審議会議事録  厚生労働省ホームページ

医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会

(第1回)

平成13年6月1日(金)
10時〜12時
経済産業省別館第825会議室

次第

1 開会
2 部会委員紹介
3 医政局長挨拶
4 運営規程等について
5 部会長選出
6 議事
(1)臨床研修の概要について
(2)臨床研修の必修化について
(3)検討課題と当面の検討スケジュール(案)について
7 閉会


医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会

(第1回)


資料一覧


資料1 医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会 委員名簿

資料2 説明資料

【資料2−1】 臨床研修の概要について
【資料2−2】 臨床研修の必修化について
【資料2−3】 検討課題と当面の検討スケジュール(案)について

別添資料

【文部科学省説明資料】
 「21世紀における医学・歯学教育の改善方策について」

参考資料

【参考資料1】 臨床研修病院及び大学病院一覧
【参考資料2】 研修プログラムの例


(資料1)
医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会委員名簿

氏名 所属・役職
相 川 直 樹 慶應義塾大学医学部教授
磯 野 可 一 千葉大学長
井 部 俊 子 聖路加国際病院副院長
内 村 英 幸 国立肥前療養所長
黒 川 清 東海大学医学部長
櫻 井 健 司 聖路加国際病院長
杉 本 恒 明 関東中央病院長
高 梨 昇 三 日本経営者団体連盟参与環境社会部長
高 橋 真理子 朝日新聞論説委員
辻 本 好 子 ささえあい医療人権センターCOML代表
徳 永 力 雄 関西医科大学医学部教授
中 野 仁 雄 九州大学医学部附属病院長
仲 村 英 一 日本医療保険事務協会理事長
花 井 圭 子 日本労働組合総連合会生活福祉局次長
福 井 次 矢 京都大学大学院医学研究科教授
星 北 斗 日本医師会常任理事
堀 江 孝 至 日本大学医学部長
三 上 勝 利 医療法人 健康会理事長
宮 城 征四郎 沖縄県立中部病院長
矢 崎 義 雄 国立国際医療センター総長
山 口 昇 全国国保診療施設協議会特別顧問
横 田 俊 平 横浜市立大学医学部教授

(平成13年5月31日現在 五十音順)


資料2−1
臨床研修の概要について

1 臨床研修制度の概要

(1)臨床研修制度

○ 医師法に基づき、医師は、免許を受けた後も、2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとされている。

○ 平成11年度において、研修対象者15,041人に対し、13,079人の者が研修を実施しており、研修実施率は87.0%に達している。

【臨床研修制度の沿革】

○ 戦後、欧米に範をとって、水準の高い医師を養成するという観点から実地修練(いわゆるインターン)制度が創設され、「卒業後1年以上の診療及び公衆衛生に関する実地修練」を行うことが医師国家試験受験資格の要件とされた。

○ しかし、学生でも医師でもないというインターンの行う医行為の法的位置付けの問題、インターンの経済的問題、実地修練病院の指導体制が不備であること等から、昭和43年に医師法を改正して実地修練制度を廃止した。併せて臨床研修制度を設け、医学部卒業直後に医師国家試験が受験できるようにするとともに、医師免許取得後2年間以上の臨床研修を行うことを努力規定として定め、今日に至っている。

(2)医師養成課程における臨床研修の位置づけ

○ 臨床研修は、教育・研修に関する高い機能を有する病院において、適切な指導責任者の下に、卒前の臨床教育で得た幅広い知識及び技能を基礎に、診療に関する知識及び技能を実地に錬磨するとともに、医師としての資質の向上を図るものである。

○ 医師の養成課程において、卒後臨床研修は、

・ 大学(医学課程)におけるいわゆる卒前教育
・ 医師の専門性を高め、また日々進歩する最新の医学について研鑽するいわゆる生涯教育とともに、質の高い臨床医を養成するために重要な役割を担っている。

【医師の養成課程のイメージ】

医師の養成課程のイメージの図


2 臨床研修制度の充実に向けたこれまでの取組

昭和43年5月 ○ 臨床研修制度の創設(昭和43年医師法改正)
  5月15日 改正医師法の公布・施行
  6月23日 医師国家試験の実施(新受験資格による)
  7月11日 臨床研修運用方針の提示(16日通知)
  7月16日 臨床研修病院の指定(一般108病院、精神19病院)
  7月27日 医師国家試験の合格発表
昭和49年12月  ○ 第1回医学教育者のためのワークショップ(富士研)の開催
昭和53年3月 ○「プライマリーケアーを含む臨床研修の実施について」を通知
昭和55年 ○ ローテート方式を導入
 ※ ローテート方式
 内科系及び外科系の各々1診療科、あるいは、内科系又は外科系の1診療科かつ救急診療部門を2年間の研修期間中に研修すること(1診療科の研修期間は、それぞれ原則として2か月以上)
昭和58年4月 ○ 臨床研修研究会の発足(臨床研修病院よりなる任意団体)
昭和59年 ○ 病院群による臨床研修病院の指定を導入
昭和60年 ○ 総合診療方式を導入
 ※ 総合診療方式(いわゆるスーパーローテート方式)
 内科系及び外科系の各々1診療科、小児科、救急診療部門を2年間の研修期間中に研修すること(1診療科の研修期間は、それぞれ原則として2か月以上)
平成元年6月 ○「卒後臨床研修目標」を通知
 (医療関係者審議会臨床研修部会意見具申)
平成5年3月 ○ 研修プログラムに基づく研修、研修施設群における研修を導入


3 臨床研修の現状

(1)臨床研修を行う病院の状況

○ 病院数

【大学附属病院】(平成13年4月1日現在)

病院数 合計 開設者別
国立 公立 私立
合計 134 48 10 76
(注:分院及び研究所附属病院を含む。)

【臨床研修病院】(平成13年4月1日現在)

病院数 合計 開設者別
公的 その他
合計 476 68 222 186
一 般 461 64 213 184
精神 15
病院群 主病院 118 47 63
従病院 131(58) 15( 9) 43(28) 73(21)
(注:病院群は再掲であり、また、従病院の( )は単独での既指定施設等の重複分である。(再掲))

