を追加負担を求めるということで実質的な解決にならないだろうかという考え 方も示されたと思います。  それぞれについて、現行制度の対比と、その際、どのような点がポイントになるかと 考えられますものを、これまでのご議論の中からまとめてございますので、順次説明を してまいります。  次のページ、現行制度とI案の比較ということでございますが、片働き世帯(報酬50 )の世帯の保険料負担と年金、先ほど見ていただいたとおりですが、I案的な考え方を とりますと、報酬がそれぞれ夫と妻に25ずつ分割をされて、それに定率の保険料がかか るということでございます。それぞれの保険料がかかった上で年金額も計算されるとい うことですから、現行制度において世帯の収入が同じであれば、保険料負担と給付が同 じであるのと同様に、左側から右側への変化で、夫婦の単位で見た場合の保険料額、年 金額に差はございません。差が出てまいりますのは、夫にすべの報酬比例年金が出てい たのが、夫と妻に半分ずつに出るという帰結になるという点でございます。  下に共働き家庭について同じ計算をしてみましたが、報酬の差の分が同一になって、 結果トータル合わせた給付が同じであるということには変わりございません。  次のページになりますが、この案のポイントですが、個人で負担し個人で給付を受け るという原則を、応能負担のシステムを維持しながら貫くことができ、片働き、共働き を通じて、夫と妻それぞれに給付と負担の連動が明確となるほか、報酬比例部分も含め た離婚した場合の年金給付というものも、個人に半分ずつで明確になるということがポ イントであろうかと思います。  ただ、いろいろこれまでご議論に出てきたこの考え方に関連します部分を整理いたし ますと、まず配偶者の収入の半分を妻の所得ということで擬制をして保険料賦課を考え る、給付を考えるということですが、こういうことを社会的な制度、例えば民事法制上 の扱いや税制上に制度化しているというものはまだないわけでございまして、年金だけ 先行してこの考え方を採用するということについてどのように考えるのか。あるいは資 産に対する1つの考え方としての持ち分権という考え方があるわけですが、報酬の支払 い時から妻のものとして、例えば公的な負担を求め得るかということについては、また 別の考え方もあるのではないかというようなご議論があったかと思います。  2番目、雇用関係のない配偶者、事業主から見れば、妻は雇用関係がないということ になりますので、そういう方も賃金を得ているということで、自ら厚生年金に加入して 保険料負担をすることになるのか。この場合、雇用関係がないということですので、そ の方の保険料の事業主負担をどのように考えるかという問題があろうかと思います。事 業主負担が仮につけられないとするならば、それに代わる財源はどのように考えるかと いうことでございます。被用者保険制度におきまして、事業主負担を原則半分という形 でお願いをしておるわけですが、これは被用者が保障を受けられるということで、事業 主にもメリットがあるということが1つ事業主負担の考え方であるとするならば、それ を雇用関係のない配偶者にどういうふうに考えられるかということが問題になるわけで ございます。  ちなみに参考ということで、第2号被保険者の納付します厚生年金で申しますと、平 成11年度の収納済の保険料額が20.2兆円という額になります。第3号被保険者のいる2 号被保険者が大体3割ぐらいということで考えますと、報酬の差がありますから、単純 にこの3割とは考えられないわけですが、単純計算をしますと6兆円の賃金の半分、3 兆円分が妻に分割されると。この半分の事業主負担が問題になるということになるかと 思います。  それから、共働きで賃金分割をした場合に賃金が高くなる人と低くなる人、個人の単 位ではいいかもしれませんが、事業主の方はどのように考えるかという問題。あるいは 雇用関係のない配偶者に賦課される保険料について、現在の雇用者と同じように天引き 徴収というものについてどのように考えるかという問題。  結局トータルご夫婦の世帯で見た場合の保険料負担額と給付額は変わらないことにな るわけですが、共働き世帯及び単身世帯にとっての不公平感の解消をどのように図るか という問題。  配偶者の一方が死亡した場合の遺族年金が、今の計算方法ですと改正前よりもこのシ ステムを入れることによって低くなるが、どう考えるかという問題。  更にはやや細かくなりますが、夫婦で加入する仕組みが違うということもあり得る。 例えば夫婦の一方が定額負担の第1号被保険者であった場合、賃金分割を受けて、この 方が2号になって、向こうの賃金の半分の負担ということになりますと、今行っている 定額保険料の負担を免れることになるのかといったような問題。  更にはやや技術的ではございますが、共済年金もございますものですから、保険料率 が異なっていたりいたしますと、そのような場合の扱いというものも問題になってくる かと思います。  それから、次のページに現行の仕組みとII案の比較を行ってございます。  定額の保険料を妻に求めて、その分、第2号の保険料率が下がるという計算ですが、 1つ前提といいますか留保しておきたいのは、仮にこのような制度とした場合に、定額 保険料を幾らにし定率保険料が幾らぐらいになるかというのは長期的な給付と負担の均 衡をとって設定されるものでございまして、今何%になるかというのはいちがいには言 えないのでありますが、きょうの資料の一番最後のところに参考資料として添付いたし ました、第2回の検討会に提出をいたしました資料の2ページ、3ページ目に、第3号 被保険者が保険料を負担することになった場合の、平成11年度の予算のデータを使った 1つの試算が出ておりまして、ここでお示しをした率を当てはめて、結果的にはこの試 算においては、3号のいる世帯は16%、妻には定額の1万 3,300円を求め、それ以外の 世帯は16%となる試算結果を当てはめて図示をしております。これを確定的なものとし て受け取ることは正しくないということをまずお断りをしたいと思います。  また、この参考資料で保険料負担が幾ら増えるとか、今よりも幾ら減るとかというこ とを計算をしておりますが、この表におきましては、保険料の事業主負担分も込みで保 険料のところを図示しておりますので、この2つの数字は一致しないということもあら かじめお断りをさせていただきます。  この前提でご説明を続けていきますが、片働き(報酬50)の世帯でありますと、今定 率の保険料がかかっておるというものが、右側の方に移りまして、夫の方にかかってお る保険料は率が下がる分だけ減る。ただ、これに妻に定額の保険料がかかってくるとい うことで、トータルの保険料は増えることになります。年金給付の方は変わらないとい う構造になっております。  参考までにその下に同じ同報酬の共働き世帯というものを想定してみたわけですが、 これは両方とも率が下がるという効果がございますものですから、合わせた負担も下が ります。現在両者の上のケースと比較した場合に保険料 8.7で同じですが、こういう仕 組みにした場合には、上は 9.3に増え、下は 8.0に増える、 1.3の違いが出てきます。  更に報酬額の低い片働きのケースを想定をしてみますと、これも夫の方は率が落ちて 負担が減り、妻に定額の負担がかかってくるということですが、報酬50のケースは 8.7 から 9.3に 0.6増えるのに対しまして、この20のケースは 3.5から 4.5ということで 1. 0の負担増になるということでして、いわゆる定額保険料の逆進性というものがこうい うデータからもうかがわれると思います。  このケースのポイントですが、第3号被保険者も含めて個々人全員が受益者負担の原 則に立ち、保険料負担を行うことにより、第3号被保険者に係る負担の不公平感は解消 できると考えます。ただ、いろいろな問題点といたしまして、そもそも社会保険制度に おいて被扶養配偶者という定型的に所得がないということがわかっているものに負担を 課するということができるのか。外国の制度におきましても、明らかに所得がないとわ かっているものに対して負担を課す仕組みはないということもご説明申し上げたかと思 いますが、このような問題はあろうかと思います。  それから、第1号に定額の保険料を求めておるというのは、稼得の形態が多様で一律 に被用者と同じような考え方を当てはめられないということで、いわばやむを得ず用い ているという方法であるというお話もございましたが、これを賃金という賦課ベースが 明確な集団に当てはめ、賃金で生活を営んでいる世帯に当てはめるということは、応能 負担という社会保障の基本を否定をして、逆進性の問題が拡大することになるが、これ をどのように考えるかという問題点が出てまいります。  それから、1号被保険者扱いにするということになりますと、医療保険の方でも国保 に自分で入らなければならないのかという問題が出てまいると思います。  また、世帯で見た場合の収入同一であれば、保険料給付も同一という考え方からは外 れるわけですが、この場合の片働き世帯と共働き世帯の公平性というものをどのように 考えるかという問題が出てまいります。  雇用関係がない配偶者にかかります定額負担料、今は全体を定率に負担する構造の中 で事業主負担もそれに相応する形でついているわけですが、これをどう考えるのか。