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薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録


薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
乳肉水産食品部会
議事録
厚生労働省医薬局食品保健部基準課

日時平成13年7月11日(水) 14:00〜16:00
場所厚生労働省 第7共用会議室
審議事項乳及び乳製品の規格基準の改正について
(1)脱脂粉乳等の製造基準について
(2)乳等の殺菌基準について
(3)乳等の種類別分類について
(4)乳等の容器包装の基準について
(5)その他
出席委員小川益男、熊谷進(部会長)、塩見一雄、品川邦汎、清水誠、伏谷伸宏、丸山務、山崎省二、山本茂貴(敬称略)
事務局(厚生労働省) 石井基準課長、滝本課長補佐、鶴身乳肉水産基準係長、他1名


○事務局
 それでは、間もなく定刻となりますので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産部会を開催いたします。
 本日は、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の乳肉水産食品部会は、11名の委員の先生方のうち9名の委員に出席していただいておりますので、当部会は成立いたしておりますことを御報告申し上げます。
 それでは、開催に先立ちまして、食品保健部長より一言ごあいさつを申し上げます。

○尾嵜食品保健部長
 部長の尾嵜でございます。委員の先生方には、平素から大変お世話になりありがとうございます。
 本日、乳肉水産食品部会を開催いたしまして、幾つかの事柄について、今後、時間を掛けて御検討いただくことをお願いするわけでございます。
 今回は、4月25日に諮問させていただきました乳及び乳製品の規格基準の改正について御検討いただくわけでございますが、議事次第にも書いてございますように、1つは、昨年のまだ記憶に新しい雪印乳業の食中毒事件に端を発しまして、脱脂粉乳の製造基準の設定について御検討いただきたいということでございます。2つ目は、乳等の殺菌基準についても御検討をいただければとお願いしているところでございます。更に、乳等省令の種類別分類の見直しでありますとか、あるいは容器包装の基準につきまして御検討をお願いいたしたいということで、今日お集まりいただいたわけでございます。
 乳製品につきましては、御承知のように、昨年の事件以来、今年に入りましても幾つかの食中毒事例が確認されており、非常に国民の関心の高いところでございます。これからそういった事例を未然に防止するという考え方、当然ながらHACCPの承認の関係については別途御検討いただき、あるいは実際に食中毒事件が起こらないようなチェック体制等の別な面からの対応も考えていかなければいけないと思っておりますが、いずれにいたしましても、今回諮問をさせていただいております事柄につきまして、十分な御検討をいただければと思っております。
 本日は、その事柄につきまして、現状等を御説明させていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 私は、ごあいさつだけで失礼いたしますが、どうぞ御了承をお願い申し上げます。今日はご多忙中のところお集まりいただき、ありがとうございます。

○事務局
 それでは、熊谷部会長、よろしくお願いいたします。

○熊谷部会長
 それでは、議事の進行を務めさせていただきます。
 各委員の先生方には、時間内に閉会できますように御協力をお願いいたします。
 まず、配付資料について確認をお願いします。

○事務局
 本日用意させていただきました資料でございます。会議次第として留めてございますものが1つございます。
 それから、資料No.1ということで3枚ございます。これは、先ほど部長のあいさつにもございましたとおり、本年の4月25日に厚生労働大臣の方から審議会の会長に諮問した内容になっております。具体的には、3枚目にございますが「乳等省令改正の主な検討事項」ということになっております。「製造方法の基準」の脱脂粉乳の製造基準、(2)の乳等の殺菌基準。
 3番目といたしまして、種類別の分類の見直し、4番目として容器包装の基準の見直しということで、資料No.2以下は、この項目について資料を綴ってございます。
 資料No.2でございますけれども、脱脂粉乳関係の資料といたしまして、1ページから22ページまであろうかと思います。
 それから、資料No.3でございますが、これは乳等の殺菌基準関係の資料として、1ページから15ページまでございます。
 それから、資料No.4が、種類別の見直しに関する資料ということで、1ページから5ページまででございます。
 それから、資料No.5といたしまして、容器包装の関係資料といたしまして3枚、1ページから3ページまででございます。
 以上が、本日用意させていただいた資料でございます。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。ありますでしょうか。
 それでは、今日は、この後資料に基づいて御説明いただくことになっていますが、2番目の議事の「乳等の殺菌基準について」につきましては山本委員にいろいろ御報告いただくことがありますが、山本委員が所用のため3時に退席せざるを得ないということで、最初に、2番目の議事である乳等の殺菌基準について審議したいと思います。
 では、まず事務局の方で御説明をお願いいたします。

○事務局
 それでは、資料の方を説明させていただきます。諮問をいたしました乳等の殺菌基準についての見直しの関係でございますが、具体的には山本先生の方で、平成10年から平成12年度までQ熱病原体の耐熱性に関する研究をお願いしておりまして、その研究結果が取りまとめられましたので、その結果を踏まえて、現行の乳等省令上の殺菌基準の見直しについて御検討をお願いするということでございます。
 したがいまして、Q熱病原体の耐熱性の御説明に入ります前に、そもそもQ熱とはどのような病気であって、どのような発生状況かということを簡単に御説明した後、先生の研究結果、現行の乳等省令上の基準について御説明をしたいと思います。
 まず、資料No.3−1でございますが、これは『感染症予防必携』という本から抜粋をした内容でございます。Q熱につきましては、感染症新法の4類に属する感染症ということで、全数届出対象になっている疾病でございます。
 Q熱は、資料No.3−1の1ページに書いてございますように、1937年にオーストラリアで初めて報告された感染症であり、人畜共通感染症の1つでございます。
 主に諸外国等々で問題になっておりまして、動物で言いますとウシやヒツジで繁殖障害、ヒトに感染すると、特に、食肉取扱業者の間での急性あるいは慢性疾患の1つとして発生しており、最近では都市部でペットからの感染例も見られるというような疾病でございます。
 病状でございますが、インフルエンザに類似した病気であるということで、突然の高熱あるいは頭痛、筋痛などで始まり、それが1〜2週間続くということでございまして、多くは3週間程度で自然に回復をするということでございます。
 病原体でございますが、Coxiella burnetii、リケッチアの1つということでござい ます。
 下の方にまいりまして、疫学的特徴が書いてございますが、発生状況につきましては、アメリカ等で感染例があるほか我が国でも感染例がございまして、初めて確認をされましたのは昭和63年、1988年でございますが、カナダでヒツジの胎仔を取り扱っていた医学研究者が帰国後に発病した例のようでございます。このケースでは病原体が分離され、抗体上昇も確認されているということでございます。
 感染源でございますが、次のページにまいりますが、ヒトへの感染は、ダニの糞だとかあるいは動物の糞などの、塵埃中の病原体を吸い込むことによって発生する疾病でございまして、そのほか汚染した非殺菌牛乳、これは生乳でございますが、加熱処理をしていない牛乳なども感染源となっている。あるいは、ネコからの感染例も報告をされているということでございます。
 次のページにまいりますが、3ページ目にこのQ熱の発生状況ということで、先ほど申し上げましたように、感染症新法では4類で全数届出の疾病になっておりまして、平成11年4月からこの届出が義務付けられております。国内における発生例は、平成11年4月から12月までで12名、平成12年では1年間で23名、平成13年は6月の半ばまでですが、9例の発生例が報告をされておりまして、これらはいずれも散発事例でございます。食品由来の発生例は報告をされておりませんが、ペット由来ではないかと疑わせるようなものはあるということでございます。
 一方、世界における集団発生例を見ますと、数十名あるいは100名以上の集団発生例が見られているということでございますが、いずれも例えばヒツジが流産した牧場からの風伝播でその糞埃を吸引した、あるいはと畜場の従業員であるとかヤギを飼っていた生徒であるとか、そういった方々の集団発生例が見られているということでございます。
 資料No.3−2にまいりますが、このQ熱の病原体に関する調査研究が平成10年度から、当時は国立公衆衛生院でございますけれども、山本先生の方に調査研究をお願いしておりまして、平成12年度にその研究成果が取りまとめられました。
 ページをめくっていただきまして11ページ目に、平成12年度の厚生科学研究費補助金の報告書ということで、今年の4月にまとめられたものですが「Coxiella burnetiiの死滅温度に関する実験的研究」ということでございます。研究要旨のところに、平成10年度以降平成12年度までの研究内容がまとめてございますので、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、初年度の調査研究におきまして、市販されております牛乳中のCoxiella burnetiiの生残状況についての調査を行っていただいたということでございます。その結果、いわゆる低温殺菌牛乳と言われるものでございますが、62℃30分あるいは63℃30分で殺菌をされている牛乳から、限られた製造元ではございますが、このQ熱の病原体が分離されたということでございまして、これについて加熱の時間あるいは死滅の温度についての調査研究を進めていただきまして、平成11年度には生乳にこの病原体を添加いたしまして、どういった温度帯あるいはどういった時間帯で死滅するかという御検討をお願いしたわけでございます。
 その結果、65℃30分加熱ではこの病原体は完全に死滅しますが、63℃30分では若干ながら生き残るものがあることが確認されております。また、63℃30分では15例中2例が生存するということが確認されました。
 このときの時間条件は30分きっちり63℃で保持をするという形で行われたようでございまして、単に63℃で30分間加熱するだけでは完全ではない、通常、牛乳の加熱はバッチ式で保持をしながら加熱殺菌することから、63℃までに至る時間、温度の上昇時間をいろいろ検討していただきました結果、15分では完全ではなく、20分で63℃に達するような加熱条件であれば、この病原体は完全に死滅することができるというような研究成果がまとまったということです。
 一方で、現行の乳等省令上の乳等の加熱殺菌基準でございますが、これは14ページ、資料No.3−3になりますが、牛乳等についての殺菌基準ということで、摂氏62℃から摂氏65℃までの間で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌することという基準になっておりまして、同等以上の殺菌効果の基準につきましては、その下の方に両括弧でくくっておりますUHT法だとかHTST法が列記されております。
 参考で、14ページの下の方に表をつけておりますが、我が国で流通している牛乳の殺菌温度別の処理量でございますが、これは平成11年度の実績でございます。牛乳の欄を見ていただきますと、全体で381万3,766キロリットルが処理をされておるわけでございますけれども、そのうちの13万6,451キロリットルが62℃から65℃の殺菌処理をされているということでございます。全体の大体3.6%がこの温度帯で処理をされていると。それ以外のものについては、75℃以上でありますとか、あるいはUHT等の瞬間殺菌で処理をされているというような現状にあるわけでございます。
 次に、15ページにまいりますが、各国における乳の殺菌条件につきまして、現時点で調べられる範囲内で調べた結果でございます。これを見ますと、ドイツは現行の我が国の基準とほぼ同じ基準でございまして、62℃から65℃で30分あるいは32分間となっていますけれども、バッチ式で殺菌をするというような方法になっています。ほかの国、例えばアメリカを見ますと、63℃で30分、正確には華氏での規定になっておりますので145°Fということで62.8℃という形になると思いますけれども、それで30分間となっております。
 国際的な基準を検討しておりますCODEXにおきましては乳・乳製品部会あるいは食品衛生部会の方で、この乳の殺菌条件といいますか、乳の処理の定義について検討されておりまして、パスツリゼーションの定義として、今ステップ3の状況でございますが、温度条件としては63℃30分あるいは72℃の15秒というのが、温度時間の殺菌条件ということでございます。
 用意させていただきました資料は以上でございます。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。
 山本委員の方から補足説明がありましたら、お願いします。