(2)臨床研修の実施状況

○ 臨床研修実施者数(平成11年度)

  (人)  
研修対象者数 15,041 (A)
研修実施者数 13,079 (B)
  大学病院 合計 9,805 (C)
  国立大学 4,570  
公立大学 1,088  
私立大学 4,147  
臨床研修
病院
合計 3,274 (D)
  国立病院・療養所 702  
公私立 2,572  

・研修実施率 87.0%((B)/(A))
・研修実施者のうち
 大学附属病院における研修実施率 
 臨床研修病院における研修実施率

75.0%((C)/(B))
25.0%((D)/(B))

(研修実施率の年次比較)

(%) 昭和45 昭和50 昭和55 昭和60 平成2 平成7 平成11
研修実施率 50.6 72.9 67.6 81.7 79.9 87.0 87.0
臨床研修病院における研修実施率 21.9 20.5 19.7 24.3 21.4 24.6 25.0


(3)臨床研修の運用の現状について

○ 現在の臨床研修制度においては、質の高い臨床研修が実施されるよう、@臨床研修において達成すべき目標(卒後臨床研修目標)と、A臨床研修病院の指定基準が定められている。

卒後臨床研修目標

臨床研修病院の指定基準

○ 大学病院については、臨床研修病院としての基準は定められていないが、質の高い臨床研修が実施されるよう、各大学において臨床研修に関するプログラムを定め、研修を実施している。


臨床研修を行う施設の類型

1 大学附属病院

2 臨床研修病院

(1)一般病院が単独で指定を受けるもの (2)病院群として指定を受けるもの (3)精神病院が単独で指定を受けるもの (4)上記のいずれかであって、かつ研修施設群を構成するもの

【臨床研修病院の指定基準】
・臨床研修指定病院の指定基準は、次の2つの基準から構成。
  @ 施設、人員等に関する基準
  A 研修プログラムに関する基準

(一般病院の単独指定の場合の基準)
施設、人員等に関する基準
1 一般病床約 300床以上又は年間入院患者実数3000名以上
2 内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、ひ尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、及び放射線科の各診療科をそれぞれ独立して設置
3 常勤医師が医療法上の定員を満たしている
4 2の各診療科について、それぞれ適当数の常勤医師が配置
5 2の各診療科毎に十分な指導力を有する指導医が配置
6 年間の剖検例が20体以上であり剖検率が30%以上
7 救急医療の研修が実施できる
8 臨床検査室、放射線照射室、手術室、分娩室等が相当数以上
9 研究、研修に必要な施設、図書、雑誌の整備及び病歴管理等が十分、かつ、研究、研修活動が活発

研修プログラムに関する基準
1 研修目標、研修計画、指導体制及びその他必要な事項を定めた研修プログラムを有する
2 研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての教育責任者及び委員会を置いている

○ 研修プログラムは、臨床研修病院ではすべての病院で定められており、「臨床研修ガイドブック(臨床研修研究会編集)」等を通じ、全国に公開されている。
 (参考資料:【参考資料2】)

・研修プログラムの例(「臨床研修ガイドブック」抜粋)
 国立国際医療センター

○ なお、主な研修方式として、総合診療方式、ローテート方式及びストレート方式の3方式が挙げられる。

総合診療方式(いわゆるスーパーローテート方式)

 内科系及び外科系の各々1診療科、小児科、救急診療部門を2年間の研修期間中に研修するもの(1診療科の研修期間は、それぞれ原則として2か月以上)

例

ローテート方式

 内科系及び外科系の各々1診療科、あるいは、内科系又は外科系の1診療科かつ救急診療部門を2年間の研修期間中に研修するもの(1診療科の研修期間は、それぞれ原則として2か月以上)

例

ストレート方式

 単一の診療科のみを研修するもの

例


卒後臨床研修目標

はじめに

 医師養成の上で卒後臨床研修の役割は特に重要であるが、適切な臨床研修を実施するためには、まずその目標が明確にされる必要がある。
 既に昭和53年に、厚生省医務局長通知の中で具体的な到達目標が例示されており、その趣旨は昭和61年に示された「総合診療方式における研修目標」においても生かされており、これらは現時点でも達成すべき目標として十分有益なものである。
 しかしながら、医学・医療の高度化による臨床医の専門分野の細分化に伴って、若い医師の間に早急に専門的な技術を身につけようとする傾向があり、これを放置すると特定な領域しか診ることのできない臨床医が増加する恐れがある。
 他方、我が国では、人口の急速な高齢化に伴って慢性疾患を有する老人が増加し、また患者のニーズも多様化している。このような中で、医師は単に専門分野の疾患を治療するのみではなく、患者、家族の抱える様々な身体的、心理的、社会的問題も適格に認識・判断し、医療チームの中で治療、看護、介護サービス等の種々の方策を総合的に組織・管理し、問題解決を図る能力を備えることが必要となってきている。
 従って、患者を全人的に診る能力をすべての医師が身につけるための対策を講じる必要があるが医療関係者審議会臨床研修部会では既に卒後臨床研修の改善について検討を行っており、昭和63年3月の部会において、「期待される医師像」及び「臨床研修の意義」については下記のように考えるとの意見を得た。

「期待される医師像」

生涯教育を受ける習慣・態度を有する。
科学的妥当性、探求能力を有する。
高い倫理観と豊かな人間性を有する。
社会発展に貢献する使命感と責任感を有する。
自己の能力の限界を自覚し他の専門職と連携する能力を有する。
チーム医療のコーディネーターとしての機能を有する。
後輩の医師に対し指導できる能力を有する。
地域の指導者的役割を果たす能力を有する。

