01/08/28 第3回 労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第3回 労働政策審議会雇用均等分科会                       日時 平成13年8月28日(火)                          10:00〜                       場所 専用第12会議室(5階) ○分科会長  ただいまから、「第3回労働政策審議会雇用均等分科会」を開催いたします。本日の 欠席は渥美委員お1人です。  始まります前に皆様に申し上げたいのは、ご承知のこととは思いますが、先般本分科 会の安枝委員と勝田委員が逝去されました。慎んでお知らせ申し上げます。このお2人 の委員の後任としてお二方の委員が任命されておりますのでご紹介申し上げます。  まず、公益代表として、東京大学社会科学研究所日本社会研究情報センター教授の佐 藤博樹委員です。 ○委員  佐藤です、よろしくお願いいたします。 ○分科会長  使用者代表として、三和機材株式会社代表取締役志村肇委員です。 ○委員  志村です、よろしくお願いいたします。 ○分科会長  先任の勝田委員が雇用均等分科会家内労働部会にも所属されておりました。そこで労 働政策審議会令第7条第2項の規定により、部会に所属すべき委員については分科会長 が指名することになっておりますので、志村委員に家内労働部会の委員にご就任いただ きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは議事に入ります。本日の議題は、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する 法律施行規則案要綱について」です。本件は厚生労働大臣からの諮問案件です。これに ついては昨日厚生労働大臣から、労働政策審議会会長宛に諮問が行われました。これを 受けて当分科会において、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関 する法律施行規則の一部改正部分について、審議をお願いすることになっておりますの で、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  お手元の資料に沿いご説明します。資料No.1及び資料No.2は新委員の名簿です。資 料No.3は、先ほど会長からお話がありましたとおり、昨日付で労働政策審議会会長宛に 、厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、別紙、「個別労働関係紛争の 解決の促進に関する法律施行規則案要綱」について貴会の意見を求める、という諮問が 行われております。この諮問の内容は、資料No.3を1枚めくりますと、「別紙」という 形で省令案要綱が付いております。このうちの第1の「個別労働関係紛争の解決の促進 に関する法律施行規則の制定」の部分については、個別的労使紛争処理対策部会のほう で審議を行っていただき、6頁以降の、均等法に関する部分である第2の「雇用の分野 における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部改正」につい て当分科会でご審議をするということになっておりますので、よろしくお願いいたしま す。  今回の省令改正は本年2月6日、この分科会において要綱をご報告しました「個別労 働関係紛争の解決の促進に関する法律」、この法律が先の第151回通常国会で成立したこ とに伴い、その法律の中で男女雇用機会均等法の改正も行われておりますので、この改 正に伴う施行規則の改正というものです。  2月のことでしたのでかなりご記憶も薄れているかと思いますので、法律の要綱説明 をさせていただきますが、この時に、特に法令上の議論になりましたところは「機会均 等調停委員会の名称」の問題です。新しい紛争調整委員会ができまして、その中に機能 を統合する形になりましたので、外から均等調停が非常に見えにくくなるという問題を 、この分科会でもご指摘をいただいたと思います。これが、いわば宿題になっておりま したので、その名称の問題について、今回の省令等で対応を行うということで、この点 を踏まえた施行規則の改正案となっております。  法律の関係部分を前回ご審議したときは「要綱」の形で見ていただいております。資 料がNo.8までありまして、その後ろに「参考1」というのがありますが、この1綴りの 資料の中に法律の新旧対照表が付いており、その21頁をご覧ください。上段が改正され た後の均等法ですが、ここの第14条で「均等法による調停は紛争調整委員会に行わせる 」と書いてあります。15条では「調停は委員会の委員のうちから会長があらかじめ指名 する3人の調停委員が行う」となっております。また、19条で「調停の手続きに関し、 その他の必要な事項は省令で定める」となっております。法律がこういう形に今回変わ り、これに基づく施行規則の一部改正ということです。  次は、資料No.3の6頁、ここの3行目の第二に「均等法施行規則の一部改正」が書い てあります。まず「一、主任調停委員」です。先ほど申し上げましたとおり、改正後の 均等法においては「調停は3人の調停委員が行う」と定めております。その調停委員の うちから調停を行うための会議を主任となって主宰する調停委員を主任調停委員として 会長が指名する、ということを決めたいと思います。これは調停を行うあらかじめ指名 された3人の調停委員が調停を行う際の手続きに関し、今までは均等法の中に機会均等 調停委員会があり、会長がその会議の主宰を行っていたのですが、これに代わるものと して3人の調停委員のうちからこれらの手続きを行い、従来会長が行っていた手続きを 行う者を決めておく必要があるということで、主任調停委員を指名するということにし たものです。  (一)の3行目辺りに、ここで調停を行うための場を機会均等調停会議という形で名 称を付けております。外から見える看板を是非省令で名称を付けるように、という宿題 をいただいておりましたが、「機会均等調停会議」という形で名称を付けておりますが 、調停を行うということが外から見えやすく、また、均等法に関する調停であるという ことで「機会均等」という名前を付けています。(二)は、「主任調停委員に事故があ る場合にはあらかじめ指名する調停委員が、その職務を代理をする」という代理の規定 です。  二は、「機会均等調停会議」について3つ定めております。まず(一)は、「機会均 等調停会議は主任調停委員が招集するものとすること」と規定しており、今までは調停 委員の会長が招集することになっておりましたが、これを今度は主任調停委員が招集す るということを定めています。また(二)は、「機会均等調停会議は調停委員2名以上 が出席をしなければ開くことができないものとすること」と規定しており、従前の機会 均等調停委員会も定足数は2人以上ということになっておりましたが、それをそのまま 踏襲したものです。最後に(三)は、「機会均等調停会議は公開しないものとすること 」と規定しており、これは従来どおりです。  三は、「機会均等調停会議の庶務」です。機会均等調停会議の庶務は、都道府県労働 局の雇用均等室において処理するものとしております。紛争調整委員会の庶務は都道府 県労働局の総務部において処理をするものとなっておりましたが、調停に関しては今ま でどおり雇用均等室において処理をするということを定めたものです。  四は、「調停案の受諾の勧告」です。調停案の作成は調停委員の全員一致をもって行 うこととしております。これも従来の機会均等調停委員会の全委員の一致をもって行う こととしておりましたので、これもこれまでのやり方を踏襲しております。  五は、「その他」で所要の規定の整備です。また、第三の「施行期日」は、法律の施 行期日である本年の10月1日から施行するということになっております。  以上が男女雇用機会均等法施行規則の一部改正に関する要綱の内容です。 ○分科会長  ただいまのご説明について、ご質問、ご意見がありましたら、どうぞ、お願いいたし ます。 ○委員  1頁に紛争調整委員会の委員の数が書いてあります。「東京12名、愛知・大阪9名、 北海道・千葉・神奈川・福岡6名、その他の委員会は3人」という記載があります。こ の委員の数を決める基準はどういう基準であるのかをお聞きします。それと、均等調停 会議の委員の数はどのようになるのでしょうか。東京は9名とか何名とか、その辺をち ょっとお聞きします。 ○事務局  まず、紛争調整委員会の委員の人数ですが、これは現在も労働基準監督署にいろいろ な相談等が持ち込まれております。そういったような相談の件数等からみて、各調整委 員会で扱うと思われる個別的な労使関係紛争のあっせんの数、それから現行の機会均等 調停委員会として扱っている調停の数を見込んだ上で、数が多いと思われる東京は3人 ずつのグループと考えておりますので、これを4グループにする。