事 業主負担をつけられなければ、それに代わる財源をどう考えるかという問題が出てまい ります。第3号被保険者に係ります拠出金負担のうち、国庫負担分を除いた部分が約 1. 7兆円ということでございまして、この半分に相当する額が現在現実に事業主負担によ って賄われている。これがどういうふうに変わるのか、どう考えるのかということです 。  それから、雇用関係のない配偶者に賦課される保険料の天引き徴収についてどう考え るのか。仮にできない場合は、1号被保険者と同じ扱いになるわけですので、未納の増 加を招くという懸念はないだろうかということがございます。仮に未納の増加というこ とになった場合については、結果として女性の無年金、低年金を生じさせることになる のではないかという懸念もあるわけでございます。  次のページ、現行の制度とIII案の比較でございますが、この計算についてもII案と 同様の留保の下でご理解をいただきたいと思います。II案とIII案が異なりますのは、I I案で妻に課されておりました負担が、この案では夫への追加負担となっているという ことでして、世帯ベースで見た場合の給付と負担の関係、一番上のケースと2番目のケ ース、一番上のケースと3番目のケースの関係はII案と同じでございます。  議論のポイントの方に移っていきたいと思いますが、このポイントは所得のある者か ら負担をいただくという原則を貫きつつ、受益者負担の考え方を導入するということで 、第3号被保険者に係る負担についての不公平感を解消できるという考え方かと思いま す。  問題点としては、同じ負担を妻ではなく夫に課するということでございますので、幾 つかの問題は解消するかと思いますが、例えば定額負担の逆進性の問題、医療保険の扶 養家族分の扱いでございますとか、この追加負担分に係ります事業主負担の問題という こと。  それから一番最後に書きました世帯で見た場合の片働き世帯と共働き世帯の公平性の 考え方という問題については共通しているかと思います。  飛ばしました2番目の項目でございますが、第2号被保険者、第3号被保険者に係る 拠出金負担について、保険料を報酬比例で負担する被用者年金制度全体で負担をすると いう構造に今なっているわけでございまして、自身の保険料負担のない第3号被保険者 のみならず報酬額が低くて、結果、保険料負担の低い第2号被保険者についても同様の 受益が及んでいるというふうに考えられる中で、第3号被保険者の分についてのみ、こ れを切り離して応益負担に改めるという考え方がとり得るかどうかという問題が新たに 出てくるかと思います。  ちょっと説明が難しいのですが、3ページにお戻りをいただいてお話しを続けていき たいと思います。基礎年金の費用負担で図示をしております(a)の矢印のところと( b)の矢印のところです。今の3番目の考え方と申しますのは、この(a)の部分につ いて、大きな三角から切り離して、お一人お一人に定額の負担を求めるという考え方で ございますが、例えば(b)の方でも低い方は、程度の差はございますが、(a)の方 が得ております受益と同じような受益を得ているというふうにも見ることができるわけ でございます。今報酬下限が9万 8,000円ということでございますので、約10万円とい うことで、先ほどの 4.7%に当てはめて計算をいたしますと、上の三角の部分では 4,60 0円。下の白い部分では 7,400円ぐらいの大体バランスになるわけでして、第3号の方 が1万 2,000円丸々高所得の第2号から再配分を受けている。それは2号の低い方でも 、1万 2,000円丸々ではございませんけれども、一部分は再配分を受けている。こうい う構造にあるわけで、全体として程度は違いますけれども、同じような受益の構造にあ るということでございまして、この(a)と(b)というものを切り離して、(a)の 方だけ応益負担という考え方を入れ得るかどうかということが1つ論点になろうかと思 います。  続きましてIV案の考え方について移っていきたいと思います。III案のポイントの次 のページ、現行の制度とIV案の比較ということでございます。この計算につきましても 、II案、III案同様に、第2回の検討会に提出した資料にございます、平成10年度一時 点での試算結果をそのまま当てはめておりますので、これを確定的なものとして受け取 るのは正確でないということを、この資料についてもお断りをさせていただきます。  片働きの場合にはパーセンテージが上がって保険料負担が 8.7であるものが 9.7に上 がり、共働きの場合には両方の保険料負担のパーセンテージが落ちて 8.0になる。結果 、同じ収入であっても 8.0と 9.7という保険料負担の差が出てくるという帰結となりま す。  この案の議論のポイントですが、被用者保険の世界の中で応能原則というものがあり 、それを貫きつつ、第3号被保険者のいる世帯、いない世帯ということで考えて、その 世帯単位での受益者負担という考え方を入れ込むことによって第3号被保険者に係る負 担についての不公平感を解消できることがポイントだろうと思います。  問題点といたしましては、今III案についてご説明をしたのと同じように、報酬額の 低い2号被保険者にも同様の受益が及んでいる全体の制度の中で、定額か定率かという ことはございますが、第3号被保険者についてのみ、これを(a)の部分を切り離して 応益負担を導入するという考え方が取りうるかどうかということがポイントになろうか と思います。  それから、応能負担原則で第3号分を分配するということでございまして、夫の報酬 額によっては第1号の定額の保険料でございます1万 3,300円をより少なかったり、こ れを超える追加負担が生じたりということになりますが、これをどう考えるかというこ とです。  あとは医療保険との関係、追加負担部分に係る事業主負担、世帯の単位で見た場合の 片働きと共働きの公平性などについては問題は共通をしておるかと思います。  ここには書いてございませんが、夫の報酬額を固定して考えますと、妻が被用者年金 の適用を受けない範囲では高い保険料率が係るということですが、どこかにラインがあ って、適用を受ける最低ラインをわずかに超える部分で働くということになりますと、 この案の最も大きなメリットが得られるというような帰結にもなろうかと思いますが、 こういうことをどのように考えるかという点もあろうかと思います。  次のページにまいりまして、V案の考え方でございます。第3号被保険者としてのメ リットを受けられる期間を育児等の活動を行っている期間に限定することにより、負担 についての不公平感を縮減できるということでございますが、育児・介護期間以外にあ る被用者、被扶養配偶者という者の扱いについてはどれかの方法でとらなければいけな いということになりますと、同じ問題が残るということでございます。この点につきま しては、また育児期間の取扱いということと併せまして、議論することとし、ここでは 第3号被保険者の負担の問題という切り口で議論を進めていきたいと思います。  続きましてVI案の考え方でございます。報酬上限を引き上げて対応するということで ございまして、現在片働き(報酬80) の世帯は保険料の賦課ベースが62ということにな っておるわけですが、これを報酬の上限を引き上げて80にするということでございまし て、同じ共働きの保険料賦課ベースが80になっている世帯と保険料では報酬上限を引き 上げることによりバランスするということでございます。  実は報酬上限を引き上げた場合の給付と負担の設計についてはいろんな方法が考え得 ると思いますが、ここでは上限を引き上げて保険料については定率の負担を求めつつ、 現行の上限を超える部分は年金給付には反映されないという前提での試算でございまし て、これもこのようなやり方が一義的に決まるというわけではないということをお断り をさせていただきます。  最後のページになりますが、この案の議論のポイントですが、片働き世帯が相対的に 高所得であることに着目をして高所得者の負担を引き上げることにより実質的に第3号 の負担についての不公平感を縮減できることだと考えられます。  この問題については、これと例えばパート労働の厚生年金の適用の拡大ということを もし組み合わせますならば、この不公平感というものは相当程度解消されるとも考えら れますが、これで問題への対応として十分であろうかと。報酬上限の問題での不均衡と いうことのみの対応でよろしいかどうかということ。  それから、高所得の方は必ずしも片働き世帯だけにいるわけではございませんので、 共働き、単身世帯の者にも追加的な負担が課せられることとなるのではないか。これを どう考えるか。  また、一定以上の報酬について、給付に反映させずに保険料負担のみを求めることが 可能であるかどうかという点がポイントとしてあろうかと思います。  以上、第3号につきまして、主に負担という観点からご説明をいたしました。  あと残りの時間で、残りの資料のご説明を申し上げたいと思いますが、まず資料の3 番目でございます。第9回の検討におきまして、諸外国の制度についてレポートを申し 上げましたが、その際に先生方の方から、複雑な資料を1表にまとめたものが作れない かというご要望がございまして、スペース上の限界がありますが、1表にまとめたもの を取りまとめてみました。  