「臨床研修の意義」

幅広い臨床実務を経験し医学部で学んだ基本的知識・技術・態度を体系化する。
暖かい人間性と広い社会性を身につける。
医療人としての自己を見つめ直し「医の心」を十分に考える。
病める人の全体像を捉える全人的医療を身につける。
臨床経験を通じ、総合的視野、創造力を身につける。
患者の持つ問題を正しく把握し解決する能力を身につける。
科学的思考力、応用力、判断力を身につける。
患者及び家族のニーズへの対応、態度を学ぶ。
医療スタッフの業務を知り、チーム医療を率先して実践することを学ぶ。
医療における経済性を学ぶ。

 本部会では前記に示した「期待される医師像」と「臨床研修の意義」を実現するため、我が国の医療事情も勘案しつつ臨床研修についての標準的な到達目標を設定した。これは、志向する将来の専門領域の如何にかかわらず、全ての研修医に必須のものと考える。
 即ち、通常見られる疾患の患者に対して適切な診療を行い、また、特に救急時の診療を行う能力を身につけるべきである。そのためには、適切な判断力と診断治療のための基本的手技、更には全身管理能力を身につける必要がある。また、必要に応じて患者を適切に専門医又は施設等に送る能力の養成も重要である。さらに、病人の抱える問題を身体的、心理的、社会的に適切に把握し解決・指導するためには、患者及び家庭とのコミュニケーションを保つ能力の養成も大切である。
 これらについて卒前教育においても知識等を修得させているが、なお臨床教育の相当部分を卒後臨床研修で行うことが必要であると思われ、卒後臨床研修の使命は極めて大きい。


1 一般目標

(1)全ての臨床医に求められる基本的な診療に必要な知識・技能・態度を身につける。

(2)緊急を要する病気又は外傷をもつ患者の初期診療に関する臨床的能力を身につける。

(3)慢性疾患患者や高齢患者の管理上の要点を知り、リハビリテーションと在宅医療・社会復帰の計画立案ができる。

(4)末期患者を人間的、心理的理解の上にたって、治療し管理する能力を身につける。

(5)患者および家族とのより良い人間関係を確立しようと努める態度を身につける。

(6)患者の持つ問題を心理的・社会的側面をも含め全人的にとらえて、適切に解決し、説明・指導する能力を身につける。

(7)チーム医療において、他の医療メンバーと協調し協力する習慣を身につける。

(8)指導医、他科又は他施設に委ねるべき問題がある場合に、適切に判断し必要な記録を添えて照会・転送することができる。

(9)医療評価ができる適切な診療録を作成する能力を身につける。

(10)臨床を通じて思考力、判断力及び創造力を培い、自己評価をし第三者の評価を受け入れフィードバックする態度を身につける。

2 具体的目標

(1)基本的診察法

 卒前に修得した事項を基本とし、受持症例について例えば以下につき主要な所見を正確に把握でき る。

1)面接技法(患者、家族との適切なコミュニケーションの能力を含む)
2)全身の観察(バイタルサイン、精神状態、皮膚の診察、表在リンパ節の診察を含む)
3)頭・頸部の診察(眼底検査、外耳道、鼻腔、口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含む)
4)胸部の診察(乳房の診察を含む)
5)腹部の診察(直腸診を含む)
6)泌尿・生殖器の診察(注:産婦人科の診察は指導医と共に実施のこと)
7)骨・関節・筋肉系の診察
8)神経学的診察

(2)基本的検査法(1)

 必要に応じて自ら検査を実施し、結果を解釈できる。

1)検尿
2)検便
3)血算
4)出血時間測定
5)血液型判定・交差適合試験
6)簡易検査(血糖、電解質、尿素窒素、赤沈を含む)
7)動脈血ガス分析
8)心電図
9)簡単な細菌学的検査(グラム染色、A群β溶連菌抗原迅速検査を含む)

(3)基本的検査法(2)

 適切に検査を選択・指示し、結果を解釈できる。

1)血液生化学的検査
2)血液免疫学的検査
3)肝機能検査
4)腎機能検査
5)肺機能検査
6)内分泌学的検査
7)細菌学的検査
8)薬剤感受性検査
9)髄液検査
10)超音波検査
11)単純X線検査
12)造影X線検査
13)X線CT検査
14)核医学検査

(4)基本的検査法(3)

 適切に検査を選択・指示し、専門家の意見に基づき結果を解釈できる。

1)細胞診・病理組織検査
2)内視鏡検査
3)脳波検査

(5)基本的治療法(1)

 適応を決定し、実施できる。

1)薬剤の処方
2)輸液
3)輸血・血液製剤の使用
4)抗生物質の使用
5)副腎皮質ステロイド薬の使用
6)抗腫瘍化学療法
7)呼吸管理
8)循環管理(不整脈を含む)
9)中心静脈栄養法
10)経腸栄養法
11)食事療法
12)療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄を含む)

(6)基本的治療法(2)

 必要性を判断し、適応を決定できる。

1)外科的治療
2)放射線治療
3)医学的リハビリテーション
4)精神的、心身医学的治療

(7)基本的手技

 適応を決定し、実施できる。

1)注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保)
2)採血法(静脈血、動脈血)
3)穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔等を含む)
4)導尿法
5)浣腸
6)ガーゼ・包帯交換
7)ドレーン・チューブ類の管理
8)胃管の挿入と管理
9)局所麻酔法
10)滅菌消毒法
11)簡単な切開・排膿
12)皮膚縫合法
13)包帯法
14)軽度の外傷の処置

(8)救急処置法

 緊急を要する疾患または外傷をもつ患者に対して、適切に処置し、必要に応じて専門医に診療を依 頼することができる。

1)バイタルサインを正しく把握し、生命維持に必要な処置を的確に行う。
2)問診、全身の診察および検査等によって得られた情報をもとにして迅速に判断を下し、初期診療計画をたて、実施できる。
3)患者の診療を指導医または専門医の手に委ねるべき状況を的確に判断し、申し送りないし移送することができる。
4)小児の場合は、保護者から必要な情報を要領よく聴取し、乳幼児に不安を与えないように診察を行い、必要な処置を原則として指導医のもとで実施できる。

