01/05/18第2回社会保障審議会議事録 第2回社会保障審議会                 平成13年5月18日(金) 9:00〜11:00                 厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階) 1.開 会  吉田政策企画官  出席のご予定を頂戴しております岩田委員が若干遅れておられますが、定刻でござい ますので、ただいまから第2回の社会保障審議会を開催させていただきます。  審議に入ります前にお手元の資料の確認をさせていただきます。配席表の下、本日の 議事次第1枚紙、資料1−1として社会保障改革の最近の動き、1−2として社会保障 改革大綱、資料2−1として分科会について、資料2−2として部会の設置案という資 料を用意をさせていただいております。そのほか、机の上に参考資料といたしまして本 日の審議の関係資料と別冊3種類を用意させていただいております。  続きまして、今回、初めてご出席いただきます委員がおられますので、事務局からご 紹介させていただきます。  まず、奥田碩委員でございます。高木剛委員でございます。樋口恵子委員でございま す。 星野進保委員でございます。渡辺俊介委員でございます。以上よろしくお願いいたしま す。  なお本日は赤崎委員、浅野委員、稲上委員、小宮委員、永井委員、西尾委員、宮島委 員がご都合によりご欠席でございます。出席いただきました委員の皆様方が3分の1を超 えておりますので会議は成立しておりますことをご報告させていただきます。  それでは以後の進行を貝塚会長にお願いいたします。 2.最近の社会保障をめぐる動き、社会保障審議会の部会設置について  貝塚会長  本日は非常に早い時間からお集まりいただき、ありがとうございました。  それではまず本日の議事についてお諮りしたいと思います。先日の第1回審議会では 全体会議、ここの総会でございますが、社会保障について議論を行うべきであるという ご趣旨のご発言がありました。  3月末に政府・与党社会保障改革協議会から社会保障の改革大綱が提出されておりま して、いろいろな動きがあります。本日はその大綱など最近の社会保障を巡る動き、こ れは議題の1でございますが、事務局からご報告を受けまして社会保障制度全般につい て自由に討議を行っていただきたいと思います。  それから、今後、審議会として議論を深めていくためには個別分野事項につきまし て、相当いろいろ個別の問題、あるいは専門的な分野がございまして、個別分野事項に ついて部会を設けて議論することが予定されております。部会の設置につきましては審 議会令におきまして「審議会の定めるところ」となっておりますが、今回事務局から提 案がありますので、社会保障審議会の部会設置、これは議題の2になっておりますが、 続いて皆様にお諮りしたいということでございます。  それから、前回の総会以降、年金資金運用分科会、福祉文化分科会が活動していただ いております。年金資金運用分科会の方では年金積立金の運用を今後どうするかについ て意見の集約をいただきまして、私も話を伺いまして本審議会の答申をまとめていただ きました。その答申につきましては事務局から先に各委員のお手元にお届けしておりま すが、本日も参考資料として配付してございます。その他の件も含めまして、この際、 事務局から分科会が今どういうふうに議論しているかについても報告を求めたいと思い ます。  ただいまご説明しましたことは一応議題として分かれておりますが、相互に非常に関 係が深いこともありまして、一括して事務局の説明を伺い、その上で順次議論を進めて いただきたいと思います。ご協力いただければ幸いです。それでは事務局から資料の説 明をお願いいたします。議論の時間をできるだけ限り長くとるために説明はポイントを 絞ってお願いいたします。  河参事官  時間も限られておりますので、手短に、資料1−1と1−2に沿いまして社会保障の 改革等に関する最近の動きというものをご報告させていただきます。  資料1−1を見ていただきますと、貝塚会長をはじめ9人の社会保障審議会委員がご参 画された昨年1年間有識者会議というものが、総理大臣が主催をして貝塚会長が座長を 務められたということで、昨年1月から10月までの12回にわたってご議論がなされ まして、「21世紀に向けての社会保障」というものの取りまとめを行われました。こ れを踏まえまして、政府のレベルにおきましては関係閣僚会議というものが直ちに設置 されまして、第1回が11月に行われたところでございます。この有識者会議の報告書 を受けまして政府・与党が一帯となって取り組んでいくという方針の下に政府・与党社 会保障改革協議会というものが設置されました。1月25日に第1回が開催されまして 3月30日が第4回ということで、ここで「社会保障改革大綱」というものがまとめら れております。この大綱に基づきまして、政府・与党社会保障改革協議会のもとにワー キングチームが作られ、その第1回会合が4月18日に開かれたところでございます。  もう一つのご報告。総理も参画される経済財政諮問会議というものが設けられており まして、現在は竹中大臣が責任の大臣になっておられますが、この中でも社会保障に関 する議論等が行われているところでございます。社会保障制度に関することといたしま しては、第5回に厚生労働大臣が臨時委員として出席を求められまして、ご意見を申し 述べられました。そのときの提出資料は参考資料としてお配りさせていただいておりま す。経済財政諮問会議では四つの分野、社会保障制度、社会資本整備、国地方の役割分 担、経済の活性化などということを中心に議論を進め、6月末を目途に「骨太の方針」 というものをまとめられるというふうにお聞きしております。ちなみに今日、5月18 日は第8回の会合が行われ、経済の活性化などについてのご議論をなさると伺っており ます。非常に大きな流れということだけをとりあえずご報告させていただきました。  もう一つ、政府・与党社会保障改革協議会の3月30日の第4回に取りまとめられま した「社会保障改革大綱」というものが資料1−2でございます。この協議会は政府側 が内閣総理大臣をはじめ大臣閣僚として6人の方々、それから与党側として与党3党の 幹事長、政調会長、そして社会保障の分野の責任者の方々というような構成で行われた ところでございます。新しい小泉内閣が発足してこのメンバーもそれぞれ一部変わられ るところもあろうかと思いますけれど、この政府・与党社会保障改革協議会は今も継続 しているものでございます。  社会保障改革大綱を手短に申し上げますと、「二」に改革の理念というものが10項 目書いてございます。「三」に改革の基本的な考え方ということで5分野について記述 がされておりまして、この「改革の理念」と「改革の基本的考え方」を取りまとめると いうものがこの大綱の趣旨でございます。なお、最後に今後の進め方ということで、具 体的推進方策については本協議会の下にワーキングチームを設け協議をすることをご決 定されまして、4月18日にワーキングチームの第1回会合が開かれたところでござい ます。政府は副大臣がそれぞれご出席されることになっております。また、最後にその 際に早急に講ずべき施策と、ワーキングチーム等に課せられた課題としては早急に講ず べき施策と中長期的に改革していく課題を区分し、計画的に改革を行うことが肝要であ る。特に医療制度については、「昨今……」ということが記載されているところでござ います。  吉田政策企画官  私の方からは資料2−1の分科会についてと資料2−2の部会の設置についての案を ご説明させていただきます。まず資料2−1、分科会につきましては第1回の審議会にお きましてもご報告申し上げましたように、審議会令で六つの分科会を置き、それぞれこ の審議会に法律上付議された議論を行う旨、規定されているところでございます。  具体的に六つの分科会のうち、一つ目の年金資金運用分科会につきましては2月7日 に発足をし、若杉委員を分科会長として、私ども厚生労働大臣から諮問申し上げました 年金積立金の運用の基本方針案について、ご審議をいただいたところでございます。