愛知・大阪は、それ に次ぐということで3人ずつのグループを3グループということです。北海道等は2グ ループです。それ以外は、あっせんと均等調停を合わせて1グループで大丈夫だろうと いう判断です。  機会均等調停の人数は、これは法律上「あらかじめ3人指名する」となっております ので、各調整委員会とも3名1グループが担当するということになります。 ○委員  調停委員の3名が選ばれるわけですが、その場合に、あっせん委員であって同時に調 停委員が委嘱されるという形になるのですか。そういうふうになると、3人の所は編入 せざるを得ないわけですね、あっせん委員でもあり調停委員でもあるという。あと、複 数いる12人の場合と9人の場合といろいろケース・バイ・ケースがあると思いますが、そ ういう関係はどういうふうになるのでしょうか。 ○事務局  機会均等調停のほうの調停委員は、委員のうちからということで、紛争調整委員会の 委員のうちから3名をあらかじめ決めるということになっております。1頁に書いてお ります委員の数のうちから、それぞれ各調整委員会3人ずつ担当する調停委員がやると いうことです。したがいまして、いまご指摘のように、3人しかいない40の委員会につ いては、調整委員会の委員がそのまま調停委員も兼ねるということになります。 ○委員  普通の所は専ら専任のような形になるわけですか。 ○事務局  これは各調整委員会における件数に応じてということになると思います。ただ東京の ように4グループあるような所は、そのうちの1グループが専ら機会均等調停を扱うよ うな取扱いに恐らくなるだろうと思っております。2グループの場合、必ず機会均等調 停のほうは、どちらかのグループがやることに決まるわけですが、そっちが個別紛争の あっせんも扱うことになるかどうかは件数等を見た上で、それぞれ実態に合わせて行っ ていくということになります。 ○委員  委員の任期は何年ですか。 ○事務局  委員の任期は、法律上2年になっております。 ○委員  この法案の改正の部分にあります労基法105条の3ですが、現行の労基法に労働関係紛 争の解決処理として参与制度があります。これと今回の個別紛争の調整との係わりはど うなっているのでしょうか。 ○事務局  いま言われた参与制度というのは労働局長が行う助言指導に係る参与制度のことかと 思いますが、これについては、新しい法律ではあっせんではなくて、労働局長による助 言指導制度は労働条件に限らず労働問題全般に広げた上で助言指導制度を設けることに なっております。これについては参与制度も、そのまま引き継いで行うことになります 。 ○委員  現行の労基法に基づく「解決・援助」というのは、法律の制度としてはそのまま残っ て維持しながら、新たにそこで扱うものよりも広い案件などをカバーする形で出てくる ものですか。 ○事務局  助言指導としてやるシステムとしては全く同じことを想定しています。ただ、現在労 働基準法にあるという意味で、「労働条件について」となっているわけですが、これを 新しい法律に移し、労働条件に限らず労働問題に関する紛争のすべてです。ですから範 囲は広がっていますが、行うやり方は現在の労基法105条の3に基づいてやっているもの と、基本的に同じということです。 ○委員  現行の105条の3で、参与が任命されています。この参与と今回の紛争調整委員会の委 員とは重複するのですか。あるいは、してもいいのですか。現行の委員になっている人 がおりますが、その方は、改めて参与を兼ねながら、紛争調整委員会の委員も兼ねるよ うな形はあり得るのですか。 ○事務局  これについては絶対に兼ねてはいけない、ということには必ずしもならないかもしれ ません。ただ助言指導の際に、参与として意見をいただいた方が、また同じ案件があっ せんで出てくると、若干その関係で問題が生じるかと思いますので、現在各局に対して は、「参与とは別の方を委員として選任する方向でやるように」という指示を出してお ります。 ○委員  この検討会にも係わってまいりまして昨日、第1のほうは議論があったわけです。そ の場で申し上げたことと重なりますが要望ということで発言させていただきます。名称 の問題が非常に象徴的で、均等法の調停委員会が見えにくくなるということです。均等 法が制定して調停委員会を設けてきた経過や、女性労働者が安心して持ち込める場が、 これによってどう変わっていくのかという不安もあります。  特に機会均等調停委員会の存続を意見としてずっと申し上げてきましたが、今回こう いった調停会議ということで案が出されました。その点については、これから利用が多 くあるというのは望ましくないのですが、やはり利用者が「これが従来の機会均等調停 委員会だ」ということが十分わかるように会議についての周知徹底に、まず十分な配慮 をいただく必要がある、というふうに思っています。  あと、先ほど「1県1チーム、40県」というお話がありましたが、40県については紛 争調整委員会という1つの委員会で、均等法に関する相談といいますか、調停が持ち込 まれたものを処理することになるわけですが、検討会での議論経過の中でも委員から発 言があったことの中に、個別紛争という性格と、いわゆる均等法が扱うような、特に女 性が差別を受けていることを解消してほしいという、若干性格が異なる部分があるもの を一緒に扱うということになるわけです。その際、私はやはり、均等法の委員会を、い ま主任調停委員をはじめとする構成というご提案がありましたが、構成に当たっては、 少なくとも均等法の熟知をし、女性労働の問題や、その性質に対し十分対応できる人を 配置していただきたいです。現状がどうかというのは、どこかの場で伺う機会があれば と思っていたのですが、やはり女性の配置を望みたいというふうに。それは理由も理屈 もないのですが、やはり当事者としての受け止め方が非常に重要な案件が多いと思いま す。特に1県1チームの場合など、委員には女性の配置を要望したいと思っております 。  併せて、全体像の中では「総合労働相談コーナー」というのが委員会の前段として、 今回は個別紛争の増大に備えて議論されましたが、こういった相談窓口こそ、いちばん 皆が気軽にというのでしょうか、相談をしたいというところだと思います。それが労政 事務所であったり、労働委員会であったり、その他さまざまな相談機関があると思いま すので、そこにも女性相談員の配置を行う。やはり敏感な対応をしていただかないと。 そこで二次被害といいますか、そこで理解がないためにまた被害が起こるようなことが あってはならないと思います。そういった相談コーナーにおいても十分な配置をしてい ただきたいと思います。女性だから女性問題に理解があるとは必ずしも言い切れません 。そういう意味では、こういった体制を今後とっていく上で、いま申し上げたことに加 えて、相談のすでに成功事例などを持つ窓口などもたくさんあると思うのです。そうい った人たちの情報交換なども含めて、今後配置される方たちの研修なども十分実施して いただいて、セクシュアルハラスメントだけではありませんが、非常にプライバシーに 係わるような背景なども、問題によっては、相談の中身によってはあろうかと思います 。そういう心理面などのサポートも十分行っていただく必要があると思いますので、研 修などをさまざまな工夫をこらしてやっていただきたいと思いました。  いずれにしても、これに関しては、いまの救済制度がベストではないのだ、というふ うに考えております。そういった意味では、今後均等法の範囲なのか、あるいは別の範 囲になるのか分かりませんが、今後とも均等法の救済機関のあり方について十分検討を 進めるようお願いをしたいと思います。 ○事務局  ご指摘をいただいた点についてお答えします。まず「調停が見えにくくならないよう に制度の周知徹底」ということですが、看板は「機会均等調停会議」という名称を付け たところです。均等法に基づく調停制度というのはここが受け持つのだということを、 これから10月1日の施行の時期に向けて十分にPRをしていきたいと思っております。 それに加えて、新しい紛争解決の仕組みの中で、従来均等法では扱えなかった女性労働 に係るいろいろな紛争も扱いますので、そのことも併せてPR用のリーフレットを作っ て、積極的にPRをしていくということを考えております。このPRについては、労使 の力をお借りしないとなかなか浸透しないと思いますので、是非ご協力をよろしくお願 いしたいと思います。PRは全力を尽くしてやっていきたいと思っております。  2点目の「調停を行う委員の選定」ですが、片岡委員がご指摘のように、特に40の県 では新しい仕組みでのあっせんを扱う委員と、均等法に基づく調停を行う委員がダブっ ているわけです。そういう意味では、この新しい紛争調整委員の選任に当たりましても 、これは各地方の労働局において選任をするわけですが、任命の要件として、1つは均 等法に基づく調停を行う方々については、女性労働問題についての専門的知識を持って いる人を選任するように、と指示しているところです。