(9)末期医療

 適切に治療し、管理できる。

1)人間的、心理的立場に立った治療(除痛対策を含む)
2)精神的ケア
3)家族への配慮
4)死への対応

(10)患者・家族との関係

 良好な人間関係の下で、問題を解決できる。

1)適切なコミュニケーション(患者への接し方を含む)
2)患者、家族のニーズの把握
3)生活指導(栄養と運動、環境、在宅療養等を含む)
4)心理的側面の把握と指導
5)インフォームド・コンセント
6)プライバシーの保護

(11)医療の社会的側面

 医療の社会的側面に対応できる。

1)保健医療法規・制度
2)医療保険、公費負担医療
3)社会福祉施設
4)在宅医療・社会復帰
5)地域保健・健康増進(保健所機能への理解を含む)
6)医の倫理・生命の倫理
7)医療事故
8)麻薬の取扱い

(12)医療メンバー

 様々の医療従事者と協調・協力し、的確に情報を交換して問題に対処できる。

1)指導医・専門医のコンサルト、指導を受ける。
2)他科、他施設へ紹介・転送する。
3)検査、治療・リハビリテーション、看護・介護等の幅広いスタッフについて、チーム医療を率先して組織し、実践する。
4)在宅医療チームを調整する。

(13)文書記録

 適切に文書を作成し、管理できる。

1)診療録等の医療記録
2)処方箋、指示箋
3)診断書、検案書その他の証明書
4)紹介状とその返事

(14)診療計画・評価

 総合的に問題点を分析・判断し、評価できる。

1)必要な情報収集(文献検索を含む)
2)問題点整理
3)診療計画の作成・変更
4)入退院の判定
5)症例提示・要約
6)自己及び第三者による評価と改善
7)剖検
おわりに

 医師養成全般における臨床研修の目標の位置付け

 医学教育を改善し「期待される医師像」に応える医師を養成するためには、卒後臨床研修と卒前教育、専門医教育、生涯教育との整合性を図る必要がある。特にカリキュラムに関しては、これらは一貫性を有するべきであり、教育目標は専門医教育まで段階を経て次第に深さを増しながら幅を狭めていくと考えられる。
 以下に、本部会で臨床研修に関連して議論された点を付記する。

(1)卒前教育

 卒前教育における臨床実習は充実されてきているが、卒前教育における臨床実習は臨床研修における技能等の修得と密接に関連するものであるので、卒前教育における医行為を伴う臨床実習の許容程度について卒前教育における知識等の到達度も踏まえて十分に検討する必要がある。

(2)臨床系大学院

 臨床系を専攻する大学院学生も、患者の診療をする機会を持つのであれば、本卒後臨床研修目標を達成していることが専攻の前提として必要であると考える。

(3)専門医制度

 本到達目標は全ての臨床研修医に必須のものであるから、今後は全専門医学会が専門医(認定医)認定の条件として、臨床研修における本到達目標の達成を前提とするか、又はそれぞれのカリキュラムの中に盛り込むことが必要である。また、これに加えて、志向する将来の専門性を勘案し、内科系、外科系、小児科系その他各専門分野の系において、幅広く専門分野の各サブスペシャリティ及び関連領域の目標を達成することが望ましい。

(4)生涯教育

 >卒後臨床研修は、地域医療における家庭医機能についての生涯教育の基礎としても位置付けられることが適当である。


臨床研修病院の指定基準及び指定基準の運用

臨床研修病院の指定基準

 臨床研修を行う病院のうち、一般病院については以下に掲げる内容を備えたことが原則とされること。ただし、病院群による指定については、「病院群による臨床研修病院の指定基準」による。

第一 施設、人員等に関する基準

1 一般病床約300床以上、又は年間の入院患者実数が3000名以上であり、かつ、病床数及び患者実数が診療各科に適当に配分されていること。

2 内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、ひ尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、及び放射線科の各診療科がそれぞれ独立して設置されていること。

3 常勤医師が医療法上の定員を満たしていること。

4 2の各診療科について、それぞれ適当数の常勤医師が配置されていること。

5 2の各診療科毎に十分な指導力を有する指導医が配置されていること。

6 年間の剖検例が20体以上であり剖検率が30%以上であること、又はその他剖検に関する数値が相当数以上あること。

7 救急医療の研修が実施できること。

8 臨床検査室、放射線照射室、手術室、分娩室等の機能を示す数値が相当数以上であること。

9 研究、研修に必要な施設、図書、雑誌の整備及び病歴管理等が十分に行われていること、かつ、研究、研修活動が活発に行われていること。

第二 研修プログラムに関する基準

1 研修目標、研修計画、指導体制及びその他必要な事項を定めた研修プログラムを有すること。

2 研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての教育責任者及び委員会を置いていること。


病院群による臨床研修病院の指定基準

 「病院群による指定」とは、臨床研修を行う複数の病院病院群として指定するものである。病院群による指定は、臨床研修において中心となる病院(以下「主病院」という。)と、主病院の機能を補う病院(以下「従病院」という。)について併せて行い、従病院の補う分野を特定する。

第一 施設、人員等に関する基準

1 病院群に関する基準

(1)主病院と従病院は、相互に診療について機能的な連携があること。

(2)従病院の数は2以下であり、主病院の機能を補う分野が特定されていること。

2 主病院の基準

 以下に掲げる内容を備えた総合的な病院であること。

(1)一般病床約300床以上、又は年間の入院患者実数が3000名以上であり、かつ、病床数及び患者実数が診療各科に適当に配分されていること。

(2)常勤医師が医療法上の定員を満たしていること。

(3)年間の剖検例が20体以上であり剖検率が30%以上であること、又はその他剖検に関する数値が相当数以上あること。

(4)研究、研修に必要な施設、図書、雑誌の整備及び病歴管理等が十分に行われていること、かつ、研究、研修活動が活発に行われていること。

3 従病院の基準

 常勤医師が医療法上の定員を満たしている病院であること。なお、大学病院は従病院としない。

4 主病院及び従病院を併せて以下に掲げる内容を備えていること。ただし、従病院は主病院を補う分野に限ること。

(1)内科、精神科、小児科、外科、整形外科、皮膚科、ひ尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、及び放射線科の各診療科がそれぞれ独立して設置されていること。