2 7日には諮問についての意見を集約していただき、貝塚会長のご了解の上で厚生労働大 臣に当審議会の答申を提出いただきました。なお、その答申を踏まえて厚生労働省が告 示を作って  六つの分科会のうち、二つ目、福祉文化分科会につきましては永井委員を分科会長と し、3月23日に発足していただいております。年金資金運用分科会と福祉文化分科会 の委員の方の名簿を資料に付けております。また、福祉文化分科会はいわゆる厚生労働 大臣としての推薦図書ですとか、推薦演劇とか、非常に児童福祉あるいは障害者福祉の 観点から望ましいものをご審議いただく場でございますので、それぞれの専門分野の 方々をこの分科会に下部組織として委員会を設けていただいているところでございま す。今後、それぞれ案件に従いまして議論が本格化していただくものと伺っておりま す。  資料2−1で残りました四つの分科会について現在の状況をご報告させていただきま す。厚生労働、特に社会保障関係の統計の総合的な企画を行うものとして設けられてお ります統計分科会につきまして現在6月頃を目途に発足する予定で、事務局としての考 え方の整理なり、今後人選などを進めております。また、大学病院などの特定機能病院 につきまして審議をいただく医療分科会につきましても6月頃の発足を目途に現在準備 を進めさせていただいております。  なお、あと二つ、介護給付費分科会あるいは医療保険の保険料率分科会につきまして は、それぞれ介護報酬、あるいは医療保険の標準報酬、最高限度額などにつきましてご 審議をいただくべく、政令上位置付けられておりますが、今後その審議事項の熟度に応 じて追ってまたその立ち上げ準備に努力してまいりたいと思っております。  部会につきましては先ほど会長からお話がございましたように、本審議会におけるご 議論を経て設置をさせていただくということで、資料2−2により、本日は三つの部会 についてご提案申し上げ、ご審議をお願いしたいと存じております。  一つ目は年金数理部会でございます。本年3月、公的年金制度の一元化の推進にかか る閣議決定が行われており、参考資料に全文を用意をさせていただいております。現 在、年金制度の一元化を進めるという大方針のもと、閣議決定をこの3月に行い、それ に先立ちましてその公的年金制度の一元化に関し有識者の方々からなる懇談会において ご議論を頂戴したところであります。そこでは、資料2−2に掲げておりますような事 項、例えば各被用者年金制度の安定性および公平性の確保に関し、財政再計算における 検証および毎年度の報告、あるいは被用者年金制度の一元化の具体的な措置が講じられ る際の具体的な費用負担の在り方等について、年金数理的な観点からの検討および検証 を行う場を本社会保障審議会の中に設け、専門家の方々にご審議をいただく旨、閣議決 定あるいは懇談会報告書において要請がなされているところでございます。  それを受けまして、本日この審議会において部会の設置をお許しいただければ、7月 を目途に人選を進め設置をし、この要請を受けた検討を行わせていただけないかという ことでございます。具体的には当面、各被用者年金制度における11年度からの財政状 況が明らかになってまいりますので、その報告あるいはそれを踏まえまして次期財政再 計算時における検証の在り方等について審議をさせていただけないか。あるいは現在関 係法律案の国会においての審議をお願いしているところでございますが、農林漁業団体 職員共済組合の厚生年金への移換金の検証につきましてご審議をいただくことを考えて おります。  提案の二つ目は福祉部会でございます。本福祉部会につきましては昨年6月に国会に おいて成立公布をさせていただいております社会福祉法、関係者の間では社会福祉の基 礎構造改革という形で通称されているものに伴う法律改正、その新法によりまして都道 府県地域福祉支援計画および市町村の地域福祉計画というものを平成15年4月から施 行する形で市町村、都道府県の方々にお願いをする。この関係につきましても参考資料 に関係条文を参照させていただいてありますので、後ほどご高覧いただければと存じま す。  また、本日の参考資料、別冊の冊子を用意させていただいておりますが、昨年12月 までかけて「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」と いう形で、福祉の有識者の方々に特に最近のホームレスの問題ですとか、あるいはその 他地域社会から阻害されている方々についての福祉問題という観点からご審議をいただ いたところでございまして、その有識者の方々のご提言がまとめられております。それ をより深めるという立場から、この福祉部会においてご審議いただければというのが今 回の提案でございます。具体的には6月を目途に発足をさせていただき、今申し上げま した新しい社会福祉法に基づく地域計画についてのご審議をいただけないかと思ってお ります。  提案の三つ目、障害者部会でございます。この部会につきましては同じく先ほどの福 祉部会の時に申し上げました社会福祉の基礎構造改革に合わせまして、障害者福祉の サービスにつきましても従来の利用制度の中で行政措置による措置制度から支援費制度 という仕組みに、その費用の支払方式あるいは利用の法的な枠組みが変わっておりま す。これにつきましても参考資料に関係資料を付けさせていただいております。それに 基づきまして、15年4月の施行でございますから、関係者の間の方々の専門的なご議 論を踏まえて施行に誤りなきよう期したい。その議論をしていただく場として障害者部 会を設置いただきたいというのが今回の提案でございます。なお、この障害者部会は設 置をいただければ、併せて精神保健および精神障害者福祉に関する法律に基づきまし て、本人の意思によらない処遇あるいは行動の制限の基準を作ることになっておりまし て、その必要が生じた際にはこの障害者部会においてご審議をいただけないかというこ とも今回の提案の中で考えているところでございます。  以上、本日3点の部会についてご提案を申し上げております。よろしくご審議のほど をお願い申し上げます。  貝塚会長  それでは、議論の進め方といたしましては、最近の社会保障をめぐる動きにつきまし て、ご質問あるいはご意見、忌憚のないところをお聞かせいただければと思います。ど なたからでもご自由に。  渡辺委員  今、政府・与党の社会保障改革大綱というご説明があったのですが、私自身の素朴な 疑問としまして、政府与党の社会保障改革協議会は1月25日に設けられて3月末に大 綱ができたと。政府与党としてはワーキングチームを作っておやりになると。特に医療 問題は言うまでもなく来年度改革だから割と早期に政府与党の方も結論を出すと思いま すが、私の感覚というのはこの政府与党がやっていると何か社会保障新議会の審議は非 常に縛られているような気がしてしょうがないですね。つまり、こっちが動かないとな かなかこっちの意見が言えないような雰囲気を私は感じるわけです。  現実問題として政府与党がどんな協議をおやりになるのか、もちろん自由なんだけれ ども、本来の筋論から言うとこの社会保障審議会が社会保障全般を審議すべき審議会だ と私は認識しておりますが。特に医療問題、医療改革は早急に結論を出さなければいけ ないテーマだと思いますし、年金についても2004年の見直し、さらに前倒しだって あり得るわけで、そうした中でこの審議会の在り方というのかな。さっきの部会にも関 連しますが、いくつかの部会をお作りになっているのはいいけれども、現実に医療とか 年金数理を除いた年金の制度論とか、あるいは介護保険の見直しも当然あるし、そうし たものについて、本来は大臣がいらっしゃられば大臣に伺いたいんだけれども、どのよ うに考えればいいのかというのが私自身の頭の整理がつかないので、これは会長よりも 厚生労働省の方にお聞きするのが筋かもしれませんけれど、そういった疑問がありま す。  