01/09/11 第3回医療安全対策検討会議議事録    第3回医療安全対策検討会議議事録 日 時 平成13年9月11日(火)     10:00〜 場 所 厚生労働省専用第21会議室 ○森座長  ただいまから第3回医療安全対策検討会議を開催いたします。委員の皆様にはお忙し い中、ご出席いただきましてありがとうございます。本日は、飯塚委員、望月委員、矢 崎委員の3名の方から欠席の連絡を頂いております。また、こういう天候のために、全 田委員と長谷川委員のお二方はこちらに向かっておられるものの、若干遅れるという連 絡をいただいております。  今回は第3回ですが、初めてご出席の委員の方が2名いらっしゃいますので、ご紹介 します。東京大学法学部教授の岩村正彦委員、もうお一方は日本看護協会専務理事であ られる岡谷恵子委員です。また、今回、新たに委員としてお1人に委嘱が行われたそう ですので、ご紹介します。全日本病院協会常任理事であられる中村定敏委員です。どう ぞよろしくお願いいたします。  さらに、本日は、議事の1つである部会報告を頂戴するために、ヒューマンエラー部 会の橋本廸生委員にもご出席いただいておりますので、併せてご紹介します。  事務局でもメンバーの交代が行われたようですから、事務局からご説明いただけます か。 ○大谷課長  事務局は8月の人事異動に伴い、前任の伊藤局長から新たに医政局長が篠崎局長に代 わっております。一言ご挨拶をお願いします。 ○篠崎医政局長  8月31日付で前任の伊藤局長のあとを受け医政局長になりました篠崎です。本日 は、大変お足元の悪い中をご参集いただき、大変ありがとうございます。  9月3日に開催されたヒューマンエラー部会から最終的に今日審議をいただく標語も 議題に挙がっておりますので、どうかよろしくお願いいたします。 ○大谷課長  続いて7月の人事異動に伴い、前任の青木医療安全推進室長が三重県の健康福祉部長 に転出し、新たに新木が就任しています。 ○森座長  議事に先立っての事務的な連絡は、こんなことでよろしいでしょうか。それでは議事 に入ることにして、本日の配布資料の確認をしていただけますか。 ○新木室長  本日の配布資料ですが、お手元に配付している資料は、綴じてあるものと、追加資料 4−1、4−2です。  メインとなる資料は、議事次第の次に、資料の1、資料1−2、これが議題1に関連 する標語に関連するものです。資料2は、医薬品・医療用具等部会の報告です。資料3 が今日ご発表いただく川村治子先生の資料、資料4が堺秀人先生の資料です。なお、先 ほど座長からお話のあった委員の名簿は、参考資料1として入っております。また、参 考資料2は第2回の議事録で、後程ホームページにて掲載する予定です。  参考資料3、4については、今日、時間の関係上詳しく説明する時間がないと思いま すので、ここで簡単に説明させて頂きます。参考資料3が医療安全推進週間についての 資料です。本年3月、厚生労働大臣より本年を患者安全推進年とするとともに、秋に一 週間の強化週間を設けようという提唱をしたところですが、これを受け設定したもので す。なお、内容については、後ほどご覧いただければと思います。参考資料4は、医療 安全に関係する予算要求の概要です。これについても、後ほどお時間のあるときにご覧 いただければと思います。  資料4の追加1、資料4の追加2については、後ほどご発表いただく堺先生からの資 料の追加です。 ○森座長  どうもありがとうございました。参考資料3に「医療安全推進週間について」とあり ますが、今後の検討会議の会合とも関係がありますので、その点をお含みおきいただき たいと思います。 ○新木室長  医療安全推進週間について、簡単に補足します。この週間について、いま森座長から お話のあった件は、参考資料3(1)(2)、医療安全対策会議の大阪での開催というとこ ろです。これについては10月に1回ないし2回この会議をいま調整していますが、開 催したあと11月30日に開催する予定で、委員の先生方の日程を調整しているところ です。 ○森座長  この辺りで議事の中身に入ってよろしいでしょうか。議事の第1は、「安全な医療を 提供するための10の要点(案)」です。これはご承知のように、私たちの検討会議の中 に置かれているヒューマンエラー部会からのご報告です。本来であればそちらの部会長 を務めておられる矢崎委員に報告を願うのが、いちばんふさわしいと思っておりました が、この悪天候でご出席が不可能ですので、代わって事務局並びに先ほど紹介いたしま した標語検討会の座長であられる橋本先生にお願いします。また、ここにおられる三宅 委員をはじめ何人かの方々は、ヒューマンエラー部会にも関係しておられるので追加的 にご発言いただければ、いちばんありがたいと思います。 ○大谷課長  矢崎部会長に代わり事務局から説明を申し上げます。ヒューマンエラー部会では、医 療機関における人的または組織的要因に係る安全管理に関する事項について、検討をい ただいているところですが、その中で医療機関の職員の意識向上等を図ることを目的と して、いわゆる標語を作成するということとされております。去る9月3日の会議で、 この部会に置かれている「患者安全のための標語検討会」から具体的な案が提示され、 ご議論をいただきました。この10の要点というものは医療安全対策のあり方も念頭に置 かれて整理されたものです。そのため、今後の医療安全対策の方向性を示唆するもので もある。また、先ほど説明した医療安全週間にも深く関係しており、総会において意見 をお伺いし、それを踏まえて部会としての最終決定とすると部会で結論づけられたとこ ろです。  なお、その内容については、患者安全のための標語検討会の座長を務めていただいた ヒューマンエラー部会の橋本委員よりご説明いただきたいと思いますが、よろしいでし ょうか。では、橋本先生、よろしくお願いします。 ○橋本委員  資料1−1と1−2が関連する資料です。資料1−1に基づいて御説明します。今お 話があったようにヒューマンエラー部会の下に検討会が置かれ、私がお世話をしまし た。  10数名の現場で頑張っている人たちにお集まりいただき、その標語というものの案を 出していたわけです。  その前に検討方法として1頁に書いておりますが、すでに医療機関がお持ちである既 存の標語というものがあるだろう、ということで調査をしました。詳しくは後で見てい ただければと思いますが、82の医療機関から800の標語が集まりました。かなり急いだ調 査だったので全部を網羅できたかどうかはわかりませんが、それなりの医療機関から集 まったと考えております。他業界でいくつかこういう安全に関する標語というようなも のをお作りになっていることは、すでに紹介されておりますが、そのこととほかの国で 医療についての標語があるということで、それも集めました。それも後ろに参考資料と して掲載しております。  今日、報告申し上げるのは、その10としてまとめたものですので、この1−1の5頁 をお開きいただけますでしょうか。「10の要点(案)」と書いております。  6頁に策定の考え方を述べております。「策定の趣旨」ですが、医療機関において医 療安全に関する職員の意識を啓発するとともに、医療安全を推進する組織体制をも構築 していくことが求められる。そこで基本的な考えを標語の形式でまとめたということで す。ただ、これは我々が案として出しているものでして、それを個々の病院にこれを使 ってくれということではなく、むしろこの標語が、それぞれの医療機関がその特性に応 じて具体的な標語を作成する際の考え方、あるいはポイントの骨格になっていただけれ ばと考えております。大事なのは、それぞれの医療機関が自分のものを作る、そのプロ セスが大事だと思いますので、そのことの手助けになるということです。  次の7頁。「方針」としては、まず医療機関で働く全ての職員を対象としたというこ とです。2番目に、業務を遂行するにあたって安全を確保するために、基本となる理念 をわかりやすく、覚えやすい簡潔な表現としたということです。3番目は、先ほどから 申し上げているようなそれぞれの医療機関が作るための基になるものです。そして標語 等を用意しましたが、それぞれ「解説」「活用方法」を記載しました。「解説」ではそ の標語の趣旨とかねらいを記述し、「具体的な取組みに向けて」ということでは、それ ぞれの医療機関での取組みの方法を例示という形でお示ししました。  「策定方法」としては、次の9頁をご覧いただきながら見ていただきたいと思いま す。ある程度構造を考えながら作りました。いくつかプロセスはあるのですが、結局6 つの分野だということになりました。9頁のAの「理念」、Bの「患者との関係」、C の「組織的取組」、Dの「職員間の関係」、Eの「職員個人」、それから大事なのはF として「人と環境・モノとの関係」というこの6つの領域を考えました。  これらの6つの分野において特に重要なものとして、我々は作業上キーワードという 言い方をしておりましたが、キーワードとして1「安全文化」、2「対話と患者参 加」、3「問題解決型アプローチ」、4「規則と手順」、5「職員間のコミュニケーシ ョン」、6「危険の予測と合理的な確認」、7「自己の健康管理」、8「技術の活用と 工夫」、9「与薬」、10「環境整備」といった10の項目を挙げました。この10項目が10 のポイントとなって、これをいかに表現するかが次の課題になりました。それが10頁に 載っております。「10の要点」、10頁に10個が一覧できるような形で載せております。 それ以下、11頁以降に、先ほどから申し上げている解説等がお示ししてあります。  10の標語は、(1)「根づかせよう安全文化 みんなの努力と活かすシステム」、(2) 「安全高める患者の参加 対話が深める互いの理解」、(3)「共有しよう 私の経験  活用しよう あなたの教訓」、(4)「規則と手順 決めて 守って 見直して」、(5) 「部門の壁を乗り越えて 意見かわせる職場をつくろう」、(6)「先の危険を考えて  要点をおさえて しっかり確認」、(7)「自分自身の健康管理 医療人の第一歩」、(8) 「事故予防 技術と工夫も取り入れて」、(9)「患者と薬を再確認 用法・用量 気を つけて」、(10)「整えよう療養環境 つくりあげよう作業環境」、以上です。  最後に、22頁、「活用方法」についても提示しております。今回、策定された標語 は、すべての医療機関に共通する基本的な考え方として作成したものである。