これは諸論点を議論をしていくときの1つの参考資料ということでまとめたものでご ざいまして、説明は省略させていただきたいと思います。  資料の4番目でございます。第3号の給付につきまして、例えばアメリカやイギリス は満額ではなく、日本は高いとか、1階、2階を通じて全体を考えると決して高くない とかというご議論がありましたものですから、ここではいわゆる日本のモデル年金の考 え方とそろえて、配偶者給付を行っておりますアメリカ、イギリス、日本、3カ国につ いて比較を試みてみたものでございます。よく外国の制度について、平均的な支給額が 幾らかというデータがあって、それと日本の満額を比べて高い、安いという議論になる わけでございますが、ベースが異なることと、外国の仕組みは皆年金ではございません ので、比較的短期の受給資格で受給を認めておりますものですから、加入期間が短い人 まで含めた平均をとるとどうしてもデータが低くなるという傾向があります。ここでは 制度的に把握しております平均賃金で、その国の満額、アメリカですと40年、イギリス ですと44年、満年度加入をした場合の給付がどのようになるか、モデル年金的な考え方 で比較をしたものでございます。アメリカの場合、これを当てはめてみますと、本人へ の給付額が 1,105ドル(約12万 6,000円) ぐらいということになりまして、これの半分 ということになりますので、6万 3,000円ぐらいの配偶者給付になります。  イギリスの場合、基礎年金の6割ということですので、月に換算いたしますと3万 4, 000円ぐらいの給付になるということでございます。  あと1階、2階の構造の問題がございますので、本人の給付に対します配偶者給付の 割合ということで出してみますと、日本の場合は4割程度、アメリカは5割、イギリス の場合は3割強といったような比較になるということでございます。制度的に比較をし ますと大体このような水準になるということを前提にご議論をいただければと思います 。  資料の5番目でございますが、外国の仕組みをご説明を申し上げましたときに、制度 の背景事情も考慮して理解が必要だということでご指摘をいただいたところでございま す。様々な考慮要素があろうかと思いますが、各国比較可能なものとして、ここでは労 働化されていない人口の割合をまとめてみました。これだけでなかなか各制度との関連 を語るということは正直難しいわけでございますが、日本よりも各国は女子の労働力率 が高いというのはデータとしては言える。ただ、そういう諸外国におきましても、アメ リカ、イギリスですと配偶者給付という仕組みを持っておりますし、欧州の諸国におい ては育児期間に対して特別な配慮を行っておるというように、女性の年金額が低額とな らないような様々な措置が工夫をされている。したがって、女性の労働力化が進んだと きに全くそれを男性と同じように扱えるかということになると、そうではなくて様々な 措置が工夫されて、各国とも苦労しながらやっておると言えるのではなかろうかという ことでまとめてみました。  大変長くなって申し訳ございません。以上で説明を終わります。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。徹夜なさったのではないかと、本当にありがとうご ざいます。ただいまいろいろご説明いただきましたが、頭が混乱してきてしまって、ど れも帯に短したすきに長しでどうしたらいいのか、大変困ってしまうのですが、質問か ご意見でも、はい、どうぞ。 ○宮武委員  同様にとても頭が今痛くなったので、少し頭をほぐす意味でも、こういう理解でいい のか聞きたいのですが、私も会議始まる前に、きょうの議論のポイントはお出しになり ました資料2の3ページ、「基礎年金の費用負担」というところで、度山さんが基礎年 金の拠出というものを考えると、(a)という部分と(b)という部分に分かれるとお っしゃったところ、ここのところが非常にわかったようでわかりにくいところだと思う のです。ちょっと下手な例え話にすると、みんな集まって勤め人が宴会やろうと。宴会 やって1人当たり1万円の会費を集めようと。1万円集めればささやかに幕の内弁当は 最低ついて、それに追加でちょっとは鍋かなんかとったり、ビールや日本酒もとれると 。それを割り勘で1万円ずつ払えと言ったら、とても払えないからと言って宴会へ出て こないやつもいると。出たけれども、きょうちょっと貸しておいてくれと言って払わな いやつも出てくると。  それでは宴会が成り立たないから、厚生年金みたいに収入に応じて会費払いましょう よと、こういう仕組みにしたわけですね。だから収入に応じて3万円払うやつもいれば 、実は 3,000円しか払わないやつもいるという、そういう会費制にして厚生年金は運営 されているわけですね。とりわけ夫婦で宴会に出てくるやつもいて、女房は専業主婦で 収入ないのだから、おれが払った形で3万円払っているからいいではないか、2万円払 っているからいいではないか、こういう人もいると。  それで和気あいあいと一応やっていたのですね。やっていたけれども、その中で声が 上がって、幕の内弁当は 5,000円ついているのだから、この 5,000円分についてだけ最 低限負担をしろよと。おまえのところの女房は払ってないではないか、こういう議論が 今起きているわけでしょう。その 5,000円をどうやって払うのかという話になるわけで すけれども、これを見てみると、それでは今3万円払って、女房の分も払ったつもりの 参加者の勤め人の男がいて、その男は 5,000円分をとにかく追加で払わなければいけな い。定額で払う場合は 5,000円だけれども、IV案のような形で収入に応じて払う場合に は、 5,000円になる人もいれば、3,000 円追加になる人もいれば、あるいは1万円追加 になる人もいるわけです。  いずれにしろ追加費用をとにかく取られると。しかし、その追加費用を払うのもいい のだけれども、ちょっと待ってくれよと。要するに 3,000円しか会費払わないで参加し ているやつがいるではないか。それは(b)の部分の人でしょう。(b)の部分の人は 、実は幕内の弁当の 5,000円分も払わずに 3,000円で参加しているのにその人には何も 追加の費用負担を課さないのか、こういう議論ですね。そこは余りにも不公平ではない か、こういうことですね。 ○榮畑年金課長  はい。 ○宮武委員  では大体合っていますね。 ○袖井座長  はっきりした、それで。 ○宮武委員  だから、そういう整理でもしないと、これはなかなか理解しにくいですよね。みんな が幕の内弁当分だは応益負担しようというのだけれども、実はそこのところを払わない 人は第3号だけでなくて2号の中にもちゃんといますよと。3号からだけ取るのだった ら、何で2号の方で払ってない人は追加費用取らないのかということですね。 ○袖井座長  それでよろしいですか。 ○度山補佐  結局基礎年金を通じた受益ということで負担を考えるということであれば、今の構造 と比較をするとそのような議論にも及び得るのではなかろうかという問題点を指摘をさ せていただいたということでございます。 ○堀岡委員  ちょっとよろしいですか。私も少し確認したいのですけど、その前のページの2ペー ジのところで、要は60年度の改正のときに、ここに書かれていますように、本来はサラ リーマンというところで厚生年金の比例部分と厚生年金定額部分という、これぐらいも らっていましたと。それで夫婦2人で払っていましたと。それを女性の年金権の確立と いうことで、すべからく基礎年金という形にしましたと。ということは本来のサラリー マンの部分が減って、その部分は女性の基礎年金に移りましたと、こういうことですね 。 幾つかの案がありましたけれども、女性の年金というのは、我々サラリーマン個人 からしてみると、もとに戻してくださいと。もとに戻して本当に拠出してない人は国民 年金に1号者と同じように払いなさいというふうな意見も出かねませんよね。  それが同じように、もともとサラリーマンの払っていた人たちの部分が裏を返せば、 この部分のことを3号に持ってきているということですね。  という理解でよろしいのですか。 ○吉武審議官  今の話で、結局企業年金とか個人年金と違いますので、社会保障としてやっている年 金ですので、老後ですとか障害状態ですとか、遺族になった場合、どこを考えるかとい うのが社会保障年金の一番基本ではないか。多分次回以降のテーマで出てくる話だろう と思いますけれども、厚生年金はある意味で非常に古典的な状態であるしハッピーだっ たわけです。例えば女性の年金の問題で、生涯の平均賃金が10万の方は、現状で申し上 げますと6万 7,000円の基礎年金が出まして、報酬比例が大体仮に10万でずっと勤続を されると3割弱出ますので、そうすると約10万近い年金給付が出る。それは賃金に対し て高いのではないかという考えもあるのですけど、しかし老後の生活にとってはその程 度の所得再分配は当然やるべきだという考えもあるわけです。  その中で、例えば今回の議論の前提となっています、第3号の方のパートに対する厚 生年金の適用を進めていくといった場合に、端的に申しまして10万に近い方が相当出て こられる。ただ、その10万の方はポジションが大分違って、その過程では夫婦で働いて おられるわけです。