○山本委員
 それでは、私の方から3年間にわたり行いました実験の条件と概要をもう少し詳しく御報告させていただきます。
 まず初めに、4ページですが、これは「生乳及び市販乳中のQ熱病原体に関する調査研究」ということで、どれくらいの汚染実態があるのかということを調査いたしました。
 検出方法といたしましては、1つはPCR、これはnestedPCRという方法でかなり高感度に検出する方法で、遺伝子を検出いたします。
 それ以外に、マウスでの分離を試みました。これは、A/J系のマウスにサイクロフォスファミドで免疫抑制処置をした後に、検体を腹腔内注射して3週間後にその脾臓を採取するというやり方です。脾臓中の抗原を間接蛍光抗体法もしくはPCRという方法で検出しました。また、直接塗抹をギムザ染色等で確認する方法も行っております。そのいずれもが、陽性の場合にマウスでの分離が陽性であったと判定をしております。
 その要約が、表1として7ページにございますが、生乳の場合は全体が152検体で、各乳業会社に原乳として搬入されているものが61検体、それから、農家で飼育されていた乳牛から直接採取した生乳が20検体、それから、乳房内に残っておりました残乳といいますのは、と畜検査場で屠殺解体されたものの乳房内の残乳ということであります。
 その結果、直接PCRでは40%程度の陽性数でした。これは、遺伝子が検出されたということで、この場合には生死、Coxiella burnetiiが生きているか死んでいるかということにかかわりなく遺伝子を検出するという方法です。それから、マウスに接種いたしまして調べましたら36.8%が陽性ということで、このCoxiella burnetiiが生残していることがわかりました。
 そこで、市販乳の方ではどうかということで検討を加えましたが、これは特別牛乳、これは未殺菌のもので現在は営業しておりませんが、これと、62℃、63℃、65℃といったように殺菌温度が違っている市販のものを購入しまして検討いたしました。
 その結果、65℃30分以上の殺菌では、マウスによる分離が確認されませんでした。62℃、63℃、特別牛乳は未殺菌ですが、そういったものからは、ある割合で検出されたということです。また、高い温度の殺菌が行われている場合でも、遺伝子は検出されておりますが、これは死滅した後も遺伝子が残存することがあるためです。
 このような殺菌温度で生残が確認されましたので、実際に死滅温度がどの程度であるかを実験的に確認することを試みました。それで、殺菌条件ですけれども、温度帯として62℃、63℃、65℃でそれぞれ30分という条件を使いました。この方法では、生乳として乳業会社に搬入される原乳で、その中にはCoxiella burnetiiが存在しないことをあらかじめPCRもしくはマウスへの接種で確認したものを用いました。そこに、実験室株、Nine MileIIというものですが、これを細胞で培養しておきまして、その細胞をかきとりました後に、一応PCR法でどれくらいの遺伝子濃度があるかということを検討しまして、それが100倍に希釈すると遺伝子が検出されなくなる濃度に調整して、その濃度のものを添加いたしました。それで、各バイアルは密栓式のバイアルでガラス製のものを使い、そこに電極性の温度計を差し、ウォーターバスの中でこの温度に達するように加熱を行いました。その間、温度はモニタリングを行っているということと、その温度計は検定つきの温度計で更正を行っております。
 その結果、10ページの表にありますように、62℃30分で実験群は、生乳にCoxiella burnetiiを添加して、それを加熱したものということで、これは、5検体中の3検体がマウスによる分離が陽性であったということです。陽性対照群といいますのは、Coxiella burnetiiを添加して加熱しなかった群です。それから、陰性対照群はCoxiella burnetiiを添加をしていないもの、マウス陰性対照群というのは、マウスにサイクロフォスファミドだけを処置して接種を行わなかったものです。
 65℃の方を見ていただきますと、実験群では5分の0ということで確実に死滅するということがわかりました。
 63℃30分の条件では、試験を3回繰り返しておりますが、これはちょっと順番がありまして、最初の例では5分の0で一番右側のものだったのですが、確認のために再実験を行いましたところ、5分の1ということで1例生残してしまった。それから、もう1回追試いたしまして、その結果が5分の1ということで、計3回行いました実験のうちの2回で5分の1ということが検出されてしまったということで、63℃30分でもその場合生残が起こる可能性が出てきたということです。これは、通常のバッチ式における加熱の仕方では温度上昇まで若干のタイムラグがありますが、この実験系では温度がシャープに立ち上がりほとんど室温から63℃までが時間差なしで立ち上がります。その熱容量的な問題も含めて検討するということで、最終年度には、その63℃に到達するまでの時間というものを検討しました。
 その結果は13ページに示してありますが、2回行った実験で、到達時間を15分に設定した場合、2回のうち1回で生残が確認されたということです。また、到達時間を20分に延ばしましたところ、それが確実に死滅したということであります。以上のことから、ある程度63℃に達するまでの温度、トータルとしての熱容量的なものがもう少し加わらないと、完全な死滅というものが起きないということが確認されたわけです。
 データとしては以上です。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。
 これは、殺菌条件の現状を先ほど事務局の方から御説明がありましたように、62℃から65℃30分という今の基準をどうするかという方向での議論で、今日結論を出すというよりも、今日は問題点等を議論しまして、今後どういったものを用意すべきかという提案をいただいて、次回それを基にどうあるべきかという議論という段取りで進めることにしております。
 したがいまして、そういった方向で、今、事務局と山本委員の方から御説明いただきました点につきまして、まず、御質問、確認等がございましたらお願いします。

○丸山委員
 3ページのところで基本的なことを教えていただきたいのですが、世界における集団発生を見ると、ほとんどこれは塵埃からの感染のようなものばかりですが、経口感染による散発事例もあるのでしょうか。
 それと、その中でも牛乳から感染したという事例があるのでしょうか。
 もう一つは、経口感染をするのであれば、そのときのCoxiella burnetiiの量は、どのくらいで感染をするのでしょうか。その3つのことについて教えていただきたいと思います。

○事務局
 間違いがあれば山本先生の方から御訂正を願いたいと思いますが、文献を見ていくと、ほとんどは経気道で塵埃からの病原体の吸入による感染となっていますが、外国では全く殺菌をしていない、未殺菌の生乳から感染をした例というのはあるようでございます。
 それから、病原体の量ですが、これについてはほとんど知見がないというのが現状ではなかろうかと思います。

○山本委員
 補足させていただきますと、生乳からの感染ということですが、これもほとんどが疫学的な調査結果です。Q熱の患者の聞き取り調査で生乳を飲んでいるという事実があったということで、生乳の中にQ熱病原体があってそれを飲んだという確認がないのですね。ですから、事実としては疫学調査による確認のみです。それから、殺菌乳において感染したということはありません。
 もう一つは、Q熱自身はどのくらいの濃度で感染するのかは報告がないのですけれども、これは封じ込めレベルという意味でいけばクラス3といいますか、かなり感染のしやすさがあるということで、実験室では厳重に扱う必要がある病原体です。

○熊谷部会長
 丸山先生、今のでよろしいですか。

○丸山委員
 はい、結構です。

○熊谷部会長
 3ページのアメリカ南カロライナの動物病院における発生というのは、たしか死亡者が何人か出たのですね。それがレベル3扱いにする非常に大きな理由になったのではないかと思うのです。ただ、そのほかの例については、どの程度重篤性があるのかといいますと、それほどではないような印象を持っていますけれども、もし、それについても御存じの先生がおられましたらご教授願います。
 そのほかに、なにかありませんか。

○品川委員
 山本先生のデータについて教えてほしいのですが、まず、牛乳の検査を実際されているのですね。生乳なり市販乳でPCR陽性のものとマウスで分離された陽性のものがあり、マウスで分離したということは、生きている菌が存在するということですね。7ページのデータでは、PCRによる市販乳のデータも百何件ありますが、市販乳で加熱されたものよりは、生乳の陽性率が低い感じがします。まず、それが第1の質問ですが、1つずつ聞きます。

○山本委員
 市販乳の方は、購入地域というものが限られているということが若干あり、ある程度は東海地域に限定して購入しております。生乳及びその原乳は、かなり広範なところからその会社に入ってきているということがわかっておりまして、その面で、ある地域での汚染というものが反映されている可能性があるのですね。

