01/07/26 女性の年金の在り方に関する検討会第9回議事録 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第9回)」 議  事  録 厚 生 労 働 省 年 金 局 年 金 課          「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の 在り方に関する検討会(第9回)」議事次第 日 時 平成13年7月26日(金)10:00〜12:05   於  全国都市会館 第1会議室 1.開  会 2.委員出席状況報告 3.議  事   女性と年金に関する諸外国の年金制度について 4.閉  会 ○袖井座長  それでは、定刻になりましたので、まだ、局長さんがお見えになっておりませんが、 ただいまから「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討 会」を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうご ざいます。  それでは、事務局より委員の出席状況を報告していただきます。 ○中原企画官  本日の委員の出欠状況について、ご報告申し上げます。本日は藤野委員と堀岡委員が 所用のため欠席されております。その他の委員は全員出席しておられます。 ○袖井座長  それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は、ご案内のとおり、事務局から 「女性と年金に関する諸外国の年金制度について」ご説明を受けたいと思います。かな り長くなるかもしれませんが、説明の後で皆様方から質疑を受けたいと思いますが、事 務局よろしくお願いいたします。 ○度山年金課補佐  それでは、以前からご要望のございました、女性と年金に関する諸外国のとられてい る措置などを調査をしてまとめた結果をご報告申し上げたいと思います。資料を3種 類、資料1という1枚の紙、資料2というやや厚めの紙、資料3、年金分割について記 した紙、あと参考で若干資料をつけております。  まず、あらかじめお断りさせていただきますが、この資料をまとめるに当たりまし て、できるだけ現地の資料に当たって情報を確認するために、実は昨日の晩までかかっ ていろいろ情報収集をしておりました関係で、今、お手元にある資料は事前にお送りし たものから若干細部にわたり修正を施しております。今お手元にある資料で、この検討 会の資料ということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 もう一つは、調べていく中で非常に強く感じましたのは、国によって制度の体系です とか、あるいはもっと言えば、社会背景というものが随分異なるという中で、いろいろ な措置がとられているということでございますので、ある国でとられている措置をその ままストレートに日本の国に当てはめるという単純な議論はできないということをつく づく感じました。そういうことも併せて前提にした上でご説明をさせていただければと 思います。 まず資料1の方でございますけれども、今回主に調査をいたしましたアメリカ、イギ リス、ドイツ、フランス、スウェーデンの5カ国の年金の大きな体系を一つの表にまと めてございます。最初に国名を、その次に公的年金の体系を記してあります。図はちょ っとわかりにくいかもしれませんが、横軸に現役時の所得や収入、縦軸に、それらを反 映した年金額を図示し、どういう体系になっているかを説明してあります。  次の欄が対象者でございまして、どういう方を対象に制度が運営されているかという ことでございます。「◎」と書いてあるのが強制適用される対象、「△」になっている のが任意加入を認めている。「×」というのは、非加入と申しますか、保険料を納める 対象にならない、被保険者にならないという扱いでございます。ただし、対象にならな い人に対しましても、別の形で年金制度上給付が行われるということは各国ともあるよ うでございまして、給付が受けられるかどうかということとは別に、保険料を払う被保 険者となるかならないかということで、この対象者の欄については整理をしておりま す。  次の欄にいきまして、保険料率。  一番右側は平均的な給付額をまとめております。平均給付額のところでのお断りでご ざいますけれども、(注)にありますように、平均年金額につきましては、実は国によ って最低加入期間に差がありますので、短い期間でも給付を出すという国については、 その短い期間の給付額も含めた平均になっており、これでもって各国の年金水準を単純 に比較することはできないということをご留意いただきたいと思います。  それから、円に換算して水準を把握するに際しまして、1999年の平均レートと、経済 企画庁が毎年、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの4カ国につきましては、購買 力平価を試算をしておりますので、その2つのレートで年金水準を円換算をして示して おります。  この第1表を横において見ていただきながら、資料2、「女性と年金に関する諸外国 の年金制度について」というところのご説明に入っていきたいと思います。  まずアメリカです。2000年時点のデータでまとめました。加入対象になっていますの は、収入のある方(自営業の場合は年 400ドル以上の収入のある者)が強制加入対象に なっている。全く収入のない人は加入できないといいますか、被保険者にならない、保 険料を納めないということでございます。  保険料は、報酬比例の体系で12.4%、サラリーマンの場合は労使折半ということでご ざいます。  年金給付は報酬比例体系になっておりますが、この検討会において何度か話題になり ましたように、スライド後の平均月収に対しまして、最初の 531ドルまでは90%、その 次の段階は32%、更にその上は15%という3段階の乗率と申しますか、給付率を掛けて 年金額を算出する方法がとられております。  年数ですが、加入期間、要は保険料を納めた期間が10年間以上必要ということになっ ております。やや詳しく申し上げますと、加入歴の中で報酬額の高かった35年(420 月) 分を足し合わせ、これを 420で割りまして、スライド後の平均月収を算出をいたしま す。それを先ほどご説明をいたしました計算式に当てはめて年金額を出すということで す。したがいまして、例えば平均的な賃金が低かったという方、加入した期間が短かっ たという方につきましては、計算式に当てはめますスライド後の平均月収が小さくなっ てしまうわけでございますけれども、最初の低い部分は90%という代替率で保障されて いますので、相対的には賃金が低く、スライド後の月収が低かった者でも、ある程度の 給付が保障されるという意味では、基礎年金に近い仕組みと考えることができると思い ます。 このような体系だということを前提に、女性と年金に関します制度を見ていきたいと 思います。 まず、「パート労働者に対する適用」ですが、この点については、収入を有する者につ いては、雇用形態の如何を問わず適用されておりますので、例えばアルバイトなどの場 合でも、社会保障税が引かれているということでございます。ただ、年金額算定の根拠 となる保険料記録は、一定の下限がありまして、年 780ドル以上の収入について記録が 行われる。その記録を積み重ねていって、先ほど申し上げスライド後の平均月収を算出 するということになっているようでございます。  2番目に「被保険者の保険料納付に基づく配偶者に対する年金給付」、すなわち、配 偶者の一方が保険料を納めたということを根拠に、もう片方の配偶者に対して、給付が ありやなしやという点であります。これにつきましては、「配偶者年金」という仕組み で、実際に保険料を納めておりました被保険者の65歳以上の配偶者に対しましては、被 保険者に給付される年金額の50%が配偶者年金として給付されます。このため、夫婦で すと被保険者本人の年金額と比較して、150%支給される仕組みがとられております。 では、ご夫婦の両方とも保険料の納付記録を持っている場合はどうなるかと申します と配偶者自身も自分の保険料納付記録を持っており、それに伴って年金額が出てくる場 合にはその額だけ配偶者年金は減額をされるという仕組みになっております。すなわち 自分の老齢年金の額が、もう片方の配偶者の方の給付の50%以上になるような場合につ いては、この配偶者年金は受給できないということになります。また、もう片方の配偶 者の年金の50%より下回る場合においては、まず自分の年金が出て、それから50%との 差額が配偶者年金として給付されるという仕組みになってございます。 それから、一方の被保険者が亡くなった時点でどうなるかということでございます が、これは後でご説明いたします寡婦年金というものに切り替えられまして、被保険者 に出ていた額の 100%が出ることになります。夫婦で 150%受給をしていて、配偶者が 亡くなったときにはそれが1人分の 100%になる仕組みでございます。また、10年以上 の婚姻期間がある場合については、たとえ一緒にお暮らしでなくても、離婚をした元配 偶者に対しても、この50%の配偶者年金が保障されるという仕組みになってございま す。 次のページにまいりまして、「遺族年金」の仕組みでございます。遺族年金の場合、 各国によっていろんな仕組みがございますが、子どもを養育しているかいないかという ことで制度が違っている場合が多いので、子を養育する遺族配偶者に対する年金と、子 どもを養育していない遺族配偶者に対する年金と分けてまとめてみました。  子を養育する配偶者に関しましては、「養育者年金」が支給されます。これは亡くな った被保険者が一定の加入要件を満たしておりました場合に、16歳未満あるいは障害を 有する子どもを養育しており、再婚をしていない配偶者に対しまして、被保険者の年金 額の75%が養育者年金として給付をされる仕組みになっております。  それから、実は同額の給付が遺児年金として子どもに対しても給付をされる仕組みに なってございます。  ただ、この場合に、一定の所得制限的な制約がございまして、65歳未満の受給者の場 合については、年額1万80ドルを超えるほかの収入がある場合には、超えた部分の半分 を給付額から減額されます。所得が2増えると年金が1減る形で年金額を調整する仕組 みになってございます。  それから、1人の保険者の保険料記録で受給できる合計額に上限が設けてございま す。これはアメリカの遺族年金は、いわゆる寡婦、遺児のほか、被保険者の親が被保険 者に扶養されていた場合には、親にも出たりするものですから、家族全体での一定の上 限を設けております。上限を超える場合にはそれぞれ減額をされる仕組みになっており ます。  それから、自身の老齢年金や障害年金との調整ですとか、あるいは10年以上の婚姻期 間がある場合に、離婚をしていたときの取扱いについては、配偶者年金と同等の措置が とられております。  それから、子どもを養育していない配偶者でございますけれども、亡くなった被保険 者が一定の加入要件を満たしておりました場合、60歳以上又は50歳以上で障害のある再 婚していない配偶者に対しまして、被保険者の年金額の 100%が給付されるという仕組 みになってございます。