また、片岡委員が言われるよう に、女性だから必ずしも理解があるということではないのですが、やはり均等法の調停 を扱っていただくということで、少なくとも1人は女性委員が含まれるようにと指示を しているところですので、これに沿って委員の選任が行われているところです。  3つ目の「労働相談コーナーの相談員」の問題ですが、これについても各労働局に対 して、特にセクシュアルハラスメント等々の相談を扱うこともかなり多くなろうかとい うことで、出来る限り女性を登用するように、という指示をしておりますし、また、男 性も含めてですが、社会的な信望があり、労働関係の法令、労働問題に関する動向に関 し幅広い知識や、労使関係の実務に係わる深い経験を持っている人を委嘱をするように 、という指示をしております。また、相談員にご就任していただいた後の研修等々につ いては力を入れていきたいと思っております。おっしゃるように実際の解決事例等を集 積して、その情報提供を相談員の人に対してしていく、というようなことは特に心掛け てやっていきたいと思っております。  4つ目の「いまの救済システムはベストではない」というご指摘ですが、均等法の担 保措置が十分であるかどうかということは、均等法の施行をしていきながら、その中で 不十分な問題点が出てくれば更に充実を検討していくのは当然のことと思っております ので、そのようにしていきたいと思っております。 ○委員  1つ質問と1つお願いです。質問のほうは、先ほど委員の数の決め方についてご説明 がありましたが、逆に紛争の持ち込みが予想よりもすごく増えたり少なかったりすると 見直しはどうするのか、あり得るのか。一度決めると、それはそのまま当分いくのか、 その辺をちょっと教えてください。  お願いのほうは、今までの紛争取扱いの件数の表示の仕方は個別紛争処理なので人数 で、何人というふうに出てきています。これがメインのデータだと思いますが、企業数 も一緒に表示したらいいかなと思っているのです。つまり、1つの会社で10人持ち込む と「10」と出てくるのです。でも、実際には企業数1社という場合もあるのです。労働 者数の変化がすごく大きく振れるけれども、企業数はあまり変わらないということがあ ると思うのです。個別紛争なので労働者数でカウントするという業務統計の取り方なの でしょうが、できれば企業数を併せて取っていただくといいかなと思いますので、ご検 討いただければと思います。 ○事務局  委員会の委員の数については、法律で「3人以上12人以内」となっております。した がいまして、法律改正をしない限り自由には増やせないわけです。ただ、3人の委員会 では件数が多いということで6人にするのは省令の範囲で対応は可能です。今後、新し い制度ですのでどういう形で動いていくか、簡易迅速に事案を処理するという趣旨の制 度ですので、それにもとらないような形で必要に応じて検討するということにしたいと 思います。 ○事務局  件数の関係ですが、調停については件数も少なく、名寄せという作業もいりませんの で、できるだけ企業数も併せてやっていきたいと思います。あとのものは、特に新しい システムなどは、やはり名寄せをしないと企業数は出ない部分もあろうかと思いますの で、いずれ情報のデータベースができればそういうことも可能なのかもしれませんが、 特に均等調停についてはそういう形で、企業数も併せて発表できるようにしていきたい と思っています。 ○分科会長  ほかにはいかがでしょうか。特にご発言ないようですので、当分科会としては、諮問 のありました「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律施行規則案要綱」の「雇用 の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則の一部改正」 の関係については、妥当と認めることとして、その旨を私のほうから労働政策審議会長 宛に報告をしたいと考えております。  この報告については、事務局から案文が用意されておりますので配付していただきた いと思います。 (案文配付) ○分科会長  それでは、事務局から案文の読み上げをお願いします。 ○事務局  それでは、報告文案について読み上げさせていただきます。  個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律施行規則案要綱について、平成13年8月2 7日付、厚生労働省発政第189号をもって労働政策審議会に諮問があった標記については 、本分科会は審議の結果、下記のとおり結論を得たので報告する。  記、厚生労働省案、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する 法律施行規則の一部改正関係は妥当と認める。  以上です。 ○分科会長  以上、読み上げていただきました案文のとおりで報告文は、よろしゅうございますか 。    (異議なし) ○分科会長  では、ご了承を得ましたので、そのようにさせていただきます。  この報告について、今後の取扱いについて事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  いまお読みしました報告文は分科会長より労働政策審議会会長宛のものです。最終的 には、労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申が行われることになります。ただ いまご了解いただきました文面で労働政策審議会会長にご報告した後、この要綱につい ては冒頭にお話をしましたとおり、個別的労使紛争処理対策部会において、第1の個別 労働関係紛争の解決の促進に関する法律施行規則の制定部分について審議が行われてお りますので、こちらの個別的労使紛争処理対策部会のほうの結論と当分科会の結論とを 合わせて、労働政策審議会会長から厚生労働大臣宛に答申を行うということにいたした いと思いますので、ご了解をいただきたいと思います。 ○分科会長  以上で1の議題、諮問案件については終了したいと思います。どうもありがとうござ いました。  次に議題2の「その他」です。まず平成14年度、概算要求の概要についての報告があ りますので、お願いいたします。 ○事務局  まず「14年度概算要求について」、資料4をご用意しておりますので簡単にご報告い たします。これは雇用均等政策関係を簡単にまとめたもので、1頁目に総括表が付いて おり、あと若干の説明がついたものが3頁ほど付いております。来年度の雇用均等関係 施策の概算要求で3つの大きな柱を立てております。1つは均等の関係、2つ目は両立 の関係、3つ目は就業の多様化ということでパートや在宅の関係、という整理をしてお ります。  主だったものをご紹介いたしますと、まず均等の関係は、「実質的な均等取扱いの確 保対策の充実」ということで、その中でもさらに額は少ないですが、この分科会でも宿 題になっておりました「間接差別」に関する検討をする場を設けたいということで、研 究の場の設定のための予算要求を14年度しております。これは(1)です。  (2)は、これはあとで資料を用意しておりますが、「ポジティブ・アクションの推 進」ということで、この分科会、あるいは、この前身の女性少年問題審議会でも「ポジ ティブ・アクションをいかに推進するか」ということが議論になりました。その際に、 特に経営者団体自らもこの問題に取り組んでいくというご発言をいただいていたわけで すが、それを具体化したポジティブ・アクションの推進協議会(予算上の名称)、女性 活用の協議会が7月に立ち上がったところです。来年度はさらに地方でもこういった活 動ができるようにということで予算要求をしております。  (3)のセクシュアルハラスメント関係では、いまひとつ大きな課題になっておりま すのが、企業で相談員になった方々が実際に相談を扱うときにどういう形で対応してい けばいいかということに非常に困っておられるということで、こういう方々のためのテ キストとか、そういった教材の開発を来年度要求するということです。  (4)の「ポジティブ・アクションとしての再就職モデル開発事業」ということで、 今年から始めております、いわゆる主婦の方々の本格的な再就職のためのモデル事業を 来年度さらに本格化するということで要求しているところです。  2番目の大きな柱は「両立」です。特にポイントを2つ挙げており、1つは「ファミ リーサポートセンター事業の数を大幅に増やす」といったことで、事業の拡大を図って いくことを計画しております。「ファミリー・フレンドリー企業の一層の普及促進」と いうことで、特に新設の助成金等の創設も含め、施策の充実を図っていきたいというこ とで計画を立てております。  パートタイム対策については、パートタイム労働者の雇用管理改善に取り組む事業主 団体、あるいは企業への助成事業、援護事業の一層の推進。