この標語 の作成にあたって独自に標語を作成していた医療機関に、標語作成のきっかけ、作成方 法、普及方法、標語作成による効果等についてアンケート調査を同時に行いました。以 下にアンケート調査から示唆された「作成の意義」「作成方法」「周知の工夫」につい て取りまとめたものです。  「意義」については、職員の医療安全に関する意識の向上、ミスを犯しやすい場面で の注意喚起というのが図られる。さらに、それぞれの医療機関が独自の標語作りに取り 組むことにより、職員の安全への意識や相互のコミュニケーションが深まり、医療安全 のより一層の推進が期待される。なお、作成された標語は、新人研修などの際に教材と して用いるなど、すべての職員が常に意識できるものにすることが重要であるというこ とです。  次の23頁です。「作成方法」については、医療機関の全体に共通する「医療安全に関 する基本理念、原則」に関するものと、それぞれの部門の業務内容に応じた具体的な実 施手順やチェックポイントに関するものがあるということです。共通のものとしては、 リーダーシップの下に各部門の職員が話し合って作成することにより、共通理解が進む ということです。そして、何よりも大事な職員相互のコミュニケーションが図られると いうことになると思います。なお、医療機関全体の標語は、施設の基本理念というのが 最近、病院でできつつあると思いますが、その安全の考え方をその中に組み込むことが 非常に重要であるということです。  具体的な実施手順やチェックポイントに関する標語は、各部門で作成することになる と思います。部門内の職員が話し合って作成していくことが望まれます。より専門的で 内容のある話合いができて、業務改善に結びつくという効果もあると思います。  「周知の工夫」はなかなか難しいのですが、24頁辺りに少し参考として載せておりま す。ポスターとか、パンフレット・冊子、少し規模の大きい所になるかもしれません が、ニュースレター、院内報、研修のテキストなど。研修のテキストについては、しっ かり載せていくことが、かなり大事だと思います。それからカレンダーで活用すると か、パソコンのスクリーンセーバーで注意を喚起する、そういう活用方法が考えられる と思います。  以上が私たちの検討会、そしてヒューマンエラー部会で報告したものの内容です。 ○森座長  どうもありがとうございました。ご質問をいただく前に、先ほどもちょっと申し上げ ましたが、ただいま標語に関する検討会の委員長である橋本委員からご報告いただいた わけですが、ヒューマンエラー委員会の委員も兼ねておられる三宅委員からは、いまの ご報告に何か付け加えられることはございませんか。 ○三宅委員  付け加えることは特にありませんが、この標語というのは本当にたくさんの標語を集 めて、その中から検討会のメンバーがいろいろ苦労して作っていただいております。ま た、あまり具体的になり過ぎても困るし、少し離れた所から注意を喚起するような観点 から作ってくださっており、私は非常によくできていると考えております。 ○森座長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明で、10頁に「10の要点」というこ とで総括的にお書きいただいておりますが、そのうちの(1)として「安全文化」という言 葉が出てまいりまして、これがほかの9つに比べればやや上位にあるといいますか、場 合によっては全体をカバーするようなものであろうかと思います。実は「安全文化」と いう言葉には私にも若干の責任があるので、一言申し上げておきますが、私は新しい言 葉を作るとか造語ということにはあまり賛成しない立場でして、特に奇を衒うような新 しい言葉を作って人の目を引くということは、むしろよくないことだと感じておりま す。  この「安全文化」という言葉は次の11頁の「解説」にもちょっと書かれているよう に、少なくとも私が知っている限りでは、国際原子力機関で、これは国際的な機関で正 式に定義され、正式に使われている言葉でして、「セーフティカルチャー」とか、ある いは「セーフティクライメイト(安全風土)」という言葉も使われていると思います。 安全ということに関しては、私は、医療の問題とか、原子力の問題とか、航空の問題と か、その他の所で、それぞれの特色はあろうものの基本的な精神は共通のものがあって いいのではないかということで、あえてほかの領域ですでに使われている言葉をここに 借用して、将来の日本社会の安全ということを全部カバーしていってもいいのではない かと個人的に考えて、事務局にご紹介したということです。  ですから、決してこの「安全文化」という言葉は奇を衒う言葉、あるいは新しい造語 ではなく、国際的に、少なくとも一部の領域ではきちっとした言葉として使われてい る。だから、そういう思想を医療の面にも及ぼしていいのではないかということです。 ○森座長  基本的には、ここでいただいた意見をもう1回部会にお持ち帰りいただいて、最終的 に部会でご決定いただくという考え方でよろしいですね。それでは、いろいろなご質 問、ご意見を頂戴できれば、部会の方々も参考にしてくださると思います。 ○小泉委員  私は医療安全では、医療機関、またその機関の医療に携る人たちの自主性が非常に重 要であり、それなくしては安全の効果は上がらないと確信を持っているので、標語とい うものが非常に苦心され、ご苦労の上でまとめられ、「10の要点」という言葉ですが標 語として出来上がったということ自体は、そのご尽力には敬意を表しますけれども、何 か上意下達的な色合いを強く感じ、どんなものかなと思います。ただ、ここにそれぞれ の機関でこれを参考にして作られるようにという趣旨が書かれているので、その趣旨を 是非活かし、医療機関、医療人の自主性、主体性というものを尊重した形でこれを進め ていただきたい。決して、こういう検討会議なり、役所でまとめたものを守れという 形、そういう色合いにならないようにしていただきたい、ということが1つです。  もう1点は、せっかく作られたのですから、これに対して是非フォローアップをして いただきたいということです。つまり、この標語に対する医療機関、あるいは医療に携 る人たちの反応といいましょうか、いい意味でも悪い意味でもそれに対する反応を是非 知りたい。そして、これに対して大変いい標語だ、自分たちもこれを参考にして大いに 医療安全に努めたというような具体的な事例を是非伺いたいと思いますので、担当部局 のほうでよろしくお願いします。 ○森座長  現状は先生のご趣旨と全く同じですね。先ほどのご説明を伺っても、1つひとつの言 葉を押しつけるのではなくて、精神を養成するということです。ありがとうございまし た。 ○辻本委員  患者の立場として、実は少し事前に拝見する機会をいただきました。患者の立場とし ては、何をいまさらというか、こんなことでは今までできてなかったのと驚くような内 容も正直感じております。しかし、スタートラインにもう一度立って、そして心してい くということのための標語ということで、なるほど、原点に立って、そしてスタートラ インにもう一度というところの意気込みということを評価して受けとめました。ただ、 この標語がなくてはいけないぐらいの現実が医療現場にあるということ、そのことが一 方で受けとめる患者の側には不安に感じさせられてしまうことになるかもしれないこと もお含みおきをいただいて、なぜこういうことがいま改めて必要なのか、ということを 多くの国民の人たちが誤解しないような、そうしたフォローをしていただきたいと思い ます。 ○山崎委員  まず、これだけの標語をお作りになったご努力というのは、これを拝見しても裏に非 常に大きなご努力があるということで、敬意を表します。前半部分は、いまお二方の委 員がおっしゃったことと同じです。医療の現場に抽象的な言葉が貼ってあっても、医療 関係者も患者もただそれを通り過ぎていくだけでは何もならない。これはテキストとし て、ここから各職場で非常に具体的な安全につながること、ここを気をつけようという ような具体的な標語を是非作って、それを各職場で肝に銘じていただくと、これは橋本 先生がおっしゃったお言葉で納得しております。  標語の中では安全というものを最優先しようというフィロソフィーが、これは「理 念」の所にありますが、全体を通じているわけです。「根づかせよう 安全文化」と、 この一言が大事なのであって、あとの9項目はそれぞれのお立場からの標語だと思うの です。ですから、形としてこれをどういうふうに具体化するかということについて考え てみると、この10項目をポスターのようにして貼るというのではなくて、先ほど橋本委 員長からお話のあった研修テキストとしてお使いいただくとか、各職場での具体的な標 語をお作りいただく参考にしていただくという形のほうがよろしくので、これが医療機 関のあちこちに貼られるという形はどうかなということを感じたので、申し上げまし た。 ○森座長  おっしゃるとおりです。いまおっしゃったことは、ある意味で小泉委員がおっしゃっ た「フォローアップ」にも通じていますね。 ○山崎委員  はい、お二方の意見と同じようなことだと思います。 ○梅田委員  大変ご苦労されたと思います。少なくとも82の医療機関にこれに協力をしていただい たこと、800の標語が集められたこと、私はこの委員会はだったと思います。特に研修と いうのは非常に大切でして、いまも山崎委員がお話になりましたが、9頁にある医療安 全のチャート、これは素晴らしいものだと思います。これを是非研修のときに医療機関 の職員全員に示していただきたい。私は、こういうことが安全のいちばんのポイントに なるのではないかと思います。いま委員がおっしゃったように、標語も各医療機関でい くつもベタベタ貼るのではなくて、1つのポイントをつかんでポッと貼る、ということ ぐらいならよろしいのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○岡谷委員  私もこれだけたくさんの言葉の中から10項目の標語が選ばれたことについて、その作 業のご努力というのはとても大変だったなと思っております。ただ、先ほど辻本委員も おっしゃいましたが、患者の立場で見たときに本当に「えっ」と思う、こんな基本的な こともというような標語でもあるのかなと思っています。