○品川委員
 地域的な差があるのではないかと考えられるわけですか。
 質問の第2点ですが、このCoxiella burnetiiの菌量を測定するのは非常に難しく、推定しかできないのですが、実験的にはPCRという非常に検出感度が高い方法で、今、市販牛乳や生乳の原液を用いて直接検査をされているのですね。要するに、牛乳の検体をどのくらい希釈するとPCRで陽性になるのかということを知りたいのですが、PCR陽性という結果は牛乳の原液を直接測定したものですが、それを10倍希釈、100倍希釈してもPCRが陽性となるのでしょうか。それでも陽性になるということは、菌量がある程度推定されるということになる。非常に難しいのは、それにより、どういう条件で死滅実験を行うかというところにも影響がでてくると思います。

○山本委員
 通常の生乳等では10倍希釈するとほとんど出なくなります。
ですから、かなり濃度的には低いという感じを受けております。それで、今回の場合は、その生乳中にPCRで100倍すると出なくなる量を加えて実験を行いました。

○品川委員
 ということは、そのときは106個くらいということですか。

○山本委員
 生菌数にしたら106個に近いのではないかというふうに考えますけれども、実際には希釈倍数でしかものが言えませんで、はっきりと何個ということが出せないということが問題です。

○品川委員
 わかりました。
 もう1点お聞きしたいのですが、同じ63℃30分の加熱条件でも、その温度に達するまでの予備加熱が15分か20分かによって違うということですが、米国や他の国において、その条件はどのようになっているのでしょうか。先ほどの説明では、63℃30分の設定が結構多いということですよね。そうすると、63℃30分で良いということですが、今回のデータでは63℃30分でも単純にそれだけでは十分でない、予備加熱が20分であれば良いけれども、15分では十分でないという形になると、63℃30分の加熱条件にもう一つ条件を付け加えないといけないのではないかと思います。それで、他の国は何かその条件をつけているのかと思ったのですが。

○事務局
 具体的に、例えば、上昇までどれくらいの時間を置くというような形で63℃30分の条 件として書いているところは見当たりませんでした。
 ただし、63℃30分というのはバッチ式でというふうに書いていますので、保持式でやりなさいというふうに書いていますので、当然保持式でということになるとこういうタンクに入れて徐々に温度を上げていくというような方法になろうかと思います。
 それから、ドイツでは62℃から65℃というふうになっているのですが、どうも上昇するときのルールがあるようなないような、まだ調べ切れていないのですけれども、今までのところ、そういう具体的に上昇温度を規定したというのは見当たっておりません。

○品川委員
 63℃30分を諸外国で行っており、日本では62℃になっているから低いのではと感じたのですが、63℃30分というのも、単純にその条件ではいけないという成績が出たときに、また、この殺菌温度をどこまでにするというような最終的な論議になっていくのでは思いますが、そういうところはきめ細かく検討しないと、データがないとなかなか難しい問題かと思いますけれども。

○山本委員
 もう1点言わせていただければ、実際のプラントを使った実験ができると、それが確実かなということですが、現在はバイアルを使った実験室内のデータであるということです。

○丸山委員
 もう1つよろしいですか。死滅温度の実験のところですけれども、山本先生、この実験に使われたのはNine Mile株ですね。菌株によって耐熱性の差は出てくるのですか。 たくさん菌株を使って実験するのは難しいのでしょうけれども、このCoxiella burnetiiは菌株によってかなり耐熱性が違うというような文献も確かあったと思うのですけが、その辺りはどうでしょうか。

○山本委員
 実は、その実験は組みたいのですけれども、我々が分離した株は、人工培養系に持っていけないのですね。それでマウスで取った場合に、はっきりとその数をどうするかという問題がありまして、今回はNine Mile株しか使えなかったということになっております。実際は、その菌株ごとの耐熱性にある程度は差があるというような報告もありますので、その辺も日本での分離株がどうなのかという検討は加えなければいけないと考えています。

○伏谷委員
 よろしいですか。素朴な質問ですが、これだけ病原体はいろいろなところに潜在的に存在するわけですね。なぜ牛乳だけを対象にされるのか。食肉辺りも当然そういう汚染の危険性はあるわけですよね。その辺はいかがですか。

○熊谷部会長
 それについては、一応、生乳との関連はQ熱で今まで知見があり、肉は恐らくほとんどないのだと思うのです。それから、肉は基本的に加熱、勿論、牛乳も現行は加熱の規定があり、確かに肉の加熱条件という部分では問題は残ると思いますが、生乳というものがありますので、まず、優先順位からすれば牛乳、乳製品。これは、飲む経路で感染、発病するのかいう点についても、その可能性が今現在報告されている。
 それから、このリケッチアを使った実験というのはP3施設でやらなければならないという点、検出するのにえらい手間暇が掛かるという点等、色々あって、非常に時間と労力がかかるというのが一つある。とはいえ、これは病原性が一応あるわけです。市販の牛乳から検出されているという事実があって、それらを総合して、さて、我々はどうするかという非常に悩ましい問題なのですけれども。
 ほかに御意見等は、ございませんか。

○小川委員
 幾つかお願いしたいのですが、まず1つは、7ページの表がございますけれども、市販乳で特別牛乳からはじまって殺菌温度の違うものが並んでいますが、これらの牛乳は表の上に記載されている原乳とは全く関係のないものですか。

○山本委員
 同じ乳業会社のものも含まれております。

○小川委員
 同じ乳業会社で殺菌温度が違う。

○山本委員
 温度が違うものも含まれております。

○小川委員
 だけれども、全部を殺菌温度の高低によって系統的に並べてあるわけですか。

○山本委員
 それをきちんと全部を区別しては記載しておりません。

○小川委員
 となると、ちょっと理解が難しいのですが、いずれにしてもこれを見ますと、62℃30分ではほとんど殺菌がされていないような感じを受けます。63℃30分でもほとんど効果がないが、同じ殺菌温度でも20分ほど長く時間をかけて温度をあげるとゼロになるというようにお聞きしたわけですが、そうなると、かなり微妙なところで生きるか死ぬかが分かれていることになる。先ほども菌株の問題が出ましたが、牛乳の例えば脂肪分のようなものによって、この程度の差は出てしまう可能性はないのかどうか。その辺について文献等はございますでしょうか。

○山本委員
 一応63℃30分のものにつきましては、手に入る限り温度記録があるところについては温度記録を見せていただいているのですが、立ち上がりの緩やかな場合と、かなりシャープに立ち上がってほとんど数分のうちに63℃に達するものとが混在しております。だから、ゆっくり立ち上がった方がマイナスであったかというとそうではなくて、その辺は、確認がきちんとできていないのですけれども。

○小川委員
 これが、例えば牛乳のような複雑で個体差のある成分ではなくて、ブイヨンのような単純で同一の成分のもので実験した場合にどうなるかという、一般的な基礎的データはないのでしょうか。同じ殺菌温度でも温度の上げ方で殺菌効果が変わってくるという基礎的なデータは、わかっていないのでしょうか。温度の上げ方を遅らせてやると効果が出てくる本体は菌の性質によるのか、置かれたメジュームの性質によるのか、その辺についてわかっていたら教えていただければと思います。
 それから、もう一つ、世界的に63℃30分の殺菌条件が多いのに、殺菌乳での感染例は知られていないということですね。日本でもそれは同じことだと思うのですね。こんなに原料乳に存在しても、通常は63℃30分で感染力を失う。これは先ほど通常の保持式で殺菌すれば上昇温度を遅らせるという条件が満たされるという御説明があったような気がするのですけれども、それだけの説明でこれを理解してよろしいのかどうかですね。ほかに何か考えられないのかどうか。こんなにたくさん検出されるのに感染例がないのは、非常に不思議な気がするのですけれども。

○熊谷部会長
 感染例は、ただ見つかっていないだけなのかもしれないですね。疾病の事例は、先ほどありましたように何例か我が国でありますので、それらが一体何に起因しているのかという。

○小川委員
 それは牛乳の事例ではないわけですね。

○熊谷部会長
 違います。牛乳との因果関係はわかっていないです。それは、ちょうどリステリアにも言えることですけれどもね。

○小川委員
 このQ熱の耐熱性の問題は、かなり昔から教科書に書いてあって、結核菌ではなくてQ熱を殺菌の基準にすべきだというようなことが言われてもう20年以上になるのではないかという気がするのですが、アメリカあたりでもこの様な検討はされていないのですか。

○山本委員
 アメリカが63℃30分という形といいますか、華氏で145°に上げた理由はQ熱の耐熱性の問題を取り上げています。

○小川委員
 私のうっすらとした記憶では、アメリカでは実質的にはこれでいけるとなったように記憶しているのですが、結局それはだめだったということでしょうか。それとも、アメリカは温度上昇速度を遅らせてやる方法を条件としているのでしょうか。

○山本委員
 アメリカの場合はバッチ式の、しかも、モデルプラントを使った実験において、華氏145°30分で死滅することを条件にやっております。

○小川委員
 そうすると、ホールデングシステムの中に先生がやられた実験の条件が組み込まれていると考えてよろしいですか。

○山本委員
 そう考えていますけれども。

○塩見委員
 ちょっと実験の内容がよくわからないのですけれども、マウスに感染させるときに、牛乳の中から入ってくるよりかなり多い量がマウスに入っていると思ってよろしいのでしょうか。その場合に、マウスに何らかの感染の症状が出るのか、その辺りをちょっとお願いしたいと思います。

○山本委員
 量的に、実際に飲む量とどれくらい違うかということになりますと、実験的に接種した場合と市販乳の場合とでありますが、市販乳の場合にはかなり薄い濃度といいますか、我々が通常飲んでも構わない量を経口的には与えていないのですね。腹腔内に投与していますので、直接体内に入れるという形で接種して、しかも、免疫抑制処置をしないと感染が成立していないということもあります。ですから、普通よりは菌の毒力としてはそんなに強くないものが存在しているのかなという感覚はあるのですけれども。実際には、実験的にやった場合には、通常よりも最低でも10倍以上の量が入ったというふうに考えています。