貝塚会長  ただいまの点は要するに話はある意味で大きな問題ですが、行政と政治との関係で、 従来とは少しずつ日本の最近は少し変わってきているわけですが、その中で社会保障に 関してはどういうふうに考えるのかということで、この審議会の役割と、それから実際 に物事をやっていく時の話と両方あるわけですが、その辺のところは事務局の方でもし 何かありましたら。  河参事官  今まさにお話がございましたけれど、この社会保障審議会で大所高所からのご議論と いうことを理にかなってやっていただくということかと思います。今日の議題の二つ目 にございますけれど、部会を設けて審議をするということをこれからどうやっていくの か。特に今ご指摘のありました医療あるいは年金、介護、それぞれ社会保障の重要な課 題であるので、それぞれについて今、例えばここの場なり、あるいは部会の場なりで議 論をしていく必要があるのではないかというご指摘でございますが、基本的には審議事 項の熟度あるいは準備状況等々、私ども厚生労働省として、これらについてこういうふ うに考える、あるいはこう思うんだけれどいかがであろうか、という幅広くご意見を伺 う時が来たときには当然そのようなことをさせていただくのが筋だろうと思っておりま す。  その意味では、多少迂遠な申し上げ方で恐縮ではございますけれども、それぞれの事 項について、またそのような事項の熟度あるいは準備状況に至っていないというのが率 直なところでございますが、今のご指摘も非常に重要なご指摘でございますので、私ど もとしてもこれから準備等を進めていきたいと考えております。  貝塚会長  渡辺委員、追加的には。  渡辺委員  やむを得ないでしょう。  貝塚会長  社会保障審議会というのは相当いろいろな細かな問題も含まっておりますし、それか らかなり大括りになるような話で、今の渡辺委員がご指摘になりましたように医療の話 というのは何といっても一番ある意味で差し迫った問題であります。それは制度的にタ イムリミットが非常にはっきりしている。新聞にも出ておりますが、いろいろ医療改革 に関してはシンポジウムというかな、あるいはかなりフランクに意見を述べていただく 会合が今朝の新聞にもたしか出ていたと思いますが、ですからいろいろなご提案もあち こちから出ておりますが、それがある程度煮詰まって、どういう提案があるかがはっき りした段階で、議論を始めるということではないかと思います。  高木委員  会長、医療分科会で何をやるのか説明して下さい。  医政局総務課長  医政局の総務課長でございます。医療分科会というのは医療制度一般論をやる場所で はございません。大学病院などを中心とする特定機能病院の承認とか、取り消しとか、 そうした問題につきまして審議をする場でございまして、医療制度全体の在り方につい ては別の場で論じることになると思います。  中村委員  今、やはり渡辺委員がお話されたように、これだけのメンバーがお集まりなのに、各 部会へ下請けで発注するような会だけのような感じがするんです。やはり基本になる制 度を、この社会保障審議会で議論していただきませんと、まだ2回の会合でございます からはっきり分かりませんけれど、もう少し基本的な部分はこの審議会で議論をしてい くべきでないかなと。特に保険方式だとか、公費中心とか色々議論がでていますが、ど こかで社会保障審議会で議論していただかないと、厚生省の方が出て歩かれて、公費5 割の高齢者医療制度テーマのシンポジウムに出、自説を述べられる。我々の立場から言 えば介護も保険方式になり介護サービスの質が上がっていく流れが定着しだした。それ が公費を多くというような制度が、それは大変な逆行ですし、とにもかくにも国民的意 見の集約が必要。各界各層から出ておられるこの社会保障審議会でもんで欲しいなと思 います。根本、制度というのは社会保障審議会で議論されないままに、いろいろな形で 百家争鳴的になっていっている、この審議会こそ意見集約が必要ではないかと思ってい ますが。  若杉委員  私も今の渡辺委員の問題提起というか、疑問とですね、あと中村委員の発言の内容と 基本的に同じような認識を持っているわけですが、そういうことで前回も発言させてい ただきましたが、いま社会保障に関して政府の方から大綱が出ているわけですが、やは り政府が考えているのはいろいろな政治的な状況や何かを考えながら、そういう改革案 をまとめているわけでして、この社会保障審議会はもっと大きな立場から客観的な社会 全体の福祉という観点から議論をしなければいけないわけですね。したがって渡辺委員 が政府の案にこちらが影響を受けるのは心配だとおっしゃいましたが、むしろ逆であっ て、この社会保障審議会の議論が政府に影響を与えるような、そういう形の活動をして いかなければいけないと思いますので、そういう意味で言いますと参事官が言われた何 かが出てきた時にやっていくのでは遅いのであって、やはり中村委員のおっしゃったよ うにこちらからもっと積極的に、ちゃんと大きな問題を立ててやっていくべきではない かと考えております。  貝塚会長  ただいまお二人の委員から、あるいは渡辺委員も含めてご意見があったわけですが、 先ほどの社会保障改革の最近の動きということで有識者会議というのを去年やりまして その考え方は基本的には社会保障改革大綱の中に相当程度織り込まれているというふう に私は理解しています。しかし、個別の医療保険の具体的な問題とか、そこで議論され てなかったことで非常に重要な点はまだたくさん残っておりまして、それがある意味で はこれからの社会保障でやるべきことであります。  この審議会はどういう役割を果たすべきかということは結構それほど簡単ではないと いうか、全体としての基本的な方向については、今後いろいろどうすべきかについてこ の場で十分議論していただきたいということはそのとおりであります。あとの細かい点 はいろいろ専門的なこともございまして各部会、あるいは分科会というのは先ほど説明 もありましたが、分科会というのはかなり限られた問題について議論していただくとい う、そういういくつかの分科会あるいは部会その他が同時並行的にある段階で動き出す という、そこでの議論を踏まえて、どういう形になりますか。要するにここに出ておら れる委員の方は必ずどこかの分科会あるいは部会には所属されるはずであります。そこ で、そことのフィードバックは全体の審議会としては当然あることと思いますが、一応 そういう形でここで集まっていただいた場合にはたぶんいろいろなことが予想されるわ けですが、いろいろ利害が対立して話がある意味で硬直状態に入ったようなケースも当 然あり得るわけですし、そういうところでどういうふうに考えていくべきかなどもここ で議論していただくというのが重要な役割ではないかと思います。  みなさん、ここの場でどういうことを議論するのがこの審議会として、生産的である という辺りはどういうふうにお考えでしょうか。  糸氏委員  現在、社会保障についてはご存じのように政府与党の社会保障改革協議会、もう一つ は経済財政諮問会議、さらにもう一つここには載っておりませんけれど今度はオリック スの宮内さんとか、セコムの飯田さんがお入りになっておやりになる規制改革の方です ね。この会議、この三つがこれからの社会保障について大きな舵取りをすると私は認識 しています。それから、今度のこの審議会がさらにそこへ加わる。ざっと見ると非常に 船頭が多くて、どうしたらいいんだろうというような感じがしますが、やはり役割分担 はきっちりはっきりしておかないと困るのではないか。  前の医療保険福祉審議会でも結局中医協がやるべきことを重複してやったということ で、随分混乱して、結局は結論があまり出なかったということになりますので、少なく ともこの社会保障審議会において、とりあえずは14年度の医療改革をどうするかとい うことが迫ってきているわけですね。そうすると、部会設置の話が出ておりますが、こ の部会の中でそれに対応できるようなその対策をたてるようなことが、社会保障審議会 としての医療改革に対する部会はいったい設置されているのか、あるいは設置されるの か、どうするのか。現在ある医療部会というのは特定機能病院の話に限定されています から、あまり医療改革とは関係ないようなことになっているんですね。