ですので、若い遺族配偶者に対しての給付ではなくて、高齢に なって出る年金と考えられます。 この年金の受給権を得た後に再婚しても、この給付は支給され続けます。 先ほどご説明をいたしました所得制限、自身の老齢年金がある場合の調整、家族の上 限、離婚時の取扱いについては同じルールが適用されることになっております。 それから、育児期間についての特別な取扱いですが、私ども調査した範囲では特別な 措置は見つかりませんでした。 続きまして、イギリスの方にまいります。 イギリスの制度体系は、一定額以上の所得のございます16歳以上の者が強制加入にな っております。所得がこれに満たない者については任意加入という途が開かれておりま す。 保険料につきましては、サラリーマンと自営業者でやや異なる扱いをしておりまし て、サラリーマンの場合は報酬比例体系で労使合わせて22.2%という保険料が適用され ておりますが、これは資料1の体系図を見ていただけるとおわかりのように、イギリス の場合は2階建ての構造をとっておりますので、所得比例の付加年金の分も含んだ保険 料として徴収されます。また、自営業者の場合は、定額+年 4,535ポンドを超える所得 の7%という保険料が賦課されております。  年金給付に関しましては、サラリーマンは定額の基礎年金と報酬比例の付加年金の2 階建てであり、自営業者については定額部分のみという構造になっております。  加入年数の要件は、男子11年、女子9年9カ月となっております。これは男性で申し 上げますと、44年保険料納付して満額の基礎年金を受けるという構造になってございま すが、全体の4分の1の期間を満たしている者について支給がされるという要件になっ ております。  次に、女性と年金に関係をいたします幾つかのポイントについて見てまいります。ま ず「パート労働者に対する適用」でございますが、週72ポンド(約1万 3,000円) 未満 のサラリーマンにつきましては、強制加入が免除されております。このような方につい ては、先ほど申し上げたように、任意加入の途を開いておりまして、定額の保険料を納 めて任意加入するという形になっております。 それから、「被保険者の保険料納付に基づく配偶者に対する年金給付」でございます が、夫が老齢年金の受給資格を有して受給年齢に達している場合に、女性の受給開始年 齢である60歳に達している妻について、夫の生存中は夫の基礎年金の60%、夫が亡くな った後は、夫の基礎年金とサラリーマンに対して給付されます付加年金の 100%が配偶 者給付として支給される仕組みになっています。ただ、夫の死後に給付される付加年金 につきましては、2002年より半分になるというインフォメーションがございます。 それから、夫と妻という言葉を使いましたのは、現在の仕組みではこれらの給付は妻 のみ受給可能であり、いわゆる夫は妻の保険料納付記録をもってこの配偶者年金は受け られない仕組みになっていますが、2010年からはこの男女の差がなくなるというインフ ォメーションがございます。 妻自身も保険料を納めており、その加入資格を持って受給ができるという場合には、 基礎年金につきましては、基礎年金の満額までは併給が可能となっております。夫の基 礎年金の60%に自分の得られる年金額を足しまして、それが基礎年金の満額未満の場合 には併給ができ、基礎年金の満額を超える場合には、基礎年金の満額までが支給される 仕組みでございます。また、報酬比例の年金については、最高限度額という一定の上限 をつけた上で合計額を受給できるという仕組みがとられております。 これらの給付について、自分の年金額以外に、他の収入による制限というものは受け ない仕組みになっております。 ただし、先ほど申し上げたように、受給開始年齢に妻が達している場合に、この配偶 者年金が出るわけですが、受給年齢に達していない場合には配偶者加給金といいまし て、同額の額が夫の方の年金につくという仕組みになっておりますが、これについては 一定の所得制限があるということでございます。 それから、後ほど離婚時の取扱いについてご説明をするときにも申し上げますが、離 婚をした場合でも元の配偶者の保険料の納付の記録に基づきまして基礎年金を受給でき る仕組みになっております。ただし、再婚した場合は、再婚した相手の保険料記録に基 づいた給付に切り替わることになります。 次のページにまいりますが、「遺族年金」の仕組みでございます。2001年から新しい 仕組みがスタートしておると聞いております。子どもを養育する配偶者に対する年金で ございますが、児童手当の受給対象になる16歳未満か19歳未満の学生を養育している者 あるいは妊娠中の者に対しまして養育者手当として週72.5ポンドの基礎年金が支給され ます。加入期間が短い場合には若干の減額があるようでございます。 それから、子どもの加算があります。資料の 11.35ポンドというのは2人目以降の額 で、1人目はやや低い加算額が定められているようです。  それから、2階部分の付加年金については、死亡者の付加年金額が支給されることに なっていますが、2002年からは、先ほどの配偶者の場合と同様に半額ということでござ います。 所得制限はございません。また、子どもが大きくなりますと、その時点で支給がとま ります。亡くなった被保険者と離婚していた場合、再婚をしている場合には支給がされ ません。 子どもを養育していない場合でございますが、まず「遺族手当」という仕組みは、45 歳以上60歳未満である配偶者に対しまして、1年間、遺族手当として72.5ポンドの基礎 年金が支給されるという仕組みになっております。中・高齢が対象で、期間も1年間に 限定されております。  また、死亡した被保険者も配偶者も老齢年金の受給年齢に達していない場合について は、一時金として 2,000ポンドが支給される仕組みになっておりますので、子どもを養 育しない配偶者に対しましては、中・高齢の場合は一定期間、それ以外の方については 一時金のみという対応がとられております。 いずれも所得制限はございません。 それから、こういった方が60歳に達して、老齢年金を受給できる段階になった場合に は、これは先ほどご説明申し上げました配偶者年金の方を受給することになります。こ の場合、自分で保険料を納めた期間がある場合には、配偶者年金と同じように調整がさ れるという措置がとられることとなります。 最後に「育児期間の取扱い」でございますが、家庭責任のための保全措置(Home Resp onsibilities Protection)がとられております。これは子どもの世話をしている、ある いは障害者の世話をしているような場合で、このために最低稼得収入額以上の収入がな い者に認められる措置でございまして、この該当する期間(育児については16歳未満) については、基礎年金の額の算定に当たって、加入すべき年数から控除がされ、結果よ り短い拠出で満額の給付を受けることが可能になります。  具体例で説明しますと、女性の場合は39年で満額の基礎年金が受給できるという今仕 組みでございますが、例えば子どもを何人か育てたことによって、HRP の適用を受ける 期間が19年間あるといたしますと、残りの20年間保険料を納めることで満額の基礎年金 が支給されるという仕組みでございます。この期間には上限があり、今の仕組みでは20 年以上保険料納付期間が残っているということが最低限度となっておりますが、いわゆ る満額年金を受給できる可能性をこの措置をとることによって大きくしていると言えま す。 続きまして5ページ目に入りまして、ドイツの仕組みでございます。  ドイツでございますが、月収 630マルク以上又は週15時間以上の被用者が強制適用の 対象になってございます。それから、自営業の場合でも、特定の業種につきましては、 法律で定めた年金制度、あるいはそれぞれの職能団体における制度に強制加入するとい う仕組みになってございますが、基本的な構造としては、労働者のための保険でござい ます。低収入かつ短時間労働、月収 630マルク又は週15時間以上というところに当ては まらない被用者と強制対象外の自営業者、あるいは無職の人は任意加入が可能な仕組み でございます。 保険料は19.3%の報酬比例構造となっております。 年金給付も報酬比例ですが、ドイツの場合、個人の報酬を点数化し、これに年金現在 価値を掛けて年金額を出すというポイント制といわれる仕組みがとられています。報酬 点数は、平均賃金で1年間働きますと報酬点数1がつきます。半分の賃金ですと 0.5と なります。これに年金の種別計数と申しますのは、老齢年金ですと1、遺族年金ですと 0.6、それぞれの年金ごとにいわゆる支給割合が決まっているわけですが、これに年金現 在価値というものを掛けて年金額を算出します。 加入年数要件については、5年間以上の加入で支給をするという仕組みになっていま す。女性と年金に関する事項についてですが、まず「パート労働者に対する適用」につ いては、先ほど申し上げましたように、月収 630マルク未満であり、かつ週の労働時間 が15時間未満である場合については、強制適用の対象からは外されてございます。た だ、この場合でも、事業主に対しましては、1年間に50日未満の非常に短い期間の雇用 という場合を除きまして、報酬の12%相当の保険料、あるいは拠出金、負担金のような ものが賦課をされることになっております。これは短時間かつ低賃金の労働者の適用除 外措置が低賃金労働を固定化している、あるいはやみ労働を助長しているという批判が あったことによってとられた措置だと聞いております。この場合、残りの 7.3%分を労 働者が保険料拠出をすれば保障が受けられるようになっております。 2番目の「被保険者の保険料納付に基づく配偶者に対する年金給付」でございます が、アメリカやイギリスで見てきたような配偶者給付という仕組みはとられておりませ ん。  3番目の「遺族年金」の仕組みでございますが、子どもを養育する配偶者に対しての み支給される年金ではありませんが、大きな額で支給される寡婦年金という仕組みがご ざいます。 これは亡くなった被保険者が加入要件を満たしていた場合に、18歳以下の子どもを養育 する場合、あるいは45歳に達した場合、更には就労不能、稼得不能の場合に、年金種別 計数 0.6ですので、60%の寡婦年金が支給されるという仕組みでございます。 それから、ただ、この年金につきましては、一定の所得の制約がございまして、子ど もを養育する場合には若干の加算がございますが、約8万円以上の所得があるような場 合については、超える額の40%に相当する額を年金から減額する仕組みがとられており ます。  離婚した場合については、生前に離婚し、配偶者が亡くなったというような場合には 寡婦年金は支給されません。ただし、配偶者が自分で保険料を納付していた場合につい ては、再婚していないことを条件に、自分の保険料納付に対応する給付として養育年金 という年金が支給されるということでございます。  次のページ、6ページ目にまいりまして、子どもを養育しない配偶者に対する年金で すが、大寡婦年金の支給資格を満たさない再婚していない寡婦ということですので、若 年の遺族配偶者になりますが、年金種別計数0.25、25%の寡婦年金が支給されるという ことでございます。