○塩見委員
 その場合、マウスに通常ではないような症状とかそういうものは見られますか。

○山本委員
 体重の減少が見られます。それ以外は特段の症状を出さないことがあります。それから、更に濃度が上がったようなものが数回あったのですけれども、その場合、死亡したものがありました。ただし、それが後で解剖してみましても、脾臓の状態から見てCoxiellaで死亡したかどうかという問題がありました。ですから、マウスに接種した場合に死亡するかどうかということになると、ほとんど死亡しないでそのまま体重減少程度のものが見られて耐過するということだと考えています。

○山崎委員
 13ページの結果ですけれども、63℃30分では場合によっては死滅させることができなかったと。それでは、今この時間の違いというのは5分間ですけれども、63℃35分やったらどうなるかというような検討というのはどこかでやっているのですか。というのは、30分でやるとそういうことが起きているのか、あるいは何かちょっと違うのかですね。

○山本委員
 殺菌時間を延長することはやっておりません。

○品川委員
 もう一つ質問ですが、今、先生が言われたのはわずか0.1mlの検体量について行った結果なのですね、実験的にやられたバッチ法による殺菌というのは。それで15分、20分の差がそういう形で見られたときに、もっと容量が多ければ正確にデータが取れるけれども、少ない容量ではそういう正確なものが実際に取れないのではと思いますが。15分、20分でちょうどその温度に達するのは、非常に少ない容量であるため、もっと早く温度が上昇するのではないでしょうか、どういう条件で行ったのですか。

○山本委員
 周りの液の温度が変化していきますので、中は周りの温度とともに変化していくということです。

○清水委員
 私も2〜3お聞きしたいのですけれども、1つは非常に基本的なことですが、この病原体というのは、乳牛の体内でミルクの方へ移行するのですか、それとも搾乳環境で汚染するケースが多いということですか。

○山本委員
 牛体内で、乳汁中に移行します。

○清水委員
 それから、この毒性発現機構というのはどういうふうに考えられているのでしょうか。例えば、ある種の毒素的なものが関与するということはないのですか。

○山本委員
 そういうことは報告されていません。

○清水委員
 それから、この63℃から65℃というのは、先ほどもお話がありましたけれども、非常にボーダーに近い辺りで、実験の例でも先ほど63℃で1回目はゼロだったのが2回目、3回目だと20%ぐらい陽性が出るというようなお話でしたけれども、65℃にする場合は本当にほぼ完全に抑えられると判断してよろしいのですか。

○山本委員
 今回データとしましては、1回分のデータしか出しておりませんが、65℃でも数回検討しましたのと、それから、市販では65℃以上のものではまず検出されないということから、65℃は安全であるというか死滅させていると考えています。

○熊谷部会長
 今後この基準をどうするかということに向けて、今、手持ちの情報だけで決めていくのか、それとも更にどういう情報が必要なのか。
 この病原体を使った実験を行うというのは、先ほども申しましたように、非常に時間、それから、施設が要るのですね。このビルのワンフロアー全部をP3の実験施設に使わせていただければ、立ち所に回答が2〜3か月の間に出ると思いますが、それは多分不可能だと思われるのですけれども。
 1つは、アメリカが基準をつくったときのデータというのはどこかにパブリッシュされていると思うのですが、そのデータは手元に無いのですけれども、それはもしかすると使えるかもしれないということなのですね。

○品川委員
 加熱と時間との関係のレポートというのはあるのではないですか。その辺を少しサーベイ、どの程度あるのか私もわからないけれども、論文としてどのくらいあるのかなというのが。

○山本委員
 ほとんどないのです。それで、実際にはアメリカのデータといいますか、アメリカが基準を改正したときのデータがあります。

○品川委員
 それは、ジャーナルとか何かにパブリッシュはされているんですか。

○山本委員
 ジャーナルというか政府のレポートという形で出ています。

○品川委員
 ジャーナルにはあまり発表されていないですね。そうですか。

○熊谷部会長
 山本委員がそろそろ退席しなければなりませんので、もし、御質問がありましたらお願いします。

○丸山委員
 私は、殺菌条件の基準を変えるということになれば、やはりそれなりのきちんとした理由がそろっていないといけないだろうというふうに思うのですね。まず、感じるのは、本当に牛乳でもってCoxiella burnetiiによる健康危害というのがどれくらいあるのかということを、文献的でもいいから明らかにしておく必要があるのだろうというふうに思うのですね。どういう立場を取るかだと思うのです。健康危害があるからどうだとか、あるいは食品中に病原体が残ってしまうから、それは殺菌温度を上げなくてはいけないというふうに取るのか、その辺りの考え方を整理しておく必要が一つはあるだろうというふうに私は感じますけれども。

○熊谷部会長
 今日は手元にないのですけれども、生乳が一つの原因と考えられたと記した文献というのは2つ3つたしかあったと思いますので、それを再評価するといいますか、それもここでいずれは吟味をする必要があるのだろうというふうに思います。
 あと、今後集めるべき情報あるいは実験的につくるあるいは調査するべき事項というのがありましたら、是非挙げていただきたいのですけれども。例えば、現実に使っているバッチ式で時間と温度分布の関係とか、そういうデータは恐らく有用なのだろうというふうに思うわけです。
 それから、この調査研究で初年度に実態調査をしていますけれども、ここで62℃30分あるいは63℃30分で加熱した装置を例えば入手して、実際の温度分布と時間的な推移を見るとか、そういうことも、もしかすると有用なのかなというふうに思うわけですが。

○品川委員
 あと、牛乳だけではなくて、乳加工品の例えばチーズとか、特にナチュラルチーズの汚染とか、それらの関連性はどのようになっているのかというのも、ある程度必要ではないでしょうか。これらの総合的なデータの中で判断していく必要があるのではという気もします。

○熊谷部会長
 このナチュラルチーズについては、調査は最初の時点で行ったわけですよね。

○山本委員
 その前の年に若干調査しております。

○品川委員
 これだけ生乳が汚染しているということは、当然存在するという前提に立っていいような感じがしますが。生乳にこれだけ存在するということは、ナチュラルチーズというのは相当の汚染もあるのではないでしょうか。

○山本委員
 国産品については、そうたくさん検査しておりません。外国産のチーズでナチュラルチーズというのは加熱をしていないものがありますので、それについては検出されております。

○品川委員
 そのようなデータも少し集めて、どういう関連性があるのかということも検討する必要がある。

○熊谷部会長
 あと、国外から例えば乳製品で事故が起こっているかどうかという情報を、今後、集めることはできますか。

○事務局
 恐らく文献的な検索が主になろうかと思いますけれども、可能な範囲で調べてみたいと思います。

○熊谷部会長
 ほかに、この件について御提案等ございませんか。

○伏谷委員
 よろしいですか。しつこいようですけれども、乳以外の、ここに肉加工業者の感染例というのがありますよね。ですから、当然生肉からというのはあると思うのですよね。例えば、牛肉の中にどのくらい検出されるものかというのは、かなり大きな問題だと思います。

○熊谷部会長
 その情報も併せて、国内外というか国内はほとんどないのですけれども、国外の情報を集めるという方向で事務局の方でもよろしくお願いします。

○石井基準課長
 ちょっとよろしいですか。今、先生のなぜ牛乳だけかという話については、1つが、食品からの例というものが牛乳ぐらいであってほかのものがないということで、調査は引き続きしたいと思いますけれども、そういうことがあって牛乳をターゲットにした。それと、今回は乳等省令の他の部分に関する検討もありますから、その中の1つとして今回は乳についての議論をしていただきたいということでございますので、何か問題があればまた別な食品についても議論はすることはやぶさかではないということでございます。

○熊谷部会長
 それでは、こんなところでこの議題はよろしいでしょうか。 では、これでこの議題は終わります。どうもありがとうございました。
 そうしましたら、最初の議題に戻りまして、脱脂粉乳等の製造基準について事務局から御説明いただけますか。