また新しい問題として、法 律に基づく短時間労働者対策基本方針の改定の作業等々、パートタイム労働対策の見直 し、現状に合った形での対策の充実を来年度図っていきたいということです。また、在 宅就労の問題についても充実を図り、特に在宅ワーカーの人たちの情報を広く一般に提 供するといったような事業を新たに来年度実施をしていきたいというようなことで、来 年度の予算要求をしたところです  残念ながら「総額」では、前年度比93.3%ということで減っておりますが、大変厳し い財政事情の中で実質的な政策が後退しないようにいろいろな、事務費の節約等々、あ るいは予算額に満たない実績の助成金については、そこの縮減を図るというようなこと で、予算は減っておりますが、施策としては一層の充実を図るという気持ちでやってお ります。 ○分科会長  ただいまのご説明について、ご質問がありましたらどうぞ。 ○委員  これは全体を減らして新しいのが増えています。努力されているのでしょうけれども 、減らしたほうで、これはもう止めてしまった、という具体的な例はありますか。 ○事務局  例えば、女性と仕事の未来館の建物の管理などは入札によりまして、節約を図ったり しています。また、セクハラもいま申し上げたように、いま企業では体制づくりは進ん で相談員の任命は進んでおり、その人たちが、じゃあどうするか、というところにウェ ートが移ってきています。そうするとセクハラは、まず会社でセクハラ対策の基本的な ところをやるような入門講座のようなところは、もう需要が足りてきております。そう いうふうに政策が進むに従って初歩的なところを削って、応用編のところへ予算を足し 上げるという形で、やはり重点化を図るというようなことをやっております。 ○委員  見出しに平成14年度の概算要求で「旧労働省女性局計上分」といっておりますが、保 育所サービスの拡充問題については、両立支援という枠組みの捉え方ももちろんできる わけですから、その辺はどういうふうになっているのですか。新聞ではいろいろ報道さ れておりますけれども。 ○事務局  参考資料2があります。これが今回厚生労働省全体の概算要求の主要事項です。この 3枚目に厚生労働省の今回の概算要求の大きな柱が10本立っておりますが、その第3番 目の柱が雇用均等・児童家庭局の政策で、「安心して子どもを産み育て、意欲を持って 働ける社会環境の整備」という対策です。その中でいまお尋ねの保育所関係等は8頁を ご覧ください。まず保育をはじめとする子育て支援対策を紹介させていただいておりま すが、最大の命題は、小泉総理の提唱もありましたし、男女共同参画会議、経済財政諮 問会議等からもご提言いただきましたが、保育所の待機児童ゼロを目指して政策を充実 するということです。その中心が一つ目の○で、受け入れの子供の数でいいますと5万 人の受入れ増を図れるようにと。そして、それに見合う運営費、そのために必要な施設 整備費を従来の保育所予算に追加して盛り込もうということです。  それ以外に幾つかの新しいメニューも考えております。「送迎保育ステーション」と ありますが、これは駅前の利便性の高い保育所はすぐに埋まるのですが、都市部と言え ども、例えば23区内でも定員割れしている保育所もあるのです。そういうようなことで 送迎ステーションを駅前につくって、そこからバスで最寄りの保育所に送っていただく 。そして、夕方また子供たちを駅前のステーションまで集めて、そこで延長保育が必要 な子供たちについては、一括して延長保育をするという仕組みです。これは現に埼玉県 、大阪府でやられていて、非常に人気が高いようですので全国版にしたいと思っており ます。  その次の「駅前保育サービスの施設整備」の関係は、駅前の利便性の高い所に設置し てほしいというニーズは大変高いのですが、なかなか。例えば、いまやられております ような鉄道業者、JRとか私鉄が自分の施設を使って保育所を造るときに内装替えをす るわけですが、それに相当のコストが出る。これがいま施設整備費で出ませんので、そ ういうものに対応したり、社会福祉法人であっても、自ら施設を所有せずに賃貸でやる ケースの場合に、内装替えするときの経費が補助金で出ませんので、そういうものをこ こで考えていきたいと思っております。  その次の「認可外保育施設の認可化」ということですが、基本的には最低基準を満た す認可保育所を増やす、という姿勢で私ども進めているわけです。認可外保育所の中で 、良質なもので、自治体としてもここは是非認可化をしたい、というふうに思う所につ いては3年間の移行計画を立ててもらって移行する。そのときに、保育所の事実上の人 件費を見たり、整備のための費用を見たり、というようなことです。  それ以外でも新エンゼルプランに沿い、延長保育を実施するとか、休日保育を実施す る、病後児保育を普及するといったような命題もありますので、それぞれエンゼルプラ ンに基づいて着実にというか、場合によっては、最終年度はあと3年ありますが、もう エンゼルプランに到達している項目もありますので、是非、重点でやっていきたいと思 っております。  あと、9頁の(2)の「放課後児童」ですが、これについてもさまざまな会議で必要 な地域に、すべて受入れ体制を整備するようにということで、平成16年度までに全国で 1万5,000カ所にするという目標数値をいただいておりますので、これを実現するための 14年度予算要求をやっているところです。現在国庫補助の対象になっている所が1万カ 所ぐらいありますけれども、国庫補助の対象になっていないものも2千数百カ所ありま す。そういうことで1万5,000カ所に足りない2,400カ所を3年間で整備するということ で、来年は800カ所増設をしようということです。これもエンゼルプランを上回るスピー ドで整備をしていくということです。  以上、待機児童ゼロ作戦、あるいは放課後児童の受け皿づくりのための予算です。 ○委員  いまのご説明で、9頁の「多様な保育サービスの提供」とか「放課後児童クラブの拡 充」は、予算額が入っておりませんが、これは決定していないということですか。 ○事務局  そうではありません。どういうわけで入っていないのか私も分からないのですが、放 課後児童クラブについては、13年度の場合は60億の予算ですが、来年度はこれに10億積 み70億で要求したいと思っております。 ○委員  そうすると、1の保育をはじめとする子育て支援対策の充実の総額を超える要求にな るということですか。 ○事務局  いえ、この7,147億円の中には含まれておりますが、1の(1)「保育所待期児童ゼロ 作戦」という所がありますが、それは343億円で、この中には、いまの放課後児童の70億 円は含まれておりません。おりませんが全体の7,147億円の中には含まれております。 ○分科会長  内訳を書いていないだけですね。 ○事務局  はい。 ○分科会長  ほかにご質問はありますか。 ○委員  8頁の1の(1)の中の送迎保育施設の件ですが、これはいくつかの保育所は一緒に ステーションを設置してやるということですか。それともステーションをそのまま何か 公共的な形として造って、そこを皆で利用できるというふうに考えるのでしょうか。そ れとも民間なのでしょうか。 ○事務局  官民問わずいろいろな形があり得ると思います。自治体がステーションを造るという こともあると思いますし、例えば社会福祉法人が造るということもあると思います。こ こが保育所の機能や保育所の分園をやりつつ送迎サービスも付帯的にやることもあるで しょうし、株式会社が参入するということもあるでしょうし、経営主体については問う ておりませんので、気持ちとしてはどんどん民間に入ってきていただきたいと思ってお ります。 ○分科会長  ほかにご質問はありませんでしょうか。特にご質問がなければ次に移りたいと思いま す。  それでは次に、「平成12年働く女性の実情」「平成12年女性雇用管理基本調査」「女 性の活用推進協議会」についてのご報告がありますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局  資料No.5をご覧ください。前回審議会開催が2月でしたので、その後、発表された調 査等々の中で主だったものを今日お配りをしております。まず「働く女性の実情」です 。かなり大部のものですので特に平成12年の女性労働の動きの中で特徴があったところ だけをご報告申し上げます。8頁になりますが、平成12年の女性労働力率は49.3%とい うことでした。いわゆるM字カーブ、女性の年齢階級別労働力率は、上の表で見ていた だきますと、それでも10年前に比べまして、非常に20代後半、30代前半のところは上昇 が目立っているところです。30代後半はむしろ若干下がっているというような状況です 。特に今回、数字を見まして、特徴的でしたのは、その下のほうのグラフです。このM 字を未婚者と有配偶の方で分解をしてみますと、M字を上に引き上げていますのが、や はり未婚者の人たちの労働力率の上昇ということで、有配偶の方々につきましては、子 育て期の労働力はあまり上がっていないという結果が出ていたというのがひとつ大きな 特徴です。  