そこらのところ はもし効率的に、いま会長がおっしゃるようにやるんだったら、時間が間に合わないで すよね。だから、そこらのところは今後どうするのか。この審議会でもう少しきっちり やって、どのレベルのところまで社会保障審議会は結論を出していくのか。私は百家争 鳴であっても結構だと思うし、いろいろなところにいろいろな意見を出し、社会保障審 議会はこういう意見でなくては困るとか、こういうことを話したらいかんというような 限定はできないだろうと思いますが、しかし、ある程度審議会としての主体性を打ち出 して、やらないといけないのではないかと思っていますし、とりあえずは14年度の医 療改革に対して社会保障審議会としては具体的にどう対応するのか、それをいっぺんは っきり決めていくことがとりあえず手をつける第一歩ではないかと思っています。  貝塚会長  ただいまの糸氏委員のご質問と関係しますが、厚生労働省としてはどういうふうな将 来の議論の仕方をお考えでしょうか。  保険局総務課長  保険局の総務課長でございます。今ご議論いただきました医療制度改革のこれからの 取り扱いについて事務局として、いま何をしているかということと、当審議会に対する 期待のような点について若干申し上げたいと思います。14年度における医療保険を含 む医療制度改革については私どもとして待ったなしの状況であるという認識を常々申し 上げてまいりました。来年の通常国会には所要の法案の提出をしたいと考えておりま す。  先程来ご議論にのぼっております政府与党の改革協議会等々、様々な場所もございま すが、そうしたご議論なども踏まえながら私どもは現時点では3月5日に「制度改革の 課題と視点」というパンフレットをまとめさせていただいて、国民各層のご意見を承っ ているところですが、そうしたものや関係各団体様々なご提案が今日までいただいてお りますので、そうした点も含めて全国4か所をいま予定しております。昨日、神戸で実 施させていただきましたが、医療改革フォーラムという形で6月いっぱい各所でご議論 をさせていただき、そうした中でさらに素材を集めてまいりたいと考えております。  こうした広く国民のご意見を伺うという形の努力も強く求められているという認識を 持っておりますが、もとより関係者のご理解ご協力が不可欠でございます。医療福祉審 議会における議論の経緯からいたしまして、具体的な制度改革案のたたき台というよう なものにつきましては私ども事務当局の方で、ある意味で玉を握っているような、責任 を持っているような状態も一面ございます。私どもとしてはいま準備を急いでおりまし て、秋頃には高齢者医療制度を始めとする改革の具体的な内容について、突っ込んだご 検討をいただけるようなたたき台を提示できないだろうか、ということを念頭に置いて 作業を進めております。  それに合わせまして当社会保障審議会の場においてもご意見を承ってまいりたいわけ でございますが、その際、本審議会におけるご議論も踏まえまして部会を設置するなど による適切なご対応ということをご判断いただきたいと、このように考えている次第で ございます。  高木委員  今のご説明を聞いていると、秋になってからということなんですが、本席にもご出席 の奥田日経連会長も議論に参画されておられる経済財政諮問会議のことだとか、自民党 の論議あるいは参議院選挙があることだとか、先ほど糸氏さんが百家争鳴と言われたけ れど、まさに医療保険福祉審議会の経過もあります。医福審の論議に関わってきた一人 としては、じゃ9月頃、え、そんなに遅くていいの、という感じで受け止めるざるを得 ないと思います。厚生省にいまボールがあると言われたけれど、そしてどんなボールを 投げてくださるかにもよるだろうけれど、我々の感覚からいったら来年の年明けには法 案を出すとしたら、その前に、1回予算との関わり合いがあります。これは概算要求の 段階からいろいろあるだろうと思うけれど、最後は暮れになる。そんなことを考えてお ったら、9月頃から始めていいのかというふうに、大方の人は思うのではないかと思 う。先ほど渡辺課長がおっしゃったのも言外にそういうことを含意されておっしゃって いるのではないかと感じたわけです。  だから気を遣うなら気を遣うで、どういう気の遣い使い方をされて、だからどうだと いうことをはっきり言ってくれないと、私らも帰って説明できない。早く論議を始める と、こういうところがしんどい、だから、こういうことで遅くなるんですという説明が ない。それが明快に説明できないのなら早くやるべきだと私は思いますし、公聴会で説 明しているから終わるまで待っておけなんていう、そんな説明の仕方があるものかとい う話ではないかと私は思います。そういう意味では今日、3部会の設置のご提案が出て いますが、医療なり、年金も数理だけではなくて年金の制度論をきちんと議論する場な り、それから介護はまだ動き出して期間が短いということかもしれないが、介護のこと も詰めて論議する場なり、いろいろなものを動かさなくてはならないと思います。新し い省庁再編ができて半年近くが経とうとしているのに、何も動かさないのは問題ではな いでしょうか。医療保険問題あるいは医療問題では厚生省のみなさんはひどい目にあっ たから、それに懲りて膾を吹くのは結構だけれど、もっと国民のことを思っていろいろ やって下さらないと、いかがなものかなと思います。  医療保険改革あるいは医療改革は本当は2年前にやっておかなければいけないのが、 こういうふうになってしまった。それはいろいろな事情があるし、過ぎたことを言って もしようがないけれど、そういう状況にある医療保険改革が目の前にあるという認識を もう少しちゃんとしていただかないといけないのではないかなと思います。意見ですの で、コメントは結構ですけれど。  清家委員  基本的に審議会の在り方について一言コメントしておきたいと思うのですが、ちょっ と話は戻りますが、私も渡辺委員や若杉委員のご意見を是非サポートしたいと思いま す。もちろん社会保障の問題というのは最終的には所得の再分配の問題ですから、これ は国民の選択というか、政治決定になることは間違いないと思います。ここで決められ る問題ではない。それはもちろん政治決定というのは最終的に政治的に実現可能なメニ ューの中からしか選択できないというのは当然なのですが、逆にここでの議論が政治的 にはこの辺が選択可能だから、この辺について議論して下さいというような形で投げか けられるのは恐らく少し違うのではないかと思います。ですから、ここでは政治的な実 現可能性はまったく無視する必要はないですし、荒唐無稽な空論だけを議論することだ けがいいとは言いませんけれど、論理的に考えてロジカルにあるいは実証研究を踏まえ た結果から、このような制度が例えば最適であるのではないかという議論をやはり提示 して、それが政治的に実現可能かどうかというのはまた政治の場で議論していただくと いうのが基本的な筋ではないかと思います。  今回のこの大綱の中にも会長が言われましたように有識者会議の議論なんかが相当踏 まえられていて、例えば5ページ辺りのところには公的年金制度について現在行われて いる社会保険料の引き上げの凍結を早期に解除することができるように取り組むみたい なことが書かれていて、恐らく特に政治決定の一つの問題というのは政治家の人という のは今の有権者の意見が非常に大切ですから、なかなか将来世代の所までは十分に考え てくれないという部分があって、こういうような点が有識者会議の中で定義されて今回 この政治の場でもこういうところにきちんと書き込まれたということは、そういう意味 でやはり意味があったと思います。ですから、やはりこの場はいま政府がこういう方針 でやろうとしているので、その中でどういう仕組みが一番いいか考えてくださいという 形ではなく、もう少しオープンに最初からどういうシステムがあるべきかとか、あるい は社会保障の個別具体的な例えば年金数理の問題であっても何でもいいわけですが、あ るべき姿を専門家の立場できちんと議論すべきではないかと思います。そういう意味で は渡辺委員、若杉委員が言われた方向で是非この審議会も進めていただきたいと思いま す。  