ですからご主人の厚生年金というのは相当分厚い厚生年金で、奥さ んに対してもパートに対応する厚生年金が出ている。全体の年金水準が端的に申し上げ れば、基本的には賦課方式で動きますから、後代の若い人にとって耐えれるものなのか どうか。守備範囲としてどの程度考えられるかということではないか。  例えば、先ほどの5ページの表でごらんをいただきますと、これは一見しますと、負 担が10万 8,000円に対して13万 9,000円になっているということで、3万 1,000円負担 が多いという、その部分があるのですが、下の給付を見ていただきますと、33万に対し て38万円の給付になる。もともと報酬の上限の62万というのは、典型的に申し上げます と、その収入に対して老後の夫婦の生活を考えているという、そこでどこかで打ちどめ しようということで考えておるわけでして、左の33万ぐらいというのはもともと想定し ている状態です。  これに対して、例えばなかなかある例ではありませんけれども、ずっと上限に張りつ いて、2人で共働きをされた方、報酬62万ということになりますと、左の基礎年金7万 に対する報酬比例26万というのは1人の年金ですので、2人で52万の社会保障年金が出 てくるという関連的にはあり得る時代なのです。そういうものについて、果たして後代 負担にすべて任せることができるかという問題をはらんでいる。  ですから女性の年金の問題は、そういう意味では年金の給付設計全体を、どの範囲ま でどういうふうにして考えていくという問題と非常に絡んでおる問題で、全体を見なが らご議論していただかないと、ある部分ではバランスがとれているように見えても、ト ータルとしてのバランスを崩していくという問題はあるのだろうと思います。 ○堀岡委員  もしそういう意味からすると、これもまた突拍子もないと座長から怒られるかもしれ ませんが、日経連経済委員会で話をしている議論は、1階建て部分の基礎年金の部分に ついては、これが社会保障だと、これは6万でいいのか7万でいいか額は別にしまして 、それは1号、2号、3号関係なく、基本的には社会保障ですよと。それは社会保障だ という形でいくと、目的間接税みたいな税方式で、これはきちんと国が保障しなさいと 。  そこから上の2階建ての部分は私は確定拠出がいいかと思っていますけれども、ちゃ んとした給付と負担をリンクさせた積立方式に変えないと、あるいは1階建ては税でな ければ、基本的には世代間の賦課方式ですから、賦課方式の部分は1階、2階建てはと いう形にしないと、1号、2号、3号が共通だと。これはまさに社会保障の賦課方式で すよと、こういう考え方であるのであれば、その部分と上の部分を分けて、賦課方式か そうでない受益者応能負担という部分は1階建ての部分で、上は払った分に見合ったと いう形に変えないと議論が、前も言ったのですが、なかなかかみ合わないのではないで しょうかと。 ○吉武審議官  勝手なことを申し上げて恐縮なのですが、私どものポジションは全く違いまして、サ ラリーマンの年金としてはここで言う基礎年金的なものと報酬比例は必ず必要だろうと 。しかもそこは報酬比例も含めて賦課方式でないと、例えば実質的な年金の価値は維持 できないだろうと思っています。例えば端的に申し上げまして、今の企業年金の状況を 見ていますと、これは完全積立方式です。しかし、こういう金融なり経済情勢が非常に 悪い状態になりますと、予定していた積立の運用利率が達成できませんので、完全に欠 損が生じることになる。そこから出てくる道は、追加的な拠出を行うか、あるいは労使 で話をしていただいて、やむを得ず給付を落とすかということになると思います。そこ は基礎年金部分だけではサラリーマンの老後の生活の中の物価だとか賃金の価値の変動 に耐えれるようなところを年金で支えるということを実現するのは無理ではないか。や はり報酬比例をつけないと無理ではないかというのが私どもの考えでございまして、そ こが経済界とも随分考えが違いますけれども、2階建て部分を企業年金方式でできるこ とは無理ではないかというふうに考えています。 ○堀岡委員  老後のことを考えれば一番それがいいと思うのですが、財政的にそれは年金自体不可 能ではないか、世代間負担で少子高齢化してくると。要はそれで持っていけるのが一番 いいのですけれども、現実的にこれからの少子高齢化で賦課方式が果たして対応しきれ るのか、こういう問題意識は日経連で持っているということです。  ただ、1階建ての部分が6万でいいかという議論ではなくて、もう少し高くなるのか もしれませんけれども、そういう議論をして、1号、2号、3号という議論ではない議 論をしないと、損だ、得だという議論になるのではないでしょうかというのが前々から 言っている問題意識です。 ○袖井座長  ちょっとお聞きしたいのですけど、経営者団体の場合、もし税でやるとしたら、どこ から持ってくるかということは議論していらっしゃいますか。 ○堀岡委員  私は直接議論に入ってないのですけど、日経連では目的間接税というのを導入してや られたらどうでしょうかというふうには聞いています。 ○駒村委員  今のご議論はそもそもの話になって、最初の話になってしまう、そういうことになっ てくると、この検討会は全然意味がなくなってくる。では外形標準課税を付加価値にか けますとか、そういう全然違う議論になってしまう。さっき宮武先生のお話の続きで、I V案のところにフォーカス当てているのですけれども、これは極めて重要な話でして、I V案をどう扱うについては、これが一番効いてくる。そもそもこの3号の問題をどう扱 うか、そのものが(a)、(b)のところの問題だと思うのですね。  私は、さっきのお話の続きがあって、しかしよく体系を見ると、再分配で奥さんの分 はだれかに余計に負担が来ていたよということが最近に明らかになってきたと。もしIV 案とかII案、III案のように応益部分を上乗せするような形の議論をしていくとするな らば、(b)という人は働く2号の個人の仲間である。だから働く仲間同士での再分配 はいいでしょう。しかし、お宅の奥さんが働くか働かないかはその他の人に関係ない。 お宅の事情ですねと。それをなぜ、例えばこの場合、1.35%余計にみんなで払わなけれ ばならないのですかと。かつては、「いや、おまえの奥さんもいずれは専業主婦になる のだろうからいいね」という前提だったかもしれませんけれども、そこで連帯感が崩れ てしまっているからこの3号の問題が出てきたのではないでしょうか。 ○住田委員  駒村先生に続いて、私もその関係で同じ意見を申し上げたいと思います。今、ご説明 では(a)と(b)を対立させ、そこに不公平感が出るのではないかという言い方がご 説明の中にあるように私には聞き取れました。しかし、この(a)と(b)を対立させ る考え方というのは私としてはとれない。  今、駒村先生がおっしゃったように、(b)の関係では所得再分配、再配分、再移転 、何でもいいですけど、そういった考え方は今後も社会保障制度である以上はあり得る と思います。それに対して(a)というのは全く支払っていない層であるということは 明確です。(b)に関して言えば、これはどういう層かと言えば、若い独身者の、男性 と女性等々、多くは女性の低賃金と思います。そして若い独身者は場合によってはその 時点では(b)のように見えるかもしれませんが、いずれこの右の三角の大きな部分、 黒い部分に入っていく可能性がある層であると考えます。  そうしますと(b)の継続的に残るところの層は、今の日本の状況を考えれば、また 、将来も何十年かは低賃金の女性の層であるだろうと思います。その再分配というのは 、年金制度としては十分に理屈づけられるものです。しかし、(a)の層、全く働かな い層に対して再分配はおかしいというのが今の議論の根本だというふうに思っておりま すが。 ○堀岡委員  その前の2ページの60年の改正の部分の、この問題についてはそもそも改正の前から おかしかったというご認識ですか。改正前はサラリーマン本人が夫婦2人の生活を支え る年金でしたと。それをそうではなくて、その中の部分は女性の基礎年金というのは外 出しにしたのですと。ということは、サラリーマン本人の部分は減って女性の部分が変 わったのです。  この時点からすると、我々サラリーマン本人として払う側からすると、もとに戻らせ てもらえれば。 ○高島委員  それは専業主婦の人たちの分の議論の話になるわけでして、サラリーマン本人という か働く女性は同じであり、専業主婦とは分けて考える必要がある。 ○堀岡委員  今は第3号の方の話で、第3号の方のは前はサラリーマン本人、私どもからもらった やつを夫婦2人の生活ですよと。変えたのは、サラリーマン本人はちょっと減ったけれ ども、奥さんの部分が基礎年金で増えましたと。合わせた部分は基本的に同じですよね 。という改定そのものがおかしいというお考えなのか、そこをちょっとお聞きしたい。 ○高島委員  ですから、今住田さんがおっしゃられた60年改正のときに、だれが一番減り方が大き かったと言えば、夫婦2人分だと言っているけど、この2人分というのは説明の仕方で あって、これは実際はだれがもらっているかというとサラリーマン本人ですよね。サラ リーマン本人の話であって、そこの中に奥さんの部分もありますよという説明ですよね 。