ちょっと先のことになるかも しれませんが、私は標語というのは意識を喚起していくためには非常にいいと思うので すが、実際にそれだけでは、本当に事故が防止できるということにはなかなかつながら ないということもあります。例えば「事故予防 技術と工夫も取り入れて」という所に 機器や器具などの購入のことが書いてあるのですが、安全面とかそういうものの優れた ものを取り入れましょうということは当たり前なのですが、実際の現場では、コストが 高いとかいろいろなことでなかなかそういう改善がされないために、同じような事故が 起こってしまうということもあるのではないかと思うのです。  ですから、そのフォローアップのことも含めて、この標語の内容が具体的にきちんと どう実行されているのか、それをやらないで事故が起こったときには、それなりにその ことに対してきちんと何か罰則が起こるとか、そのようなことも一方で必要になるので はないかと思うので、是非この標語をどういうふうにやっていくのか、というところを 考えていけたらと思います。 ○児玉委員  大変立派な標語を作っていただいて、方向性として医療安全の目指すべき方向が示さ れているのではないかと思います。いかに標語の中身を作っていくか、それぞれ医療機 関は大きさも違う、やっている医療の質も違う、内容も違う状況の中で、どうそれぞれ の医療現場で具体化していくかということを考えると、やはり2つ目の標語に参加をし ていただいて、中身を作っていただくことが必要なのではないかと思います。標語を周 知徹底したよということではなくて、この標語をそれぞれの現場で実践していくために 何が必要かというのは、やはりそれぞれの現場で考えていただかなくてはいけない。  そういう観点からすると、第1の参加というのは、医療従事者にこの標語に参加して いただいて、それぞれの医療現場での実現のために何が必要かということを討論してい ただく。一般の企業の中で言えば、例えばQCサークルのテーマとして1つひとつの標 語を検討していただく、というような工夫もあっていいのではないかということを感じ たので、周知徹底というよりは、むしろこれに参加をしていただくため、例えばQC サークルのような取組みという提案が付随的に行われてもいいのではないか、というこ とを思いました。  2つ目なのですが、この標語の中自体にも「患者の参加」という言葉があります。患 者の参加というのは、医療サービスの消費者である患者がいかにその医療の安全の状況 をとらえておられるか。いま患者サイドから見れば、いまさらこういうことがあるのか という驚きもあるというようなご意見もあったわけですので、まさに医療現場の患者に 対するアカウンタビリティということを考えると、この標語をめぐって医療現場に何を 求めるか、という患者との対話のきっかけにしていただくような、例えばのアンケート とか、何らかの形での対話や患者のニーズのリサーチのきっかけにしていただくよう な、そういう使い方もあっていいのではないかと、その2点を感じました。 ○中村委員  例えば、この標語を掲載する場合は、各医療機関は出所を明らかにする必要があるの でしょうか。例えば「本会議作成による標語である」等と、あるいは医療機関によって は、その特性に応じて一部変更する所もあるかもしれませんが、自由に使っていいとい う性質のものでしょうか。 ○新木室長  これで著作権云々というようなものでありませんので、ご自由にお使いいただいて、 またご自由に改変していただいて、これをさらにいい言葉があれば置き換えていただい てという、工夫を事務局からも是非お願いしたいところです。 ○森座長  いろいろいいご意見をおっしゃっていただきましたが、共通するお気持ちがあるとす れば、絵に描いた餅では困る、空文化するなと、そういうご示唆であったかと思いま す。 ○井上委員  結局、参加された方にどういう評価をするのか、やり方としては2つあり、やった人 が誉められるのか、やらなかった人が罰せられるのかということもあるのかもしれませ んが、このケースでは積極的に参加していった、医療機関を評価するような前向きな方 向でやっていただきたい、ということです。それと医療機関数でどれだけこの標語を実 行に移していったかという数字の目標設定をやり、例えば日本国内で1万の医療機関が あったとすれば、そのうちどれだけの医療機関でこの標語を活用していくのか、という 目標数字を作るというのも1つの方向かなと。それを実行した医療機関に評価を与えて いくというか、何か達成目標に対してやった所に関して、国民に開示するなり、そうい ったことをやっていくということが必要かなというのがあります。  もう1つは、アカウンタビリティということがありましたが、これは医療提供者側か らの発言というか行動なのですが、アメリカのAHRQなどではペイシェント・ファク ト・シートというのがあり、『20ティップス・トゥー・ヘルプ・プリベント・メディ ケーション・エラー:患者が自分たちでメディケーション・エラーから身を守るための 20の助言』ということがこのアカウンタビリティという意味で提言をされていますし、 アメリカのファーマシューティカル・アソシエーション(全米薬剤師会)では、『ティ ップス・オン・メディカル・セーフティ:薬物エラーから自分の身を守る10の助言』と いうのを患者に向けて提言しています。つまり、これは医療提供者側からの1つのキー ワードの提出であると思われます。できれば辻本委員あたりが中心になられて、国民が 自分たちの力でメディケーション・エラーからちゃんと身を守る20個の助言とか10個の 助言というのが、将来の話になると思いますが、今回の医療機関側からの提言が全国に 浸透した時点で、国民の医療安全への参加が提案できれば、ベストかなという気がしま す。 ○森座長  いま後半に言われたことは、次の問題といたしましょう。ところで、前半の「フォ ローアップないし評価」というのは、この検討会議の仕事であるかどうかは別として大 切ですね。「標語を作るのはいいけれども、フォローアップしなさい、評価しなさい」 というご意見があったということは、事務局として覚えていただいたほうがいいです ね。大体そんなことでよろしいですか。  他方「いまさら何だ、いままでゼロであったのか」といったような反応が社会として ないわけでもないかと思いますが、それに関しては、ゼロであったというのは医師に対 して少々酷でしょう。あえて申しますが、いままでゼロであったということは決してな いと信じております。現に資料としてお集めになった全国の医療機関でも、すでにたく さんの標語が使われています。道路を渡るときに「右を見て左を見て」といったような ことは、90%以上の人は実際にしていることですが、急いでいるときや不注意な場合に はついおろそかになることもあるので、あえて「右を見なさい。左を見なさい」という ことを言い立てて、注意を喚起する。いわば、これに類することであろうと思います。 ○辻本委員  逆に評価は、医療を利用する側の患者たちがするものだと思います。ですから、私ど ももいくつかの医療機関を見せていただくのですが、そのときの指標としては非常にわ かりやすくて、この部分がちゃんとできている病院なら安心してかかれるなということ で、むしろそういう形で患者が活用していただけるといいなと、そういう普及も是非お 願いしたいと思います。  私どももワーキンググループの仲間たちと、「患者がチェックする安全」という10項 目を作り始めておりますので、またよろしくお願いいたします。 ○森座長  それがいちばん大事ですよね。井上委員が、先程悪いものを罰する評価ではなくて良 い所を誉める評価もあって然るべきだ、とおっしゃったこととも相通じるお言葉です ね。橋本さん、いまの皆様方の御意見などをお持ち帰りいただいて、最終的にお決め下 さるようにどうぞお願いいたします。  次に再び資料に戻ろうと思いますが、この検討会議の中に置かれている部会の1つ で、医薬品・医療用具等部会が最近開催されました。それについての報告を簡単にお願 いします。 ○伏見室長  お手元の資料2をお願いいたします。「第1回医薬品・医療用具等対策部会につい て」と題した資料です。いま森座長からご説明がありましたように、医療安全対策検討 会議の設置要綱には、2つの部会を置くと決められており、その1つが医薬品・医療用 具等の物の要因に係る安全管理対策に関する事項を審議する「医薬品・医療用具等対策 部会」です。これの第1回会合がさる8月8日に開催されたので、簡単にご報告をしま す。  資料の2頁、設置要綱があります。設置要綱の2番目にありますが、この部会の検討 事項は「医薬品、医療用具等の物の要因に係る安全管理対策に関する事項とする」とい うことです。  3頁、委員名簿があります。8月8日、第1回会合で、この委員の中から互選により 桜井委員が部会長に選出されております。この他、安全対策会議にもご参画いただいて いる委員としては、望月委員がいらっしゃいます。  1枚目に戻っていただき当日の議事ですが、まず、医療安全対策会議が第1回、第2 回と既に開催されているので、その検討状況など概要について説明しました。  また、「対策部会の今後の進め方について」ということですが、対策部会の今後の進 め方について審議を行い、事務局において委員の意見等を踏まえて、次回までに再整理 して提出することとされたとなっております。  さらに、「個別検討事項」として、これまでいろいろな所から、インシデントなり事 故の事例でここに出ている2つの品目に関し、個別の検討を行ったわけですが、こうい った個別品目の検討に加えて、どのような検討を行うのかというところでいろいろな意 見が委員から出され、それを次回までに事務局で整理するということを考えておりま す。 ○森座長  どうもありがとうございました。桜井委員もこの方面で力を尽くしておられるようで すが、何かご発言をお願いできますか。 ○桜井委員  ただいまご報告があったとおりなのですが、議論の内容を少しご紹介してご参考に供 したいと思います。実はこの対策部会は昨年5月から実質的には発足しており、今回、 本検討会議ができた際、その1つの部会として再発足するという位置づけだと思いま す。  いままで、例えば経鼻栄養チューブと静脈点滴ラインの接続ができないようにサイズ を変えるとか、人工呼吸器の問題とか、いくつか取り上げてまいりました。その上で8 月8日に第1回の対策部会が開かれたのですが、そこでのご意見をいくつかサマリアッ プしてみると、1つは、どういう問題を取り上げるかということについて十分現場の意 見を取り上げてほしい、というご意見がありました。