それから、10頁です。平成12年の労働力調査で初めて雇用者全体に占める女性の比率 が40.0%、4割の大台に達したということで、数の増加というのは、非常に大きな勢い で進んでいるということです。それから、グラフはありませんが、10頁の下のところか ら11頁の上のところを見ていただきますと、女性の入職者、これは11年のデータですが 、そのうち、パート入職者が初めて一般入職者を上回ったということで、これも最近の 大きな特徴となっています。  それから、学校基本調査の12年のデータが出まして、この中で非常に大きかったのは 、女性でも初めて4大卒の学卒入職者がいちばん大きな割合を占めるに至ったという点 です。高卒を初めて抜いたわけでして、女性の高学歴化、特に4大へのシフトというの が明確になったというようなことが大きな特徴として挙げられます。それから、今回の 実情の中で1つテーマとして分析をしたのが、このところの非常に雇用情勢の悪化の中 で、男女で失業等の状況について、かなり違いがあったのかどうかということです。  ご承知のように去年の失業率、男女でかなり格差がありまして、平成12年の年間デー タでいいますと、男性失業率が4.9、女性が4.5%だったと思います。それぐらい大きな 差があったわけですが、この辺の違いがどういうところからきているかということで分 析をいたしております。11頁の下のグラフをご覧いただきたいと思います。バブルの崩 壊後の2回の雇用情勢の悪化をした時期、つまり今回と前回の平成3年〜5年の景気後 退期の雇用の状況でございます。  前回、平成3年〜5年につきましては、非常に大きな景気後退があったとはいえ、男 性も女性もこの期を通じて、雇用者自体の数は増えています。ところが右側の今回の不 況期、平成12年の年末までの数字で見ていますが、見ていただきますと、トータルとし ての雇用者数そのものが減っています。その中で、女性は僅かですが、増えていまして 、男性が大きく雇用者数を減らしています。これを13頁で見ていただきますと、上が第 1期平成3年〜5年、下が第2期平成9年〜12年の数字でございます。ちょっとわかり にくいのですが、下のほうを見ていただきますと、真ん中の女性雇用者については、正 規がかなり減っていますが、非正規が同じ数ぐらい増えているということで、これが女 性雇用者があまり減らなかった要因になっています。 男性のほうを見ていただきますと、正規は女性と同じように減っているわけですが、非 正規が男性の場合は、増えないということで、全体として男性雇用者の数が減ったとい うことで、非正規の雇用が増えていることについては、いろんな面がありますが、雇用 の量という意味で言いますと、非正規の部分がかなり女性については、プラスに働いた という結果が出たということでございます。以上が労働市場等の分析でございます。  今年の実情は企業の女性雇用管理の変化、特にポジティブ・アクションについて、分 析をしまして、それを業種別に見るというのが今年の女性労働の実情のテーマでござい ます。ポジティブ・アクションの実例等も沢山入れていますので、そこはまた実際に報 告をお読みいただければありがたいと思いますが、最後の頁、47頁をちょっとご覧いた だきたいと思います。全体の今回の実情での分析の総まとめということで、ちょっと簡 単に産業別のポジティブ・アクション、女性の雇用管理の成績表を付けさせていただい たような形になっています。左側の項目を見ていただきますと、大体数値化できるよう なものを中心に10項目、全体の雇用者比率ですとか、勤続の長い女性がいるかどうか、 採用で差別がないか、配置で差別がないか、管理職がいるかどうか、コース種別のとこ ろでは総合職がいるかどうか、それから両立対策として、結婚や出産退職の慣行がない かとか、休業制度の導入割合や取得率がどうかというような10本の項目を立てまして、 数値をベースにして、産業別の比較をしたものでございます。  いちばん下が「総合」ということで、これがトータルの評価ですが、面白いのはその 上の「制度面、実態面」ということで、制度的な要素が強い数字と実態的要素が強い数 字の2種類に分けて取り上げた部分でございます。平均的な業種を☆印3つということ にしました。いちばんいい所が5つ、いちばん悪い所が☆印1つということで、ちょっ と乱暴に成績表をつけています。  見ていただきますと、残念ながら、建設業が非常に、制度面でも、実態面でも☆が1 つしかなかったということでございます。製造業につきましては、実態は平均値ですが 、制度面はやや、それより劣る、運輸と通信、これは違うタイプの業種を一緒にしてい ますので、中身はまた違った面があろうかと思いますが、これが制度面、実態面でちょ うど平均点でございます。卸売・小売業が実態面が平均点、制度面ではやや整備ができ ている。それから金融・保険業については、悪口を言うわけではありませんが、制度は 満点なのですが、実態は平均点しかないということでございます。逆にサービス業が制 度面はまだ平均点ですが、実態的な数字を見ると、かなり進んでいるというようなこと で、業種別の特徴が出ているということでございます。これにつきましては、業種でも 、これだけ違うので、自分の企業の実態に合った形で女性活用のその企業なりの施策を 進めてくださいというPRにこれから活用をしていきたいというふうに思っています。 以上がまず実情のご報告でございます。  それから、もう1つが資料6でございます。女性雇用管理基本調査の12年度の調査結 果が出ていますので、これをご覧いただきたいと思います。これは毎年、企業の女性雇 用管理について、テーマを変えて、調査をしているものでございます。今回の調査では 、企業規模30人以上、本社の常用労働者30人以上の民営企業7,000社を対象にした調査で ございます。中身は均等関係を中心に調査をしていますので、ご覧をいただきたいと思 います。主立ったところだけ、ご報告したいと思います。まず4頁を見ていただきます と、4頁の下に「採用状況」がございます。グラフのいちばん左の灰色の所がそれぞれ の採用区分ごとに、どれも男女ともに採用しましたよ、という企業の割合でございます 。  例えば、4大卒の事務・営業系では43.8%の企業、技術系ではさらに小さくなりまし て、29%の企業が男女とも、ということでして、結果として男性のみになった、結果と して女性のみになったということもあるわけですが、そういう意味では男女ともの採用 企業の割合というのはそんなに、まだ多くないという状況にあります。  後で詳しく見ていただくといいと思いますが、5頁のコース別雇用管理の導入状況を 調べた調査を平成元年からやっていますが、中堅以上、300人以上の規模でコース別雇用 管理の導入割合の企業が初めて減りました。そういう意味では、大企業はこういった雇 用管理というのを少し方向転換を始めた所も多いのではないかと受け止めています。そ れから、10頁ですが、非常に注目される数字として、女性管理職比率があろうかと思い ます。そこの折れ線グラフを見ていただきます。時系列ですが、平成12年係長クラス7.7 、課長クラス2.6、部長クラス1.6ということで、なかなか増えていかないという現状が 出ています。  ただ、係長も減ったのかと言われますと、統計でございます。多少の誤差があります ので、11頁の上のほうを見ていただきますと、「自分の会社としては、3年前と比べた ら増えたよ」というお答えの企業もかなりありましたので、むしろ横這い、微増という のが実態かと思いますが、そういう意味では数字の上でグングン上がっているという状 況ではないということであります。それから、12頁ですが、ポジティブ・アクションに 取り組んでいる企業の割合というのが役所のデータとして初めて出てくる数字だろうと 思いますが、取組み状況を聞きましたところ、ポジティブ・アクションに実際に取り組 んでいるという企業の割合が26.3%、ちょうど4社に1社の割合でございます。特に、 やはり経営の合理化を進めるためという動機が非常に多うございましたが、それでも4 社に1社は既に取り組んでいるという数字が出たことでございます。簡単ですが、以上 のような調査結果が出ています。  この4社に1社が取り組んでいるポジティブ・アクションにつきましても、もう少し 取組みを広めたいということで、資料8をご覧いただきたいと思います。ポジティブ・ アクションにそれぞれの企業が積極的に取り組んでいただくということで、この問題に 取り組むためには、やはり企業のトップの方の意識が変わることが非常に大事でござい ますのでそこを財界のトップの方々に参加をしていただいて、意識改革をし、ポジティ ブ・アクションを進めていこうということで、日経連さん、中小企業団体中央会さん、 商工会議所さん、皆様方にご協力をいただきまして、推進協議会を立ち上げたところで ございます。  開催要綱とメンバー表が後ろに付いています。