これについても、大寡婦年金と同じ所得制限がかかります。それか ら、45歳になりますと、大寡婦年金の方に切り替わる仕組みになってございます。 最後に「育児期間」についての取扱いでございますが、検討会で何度か話題になりま したけれども、育児期間、子ども1人について出生後の3年間という期間につきまして は、全被保険者の平均賃金を得て保険料を納付しているとみなすという措置がとられて います。  具体的には報酬点数に1月0.0833を足します。0.0833×12がちょうど1になるわけで ございます。  これについては、子どもの両親のどちらか一方の主に子どもを養育していた配偶者に ついて認められます。いわゆる共働きで勤務を継続して子どもを育てた場合について も、一定の上限額の範囲の中で同額の加算が認められております。高額の所得を得てい る人にはこの加算はききませんけれども、子どもを養育したことによって、例えば労働 時間が短かくなったというような方については、その賃金によって得られる点数に、先 ほど申し上げた点数が加算されて記録がされるという仕組みとなっております。  さらに、詳細は不明ですが、本年2000年改革が成立をしておりまして、その新しい措 置として、子どもが10歳になるまでの間の育児をしている者で、報酬が平均賃金未満の 者、すなわち育児をしていて平均賃金の所得を得られない者について、平均賃金の50% 〜 100%の範囲の中で、実際の報酬額よりも年金計算上高く評価をするという措置がと られるというインフォメーションがございます。比較的低い報酬の方は50%に、高い報 酬の方は 100%に引き上げて年金上記録するということで、子どもを持ったことによる 所得の一定の減少をカバーするという意味合いの措置ではないかと思います。  続いて7ページ目、フランスの仕組みにまいりますが、実はフランスの制度は非常に 職種ごとに分立をしておりまして、フランスの仕組みがどうなっているかというのは 我々も十分なインフォメーションはなかなか得られないところでございます。例えば加 入対象になっているのも、所得が幾ら以上が対象になるかということについての細かい インフォメーションは得られませんでした。  保険料は報酬比例の構造になっておりまして、年金も報酬比例構造になっておりま す。  年数の要件は、フランスでは四半期を単位として適用されますが、1四半期でも加入 歴があればその分も支給される仕組みになっております。  年金の計算の方法ですが、加入期間の割合に賃金の額、それに支給率を掛け算をする ようでございまして、昔の本などを読みますと、150 四半期で期間率が満額、賃金は高 い10年間をとる。支給率は最高50%と解説されていますが、若干高齢化に伴って、例え ば加入期間を延ばしたという話もございます。最初のパート労働者に対する適用につき ましても、通常の労働者と同様に適用というところまでしかわかっておりません。 2点目の「被保険者の保険料納付に基づく配偶者に対する年金給付」につきまして は、フランスもドイツと同様に特段の措置はとられておりません。実は年金を受給でき ない65歳以上の配偶者を扶養している者につきましては、被保険者の方の年金に一定の 加給をするという仕組みがございますが、所得制限がございますのと、円換算で年額7 万 4,000円という低い額となっております。これは、フランス政府のコメントによりま すと、いわば自然消滅を待っている経過的な給付であるということでございますので、 ここでは、特段の措置はとられていないとまとめました。 それから、低額の年金しか受けられない者につきましては、資料1の方の公的年金の 体系の方を見ていただくと、フランスのところに黒い三角で「老人最低保障」という仕 組みがございます。低額の年金しか受けられない者につきましては、最低保障の仕組み がとられているわけでございますが、これには配偶者の所得を含む所得制限がかかって ございます。このため、例えばある程度の年金や資産を有する者の配偶者については、 それは所得制限があって最低保障を受けられないということになろうかと思います。  「遺族年金制度」でございますが、亡くなった被保険者の再婚していない55歳以上の 配偶者を対象に、被保険者に対する年金の54%を支給するということでございます。高 齢の遺族配偶者に対する年金という位置づけになってございます。この場合、所得制限 がございます。  それから、自分の保険料を納めたことで、退職年金を受給できる場合については、一 定の上限の下で遺族年金を併給可能という仕組みになってございますが、両方合わせた 年金額の52%を超えないという制限がかかっております。  それから、複数の受給可能な配偶者がいる場合には、婚姻期間に応じて比例配分とい うことでございますので、離婚した者についても、再婚していなければこの遺族年金の 対象になると理解しております。  8ページ目でございますが、若年の遺族配偶者につきましては、亡くなった被保険者 の再婚していない55歳未満の配偶者に対して、3年間定額の給付、1年目、2年目、3 年目それぞれの額を書いてございます。実は最近これが2年間に改正されたというイン フォメーションがありますが、いずれにせよ、有期間の給付であるいうことでございま す。  それから「育児期間についての取扱い」でございますが、女性の被保険者が、子ども を16歳になるまでの間に少なくとも9年間養育した場合に、年金額の算定に当たって、 子ども1人2年間加入期間が加算されるという措置をとっております。先ほど申し上げ たように、フランスの場合は、加入期間の率と平均的な賃金に支給率を掛けるという構 造でございますので、子どもの養育によって加入期間が実際よりも多く評価されるとい う仕組みがとられております。これについても、一定期間、就労から離れることの可能 性の高い女性の年金額を低くしない措置という説明がなされています。  最後の5か国目に入りますが、スウェーデンでございます。スウェーデンはご存じの 方も多いと思いますが、大きな制度改正が1999年に行われており、この資料では新しい 制度についてまとめてございます。  加入対象になる人でございますが、申告対象となる所得を有する者が強制的に加入対 象となるということでございます。所得のない者は加入できない、すなわち、任意で保 険料を納めるといったような措置はできないということでございます。  保険料は、老齢年金の分といたしまして、報酬比例で18.5%と定められております が、以前の制度からの移行期間にあるため、2000年は暫定的な保険料率として被用者が 7%、事業主が 10.21%という保険料率となっております。 年金の給付でございますが、報酬比例と申しますか、拠出した保険料額に比例して給 付が行われる構造となっております。ご存じの方も多いと思いますが、18.5%のうちの 16%分は賦課方式で 2.5%分は積立方式で運用ということでございますが、賦課方式分 の16%は納付された保険料の額にみなし運用益、賃金の上昇を仮想利子率とみなして計 算をし、受給開始時点における仮想のファンドと、その時点での平均余命というものを 基準に、数理的に月々の支給額を出すという仕組みがとられております。 それから、低所得であった、あるいは無所得であったということで年金額が低くなる 者については居住期間に対応した保証年金というものが支給されるという仕組みになっ ております。ちょうどフランスと同じような形で、スウェーデンにつきまして、資料1 の公的年金の体系で示してありますように、黒く塗ってある保証年金が支給されるわけ でございますが、これを租税財源により支給するということでございます。  年数要件でございますが、期間の要件はございませんで、掛けた保険料を数理的に計 算をして、年金額が決まるということでございます。それから、保証年金につきまして は、25歳から64歳の期間の間にスウェーデンに居住期間を有するということが要件にな ってございます。  まず「パート労働者に対する適用」でございますが、スウェーデンの場合はご存じの 方も多いと思いますが、国民すべてに所得の申告義務がございますので、そのときに対 象となる所得を有している者がすべて網にかかるという仕組みでございます。  2番目の「被保険者の保険料納付に基づく配偶者に対する年金給付」でございます が、これは特段の措置はございません。いわゆる非常に個人単位化された制度でござい ます。ただ、先ほどご説明申し上げましたように、低所得、無所得でありというのは、 低所得、無所得であったことによって自分の年金額が低い、あるいは年金額が全くない という者につきましては、保証年金が支給されるという仕組みでございます。この場合 いわゆる所得制限や資産制限とかというものはございませんので、例えば夫が高額の年 金をもらっていたとしても、その配偶者には保証年金が出る仕組みとなっております。  それから、3点目の「遺族年金制度」でございますが、1999年の改正により、拠 出保険料に比例するような形で老齢年金の制度を変更したことによって、障害や遺族な どの短期要件の給付につきまして、同じ仕組みの中ではできないため、新しい制度にお いては遺族年金は老齢年金から独立をした1つの制度に再編成をされております。保険 料についても、老齢年金の18.5%とは別に 1.7%遺族年金分の保険料が設定されており ます。 これから説明いたしますのは、2000年時点での制度ですが、2003年に若干の改正が予 定されているようでございます。遺族年金につきましては、基礎年金と付加年金の2階 建ての構造となっておりますが、老齢年金と同様に所得比例の構造に一本化されるまで の移行途中の仕組みという位置づけであろうかと思います。  「基礎年金」についてでございますが、構造としては、死亡者と5年以上婚姻、同居 しておりました65歳未満の配偶者に、まず6か月間、死亡者の年金の90%を支給すると いう有期の生活転換年金という仕組みがございます。  6か月経過後に、子どもがいる場合には、子どもが12歳になるまでその支給が続くと いう仕組みでございます。子どもがいない場合には6か月間の給付でとまるということ です。  それから、自分の仕事の収入だけでは生活ができないというように認定される場合に ついては、65歳まで年金額1/4、2/4、3/4の3段階の刻みで年金が支給される ということでございます。  このほかに、古い仕組みからの経過的な寡婦年金ですとか遺児に支給されます児童年 金というような仕組みがあるようでございますが、遺族配偶者に対する年金は、このよ うに一定期間の有期の年金と子どもを有する場合の年金と、自分の収入だけでは暮らし ていけない場合の特別の年金という構造をとっております。  報酬比例の構造についても同様の要件となっており、生活転換年金の方は死亡者の年 金の40%。子どもがいる場合には、子どもが12歳になるまで支給。それから、暮らして いけない場合に特別の遺族年金という構造になっております。年金の給付の考え方はこ のような考え方で構成されております。 最後に「育児期間についての取扱い」でございますが、育児期間と兵役の期間につき ましては、年金権を保障する一定の配慮を行っております。 