審議会議事録  厚生労働省ホームページ

第1回福祉部会議事録

日時: 平成13年7月26日(木)10:00〜12:00
場所: 厚生労働省 専用第20会議室
出席委員: 岩田委員、大山委員、岡田委員、岡部委員、北野委員、京極委員、佐口委員、鈴木委員、武川委員、中村委員、根本委員、長谷川委員、村田委員
欠席委員: 茨木委員

議事

(1)事務局による委員の紹介

(2)真野社会・援護局長による挨拶

(3)委員による自己紹介

(4)部会長の選任及び部会長代理の指名

 委員の互選により、部会長として岩田委員が選任され、全会一致で承認された。
 また、部会長により、部会長代理として京極委員が指名され、全会一致で承認された。

(5)部会の公開

 会議を公開すること、会議資料を公開すること及び議事を発言者名を明らかにして議事録として公開することが全会一致で了承された。

(6)事務局による資料の説明

5 審議の概要

(真野社会・援護局長)

○ 社会福祉の分野については、旧厚生省時代に中央社会福祉審議会があったが、今年1月の中央省庁再編に伴い、他の審議会と統合されて社会保障審議会とされた。同審議会に、社会福祉の分野においた大所高所からの議論をいただく場として、福祉部会を設置することが第2回社会保障審議会で承認されたところ。
○ 当面、この部会では地域福祉計画の策定と、昨年社会・援護局長の私的諮問機関である「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」において指摘された事項について審議をお願いしたい。
○ 昨年、社会福祉基礎構造改革として、社会福祉事業法の改正を行ったが、その第1の柱は利用者本位の制度の確立、第2の柱はサービスの質の向上であり、第3の柱が地域において住民に自分たちの福祉を考えてもらうという地域福祉計画である。少子高齢化の時代にあって、国民の安心と生活の安定を確保するためには、自助と自律の精神を基本としつつ、地域住民などで支え合う共助の社会を築くことが大切であり、そのためにも、各地域において地域福祉計画の策定に取り組んでもらうことが大変重要である。
○ 「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」においても、地域福祉計画の策定、運用に向けて、住民の幅広い参画を得て支え合う社会の実現を図ることが求められている。介護保険法の施行により、地域の福祉を各地域で考える機運は出てきているので、それを一層発展させてもらいたい。
○ 国の方から「地域福祉はこうあるべき」と押しつけるのではなく、地域で自分たちの福祉はどうあるべきか考えてもらうものであり、こちらから示すのは、ひな形ではなく、技術的助言である。市町村なり都道府県が地域福祉計画を住民の参画を得て策定する際、議論すべき中身や方向について技術的なアドバイスができるよう、委員の皆様に議論していただきたい。
○ 法律上、平成15年4月から地域福祉計画の策定に関する規定が施行することとされているが、市町村や都道府県で議論する時間を確保するためには、当部会で今年度中に議論いただき、平成14年度の早期に、自治体に対して計画策定のための指針を示したいと考えている。

(岩田部会長)

○ 今日、大変古典的な社会問題が様々な形で生じてきている。それに対して、新しい社会保障、社会福祉の全体的な仕組みをどのように再構築していくのかは、大変重要な問題と考えている。

(大山委員)

○ 地域の特性を踏まえつつ、地域福祉計画を作っていくことが重要。特に、社会福祉法の改正以降、福祉の基本的な考え方が変わってきているので、従来の社会資源を発掘しながら、それをどのように有効に活用していくかが重要な課題。この部会での議論が、地域での新しい発想、創意工夫への取組みのヒントになればと大いに期待している。

(岡田委員)

○ 今、強い関心を持っているのは、知的障害の人々に対する考え方の大きな変化と、これらの人々が生涯を通じて居住の場をどこに求めるかという課題である。さらに、知的障害は発達障害であるため、子供という視点を無視することはできないと考える。

(岡部委員)

○ 貧困・低所得の方々の生活をどう支えるのかということが、私の主要な問題関心である。中央社会福祉審議会では、生活保護専門分科会に参加したという経験もあるので、当面の課題という形で地域福祉計画並びに社会的に援護を要する人々に対する問題をどう考えればよいかということについて、意見を述べさせてもらえればと考えている。

(北野委員)

○ 特に、重度の障害を持っている方の地域での自立生活を研究テーマにしている。関西地方の11の市町村で障害者計画の委員長をさせていただいたので、その経験を部会での審議に生かせればと思っている。

(京極委員)

○ 私の関心は特に人材養成確保にある。福祉は人なりというが、人というのは一朝一夕で養成されないので、どのように対応していくのか、また、働く人々の待遇条件の改善等について、幅広く議論を深めていきたい。

(佐口委員)