○事務局
 はい。それでは、資料No.2−1と書いた資料がございますけれども、その資料から説明をさせていただきます。
 今回、脱脂粉乳の製造基準について御検討方諮問をしたわけでございますが、昨年の雪印乳業の食中毒事故で直接の原因になりました脱脂粉乳につきまして、現在、成分規格は乳等省令上で定められているわけですけれども、具体的なつくり方に関する基準がないということで、この部分について御検討をお願いしたいということでございます。
 資料No.2−1に「雪印乳業食中毒事件の原因究明調査結果について」ということで、当時の厚生省と大阪市との合同の専門家会議が昨年の12月に取りまとめた報告書から、該当部分、関係する部分を抜粋いたしましたので、再度この雪印食中毒事件の原因について簡単に御説明をしたいと思います。
 4ページ目でございますが、原因食品は、大阪工場が製造いたしました低脂肪乳という加工乳であったわけですけれども、この加工乳に使用いたしました脱脂粉乳、これにエンテロトキシンAが含まれていたということでございます。このエンテロトキシンに汚染された脱脂粉乳は、大樹工場で昨年の4月10日に製造されたということでございました。
 その大樹工場での製造状況でございますが、4月10日に製造された脱脂粉乳でありますが、その4月10日におきましては、4ページ目の(2)のアにありますように、4月1日に製造いたしました脱脂粉乳939袋のうちの449袋を再度水に溶かして、生乳と合わせて混合して、再び脱脂粉乳を製造していたということでございまして、この4月1日の脱脂粉乳の製品については、自主検査の結果でございますが、細菌数がグラム当たり300から9万8,000個検出をされていたようなものであったということでございます。
 4月10日の製造工程は、記録を確認いたしましたところ、おおむね適切に行われていたということでございまして、4月1日に製造された脱脂粉乳に問題があったということでございました。
 具体的には(3)にありますように、3月31日になるわけですけれども、停電が発生したということでございます。3月31日につららが屋根に落下してショートし、更にブレーカーが作動したということで工場内の全体が約3時間、11時から14時まで、正確に申し上げますと10時57分から13時49分までの約3時間停電し、その後、同日の夕刻でございますけれども、更に1時間、工場内全体の通電が止められたというような状況もあったということでございます。
 そのショートした送電範囲の停電の状況でございますが、最初の停電の原因になりました短絡箇所の送電範囲は、脱脂乳の濃縮工程中のライン乳タンクの冷却器に冷媒を供給する冷凍機及び粉乳工程の送排風機であったということで、これらの機器は最初の停電から復旧作業のための停電が終了するまでの間、9時間以上だったと思いますけれども、停止していたということでございます。
 これにつきましては、少し文章ですとわかりにくいかと思いますので、10ページ目に工程図、概略図が描いてあります。これが大樹工場での脱脂粉乳の製造工程の概略を示したものでございますが、左上の方から入ります。ミルクローリーで入ってまいりまして、生乳受入れタンクに貯乳され、そこから右の方に流れていくわけでございますけれども、クリームを分離するために予熱をいたします。50℃前後に予熱をして脂肪分を分離して、それから、再び冷却をして次のタンクに移っていくというような工程になります。ずっと右の方に流れてまいりまして、右の配乳タンクの方からずっと下の方にまいりまして、ここで加熱殺菌、濃縮が行われます。濃縮乳タンクが右の下の方にございますが、そこに入ったものが再びライン乳という形でライン乳タンクの方に、右上の方にございますけれども、ここにもう一度戻ってきて、そこで更に冷却をされて、再び濃縮工程に入っていくというようなことでございます。そこから出たものが乾燥機のチャンバーの中に入りまして、脱脂粉乳になるということでございます。
 停電が起こりショートが生じましたのは、この右の下の濃縮工程、特に循環冷却用プレートという冷却用のプレートでございますが、ここの部分については、最初の停電から夕方まで9時間以上ずっと停電をしていたままであったということでございます。
 それから、最初3時間全工場を停電したわけでございますけれども、その間、最初の方の分離機でございますけれども、クリーム分離機の部分についても乳が留まっていたというような状況でございます。
 4ページ目に戻りまして(3)のイにございますが、停電当日、黄色ブドウ球菌の増殖至適温度帯にあった工程ということで、先ほど申し上げました2つの工程、20℃から40℃に加温される工程につきましては、クリームの分離工程、50℃前後の工程でございますけれども、その部分と濃縮工程の2か所の工程であったということでございます。
 このクリーム分離工程につきましては、20℃から50℃に加温された状態で滞留しまして、11時から最初の停電復旧後、廃棄されずに停電前後の脱脂乳とともに貯乳タンクに貯乳され、そのまま脱脂粉乳の製造に使用された可能性があるということが示唆をされております。ここの部分でございますが、次の5ページにまいりますが、この乳が低温の貯乳タンク内に投入されるまで、20℃から30℃に保持された時間は4時間程度であったということでございます。
 それから、もう一方の工程、濃縮工程の状況でございますが、ここは9時間以上40℃程度に加温されたライン乳が冷却されずに放置されていた可能性があるということでございまして、全体でこのライン乳800リットルぐらいが投入されておりましたので、このライン乳が黄色ブドウ球菌の至適温度帯で滞留していた可能性があるということでございます。
 いずれが真の原因かということでございますが、いずれも一長一短があるということでございまして、5ページ目の下の方にその辺りの記載がございます。クリーム分離工程におきましては、当然これは生乳を処理する前の最初の工程でございますので、生乳に由来する黄色ブドウ球菌の汚染源、これは当然考えられるということで、汚染の条件としては可能性がある。ただし、増殖の条件となるとどうかと申しますと、後ほどもう一度増殖実験の結果も御説明いたしますが、中には6時間程度でエンテロトキシンA型が検出をされているという例もございますが、最大見積もってもこの工程、大樹工場の当日の工程によると4時間程度であったということで、増殖条件としては少し疑問が残るということでございます。
 もう一つ、濃縮乳の回収工程でございますが、こちらの方は、汚染源がこれは基本的に130℃4秒の加熱殺菌後の工程だということで、全く開放部分がないというわけではないのですが、汚染源としては少し疑問がある。
 ただし、増殖条件としては800リットルのライン乳が9時間以上冷却されずに放置をされていたということで、この部分については十分な増殖条件があったと。
 原因究明委員会としては、これ以上どちらの部分が原因であったという確定までは至らなかったということでございます。
 ちなみに9ページ目にありますが、この結果をまとめるにあたって、脱脂粉乳の衛生基準の策定あるいはHACCPの導入等の措置を講ずることが必要だということが付記をされております。
 それから、11ページ目に、この原因究明委員会の報告書の中にございます黄色ブドウ球菌の増殖試験の結果を抜粋して資料といたしております。
 何回かに分けて黄色ブドウ球菌が何度でどれくらいで増殖をして、どれくらいでエンテロトキシンを産生するのかという実験を何回か繰り返しております。11ページ目の上の方の表を見ていただきますと、黄色ブドウ球菌添加菌数、これは105レベルの菌数を添加しておりますけれども、これを見ますと、40℃の温度帯で約3時間後にエンテロトキシンが検出されているというデータがございます。
 それから、2回目の添加試験でございますが、1回目は105というかなり大量の菌を投与しておるわけでございますけれども、2回目以降は102あるいは103のレベルでの試験をしております。20℃での培養はいずれもエンテロトキシンを7時間まで見ておりますが、検出をされていない。菌数そのものも、ほぼ横ばいの状況であるということでございます。
 30℃になりますと、菌数としては、例えば102ものが7時間後には105ぐらい、103のものが106ぐらいというふうに増殖しますが、エンテロトキシンは検出されていない。
 これが40℃になりますと、初発菌数が102のものですと、7時間後に107になってエンテロトキシンが検出されている。あるいは103レベルですと、6時間でエンテロトキシンが検出をされるというようなデータが出ております。
 それから、3回目の添加実験におきましては、試料をUHTの牛乳で一晩振とう培養して菌体を得ているわけですけれども、103、下の表は数字がちょっと隠れており ますけれども、1番目の添加菌数は2.76×103、2番目の添加菌数は2.76×104 でございます。初発が103、104のものですと、8時間後にエンテロトキシンが検出されているということでございます。
 それから、12ページにまいりますが一連の同じ実験でございますが、今度は102と103、上の欄が1.09×102、下の欄が1.09×103でございますが、これでは菌数は11時間後に104、105になっておりますが、エンテロトキシンは検出されていないということでございます。
 それから、4回目の実験ですと、98−2−7の菌株で40℃6時間の培養で、102のレベルが106あるいは103のレベルが107になり、エンテロトキシンが検出されている。
 ナンバー30の菌株でも、6時間後に検出されているというようなことでございます。
 更に、5回目の実験では、使用溶液をそれまで100mlでありましたものを1lにボリュームアップをいたしまして、添加増殖試験をしておりますけれども、これも40℃の温度帯で6時間程度でエンテロトキシンが産生をしているということでございます。
 次に、資料No.2−2でございますが、では、生乳にどれくらいの黄色ブドウ球菌の汚染があるのかということで、これは『日本獣医師会雑誌』に昨年掲載された文献を一部引用してまいりました。14ページを見ていただきますと、この調査では健康なウシの乳汁あるいは乳房炎を併発している乳汁をそれぞれ調べておるわけでございますが、健康牛におきましても黄色ブドウ球菌あるいはコアグラーゼ陰性のブドウ球菌も含めますと、かなりの確率で乳汁中に黄色ブドウ球菌が見られるという結果が得られております。図1を見ていただきますと、一番上のグラフが健康牛のデータでございまして、初乳期、泌乳期、乾乳期等々ステージによりまして、それぞれ黄色ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性のブドウ球菌のそれぞれの分離率あるいはそれら両方合わせました菌数について調べております。黄色ブドウ球菌を見ますと、最初の初乳期ですと、これだと30%から40%ぐらいでしょうか。泌乳期もそれぐらいの分離率があると。菌数のレベルといたしましては102から103程度ではないかと。健康牛でも、これぐらいの汚染率があるというような結果でございまして、これらから得られたブドウ球菌が毒素を産生する能力があるのかという点につきましては、15ページの表2にございますが、SEC、C型の毒素が最も確率が高く出ておりますが、そのほかのA型、今回問題になりましたエンテロトキシンAも、かなりの確率で産生する能力があるということが示唆されております。
 資料19ページの2−3につきましては、先般3月14日に開催されました食中毒部会における検討概要ということで、1番目に書いてありますように、衛生基準について検討すべきであるということが意見として出ております。
 現在の乳等省令上の規格基準ということでございますが、20ページ目に脱脂粉乳につきましては、成分規格が定められておりまして、乳固形分が95.0%以上、水分が5%以下、細菌数がグラム当たり5万以下という成分規格がございますが、これ以外の基準については特段定めがないということでございます。
 21ページ目、資料No.2−5になりますが、一般的な脱脂粉乳の製造工程ということでございます。この辺りにつきましては、もう少し詳細な調査をしたいというふうに考えておりますが、一般的な製法をお示ししました。温度帯別に白く抜いている部分が10℃以下で管理をされている部分、それから、ぽつぽつの網かけ部分が10℃から60℃の中温の工程。もう少し密度の高い部分が60℃以上の高温工程ということで、受入れから貯乳までの間は10℃以下で管理されておりまして、その貯乳されたミルクを加温いたします。大樹工場の例ですと52℃ぐらいだったとか思いますが、50℃前後まで加温されて、この段階でクリームとその他の部分が分離される。そして、再び冷却をいたしまして貯乳し、加熱殺菌工程に入るわけでございます。恐らく多くはUHTで加熱殺菌をしているものだというふうに思いますが、予熱をいたしまして殺菌、それから、濃縮工程に入る。ある程度タンクでためられるということで、この部分も50℃ないし60℃ぐらいの温度である。それが乾燥されまして、充填をされるというような低温から入ってきて2回温度が上がるというような工程で行われているということが、一般的な製法であろうというふうに思います。
 今回は、特に、この雪印乳業の食中毒事故を踏まえた製造基準、同じような事件を再発させないための基準ということで御議論をお願いしたいと思っておりますので、恐らく黄色ブドウ球菌の至適増殖温度帯をいかに速やかに通過させるかというような観点からの基準の設定ということになろうかと思います。
 参考といたしまして、資料No.2−6に食肉製品で同じような観点から幾つかの基準が定められておりますので、それを御紹介させていただきますと、乾燥食肉製品、ビーフジャーキーのような類でございますけれども、製造基準といたしまして、くん煙・乾燥を行う場合、冷くんをする場合はいいのですけれども、50℃以上に保持しながらくん煙あるいは乾燥を行う場合にあっては、その温度帯に上げるまでの間、製品の温度が20℃を超え50℃未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならないというような基準がございます。これは、恐らくウエルシュ菌の増殖をコントロールするための規定かと思いますが、こういうような基準がございます。
 同じように、生ハムで50℃以上にくん煙・乾燥を行う場合にあっても、製品の温度が20℃を超え50℃未満の状態の時間をできるだけ短縮して行わなければならないというような基準がございますし、それから、ローストビーフのような特定加熱食肉製品でございますが、これは逆に加熱殺菌後の冷却でございますが、製品の中心部の温度が25℃以上55℃未満の状態の時間を、この場合は具体的に時間を規定しておりますけれども、200分以内としなければならないというふうな基準がございます。
 以上でございます。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に対しまして、御質問等ございますか。エンテロトキシンの発症量というのはどのくらいになりますか。