ですから、そのときに賃金の安い人たちは、基礎年金部分が2つに分けられたことに よって、一つになりましたから、減り方が大きかったわけです。ですからだれが一番保 障されたかといったら、奥さんを持っている男性サラリーマンが保障された制度であり ませんか。 ○堀岡委員  そういう理解なんでしょうけど。 ○袖井座長  堀委員、何かありますか。 ○堀委員  きょう事務局から示された案の問題は、従来私も主張してきたことです。従来は制度 の具体的な中身というか、経済的な機能を正確に理解せず議論していたきらいがあった ので、この資料は大変有効なものではないかと思います。  これらの案は、3号に関して、定額であれ定率であれ、夫に対してであれ妻に対して であれ、負担を課すというものです。しかし、応能負担で一貫しているところに、一部 について応益負担を加味すると必ずおかしいところが出てくるのですね。例えば、共働 きで夫婦40万円の収入の世帯と片働きで50万円の世帯を比較すると、この両世帯で基礎 年金の額は同じですね。だけど、40万円の共働きと50万円の片働きでは、片働きの方が 現在でも保険料負担は大きいわけです。それに加えて片働きだからということで定額な いしは定率の保険料を課すことになる。今まで共働きよりも沢山保険料を納めていたの に更に余計納めるようになる。これは極めておかしい制度ですね。それは応能負担でや っているところに一部だけ応益負担を入れたためそうなるのです。応益負担を入れるな ら全部に入れる必要がある。例えば、共働きでは夫も妻も応益負担+応能負担にする。 片働きは、応益負担2人分、応能負担を1人分を夫が払う。そういう形にすれば、不合 理な制度ではなくなる。  ただし、定額負担は低所得者に対して逆進的になるのですね。ビバリッジはフラット レートの保険料でフラットレートの年金を提案した。これは考え方としては、国家は最 低保障だけでいい。したがって定額年金でいい。定額年金に対応するのは定額の保険料 だと、こういう考えでイギリスはやったのですが、結局これは失敗しているのです。な ぜかというと、定額保険料というのは逆進的で低所得者の負担が重くなる。したがって 、保険料は上げられない。上げられないと年金も上げられないということで、イギリス は反省して応能負担にしたのです。  そういうことで、定額負担というのは非常に問題がある。定率負担をプラスすること についても、さっき言ったような問題がある。したがって、この問題を解消するために は、さっき言ったように、「定額負担+応能負担」にすることは望ましくないので、す べて「所得比例保険料+所得比例年金」にするしかない。しかし、この制度の下では、 所得のない配偶者の年金はゼロになる。要するに国民皆年金の理念を捨てて、ドイツと かスウェーデンの新しい制度のように、保険料を払った者だけに年金を支給することに する。保険料を払った分に応じた年金額にする。これは保険原理に基づくものです。  第3号被保険者制度の問題を解決するには保険料も年金も「定率+定額」と「定率一 本」という2つの方法があるのですが、そのいずれも問題が多いと思います。ここに挙 げられた代替案については、事務局のポイントでも触れられているように、いずれも問 題が多いと思います。 ○下村委員  7ページの今まで議論のあった3号被保険者に係る整理は確かにこのようなことが議 論されてきたかと私も思っています。そうしますと、どのような方法とっても中立性や 公平性を保つという意味においては、すべてに問題があるということもこれでわかりま した。ただ、やはり現行の制度以外の方法はすべて何らかの形で、この場合で言うと、 妻にも負担を求めるという形でシミュレーションしているかと思うのですね。  そうした場合、私の感覚なのですが、応能負担はどちらかというと世帯単位的にシフ トしているのではないか。応益負担に関しては個人単位の方にシフトしているという感 じはしているのですけれども、どちらかでなければ、今、堀さんがおっしゃったように 、1つに筋を通さなければいけないものなのかなと、今疑問に思っているところです。 ○駒村委員  今、堀先生がおっしゃられた点について、確かに世帯単位で特定のモデルケースを応 能負担で比較すると、確かに今はバランスとれていますけれども、現実の財政負担の数 字として見ると、共働きの過剰負担というのはデータ上はあるわけですね。  次にここに書いてあることを、第4の議論のポイントについて、今、下村委員からも ご質問あった件にからめて1つひとつ反論し得るところはあると思います。例えば2番 目の「○」、定額保険料は1万 3,300円を超えるというのは、果たしてあるのだろうか 。つまり3%の差がつくわけです。3%で労使折半ですから、 1.5%です。 1.5%を掛 けて1万 3,300円を超えるということは今のところないはずですね。  2番は被扶養者部分の保険料を徴収する。これは働くかどうか、働くことができるか どうかというところで、この部分はそこを基準に考える。それから3番目の事業主負担 というのは、マクロで見れば、これまで負担しています。個々のをミクロで見ると、確 かに負担状況が変わるというふうに思います。最後に残ったのが一番トップと一番最後 です。これが堀先生から指摘された、非常に中途半端なところて理念、論理的にこれが 合うのかどうなのか。  そこについては、こういう整理をするしかないのかなと思って、さっき下村さんのご 質問に答える意味でも、3ページ目(a)と(b)のところに戻りますけれども、要す るに保険の連帯の範囲をどこまで考えるかということだと思うのですね。世帯の単位で 被用者保険の連帯の単位を考えていくのか、それとも連帯の単位というのは2号の部分 で考えていって再分配、要するに「あなたも過去は若かった」という話もあるのかもし れませんと考える。しかし2号の働き方、生活の仕方がどんどん変わっていく中で、専 業主婦世帯とリスクの共有ができない状態にもうなっているのではないか。そこに不満 が出ていると。  そうなってくると、今の被用者保険が世帯単位でリスクの配分をしているという理屈 から、少し修正する形でできないか。定額負担になると逆進性又は未納という問題が出 てきますので、そういう形で修正できないのかという考えから見ると説明可能ではない か。ただ、理屈は随分変わってくると思います。 ○袖井座長  堀さんどうぞ。 ○堀委員  駒村さんが第3号被保険者分の定率負担を夫に課す案を主張していますが、その根拠 は、平均してみると片働き世帯より共働き世帯の方が収入が大きいからというものです 。駒村さんの計算によると、共働き世帯から片働き世帯に所得移転がなされていますが 、これは当たり前なのですね。収入が高いところから低いところに所得移転がなされる 、仕組み上そうなっているわけです。  ただ、これはあくまでも平均の話なのです。しかし、平均で制度を構築していいのか 。例えば、共働きでも収入が低い人もいる、片働きでも収入が高い人もいる。この場合 、所得再分配は片働きから共働きへと逆転するのです。平均してみて、共働きから片働 きに所得移転がなされていることを根拠に、応益負担を入れていいのか、こういう問題 が1つあります。次の問題は、第3号の専業主婦についてはサラリーマングループでリ スクを共有できないという考えです。あるいは先ほどの図の(a)と(b)とでは所得 再分配の意味が違うという考えです。すなわち、(b)の部分は働いている人の所得再 分配であり、(a)の部分は働いてない人の再分配で違うのではないかということです 。  先ほどの住田さんの意見では、働いていないのが悪いかのような議論もあった。働い ているから(b)の部分は所得再配分がなされてもいいが、(a)の部分については働 いていないから所得再分配はなされなくていいのだと、こういう話です。しかし、サラ リーマングループでも(a)の部分は所得がないのです。所得がない人の年金とか医療 の費用をどういった形で負担しましょうかという問題について話で現在はサラリーマン グループ全体で負担能力に応じて負担をしましょうと、そういう仕組みになっている。  趣味を生かしたいため、あるいは働きたくないから働いてないと、そういうことなら 、働いていない人をリスクプールから外すという理論も成り立つと思います。しかし、 日本の現在の社会の仕組みとして家事、介護、育児の多くを女性が行っている。ただし 、そこが問題ではないのです。そういうことを前提に我が国の雇用の仕組み、雇用慣行 、雇用条件がつくられていることが問題なのです。例えば育児後にフルタイムのいい職 があるかというとなかなかない。働かないのか働けない状況があるのか、そこの認識だ と思うのです。まだまだ女性が働けない状況があるために、サラリーマングループでリ スクプールする必要があると私は思います。  女性が男性並みに働き、かつ賃金も男性並みであれば、女性も当然負担することにな るわけですから、問題はそういった仕組みにするということが基本的に重要だと思いま す。だけど、問題はそれができない間どうするかということです。それは選択の問題で 第3号から保険料を取るという選択もあると思うし、今の仕組みのまま当面続けるとい う選択肢もある。私はこの問題については、第3号の範囲を何らかの形で縮小していく という選択があるのではないか、そういうふうに考えています。 ○袖井座長  住田さん、次、永瀬さんどうぞ。 ○住田委員  私の先ほどの話をそういうふうに受けとめられる方がいるというのは、かなり誤解が あるようなので再度申し上げたいと思います。  私はこの検討会自身が今の専業主婦を念頭に置いているとしたら、当然それは念頭に 置かなくてはならないけれども、年金制度というのは、国家百年の計の中であるべきで 、今後どうあるかということを想定しておかないと実は大きな誤りを犯すのではないか と思っています。今の専業主婦の方々、特に私の年齢以上の方々は、高度経済成長期の 役割分担の中で効率的な経済発展に尽力された方、貢献された方として、その意味では 貢献大だと思っていますから、今後そういう生き方に対してどう社会が報いるかという ことは考えていかなくてはいけないということ、これは確実に押さえておきたいと思い ます。  ただ、一般的に抽象的に、今の専業主婦と仕事をしている女性という形で対立させる ようなものとして今のお話を受けとめました。それは私としては非常に不本意な言い方 であると思います。これからは女性は少子高齢化の中で働かざるを得ない状況がありま す。今でも女性の中には潜在有業率が20%いる。この現実が重いと思います。働きたい けど、働けない方々に対して、今の内閣の最重要課題は、「仕事と子育ての両立支援」 、もちろん介護も含めてです。そういうのを社会の支援の下でやっていこうと。そうし ないと21世紀高齢者が増え、もうすぐ人口のピーク、あと数年で日本の人口のピークが 来るわけでして、そして増えるのは高齢者ばっかりなわけですから、女性が働くのは当 然。残念ながら当然ということが目に見えているわけです。  そのときに、家事も育児も介護も、今女性がしておられる状況を前提にという形で年 金設計をすると大前提を大きく誤るのではないか、そういうふうな気がしております。 ですから21世紀、これからの社会において、少子高齢化の中で、共働きを前提にした制 度設計をすることは当然のことで、その中で育児のときにどうするかというのはいろい ろな両立支援策を考えている中で年金が位置づけられるか、それとも過剰給付になるか ら要らないのか、そういうことはいろいろ検討していかなくてはいけないと思っていま す。  そうすると働かない、所得のない女性ということ、今までは専業主婦として十分に社 会的に意味があることでしたけれども、これから残る専業主婦というのは、はっきり言 ってリッチな層だと、一部富裕層だと思います。そういう層は、社会的な貢献をぜひボ ランティア活動等でやっていただきたいと思うけれども、しかし年金のときに、ほかの 2号負担者からもらうということはせずに、ちゃんと上乗せをして出していただきたい 。また、それだけのことができる方々の層だろうと思っています。それから振り落とさ れる、仕事ができない困難な世帯というのはあらわれると思います。病弱であるとか環 境が許さない。今の女性が抱えている問題は少なくなるとはいえ、残るかもしれない。 そういう方に対してはセーフティネットを考えればいいという気がしております。  ですから3号を残すかどうかということになれば、将来的には3号はなくなると。今 のいらっしゃる方はどう対応するかはともかく、今後はなくなるということをアナウン スメント効果としてしっかりこの検討会で打ち出すべきだと思います。そうすると今現 在どうするかというときに、筋の通った制度というのは望んでも無理だと思います。逆 に今の制度も筋が通っているかどうかというとやはり不満が出てきていることは間違い ない。ますますそれがいびつになってきている。  1点だけ申し上げます。この第IV案を私は支持したいと思っていますけど、それの問 題として、15ページでたくさんの「○」が書いてありますけれども、一番下の世帯で見 た場合、公平でなくなるということで、14ページの表が挙げてあります。私はこれでい いと思います。帰属所得、片働きの場合は十分に主婦の見事な働きで価値ある労働力を 得て、家事労働として快適に過ごしておられるわけでして、それは共働きの場合には望 んでも得られないし、逆に出費を強いられています。そういう意味では収入があるとい え、支出も大きいという中で、私はそれなりに公平な制度になると思います。ですから 金額的にどうかということについてはまだ議論があるかと思いますけど、こういう形で あることは、全体的に見て公平であると思っています。  前回4人のいろんな女性の方々のご意見がありましたけど、皆さん一様に今仕事をし ていると。収入を得ていることは間違いないわけで、結婚して仕事をやめた方は夫の意 見に従わされてということで不本意ながらおやめになった方々なので、そういった方々 は今後なくなるし、またある方は今後の仕事のために何らかの形での職業能力を開拓す るために今大学に通っておられるので、それはこれからの女性像として当然のことだと 思っています。そして皆さん方が専業主婦だから払わないと言われるのは嫌であって、 上乗せは構わないとおっしゃっていたのも非常に私は印象に残っております。そういう 意味で、女性の意見というのはかなりそちらの方向に向いているのではないかと思って います。  私の方にもたくさんのメッセージいただいております。この場をかりて、ありがとう ございましたというふうにお礼申し上げておきます。 ○永瀬委員  私も今の住田先生のご意見で、将来の方向としては変えるべきなのではないかと思い ます。  7ページですけれども、このV案は私がいろいろ主張してきたものだと思いますが、 このV案というのは、ここの横に入るのではなくて、現行からIVまでの間に縦に入るべ きものでありまして、ですからそこの考慮はすべきだと。そこの考慮はした上で何らか の負担を考える必要があるのではないかと思うその理由は、3ページに行きますけれど も、この(a)(就業収入なし)の部分が非常に微妙になってきたと。(a)といって いるけど、(a)でないような人たちも随分出てきているし、また(a)(就業収入な しにある免除の恩恵)があることによってなかなかこの(b)部分に行かないような人 たちもかなり今出てきている事実があると思うのです。  先ほど堀先生がおっしゃっていたのは、例えば50万の共働き世帯と50万の片働き世帯 で、給付も負担も一緒だという話なのですが、それは両方の世帯が両方とも一生働き続 け、片方は一生片働きだったと。つまり、片方は一生共働きを続けたというケースなの ですけど、現実問題としては、片働きに見える世帯でも、現役期最後の10年ぐらいは実 は収入はあるけれども、2号にはなってないというケースがよくある。それから、今2 人で25万づつ計50万で一生働いているように見える今現在の世帯に関しても、振り返っ てみると、日本の現状を考えると、子どもがいる世帯というのはかなりの中断期間を一 方がもっている場合が多い。そうすると今現在の保険料は同じであっても、この2つの 世帯で実は給付部分は違っているでしょうし、それから現実の収入に対する負担感も違 うのではないだろうか。そして50万で片働きで、もう片方が時間の余力がある世帯は、 もう一人が働くことは可能だろうと思うのですね。もちろん思うような働く機会がない ということは十分あり得ますけれども、働けない人と想定するのではなくて、実際問題 として働こうかどうしようかと考えた上で働かない選択をしているのではないかと思い ます。  最初に吉武審議官が、10万円のパートの人も厚生年金に入れ、更にこれから先、パー トに出る人も増えてくるとすれば共働きパート世帯の人たちが過剰給付になるといった ような、そういうお話の仕方をなさったと思います。しかし、それは現行制度の上に立 って、パートも今の現行の2号と現行の基礎年金と現行の報酬比例部分という、現行の 制度のままで、1点変えるとどうなるかという話だと思うのです。しかし、現実社会に おいて働く人々が増えていっています。ただし、それは非正規社員がかなり大きい。そ の人たちを除外、あるいは入れると、現行制度ではこういった負担になってしまうとい うふうに話すのは、現行制度に引きずられすぎているのではないか。もう少し働き方、 暮らし方が大きく変わってきているということを考えて、全体の再構成、非正規をどう 入れていくかという再構成も含めて考えた上で、社会保障を考えた方がいいのではない かというのが私自身の意見です。 ○吉武審議官  私が申し上げたのはそういうことでして、むしろ現行は例えば上限の62万も、どちら かといいますと、共働きでないという状態で設計はしてあるわけです。ですから共働き で62万ということを、例えば老後の年金給付として、現役のときにいかにばりばり働い ておられても、社会保障の年金として、もともと片働きを主に念頭に置いていた年金給 付を、共働きの方が老後62万に対応した現金給付を1つの世帯で2人分もらわれるとい うことは社会保障としてずっと続けるべきかどうかということも議論しなければならな いだろうし、逆に申し上げましたのは、10万円の方に対して10万円に近い年金が出ると いうのは、これはつまりそれで生活をされるということを前提に考えているわけですか ら、ですから所得というか給与に対する代替率を非常に高くしてあるわけです。  だけど、これは全然別で、片一方で平均標準報酬が50万円のご主人がおられて、その 方の年金給付と一緒に10万円に対する年金給付を受けられて生活されるということにつ いて、今までの考え方どおりで済むかどうかということをもう一度見なければならない 。