○ 私の専門は雇用労働問題。数年前にソーシャルワーカーの労働市場等に関して勉強する機会があり、それ以来、この分野には大変関心を持っている。最近では、労働や雇用の問題を考える上で、ウェルフェアをどう考えるかということも随分議論になってきているので、そうした観点から何らかの貢献ができればと思っている。

(鈴木委員)

○ 私は、地域で子育てをした普通の主婦や市民の経験を踏まえて調査、研究をしており、当部会においても、今までと同じように一般の母親、地域の主婦の感覚で発言をしていきたい。特に、児童の視点、地域での児童育成の視点、家族の視点、普通の家庭生活をしている市民のニーズをこの地域福祉計画の中にも盛り込めればと考えている

(武川委員)

○ 普段は社会学的な観点から福祉国家や福祉社会に関する研究を行っている。社会福祉関係でいうと、高齢者関係のニード調査や計画、最近は地域福祉計画のモデル事業に関して多少仕事で関わってきたので、その関係から意見を述べられればと思っている。

(中村委員)

○ 地域福祉は20世紀型から21世紀型へどう変えていくかが課題。地域福祉を議論する際には、市町村社会福祉協議会、県社会福祉協議会のあり方の議論は避けて通れないと考えるので、当部会ではその辺にスポットを当ててもらいたい。また、旧中央社会福祉審議会の議事要旨では、発言者名が明らかにされなかったので、責任を持った発言という意味から、今回は発言者名を入れて議事要旨を作成してもらいたい。

(根本委員)

○ 現在もっとも興味があるのは、制度の変革期において、その制度を支える思想や哲学というものを誰がどのような形で作るのか、住民自身が制度にどのように関わりを持ち、参画するのかということである。思想と住民の動きがないことには制度は成立しないのではないか、当部会を通じてそのダイナミズムを勉強できればと思っている。

(長谷川委員)

○ 「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」への参加を通じて、地域における住民意識の問題や、福祉力の回復ないしは再構築というものの必要性を改めて考えさせられた。私自身は、日本の社会福祉の歴史、仏教の立場からの福祉論を中心に学んできており、とりわけセツルメントに対する関心が高いので、そのような点から、発言する機会が得られればと考えている。

(村田委員)

○ NHKの解説員として番組に関わっているが、老人保健福祉計画ができる前後から、とにかく市町村を歩くことを自分に課して、番組を作ってきた。私の問題意識としては、市町村がどういうふうに変わっていくのか、その変わる要因というのはどこにあるのかということ。介護保険制度成立後、驚くほど大きく変化してきているが、個々で見ると大きな格差がある。しかし、全体的に見ると、行政も地域住民もとにかく変わりたいという思いを持っていることを実感したので、地域福祉計画の策定を通じて地域が大きく変わるのではないかと非常に期待している。

(岩田部会長)

○ 地域福祉計画を作る場合、老人、児童、障害者の各分野での計画、制度との整合性、雇用や住宅、教育、医療といった関連分野におけるこれまでの取り組みや考え方を把握した上で、それとの整合性をどのように図っていくのかが大きな課題になる。

(岡部委員)

○ 全体を包括する形で地域福祉計画とされていると思うが、貧困・低所得に対する計画作りのような課題は、地域福祉計画の中で論じるのか、それとも社会的な援護を要する人々の議論の中で論じるのか、その整理を事前にしていただきたい。

(森山総務課長)

○ 社会的な援護を要する人々に対する施策の体系ができていなければ地域福祉計画を策定できないものとすべきではなく、市町村や都道府県が、地域福祉計画を考える中で、こうした社会的な援護を要する人々に対する施策を考えていただければと考える。

(川井地域福祉課長)

○ 地域福祉計画に「社会的な援護を要する人々に対する検討会」の報告書の内容をすべて盛り込むということは考えていない。既存の縦割りの計画や制度を前提としながら、必要な福祉サービスが必要な人々にきちんと届くような関係を地域という視点で構築するものと考えている。

(北野委員)

○ 「社会的な援護を要する人々に対する検討会」で指摘された社会的排除、心身の障害といった問題は、障害者が地域生活を送る際に生じる問題と重なる部分が多い。地域福祉計画や障害者問題を考えると、これらの問題をある程度リンクさせながら検討し、特定部分は特出しをするのが適当ではないか。

(中村委員)

○ 介護保険制度は社会的な援護を要する人々に焦点が合っていない制度、それだけに、これらの人々を救っていくことに社会福祉法人の役割があるのではないか。それにもかかわらず、社会福祉法人の公益性を明確には出せておらず、要援護対策ができていない。援護を要する人々にスポットを当て、社会福祉法人については、その事業体としての公益性を早く出していく必要があるのではないかと危機感を持っている。

(武川委員)

○ 社会的援護を要する人たちに関する事項は、地域福祉を考える場合に当然関わってくるし、それだけでなく、児童虐待といった問題も当然考えてしかるべき事項。ここでは取り扱うべき事項を限定しないでおくべきではないか。