これは当然のことだと思います が、ご承知のとおり医薬品は何万種類もあるでしょうし、医療用具についても3万とか 4万とか言われているので、そのどれにプライオリティを付けて議論していくかという ことは、これは非常に大事な問題だと思います。場合によってはワーキンググループを つくるなり、あるいは専門委員をお願いするなりして検討しようということが議論され ました。  2番目は、後ほど川村先生のお話があると思うのですが、事例の収集といった、いわ ばデータベースの構築というか、そういう基盤の構築、整備が非常に重要であるという ことで、そういう事例収集、あるいはデータベース整備の1つのシステム構築を考えた ほうがいいのではないかということ、あるいはそれに基づく一種の標準化というか、そ のようなことも必要ではないか、ということも議論されました。厚生労働省側として は、いろいろ基準の改定など必要な処置を取りましょう、というようなご発言もあった ように思います。  非常に大事なことは、これは医療用具などで実際に見られた例で、個別の製品は1つ の規格に合っているのですが、それを組み合わせて使うというような場面で不都合が生 じるというような場合もあるので、そういう製品の全体を横断して眺めるような機構も 必要なのではないか、というようなこともご議論があった次第です。  先ほどからも何人かの委員から出ていた改善策を施し、そのフォローをし、やはり評 価ということが必要なのではないかと、また、これを直したから、どのようによくなっ たかという評価が必要なのではないか、というようなことが議論としては出たように思 います。  また、実は8月29日に「医薬品・医療用具からのアプローチ」という「医療事故の防 止に向けて」というシンポジウムが行われ、おいでの黒田委員をはじめ何人かの先生方 のご講演あるいはシンポジウムが行われています。それも含めて私が感じるのは、リス クとか、ハザードとか、損害とか、いろいろな用語があるわけですが、そういう点に関 して皆さんのイメージが果たして一致しているのかどうかというのを非常に疑問に感じ ます。私の理解では、リスク管理というのは1つの科学技術的な手法であり、当然そこ にグロッサリーというか用語についての共通理解がないと、ばらばらなイメージで、も のを話していても、どこかで食違いが起こるということでして、何かそういう用語と か、内容とか、技術的手法とか、といったようなことに関する全体というか全員の共通 理解というものが必要なのではないかという気がしました。  ちょうどISO(国際標準化機構)というのがあり、そこのテクニカル・コミティー 210というのが、医療用具の品質管理システムについて議論をする場でして、そこで 昨年、ISO14971というのが制定されたのですが、これは1つの国際基準として制定され た基準です。それは「リスク管理の医療用具への適用」という標題が付いており、そこ でリスクとは何かとか、ハザードとは何かとか、というような定義もされているし、リ スク管理をやるためのリスクを分析し、評価し、それをリダクションし、それでアクセ プトできるかどうかを決める、というような1つの流れ図が書いてあります。  私は見て、その言葉の定義なり、あるいはやり方の定義なりは大変妥当なものだと思 うので、何かの機会にそういうことをこの会議でもご報告し、ひとつリスクとか、ハ ザードとか、リスクコントロールの流れとか、そういうものについて共通理解を持つよ うなことがあったほうがいいのではないかと考えております。 ○森座長  ありがとうございました。役所も含めて日本人はおそらく、特に横文字であれば情緒 的に解釈し、いろいろな自分なりの思い込みをするので、いまご指摘があったようなこ とは大事かもしれませんね。どうもありがとうございました。さてこれは1つの部会か らのご報告でありますから、もし特にご質問がなければ、報告を承ったということで終 わりにしたいと思います。何か、是非この点をというようなご質問でもあれば頂戴いた しますが、よろしいでしょうか。  次が議事の3と4になります。議事の3は、「組織としての効果的な医療安全対策の 在り方について」、4が「医療安全対策を推進するために有用な情報を収集、分析及び 提供する方策について」となっております。この2点はそれぞれ、私ども検討会議の重 要な検討項目としてあげられているものでございます。前回はご記憶のように、この領 域で平素大変努力しておられる三宅委員からご報告いただきましたが、今回はお二方に 話題提供と言いますか、ご報告をいただきたいと存じます。お1人は、主として看護部 門で1万件を超える、安全を脅かすような事例を収集され、それを分析され、安全な医 療システムの構築を図るために研究、努力しておられる川村委員でいらっしゃいます。 もうお一方は東海大学で、実際にそういう事例を収集されるだけでなしに活用もしてお られる堺委員から、それぞれご報告を頂戴したいと存じます。まず川村先生にお願いし ます。 ○川村委員  杏林大学保健学部の川村でございます。私は大学卒業後、15年間臨床の現場で内科医 として働きました。医療現場の悲喜交々を体験した1人として、医療事故防止に私が何 ができるかと考えて研究しております。本日は、看護のヒヤリ・ハット事例の大量分析 からこれまでに分かりましたことをご報告したいと思います。よろしくお願いいたしま す。  時間が20分ということでございますので、端折らせていただきます。 ☆スライド1  ヒヤリ・ハット事例を事故防止に活かすアプローチには2つございます。個々の重要 な事例から組織としての問題を改善していこうとするものと、それから私どものように 大量の事例から、エラーや事故発生のメカニズム、あるいは共通要因、重要要因を学ぼ うとするもので、それぞれ良さがございます。 ☆スライド2  大量事例からということで、平成11年度に218施設から1万1,000の事例を集めたわけ ですけれど、最も多かった注射事例に関しまして、平成11年度に注射エラーマップとい う形でお返しをいたしました。平成12年度にもう一方の与薬であります内服と、転倒・ 転落を整理いたしまして、近々お返しする予定でおります。2つの与薬(注射と内服) と転倒・転落で事例の3分の2を占めています。 ☆スライド3  転倒・転落事故と与薬事故というのは、全く異質の事故でございます。それは事故を 発生しやすくした要因、これを危険要因と書いておりますけれど、この危険要因は主た る所在が違います。転倒・転落は、易転倒性に関連する加齢や疾病、障害といった患者 要因がございます。それに、排泄等日常行動をされますので、そういった行動と療養環 境上のさまざまな要因が絡んで、転倒・転落事故が発生をします。一方、与薬事故で は、誤りを犯すのは、人間ですけれど、犯しやすくした業務システム上の要因がござい ますし、医療特有のプレッシャーを生じるような状況要因、例えば急変、あるいは多 忙、同時業務発生といった状況要因も絡みながら事故が発生します。つまり2つは全く 異質の事故でございますから分析の視点も違ってまいります。 ☆スライド4  大量事例分析では「事実」の整理というものが非常に重要だと思っております。この 事実をどのように整理するかということで、注射に関しては、業務のプロセスを6プロ セスに分けまして、エラーの内容6種類で6×6のマトリックスに、内服は6×5のマ トリックスで整理をしました。内服は与薬業務形態が一般と精神とは若干違いますの で、両者を分けました。それから転倒・転落は先ほど申しましたように、患者要因と発 生時の行動の状況要因で整理をいたしました。 ☆スライド5  平成11年度に研究しました注射の、2,800事例をエラーの内容とそのエラーの主たる発 生要因が、どの業務プロセスで存在をしたのかという形で、マトリックスに整理をしま した。この定量分析の結果ですが、実施時対象エラーが全体の33%でございました。そ れから薬剤や量に関しての誤りというのは準備時に、速度は、この6割は医療用ポンプ の操作に関する事例でございますが、実施時に多ございました。これらで3分の2を占 めています。 ☆スライド6  今度は内服の一般病院の事例です。対象エラーの与薬過程での事例が注射と同じよう なような割合を持っています。準備過程というのは、1回量、1日量に予め分けておく という過程で、病院によっては与薬時に分ける病院もございますが、いずれにしても注 射に比べまして、準備過程よりも、与薬時の事例割合が多うございます。次に薬剤と用 法の誤りが多くなっています。 ☆スライド7  今度は精神病院・病棟の事例です。これは一般病院の事例とはかなりの違いがござい ます。8割が対象エラーの事例となっておりまして、与薬時の要因の事例が7割で、さ らに与薬される患者の要因に起因した事例もあがっております。これは一般病院と比べ まして、与薬形態が精神病院では違っていることが関連しています。一斉にホールなど に集合させて、その場で与薬して服薬を確認するという形態を取っている施設で、こう した事例が多く大変あがっております。患者さんの名前を確認できない場所で、与薬者 の記憶と呼名応答に頼った与薬をするということも大きな要因かと思います。いずれに しても精神病院の内服与薬のエラーというのは、対象エラーをいかに防ぐかということ が重要ではないかと思います。 ☆スライド8  これまでは定量分析ですけれど、次にそれぞれのマトリックスの事例から、発生要因 を定性的に抜き出したものが、添付しております「注射と内服与薬エラーマップ」でご ざいます。この定性分析の結果から、平成11年度は注射エラーの主たる8要因がわかり ました。そして平成12年度は注射と内服与薬エラーはどう違うのかということを比較す ることによって、より発生要因がわかりやすくなりました。さらには、内服与薬を混乱 させる薬剤とその保管に関する5要因が明らかになりました。これは後ほど詳しくご説 明をさせていただきたいと思います。 ☆スライド9  今度は1,500事例の転倒・転落事例の分析でございます。 ☆スライド10  このヒヤリ・ハット事例と言いますのは、約3割のnear fallと呼んでいますが、もう 少しで転倒・転落しかけた事例が3割ございまして、7割が転倒・転落したけれど、ほ ぼけががなかったという事例になっております。