(2)(1)の各診療科について、それぞれ適当数の常勤医師が配置されていること。

(3)(1)の各診療科毎に十分な指導力を有する指導医が配置されていること。

(4)救急医療の研修が実施できること。

(5)臨床検査室、放射線照射室、手術室、分娩室等の機能を示す数値が相当数以上であること。

第二 研修プログラムに関する基準

1 病院群に関する基準

(1)研修目標、研修計画、指導体制及びその他必要な事項を定めた合同の研修プログラムを有すること。

(2)研修プログラムの管理及び評価を行うため、合同の研修委員会を持ち、主病院の研修における責任が明確であること。

2 主病院及び従病院の各々が満たさなければならない基準

 研修プログラムに基づく臨床研修についての教育責任者及び委員会を置いていること。


臨床研修病院の指定基準及び病院群による臨床研修病院の指定基準の運用

第一 総合的な病院の定義

 基準における「総合的な病院」は、病院全体として研修の場にふさわしい病院の機能と研修の機会を有していること。

第二 施設、人員等に関する基準の運用

1 医師数

(1)基準において、「常勤医師(当該病院で定めた医師の勤務時間の全てを勤務し、かつ、1週間当たり40時間以上を当該病院で勤務するもの)が医療法上の定員を満たしていること」としているのは、診療のみに追われることのない充実した臨床研修の確保を図ろうとするものであるから、ここでいう常勤医師数には研修中の医師(卒後2年間に限る)は算入しないこと。常勤医師のみでは医療法上の定員を満たさない場合においては、非常勤医師を常勤換算して医療法上の定員を満たすことにより、暫定的に基準を満たしているものとする。その場合には常勤医師で概ね医療法上の定員を満たしていること。

(2)基準において、「各診療科それぞれに適当数の常勤医師の配置が必要」としているのは診療上のほか、研修指導体制の確立を図るためのものであり、その適当数は内科については5名以上、外科については4名以上、産婦人科については3名以上、精神科、整形外科、小児科、皮膚科、ひ尿器科、眼科、耳鼻いんこう科及び放射線科については2名以上とする。しかしながら、現状から見て医師の確保が難しい診療科(精神科、皮膚科、ひ尿器科、眼科、耳鼻いんこう科、放射線科)については常勤医師1名のほかに非常勤医師を適切に配置することにより適正な研修指導体制が一応確保されていると認められる場合には暫定的に基準を満たしているものとすること。

(3)麻酔科及び検査部門については、臨床研修を行う上で、重視すべきものであるので、これらについても専任医師が配置されていることが望ましい。

(4)臨床研修を行う上で病理機能が欠くことのできない重要な役割を果たしていることに鑑み、専任の常勤病理医を配置すること。その確保が難しい場合にも、非常勤医師を適切に配置することにより適正な体制が確保されていること。

2 指導医の資格

 基準において、各診療科毎に十分な指導力を有する指導医を置くことを規定しているが、指導医の資格は原則として次のいずれかの条件に該当するものであること。

(1)少なくとも10年前後の臨床経験を有し、十分な指導力と最近の2年間においても相応の業績発表を有するもの。

(2)各専門学会が認定している認定医等の資格を有するもの。

(3)特定科(精神科、皮膚科、ひ尿器科、眼科、耳鼻いんこう科、放射線科)については少なくとも5年の臨床経験を有し、かつ、その経験、訓練、業績発表等から十分な指導力があると認められるもの。

3 剖検

 (1)基準において、「剖検率が30%以上であること」としているが、その算定に当たっては、精神病床、ホスピス病床又は入院48時間以内の死亡退院例で剖検を行わなかったものについては、対象から除くことができること。

(2)基準において、「その他剖検に関する数値が相当数以上あること」とは、年間の剖検例が病床数の数値の10%以上であること。ただし、精神病床又はホスピス病床については、算定の対象から除くことができること。

(3)剖検症例が臨床病理カンファレンス(CPC)等を通じて臨床上十分活用され、また、手術症例に対する病理学的検査が十分行われていること。
 なお、当該病院に病理部門が設置され、臨床上剖検等が集中的に実施することが適当な場合は、一定期間病理診断に係る研修を行うことができる。

4 設備

(1)基準おいて、「研究、研修に必要な図書、雑誌の整備が行われていること」としているが、その内容は、内外の専門図書及び雑誌を有し、かつ、年間少なくとも200万円以上の図書を購入していること。また、十分な図書、雑誌の活用を図るためには専任の職員を置くことが望ましい。

(2)十分な病歴管理が行われるためには、中央病歴管理室が設置され、組織的な病歴管理が行われていること。また、専任の病歴管理者がいることが望ましい。

(3)充実した臨床研修を図るためには宿舎の整備が望ましい。

5 病院群指定

(1)基準において、「相互に診療について機能的な連携があること」としているのは医師の往来、医療機器の共同利用、合同カンファレンス等が組織的に行われている等、具体的に診療について機能的な連携が行われている状態をいう。

(2)主病院と従病院の距離は特に制限するものではないが、地域医療のシステム化を図る趣旨、緊密な連携を保つ必要性等との関係から著しく距離の離れたものは適当ではない。

第三 研修プログラムに関する基準の運用

1 研修目標

 基準において、研修プログラムに研修目標を定めることを規定しているが、研修目標については、平成元年6月の臨床研修部会の意見書に示された到達目標が達成されること。
 また、研修方法については、昭和48年12月、昭和50年10月、昭和53年3月の医師研修審議会の建議書及び意見書の趣旨に則り、救急医療、初期診療等、プライマリ・ケアの研修が行われるよう関連各科にわたるローテーション方式による研修を行うことが望ましい。

2 研修計画

 基準において、研修プログラムに研修計画を定めることを規定しているが、この研修計画には研修目標を達成できるに足る臨床研修全体及び各診療科毎の具体的な実施計画を定めていること。なお、各診療科毎の研修における到達目標を定めることが望ましい。