(京極委員)

○ 地域福祉計画を考える上で、これまでの縦割りの制度などに対して、横割りの視点から見ることは重要と考えるが、その場合、地域という範囲をどこまで考えるのかが大事である。横浜などの大都市においては、まず区単位で考え、その上で全体の市の計画も考えることや、小さな町村においては、生活圏という住民の考え方よりはもう少し広域的なものを考えながら行うことなど、地域の範囲を柔軟にとらえ直していく必要があるのではないか。
○ 住民参加といった場合、住民意識をどのように醸成し、盛り立てていくのかといったことや、既存の施設等の地域への機能開放といったことも、きめ細かく計画として積み上げていく必要があると考える。
○ また、計画をどのように作り上げるかというプロセスについても、従来の行政の計画と同様に作成すべきではない。今般の法改正で地域福祉の拠点として明確に位置付けられた市町村社会福祉協議会に委託し、同協議会の下で様々な人が集まって検討し、それをまた行政が引き受けて制度化するというような工夫が必要ではないか。

(鈴木委員)

○ 老人保健福祉計画については、一部の市区町村は作業をシンクタンクに委託し、形だけの計画を作っているような印象を受けた。今回の地域福祉計画では、地域の個性に応じた作り方ができればと考える。雇用や貧困の問題といった社会的に大きな問題まで市町村に下ろされると、市町村では扱いかねる部分もあると思うので、プロセスだけでなく、成果物も柔軟で市町村に応じたもので良いと考えている。

(長谷川委員)

○ 社会的援護を要する人々に対する問題と地域福祉計画の問題というのは、密接不可分であり、これを殊更分けるのではなく、また、正面から取り上げるということでもなく、お互いをリンクさせて検討する方向では如何か。

(村田委員)

○ 農村部、過疎地、大都会といった地域の差を考えると、一括りで地域福祉と言うことができるか疑問であり、個別の考え方が必要ではないか。
○ 社会福祉基礎構造改革の中間まとめで述べられているように、地域福祉は、住宅や交通手段や教育等と一緒に考えていくことがが大事ではないか。福祉という観点だけではなく、大括りな考え方で地域福祉を考えていくことが望ましい。

(根本委員)

○ 福祉その他の分野の成熟度については、それぞれの地域社会ごとに進んでいる部分と遅れている部分があり、地域性が存在する。このため、あまり限定した形を取らずに、あくまでも各地域の土壌に合った形で、それぞれの市町村が自由に選択できるような仕組み等を提示することが大事。特に、新しい文化などを創造する場合、国が一方的に押しつけるのはそぐわない。

(武川委員)

○ 市町村には非常に多様性があるが、生活圏や動ける範囲での地域のあり方には、極端な違いはないと考える。生活者としての生活圏をここでいう地域と考えていくことが必要ではないか。
○ また、交通手段、技術の発達、ITの問題等があり、物理的な空間に制約されないような人間のつながりができているという実態がある。地域のあり方については、固定的なイメージで考えない方がよいのではないだろうか。

(京極委員)

○ 生活保護と地域福祉は、従来対立的に考えられていたが、地域の中で低所得者も生きているし、その人たちも様々な問題を抱えている。地域社会で様々な人たちを支えていくという視点が出てくると、生活保護者なり、精神障害や知的障害を抱える低所得者などの問題を抱える人々への対応をどうすべきかということが問題となる。
○ また、日本も国際化しており、外国人労働者の問題なども現れている。地域住民に、外国人は入るのかどうか、生活者と見た場合にどうするのかという点も含めて考えた方がよいのではないか。

(佐口委員)

○ 地域福祉計画は、ある種の総合性を持たせることに大きな意味があることはよく分かるが、自分が地域の担当者であった時に、具体的に何をしたらよいか悩むのではないか。理念や総合化といった問題を議論しつつ、国際的な事例や地域の色々な事例なども交えながら、具体的なイメージがわくような議論をしていく必要がある。
○ 様々な政府の諮問機関における改革の提案が福祉に関係しており、かつ、整合性を欠く状況にある。我々が地域福祉計画について議論する場合、それらを処理しながら進めていくべきなのか、それとも、それらはとりあえず脇に置いて、我々はまずここで考えて、とにかくいいものを出せばいいという立場を貫くべきか考えておいた方がよいのではないか。

(大山委員)

○ この部会で議論すべきは、市町村などの計画を作らなければならない立場から見て、今何が求められているである。必要とされているのは、かなり戦略レベルのものであり、具体例を紹介しながら、問題解決の糸口や手掛かりといったものを提供していくべきではないか。部会の進め方として、何を中心にすればよいかは整理しておく必要がある。


(照会先)
厚生労働省社会・援護局総務課 堀
03(3595)2612(直通)

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