○品川委員
 今回の事例では、はっきりというのは、摂取量はどのくらい飲んだのか、毒素の回収とかそういう問題があって、推測するのは非常に難しいのですけれども、まず、今回の事例では数十ng/人ぐらいという形なのですね。これがすべて正しいとは思っていないのですが。論文的には、200ml中に200ng、すなわち100ng/人、これが一番確実なデータになるのかなと。100ngのエンテロトキシンを摂取することによって、ヒトが牛乳を100ml飲むのか、200ml、300ml飲むのかによって1ml中のエンテロトキシンの量は異なりますが、とにかくトータルとして100ngぐらい摂取すれば、人は中毒を起こす量であると考えられます。

○熊谷部会長
 そうしますと、例えば、そのエンテロトキシン産生量の実験がありますけれども、40℃で8時間置いておくと、食品数にもよりますが、8時間程度置いておくと100ml飲むとちょっと危ないかなという、非科学的な言い方ですけれども。

○品川委員
 そうですね。今回実験の難しさというのはどこにあったかといいますと、これは毒素産生実験を行っていますが、実際にはこれらの牛乳から脱脂粉乳になっているわけです。脱脂粉乳にされるということは、牛乳から10分の1ぐらいに濃縮される。さらに、それを実際に使うときには水を加えて元の牛乳の濃度に戻しているわけですが、それの量と、先ほど説明がありましたように、4月1日に製造したものを4月10日製造のものに合わせており、希釈されているわけです。このような状況の中で、単純に毒素がここでは出てこないところがあるのです。しかし、牛乳をどのくらいの時間を置いたときに毒素を出すかということを目的に、今回の実験が行われました。先ほどの説明では、製造工程の最初のクリームを分離するところの3時間よりは、むしろ後ろの貯乳タンクで濃縮の9時間のところが、毒素の産生箇所であったと疑われるという方が高いということであって、その箇所は決定を出していません。クリーム分離の3時間では、これだけの食中毒になるような毒素を産生する場であったのか、そして、この箇所で置かれた乳量との関係も出てくるのですが、乳量がどのくらいあって、そこでml当たりどのくらい毒素を出しているということになり、この辺の計算というのはちょっと煩雑になっています。むしろ今回の雪印の事件では、後ろの箇所の濃縮乳タンクで長時間置かれたことによると考えられます。しかし、ここで問題なのは、ブドウ球菌の汚染がどこで起こったのかが十分に証明できていない。前の段階で汚染はある程度みられる。生乳は量的にはそんなに多くないけれど、汚染はある程度みられる。だから、前の段階では汚染源としては十分理解されるが、毒素産生としては時間的に短い。後ろの段階では、毒素産生の時間は十分である。ここで問題になるのは、脱脂粉乳の製造のフローチャートが書かれているのですが、製造中に清掃とかフィルターを行うため、外部に触れるところがあるのです。今回の事件もそうで、フィルターが目詰まりを起こしフィルターを取り替えたといわれており、そうするとオープンになるのです。そのときの汚染も当然起こり得ることであります。これは、あくまでも検討委員会での推定にすぎませんが。

○熊谷部会長
 脱脂粉乳の製造基準ということで、もし、21ページのフローチャートでいくとすると、加温・分離の時間というのは一体どのくらいまで許されるのだろうかということになるのだと思うのです。それのベースになるのが、最悪幾つのブドウ球菌が入ってくるかということと、それから、それが来た場合に毒素産生量がどういうふうになって、時間と温度との関係でどうなって、あとは、先ほど言われた発症毒素量、その3つをベースにここの加温と分離の時間は最悪でもどのくらいというのは出てきて、それで、その表現としてできるだけ短縮するというような表現にするか、それともきっちり時間を割り当ててしまうかということだと思うのですけれども。

○品川委員
 多分、クリームを分離する温度としては、先ほど言われた52℃から55℃ぐらいにやらないとクリームがうまく分離しないし、また、これはセパレーターの能力との関係があると思いますが。そういう面で、1回は製造工場の調査もきちんとやらないとわからないですが、多分その能力によって違う可能性があります。しかし、ここでは連続的に運転されておりセパレーターも働いているため、温度が上昇してゆき55℃ぐらいで最高になり、今度はすぐ冷却に入るという形になっている。それゆえ、この問題と、もう一つは殺菌・濃縮の条件でしょうね。この条件をどのくらいまでやるのか。今回の雪印の脱脂粉乳も、濃縮乳というのは一度殺菌を通っているのですね。130℃の加熱とか、本来はそこで菌が全部死滅するはずなのです。しかし、菌がまた検出されているというのは、4月1日の1回目のとき脱脂粉乳を製造したときも、生菌数が非常に多く認められたのです。それ自体、非常に不思議なところがあるのですけれどもね。

○熊谷部会長
 ブドウ球菌は少なくとも死んでいるわけですね。

○品川委員
 菌種別に測定されているわけではないけれども、生菌数として多く認められたため、実際には4月1日製造のもので菌数が多かったものを、4月10日に製造し直したといわれています。もう一つの問題は戻し乳、要するに濃縮乳からラインによって製造されたときに、最後に洗浄等を行った洗浄液は、貯蔵タンクに入れられている。この操作をきっちりつめて、マニュアルに入れ込まないとならないと思います。

○熊谷部会長
 基本的に目指すのは、この製造基準のところですね。総合衛生管理製造過程の話も、ここで議論してしまうのですか。

○事務局
 いいえ、ここではとりあえずどんな工場であっても最低限守らなければいけない基準をまず検討していただきたいというふうに思っております。その製造基準ができますれば、当然、政令指定という作業は入るのですけれども、この脱脂粉乳という品目に対して総合衛生管理製造過程の品目指定をすることは可能でございますので、その段階でそれぞれの工場にHACCPに基づいた管理を広めていくということになろうかと思います。

○熊谷部会長
 これにつきましても、今後、議論のベースにどういう情報を集めたらよろしいかというところで今日は終わってよろしいわけですね。その情報に基づいて、次回どういう基準にするかということを決めるということになりますので、ブドウ球菌の増殖、それから、毒素産生のデータ、こういう国内外の情報を集めて、それから、この製造ラインというか製造工程につきましては、事務局の方でお調べいただけるのですね。ほかに有用な情報と思われるものはありますでしょうか。毒素の発症例については、データ的になものはもう余りないわけですね。

○品川委員
 今はミニマムの毒素量であるけれども、通常発生しているブドウ球菌食中毒では、毒素量が数μg/人であります。握り飯等によるブドウ球菌食中毒で発生している実際の発症毒素量のデータとしては、今は今回の雪印事件が一番少ないということであって、通常の食中毒原因食品に含まれる毒素量はもっと多い。それゆえ、今問題になるのはやはり最小発症毒素量であり、これに関しては、今のところ先ほど言った100ng/ヒトというのが確実なデータであろうと思われます。今回のデータも各地の研究所でやった検査データがありますが、それらは100ml飲んだのか200ml飲んだのか、十分検査されていないけれども、それらを勘案しても数10ngは少し低いのです。しかし、これらはまた検査方法との問題があります。示された数字が必ずしも正しいとはいえない、検査法が正しかったのか、100%回収されたとはいえなく、検出された毒素量がたまたまそこだったということです。それゆえ、それが実際に発症最小毒素量と考えていいのかどうかということは、また違ったところがあると思われます。

○熊谷部会長
 非常にこの加温・分離の工程というのは、もしかすると瞬時に終わらなくてはならないほどシビアなものなのかもしれないですかね。
 それは、そういうデータに基づいて判断すべきことなのだと思うのですけれども、そうなると結構難しい話になるのだと思うのです。
 今日は、まだデータがそろっての話ではありませんので、ほかにこの件につきまして御意見ありますか。