育児期間については、所得の喪失、減少があった場合に、子どもの出生年の前年の所 得であるか、全加入者の平均の75%か、更に現実の所得に一定の額を上乗せした額の3 つのうちの一番有利な額を年金制度上の所得とすると措置がとられています。 スウェーデンの従前の制度では、生涯の所得の高かった15年間の報酬のみが年金計算の 基礎となり、30年の加入で満額年金が受給できるという仕組みになっておりましたの で、一定期間、所得の低い時期があっても、十分年金はカバーされる仕組みになってお りましたが、新しい仕組みでは納めた保険料に対応して年金額が決まるという仕組みで ございますので、育児ですとか兵役という社会的に意義のある活動により所得が減った 場合に年金額が低くならないようにこのような措置がとられたと説明されています。  最後のページに、この資料をまとめるに当たりまして、参考とした文献を一覧として 記載をいたしました。  説明が長くなって恐縮でございますが、資料3で、離婚時の年金の取扱いにつきまし てご説明を申し上げます。  まず年金分割を実施をしている国のインフォメーションでございますが、まずドイツ とイギリス、カナダについて情報が得られましたのでご報告をいたします。 まずドイツの場合でございますが、趣旨としましては、資産精算の原理を年金権にも 拡大をすること、被保険者の生活保障に関する年金制度上の理念という説明がなされて います。  ドイツの家族法では、夫婦の婚姻期間中の増加した財産、残余財産は、夫婦均等に分 割をするというのが財産分与の一般的なルールになっておりまして、これを年金の期待 権にも拡大をしたということでございます。  ドイツでは、離婚は裁判所の離婚判決によってのみ可能になっており、年金分割も離 婚にかかわるさまざまな事項とともに家庭裁判所において審理をされて、決定される仕 組みになってございます。  対象は、法定の年金あるいは公務員に対する恩給制度、更には企業年金や個人年金も 含めて分割をするということでございます。  分割の方法ですが、原則的には一番最初に書いてございます年金期待権の分割がとら れます。非常に簡単に申し上げますと、ドイツの年金はポイントで計算しますが、その ポイントを片方から片方に移す仕組みでございます。  例として書いておりますが、片方が期待権を 200マルク、もう片方が 100マルク得た ということになりますと、この価値の差の 100マルクの半分の50マルク分を分割によっ て調整をすることになります。この50マルク分をポイントに換算をいたしまして、Aか らBにポイントを移す措置をとってございます。 ただ、こういう措置が、例えば企業年金でとれないといったような場合につきまして は、債権的な年金分割と申しまして、価値の差の半分に当たる年金額を現金で支払うと いう債権債務関係を確認をする形での分割が行われます。この場合は、いわゆるポイン トを移しておりませんので、元配偶者から独立した年金権は得られず、元配偶者が例え ば亡くなりますと、そこで年金は終わってしまうということになります。 それから、必ずこういう分割をしなければいけないかというと、そうではなくて、夫 婦の間で合意した取り決め内容を裁判所で許可をする、このルールによらない分割も認 められているようでございます。あらかじめ婚姻のときに契約をいたしまして、年金の 分割をしないということを夫婦の間で取り決めることもできるということです。 さらに、本年成立をいたしました改正法で、婚姻中の夫婦でも年金分割ができること になりました。これは必ずやらなければいけないということではなくて、できるという ことのようでございます。詳細は不明ですが、25年以上の婚姻期間を持っているカップ ルがとれる措置だという説明がドイツ政府のホームページにございました。 続きまして、イギリスでございます。イギリスについても、もちろん離婚については 裁判所が関与する仕組みになっておりますが、お互い話し合いがあって異議のない、お 互い争いのない場合には非常に簡略な手続となっているというふうに聞いております。 年金分割については、ドイツとは多少ニュアンスが違いまして、離婚夫婦同士の資産整 理をより整理しやすくするための措置であり、将来、受けられる年金も財産の分与の資 産整理の対象に含める、そういう途を開くという位置づけのようでございます。 対象になりますのは2階部分の年金でございます。1階部分については年金分割の対 象になってませんが、これは先ほどご説明したとおり、元の配偶者の保険料納付記録に 基づく基礎年金を受給できるからというふうに説明されております。  分割は、任意に申請できる選択肢の1つということで、裁判所の命令、一般の裁判手 続に移行した場合には裁判所の判決で分割をする。あるいは当事者で申し合わせて、そ れを裁判所が認可するというような場合には申告した比率に基づいて分割をするという 仕組みとなっているものと思いますが、最近とられた制度でございますので、この程度 の説明でご勘弁いただきたいと思います。  カナダでございますけれども、カナダの年金は1階税方式の定額年金に所得比例年金 があるという仕組みになってございますが、この所得比例年金の方につきまして分割を するという仕組みになってございます。婚姻期間のあります夫婦が離婚の届け出をした 場合に自動的に婚姻期間に獲得をした年金権が等分に分割をされるという仕組みをとっ ておるようでございます。  また、婚姻関係が継続していても、両方とも退職年齢に達していれば、年金権も等分 できるという仕組みがとられているようでございます。 年金分割以外に離婚時の取扱いとして特記すべきものとして、再度のご説明となりま すが、アメリカの場合は年金分割の仕組みはないものの、婚姻期間が10年以上あった場 合には、離婚した場合でも配偶者給付が保障されるという仕組みをとっております。  それから、スウェーデンについては、積立方式分の新制度について、夫婦ともに1938 年以降生まれの方(新しい制度が適用される世代)を対象に、夫婦共同の申請に基づい て夫婦間で年金権を移転できることとなっております。これは離婚する、しないという ことに関係がございませんが、そのような措置がとれるということです。  大変説明が長くなって恐縮ですが、これまでご説明した情報を少し総括的にまとめて みますと、まずパート労働者に対する適用の基準につきましては、各国とも相当低い水 準まで適用しているということが見受けられます。これは各国とも保険料を納付する者 のみが被保険者になるという仕組みでございますので、適用の基準を低くして、より多 くの者をカバーしようという考え方かと思います。  それから、配偶者に対する年金でございますが、被保険者である夫婦の一方の保険料 納付を要件として、もう一方についても、給付が保障されるという仕組みは、例えばア メリカですとかイギリスに見られるということでございます。ただ、日本のように被扶 養配偶者ということではございませんで、保険料を納めている配偶者に対しても適用さ れる措置ということでございまして、その場合、自分の給付と配偶者給付については一 定の調整が行われているということでございます。  また、この5カ国のレビューでは、いわゆる無収入の者に対して強制的に保険料負担 を求めている制度はないということが言えるかと思います。  3点目の遺族年金でございますが、これまでの議論の中で個人単位化をすれば遺族年 金はなくなるというような物言いがあったりもするわけでございますけれども、各国の 制度のレビューからは、おそらく多分そういう単純なものではないと言えると思いま す。特に子どもを養育する残された配偶者に対する給付については、どの国でも存在を していると言えると思います。逆に子どもを養育しない若年の残された配偶者に対する 給付については、ない国もありますし、あっても有期か減額された年金となっておりま す。  それから、ご高齢の遺族配偶者に対しましては、スウェーデンを除きまして、遺族年 金か配偶者年金ということで、一定の調整の下に給付を受ける仕組みがあること、各国 とも男女の差はないということが言えるかと思います。  育児期間の取扱いでございますが、家庭責任を果たすために一定期間就労から離れた り、賃金が低下したりということについて、年金額が低くならないように配慮するとい うことについては多くの国でとられておるということでございます。それは積極的な少 子化対策というよりは、むしろ年金額が低くならないように十分な年金が出るようにと いう年金権の確保対策として行われているのではないかということでございます。  具体的にはさまざまな方法がありまして、実際にとられる方法は各国の制度体系に依 存すると思います。ドイツはポイントを加算する、フランスは年数を加える、イギリス は保険料納付が必要な年数を短縮するという形で、様々な方法があるということでござ います。  それから、配偶者年金と育児期間の取扱いを併せて考えてみますと、例えばアメリカ は配偶者年金があって、育児期間については特別の扱いはない。 ドイツやスウェーデ ンは配偶者年金はないけれども、育児期間についての評価の仕組みはある。イギリスは 両方で配慮するということで、どちらの措置も低くなりがちな、特に女性の年金額に対 する配慮措置ということではないかということでございます。  最後に年金分割でございますが、まず年金分割を採用している国と、別の手段によっ て離婚した配偶者の年金権を確保している国があること、それから、採用している国に おいても、原則分割するという扱いと、分割も選択肢として認めるという扱いがあると いうことです。 いずれにしても、保険料を納付することによって生じた年金権を分割をするという仕組 みであって、保険料納付段階から、いわゆる賃金を分割して、その分割された賃金で保 険料を求めるという仕組みではなくて、生じた年金権については、それを夫婦の間で分 割する仕組みになっているということが言えるのではないかと思います。  大変長くなって恐縮でございますが、以上でございます。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。非常に膨大な資料でございまして、一度に咀嚼する のは難しいかもしれませんが、何かご質問とかご意見とかありましたら、どうぞ、どな たでも。 ○駒村委員  ちょっと確認させていただきたいのですが、遺族年金のところで、日本の制度をもう 一度確認させていただきたいのですけれども、各国とも、度山さんおっしゃったよう に、一定年齢以下は有期であるということと、発生水準それほど高くないような感じも するのですけれども、日本の遺族厚生年金の対象、所得制限がどうなっているのか、遺 族厚生年金の方ですけれども、受給条件、この辺もう一度確認させてもらいます。  今回の検討会で遺族年金の水準そのものとか、遺族厚生年金の水準そのものとか、支 給期間とか支給条件とか余り議論されてなかったので、日本がこれに比べてどうだった のか、一応確認させていただきたいと思うんですけれども、お願いいたします。 ○度山補佐  日本の仕組みで申し上げますと、2階建てになっていまして、1階の基礎年金部分に ついては子どもを養育しているときに支給される仕組みになっているわけですが、2階 の所得比例の厚生年金につきましては子どもを養育しているという要件はなく、夫の年 金額の4分の3が支給される仕組みでございます。