3 指導体制

 基準において、研修プログラムに指導体制を定めることを規定しているが、指導医の氏名、資格及び指導医数等を含めて各診療科毎の指導体制について定めていること。

4 その他研修プログラムに定める事項

 基準において、研修プログラムにその他必要な事項を定めることを規定しているが、その内容としては次のとおりとすること。

(1)6研修の評価及び評価に基づいて具体的な研修医の評価方法について定めていること。

(2)7研修施設群に基づいて研修施設群を導入する場合には、当該施設の概要、具体的な実施計画等を定めていること。

5 研修プログラムの公表

 研修プログラムは公表することを原則とすること。

6 研修の記録及び評価

 研修プログラムに基づいた臨床研修を実施するに当たりその記録及び評価を行うことは、研修医の到達目標の達成の程度を判断するために重要な意義を持つものであり、次のような方法により記録及び評価を行うこと。

(1)教育責任者は、研修医について研修内容の記録及び評価を残すこと。

(2)研修医手帳を作り、研修医に研修内容を記入させ、病歴や手術の要約等を作成するよう指導すること。

(3)研修の評価にあたっては、日本医学教育学会の「卒後初年度臨床研修目標案」も参考にすること。

7 研修施設群

(1)臨床研修病院が、研修施設群として専門病院、中小病院、診療所、老人保健施設、保健所及び社会福祉施設と研修プログラムを組む場合においては、研修施設群全体についての教育責任者及び合同委員会を置き、かつ各施設毎の研修計画等具体的な実施計画を定めること。
 その場合、臨床研修病院の研修における責任が明確であること。

(2)研修施設群の各施設毎に第二の2指導医の資格に準ずる資格を有する指導医がいること。なお、保健所においては、所長の他に少なくとも3年以上公衆衛生の実務に従事した経験を有する医師が常勤していること。
 設備については、研修を行うのに十分な機能を備えていること。

8 病院群指定

 病院群指定において、研修プログラムに基づいた臨床研修を実施するに当たり、2以上の主病院の従病院になることはできるが、その場合は、それぞれの合同研修委員会が十分機能すること、研修医を受け入れる体制に十分な余裕があること等が前提であること。
 なお、研修プログラムは、研修モデルプログラム(平成5年3月25日医事第31号厚生省健康政策局医事課長通知)を参考にして定めること。


(4)臨床研修に係る予算補助制度の状況

◎ 臨床研修の効率的・効果的推進を図るため、公・私立大学附属病院及び臨床研修病院に対し、運営費及び施設・設備整備費の補助を行っている。

【厚生労働省関係】

臨床研修費補助金

○ 臨床研修を行うために必要な経費(※)

・ 指導医の手当て
・ 備品購入費等

○ 平成13年度予算額

約 43 億円

※ 補助基準額について、

総合診療方式、ローテート方式、その他の方式別に基準額が定められている。

医療施設等施設・設備整備費補助金

○ 対象項目

・臨床研修病院施設整備(平成7年度創設)
・研修医のための研修施設整備(平成6年度創設)
・地域医療研修センター施設・設備整備(昭和55年度創設)
・教育病院施設・設備整備(昭和49年度創設)

○ 平成12年度補助実績

合計 17件(約7億円)

◎ なお、上記の臨床研修病院に対する補助のほか、指導医の養成、臨床研修必修化の準備に関する予算が計上されている。


資料2−2

臨床研修の必修化について

1 臨床研修の必修化に係る経過

(1)臨床研修の必修化

○ 医学・医療技術が飛躍的に進歩し、より専門的な知識及び技能が必要とされることに伴い、臨床医の専門分化が進んでいることの弊害や、医師としての基盤形成の時期に、将来の専門性を問わず、患者を全人的に診ることができる基本的な臨床能力を身につけることの重要性が多くの関係者から指摘されてきたところ。

○ このため、臨床研修制度の抜本的な改善について、医療関係者審議会臨床研修部会において審議され、平成6年12月に、中間まとめとして、「基本的には必修とするとともに、その内容等の改善を図ることが望ましい」との意見が取りまとめられた。

○ 平成11年2月には、臨床研修の充実を目指して積み重ねられてきたこれまでの議論も含めた形で、臨床研修必修化に向けて、その実施方法、研修内容、研修修了の認定方法等の大枠が同審議会で取りまとめられた。

○ その後、医療提供体制の見直し全般に関する議論が平成12年2月に一定の方向で取りまとめられたことを受けて、卒後臨床研修の必修化を含む「医療法等の一部を改正する法律案」が第147国会に提出された。当該法案は、衆議院の解散に伴い廃案となったが、第150回国会に再提出され、可決成立、12月6日に公布された。(平成16年4月施行)

(2)必修化に係る近年の主な動向

平成6年2月  ○ 日本学術会議地域医学研究連絡委員会の報告
「−医師卒後臨床研修の改善について−」
     12月  ○ 医療関係者審議会臨床研修部会意見書の中間まとめ
「基本的には必修化するとともに、内容の改善を図ることが望ましい」との提言
平成7年5月  ○ 医療関係者審議会臨床研修部会臨床研修検討小委員会を設置
平成8年7月  ○ 臨床研修検討小委員会が中間意見書「−卒後臨床研修の今後の改善に向けて−」を発表
平成9年3月  ○ 医師の卒後臨床研修に関する協議会(四者協)を設置
(文部省、厚生省、大学病院関係者、臨床研修病院関係者)
平成10年10月  ○ 医療関係者審議会医師臨床研修部会において、臨床研修
必修化についての検討を再開
平成11年2月  医療関係者審議会医師臨床研修部会において、「医師臨床研修の必修化について」をとりまとめ
平成12年1月  医師の卒後臨床研修に関する協議会(四者協)において、「意見の概要」をとりまとめ
      3月  ○ 「医療法等の一部を改正する法律案」を第147回国会に提出(17日閣議決定、21日国会提出)
      11月  ○ 「医療法等の一部を改正する法律案」が第150回国会において成立