この実際に転倒・転落した約1,000の事 例から、どのような状況で起こったかを調べてみますと、約8分類に分かれました。1 つは、患者さんが自発的に自力で行動された中で起きたA群、これが7割以上です。そし てB群以下は検査台などの台に関わるもの、例えば台の昇降の際や台上から転落、あるい は乳幼児のベッド柵の上げ忘れ等で、ベッドからの転落、あるいは生活行動、介助時の 転倒・転落、あるいは車椅子からの移乗介助時の転倒・転落、体位変換、清拭時の転落 といったものがございます。また痙攣・意識消失性の疾病によって起こってくる転落も ございました。  疾病によるものはいま除きまして、AとB以下では転倒・転落と言えども若干ニュア ンスが違います。A群は看護者の介入が絡まず、視野の外で起きる転倒・転落ですから、 これを防ぐことはかなり難しい事例です。一方B群以下は看護者の観察、あるいはケアの 中や後に発生したもので直接的、間接的に看護者の介入の絡む事例ですから、努力して 防いでいかなければならない事例でございます。 ☆スライド11  急性期医療を担う病院におきまして、転倒・転落の発生の構造をこのように整理して みました。A群が約4分の3、B群以下が4分の1ということです。A群はまた2つに分か れます。自力行動の目的が明確な事例と、わからないものに分かれます。明確なもの は、排泄行動によるものとそれ以外のものに分けました。  排泄と排泄以外の行動は、行動の質が全く違います。つまり排泄行動というのは、重 症の患者さんでも1日5、6回は行かなければならないという、人間の必須行動でござ いますし、そして切迫感をともなったり、夜でも行動しなければならない、つまり悪条 件の中で行動しなければなりません。また排泄だけは自力でしたいと誰もが望みます。 つまり出来る行動と、したい行動に乖離ができてしまうことから、行動のリスクが他よ り高いということが言えます。  自力排泄行動の事例の半数は、スタッフの少ない深夜帯に起こっておりまして、その 深夜帯の発生事例の6割は、75歳以上の後期高齢者の患者さんでした。この問題は、即 ち深夜の高齢患者問題でもあるわけです。目的が不明瞭な事例では意識障害、認知・判 断機能が侵された方々の転倒・転落で同様に深夜、そして高齢者の事例が多うございま した。こちらの3群の事例を、患者要因と状況要因でマップ化をし、B群以下は発生要因 で整理をいたしました。最後のほうに4枚付けておりますマップでございます。 ☆スライド12  最も看護現場を悩ませているのは、自ら行動されて転倒・転落される、この7割の事 例をいかに防ぐかということになります。それには3つのリスクを評価し、コントロー ルをしていくことではないかと思っています。それは、1つは患者のリスクです。もと もと持っていらっしゃる易転倒性と増幅要因です。しかしこれは患者さんの身体要因等 が絡みますので、コントロールには限界がございます。ですからこういった患者さんに 対して、いかにこちらのリスクを、うまくコントロールするかということが重要で、行 動のリスクと行動を阻害する、あるいは行動をサポートできなかった環境、ハードウェ アのリスクを評価して、コントロールしていくことには十分可能性があります。ですか ら、どういう患者さんに、どういう行動、どういう状況で発生したかを整理することが 対策に結び付いていくのではないかと考えました。 ☆スライド13  転倒・転落発生要因マップです。易転倒性を示す疾病群を横軸に、縦軸に発生時の状 況でマトリックスを考え、事例を1つずつ入れていく作業をいたしました。 ☆スライド14  その結果、このA群の3群で、患者と発生時の行動状況、要因を検討し、可能な防止 対策について考察をいたしました。  最後にA群とB群以下の2群で転倒・転落事故防止の考え方というものを整理してお ります。 (スライド終了)  次に、4頁以下の表1から表4についてご説明します。平成11年度に注射エラーを分 析いたしまして、その定性分析から8つの主たる発生要因というものを整理し、個人、 組織レベル、組織以上のレベルで求められる対策について考察をいたしました。1番目 が「情報伝達の混乱」で、2番目は「エラーを誘発するもののデザイン」、そして3番 目は「患者誤認を生じさせる患者の類似性と行為の同時性」、4番目は「準備、実施業 務の途中中断」、5番目が、「不正確な作業動態、不明確な作業区分と狭隘な作業空 間」、6番目が、「タイムプレッシャー」、7番目が「病態と薬剤の一元的理解の不 足」、8番目が「急性期医療に対応困難な新卒者の知識と技術」ということで、これを お返しをいたしました。  平成12年度の成果として、表2に、注射と内服与薬におけるエラー発生要因の比較を しました。両者で要因がどう違うかということを比較しますと、理解が深まります。ポ イントを読んでみますと、まず「情報伝達の混乱」です。(1)不統一な手書き指示記載に 関しましては、内服薬の処方箋の記載は注射よりも単純で、記載フォームもほぼ統一さ れ、個人差が少ないために、不統一な記載による混乱は内服与薬のほうが注射よりも少 ないようです。  (2)注射の処方箋の記載(入力)形式の問題ですが、注射箋の記載形式は1回量を○回 投与の形式であるに対し、内服薬は1日を○回に分けて投与という記載であるために、 1回量の混乱が内服与薬で生じやすい。(3)口頭指示による混乱ですが、注射は緊急時、 臨時等で口頭指示が多く、不正確になりやすかったのですが、内服薬は疼痛や発熱時な どの頓用の指示がほとんどで、この種のエラーはかなり少ないと思います。(4)変更・中 止指示の頻発な発生ですが、両者ともこれは非常に重要な要因です。内服薬のほうがむ しろ検査等で一時中止など頻繁に発生し、注射薬は変更・中止薬を返品させることに非 常に厳しいのに対して、内服薬はそれほどでもないために、変更前の薬が病棟に置かれ てしまい、そのため前後の薬が重複されたりということが起こっております。  (5)複数の情報伝達媒体の存在ですが、転記情報媒体などが存在することによる混乱は 同じですが、内服薬のほうがさらに薬剤の払出しの際に、薬剤師が薬袋という形に転記 情報を起こします。それが1日量を記載する実際の処方箋と記載形式が違っており、一 回量の錯覚の原因となっています。(6)看護者間の業務連携による不確かな情報伝達です が、注射は口頭伝達によるエラーが多かったのですが、内服薬ではむしろ不確かなまま 安易に他の看護者へ協力して、代理的に与薬し、結果的に重複投与したといったエラー が見られました。  次に「エラーを誘発するモノのデザイン」ですが、薬剤の名称の類似性は、注射のほ うが病棟保管薬の種類が多うございますから、この種のエラーが多うございました。内 服薬に関しては、頓用とかあるいは同色の水薬などで起きる程度でございました。機 器・器具の類似性に関しても、内服薬はこういった器具はあまりたくさん使いませんの で、デザイン上のエラーは少なかったように思います。  3番目の患者誤認を生じさせる患者の類似性と行為の同時性ですが、これは両者とも 同じように重要でしたが、注射のほうが施注時刻がかなり限定された中で同時にしなけ ればならないということで、同時性の問題が多く関連していました。内服与薬はむしろ 不在時にも配薬することが可能ですから、患者をさん確認せずに、与薬することによる エラーが発生をしていました。特に精神病院など、患者の名前を確認できない場所で与 薬をする形態を取っている施設で、こういった要因がよくあがっていました。  4番目の準備や実施業務の途中中断ですが、内服は注射のように複雑な準備、実施業 務はいたしませんので、内服ではそれほど多くはありません。5番目の、不正確な準備 作業動態、これも先ほどの注射と同じように内服では準備がより単純でございますか ら、この要因も少のうございました。  6番目のタイムプレッシャーは、精神病院などで、一斉に与薬をしなければならない ような状態で要因として挙がっていますが、注射に比べると、同時にたくさんの与薬を しなければならないということがございませんので、この点も軽かったように思いま す。  7番目の、病態と薬剤知識の一元的理解の不足ですが、これは非常に重要な要因と思 っています。注射は、acuteあるいはmajorな病態とその変化を反映しているのに対し、 内服薬はどちらかと言えば、basal、あるいはchronic、あるいはminorな病態とその変化 を反映しております。内服薬は注射に比べて薬剤の種類が多いものの、反映した病態変 化が、注射に比べて注意を引きにくいため、より一元的な理解が不十分になりやすいと 思いました。  最後の急性期医療に対応困難な新卒者の知識と技術に関しては、注射ほど技術あるい は知識を要しませんので、この種の要因は内服では少のうございました。◎の部分がよ り内服の場合に問題となる部分で、○は同等、あるいは△はそれ以下ということでござ います。  次に表3ですが、配薬時の混乱がなぜ内服与薬で生じるのかということを考えました ときに、5つの要因があるのではないかと思います。まず1つは、複数の処方者の存在 です。高齢患者が多くなりますと、併診科も増えますし、主治科が処方した薬剤以外に 院内の併診科で処方した薬剤、あるいは他院からの持込薬などの、それぞれ開始日も終 了日も違う薬剤が病棟で管理され、これがひとつの混乱です。  もう1つは、与薬管理上、質的に異なる複数の薬剤が存在することです。定期薬でも 慢性疾患に恒常的に投与される薬剤のほかに、病態の変化によって週単位に変わる薬が ございます。こういった薬剤、それから麻薬等の特殊な薬剤もございます。それから臨 時薬でも、定期薬に移行する薬剤と、マイナーエピソードに対する薬剤、あるいは数日 単位で漸増減する薬剤、特殊治療と併用して投与期間限定とか、あるいは手術、検査な どでその投与日限定で投与される薬剤、あるいは注射から内服に移行するときの一時経 過のような薬剤などがあります。表の網掛けにした薬は、病態に応じて経時的に変化し ながら、処方されてまいります。これらは病態と薬の一元的な理解なくしては、正確な 与薬はできないわけですけれど、それが十分ではないということがございます。  3番目は、そういった多種の薬剤の投与用法が違うということです。食後3回が最も わかりやすいわけですけれど、不定期な薬剤、食前・食間といった薬剤などが、忘れの 原因になります。そして4番目は、薬剤科からの払出しの形態の違いです。