(株)リコーの浜田会長に座長をお願 いし、ジェーシー・フーズネットの大河原愛子会長に座長代理をお願いをしまして、経 営トップを中心として、また経営者団体の代表にもお入りをいただいた、こういう会議 を立ち上げてございます。年度内から、来年初めにかけてでしょうか、財界の方々の言 葉で、企業にポジティブ・アクションの推進を呼びかける形の提言のようなものをお出 しいただくというのを第一弾の活動として実施をしたいということで、こういったもの も立ち上げています。以上でございます。 ○分科会長  いまのご説明について、ご質問がございましたら、どうぞ。 ○委員  お願いなのですが、星取表が非常に興味があって、教えていただいたのですが、こう いうものをどういうふうに行政に生かしていくかなということを考えますと、ある時点 で、建設業があまり評価されていないとか、あとがまあ評価されているというのも、や はり方向性を議論すべきだろうと思います。例えば、去年に比べて、今年はこの企業に おいて、こういう業界において、この点が改善されているというようなことが重要なポ イントになってくるのではないかと思いますので、是非これを継続して、前の年との比 較、ここについて進めていただけたら、行政評価にもつながってくるのではないかとい うふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 ○分科会長  どうぞ。 ○委員  いま各都道府県で参画基本法に基づいた計画条例づくりが進んでいますね。一部の報 道で、私の記憶に間違いがなければ、例えば神奈川県の条例は、いま樋口先生がおっし ゃった、企業によって労働者の女性雇用率がどれだけの割合なのか、それからポジティ ブ・アクションをどういうふうに考えるかによって評価すると。そして公的取引につい て、褒めることと同時に公的取引についても検討するという意味であると新聞で見たの ですが、そういう各県の女性の雇用における参画についてのプランを、都道府県レベル の行政措置もかなり大きいと思いますので、少し参考までにまとめていただければと思 います。 ○事務局  気が付けば、できるだけ条例を集めるようにしていますので、ちょっと情報収集をし てみたいと思います。 ○委員  人事院は……ですね。 ○事務局  はい。まさに国家公務員のポジティブ・アクションでまず実態把握をし、各省庁ごと に女性の採用、配置転換、昇格、これについて行動計画を立てろということになってい まして、各省庁、それぞれ取り組むということに、いまいたしています。 ○委員  平成12年の働く女性の実情のご説明を聞いて、ポイントのほうを伺って、ちょっと大 雑把な感想なのですが、雇用情勢が大変厳しい中で、数字的には女性雇用者が、これは 大方の予測どおり、増加をしているというのは、ますます女性自身の主体的な仕事への 積極的な参加と同時に、環境づくりが必要だなと、まず思いました。併せて非正規、正 規という使われ方ですけれど、例えば自分の職場を見てみますと、やはり正規であれ、 非正規であれ、気持よく働ける職場というのが非常に重要なんですけれど、そこには非 常に労働条件がまだまだ、いわゆる格差という問題が課題として多くあります。私はパ ートタイム労働だけを取り上げるということでなく、雇用情勢を、こういう時こそ幅広 くいろいろ検討するときに、この分科会が積極的にそういう非正規というか、正社員で ない人も気持よく働くことが、結果として企業にとっても、非常に有効な企業が求める 効率性であったり、合理性であるということは、間違いないと思います。  そうでないと、先ほど制度と実態のギャップが星取の中にもありましたが、非常に労 働組合の課題でもあるのですが、制度があっても利用できない理由の中に、そこにやは り非正規の人が一緒に働く職場にあって、遠慮したり、そういうものを取ることが正社 員にとって、非常に取りづらいような、同じように働く、違う社員が居るのに、「お前 は取るのか」みたいな、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、結果としてお互いに 両立したいけれど、誰かに遠慮して、それを利用しないというような実情も実は職場に はあります。  そういう様々なことを、雇用総体が増えるということの中でも、非正規の人たちも気 持よく働く職場というのがますますテーマになると、ちょっと感想として思いました。 それをちょっと申し上げたいと思いました。 ○分科会長  ほかに何かございますでしょうか。特に何かございませんようでしたら、次に移りた たいと思います。次にパートタイム労働研究会についての報告がございますので、お願 いいたします。 ○事務局  お手元の資料7に基づいて、ご説明いたします。研究会の委員名簿などを載せてなく て恐縮なのですが、今日ご出席されている佐藤委員を座長にいたしまして、学識経験者 の方にお集りいただいて、今年3月から研究会を立ち上げています。いままで、いろん な形でパートタイムの問題について検討がなされてきたわけですが、さらに1歩進める ことができないかということで、来年6月ぐらいまでを目処にして、検討をしたいとい うことでございます。お手元の資料は、そのパートタイム労働研究会の検討課題につい て、いくつか資料を持ってきたものでございます。  最初の1枚目と2枚目以降を切り離していただきながら見ていただきますと、まず現 在のパートタイムを取り巻く問題ということでございます。2頁を見ていただきますと 、全体の労働者の中で、パートの割合が20%、1/5という状況になってきていまして、1, 000万人を突破をしていて、日本の雇用システムの中で、ある意味ではバッファーという ふうに位置付けられた労働者の数が、相当大きな存在にもう既になっているということ でございます。  先ほど、村木課長のほうからもございましたが、最近の雇用情勢の中で、非正規の部 分が非常にウエイトを上げているということと、パートの増大ということは、非常に絡 まり合っているものでして、こういったところに処遇なり、雇用の安定というものがな いと、不安定雇用が拡大する恐れがあるということが1点目でございます。  それから、5頁を見ていただきますと、パートの賃金がどうなっているかということ でございます。これは賃金構造基本統計調査の中で、数字を出しているものですが、女 性のところの格差、一般を100とした数字を見ていただきますと、年々格差が拡大をして いるという状況が見て取れるわけでございます。これは統計の数字ですので、その間の 労働者の構成の変化とか、そういうようなことも勘案するとどうなるかということは定 かではありませんが、そこも含めて、この研究会の中で検討をしてみたいと考えていま す。ただ、統計上見る限りは、どうも格差が拡大をしているという状況があるというこ とでございます。  それから、6頁ですが、その非正規、あるいはパートが増えているという状況は、1 つはやはり企業が置かれている環境というものが非常に厳しいということが反映をされ ていると。この上の図を見ていただきますと、労働分配率が年々上がってきています。 こういう中で、企業としてはできるだけ人件費を削減する必要があるというような状況 の中で、非正規を増やしているという状況があるということでございます。したがって 、後ほど申し上げますが、処遇の均衡という問題を考えるときにも、この企業が置かれ ている状況というものを踏まえた形で、対応していくということが必要になるのではな いかということでございます。  それから、7頁をお開きいただきますと、パートタイマーと一口に言いましても、そ れは一様ではないということでございます。ここで挙げていますのは、いわゆる短時間 のパートと、その他のパート。これは「その他のパート」というのは労働時間がフルタ イマーとほとんど同じパートというところを計上していますが、現在の就業形態につい ては、理由を聞いてみますと、短時間パートとその他のパートでは、かなり状況が異な っていると。短時間パートの場合は、「勤務時間や労働日数が短いから」、「あるいは 自分の都合のよい時間に働けるから」という、割と積極的な理由でパートを選んでいる という方が多いわけですが、白い所、「その他のパート」を見ていただきますと、「正 社員として働ける会社がなかったから」というような、いわゆる非自発パートというよ うな傾向が出ています。  下のほうの「満足度」という所を見ていただきましても、例えば、2番目の「賃金」 、短時間のパートにつきましては、かなりDIで見ても、満足度が高いという状況が見 られる半面、「その他のパート」については、それが非常に少ない、不満が多いという ような状況が見て取れますし、いちばん下の「職業生活全体」の所を見ていただきまし ても、「短時間のパート」については、かなり満足度が高いというような傾向も出てい ます。ただ、その一方で、8頁をご覧いただきますと、非自発的なパートタイム比率と いうのがここ数年上がってきているというような状況も見られるわけでございます。