◎医療関係者審議会医師臨床研修部会とりまとめ(平成11年2月)


医師臨床研修の必修化について

平成11年2月10日
医療関係者審議会  
医師臨床研修部会

1 趣 旨

○ 臨床研修を必修化することにより、今日の医療提供に対する国民の要請に応えられるよう、その充実を図る。具体的には、研修中の医師を研修に専念させるとともに、研修修了の評価を適正に行うことなどにより研修効果を高めることとする。

2 実施方法

○ 診療に従事する医師は、免許を受けた後2年以上一定の研修体制を有する大学附属病院又は臨床研修病院(以下、「臨床研修病院等」という。)において、臨床研修を行わなければならないこととする。

○ 臨床研修中の医行為の内容・種類については制限せず、医師法上の責務(処方箋の交付義務、診療録の記載・保存義務)についても通常の取扱いとする。

○ 病院・診療所の管理者は、研修を修了したものでなければならないこととするとともに、診療所の開設にあっては、研修未了の者は許可を受けなければならないこととする。

○ 研修中の医師に対して、その手当てが適切に支払われるよう必要な措置を講ずるとともに、指導医の処遇の在り方についても検討する。具体的な費用負担については、国及び医療保険の双方が負担している現状を踏まえ、今後その在り方を整理する。

3 研修内容

○ 研修の到達目標は、「卒後臨床研修目標」に基本的に沿うものとする。当該目標については、インフォームド・コンセントや医薬品の適正使用など科学的根拠に基づく医療の提供等の観点から見直しを行う。

○ 内科系及び外科系の双方を含む複数の診療科で研修を行うとともに、救急医療等の研修の機会の確保について研修プログラムの中に明確に位置付ける。

○ 研修の場を臨床研修病院等だけに限るのではなく、「病院群」や「研修施設群」による研修等多様なものとする。

4 質の確保

○ 現行の臨床研修病院の指定基準については、研修指導体制を含む新たな基準を示すとともに、指導医の質の向上を図る。

○ 研修プログラムについては、各臨床研修病院等は「卒後臨床研修目標」に基づき、研修期間の2年間を通じ一貫したプログラムを作成することとする。臨床研修病院等の指定の際、当該プログラムの内容についても当該病院の特色・多様性を尊重しつつ審査を行う。

○ 研修医の幅広い選択に資するよう、研修プログラムに関する情報は一般に公開する。

○ 臨床研修病院等の指定について定期的に確認を行い、当該結果を踏まえた改善の指導や取消等により臨床研修病院等の質の確保を図る。

5 研修修了の認定

○ 研修修了の認定方法については以下のとおりとする。

@ 各研修医ごとに研修医手帳を作成し、研修医による自己評価と指導医による客観的評価を行う。
A 研修医から提出された研修医手帳及び指導医の評価に基づき、病院内に設けられた研修委員会による評価を踏まえて、研修責任者たる病院長が総合的に評価を行った上で、研修修了を証明する。
B 厚生大臣は上の証明に基づき、その旨を医籍に登録する。

6 施行時期

○ 臨床研修病院等の準備(研修プログラムの準備、研修修了のチェックシステムの整備)その他の体制の整備を勘案して2〜3年程度の猶予期間を置く。


医療関係者審議会医師臨床研修部会員名簿

平成11年2月10日現在


氏名 所属
磯 野 可 一 千葉大学学長
内 村 英 幸 国立肥前療養所長
大 塚 敏 文 日本医科大学理事長
梶 原 長 雄 日本大学常務理事
櫻 井 健 司 聖路加国際病院長
杉 本 恒 明 関東中央病院長
寺 本 成 美 国立長崎中央病院長
徳 永 力 雄 関西医科大学医学部教授
仲 村 英 一 医療情報システム開発センター理事長
穂 坂 正 彦 横浜市立大学医学部長
宮 城 征四郎 沖縄県立中部病院長
坪 井 栄 孝 日本医師会長
佐々木 正 峰 文部省高等教育局長

○ 部会長


◎医師の卒後臨床研修に関する協議会とりまとめ(平成12年1月)


医師の卒後臨床研修に関する協議会における意見の概要

平成12年1月14日
医師の卒後臨床研修に関する協議会

はじめに

 国民に良質な医療を安定的に提供するためには、それを担う医師が臨床の能力を身につける適切な研修を受けることが不可欠であり、このため医師免許取得後に臨床研修を受けることを必修化することは極めて重要な課題である。
 しかしながら、卒後臨床研修を単に必修化するだけで、その趣旨が十分に生かされなければ、よい医療を提供することにはならないことは明らかである。そこで、真に我が国の医療をよりよいものにするためには、如何に研修の質の充実を図るかということについても真摯に検討が行われなければならない。こうした認識の下に、本協議会においては、研修内容の充実や研修体制の環境整備等について、幅広いコンセンサスを得るため、政府関係者及び研修施設関係者などが一堂に会して11回にわたる会議を開いて検討を行い、その結果を以下のようにとりまとめた。

1 研修内容・プログラム

2 研修修了時の評価

3 研修医について

4 指導医について

5 研修の実施体制

6 研修施設の基準

最後に

 卒後臨床研修の必修化に当たっては、以上の点を踏まえて検討されることが、研修の質の充実のためには必要不可欠であるとともに、これからの検討過程においても、臨床研修病院関係者や大学関係者など研修の実施機関の意見を十分に踏まえて進めていくことが必要。


医師の卒後臨床研修に関する協議会委員

阿曽 佳郎 藤枝市立病院長
石井 昌三 学校法人順天堂大学理事長
座長 磯野 可一 千葉大学長
入交昭一郎 前川崎市立川崎病院長
副座長 開原 成允 国立大蔵病院長
楠川 禮造 財団法人天理よろづ相談所病院長
小泉 明 社団法人日本医師会副会長
坂上 正道 北里大学名誉教授
猿田 享男 慶應義塾大学医学部長
塚原 重雄 山梨医科大学病院長
高橋 隆一 国立病院東京医療センター名誉院長
塚原 勇 学校法人関西医科大学理事長
細田 瑳一 財団法人日本心臓血圧研究振興会常務理事
本田 孔士 京都大学医学部附属病院長
前川 正 前国立学校財務センター所長
真栄城優夫 ハワイ大学卒後臨床研修プログラムディレクター
矢崎 義雄 国立国際医療センター病院長
和田 義郎 名古屋市立大学医学部教授
布村 幸彦 文部省高等教育局医学教育課長
松谷有希雄 厚生省健康政策局医事課長