樋口委員  もう皆様おっしゃったことで、渡辺、若杉、そして清家委員のラインで私も賛成なん でございますけれど、前回欠席をいたしまして書類が次々送られてきて、そして今日は 私は初回なので黙っていようと思ったんですけれど、部会が次々と立ち上がっていく。 それから分科会ができて、これは定められていることですからよろしいんですけれど、 今日また部会を立ち上げていく。それはよろしいですが、結局ここの審議会が何をする かということは私も分かりかねておりまして、今日承りたいと思っておりました。  私の感じ方が悪いのかもしれませんけれど、今までの書類その他で見た限りにおいて は、政府としてはこれまでの医療保険福祉審議会など含めての利害関係者が出ている審 議会におけることはなかなか決まりかねて、それこそプロダクティブではない非生産的 であると。このような審議会行政に懲りてしまって、今度の審議会にはあまり何もする なと言っているように見えましてね。それで部会が立ち上がって、いろいろとお知らせ が来るのはいいんですけれど、委員の出席は必要としておりませんなんて書かれてしま うと、出るなと言われたようで、これは閉口してしまいまして、いま貝塚会長が言われ ましたけれど、やはり私はこの審議会にいる人はどこかの部会がどこかの分科会に属し て、少なくともここで集まった時にはその状況を知っている状況で、そうでなかった ら、この分科会でこう出てきておりますけれど、この審議会でいかがでございますかと かって、イエスもノーも、その審議会のメンバーの人からこんな雰囲気ですよって説明 してもらわないと、いわゆる事務方のご説明だけで、はい、そうですかとは言えないよ うな気がいたします。  もう一つ大事なことは、私も医療保険福祉審議会の一番もめた部会ではないけれど、 介護保険の部会におりましたから、いろいろ利害関係が対立するということはよく分か っておりますけれど、いま考えてみるとそれが情報公開の上で、特にこの2年間という のはこういう一般のメディア、その他に公表した上で、その上でチャンチャンバラバラ やれたということはとてもよかったと思います。  部会、分科会になりますと、これは事務方へのご質問なんですけれど、部会、分科会 は本審議会のように公表でしょうか。公開してらっしゃいますか。私はこの審議会がイ エス、ノー、そうですか、何か作りますかというような時に、ここは公開ですけれど他 の部会、分科会がもし情報公開、せいぜい議事録公表くらいだとすると、何か総会のと ころだけは大したことやらないで情報公開だけれど、重要な事細かなことを決めていく ところはせいぜい議事録公開くらいでいくのだとしたら、情報公開の趣旨に反するので はないかと思っておりますが、いかがなものでございましょうか。  吉田政策企画官  事務局の方からご説明させていただきます。まさに分科会、部会の公開、非公開につ きましてはそれぞれの性格に応じて、既に先行しております年金資金運用分科会におき ましても、福祉分科会についても、それぞれの分科会、今後、今日ご提案させていただ いたものがご承認いただければ部会において扱いをまずお決めいただくのが基本でござ います。ただ、基本方針としては公開でできるだけお願いしたい。例えば年金につきま しても個別の会社のポートフォリオにからむような話ですとか、あるいは福祉文化の分 科会につきましても審査の評点とか、そういう問題につきましては若干公表になじまな い部分もあろうかというのもございますので、率直に分科会および部会の皆様方にご審 議をいただくのが基本でございます。  また、先ほど樋口委員からございました案内の文言につきましは、私どもは誤解のな いようにという趣旨でございましたが、もし至らぬところがありましたら、反省し次回 から直させていただきます。  樋口委員  それに関連して、委員の出席の必要はございませんでしたけれど、例えば出席したい という時に社会保障審議会のメンバーは傍聴可能なのでしょうか。  貝塚会長  それは当然傍聴可能だろうと。  河参事官  第1回の時にご議論いただいたことと若干繰り返しになりますけれど、ご報告させて いただきたいと思います。  今回の中央省庁再編に伴い、政府の統一方針として政策審議、基準作成機能を持つも のは原則として廃止する、法令による必要的付議事項は何々審議会で決めなければいけ ないというもの、あるいは基本的な政策を審議するものについて数を限定して存置する という決定がなされております。それによりまして、社会保障関係の審議会につきまし ては特に主要な審議会については八つの審議会を統合再編する形で社会保障審議会が設 けられたわけでございます。  先ほどの分科会はそもそもこの社会保障審議会が設置された時に併せて、先ほどの必 要的付議事項に近いわけでありますけれど、分科会としてはこれこれを設けるというこ とで、政令に規定されているところでありまして、それ以外に社会保障審議会としてご 議論をされる際に必要な場合に部会を設けることができるという形になっているわけで ございます。  また情報公開の関係につきましては第1回審議会に運営規則をお諮りしお決めいただ いたところでは、第5条で審議会の会議は公開する。ただし、会長は公開することによ り公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると認める時、その他正当な理由 があると認める時は会議を非公開とすることができるということですので、審議会の会 議は原則公開ということでございます。  なお、部会のお話がございましたけれど、運営規則上は会長は何々というところを部 会の場合には、部会長と読み替えるということでございますので、審議会の会議は公開 とする、ただし、その部会において部会長が公開することにより公平かつ中立な審議に ……の場合は会議を非公開とすることができるということですので、一部例外的な話、 あるいは個別企業の問題に関わることを別にすれば、基本的には皆さん方がお決めいた だいたルールは原則公開となっております。  貝塚会長  ただいまのご質問との関係で、私のやや私見ですが、この審議会の役割というのは、 実は社会保障の問題というのは今まで個別に年金なら年金、医療は医療、介護なら介護 と。それぞれの昔は審議会があり、それぞれがやっていたわけですが、社会保障のシス テムというのは考えてみれば全体として相互の連関が非常に重要で、その問題はどこで やるのかと言ったらやるところが普通の意味では今までのやや細分化されていたところ ではできないので、ここの仕事はそういう点はかなり重要では、実を言うと非常に関係 が深いわけで、そういう点の相互関係は非常に重要なポイントではないか。それから、 先ほど医療の話を言っておられましたが、どういう議論をするかということによって種 類が違って、要するに相当なというか、ある程度具体的な提案があった段階でやるかと いう話と、例えば今、医療費がどういう状態にあって、それは何故そのようになってい るのかという辺りもかなり重要な判断材料で、そういう話は考えてみればもっと早くか らもやれる話でもありますし、中でやる議論の性質によっても随分違うんですが、厚生 労働省がお考えの点はどちらかと言えば相当具体的な提案がある程度あって、そして話 が少し煮詰まった段階でという話のようです。  ですから、物事はいろいろ考えようがありますが、中でやる議論の性格によって相 当、やや早めにやることもできるし、そうでないケースもあって、それはその時の判断 に任されていると思います。  高木委員  今、医療のことを会長はそんなふうにおっしゃいましたが、大きな課題だけでも五 つ、六つは抱えていると思います。医療について、その沢山の課題をどこかでおおむね 詰めきってきて、一種の手続き的に批准しなさいみたいな議論のさせ方ですむんです か。そうではない、かなりの意見の対立があるものを処理していくには、最後には政治 が判断することだという面もあるかもしれませんが、私が今まで10年ほど医療保険問 題等に関わらせていただいた経験からすれば、そんなに議論がスイスイ進むという風に はとても思えない。