配薬単位つ まり1回分ずつ分けられた形で払い出される方法では、混乱が少ないわけですけれど、 そうではなく、また薬によって薬剤科からの払出しの形も異なります。そして5番目 に、そういった薬が種々の場所で保管をされているということです。室温保管の薬剤の 他に、定期薬でも冷所に保存される薬もあり、混乱させます。この5つの要因が内服与 薬を混乱をさせている要因ではないかと思います。  最後に表4ですが、先ほどの転倒・転落の4枚のうちの3枚のマップから、それぞれ の転倒・転落に関してわかりましたことを書いております。実施可能な防止策について 右側に整理をしております。これは時間がございませんので、後ほどご覧いただければ と思います。以上でございした。どうもありがとうございます。 ○森座長  どうもありがとうございました。大変たくさんの事例をお集めになり、分析なさった 結果を発表していただきましたが、委員の方々、何かご質問はございませんでしょう か。 ○小泉委員  インシデント、アクシデントという言い方をしますと、「ヒヤリ・ハット」という表 現では、インシデントのように受け取れますけれども、いまのご報告はすべて実際に起 こったことではなくて、インシデントであったのかどうかということがお伺いしたい点 です。 ○川村委員  転倒・転落に関しては、どこまでをインシデント、どこまでをアクシデントにするか というのは微妙だと思うのです。この事例では、実際に転倒されても、けががなかった ケースが、7割上がっておりますし、未然に防げた事例は3割でございます。注射に関 しても、実際にエラーがあっても実害がなかった事例が入っております。そこまでを現 場では大体インシデントとしているのではないかと思います。「ヒヤリ・ハット」はイ ンシデントとほぼ同義で私は使っております。 ○小泉委員  実際にヒヤリとされたり、ハットされたのが、標題からは、「看護における」ですか ら、看護婦の方に限っていらっしゃるのかどうか、その辺も伺います。 ○川村委員  最終部門の看護部門が知り得る情報が最も多いわけですから、看護部門の事故という ことではなくて、病院の事故として捉えるときに、看護部門からいただくのがいちばん 有効だということで収集しております。 ○小泉委員  今回の研究対象は、看護部門で報告された事例に限っていらっしゃるのですか。 ○川村委員  おっしゃるとおりです。 ○森座長  インシデントとか、アクシデントとか、ヒヤリ・ハットとか、先ほどの桜井先生の御 発言にもありましたように、言葉の意味なり内容が必ずしもはっきりしませんね。事務 局ではある程度調べておられますか。 ○新木室長  若干外国の事例等を調べてございますが、結論的には、インシデントをヒヤリ・ハッ ト事例の事例で用いるというのは、我々の厚生省時代に出しました報告書で定義付けて いるのが最初ではないかと思います。  その元となりましたのは、黒田先生がご専門でございますが、航空分野の言葉を引い てということで、この使い方に関しましては、日本独自ではないかという感じでござい ます。 ただいずれにしましても、この検討会議の検討テーマの最初に「概念整理」と いうのがございまして、また最後に整理をお願いできればと思っております。 ○森座長  やがて報告書でも書く段階になりましたら、こういう定義もはっきりさせておく必要 があろうかと思います。いまのところはこの程度で。ほかにご質問はございますか。 ○児玉委員  1点だけお尋ねします。対象になった病院の種類というのはどういうものでしょう か。なぜお尋ねするかと言うと、転倒・転落で福祉介護施設など特養などの場合は、例 えばお風呂の転倒がすごく多かったり、階段室、窓の転倒が多かったりかなりプロ フィールが違うので、おそらく急性期療養型、老健、特養と並べてみると、おそらく何 らかのグラデーションがあるのではないかなという感じがいたしますので。 ○川村委員  転倒・転落事例は、どのような施設からいただいたかによって発生状況がかなり違い ます。今回の事例は300床以上の一般病院、213施設と5施設の精神病院からいただきま した。それぞれの病院を拝見しますと、自治体病院がいちばん多うございますが、いわ ゆる一般の急性期医療を担う病院がほとんどだと思います。 ○森座長  何か事が起こったときに、果たしてその責任が患者側にあるのか、医療従事者の側に あるのかといった議論も大切かと思いますが、他方、そういう責任の所在は別として、 ではなしに本当にどういう原因で起こったのか、どういうプロセスで起こったのかとい ったような、真実を知る方策も大切ですね。いまお示しいただいたような、症例を集め ての分析というお仕事も非常に大事であろうと存じますので、これからも研究を続けて いただきたいと思います。それでは次に移ってよろしいでしょうか。先ほど申し上げま したように、東海大学の堺先生、お願いいたします。 ○堺委員  ではご報告いたします。 ☆スライド1  情報収集を中心にということですが、私は医療安全対策というのは、その病院のすべ てを包括するものだと思っておりますので、病院全体のこともご報告したいと思いま す。 ☆スライド2  このような項目でご報告いたします。 ☆スライド3  私どもの病院は許可病床数1,133の特定機能病院でございまして、急性期重症への特化 をいま心掛けて転換を図っておるところでございます。病院の理念でございますが、こ れは創立者が掲げました「ヒューマニズムと科学の調和」ということでございます。  昨今この理念の中に、医療安全という言葉がないではないかというご批判をときどき いただくのですが、私立の大学では創立者の言葉をそう軽々しく変えることができませ んので、どうかこの言葉の中に医療安全が含まれているというふうにご理解いただきた いと思います。 ☆スライド4  それでは組織と活動について申し上げます。 ☆スライド5  私どもの病院では、病院長直属の医療監察室、これは医療の質を高めるということが 目的でございますが、ここに専属の事務職員3名がおります。この中にゼネラルリスク マネージャー、副院長の私でございます。それからアシスタントゼネラル・リスクマ ネージャー、看護部の次長と診療情報管理士をこれに当てております。私どもが週に1 回、院内から上がってくる報告を見まして、それを140名のリスクマネージャー、これ は主任とか副医長クラス、トップから2番目ぐらいの人たちを当てております。そこへ 原則月1回なのですが、このごろここで上がってくる問題にあまりシリアスな問題はた くさんはなくなってまいりましたので、大体2、3カ月に1回ずつこれを開いては、い ろいろなことを全体に伝えるようにしております。 ☆スライド6  これは昨年4月に厚生労働省が特定機能病院に対して、お示しになられました「医療 安全対策4カ条」でございます。この指針の整備、院内報告制度、委員会の活動、職員 研修といったことが骨子になっております。 ☆スライド7  病院長が委員長をしております「医療事故防止対策委員会」ですが、いろいろなこと を行っておりまして、特に平成11年度はすべての入院患者にリストバンドということを 実行に移しまして、これは全く異常なくスムースに運営されております。平成12年度 は、マニュアルの整備をさらに進めましたことと、まだ私どもの病院には一度も起こっ ておりませんが、起こると非常に困るということで、新生児略取防止と外来患者を取り 違えてはいけないということで、顔写真を提供していただいてカルテに貼るということ を始めました。 ☆スライド8  私どもは平成12年4月に、大変お恥しい内服薬誤注入事故を起こしました。これにつ いて平成12年、13年にかけていろいろ防止、あるいは対応も行ってまいりました。勤 務、体制の改善、それから教育の再整備。こういったことがうまくいっているかどうか ということをインシデントリポートにより判定しております。特に申し上げたいこと は、この事故のご家族といろいろその後、お話し合いを重ねさせていただきまして、医 療安全推進を第一義とするということで、和解成立というご判断をいただきました。病 院と闘うというやり方も当然おありかと思いますが、ご家族は病院と闘うよりも、病院 とともに医療安全を推進したいという高い見地のご見解を示されまして、現在私どもの 病院で行っておりますいろいろなことを、このご家族にご報告して、医療安全を推進し ております。 ☆スライド9  インシデント/アクシデントの報告体制ですが、書式は後でお示しいたします。報告 の流れは当事者、あるいは発見者がその所属長にまず届け、そこから私どもに上がって まいります。緊急事例は直ちに対応しますし、通常事例は先ほど申し上げたようなやり 方でやっております。そのほかイベントや集会でいろいろこれの報告を行っておりま す。 ☆スライド10  そのリポートをどうやって活用しているかということをご報告いたします。 ☆スライド11  これが過去3年間の私どものインシデント/アクシデントリポートの提出枚数でござ います。やはり2000年度の4月に事故を起こしましたせいでしょうか、さらに増加いた しました。それからなぜここでこんなにアクシデントが増えたかと申しますと、これは 大体例年同じ程度の数で、看護部以外からも同じような数でした。結局ここでこれだけ 増えたのは、看護部からの提出枚数が非常に増えたからです。これは看護部がいままで はインシデントにしていたようなものもアクシデントとして届けるようになったからで す。私はこれは抑制をかけるべきではないと思いましたので、一切変更を加えなかった ら、こういう形になったということでございます。  いま付属3病院の共通コードでやっておりますが、昨年度末かなり提出枚数が減って まいりまして、これはいろいろなミスが減ってきたということで、喜んでおりました。 ところが今年度になりましたら、また増えてきまして、これが分析してみますと、新規 採用ではなくて、新規配属者、つまり採用してから何年か経った者でも、新しい部署へ 行きますと、またそのインシデントの原因となるようなことに関係するということがわ かりまして、まだまだ私どもの配置転換をした後の教育が不十分だということを感じて おります。 ☆スライド12  このインシデント/アクシデントリポートは一体どう役に立つのかということでござ いますが、これは実にいろいろな役に立ちます。