パ ートといっても、一色ではない、画一的な対応ではなかなか問題は解決しないというこ とが言えるかと思うわけでございます。こうした問題を踏まえまして、今回の研究会で の検討課題ということで、3点挙げられています。  まず、9頁を見ていただきますと、ここに問題が集約されていると思うわけですが、 上のほうを見ていただきますと、企業がどうしてパート、アルバイトを雇用しているか という所を見ますと、「人件費が割安である」と。まさにコスト志向の下でパート化を 進めているということが実態としてある。しかしながら、下のほうを見ていただきます と、その一方で企業はパート、アルバイトに正社員と同じ基幹業務を行ってもらう、あ るいは専門知識、技術が必要な業務を行ってもらうと。かなり基幹的な所にパートの役 割というものを期待している。ここにコスト志向でパート化を進める一方で、パートタ イムが非常にウエィトとして上がってくる中で、パートの人たちに基幹的な役割を求め ざるを得ないという、こういう二律背反的な状況があるわけでございます。  こういったことも含めて、雇用システムの中でのパートの位置付けを一体どういうふ うに考えていくのか、そういう位置付けを明確にした上で、ではどういう方向性という ものがあり得るのかというようなことを総合的に検討する必要があるのではないかとい うことでございます。1枚目の2.のカッコの中に書いてありますように、この研究会 の取りまとめにつきましては、1つ考えていますのはパート法第5条に基づく基本方針 の策定につなげていきたいということがございます。ただ、検討の過程で、いろいろな 必要性ということが出てくるとすれば、パート法3条に基づきます事業主に対する指針 を改正する、あるいはパート法の改正ということも視野におきながら、検討していきた いと考えています。  検討課題として、3点挙げていますが、1点目は均衡処遇の実効性の確保、という問 題でございます。これにつきましては、昨年4月に、やはり佐藤先生を座長にいたしま して、通称物差し研と言っていますが、研究会の報告書が出ています。10頁にその考え 方をフローチャートにしたものがありますが、これはあくまでも均衡という問題、パー ト法の中に位置付けられています均衡という問題を労使が話合いをして、適正な姿にも っていくときの拠り所として、この考え方を使ってくださいという形で報告がなされた ものでございます。現在、二十一世紀職業財団を中心として、この報告書については、 労使に対する周知を積極的にやっているところでございます。  今年の11月のパート旬間におきましても、この問題については、十分に周知を図って いきたいと考えているところでございます。ただ、この均衡処遇というものを進めてい く際の視点といたしまして、いくつかのことに注意する必要があるのではないかという ことで、この(1)に3つ書いてあります。1つはタイプ別の対応ということでござい ます。先ほども申し上げましたようにパートの意識、あるいは就業実態は、一色ではな いということにでして、そういった違いを考慮に入れた対応というものが必要ではない かというのが1点です。  それから先ほども申し上げましたが、企業のおかれている環境条件も非常に厳しいと いう状況の中で、均衡処遇を図るということが企業にとって、単に雇用コストの増大を もたらすというようなことでは、なかなか問題の根本的な解決にはならないだろうとい うことで、企業、労働者の双方のメリットを考慮した仕組というものを考える必要があ るのではないかと。これにつきましては1982年にワッセナー合意を行いましたオランダ モデルというものがございます。こういったものについての研究ということもしながら 、いいやり方があり得るのかどうか、そこの道を探っていきたいと考えています。  それから、3番目はいわゆるBパートの処遇改善にもつながる仕組ということで、B パートというのは何かといいますと、正社員と仕事が同じであるという場合については 、これは処遇を合わせていくということが物差し研の中でも方向性を出されているわけ ですが、正社員と仕事の内容が違うというパートタイムにつきましては、これは当然差 があるということが合理的なこととしてあるわけですけれども、ただその場合にどこま でその差が合理的であるのかということにつきましては、非常に議論が難しいという面 がございます。ただ、そういったことも視野に入れて、検討をしていく必要があると考 えています。この問題は、おそらく過去3番目の就業調整問題の対応というものと、か なりかかわりがあると考えています。  それから、(2)の所で「キャリアアップルートの導入促進」ということでございま す。キャリアアップというものを、パートについて図っていくと。それをある意味で処 遇というものとリンクさせて考えていくという発想でございます。先ほど、片岡委員の ほうからも、非正規問題という枠組の中で、非正規を含めて気持よく働ける職場という ようなお話がございましたが、こういったことを進めていくということが1つ、重要な 視点ではないかということでございます。1点目は内部市場におけるフルとパートの転 換、これを促進する仕組ということでございます。これは現在、育介法の改正の中で、 短時間勤務制度についての拡充の方向性というようなものも、出されているわけでして 、こういったことを通じて、いままでフルで働いていた方が短時間勤務に移れるような 、またそこからフルタイムに帰ってこられるような、行き来のできる仕組を作っていく 必要があると考えます。  さらに、それはまさに内部市場の中での動きであるわけですが、外から入ってきたパ ートの方々がその中で基幹的な役割を担っている方々が内部市場に段階的に入っていけ るような仕組というものを併せて考えることができないだろうかということで、パート のキャリアアップ制度、中でも短時間正社員制度というようなものを、企業の中で導入 を促進していくような策がないだろうかということを考えています。  それから、パートの方の正社員への転換可能性を広げる施策、これも現在パートの指 針の中で、努力義務として掲げられている項目がありますが、そこについて、さらに1 歩進めるということができないかどうか、そういうことも含めて検討したいということ でございます。  (3)は「就業調整問題への対応」ということで、就業調整というのは、ご案内のよ うに、税、社会保険がかからない年収の範囲で働こうという行動パターンが出るという ことに伴う問題でございます。これは当然、賃金が上がりますと、その天井に貼り付い てしまいますと、時間を調整して就業調整の世界の中で、働くということになるわけで ございます。そういう意味では賃金上昇インセンティブということをかなり減殺させる 効果があるわけでして、この問題をどういうふうに考えていくのか、先ほどの処遇均衡 の問題とリンクして、考えていく必要があるのではないかということでございます。  それから、年金財政という観点からいたしましても、当然事業主にとって、処遇調整 の範囲内で働いてもらうということは、保険料等もかからないわけですから、雇用コス トという意味では、非常に低減である、そちらのほうにどうしてもシフトしていくとい うことになりますと、保険料を支払う形の正社員の部分がどんどん細っていくという形 の中で、まさに悪循環が起こる可能性をはらんでいる問題でして、そういう観点からも 個々この適用の問題をどういうふうに考えていくのかは、非常に重要な問題でありまし て、年金局ともよく相談をしながら、個々の問題についても詰めてまいりたいと考えて います。以上、何回もパートについては、これまで検討が行われているわけでして、た だ非常に、こういった厳しい経済情勢の中で、労使の意見も非常に開きがある中で、ど ういう一歩が踏み出せるのか、そこは非常に悩ましいところでもございますが、これか ら、また研究会の中での議論も、労使の方々にいろんな形でご相談をしながら、よりよ い方向性を見出したいと考えていますので、よろしくお願いいたします。 ○分科会長  ただいまの説明について、何かご質問ございましたら、どうぞ。 ○委員  最初に今後の大まかなスケジュールについて、もう少しお聞かせ願えたらということ と、2つ目に、この研究会と雇用均等分科会との関係が今後どういうふうになってくる のかということ、それから3点目に、検討課題の(3)にあります「就業調整問題」は 以前からずっと問題の指摘がされてきた課題だと思いますが、この検討の仕方について 、どの程度のことを今後想定されたり、いまの研究会の中で議論されているのか、もう 少し詳しく教えていただけたらと思います。 ○事務局  まず、スケジュールの点ですが、一応来年6月ぐらいまでに報告書を取りまとめてい ただこうと考えていますが、その前に来年1月ぐらいを目処に、中間報告的なものを出 していきたいというふうに考えています。ですから、この年内にかなり精力的に研究会 をやっていただきまして、その結果を中間報告に反映させていきたいということでござ います。