だから、またこんな進め方をしていたら来年1月に本当の小手先の 小手先だけ、とりあえずやりましたということになりかねない。そういう危惧を非常に 強く持つものですから、今からでも時間が足りないのではないかと思っているんですけ れど、今のお話ですと秋になってからというお話なので、どうされるのかなと思って非 常に憂慮しております。  高久委員  私も会長さんが言われたように、従来はいろいろな審議会があって、関連した問題を 別々に論議して、全体としてどうなっているのか分からなかったのが、この社会保障審 議会で基本的に医療とか福祉とか年金の問題は一括して、まとめのような形で議論する 場ができたということは重要なことだと思います。委員の方は全部どこかの分科会に入 られるようですから、そこでの議論がまたここで紹介をされて、他の方の意見を聞くと いうシステム、今回のように審議会が大きくなることは、私は非常にいいことだと思っ ています。  ただ、医療の問題については制度改革が差し迫っているということを考えますと、も う少し早く部会を作って、この場で何回か議論をしないと間に合わないということにつ いては高木委員と同じ意見です。  京極委員  既に会長がお話になったことをサポートする意見ですけれども、今回、社会保障審議 会として各種の審議会を統合化したメリットを生かすということ。デメリットの発言が 多かったんですけれど、メリットとしては社会保障全体の方向について議論する場が従 来はなかなかなかったし、よく言われているように社会保障は各論あって総論なしとい うことでございますので、そういう点では今回の審議会で大いに議論をしていく必要が あるのではないか。特に最近では政治家との関係で言いますと、政治主導というのは大 変聞こえはいいですけれど、実際は当面の選挙の中で社会保障が政争の具とされるとい うきらいもあるわけでございますので、やはり大所高所から方向についてはこういうと ころで議論することが重要だと思います。  ただ、建物じゃないけれど基本構想、基本設計、実施設計という段階がありまして、 やはり基本設計とか実施設計はかなり専門的な形で議論しないと、基本構想はこういう ところで議論してもよろしいですが、やはり部会や分科会で議論するとよい。あるいは 行政のまさに持ち場があるわけで、あまり政治家とか学識経験者が細かいところまで知 らないことについてまで突っ込むのもいかがなものかということで、今回の社会保障審 議会の全体部会と、それから各種の分科会、部会についての役割分担というのは今申し 上げたような視点で少し整理をしてみる必要があるのではないかと思います。  糸氏委員  くどいようでございますけれども、今日は分科会の審議をやっていると思っているの ですが、先ほど高木委員の発言のように医療改革は急がれている。その中で、医療分科 会というのはあることはあるんですね。しかし、この医療分科会が何をやるかというこ とを全然こっちはわからないですね。かつての医療保険福祉審議会のような制度のこと も話をするのか。これは特定医療機関だけに限定をして話をするというようなことです ので、もう少しここのところは医療分科会と言いながら何をいったいやるのかというこ とをはっきり示して欲しい。それによってこちらも考え方が変わると思うのですが。  私が言いたいことは恐らく9月くらいからやったのでは、とても来年は間に合わない という深刻なことになりかねない。そうすると、またいろいろ国民に対して申し訳ない ことが起こってくる可能性がありますので、それは社会保障審議会としてはそれには関 わらないというのであればそれでいいんですけれど、少なくとも社会保障についての審 議会というのは医療とか、保険、福祉抜いて審議というわけにはいかないだろうと思い ますし、そうであるならそれでは当審議会はどういう対応をするんだということを私は この場ではっきりさせていただかないといけないのではないかというふうに思うのです が、いかがでしょうか。  中村委員  今、糸氏委員さんがおっしゃったように、例えば今回この福祉部会を立ち上げると。 そして、いま中身を見させていただいたら大きな部分は全然触れてございません。たし かにそれは重要な一部分であることは間違いないわけですけれども、社会保障大綱で示 された福祉の再構築だとか、そういう部分が全然触れていません。いったいこれは何処 でするんだ、これは何時するんだという疑問が出てくるわけでございます。ですから、 全体像を示し、この部分はこのようなプログラムで、タイムスケジュールはこうなって いるんだと示していただけないと、有識者会議で議論され結論が出ていない項目につい てはこうなんだというのが示されないものですから、いったいこれはどうなっているの かなと。  一般的に福祉部会と言えば福祉の再構築を議論されるのかなと思って楽しみにするわ けですけれども、今回立ち上がった福祉部会で議論されるのは市町村地域福祉計画、援 護に関する部分と、重要ではありますけれども、1パートとしか思えない。喫緊の課題 である重要事項はいつ審議するかを是非お示し願いたい。  堀委員  今までのご議論を聞いておりますと、あるいは厚生労働省の述べたことを考えます と、まだ政府側としても審議会をどう運営していくか、あるいは我々もどう参画してい くかが見えていないのではないかと思います。というのは従来のように審議会で政策立 案を行うという形はその責任の問題がありますので、省庁再編により基本的には政府が 政策決定をすることになったと聞いております。その過程で公聴会を開くとか、あるい は専門家の意見を聞くことにした。そういうことで省庁再編により審議会の数を絞っ た。そういうふうに聞いております。ただ、政府が具体的な政策立案をするにあたって は、やはりいろいろな方の意見を聞く必要もある。そういうところの場として、この社 会保障審議会がいいのか、あるいは他の場を作るのか。その辺のスタンスが、まだはっ きりしていないのではないか。そういう感じを受けます。  ですから、糸氏委員や高木委員からあったように具体的な政策形成もこの審議会でや っていくんだというスタンスと、それから貝塚先生の、対比させるのはいけないかもわ かりませんけれども、もう少し各制度を貫いて社会保障制度の根本的な在り方とか、あ るいはいろいろな政策分野の調整とか、そういったことを審議していくというスタンス があるのではないか。間違っていたら訂正していただきたい。  渡辺委員  今の堀委員の発言に、誤解があるかもしれませんが、私が少し引っかかったのは、本 来審議会というのは、昔は審議会政治はよくないと言われてその通りだと思って、我々 マスコミもそういうことを書いたので、その通りだと思います。審議会が行政を左右す るようなことは確かによくないけれども、私が申し上げたいのはこの政府与党の改革協 議会が私自身はおかしいと思っているのです、あえて言えばね。つまり政治主導と言う ようだけれども、政治主導というのは処世論かもしれませんけれども、内閣総理大臣以 下各省大臣が責任を持つのが政治主導の行政であって、与党がいちいち行政に口を出 す。与党は立法府として、党として立法府として国会でやればいいのであって、そうし た意味から言いますと、行政に政治が責任を持つとか、大臣が責任を持つと。その大臣 は諮問機関である審議会の意見を聞くと、これが私は本来の姿だと思います。  そうした意味から言いますと、いろいろな場があるけれど、厚生労働大臣が責任を持 って政治主導で厚生労働行政をやるとするならば、聞くならばこの審議会しかないはず なんです、理屈から言えば。他のいろいろ聞く必要はないんです。与党の意見も聞く必 要はないんです。族議員の意見も聞く必要はないわけです、筋から言えば。そうした意 味から言えば、この審議会の存在は非常に大きいから、どうするんですかということを 私は冒頭申し上げたつもりなんで、そうした趣旨でございます。  河参事官  社会保障審議会というのは前回ご説明いたしましたとおり、あるいは資料として配付 させていただきましたとおり、厚生労働省設置法の7条に四つのことを所掌事務として 規定されておりまして、厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に関する重要事項を調査 審議する。