2 臨床研修の必修化に係る医師法等改正の概要

1 医師の臨床研修の必修化に関する事項

(1)診療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならないこと。(医師法第16条の2関係)

(2)臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならないこと。(医師法第16条の3関係)

(3)厚生労働大臣は、臨床研修を修了した者について、その申請により、臨床研修を修了した旨を医籍に登録するとともに、臨床研修修了登録証を交付すること。(医師法第16条の4関係)
(4)(3)の登録を受けようとする者等は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならないこと。(医師法第16条の5関係)

(5)(3)の登録を受けた医師でない者が診療所を開設する場合には、都道府県知事等の許可を受けなければならないこと。(医療法第7条関係)

(6)病院等の開設者は、(3)の登録を受けた医師に、その病院等を管理させなければならないこと。(医療法第10条関係)

2 施行期日

 医師の臨床研修の必修化に係る部分については、平成16年4月1日から施行すること。


(医師臨床研修制度に関する比較)

  現行 平成16年4月以降
臨床研修 医師は、免許を受けた後も、2年以上大学の医学部若しくは大学附置の研究所の附属施設である病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を行うように努めるものとする。 診療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない
専念規定 臨床研修を受けている医師は、臨床研修に専念し、そ資質の向上を図るように努なければならない。
修了時の手続等 臨床研修を行う病院の長は、臨床研修を行った者があるときは、当該臨床研修を行った旨を厚生労働大臣に報告する。 厚生労働大臣は、臨床研修を修了した者について、その申請により臨床研修を修了した旨を医籍に登録するとともに、臨床研修修了登録証を交付する。
診療所の開設 医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。 臨床研修修了医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。
病院等の管理 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所を医師に管理させなければならない。 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所を臨床研修修了医師に管理させなければならない。


3 臨床研修必修化に関する主な指摘・要望等

(1)第150回国会における参議院附帯決議

○ 平成12年11月30日(木) 参議院国民福祉委員会における附帯決議

 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 十四、医師及び歯科医師の臨床研修については、インフォームドコンセントなどの取組や人権教育を通じて医療倫理の確立を図るとともに、精神障害や感染症への理解を進め、更にプライマリーケアやへき地医療への理解を深めることなど全人的、総合的な制度へと充実すること。その際、臨床研修を効果的に進めるために指導体制の充実、研修医の身分の安定及び労働条件の向上に努めること。

(2)必修化に関する関係者等の主な意見、要望等

 (医療関係者審議会医師臨床研修部会とりまとめ(平成11年2月)以降のものであって、同一団体等から複数回の要望等がなされている場合は最新の要望のみを記載。)

○「特定機能病院ならびに卒後臨床研修におけるリハビリテーション科に関する要望」 <

(社)日本リハビリテーション医学会(平成11年10月)
  → 卒後臨床研修ローテーションの項目にリハビリテーション科を加えること。

○「要望書」

(社)日本私立医科大学協会(平成11年11月)
  → 研修医が研修に専念できる環境整備が私立医科大学においてもなされるよう、特に給与財源について適切な措置が図られること。

○「臨床研修制度における公衆衛生研修カリキュラムの参入について」

衛生学・公衆衛生学教育協議会(平成11年11月)
  → 臨床研修は、単に臨床治療だけでなく予防的観点を視野に入れた公衆衛生の研修が不可欠。

○「医師の卒後臨床研修必修化に際しての要望書」

全国医学部長病院長会議(平成12年9月)
  → 卒後臨床研修必修化に不可欠な最低限の経費の確保について等。

○「要請書」

全日本医学生自治会連合(平成13年3月)
  → 臨床研修必修化の審議内容を医学生に情報提供すること等。

○「臨床研修における精神医学教育に関する要望書」

精神科七者懇談会(平成13年4月)
  → 臨床研修の中に精神科を必修とすること。

○「要望書(臨床研修制度について)」

四病院団体協議会(平成13年5月)
  → 中小民間病院を含め研修病院・診療所群という概念で全人的な教育制度を確立すること等。

○「初期臨床研修期間における内科研修について」

日本内科学会(平成13年5月)
  → 臨床研修のうち内科研修については、12カ月以上を必須とすること。


資料2−3

検討課題と検討のスケジュール(案)等について

1 今後の検討課題(案)

(1)研修制度の仕組に関すること

ア 研修医の研修体制、指導体制の在り方
イ 研修施設の受入体制
ウ 研修施設と研修医のマッチング

(2)研修内容に関すること

ア 研修すべき事項・目標
イ 研修プログラム・研修方式

(3)研修施設に関すること

ア 研修病院の指定基準、研修施設群等の取扱い
イ 研修病院のフォローアップ

(4)研修修了の認定に関すること

ア 研修病院における認定、評価の基準・仕組
イ 医籍への登録手続き

(5)研修に専念できる体制整備に関すること


2 検討のスケジュールについて

【必修化に関する主なスケジュール】

年度 時期 予定 主な事項
研修内容 研修体制 認定登録
13 6月 検討部会設置

(検討)

中間とりまとめ




研修目標策定




指定基準策定
 
14  

とりまとめ
(プログラム等作成) (病院体制準備)  
15


3月
  (16年度生の募集・採用) (指定申請)(施設整備)

病院指定
 
           
16 4月 必修化施行
研修の開始
     
17



1期生:研修修
   
研修医の評価
18         (修了証の発行)
(医籍への登録)


(照会先)
 厚生労働省医政局医事課医事係
 東京都千代田区霞ヶ関1−2−2
  代表)03−5253−1111
  内線)2568


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