所得の制限ですが、いわゆる年々の 所得制限や減額という措置はとられておらず、受給要件が生じましたときに収入が1年 間に 850万円であったと思いますが、それを超える収入がない、近々そういう収入を得 られるという見込みも立たないというような場合に、1階分、2階分とも支給される仕 組みをとっているということでございます。 ○袖井座長  駒村さん何かありますか。 ○駒村委員  日本の場合、被扶養配偶者とか、子どもだけではなくて、遺族でしたよね。ここがほ かの国とは違うのでしょうか。ほかの国は被扶養配偶者と子どもに限定されているとい う感じなのかということと、今お話聞くと、日本は他国に比べると2階建て部分のとこ ろの給付はかなり出ているという感じで理解してよろしいのでしょうか。 ○榮畑年金課長  日本の遺族年金の体系、遺族基礎年金と遺族厚生年金で2階建てになっていまして、 1階は妻+子ども又は子どものみに対してしか出ないということで、これが月額6万 7,000円ぐらい。それを前提といたしまして、遺族厚生年金はそれ以外の形態をとってい るご遺族の方、すなわち子どもさんのない妻とか、被保険者である妻が亡くなられたと きに55歳以上であった夫、その他、割と範囲は広くとっています。給付はその亡くなら れた方の老齢厚生年金の3/4。そういう点ではどういう形態の方が残されたかにより まして、1階と2階が出るか、2階しか出ないかということで水準が変わってくるとい う構成でございます。  そういう点で、諸外国のケースと、水準論として比べるには制度の体系が違っておっ て、厳密な比較はなかなかできにくいというふうな感じでございますが、そういう中で も、被保険者であるご主人が亡くなられたときに、残された妻+子どもさんという形態 のご家族にはかなり厚い給付が出ているという感じかと思っております。 ○袖井座長  ちょっと確認したいのですが、その子どもというのは18歳ですか、20歳ですか。 ○榮畑課長  18、障害のある子は20歳までです。 ○袖井座長  ほかに何かありますか。その辺のところ私も確認したいのですが、どうしてこういう ふうになったかわかりますか。きのうも企画官の方にお聞きしたのですが、何でこんな に高い、 850万という額が、これはいつごろ決まったかとか、どなたか。どうぞ、すい ません。 ○榮畑課長 生計維持要件というのを遺族年金で設けております。被保険者が亡くなった時にその 人に生計を維持されているか否かを見るということです。これをどういう判断で見るか ということについては、今のような1階、2階の構成になりました昭和61年改正のとき までの厚生年金と共済年金の体系が違っておりまして、遺族年金同じように出すにも共 済年金の生計維持要件と厚生年金の生計維持要件が違っていた。そのときに、そうはい っても各制度共通の遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金というのを構成するに 当たりまして、制度間の均衡をとるというような意味で、その要件をそろえようとした ところ、共済年金の方の遺族年金の生計維持要件が結構高かった。それでそこを下げる わけにいかないものですから、高いのが引き継がれてきたと、そういうふうな経過だっ たと記憶するところでございます。 ○吉武審議官  先ほどの遺族の体系の基本的な変遷みたいなところを端的に申しますと、国民年金の 場合には自営業を基本にしていますから、したがいまして、例えば働いている男性が亡 くなった場合に、何が起きるかという最大の問題は子どもの養育の問題である。したが いまして、基本的には母子年金という体系で遺族給付を立てるわけです。仮に男性が亡 くなっても、自営業やっていますので、女性がある程度頑張っていただければ生活の継 続は相当可能だろうという前提に立っているわけです。  一方で、厚生年金の場合には基本的にはサラリーマンを対象にしていますし、ご案内 のとおり、だんだんホワイトカラー化しているわけですけれども、古典的には工場労働 者を基本にして、それからだんだんホワイトカラーをそれに足していったという年金制 度ですので、働いている配偶者が死亡した場合に、基本的には賃金の稼得能力は全くゼ ロになるだろうという前提に立っているわけです。  したがいまして、60年改正前あるいはその前の状態で申し上げますと、若い配偶者に 対しても遺族給付を出すという体系でやっておりまして、その問題について、例えばか つて言われていましたけれども、いわゆる「子なし若妻」というようなことを言ってい ました。そういう人については、時代が変わってきているので、新たに雇用に挑戦をし て自分で稼得能力を得る機会が増えてきているだろうというようなことで、だんだん対 象者を限定して消えるというのが今までの姿、その2つの要素がありますので、そこを 今申し上げました基礎年金と老齢厚生年金の姿に来ているというところです。  更に時代は進んで、そんなことは考えなくていいということであれば、基本的には老 齢給付と母子に遺族給付は体系的には整理されていくというような、その移行過程にあ るのではないかと思います。 ○駒村委員  お聞きしたのは、要するに 850万も稼いでいて、更に遺族年金をもらう必要があるの か。実際に 850万にひっかかってもらえなくなる人はいるのかなというのが1点気にな ったもので、水準そのものが余り議論になってなかったので、そこだけちょっとお話し たかったんです。ありがとうございました。 ○袖井座長  その辺の資料とかございますか。 ○度山補佐  人数は把握はしておりませんが、 850万にひっかかって出なくなるケースはあるとは 聞いております。そういうケースは現存します。 ○袖井座長 ほかに何か。 ○下村委員 資料2の5ページでご説明いただいたのですけれども、「パート労働者に対する適 用」のところで、短期雇用の方が2カ月(60日)又は50日未満の短期雇用の場合を除き ということで、事業主が報酬の12%に相当する保険料を低賃金労働の抑止的な措置とし て行っているというようなお話がありましたけれども、これは雇用されている期間ずっ と続くものでしょうか。あるいはある程度同じ人が、例えば2年間なら2年間、有期的 なものなんでしょうか、この措置というのは。 ○度山補佐  ちょっと資料がわかりにくくて恐縮ですが、実は年間2カ月又は年50日未満の短期 間、いわゆる短い期間の雇用というものについては、まず適用の対象から除外しており まして、そうではない、割と継続的に年間を通じて雇用される人で非常に賃金が少な い、あるいは労働時間が短いというような方について実は強制適用の対象から外してお るわけでございます。そうすると、事業主の方からみると、それ以下に賃金を抑えた場 合に社会保険料の負担がないということを意味しますので、低賃金に抑えようという行 動が働き、低賃金労働を固定化したり、あるいは低賃金の名の下のやみ労働ということ でしょうか、そういうものを助長しているという批判がドイツの中であったということ でとられた措置であると聞いております。すなわち、低賃金の雇用がずっと継続した場 合には、ずっとその分、事業主は特別な負担を払わなければいけない仕組みになってい るということです。 ○永瀬委員  私はパートの問題に大きい関心を持ってきているわけですけれども、これを見せてい ただきますと、かなり上限が低い国が多いというのがまず1点。 それからもう一点、とても重要だと思われる点は、定率になっていることです。日本 ですと1万 3,300円、これは61年改正のときに自営業とくっつけてしまいましたので、 自営業は収入がわからないということで1万 3,300円という定額が課されています。し かし、被用者の場合は収入が明確にわかるはずなのに、それでも1万 3,300円と定額に なりますと、これは逆進的な面がある。厚生年金の標準報酬月額の最低が9万幾らとい うふうになってまして、それ以下だとなかなか厚生年金に入ってないですね。1つは諸 外国では保険料が課される年収基準がかなり低いということ。もう一つは、所得の低い 人たちに対して掛けられる保険料もそれなりに低くなっているということがあるかとい うことを、これを見て思った次第です。 だから、日本の場合、年収基準を例えば下げても、単にこれだけでは、それを超えると また1万 3,300円の保険料というのでは、例えば基準を下げたとしても、なかなか問題 が残っていくというふうに感じたということを申し上げたい。 ○榮畑課長 今の厚生年金、短時間労働者の方でも、常用の3/4超えるような方なら厚生年金に 入っておられる。従って3/4を下げるかどうかということになるが、下げていけば、 3/4と新しい基準の間の方は定率の保険料負担になる。ただ、その新しい基準でも、 まだ、厚生年金に入れない方は定率にならないということになる。短時間労働者の方だ から、必ず1万 3,300円だという議論ではないような気がします。 ○永瀬委員 おっしゃるとおりです。申し上げたかったのは、これは今の制度の微調整ではなかな かうなくいかないなということです。労働時間が一般雇用者の3/4以上の方で最低の 報酬比例月額は9万 8,000円ぐらいだったと思います。ですから実際に現実に6万円取 っている人が厚生年金に入ったとしたら、9万 8,000円で評価されるわけですよね。5 万円の人でも9万 8,000円に評価される。だから、そういう人はなかなか入りづらい。 そして入らないで、社会保険料を賦課される人になると、今度は1万 3,300円ですよ ね。つまり、今の制度ではかなり低所得のところにいろんな問題がありそうだなという 気がするということです。 ○堀委員 ちょっといいですか、関連して。 ○袖井座長 どうぞ。 ○堀委員 今の点は大変重要な点で、日本の社会保険は一般的にサラリーマンの制度と自営業者の 制度とに分かれているのですが、実際上は自営業者の制度にかなりサラリーマンも入っ ているんですね。その場合には負担の仕方が定率でなくて、要するに応能負担では必ず しもないということが1つ問題です。2つ目としては事業主が保険料を負担しないんで すね。 本当はサラリマーンの制度と自営業者の制度とが分かれているなら、サラリーマンはサ ラリーマンの制度に入るのがあり方としては望ましい、進むべき方向だと思いますね。 事務的に非常に難しいということはわかるんですが、例えばイギリスなどでは、基本的 には1人しか従業員がいない場合でもサラリーマンとして扱って、保険料もサラリーマ ン並み、年金もサラリーマン並みにしている。  これは全然関連しないのですが、1つだけ質問させてください。3ページのイギリス の自営業者の保険料が定額、週2ポンド(370 円)ということですが、私が調べた1997 年では6.15ポンドだった。こういうふうに低くしたのは何か理由があるのか。それとこ の金額で基礎年金が本当に賄えるのか。7%の分は、多分クラスフォーの保険料で、こ れは年金額に反映しないものですから、ちょっと数字がおかしいのではないかと私は思 います。 ○度山補佐  まず社会的にどういう議論でこの額になったかということはつかんでおりませんが、 昔、確かにもうちょっと高かったということは承知しておりますが、最新のデータで下 がったというのは間違いないようでございます。 ○堀委員  イギリスの自営業者に対する保険料の考え方は、サラリーマンに対する下限額、ロウ ワー・アーニング・レベル、それに対して保険料率を掛けた額、それが6ポンド強という ことになる。考え方を変えたんですかね。 ○事務局(松山)  補足させていただいてよろしいでしょうか。6.5 ポンド程度だったのが2ポンドに下 がったのと同時に、定率の部分が6%から7%に増えたのと、定率の対象者の所得水準 が大きく下がったので、実際に一部の人は確かに保険料が下がっているというのはご指 摘のとおりだと思いますが、下がってない方も似たような水準で払っていらっしゃる方 も多いというふうには認識しております。 ○袖井座長  よろしいですか。もし、できればどういう経緯か調べていただければ。 ○住田委員  どうも、いろいろきょう朝まで恐らくこの資料をおまとめになって、ありがとうござ いました。ですから多分時間なかったと思うんですが、最初の資料1のこの一覧表にな ったものが非常に見やすいと思いますので、そのほかの部分についてもこのような形で 一覧表で一覧性のあるものにしていただくと非常に考えやすいと思いまして、これが1 つお願いでございます。特に今回問題になっていますのは、3号問題と遺族年金の問 題、育児期間についてどう手当てするかというところですので、そのあたりをポイント 的にわかるような表があるとありがたいと思います。  私、別の研究会で、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、スウェーデンの国につい ての被扶養配偶者のために追加して支払われる給付額について一覧表いただいたことが ありまして、そういう観点からも、この表をまとめていただくと3号問題について考え るための非常に有益な資料になるかと思います。その資料、私が別の内閣府の研究会で 入手した資料で申し上げますと、日本はこのような被扶養配偶者のために追加して支払 われる給付額は主要国の中で最も多いということで、この資料1の平均給付額から見て も、判断されることだと思いますけれども、日本の場合は月6万 7,017円です。アメリ カの場合は、この表でいきますと、単身と夫婦の差額を見ればいいと思うんですが、ほ ぼ4万 5,000円から、こちらですと5万 4,000円ぐらいです。ですからアメリカと日本 とで2万円から1万円月違っているということになりますし、イギリスはこれでいきま すと3万 1,000円〜3万 6,000円ということですから、日本のほぼ半分ぐらいになると いうことになります。 あと、3号問題というのは大陸法系、英米法系ということにで見てみますと、英米だ けが3号的なものを残していて、大陸法的なところはすべて廃止の方向であるというよ うな感じかなと、法律家ですから、そういうふうに見たんですけれども、フランスはこ れを死にゆく制度というふうに見ているというのもなかなか象徴的かなと思っておりま す。スウェーデンはもう廃止したということです。ほかの国をならう必要は全くないで すけれども、やはり大きな流れとして参考になるかと思います。  それから、私自身、社会的な実態よく知らないんですけど、専業主婦、被扶養配偶者 というのは専業主婦のことを念頭に置いていると思いますけれども、専業主婦がなぜ存 在するかというのは、女性が働きにくい社会であるということが一番大きな要因ですけ ど、その中でも、特に育児、介護の責任が日本の場合、またほかの国においてもそうい う傾向あるかと思いますが、女性にかなりかかかっているということですが、その育児 についての母親の責任をどう見るかというのは、ライフスタイルのこの検討会で考える べきで、今後大きな問題になってくるかと思います。  ある新聞で、大学の先生のお話で、マザリングとワーキングどちらを主として見るか というようなことで、子どもを外に預けることに対してどういう意識を持っているかと いうのは、それぞれの国においてかなり考え方や実情が違うと聞いております。我が国 はまだまだ3歳児神話とか、よい母親は家にいるものだという意識が強いというふうに 聞いておりまして、そういうのがこういう制度の背景にも出てくるかと思いますが、ぜ ひ、そういうあたりをご存じの方に教えていただければと思います。  ちなみにスウェーデンではもう70年代に子どもの養育は家で母親が行うべきかどうか という論議は経ていまして、保育園整備にもかかっているということです。我が国で は、小泉総理が、この間、「待機児童ゼロ作戦」というのを内閣の最初の大きな方針と して掲げられたわけでして、そういう方向に日本もあるのかなという気はしております けれども、なかなか意識としてついていってない部分もあるので、特に高学歴の女性が 家庭で子どもを自分の手で育てたいという意識が強いというふうに聞いておりますの で、そのあたり、この研究会ではいろんな議論が出ていくことを私としては期待してお ります。  以上です。 ○袖井座長  今ちょうど、私、永瀬先生と一緒に日本労働研究機構というところで育児休業の調査 やっているのですが、まだ単純集計しかないんですけれども、やめちゃった人の一番多 かったのが、「自分の手で育てたい」というのが非常に多かった。これはびっくりした んですけれどもね。だから、無理やりというのではないんですよね。その次がいろんな 保育サービスがないからですけれども、まだ非常に強いという感じがしました。 ○堀委員  今の住田委員のご発言で、もう一度確認したいのですが、日本と欧米諸国の被扶養配 偶者に対する年金額はモデルの額ですが、実際に支給されている額ですか、どういう数 字なんでしょうか。 ○住田委員  原典を申し上げますと、去る6月22日に内閣府で出されました「家族とライフスタイ ルに関する研究会報告書」で、私と永瀬委員も委員として加わっているものです。この 図にございますので、これをごらんいただければ、後で皆様にこれを配布していただく ようにお手配いただきたいと思います。  これをどういうふうに読み込むかは、私自身はよくわかりませんので、今それをご紹 介したまででございます。 ○堀委員  今、気がついたのは、日本の6万 7,000円はモデル年金の額で、実際上に支給されて いるのは4〜5万円ぐらいだと思います。外国の数字はそれに対応する額かなと、そう いう点がちょっと疑問に思いました。 ○袖井座長  山口委員どうぞ。 ○山口委員  若干それにも関係しますけれども、諸外国の制度調べていただいて、各国とも無所得 あるいは低所得の方々に対する年金の適用というのは大変苦労しておられるなという状 況はわかるわけですが、もう少し、考え方の面で、どうしてこういう制度になっている かというあたり、先ほどもありましたけれども、調べていただければという感じがいた します。 例えば、最初に出ているアメリカの制度で言えば、パート労働者に対する適用を非常に 広げていると。これは皆保険でないから、できるだけ適用を広げるという1つの要素が あると思いますし、また一方で、アメリカの場合は必要に応じた給付をするという意味 で無所得の配偶者に対する手当が非常に厚いですね。遺族給付なども比較的必要なとこ ろへ厚く給付をするということで、割合そういう面では徹底した考え方の下に制度が仕 組まれている。また、ベースのところで、低所得の人たちに対する本来の給付も低所得 のところは厚くしていますね。そういうことを徹底しているという考え方ではないか と。そういうことで、パートを広げていくと。  また、一方で、そういう中で、例えば3号、専業主婦の年金ということになります と、一方で手厚い給付をしながら、しかし専業主婦に近い層で低所得の主婦の人たちも パートも含めて適用拡大をするということで相当対象になっていると見ていいわけです ね。しかもその場合の給付についてはかなり厳しい調整をして、だんなさんの1/2以 下であれば、実質的には掛け捨てではないけど、かなり厳しい調整をされるというよう な仕組みになっているわけですね。  しかし、それでも一応今の制度の中でバランスをとれた制度だというふうに理解をし ているとすれば、1つは日本で言われる専業主婦(3号被保険者)みたいなグループが 実質的にかなり少ないのではないか。パートを適用するというふうにして。日本では制 度的にも3号被保険者の比重が極めて大きいですよね。しかし、諸外国の制度を見る と、同じ専業主婦ということで対応していても、その範囲は現実的に極めて狭い。とい うようなことも考えられるのではないか。  そうだとすると、統計上非常に難しいのだと思いますけれども、いわゆる日本の3号 被保険者に匹敵するような層の統計上の数字は何かありませんか。現実の比重が相当違 うような感じもするんですね。そのことによって、全体としてのバランスをどう考えて いくかという面にもかなり影響しているような気がしますので、その辺もわかればお調 べいただきたい。 ○袖井座長  事務局の方、いかがでございますか。大変難しい要求ですが。 ○山口委員  さっきの年金の非常に手厚いということは、トータルで見れば非常に手厚いというこ とになりますね。そういう面からすれば、現状は。 ○榮畑課長  今の山口委員のお話、直接お答えになっているかどうかわかりませんが、女性の労働 力率の日本の女性の労働力率と主要国における労働力率というのは1枚紙の参考として お配りさせていただいているかと思います。  これを見ていただくと、まさに日本の女性の労働力率、有名なM字カーブで、30代で 56.7%ぐらいということですとんと落ちている。一方、主要国では特に今のお話のアメ リカでは、80%ぐらいずっと30代でも80%台をキープしているというふうなことで、結 局労働力率が高いということは、専業主婦の層が薄いのかなということが想像される が、ただ、日本でも平成元年と平成11年を比べていただきますと、M字の谷底は上がっ て51.1%から56.7%となっている。これは恐らく今後の流れとしても上がっていくのだ とすれば、先ほど山口委員がおっしゃられたような3号問題というのも、層というか、 量としては小さくなってくるのではないかという感じもいたします。 ○山口委員  労働力率もそうだけど、年金制度でどこまで適用するかということでしょう。 ○吉武審議官  資料1をごらんいただきたいと思いますが、一番左側の給付、所得と給付ということ ですから、典型的に申し上げれば、サラリーマンの場合には賃金ですね。生涯の賃金を 現在の価値に見直したものと給付の関係で見ていただきますと、アメリカの場合には収 入が少ないところの給与に対して9割の年金を支給するということですから、年金の代 替値としては非常に高いところを所得の低いところに設定していますし、イギリスの場 合には、ご案内のとおり、設定は定額給付、これは日本の基礎年金に相当する給付でや っているわけです。  ドイツをごらんいただきますと、完全に割り切って、給付に比例して年金を出せばい いという考え方。フランスも基本的にはそれに近い考え方。スウェーデンの場合には基 礎年金みたいなものをやっていたわけですけれども、基本的には所得比例に変えてい く。  ただ、ごらんいただいて、そうは言いますものの所得比例に移行したときに、多分そ れでは不十分だろうというのはほぼ各国共通の認識でありまして、非常に割り切った所 得比例でやっているのはドイツだけなんですね。