○伏谷委員
 よろしいですか。生乳の中にどのくらい黄色ブドウ球菌が入っているかというデータが出ているのですけれども、実際にもっと調べればかなりばらつきがあるわけですね。実際にかなり高いものが入ってきた場合どうなるのかという、それもシミュレーションをしておく必要があるのではないかと思いますけれども。

○熊谷部会長
 やはり高い場合というのは頻度的にどのくらいあって、どのくらいの菌数なのかというのは推定がつくとありがたいですね。

○品川委員
 実際にそれらのデータを、各農家で搾乳されたもの、これは農家のバルクタンクに保存され、それをタンクローリーで回収し、そしてコールドセンターのタンクに入り、そのタンクからそれぞれの乳プラントに運ばれているという現状で、まず各農家から集乳されるタンクローリーの乳について汚染を見てみますと、約70%ぐらいは黄色ブドウ球菌が存在する。さらに、黄色ブドウ球菌の菌数はどのくらいかと見ますと、多くは1ml中に10個とか10個未満で、多くても1,000個オーダーが1〜2ローリー乳程度であります。だから、コールドセンターのタンクの乳は、ほとんど全部黄色ブドウ球菌は存在していると考えられます。次に、農家ごとに搾乳された乳、これは農家の規模により数頭から何十頭飼っているところがあり、それらのバルクタンクから採取した生乳について農家別に見れば、60%は陰性なのです。けれども、農家ごとで、多いものでも1万個/mlを超えるというのはほとんどないと見られ、我々は約100検体について調べましたが、1万個/ml、これはあくまでも黄色ブドウ球菌ですが、これを越えるものはありませんでした。先ほどのデータでは、黄色ブドウ球菌ではなくて、コアグラーゼ陰性のブドウ球菌も入っています。黄色ブドウ球菌はコアグラーゼ陽性を示しています。次に、ブドウ球菌のうち、毒素を産生するのがどのくらいあるのかということになりますが、こちらの資料で報告されているのは、毒素産生性を培養菌数をそのままELISA法により測定したものであります。そうすると少し難しいのはELISAによる測定方法のところであります。この方法では毒素産生が非常に高く見られていますが、少し高過ぎるぐらい高いのです。もう一つは、このコアグラーゼ陰性のものでも毒素産生しているということになっています。今までの定説とちょっと異なっており、これまではエンテロトキシンは主に黄色ブドウ球菌によって産生されるということになっており、このデータを見ますとその辺が問題になります。今、我々も分離した菌の毒素産生遺伝子の保有を調べています。順序としては、どういう遺伝子を持っているか、そして、その遺伝子の持っている割合から、次に、本当にその遺伝子が発現して毒素を産生するかを調べていますが、その中では、C型が多く見られます。これは、特に生乳だからということではなくて、一般のフィールド環境にA型に比べてC型が多く存在するということです。今回の実験は、A型よりC型のエンテロトキシン産生株が多い。生乳分離菌株は毒素産生遺伝子を持っている率が非常に高く、エンテロトキシンは、今日、A型からP型まで報告されている。遺伝子型だけを見ていくと非常に増えてきています。けれども、今、食中毒毒素型を見ればA型からE型と言われて、実際にもその中でほとんどがA型からE型で発生している。しかし、新しく発見されたエンテロトキシンはP型まで見られており、今後もさらに増加すると考えられるので、その辺が食中毒毒素として混乱してきています。エンテロトキシンの全ての毒素型が食中毒を起こすのか、ただ、名エンテロトキシン型というのが増えてきている状況なのか、今後の問題です。今、話として伏谷先生が質問された生乳中にはどのくらいあるかというと、やはり生乳1ml中100個未満と考えられ、多くは10個未満/mlだと考えていただければいいと思います。

○熊谷部会長
 次回の前かあるいは次回にそういったデータといいますか、それを用意していただけますか。先ほどの工程の調査結果も。まとめてお示しいただけますと、それを踏まえて議論ができますので、そういう方向でお願いしたいんですが。

○事務局
 脱脂粉乳を製造している国内の工場は、たしか43工場ぐらいかと思いますので、できますれば、それらのすべてについて、特に各工程において、どういう温度帯、どういう時間で処理をしているのかということについては、詳細に調査をしてみたいというふうに考えています。

○熊谷部会長
 ほかにこの件につきまして、もしないようでしたら、次の議題「乳等の種類別分類について」に移ります。お願いします。

○事務局
 はい。資料No.4−1、この辺りから少し科学的ではなくて行政的な内容の色合いが濃くなってくるわけでございますけれども、昨年の雪印乳業の食中毒事故を踏まえまして、乳・乳製品の商品名も含めまして、それが消費者に正しく伝わっていないのではないかというような問題提起がなされたわけでございます。一部につきましては、ちょうど今日、公正取引委員会の牛乳の表示の件で改正が行われまして、今後は加工乳でありますとか乳飲料に商品名として、例えばコーヒー牛乳とか牛乳の文字をつけさせないというような改正が行われておるわけでございますが、それの元になりましたのが昨年、農林水産省の方で飲用牛乳等の表示のあり方等に関する検討会が開催されました。資料No.4−1になるわけでございますけれども、そこで幾つかの点について検討結果、改正の方向という形で示されたわけでございます。
 幾つかあるわけでございますが、1つは、生乳使用割合、どれくらいの生乳を使っているのかという割合を表示する。あるいは、先ほど申し上げました商品名表示における牛乳の文言の使用改善、この2つにつきましては、公正取引委員会あるいは飲用乳の公取協の方で既に改正が行われております。
 3番目の「商品区分(種類別)の改善」ということで、我が方の乳等省令関係でも少し改善をした方がいいのではないかという御指摘をいただいておりまして、部分脱脂乳・脱脂乳の部分でございますけれども、この名称が消費者にとってわかりにくい等の指摘があり、このいずれもが生乳100%由来であるというような観点から、乳ではなくて牛乳、具体的に申しますと「部分脱脂牛乳」でありますとか、あるいは「無脂肪牛乳」と改称した方がいいのではないかということでございます。
 また栄養改善法で食品中の脂肪の割合がある一定以下のものについては、無脂肪あるいは低脂肪という表示ができるようになっているわけでございますけれども、それらの要件を満たすものは部分脱脂牛乳の中で低脂肪牛乳でありますとか、あるいは無脂肪牛乳についてはそのまま基準が全く同じでございますので、無脂肪牛乳の文言使用について検討することが必要といった御指摘があるわけでございます。
 これに限らず、最近の乳の処理でいろいろな技術が開発されてまいりまして、現行の乳等省令の種類別では必ずしもカバーしきれていないというような状況もございます。
 一番最後のページに膜処理技術ということで図を示しております。従来、例えば濃縮する場合には加熱をして水分を飛ばして濃縮するだとか、あるいは脂肪を抜く場合には脱脂をするというような工程があったのですが、最近は、いろいろな性質を持った膜を使うことによってさまざまな牛乳中の成分、特定の成分のみを抽出したり濃縮をしたりということが可能になってまいりました。こういった技術が用いられた牛乳あるいは加工乳が市場に出ているというような現状がございます。膜は膜分離の原理ということで、一定の径を持った膜を通過をするものは通過をするし、その穴に合わないものは通過をしない、あるいは逆浸透膜はこの原理ではございませんけれども、浸透圧を逆の方から掛けることによって水分を通して、それ以外のものを通さないというような性質を持っているわけでございますが、例えばこの逆浸透膜、RO膜を用いまして、従来例えば特濃牛乳、少し脂肪分の高い牛乳がありますけれども、これは通常例えば脱脂粉乳とバターを加えて加工乳という形でつくっている。ところが、そういったつくり方をすると、どうしても還元臭と申しますか臭いがあるということで、そういった製品をつくるときにこのRO膜を用いますと、生乳が本来持っている香りを保持したままコクのある、濃い特濃牛乳ができる。あるいは、その下の方の膜を用いますと、今度の場合はNF、ナノフィルトレーション膜を用いますとミネラルが通過をいたしますので、逆に言いますとミネラル分が残らないということで、塩味が増加せずにさっぱり感を有した濃縮乳ができますとか、あるいはUF膜、限外ろ過膜を用いますと、たんぱくは遮断するわけでございますけれども、これと結合しているカルシウムも濃縮をされるということで、カルシウムを強化した牛乳、さまざまな処理ができるということで、この膜処理技術が応用されている。
 ところが、現行の乳等省令上、こういった製品についてはすべからく加工乳というジャンルでくくっておりまして、例えば牛乳ですと、部分脱脂乳も牛乳100%のものの脂肪分だけを取った部分が部分脱脂乳だとか脱脂乳になっているわけでございます。こういった技術も含め合わせますと、少し乳等省令上の種類別の分類を、例えば、牛乳そのものをそれこそ成分無調整で行ったもの、それから、成分を調整したものという形で大きく2つに分類分けをする。その調整乳の中で、例えば濃厚な味にしたものだとか、あるいは逆に脂肪分を取り除いたもの、あるいはそのほかの成分を取り除いたものというような分類分けにする。加工乳は従来どおりこういった乳製品、乳由来のものを組み合わせて再度製品化したもの。それらに乳由来以外の成分を加えたものが乳飲料だとか、そういった形に再度こういった技術も含めまして乳等省令上の種類別を少し、消費者の方々にもわかりやすいような形で検討をしてみたらいかがかということで、今回お願いをしたわけでございます。
 資料的にはまだまだ調査が必要かと思いますけれども、現状ではそういうような形になっております。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。
 これにつきましても、今、ここですぐということではないわけですね。
今日は御説明をいただいて。今の御説明で御質問等はございますか。
 今までの用語で「生乳」というのは、生乳イコール牛の乳を意味していたのですか。

