1.日時 | : | 平成13年9月20日〈木〉10時〜12時25分 |
2.場所 | : | 厚生労働省省議室 |
3.参加者 | : | ・内海委員 ・大和委員 ・福井委員 ・向山委員 ・吉冨委員 ・吉原委員 ・米澤委員 ・若杉委員 |
4.議事要旨(○は委員、●は事務局の発言)
《新任委員の紹介》
新任委員である大和委員の紹介
《第2回分科会の議事要旨について》
第2回議事要旨については、配付資料のとおり確認。
1.年金資金運用状況の公表について
● 運用そのものとしては、他の運用機関と比べて遜色はない。運用資金の原資を財投から借入しているため、借入コストが金利低下局面で割高になってしまったこと等により、累積利差損が1兆7,000億円となっているところ。この利差損は確定した額ではなく、含み損は今後の運用環境によって解消することが可能。今後、年金資金運用基金において、できるだけ早い累積利差損の解消に努める。なお、これまでの平均的な運用実績に見合う収益を重ねていけば、比較的短期間に解消することが可能だと考えている。
○ 今までの財投からの借入金利は、下がってきているもののかなり固定的な部分があり、ある程度仕方ない点もある。しかし、より重視すべき複合ベンチマークとの比較で見ると、平成7年度から平成11年度までは勝っていたが、平成12年度には負けている。この点について説明願いたい。
● これは、国内株式が2%強のオーバーウェイトになっていたことが主因。オーバーウェイトについては、長期運用の観点から、変更のための取引コストをとらずに、あえて調整を行わないことが適切と判断した結果。それがベンチマーク対比でこのような結果となったもの。
○ 平成13年度の運用計画について、寄託金17兆円のうち、財投債引受額が11.9兆円というのは、平成20年度に目指すべきポートフォリオを考えると非常に多いのではないか。
● 財投協力に伴う引受額は、平成13年度についてみれば、寄託全体の中で大きな割合となっているが、財投改革初期の特殊事情も作用した結果である。今後の見通しとしては、市中消化分の財投債が増加していくことになっていること等から、財投債引受額は減少していくことが見込まれており、これに対応して市場運用分の資金は増加していく。従って、基本ポートフォリオへの到達は、この7年間で十分に可能である。
○ すると、今回のニューマネーは、国内債券の購入にはほとんど充てられないという理解でよいか。
● そのとおり。
○ 基金のディスクローズについて、四半期毎とすることは賛成であり、評価できる。移行ポートフォリオについては、事後に公表することとなっているので、四半期毎のディスクローズの際にも、非公表とすべき。
○ 国債の運用成績については、財投債の引受と、市場運用分を分けて出すべきである。
市場への影響や資金の投入量のことを考えても、移行ポートフォリオは、1年単位で対ベンチマーク評価をすべきであり、四半期毎に出すべきではない。
○ 「年金資金運用基金の業務概況書」というのは、年金福祉事業団の「平成12年度の運用事業の状況」のようなイメージか。
● そのとおり。それに、財投債の情報が加えられるというイメージ。
○ 「年金積立金の運用に係る報告書」は、どのようなイメージか。
● 今までにはない、全く新しいもの。イメージとしては、年金積立金全体の運用状況についての報告に加え、運用状況が年金財政に与える影響を評価したものや基金における管理運用の課題等を記載した定性的な評価に関するものが付加された形になることを考えている。
○ 四半期毎のディスクローズは非常によいことだと思うが、年金資金は長期運用であるということを同時に十分に伝えていく必要がある。情報は出していくが、非常に短期間で評価するのでなく、長期間で見てほしいとマスコミ等にもきちんと説明し、誤解のないようにしなくてはならない。
2.株主議決権行使状況の概要について
● 白紙委任しているものが多いという状況が見て取れるかと思う。
○ 恐らく、運用機関は議決権行使について検討を始めたばかりであり、実際に行動が出てくるのは来年度くらいではないかと思う。現在、議決権行使の期間が非常に短いこと、投資対象会社が非常に多いこと、コスト面をどう考えるのかということ、等の議決権行使に際しての問題がいろいろ出てきているようである。これは、ようやく日本の市場が議決権行使に向けて動き出し、検討が進んできたことの裏返し。ただ、実感としては、今回の4月〜6月の調査でも、思った以上に日本株に関して議決権が行使されているのだという感じがしている。議決権行使も含めて、日本の市場や企業のあり方が変わっていくことを期待している。
○ 日本でも、だんだんコーポレートガバナンスの意識が高まってきて、その一環として、年金資金運用基金でも関心を持ってきたのだと思う。最近は、欧米とも意見交換をしようと言う雰囲気も高まってきているのではないか。ただ、民間の企業年金と国の基金が同じような考え方で対応することがよいかどうかは議論があるところである。
3.財投債の引受けについて
● 御指摘のとおりだと思っている。昨年の交渉でもかなり詰めた意見交換を行った。長期運用だからということで、安易に20年債を引き受けるということではない。
4.特殊法人改革について
《状況報告を行う》
5.厚生年金及び国民年金における積立金運用の状況が年金財政に与える影響評価のあり方について
○ 年金の場合、年金債務の概念が曖昧なので、段階的にフォローしていく方法は合理的。その内容としては、受益者の負担、世代間の受益と負担のバランスなどまで突っ込んでどのような影響があるかを示すことが必要ではないか。
● 今回、この議題について説明させていただいたのは、基本として、公的年金のあり方、保険料の引き上げ及び積立金の持ち方の問題をどのように国民の皆様に合意していただくかを議論していかねばならないと考えているから。年金積立金は、保険料負担の急激な増加を防ぐために保有しているもの。財政計画に見合った実質的な積立金が確保されているかどうかを御検証いただくことが、この分科会の法令上の位置づけ。財政計画の枠組みは、検証結果から自然と見えてくると思う。今後、来年の9月頃に向けて、検証する際の指標は何かということをじっくりと御審議いただき、それに沿って報告書を出したいと考えている。
○ 財政検証の考え方として、第1に、名目ベースで運用利回り・複合ベンチマークが予定利率とどう乖離したかで捕えることの問題がある。予定利率と基本ポートフォリオの前提の資産収益率とは、前回の財政計算時の数値を前提としていて、超長期で成り立つような数値であり、財政検証を当面5年間の年ごとの数値を用いてすると、2つの考え方はそもそも合致していない。毎年の検証では、実績はこのような前提数値と大きく乖離してしまうという問題が発生する。
第2に、そもそもの決め方として、超長期で短期金利=賃金上昇率、それにリスクプレミアム1.5%をプラスして債券利回り=予定利率とし、実質的に1.5%の運用利回りを取れていれば年金財政に影響ないとしていたのだから、その考え方で検証すればよいのではないか。ただし超長期で1.5%という数値も個人的には高すぎるのではないかと考えている。
いずれにしても、このようにそもそもの数値の置き方における考え方の違いをどのように説明するのかは、財政検証する上で大きな問題。分科会としてきちんと説明できるようにしておかないと混乱を招く。
○ 年金財政を考えても、デフレの際の物価スライドの覚悟は必要だ。
〈照会先〉年金局運用指導課
企画係長 下向(しもむかい)
TEL 5253−1111(内線3350)
夜間 3595−2868