フランス、スウェーデンはそこの部分 を結局税によって埋めようという形でやっているわけですので、結局給与が余り高くな いサラリーマン層に対する年金給付をどう考えるかというのは各国とも非常に重大な問 題として考えておるというところだろうと思います。  そこを給与で割り切っちゃえばいいというふうに考えているのは、欧米の先進国の中 ではドイツだけであって、あとは年金の保険制度の中の調整で行うか、あるいはそこの 部分を限定的に税で行うかという考え方でやっているわけです。  その問題が、この女性の年金のところの給付の設計をどう考えるかというところにも 共通としてある。つまり女性の年金の問題のところだけの給付設計は独自にあるのでは なくて、所得の高低に対する年金給付をどう設定するかというところが、その考え方が 女性の年金の部分にもあらわれているということだろうと思います。ですからどうして も全体の年金の給付のタイプといいますか、設計の基本的な考え方に即して各国を見て いかないと、なかなか比較はしにくいというところはあると思っています。 ○山口委員  そういう意味ではスウェーデンの新しい保証年金の水準というのはどれくらい想定し ていますか。 ○度山補佐  給付に対して税金がどうかかるかというところで改正の前後で違うようですが、スウ ェーデンは、従前の基礎年金額とほぼ同水準の給付が最終的に手元に残るという説明を 国民に対してしていると聞いています。 ○吉武審議官  スウェーデンはまだよくわからないところあるんです。これはひょっとすと、高齢者 の生活保護とここの保証年金を一元化しているのではないかと。つまりこれと別途、日 本ですと基礎年金とは別に生活保護の体系があるわけですので、併存しているわけです けれども、スウェーデンの場合は高齢者の部分については、保証年金の中に生活保護の 体系を一元化して実施しているのではないかというような、どうもそういう感じのとこ ろがございまして、ちょっと我が国と立て方は違うのですが、この前、スウェーデンに 調査に行ってもらいましたら、どうもそういう感じのようでございますので、ある意味 では、そうしますと高齢者の生活保護というふうに見ることができるかもしれない。 ○高島委員  保険料の払い方ですけれども、労使折半となっていると。日本の場合、事業主が代わ って払っていますよね。外国の場合も労使折半といった場合、事業主が代わって払うの でしょうか。同じですか、保険料の徴収の仕方は。 ○度山補佐  すみません。そこはきちんと調べたいと思いますが、たしかアメリカは事業主に納付 の責任があったと思います。 ○堀委員  オランダはたしか税務署で集めている。 ○宮武委員  話をちょっともとに戻すようですが、永瀬さんがおっしゃったパート労働のことでお 聞きしたかったんですが、もともと日本でいうパート労働という概念が、欧米のパート 労働という形とぴったり合わないわけでありまして、全く契約もないような無権利の人 たちのことを我々パート労働含めて言っているわけで、ちょっと無理があると思うので すが、それにしても、各国ともにかなり広い範囲で正規労働者と同じ扱いをして、我が 国では3/4条項、常用労働者の3/4の労働時間があるかどうかということで区切り をつけてきたわけですね。  労働保険の方を具体的に言うと、雇用保険の方では違う認定の仕方をしている。もと もと3/4てどうやって決まったのでしょうか。どうも不思議でしようがないです。あ れはたしか政令ですか省令ですか。 ○榮畑課長  通知です。 ○宮武委員  単なる通知ですよね。単なる通知が1つの大きな、言ってみればくびきになっている わけでありますので、もともと論議をご存じであれば教えていただきたいと思います。 ○榮畑課長  手元にきちんとした資料がないのですが、私の記憶で言いますと、当時3/4が決ま ったのは、1つは人事院での常用かどうかを判断するときの基準と当時の雇用保険がそ うだったと。それら2つぐらいのことを参考にして3/4ができていったものではなか ったかと思っています。 ○袖井座長  ぜひ、その資料を次回お願いいたします。堀委員どうぞ。 ○堀委員  きょうのご報告聞いての印象ですけれども、サラリーマンの被扶養配偶者について、 どうも所得比例のシステムをとっている国、ドイツとかフランス、新しいスウェーデン の制度は、応能負担というか保険原理に基づいている。自分が納めた保険料に見合う給 付を受ける形になっている。保険料が高ければ高い年金額を受ける。これは私的保険の 原理ですが、それに割と忠実に従っている。もちろん扶助原理に基づく部分もあります けれども、基本的にはそういうような感じがするんですね。  そういう原理の下では、被扶養配偶者といえども保険料を納めていないのだから給付 をしないのだと、そういうことになる。日本とかイギリスの定額部分(基礎年金)は保 険原理というよりは扶助原理に基づいている。拠出は応能負担で給付は定額です。これ は扶助原理に基づくものだと思うんですが、アメリカもどちらかというと、低所得者に 厚い。国民すべてに対して定額の年金を支給するとか、扶助原理に基づく制度は、被扶 養配偶者、所得のない配偶者についても基礎年金を支給しましょう、何かそういうふう な考えできているような感じを受けました。感想です。 ○袖井座長  今のはよろしいですか。これは税が入っているのはスウェーデンだけですか。 ○榮畑課長  この資料1に書かれていますように、フランス、スウェーデンは低い黒く塗っている 三角のところが税財源で、アメリカ、イギリス、ドイツの中で、ドイツに大体2割ぐら いの国庫補助がつけられております。 ○袖井座長  ちょっとできましたら、その辺も次回でも追加していただけますか。どのぐらい税が 入っているかということをですね。 ○佐藤委員  きょうのお話を伺っていて、私自身まだうまく整理できてないところなんですけれど も、個人単位という話をここでも大分してまいりましたが、個人単位か世帯単位かとい う話。それから、これもまたここでよく出てきた議論ですが、どういう水準をセットし ているかという議論がどうも両方一度に見ながら考えていかないといけないのだろうと いうことをまず思います。例えばフランス、先ほど住田委員がおっしゃったように、確 かにフランスもスウェーデンもいわゆる被扶養配偶者に対して特段の措置がとられてい ないという点では一致をしているわけですが、見るところ、スウェーデンは個人単位化 して、個人ごとの仮想ファンドから支給額を算出するというようなやり方であるのに対 して、フランスは遺族年金制度まで見ると、所得を稼得している方に対して2人分支給 しているのではないかという印象を受けるんですね。  ここでよくご夫婦の2人ともに満額を出すと過剰給付になるのだという話を何度もい たしましたが、フランスの発想は1人の、簡単に夫と言わせてくだされば、夫に対して 払う給付は2人分だという発想でセットしているのではなかろうか。それに対してアメ リカとイギリスは、確かに配偶者に対しての手当がありますが、これは夫に対して払う ものは1人分だと。 だから通常2人で暮らしていれば 150%、イギリスの場合 160になるんですね。それを いわば単位としているというふうに考えれば、イギリスもアメリカも世帯単位でただセ ットの仕方がフランスと違うというような見方ができるとか、そういう枠の中で、ドイ ツの制度をどんなふうに位置づけるのが性格として正しいのだろうか。このあたり私も 混乱しているのですが、度山さん何かコメントあられたら教えてください。 ○度山補佐 実は前々から先生と同じような問題意識を持ってこの問題をずっと見ているわけでご ざいますけれども、なかなかそこのところについてクリアーな説明ができておりませ ん。確かにアメリカとイギリスの仕組みは非常にわかりやすくて、1人だったら1人分 で、カップルになりますと2倍よりはちょっと少ない水準というのは、実際の人間の暮 らしを生計費レベルで見た場合には、共通経費の部分がありますから、合理的な構造だ なというふうには考えます。これが、大陸の方の、いわゆる保険原理の強い仕組みにお いて、どういうふうに考えられているのかということについては、確かに1人で2人分 暮らせるようにという発想が入り込んでいるのではないかとも思いますが、実際の年金 の水準のところで実証的に十分なご説明ができるところまで至っておりません。  ただ、例えばドイツで年金の分割をやっているわけですが、年金の分割の思想は夫婦 のうちの共同生活中の婚姻財産は半分だという、いわゆる民法的な原理と、もう一つ は、とにかく稼得能力のある者に対応して年金をつけるのだと。実際に稼得能力のない 人が一緒に住んでいれば当然その給料で生活しているはずですから、それに対応した年 金を出せばそれで生活できると。別れた場合には生活できなくなってしまいますので、 それを分ける。このような説明がされておりまして、そういうことから考えますと、実 際に被扶養配偶者が一緒に生活をしていた場合にも、いわゆる稼得能力がある方が稼い でいたもので生活していたのであり、その一定割合を保障すればそれで2人生活してい けるという考え方なのではないかと年金分割と結びつけて考えると、このようにも説明 できるのではないかと思います。全く個人的な見解ではございますが、ご報告申し上げ たいと思います。 ○吉武審議官  資料1の表を見ていただきますと、これは要するに典型的に賃金を0〜100 までとり 給付をとっているわけですね。最大の問題は、この賃金分布の中で、例えばドイツのサ ラリーマンがどういうところに賃金が本当に分布しているかというところが最大の問題 になってくるわけです。これは日本の場合もそうですけれども、そこが現実に現役のと きの賃金に対して給付がどうなってくるかということになってくるわけですが、残念な がら国際的な賃金統計というのは、私の感じから言いますと、年金統計よりも更に入手 がしがたいという状況にあります。国際的に賃金比較というのはなかなか非常にやりづ らいという点がありまして、一番右に出ています平均給付額というのは現実に出ている 年金の給付額ですので、これは年金の成熟度の違いですとか、そういうのが反映した単 なる平均値でありますが、ここからなかなか読み取りにくくて、本当は賃金に対する年 金給付の代替値といいますか、今の厚生年金で申しますと、平均賃金の大体6割をモデ ルだとこう言っているわけですから、そこが最大の問題になってきますし、そこの設定 は年金の財政的な安定性というものが相当左右するということなんですが、なかなか分 析ができないであれなんですが、ドイツを見ておりますと、基本的に、私どもの見てい る感じでは、所得が高い人に対する代替率は世界で一番高いのではないかと思います。  それが、今、世界の年金制度の中で、どこの制度でも非常に苦労していますけれど も、ドイツが最大保険料負担水準との問題で、政治的には大変なテーマになり、苦労し ているところの要因はそこにあるのではないかと思います。  