まず即時対応すべき事象の例ですが、 これは以前に私どものところで輸注ポンプはたくさんの種類を使っておりましたが、こ れはどの輸注ポンプにはどの点滴ルートを使うということが定められております。とこ ろが現場ではたまたまそのルートがなかったので、別のルートをある輸注ポンプに使い ましたところ、設定したスピードではないスピードで患者の身体の中へ入り始めたとい うことがわかりました。直ちにインシデントとして報告しましたので、全病院の輸注ポ ンプとルートを点検いたしまして、その警告を張るとともに、どの輸注ポンプにどの ルートを張ると、スピードがどうなるかということを全部調べましたところ、驚いたこ とに最大で30%の誤差が出るということがわかりました。  これは私どもは現在は、警告という形でやっておりますが、将来医薬品、医療用具等 の対策部会でももしできましたら、こういう輸注ポンプ、点滴ルートのマッチングとい うことができれば、将来、規格を共通化していただきたいということと、これはいます ぐできることだと思うのですが、どのポンプにはどのルートを使うという表示がメー カーさんによって非常にまちまちでございます。警告を張る場所を統一するのはすぐで きることではないかと思いますので、お願いしたいと考えております。  次はインシデント/アクシデントリポートを解析いたしますと、いろいろなことがわ かってまいりますが、例えばある病棟で、看護婦同士の連携がどうもよくないためにい ろいろなことが起こっているという結果が出まして、看護部を通じて、そこの病棟で連 携を強化していただいて、そういうことが起こらなくなりました。これは後で申し上げ ますが、いろいろな研究グループが看護部にございまして、そこでいろいろな事例研究 をやっており、これがいろいろまた成果を生んでおります。これは後で申し上げます。  それから昨年度、私どもの大学とほかの2つの大学病院とでレポートの結果の比較を いたしたのですが、私どもの大学とA大学とのリポートの内容は、非常によく似ており ましたが、B大学さんは、とても内容が違っておりました。違っているからにはそれだ けの理由があるのだろうと思っておりまして、それを比較するということも大事ではな いかと考えております。このようなことがこのインシデント/アクシデントリポートの 活用で、私どもが経験していることでございます。 ☆スライド13  これは看護婦たちがやっている所で、要するに呼吸器が足りない、呼吸器が足りない という話は前からあったんですが、きちんと調べてみると、いや足りないことは全然な い。呼吸器の使い方、それから院内の制度を改めればきちんとそれで間にあうのだとい う結果になった例でございます。 ☆スライド14  次に昨年度の当時の厚生省の特別研究班で、インシデントリポート用式の統一化と コーディングに関する研究班という研究を行わさせていただきました。 ☆スライド15  少し小さい字で恐縮ですが、ここでインシデントリポート、それからコーディングの 共通化を検討させていただき、これは成果物として厚生労働省に納めさせていただきま した。現在これを基に国立病院、あるいは特定機能病院のリポーティングのご検討が進 んでいると伺っております。 ☆スライド16  これは私どものURLを書いておきましたが、大変細かいコーディングで入力するの が大変だなと思われるかと思いますが、これをコンピューター画面でプルダウンで簡易 に入力して、しかもそれを集計する支援ソフトをつくりまして、ここに出してありま す。これはどなたでもダウンロードできますので、どうかご興味があればご覧になられ て、お使いいただければと思っております。 ☆スライド17  これはインシデントリポートを作成して入力するのにどのくらい経費がかかるか。こ れは病院経営上やはり把握すべきことでございますので、調べてみましたところ、細か い経過は省略いたしますが、私どもの病院では1枚当たり、直接経費で3,149円かかって いるということがわかりました。6,000枚近くのリポートがございますので、約年間 2,000万円かかっております。これは医療安全対策のごく一部、小さな一部でございま す。医療安全対策にどのくらいの経費がかかるかということは、おそらく厚生労働省も 国立病院のいろいろな運営を通じて、実態を把握していらっしゃるかと思いますが、国 立病院以外のいろいろな病院でも、さまざまな経費がかかります。これは是非厚生労働 省全体として、医療安全を推進なさるときにご考慮をいただきたいことだと考えており ます。 ☆スライド18  リポート以外の対策を少し申し上げます。 ☆スライド19  これは私ども、セイフティトピックスと呼んでおりますが、別称「他山の石」シリー ズです。新聞やテレビなどの報道を見ておりますと、実にいろいろなことが報道されま す。そこでそうして報道されたものをここに張り付けまして、こういうことがよそで起 こっているのだと。では自分たちはどうしようかというのを作りまして、配りまして、 各現場で確かに見ましたという判こを全員からもらうようにしております。 ☆スライド20  職員教育です。これも新規採用の医師の研修1週間とか、看護職員の研修とかいろい ろやっております。それから全教職員を対象に年4回。私どもは教育機関でございます ので医学部、健康科学部はこれは看護学科でございますが、そういう所の学生を相手の 教育。まだまだこれでも足りないと思っておりますが、一応現在はこういうふうにして おります。 ☆スライド21  それから診療録の管理ということがとても大事だと私どもは考えておりまして、診療 録管理部門を作っております。ここでICD9CM、ICD10を基に入院患者と外来患 者のすべてをコーディングしております。外来患者まで全部コーディングしている病院 はまだ比較的少ないのではないかと思っております。 ☆スライド22  入院記録、外来記録のいろいろな統計をとりまして、こういうものが検索できるとい う仕掛けを作っております。これはやはりほかのいろいろな情報のインフラとして是非 必要なことではないかと考えております。 ☆スライド23  ほかにこれは近隣の医師会と、これは糖尿病の例ですが、クリニカルパスを自分たち の病院だけでなく、やはり患者は地域でいろいろな医療機関にかかられますので、地域 でのクリニカルパスの共有化ということが是非必要かと思いまして、こういうことを始 めております。 ☆スライド24  私は病院の経営の安定ということは、医療安全の推進に欠かすことができないもので はないかと考えております。ここでは私どもの病院で行っておりまして、まだほかの大 学病院ではあまり行っていないと思われることを2つだけお示しします。1つは、入院 と外来の原価率を把握いたしました。このときにはまだICD9でございましたけれど も、すべての病名について、医療従事者がどのくらい時間をかけたか、これをストップ ウォッチで計測し、そこで使った医療消耗品を計測し、間接経費を全部集めて、それぞ れの疾患別、診療行為別の原価を把握いたしました。 ☆スライド25  これが1つの例でございます。急性心筋梗塞ですが、これで見ますとやはり私どもの 病院では、入院されてから12日を超えますと、トータルの収支が赤字になるということ がわかりました。 ☆スライド26  これもまだあまり大学医学部であまり行っていないかと思いますが、これは私どもの 大学全体として、医学部と病院の給与を、学園のほかの部分とは切り離して独自に検討 せよという指示が下りましたので、いますべての職種について給与・処遇の検討に入っ ております。特に医師・教員の評価・処遇の体制を整えようとしております。これがで きますと、さらに皆のやる気が出るのではないかということを期待しております。 ☆スライド27  最後に、今後の課題もこれは挙げればきりがありませんが、私どもが最近非常にショ ックを受けた事例を1つご提示したいと思います。 ☆スライド28  「ハードでミスは防げるか?」ということでございます。なかなか人間に注意を促し ても、ミスというのが起こる。だから絶対にそういうことが起こらないようにハードを 工夫しようという考えがございました。私どももそう考えておりました。しかしこれで はまだ不十分だという事例が発生しました。これはある大人の患者に、静注用の抗生物 質が入った注射器で、その抗生剤をその患者の胃管、つまり経管栄養チューブに接続し ようとしました。これは入るわけがありません。私どもの病院では、1998年からこれに は絶対に物理的に接続できないような器具に切り替えておりますので、絶対にくっ付き ません。ブカブカで入りません。  ところが、当然口径が合わないので接続できなかった。ここでこれはおかしいねと、 気づかなければいけないわけですし、私どももそのような教育をしておりましたのです が、ここで起こりましたことは次のことです。  何とこの場合はナースですが、経管栄養チューブに注射器を接続するためのアダプ ターをわざわざ外へ行って持って来て接続して、この静注用の抗生剤を注入いたしまし た。注入した直後に本人は気がついたのですが、幸いなことに静注用の抗生剤をその患 者に経口的に入れたわけですから、実害は発生しておりません。  結局私どもはハードでミスを防ごうと思って、いろいろ工夫してまいりました。しか しハードだけではミスは防げない。要するに人間の思い込みというものがここまで連続 して起こることがあるという事例を経験しました。改めて教育が重要、一体ではどうい う教育をしたらこれは完全になくなるのですかと聞かれても、ちょっと困りますけれど も、しかし繰り返し器具が合わないときには、それはおかしいんだよ。そこで手を止め てなぜそうなのかを考えなさいという教育を改めてやるつもりでおります。 (スライド終了) 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○森座長  どうもありがとうございました。実際のご経験に基づいて、大変有益なお話を伺った と思いますが、ご質問、ご意見はございませんか。 ○長谷川委員  堺先生、ずいぶん系統的に、システム的に取り組んでおられて大変感心したのです が、最近一般に現場で悩んでおられることというのは、集めたデータをどのように分析 をして、具体的な行動に持っていくかという、プロセスをどうしたらいいのだろうとい うことをよくお聞きするのです。先生の所ではどういう手法をお使いなのでしょうか。 ○堺委員  途中で一度スライドでお見せしたかと思いますが、まず現場、あるいはジェネラルリ スクマネージャーに上がってきた段階で、大変だというものは即時に対応いたします。 