2番目には厚生労働大臣または関係各大臣の諮問に応じて人口問題に関する 重要事項を調査審議する。3番目に前2項に規定する重要事項に関し、厚生労働大臣ま たは関係行政機関に意見を述べる。4番目に各法の規定により、その権限に属された事 項を処理すると。先ほど申し上げました、特に分科会のところで申し上げましたのが、 特にこの各項の規定によりその権限に属された事項を処理するという部分がかなり多い ものがありましたということをご説明申し上げました。  それから、その意味では先ほど申し上げました社会保障審議会令では分科会というの が常設でございまして、今の関係法令からこういうことはきちんと審議会で処理してく ださい、判断してください、認定をこれでよろしいでしょうかということを審査してく ださいというものについては社会保障審議会令で常設的に設けるということですので、 医療分科会、福祉文化分科会というのが政令で定められておりまして、例えば、医療法 の中にこれこれは審議会で判断するということについては医療分科会を置き、所掌事務 はこれこれをするというのが政令で書いてあるということでございます。  先程来ご議論があります、あるいは今日もご提案を事務局として申し上げさせていた だいております部会というものは、これは必要に応じて設置をするということでござい まして、必要に応じて設置をするということはある面ではその必要が終わった時には、 その部会は原則ですけれども、なくなるということで、アドホックな部会という位置付 けにこの審議会令上はなっていまして、もちろん必要性がずっとつながっていけば継続 するということは当然あるわけですけれども、これこれの事項を審議して下さいという ことで、部会というのは審議会のご判断で設けられるというルールになっております。 分科会というのはそういう意味では必要的、法律的な必要的付議事項を議論するために もあらかじめ設けられているもの。部会というのは必要に応じてお作りになられ、その 部会については基本的にはその必要が終わった時にはそれがなくなる。また、必要があ ったものについて必要な事項をご議論いただくために部会を皆様方のご判断で設けられ る。これが先ほどの社会保障審議会令に規定されていることでございます。  貝塚会長  基本的に役所の権限というのは役所がやっているいつもやっている仕事ですが、それ と非常に関係があるというか、あるいはその仕事については分科会に相談して決めると いう感じですね。ですから、分科会というのは行政の機能のある部分について非常には っきりした対応関係にあって、したがって分科会はある意味で常設と。ですから、あと 部会は結局その時々の政策あるいはいろいろな事項について重要と思われることにどう しても必要だという感じで設置される。ですから、やる仕事はある意味では片一方、分 科会の方が特定化されていると言えば特定化されているわけですね。部会の方はただし 特定はされていないし、常設はされていないのですが、やるべ審議の内容というのは相 当程度全体の政策の在り方その他について厚生労働大臣が必要と考えられることに関し て議論するという、ですから分科会と部会というのは役割がかなり違っていると思いま す。ですから相当複雑な構成になっていることは確かなのです。  糸氏委員  そうしたら、今、14年度改革というのは大きな社会保障分野での大きなテーマです よね。そうであるならば、この審議会としてそれに関するような部会を作るのか作らな いのか。そういう必要性があるかどうか。これを是非ご審議いただいて、なければない でいいですが、やはりこれは大事なことだから、そういう部会を作って大急ぎで14年 度改革に間に合わすようにやるべきかどうかということのご意見をお伺いいただけたら というご提案を申し上げます。  貝塚会長  ただいまの点はいかがですか。医療の分野で。  高木委員  私は糸氏さんが言われたことについて、早急に立ち上げるべきではないかなと思いま す。中医協との関係などいろいろありますけれど、ともかく制度の骨格論はどこかでき ちんとしておかなければいけないのではないかなと思います。  貝塚会長  他の委員の方はいかがでしょうか。  糸氏委員  私も賛成です。  高久委員  先ほど申し上げましたように医療制度改革に関する部会は早く立ち上げておかないと 後で困るのではないかと思いますけれども。  奥田委員  私は経済財政諮問会議の議員の1人なんです。先ほど言われました医療の件ですけれど も、これについてはやはり立ち上げをできるだけ早くやってもらわないと、もう6月の 20日にいわゆる骨太の方針を出したいと思っておりますので、できたらそれに間に合 うくらいのものが出てこないと、経済財政諮問会議の方が独走すると言いますか、そう いう感じになる可能性がありまして、その調整は是非お願いしたい。  貝塚会長  私の個人的な意見は経済財政諮問会議というのは割合と広い視野から、割合と基本的 な、骨太というのは細かい点はともかくとして原則はかなり議論されて、そこで議論さ れましたことはある意味では社会保障審議会においては非常に参考になるご意見である ことは間違いないと思います。ですから、むしろある意味で先行していただいても差し 支えないし、かなり重要なご意見として承ることになると思います。  奥田委員  しかし、あれは設立の趣旨から言って来年度の予算の大綱を決めるということになっ ておりますので、それと外れた形になってくるとまた変な問題が出てきますので、骨太 と言いますか、大綱の細かいところはいいですけれど、原則論と言いますか、そういう ところでは一致をさせておいた方がいいのではないかと。  高木委員  奥田さんはそうおっしゃいますが、逆に言えば厚生労働省は経済財政諮問会議の前に 出たらいかんのだと思っておられるようです。前に出てどんどんやれと言ったって、今 のタイミングでは前に出ようがないということで時間を空費してきたわけですね。その 辺のところの噛み合わせとか、認識がえらいぶれているなという印象が私にはありま す。  奥田委員  前に出るというのは別に私は作業するなという意味ではなくて、作業は別にされてお ってもいいのであって、それを発表するとか、外に向かって発信するとか、そういうと ころはまだ大綱というか、大きなところ、方針だけ出されれば、それはいいのではない かと思います。何もなしということは、結局、経済財政諮問会議が独走してしまうと言 いますか、そういう形になる可能性があると思います。  貝塚会長  ただいまの件は厚生労働省のどういうふうにお考えですか。  石本政策統括官  経済財政諮問会議の問題と、それから先ほどの医療の問題と若干釈明も含めて私の方 からまとめて申し上げさせていただきます。  今週、来週と予算委員会、それから厚生労働省の法案が沢山あり大臣の審議会出席が かないませんでした。先ほど一部の委員からもございましたけれど、できるだけ大臣な り副大臣とこの審議会とが密に意見交換をしていただく場を、できるだけ密に作りたい というのは事務局の気持ちでありますので、その点はひとつよろしくお願いしたいと思 います。  それから、医療の関係の部会でございます。坂口大臣の方からこれまで、秋口に医療 改革に関する厚生労働省の案を出したいので、それまではできるだけ精力的に勉強させ ていただきたいと国会等で申し上げております。それから、現在、関係団体と一緒にな ってシンポジウムをやっておりまして、これもひとつ当面、国民的議論として高めてい きたいというふうなことでございまして、実際の本審議会でご審議をしていただくのは 秋ぐらいからかなというイメージでおりました。ただ、審議会の方からご提案がありま すれば、大臣とも相談をしてどうするかということをさせていただきたい、というのが 1つでございます。  それから、奥田委員の方からご提案された件でございます。小泉総理は所信表明も含 めて、経済財政諮問会議の方で来年の予算編成方針あるいは来年以降の経済の動向を見 て骨太な経済財政運営の方針を出すと言われており、そういう中でこの社会保障審議会 というものがどういう形になるんだろうというのは、実は、正直言って事務局として定 見が必ずしもないのは事実でございます。