ですから、その先どうなるかというのは非常に難しいと思うのですけれども、そうい うことも考えて給付設計なり、これからのテーマになってきますけれども、例えばモデ ル年金なり標準的な年金をどう考えるかをやっておかないと、結局賦課方式でやります ので、後代で負担の意味といいますか、そのことが後代の方は非常に理解しにくいこと になってくるのです。社会保障の年金はおのずと節度がある年金でないといけないだろ う、そこをどういうふうに考えるかということだろうと思います。  ですから別に現状のまま、そこに入れ込めと申し上げているわけではなくて、そのこ とも含めて幅広く検討する必要があるだろうということを申し上げているわけです。 ○堀委員  今の永瀬さんが述べられた件ですが、人生それぞれいろいろありますから、いろんな ライフコースがある。しかし、これは基本的にはこういうモデルではどうなるかという だけの話です。  そういうことを言うなら、例えば女性がみんな最初は共働きで、あと第3号になると いうライフコースをたどるなら、第3号被保険者問題を論ずる意味がそもそもなくなる のですね。  それから、住田さんが述べられた件ですが、お互いに誤解が生ずることはやむを得な い面がある。私の言っていることについても住田さんに誤解がある。働いている女性と 働いてない女性を対立させるということを私は全然言っていません。  潜在有業率についてですが、潜在的な就職希望があるということは、働けないという ことの裏返しではないかという感じがします。将来的には第3号廃止、夫婦ともに働け るようになれば、第3号廃止と言っているので、この検討会でそういうことを打ち出す のは全く異論がないです。  共働き世帯に帰属があるということについてですが、帰属所得に着目して税とか保険 料を課すというのはおかしいですね。例えば高齢者が家族によって介護されていれば、 高齢者に帰属所得が生ずるのですね。あるいは子どもが親に扶養されていれば、子ども に帰属所得が生ずる。それに対して税や保険料を課すのはおかしい。  前回行われた主婦の意見について触れられましたが、前回の議論は大変おもしろくて 参考になりました。ただ、 1,200万人の第3号被保険者を代表する意見ではないのです ね。それに、我々は正確な情報を踏まえて発言できるのですが、前回の意見は必ずしも そういう制度の正確な理解な上に立ったものではないということは押さえておく必要が ある。大変貴重な意見ではあったのですけれども。 ○下村委員  さっき住田さんがおっしゃってくださったのでいいのですけれども、私も改めてちょ っと申し上げておきたいということがありまして、女性は家事、育児・介護を担ってい るという現状はありますけれども、仕事をしたいという人の方が圧倒的に多いのですね 。私は社会教育の現場におりまして専業主婦いろいろな方々とお会いして学習機会を設 けてきているわけですけれども、働けないのでなくて、働くことを是としない生き方を 、社会規範として身につけてきているからこそ働いてないということであって、働くこ とは男、女問わず権利であるという意識を基本に持っていただかないと、女性が家事、 育児に向いているという女性の特性論に偏って、女性がいつまでも専業主婦という場に 押し込められているような状況をつくり出しているのは、これからの時代には合わない ということを、私の口で再確認したいということで発言しました。 ○袖井座長  多分堀さんはそう思っていらっしゃらないと思いますので。 ○堀岡委員  ちょっと企業にいる立場で女性の働き方、大企業はジェンダリープランだとか、女性 かがやきだとか、どんどん働いてくださいと。男女雇用もみんなオープンです、オープ ンです。ただ、若い人たちの考えを現実、私がそう思っているのでなくて、ぜひ残って ほしいという方も、いや、家庭に入ってしたいということでやめられる方もいるし、生 まれてすぐ共働きするというような価値観は随分多様であって、みんなが全部働きたい というイメージは実感としてはないというのだけは、企業として、実際我々もっとどん どん働いてくださいと言っても、やっぱり家庭に入りたいという方も結構いらっしゃる というのは事実です。 ○中田委員  女性の働き方の話ではないのですが、IV案の関係で気になることを2点ほど申し上げ たいと思います。1つは事業主負担のことですが、IV案のように、3号に焦点を当てて 保険料を課そうとした場合に事業主負担が入るかどうかということにかなり疑問があり ます。今まで本人の負担と事業主負担と国庫負担ということでやってきているわけです が、そのうち事業主負担が落ちる可能性があるのではないかと思います。事業主が、そ んなことありませんというのであれば、これは問題ないのかもしれませんが、ちょっと 気になる点でございます。  もう一点、IV案ではまず2号だけで保険料を決めて、その後、3号の分を片働きの人 に後からのせるという案なのですが、これをされると片働きの人からすれば、2号の人 の低所得者の面倒も見て、なおかつ自分の3号の面倒も見るということで、そういうの であれば、片働き世帯だけグルーピングして保険料を課してほしいとか、そういう意見 が出る可能性があると思うのです。そうしますと、子どものいる、いない人だけでして ほしいとか、グルーピングの仕方がなかなかうまくいかなくなって、決める基準がなく なってきまして、社会連帯ということにならずに、勝手にみんな得になるようにグルー ピングしたらいいではないのというような話にもなりかねないというようなことがある のではないかと思います。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。堀岡さん、何かありますか。 ○堀岡委員  いいえ。 ○袖井座長  よろしいですか。では高島さん。 ○高島委員  私、一番最初に宮武さんがおっしゃられた3ページのこの図のことですけど、「○」 の2つ目に書いてあることのこの図、3号と2号、基礎年金の拠出金負担と書いてある 。その次の図に拠出金負担をしているのは、3号の人の分を2号の人が負担しています よという図を書いて、しかし、その金額の持ち分の実態はこうですよというふうに3つ に分けて書かないとわかりにくいと思うんですね。この図の書き方だと、(b)がある 、(a)があるという話になってしまいますから、制度の話と実際の保険料負担の実態 の話とは別だという整理をしてもらいたいと思います。 ○袖井座長  それはどなたに。 ○高島委員  事務局に。 ○袖井座長  事務局に。先ほど口頭で説明ありましたよね。 ○高島委員  だけどこれが出てきたときに、まず制度の話はきちんとしましょうよと。その次に中 身の実情はどうですかという話をとりあえずしておかないと。 ○袖井座長  金額とか説明ありましたけど、書いてなかったので。 ○榮畑課長  今の高島さんのお話ですが、2つ図書いているのですが、3つ目というのはどういう イメージでございますか。 ○高島委員  3号分というのは2号分の人が頭割りして払っていますということがわかるような図 にしてほしい。基礎年金と拠出金負担と書いてある説明がどうもわかりにくいです。 ○榮畑課長  先ほどのこちらのご説明、若干舌足らずだったのかもしれませんけれど、上の長四角 と下の三角というのは実はイコールなのですね。 ○高島委員  ですから、私は2つ目のところに文章書いてあって、下のところに囲みになっている じゃないですか。「○」の「したがって」というところ。そうすると答えがこれになっ てしまっているから、これではおかしいと思います。 ○榮畑課長  すいません、頭が悪くてわかりが悪いのですが、今の制度の仕組みを実はご紹介させ ていただいたので、具体的な数字がないということになったら、また数字。 ○高島委員  数字の話をしているのではなくて、3号分の保険料は2号が頭割りして払っています という図式に変えてほしい。だけど費用の中身を、負担している保険料の金額から言う と、こういう実態になっていますよという実態の話と制度の話が分けてすぐ理解できる ようにしておいていただかないと、下の囲みの中で「したがって」ということで全く問 題ありませんという結論に終わってしまっているので納得できない。 ○堀委員  2つの種類の負担がある。1つは現実に給料から出す負担で下の方の図ですね。2つ は基礎年金の会計に拠出する段階の負担があります。それが図にないではないですかと いうことでしょう。 ○榮畑課長  わかりました。 ○駒村委員  こういうふうにやればわかるかと。下に向いている三角形に、もう一個補助線を入れ て、その部分が 4.3%の角度をつけると、その部分が(a)に行く部分に三角形をもう 一個分けることはできますよね。頭割りでなくて応能負担で17.35 %、この傾きは 17.3 5%の傾きですから。 ○榮畑課長  4.7%なんです。拠出金だけですから、これは。 ○駒村委員  4.7 %の部分の面積が(a)にしていると書けばわかりやすいかもしれない。 ○榮畑課長  ちょっと工夫させてください。 ○駒村委員  きょう気になったのは、私も堀先生おっしゃるように、まず応能負担を貫徹していな い部分があるので、パートタイマーに応能負担の範囲を広げていくというのはまずは必 要だと思うのですね。