○事務局
 定義でまいりますと4ページにありますように、さく取したままの牛の乳、要するに処理をしていない段階でのものを生乳というふうに言っております。

○熊谷部会長
 よろしいでしょうか。  それでは、これは御説明を今日はいただいたということでよろしいですか。

○事務局
 また少し関係機関等の意見を聞きながら、もし次回、具体的な御提案ができれば再度御説明したいと思っております。

○熊谷部会長
 お願いします。  それでは、次の議事「乳等の容器包装の基準について」です。

○事務局
 資料No.5−1になります。こちらは、どちらかといいますと規制緩和の関係になろうかと思います。
 乳等省令上で実は乳・乳製品につきましては、その製品だけではなくてそれを入れます容器包装についても、食品とは別に乳等省令で規制をかけております。分類分けでいいますと、牛乳あるいは加工乳だとかクリーム、これは1群というふうに呼んでおりますが、これらの製品に使える容器包装はかなり限定をしておりまして、1つは、ガラス瓶、もう一つは、合成樹脂製の容器包装ですが、これはどんな合成樹脂でもいいということではなくて、ポリエチレンを基本にしています。ポリエチレンもしくはLLDPEを用いる容器包装しかだめだということになっています。それから、紙パックです。合成樹脂加工紙製容器包装、これも材質を制限しておりまして、ポリエチレン加工紙あるいはLLDPE加工紙を用いる容器包装ということで、内容物に直接接触する部分はポリエチレンもしくはLLDPE。あるいは金属缶、これはクリームのみでございますけれども、あるいはこれらを組み合わせたもの。本体が合成樹脂加工紙製、キャップの部分がポリエチレンといったもの。こういったものしか牛乳あるいは加工乳、クリームについては使ってはだめだというような規制になっております。
 それから、そのほかの乳製品、発酵乳でありますとか乳酸菌飲料あるいは乳飲料につきましては、少し幅が広くなっております。ガラス瓶でありますとか合成樹脂製の容器包装、これは内面の部分の規定がございまして、ポリエチレン、LLDPEあるいはポリスチレン、このいずれかのものであることということになっています。加工紙製もそうでございます。それから、合成樹脂加工アルミニウム箔製容器包装もそうでございます。それから、金属缶あるいはこれらのものの組み合わせ容器包装。
 調製粉乳につきましても、金属缶あるいは合成樹脂ラミネート容器包装ということであります。
 こういった規定をされております材質以外の容器を使う場合にあっては、個別に厚生労働大臣の承認を受けなければいけないというような枠組み、制度になっております。
 この乳等の容器包装につきまして、2ページ目にございますが、規制緩和関係で要望が出されておりまして、平成8年3月29日に閣議決定されておりますが、規制緩和推進計画についてこのときに改定をされたわけでございますけれども、乳等に使用する容器の承認制度について一般規格化をしなさいということを指摘されております。「厚生省は、厚生大臣の承認を受けた乳等の容器包装については、原則として、承認後概ね2年以内に、食品衛生調査会における審議結果を踏まえて一般規格化することとする」。この例外容器で承認を得たようなものについては、それ以降、例外容器として個別に承認をするのではなくて、一般規格化することによってだれでも使えるようにしなさい、あるいはそのようにいたしますということを平成8年に約束をしております。
 一番最後のページに、例外容器として承認された乳等の容器包装。容器につきましては、順次一般基準化しておるわけでございますけれども、平成6年以降でまだ一般規格化されていない例外容器のリストを載せております。1群の牛乳から加工乳のたぐいでござ>いますが、材質に例えばポリエチレンが主体になっておりますけれども、その積層部分にナイロンを用いるようなもの、あるいは組み合わせで本体はポリエチレンですけれども、アルミとポリエチレンのキャップを用いるようなもの等々の例外承認の品目がございます。
 それから、2群でございますが、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料につきましては、ポリプロピレンの材質のものについて3件ほど例外承認の実績がございます。それから、調製粉乳につきましては、組み合わせの容器として3件ほど例外容器として承認をしています。
 今般は、これら例外承認として既に実績のあるものについて一般基準化をしたいということで、この部分につきましてもどういう形での規格にするのかという内容につきましては、もう少し事務局の方で原案を詰めさせていただいて、次回以降にお示しできればなというふうに考えております。
 以上でございます。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございます。

○事務局
 それと、もう1点だけ付け加えますけれども、まだ例外承認としての実績はないのですが、最近ペットの容器について一般の清涼飲料水とかお茶といったもので使われているわけですけれども、こういったものを乳飲料などにも使いたいというような要望がございまして、恐らく近々例外承認という形で出てくる可能性がありますので、併せましてこのペットの容器についても、できますれば今回のこの御検討の中で御審議をいただいて、可能であればそこも含めて基準を設定したいというふうに考えております。

○熊谷部会長
 ただいまの御説明に関しまして質問等がもしございましたら。

○丸山委員
 私はこういうのは専門ではないのでよくわからないのですけれども、こういう容器というのはすべてリサイクルができるというような、そういう考慮というのはされているのですか。あるいはこういう規制をするとか基準を変えるというようなときに、恐らくこういうものが最初にできたときにはそういう問題がなかったのだろうと思うのですけれども、こういう改正をするときに新たにそういう考え方を導入するとか、そういう方向性というのは加味されているのでしょうか。

○事務局
 これまで何回か容器包装の改正をしているんですけれども、リサイクルという観点からこの部分は、例えば積層したらリサイクルに回しにくいという問題があろうかと思うのですけれども、そういうことを考慮して変えたあるいはそういったことを内容に盛り込んで規格を設定をしたということはこれまではございませんでしたが、昨今リサイクルの問題は非常に大きなウエートを占めておりますので、例えば、先ほどのペットの問題もございますが、そういったものをこの食品の規格の中にあるいは乳の規格の中に盛り込んでいく際には、そういったリサイクル、廃棄物の観点の方にも少し意見を聞きながら調整をしたいとは考えております。

○塩見委員
 ちょっとお伺いしたいのですけれども、例外容器として承認されたものがたくさんあるわけですが、そのときにどういう理由で認めていただきたいというふうに申請がされてきたのかということなのですけれども。

○事務局
 大きく分けて2つございますが、1つは単純に組み合わせたようなもの。ポリエチレンとポリエチレン加工紙、本来はポリエチレンで上が加工紙とか、あるいはそのほかの例がありますけれども、それは別にいいだろうということで例外承認をしているのもありますし、それから、そういった材質の規定がないものにつきましては、一般の食品の容器包装として認められているかどうかということ。それから、それぞれ材質的にはどうだ、あるいは溶出試験のデータはどうだ、強度的にはどうだというような既存の基準との比較によって問題ないのではないかということで個別に承認をしているというのが実績でございます。

○塩見委員
 承認の際の基準としてリサイクルの関係は入っていないと思うのですけれども、申請の際にそういうリサイクルに向いているというような形で利点の一つに上げてきたというようなことも過去にはあるわけでしょうか。

○事務局
 そこまでは記憶にございません。

○熊谷部会長
 ほかによろしいでしょうか。
 そうしましたら、これも次回また御議論いただくということで。そのほかに事務局から今後の予定も含めましてございますか。

○事務局
 今日、特に脱脂粉乳でありますとかあるいはQ熱の関係で幾つか用意をすべきでデータの御指摘がございましたので、それらをこの夏、暑い間に何とか集めて、次回に用意させていただければと思っております。
 恐らく9月か10月ぐらいに次回を開ければなというふうに思っております。それまでに製造工場の実態だとかあるいはもし必要であれば実際の工場も見ていただくというようなこともあろかと思いますけれども、そういったことも含めまして少し資料を用意いたしまして、次回を開催させていただければというふうに考えております。

○熊谷部会長
 ほかに委員の先生方から御質問等ありませんようでしたら、事務局からほかにございますか。

○石井基準課長
 乳の関係ではございませんけれども、最近、私どもの方で腸炎ビブリオ対策ということで告示を改正し、大きな部分を7月1日より施行し、若干の例外につきまして来年の6月1日の施行ということにいたしましたので、簡単に御報告申し上げます。
 旧食品衛生調査会のころの乳肉水産食品部会で御議論をいただき、その後、私どもでいろいろな関係者からの意見を集約した後、今年の5月14日付でこの乳肉水産食品部会の報告書、いわゆる腸炎ビブリオに関する報告を取りまとめていただきました。この報告書につきましては、5月18日に薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会を開催させていただきまして、諮問に対する答申をとりまとめていただいたという経緯であります。
 その後、6月7日に省令告示改正を行い、併せて施行通知も発出し、7月1日に一部の例外、いわゆる表示の部分と生食用鮮魚介類の海水使用に関する規定につきましては、若干の時間を要するということで、その一部の例外を除きまして7月1日より施行されました。これにより腸炎ビブリオ食中毒の防止につきまして、具体的な取扱いに係る基準を施行することができましたので、この夏以降は、かなり食中毒の発生件数が減るのではないかというふうに期待しております。なお、一部の例外は来年の6月1日施行でございます。
 また、分科会におきまして先生方からいろいろな御意見をいただいた中で、是非、腸炎ビブリオ対策に関するいろいろな情報を、特に消費者あるいは国民の皆さんに伝えるようにしてくれないかという御要望もあり、各都道府県にもお願いしたわけでありますが、私どもとしても相当数のこういったパンフレットをつくりまして、業者のみならず一般家庭でも早く生食用は食べるとか保存に気をつけるということで、「家庭でできる食中毒予防 腸炎ビブリオ編」ということで「刺身やすしをおいしく食べるために」という副題もつけまして広く、要は怖がるなということでありまして、気をつければ大丈夫だということでこのようなパンフレットをつくり、各都道府県に配り活用してもらっているということを報告させていただきます。どうもありがとうございました。

○熊谷部会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これで本日の乳肉水産食品部会を終了いたします。どうもありがとうございました。

照会先:医薬局食品保健部基準課 滝本・鶴身
電話:5253−1111(内線2444・2488)
ファックス:3501−4868

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