それから、均等分科会との関係につきましては、当然これは学識経験者の研究 会でございます。そこで出された方向性につきまして、実際に実施していこうというこ とになりますと、労使の方々を含めた合意形成というものが必要になります。したがっ て、どういう結論になるにいたしましても、この均等分科会にお諮りをして、最低限来 年末ぐらいに先ほど申し上げましたパート法第5条に基づく基本方針を策定しようとい うふうに考えていますので、その中身につきましては、いろいろとこの均等分科会の中 でご議論いただきたいと考えています。  それから、3点目の就業調整問題ですが、これは一義的には年金制度をどうするかと いうことがございます。年金制度の改正のスケジュールというのは次の財政再計算との タイミングというものがあって、これは相当先になるということですので、今年、来年 の間にどのぐらいの方向性が出せるのかということにつきましては、それほど具体的な 方向性が出せるかどうかというのは、若干疑問がございますが、ただ我々としては先ほ ど申し上げましたような問題意識から、この問題について、ある方向性を出すというこ とは、非常に重要だと考えていますので、この研究会としての考え方はできる範囲の中 で出していきたいと考えています。 ○委員  今日の報告をどういうふうに受け止めていいか、ちょっと苦慮しています。先ほどの 分科会との関係でいうと、基本方針の策定ということにつながった場合には、当分科会 で議論する必要があるかもしれないという、制限付きのいまの課長の言い方なんですが 、ちょっとその辺がよくわからない。したがって、パート法第5条に基づく基本方針と いうのは、いまはないわけですね。パート法施行法はないわけですね。なくて、パート タイム法というのは何となく……したと。私は前の女少審から入ってきて、物差し研の 話を聞いたときに、なぜパート法の作成をやらないのと。それがまずあって物差し研な ら分かるが、ない中で物差し研なんかやるのは、順序が逆ではないかという話をしてき たのですが、その辺の認識はいかがでしょうか。  私は専門家ではないのですけど、パート法に「大臣は基本方針を定める」と書いてお きながら、前のほうを見ると、できるんですかねというのは基本的なことなんですね。 そういう意味では、いままでの行政の対応の仕方について、どういうご認識をお持ちな のか。まだ、「策定につなげる」と書いているけど、逆にいうと、つながるかどうかも わからないわけですね。その辺を、ちょっとどういうお考えですか。 ○事務局  そこはですね、やるかどうかということについては、また皆さん方にいろいろご相談 しなければなりませんが、我々の気持としては、当然これはやらなければならないとい うふうに考えています。いま13年度のパートタイム総合実態調査をやっているところで ございます。この前の調査が平成7年の調査ですので、それからの新しい状況を踏まえ た形で、是非基本方針を策定したいと考えています。限定付の分科会への審議かという お話ですが、これは我々の気持としては基本方針については、必ず来年12月までに策定 したいと考えていますので、そういう考え方で皆様方にもご相談したいと考えています 。  さらにこの研究会の報告書につきましては、当然まとまった段階でこの均等分科会で ご報告という形になりますが、ご審議をいただくというふうに考えています。 ○委員  研究会のほうで、皆さんご苦労なさっていらっしゃるのだろうと思いますが、やはり 、どうもパートタイマーの女性を見ていると、雇用条件が改善するどころか、逆に悪化 の一途を辿っているといったことが、事実いろんな統計で示されていると思うのですね 。これに歯止めをどうかけるのかというような視点がないと、さらに底抜けになってし まう可能性が私はそろそろ出てきていると。日本経済全体を考えて思っていまして、こ れはどうしても、ここについての歯止めというのは、制度なり法律なりによって担保し ていかないと、市場に任せればいいというような話ではないのではないかと思っていま す。よく規制改革の話で、何でも自由化というような話がありますが、やはり最低限の ところは担保していく必要があると、これはどんな経済学者でも言うことだろうと思い ます。差別の禁止、これはもう当然のことでありますし、どういうふうに自由競争の土 俵を用意していくかというのは、もう制度なり法律なりで担保していかなければいけな いわけでありまして、そこの所にこの問題は差しかかってきているのではないかと思う ところがありまして、早急に検討することが必要になっているのではないかと思います 。以上、意見です。 ○分科会長  ほかに。 ○委員  検討の方向についての要望というか、意見ですけれども、やはり1つは足下の雇用情 勢というのは無視してはできないだろうと思います。そういうものをよく加味しながら 、やっていただきたいということが1つです。それから、やはり今後規制改革なりで挙 げられている、いろんな項目があるわけですが、多様な働き方、新たな働き方がいろい ろ出てくると思います。例えば、有期雇用の問題でも、1年という問題があるわけです けれども、私どもはこれを5年にするということを要請していますが、もちろんモラル ・ハザードの問題も含めて考えないといけないわけですが、1年を5年にして、労働者 、使用者双方が一定の責任をきちんと持ちながら、働ける仕組を作っていくべきだとい う観点から、1年を5年と言っているわけです。  そういう問題というのがどういうふうにパートの問題に影響しているかということも 、加味しながら、ご検討願えればと思います。 ○分科会長  ほかにご意見ございますでしょうか。 ○委員  就業調整問題は年金……、樋口先生のやられた雇用均等政策研究会には「税制、社会 保険」とあります。これは税制もやると理解していいのですか、検討するというのは。 年金だけですか。年金が中心で、税制はその後ということですか。 ○事務局  これもいろいろご議論いただきたいと思いますが、税制につきましては、103万円の壁 というのは、特別控除制度によりまして、逆転現象はないという状況がありますので、 1つはそういう逆転現象がないということをもっと多くの方々に理解をしていただくと いうことが、まず必要ではないかと考えています。 ○委員  経済財政諮問会議のほうはスタンスがはっきりしていまして、税制については配偶者 控除、配偶者特別控除を含めて廃止の方向を打ち出すというようなことになったわけで す。そうなると、増税になってしまう可能性があって、そこをどういうふうに考えるか というようなところで、いま議論が進んでいます。ですから、この研究会のほうはどう いうスタンスを取るかわかりませんが、ここではそういうスタンスを取ったということ だろうと思います。 ○事務局  さらに言えば、企業の賃金制度、配偶者手当の問題なのですが、それも背景にござい ますので、パート研究会はそれも、たぶん視野に入れた結論をお出しいただけるのでは ないかと思っています。 ○分科会長  ほかに、何かご質問ございますか。特にございませんでしたら、この問題は一応これ で終わりまして、次に育児介護休業法の一部改正法案について、報告をお願いいたしま す。 ○事務局  育児・介護休業法の改正につきましては、本年2月に労働政策審議会に法律案要綱を 諮問いたしまして、当分科会におきましても、2回にわたりご審議をいただいたわけで ございます。その後、2月20日に閣議決定を経まして、育児・介護休業法の一部改正法 案を国会に提出したところでございます。第151回の通常国会におきまして、本年6 月に衆議院本会議で質疑がなされまして、厚生労働委員会に付託されたわけでございま すが、審議未了ということで、継続審議の扱いになったわけでございます。  さらに、第152回の臨時国会がこの8月に4日ほど開かれていますが、ここにおきまし ては、実質的に審議をする機会はございませんでしたので、重ねて継続審議扱いの決定 がなされているというのが現状でございます。次回開かれる国会におきまして、速かに ご審議の上、成立させていただきたいと考えていますが、本案が成立いたしますれば、 また省令の改正案、それから指針につきまして、当分科会でご審議をいただくことにな ろうかと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。以上でございます。 ○分科会長  ただいまの報告につきまして、何かご質問はございますか。特にご質問、ご意見がご ざいませんでしたら、本日の分科会はこれで終了したいと思います。本日の署名委員で ございますが、佐藤孝司委員と須永委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いし ます。本日は大変お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございました。 (連絡先)  厚生労働省雇用均等・児童家庭局  雇用均等政策課法規係   03−5253−1111(内線7836)