アメリカ、イギリス、日本もそうですけれども、日本も基礎年金を導入しております ので、そういう意味では社会保障制度の年金制度の中で所得の階層に応じてどこにより 重点化していくかという指向性がありますけれども、ドイツの場合には完全に現役のと きの賃金に相当して出していくという形でありますので、そういう意味ではドイツは割 り切って、現役のときの稼得能力の姿をそのまま年金給付に移していく。したがって、 現役のときに、例えばどういう家族構成で、夫婦でどういう稼得構成であったにして も、そのままの姿が、6割とか5割になりますけれども、出てくるので、そこは考えな いという仕組みをとっているといえばそうではない。  ただ、ほかの国の場合には、むしろ給付としてどういった老齢給付を行っていくかと いうところを政策的に設定をしておりますので、そこから必ずドイツ流の割り切りでは 済まない問題が出てきて、そこを各国なりの調整の仕方をやっているというところでは ないか。  日本の場合、なかなかドイツ流の姿をとるというのは基本的には国民的な合意が得に くいだろうと思います。今までの年金改正の歴史で申しますと、むしろ基礎年金を設定 をして、サラリーマンでも所得の低い人に対しても、ある程度安定した給付を設定する という方向で来ておりますので、それをドイツ流の、報酬比例年金で完全に割り切った ような年金に持っていくということが果たして公的年金として適当かどうかという問題 は背景にあるのではないか。 ○堀委員  先ほどの佐藤委員と度山さんの議論ですけれども、確かにスウェーデンは女性も男性 並みに働いていますから、賃金も個人単位だろうし、したがって、年金も個人単位的な ものだろうと思うんですね。ただ、フランスとドイツはスウェーデンと同じかというと やや疑問がある。年金額が世帯単位なら、共働きの場合は世帯単位の年金は過剰給付に なりますが、そういう議論は余りないですね。日本は昭和61年の改正のときにそういう 議論があって基礎年金は個人単位にしたのです。フランスでもドイツでも年金は世帯単 位で、夫婦で共働きだと過剰給付になるという議論は余り聞いたことないですね。 ○佐藤委員  今度は離婚時のことについて若干コメントさせていただきたいのですが、年金分割と いうことを離婚のときに考えますと、婚姻中に取得した年金期待権を分けるというのが 非常に理屈として合うわけですね。それが可能な制度が基礎にあるかどうかというとこ ろが恐らくポイントになっていて、ドイツの制度というのは非常にわかりやすいわけで すね。 各自が婚姻期間中に取得した年金ポイントを分けるというわけですから非常によくわか る。  ご説明がありませんでしたが、カナダの場合も、自動的に婚姻期間のうちに獲得した 年金権がと書いてありますから、これもポイント制のようなものになっているのでしょ うか。例えば全体の期間のうちで報酬が最高の15年分を基礎にして受給額を決定すると いうような話になると、離婚した時点では将来の受給額はわからないわけですよね。そ うするとその基礎になっている制度と対応して、初めて年金期待権、分割になっている やつはいいんですけれども、そうではなくて、将来もらうはずだというものについて は、そういう制度が可能かどうかということを考えないといけないということですよ ね。  それと比べるとアメリカの、これは離婚しても配偶者年金が追っかけていきますが、 これは離婚した後、ずっとたって、夫なら夫の収入が非常に高くなった場合、それにセ ットして来るんですよね。その意味では、若年に15年結婚していて、そのときは低所得 で、別れて夫がすごくもうけると、それに引っ張られるわけですね。ただ、それはアメ リカの州法は、離婚後の前配偶者の扶養義務を強く認めているものが多いですから、民 法の発想に対応しているのだろうと思います。  イギリスの場合はよくわからないのですが、これは実体的な債権になったものの分割 なんですか、付加年金については。それとも将来の期待権についての分割なんでしょう か。ちょっと聞き漏らしたみたいで、申し訳ありませんが、教えていただけますか。 ○度山補佐  なかなかレポートが不十分で申し訳ございません。まず最初のカナダの所得比例年金 ですが、1階の定額の税方式の年金に乗っかっている所得比例年金ということでござい ますので、そう構造は複雑ではない現役時代の所得に比例する構造の年金であったと記 憶しておりますので、多分年金額を算定するときの前提になります報酬の部分をもとに 分割をするのではなかろうかと想像をいたします。  それから、アメリカの仕組みが出ましたが、これは先ほどのお話のとおりでございま して、別れた配偶者のその後の期間も含めて配偶者年金を算出をする。婚姻期間中の共 同で形成した財産にという考え方からは逸脱していますが、ここはむしろいわゆる社会 的な保障の必要性という観点から、割り切った制度となっていると感じます。  イギリスの年金分割ですが、実は仕組みがとられたのが非常に新しいものですから、 まだ実際に細かなところも含めてのインフォメーションが十分ではなく申し訳ございま せん。この点については、更に調査を進めたいと思います。実際に受給年齢に達してい るときに分割するのかということについては、恐らく期待権のレベルで分割しているの でなかろうかと思いますが、そこは確認をさせていただきたいと思います。 ○佐藤委員  イギリスの制度が割合日本に似ていると思いますので、かの国でどういう分割をして いるかというのは大変参考になろうと思います。それから、恐らくアメリカの場合は婚 姻期間が10年超えれば、何度も結婚と離婚を繰り返した場合、複数の前配偶者に配偶者 年金を払うという制度ではなかったと思いますから、おっしゃるように、年金権の、フ ランスのように婚姻期間に応じて分割なんていうような、そういう発想ではなくて、必 要性に応じてということだろうと思います。 ○翁委員  1つは感想で、1つは質問なんですけれども、きょうのは大変参考になりまして、大 きな流れとしては、女性か男性かという性別ではなくて、むしろ所得によって制度設計 がなされているというフィロソフィーになってきているという点が非常に参考になると 思います。日本も女性ということだけではなくて、個人のライフスタイルが多様化して いるわけですから、そういうフィロソフィーでいくということが重要なのではないか。 ただ、所得の低くなりがちな女性というグループについて配慮することはあるというこ となのではないかと思います。  さっきちょっとお話もありましたけれども、公的年金の体系として、資料1のいろん な台形とか三角、この所得の型によって制度設計を考えていくということになります と、この設計はこの形をどういうふうにしていくのかということが基本的に女性の年金 を考えるときにも非常に重要で、公的年金制度全体の要請として、少子高齢化で非常に 財政が苦しくなるという中で、給付を削減するなり、保険料を引き上げるという方向が 見えているわけですから、そういった全体の制約の中でどういった給付と負担の在り方 を考えていくのかということが重要と感じました。  もう一つは、例えば遺族年金などのところで関係することだと思うんですけれども、 公的年金制度という制度で、どこまでそういったリスクに対してコミットするのかとい うことです。例えば日本などは民間の生命保険への依存度というのが非常に高くて、ほ とんど国民皆生命保険というぐらい生命保険に入っているわけで、それに対して行政は 生命保険料控除という間接的な形でコミットをしているというようなこともあるわけ で、単に遺族年金の給付のレベルを各国で比較するだけではなくて、その周辺の制度に も目配りする必要があるというように思います。  そういう点から考えると、例えば配偶者控除のレベルとか、そういうものに関して も、公的年金の給付と負担のレベルを考えたり、どの程度公的年金でコミットするかと いうことを考える際の、参考情報としてぜひそれぞれの国について重要なポイントは教 えていただきたいと思います。 ○袖井座長  今、皆様方からいろんなご要望がありましたので、申し訳ありませんが、もうちょっ と度山さん頑張ってください。あと、私も知りたいのですが、所得比例のところで、下 の方はどういうふうに保障するか、かなり詳しいけど、上限はどうなっているかという のも、もしわかれば、先ほどドイツは無制限みたいな感じでしたが、それがどうなって いるか、その辺もぜひお知らせてください。  それから、今、皆様方からいろんなご意見出てましたが、本当に住田委員がおっしゃ ったように、一覧表にして、個人対世帯内配偶者控除、ばあっとでかい表をつくってい ただけると非常に助かるなという感じがしておりますが、申し訳ありません、よろしく お願いいたします。  それでは、もう時間も参りましたが、どなたかぜひという方、いらっしゃいますか。 よろしいですか。  それでは、本日の検討会はここまでとさせていただきます。本当に事務局の方、どう もお疲れさま、ありがとうございました。更なるご研さんというか、またよろしくお願 いいたします。  次回以降の検討会につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○中原企画官  9月以降の日程でございますが、前回皆様方のご都合をお伺いいたしまして、この中 で比較的に日程の合う日がお手元の資料のとおりでございまして、9月3日、25日、10 月3日、30日、11月9日、16日、29日ということでございまして、恐縮でございます が、これらの日を検討会の開催日としてご予定に入れていただきますようにお願いした いと思っております。  8月はお休みとなりまして、9月に再開してからの進め方でございますが、まずこれ までの議論のまとめと「女性と年金」の問題の基本的な考え方についてのご討議あるい は専業主婦、専業主婦経験者の方々との意見交換を行いまして、その後で細かな論点に ついて議論を進めていくのがよいのではないかと考えておるところでございます。  このような線で、次回以降の検討会の内容につきまして、座長や副座長と相談の上、 ご協力いただく専業主婦の方々とも日程を調整いたしまして、なるべく早く決定してご 報告を申し上げたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思いま す。  また、大変恐縮でございますが、予備的に12月につきましても、日程調整をさせてい ただきたいと存じますので、お手元の日程調整表にご記入いただきまして、事務局まで お届けくださいますようお願いをいたします。  以上でございます。 ○袖井座長  どうもありがとうございました。いよいよ9月以降かなり詰めた議論になるかと思い ますが、専業主婦あるいは専業主婦経験者との意見交換ということは何人かの方もお呼 びしたいと考えておりますが、それ以外にもこの委員の中に3号の経験者だった方がた くさんいらっしゃいますので、その方々にもぜひ積極的にご発言いただきたいと考えて おります。  それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。本日はお忙しいところ、どうもあ りがとうございました。                                   −以 上− (照会先) 厚生労働省年金局年金課  課長補佐     度山  企画法令第3係長 三浦  電話03-5253-1111(内3338)    03-3591-1013(夜 間)