いろいろデータを解析いたしまして、ここの現場ではどうもこういうことが多いねとい うものは、そこの現場へそれをフィードバックしております。どうもこういうことが多 い、例えば呼吸器が足りないというようなことが多い場合には、それについての研究グ ループを、これは看護婦だけではなくて、臨床工学士とか、事務とか、医師とかいろい ろございますが、関係者を集めてプロジェクトチームを作らせて、臨時にそれの解決に 当たらせております。  それからまだまだそういう仕組みが我が国にないのですが、機会があれば私どものこ ういう収集しました解析したデータを外の病院と比べさせていただいて、もしも私ども の結果が外の病院と著しく違うようでしたら、それはどこかに何か原因がありますの で、それは何かというようなことも見い出したいと思っております。 ○森座長  どうもありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。 ○梅田委員  1点は研修医の方の処遇が、いろいろ問題になっております。堺先生の所では、全て の職員に対して、やる気を出させる、責任を持たせるということがよくわかります。な お、研修医はどのような位置付けで、どのような勤務をしていらっしゃるのですか。 ○堺委員  研修医も当然医師でございますので、これは教員・医師評価処遇委員会の対象になっ ております。研修医の給与は、これは私どもの病院は、世間様よりはいいと思っており ます。またやはり自分も昔、研修医で少し忘れてしまったかもしれませんが、よくやっ ている者と、それほどよくやってない者はいます。それはお互い同士よくわかってます ので、いかに皆が納得できるような評価にしてそれを本人にも伝えるか。また、私ども は来年度4月から、この評価システムの試行を始めようと思っておりますし、その評価 に対しての処遇を2003年度から行おうと思っております。  そうやってあなたはこういう評価を受けているのだよと、こういう評価によって、こ ういう処遇をこれから受けるようになるのだよということを知らせていこうと思ってお ります。初めての試みでございますので、どこまで行けるかはわかりませんが、私は最 初できるだけシンプルにやれという指令を出しております。あれもこれもと思います と、うまくいきませんので、最初はなるべくシンプルな評価で、シンプルな処遇をしよ うと考えております。 ○森座長  ほかにいかがでございますか。 ○堺委員  それから1つ、冒頭にお断わりしなければいけなかったのですが、お詫びでございま すが、資料の4が34枚スライドがございましたが、時間を節約するために実際は29枚に しましたので、5枚ほどこの画面にはお見せしなかったものがございます。資料4の追 加1−2のうちの追加1は、これは入力のサンプルで、これはすべての方々のお手元に 届いていると思いますが、もう1つの資料4の追加2、私どもの病院の医療安全対策マ ニュアルですが、これは部数の関係で委員の方々のお手元にのみあるかと思います。な お、このマニュアルは改訂の途上のものです。 ○森座長  ありがとうございました。前回の三宅委員のご報告もそうでしたが、個々の機関の名 称を明らかにした上で、いろいろな事例を報告されるということは、必ずしも容易なこ とではないかもしれません。たくさん教えていただいたと思います。どうもありがとう ございました。 ○三宅委員  いまの給与体系の評価のことでお伺いします。これは全学的な評価となっています が、当然これはドクターも入っているわけですね。 ○堺委員  入っております。 ○三宅委員  これは評価する基準とか、そういうものは、どういう形でつくっているのでしょう か。 ○堺委員  これは私どものところでは、トップダウンよりもボトムアップのほうがいいとまず判 断しました。教授クラスの方々に一応もとの委員会をやっていただいておりますが、実 際に案をつくりますのは、講師、助教授クラスにつくらせております。彼らがいちばん 上も下もよく見えますので、その者たちに討議させまして、最初に出てきたことは、自 分たちは目標設定方式ではなくて、成果主義にしてほしいということです。看護職員と 技術職員、それから事務職員は以前からの学園の方針もございまして、目標設定シート を用いておりますが、医師たちは目標設定方式は自分たちには合わない。自分たちは成 果主義にしてほしいということになりましたので、成果は数字で出せる成果と、情意評 価と申しますか、数字に出せない考課とがございますが、いまその項目をすべて洗い出 しまして、それの重み付けを行っております。  ただこれも最初はなるべくシンプルにしようと。あまり凝ったことをやると大変なの で、とにかく試案を作るから皆で検討してくれと。最初はシンプルなものを作ってやる から、それで皆の意見をまたくれと、それを手直しする。最初の何年かはもう朝令暮改 でいくからねと言ってあります。 ○森座長  ありがとうございました。ほかにご意見はございませんか。 ○黒田委員  スライドで抜けたのですが、現場の方々のお話を聞くと、院内感染の防止をするため には大変なお金がかかるのだと。先ほどお話があったのは、インシデントリポートをや るための費用がありました。院内感染の防止のための費用というのも、これは先生の所 ではお使いですか。 ○堺委員  これはまだ私は直接経費は把握しておりません。人件費が3人分かかっているという ことは把握しておりますが、消耗品もある程度わかるのですが、間接経費をどこまで割 り振るかという案分がまだ済んでおりません。とかくこういう経費は直接人件費と直接 消耗品だけが経費と捉えられがちですが、実は病院全体の間接経費、例えば電力のうち のどのくらいがそれにかかるとか、エアコンの費用のうちのどのくらいがそっちに行っ ているかというようなことをやりませんと、本当の経営の分析にはなりません。そこの 間接経費の案分がまだできておりませんので、数字はいままだ申し上げられません。 ○森座長  ありがとうございました。まだ3、4分ありますので、1つ話題を提供させていただ きましょうか。医療の安全にも関係する一面がありながら、今まで全く話題にのぼらな かった事柄を申し上げて、こんなことは我々の守備範囲の中であるか、外であるか、事 務局に考えていただきたいと思います。  個人的なことを申し上げて恐縮ですが、いまから30〜40年前に私がイギリスにおりま したときの先生が、クームス反応という大変有名な機序を考え出したクームス先生とい う方で、研究について非常に厳格な方でありました。ところがこの先生には、実はそれ 以上に厳格なことが1つありました。それは血液を使う仕事が多かったものですから、 当然注射器を使うことが多い。使い捨ての注射器などを捨てるときには、必ず針の先を 曲げて捨てなさいというのが、非常にきついお達しでありまして、ときどき実験室を見 回りに来られて、ゴミ箱の中に先を曲げてない注射針があると、非常に厳しく叱られた ものです。それは当然、ゴミなどを処理する人たちの安全を考えてのことであったわけ です。  最近日本の新聞でもそういう、病院からの廃棄物、殊に注射針によって被害を被った 人の話が出ておりました。医療安全対策といったときに、ここでは当然のことながら患 者の安全だけが論じられてまいりましたが、社会一般ということを対象にしての安全と いうことから言えば、将来は病院などから出る廃棄物なども安全の一環かなと思うので すが、このような問題はいままでの考えから言えば、事務局としては除外ですか。 ○大谷課長  これまでの整理でいきますと、医療における治療行為の中で起きるものを取り扱って おりまして、あとは廃棄物上の問題とか、それについてまた周辺の関連の制度で扱って おりましたので、いまの時点では別の考え方の整理をしております。 ○森座長  どこでもいいけれど、将来どこかで、誰かが取り上げたほうがいいかもしれません ね。委員の方々いかがでしょうか。何か他にご意見はございますか。あるいはいままで に論じられたことについてのことでも結構です。 ○長谷川委員  いわゆる病院のスタッフに対するいろいろな事故等をまとめて考えるべきだというよ うな考え方が、アメリカでは示されておりまして、現在NASAとアメリカの厚生省の シツの研究所と国立病院、退役軍人病院の大国家プロジェクトをいま推進しているよう です。その中で報告制度も、単に患者だけでなくて、スタッフのいろいろな事故、さら には患者の医療事故以外のこと、例えば火災ですとか、そういう類のこと、あるいはも うお見舞いに来られた患者、そういうのも全部含めた報告制度にするということでやっ ておるようです。そういうことが起こったときに、結局やはり病院内の安全文化が問題 ではないかと、むしろその辺に手掛かりがあって改善する可能性があるのではないかと いうことが、この精神だと理解しております。 ○森座長  ありがとうございました。私どもの検討会で取り扱う事項として、あまり裾野を広げ ることはかえって良くないかもしれませんが、一応巾広いベースだけは持っていたほう がいいかもしれませんね。 ○小泉委員  いまの話題ですが、病院はやはり事業所でありますから、そこには産業医がおられる わけで、産業医の仕事、そしてまた安全も含めた安全衛生というか、そういう視点から これはもうすでに対応のシステムはできておりますので、それを実行に移すということ ではないかと思います。 ○森座長  ありがとうございました。 ○岡谷委員  看護の方の場合、やはりそういう医療従事者の健康被害なども安全という概念として 捉えていまして、ガイドラインを出したり、いろいろな暴力等も含めまして、実態をい ま調べているところなのです。 ○森座長  ありがとうございました。大体時間になりましたので。事務局から次回以降のことに ついて何かご連絡がありますか。 ○新木室長  次回の日程につきましては、委員の先生方と調整させていただきましたが、その結果 10月4日(木)、10時から12時の開催とさせていただければと思っております。詳細は また後日ご連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。 ○森座長  それでは、次回も、どうぞよろしくお願いいたします。 (照会先) 医政局総務課医療安全推進室企画指導係       電話 03-5253-1111(内線2579)