ただし、きょうその議論はしないと言っていて、3号の話だけで 終わってしまう。一緒にやらないとわからなくなってしまうというか、危ないところも ある。というのは、3号は今のままで残しておく。別にパートタイマーの枠を広げて、 例えば60万までにします。0から60万というのは3号は残すようになる。そうすると0 から60万のところにいる3号の方というのは、実はとってもリッチな方が、ピュアな3 号で残る可能性もあるわけですね。だから両方一遍に議論をしていかないと、議論の展 開としては、きょうで3号終わりではないと思いますので、もう一回、パート話してく ださって、もう一回フィードバックすると思いますけれども、そこのところはお願いい たします。 ○袖井座長  佐藤委員、何かありますか。 ○佐藤委員  私は男女共同参画の専門家でも社会保障の専門家でもありませんので、非常に勉強し ながらいつも聞いておりまして、12回も集まった意味というのがようやくあるのだなと いうことを今日、実感をしてきました。それは1つの方向に収斂してきたということで あって、恐らくみんな働く社会になれば、本当は現行制度でもオーケイで、これは当た り前のことですけど、よくわかります。そして、恐らく両端に見える住田委員と堀委員 のお話を伺っていても、3号というのが実態としてなくなっていくはずで、そして、な くなったときに制度的にも当然なくすべきなのだという点では、恐らくお2人とも一致 していらっしゃるということもよくわかりました。  そこで、私がいつも申し上げているように、「今」何をするかということですけれど も、住田委員は、先ほど非常におもしろいことをおっしゃって、「アナウンスメント効 果」とおっしゃいましたね。この検討会でどういう方向を打ち出すかということが将来 に対して大きな意味を持つとおっしゃって、それも非常によくわかります。それは恐ら くやるべきであると思います。  I案とIV案について、住田委員がIV案に賛成するとおっしゃったので、この問題は大 枠は決まりつつあるのかなと思っていまして、I案の整理の仕方にはちょっと疑問もあ ったのですが、それは、後に一言だけ申し上げます。そうすると、仮にIV案のような発 想をとったときに、「アナウンスメント効果」ということとどう折り合わせるのかとい うことを考えておく必要があると思います。つまり、今、例えば50才の主婦というのは いろんな状況があって働けなかったという主婦がいて、仮にですけれども、2003年から はこのIV案でやりますよということになると、働けなかった彼女等に対して、いわはそ の夫がパニッシュメントされる形になり得るわけですよね。そうするとインフォメーシ ョンの期間を置くということで済むのか、それとも何歳以上の3号というのは何年間か 、10年、15年というふうに残り続けるのか。そういうことを両方見ておかないと、IV案 の制度を組むときに意図しない効果が出てくるのではないかということを1点だけ申し 上げたいと思います。  それともう一点ですが、今のこととの関係で申し上げますと、I案の整理が、私も全 部の回に出席したわけではないので間違っているかもしれませんが、7ページに出てい るI案の考え方と、8ページで図示されているI案の考え方が本当に一緒なのかどうか、 やや疑問があるのですね。というのは、この1案というのは、そもそもは3号を上の図 のように、A1、B1のように書き換えるという図として考えてきたのですが、C1、 D1が出てくると、これは完全2分2乗ですよね。これは2号についてもこういう発想 をとるということであって、C1、D1まで含めるのか、それともA1、B1で止める のかという点があって、なぜIV案との絡みがあるかというと、これをもしもA1、B1 のみだけにするとすると、3号の被保険者をどうするかというある種の選択的な2分2 乗のような形になりますから、ある種の3号が残った上で、その拠出、受益を考えると いう意味では、A1、B1方式のI案とIV案というのはまだ技術的には選択可能性が残 るのですね。  その意味で、I案というのがこの図でいいのかどうかということに関し、あえてI案に ついて一言だけコメントさせていただきます。 ○吉武審議官  実はここでは老齢基礎を念頭に置いてやっておられるのですが、いずれテーマ出てく るわけですけれども、遺族年金の非常に重たい問題があるわけです。この要するに費用 負担方式はとりあえずここは老齢を考えておる案です。実際の年金給付で申し上げます と、特に女性の年金にとっては遺族年金というのは非常にウエイトが高くて大事なもの で、基本的には母子状態の遺族を除けば、遺族年金というのは現実的には老齢給付の役 割を果たしている。ですから私どもは長期遺族と言っておりますが、長期遺族というの は基本的には老齢だというふうな機能を持っていますので、そこを考えたときに、実は 遺族は、またいずれその点まで詳しく説明しますが、実は両方にヘッジをしている。3 号の方にも厚生遺族は出るし、実は2号の方でも選択でご主人の遺族が高ければ、それ を選択するという二重ヘッジになっているわけで、もっと錯綜した問題になってくる。  そのことも含めてご議論をしていただいて、この負担方式を何をとれるかということ をもう一度検討していただかないと、これだけではまだ終わらないということをきょう 申し上げておく必要があると思います。 ○袖井座長  住田さんどうぞ。 ○住田委員  きょうあえてI案のお話をしなかったのですが、今遺族年金のときにこのI案は非常に 意味があるとおっしゃったのですが、実は離婚のときについても大きい意義があります 。ですから婚姻関係が終了した段階で、妻の権利が顕在化してくると大いに意味が出て くると思っております。そういう意味では離婚のときの女性の年金権について、特にパ ートで低い女性の年金の場合にはこの案は非常に魅力的だというような気がしておりま す。 ○袖井座長  そろそろ時間ですけれども、はい、どうぞ。 ○度山補佐  できるだけわかりやすい資料ということで心がけましたが、まだまだ工夫の余地があ るということで、配慮してまいりたいと思います。1点だけ、3ページの資料で、(a )と(b)について対立するようなとらえ方というようなお話がございましたので、こ こだけ1点釈明をいたしますと、3号の分の費用負担を2号全体で持っておるという説 明を私どもがいつもするものですから、(a)の所得移転というものが強く意識されて いると。ただ、その裏側には(b)という所得移転も行われているというように説明が できますので、その所得移転を同質のものと見るのか異質のものと見るのか、この2つ の関係を特に基礎年金についての応益負担という考え方を入れていったときにどう整理 されるのかという問題点を議論する必要があるという意味で申し上げたので、そこは中 立的な意味で、この資料は作っておるということだけ1点確認をさせていただきたいと 思います。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。まだ議論は尽きませんけれども、これから遺族年金 、離婚の際の年金などについてももうちょっと議論しないといけないかなと思います。 なかなか合意に達するというのは難しいのですけれども、多分長いスパンで考えると、 最終的な着地点というのはかなり皆さん同じではないかと思うのですね。あとは中間点 をどう考えるか、あるいはどの辺をターゲットにするかということですね。  前回の専業主婦のヒアリングのときに均等法あたりという声が出てまして、その辺以 前の世代と以後ぐらいで変わるのかなと私は個人的には思っているのですが、どのくら いのターゲットで考えるかということもきちんと詰めていかないといけないのではない かと思います。  それで、時間来てしまいましたが、多分第3号についてはもう少し議論しないといけ ないかなという感じもしております。次回の検討会の予定について、事務局から説明を お願いいたします。 ○中原企画官  次回は今月10月30日(火曜日)の午前10時から、場所はこちら、今回と同じ省議室で ございます。ご案内申し上げますのでよろしくお願いいたします。次回の検討会では引 き続き「女性と年金をめぐる諸論点についての討議」ということで3つ、「どのような 世帯をモデルとして年金の給付設計を行うか」、「短時間労働者に対する厚生年金の適 用の在り方」、「育児期間等の取扱い」について、ご議論をお願いしたいと考えており ますので、よろしくお願いいたします。  なお、「第3号被保険者制度」につきましても、次回に今回ご指摘のあった資料の準 備をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。 本日はどうもありがとうございました。                                      以上                      (照会先)                         厚生労働省年金局年金課                           課長補佐     度山                           企画法令第3係長 三浦      電話03-5253-1111(内3338)         03-3591-1013(夜間)