ただ、そうは言っても、経済財政諮問会議で お出しになったものを社会保障審議会で受けていただくというふうなことにするのか、 あるいは社会保障審議会が同時並行的に議論していった方がいいのかというのは、審議 会のご意見をお聞きして進めていきたいと思っております。政府全体の社会保障の分野 を中心的に担うのは本審議会であります。経済財政諮問会議は社会保障も含めた非常に 大きな経済財政全般からのご提言をいただくところというふうに思っております。社会 保障審議会の方では、この場で、あるいは個別問題は部会の方でいろいろとご議論いた だくのではないかという認識ではおります。当審議会でご議論いただいたものは、当 然、政府全体の社会保障改革について具体的な方向性を示していくものとして受け止め ていく、あるいはそういう権限があるという認識でおります。  奥田委員  私の方から申し上げたのは、別に最終的に細かいところまで詰めて出されるというの ではなく、やはり大綱の、よく骨太の方針と言われておりますが、それを結局6月20 日前後に出すということになっているわけですから、その中に書き込まれた大綱という か、方針というか、骨太の方針と、こちらから出される医療の問題について何か大きな ベクトルが全然違ってくるとか、そういう話になるとまずいなと、そういうことを私は 申し上げたわけです。そこら辺りが一致していれば、それはそれで細かいところまで突 っ込んでいくのは、ここの仕事だと、そういうふうに思っております。  若杉委員  大綱のことが出てきたので、それについて意見があるのですが、それについて意見を 申し上げながら、この社会保障審議会で取り上げていかなければいけない大きな問題と いうことを提起したいと思いますが、よろしいでしょうか。  この大綱は要するに少子化、高齢化という環境、それから労働の流動化、あるいは女 性の就労という環境、そういう中で経済財政が非常に厳しい。そういう認識のもとにお 年寄りも、それから女性も、それから障害を持たれている方もみんなできるだけ働いて 欲しい。できるだけ働いて所得を得て、それでこの社会保障の財政の苦境から抜け出そ うという、そういう結局意味だろうと思います。そのためにはいろいろ、お年寄りや女 性や障害者が働きやすい環境を作っていこうと、そういう趣旨だろうと思います。  それ自体は社会の動きからいって、私は間違った認識ではないというか、正しい認識 だろうと思うわけですね。そして、それをやるに当たって、ここでは最低限の所得や生 活保障をするために国民が相互扶助ということを言っているわけですね。具体的には相 互扶助ということは先ほど清家委員がおっしゃっていましたけれど、所得の再分配を通 して行われることになるわけですが、そのときに日本では今までこういう社会保障は国 がやるものだという考え方で、その所得の再分配を税金を通してやっていたと思いま す。ところが、税金だけでなくて、相互扶助という観点から言いますと、例えば寄付を するとか、寄付でもっていろいろな社会保障に絡む活動をするとか、あるいはボランテ ィア活動でもってやるというようなこともあると思います。それで、我々自由主義の社 会ですが、豊かになってきますと、みんな税金で国がやってくれるよりは自分の意志で もってお金を出したい。所得の再分配ですから、当然所得をたくさん得た人が今の社会 の中で不運に所得が少ない人とか、健康に恵まれない人とか、そういう人に対して最低 限の保証の部分を移転するということなんですが、それを税金でやるのがいいのか。そ れとももっとボランティアな気持ちで、つまり自発的な気持ちでやるのがいいかという 問題があると思います。それが今まで日本では貧しい時には税金でやらざるを得ないと 思いますが、税金で全部やろうとしてきた。そのことがだんだん税金の負担や何かが大 きくなって、みんながなるべく税金を払いたくない。あるいは年金で言えば社会保険と いう形をとっていますが、社会保険に入らない。税金みたいな面もあるわけですから、 入らない。最近も国民年金の非加入者が非常に増えていることがあるわけですね。です から、そういうことを考えると、やはり税金でやるということだけでなく、もっと寄付 という形を使うとか、あるいはボランティア活動を使う。この社会保障大綱にもそうい うことが書かれているんですね。例えば3ページには利用者負担とか、保険料負担、公 費負担、この適切な組み合わせにより確実に安定的に行うことが一番最初の行に書かれ ていますし、またNPOとか地域に根ざした取り組みということで、そういうことが書 かれていますが、今、問われているのはどこまで税金でやる部分を少なくして、そして もっと寄付やボランティアでやる部分を大きくするかということが問題なのではないか と思います。  ですから、私はこの大綱で書かれていることはほぼ正しいことだと思いますが、一番 大事な、今まで税金で国がやるというふうに考えていたのをもっと民間のボランティア とか、そういうものにシフトしていくことが大事じゃないか。一つの考え方ですけれ ど、そうだと思いますので、そういう点を是非この社会保障審議会で検討する必要があ るのではないかと思います。そういうようなことで問題提起をさせていただきたいとい うことです。  長谷川委員  今のご発言で本当に私もさっきからずっと聞いている、いろいろ疑問に思っていたこ とがあるんですが、この大綱を読みますとまず理念というふうにあがっている、改革の 理念というところであがっていることというのは本当に抽象的目標ですよね。それで、 安心して子供を産み育てることができるとか、それは当たり前と言っては悪いんですけ れど、誰もがここに対して疑問を呈したり何かをすることはなくて、もちろん本当に当 たり前の目標だと思います。そういうものを実際に実現していくために、この財政がな いとか、少子化で人口構成が尻すぼみだということで、こういうことを実現するための プラクティカルな時になった時の理念。それは税金でやるのか、ボランティアでやるの か、本当に競争原理を入れるのかということは具体的には書かれていないんですね。そ れでちゃんと読むと、これはそういうことを念頭に置いて言っているのかなということ を類推することはできますが、当たり前の理念の次に来る本当にそれを実現する時の方 針として持つべき理念というところが、何か暗黙の了解のように書かれているところ が、私は不愉快というか、よくないと思いまして、そこのところをこのような審議会 で、ちゃんとそこの理念をどちらの方向に行くのがいいことなのかというのをせっかく いろいろな分野の方が集まっているのですから検討するべきではないのかと思っており ます。  貝塚会長  ただいまのご意見は税金と言われましたけれど、保険料も含めて租税と保険料です ね。ですから、租税と保険料の組み合わせはどうあるべきかというのはある意味では社 会保障全体の設計の中で極めて重要な問題でどの分野の話も全部関わりがあるわけです ね。  若杉委員  そういう点で言うとボランティア活動とか、私は寄付というのも非常に重要だと思い ますが、例えば寄付ですと日本は非常にやりづらい。税金がなかなか非課税にならない ということがありますので、そういう点で税金を納めない代わりに寄付でやるというこ とは、それに対する税制上の優遇なども必要な大変大きな問題になりますので、是非こ こできちんと議論しなければいけないことだと考えます。  貝塚会長  税制上の扱いもある意味では非常に重要ですね。あらゆる分野の話がすべて税金とは 関係しておりまして、ですから社会保険料控除の話とか、それから給付をどういうふう にするかとか、それもその他いろいろ社会保障の給付をめぐる税制との関係というのは 非常に多岐にわたっておりますが、これまたかなり重要、ある意味では横断的な話でも あるんですね。そういう点も、私も個人的に思います。  阿藤委員  部会の設置に絡んでの話なんですけれども、先ほど参事官からこの社会保障審議会の 大きな項目として社会保障の審議と同時に人口問題の審議ということが、大きな2つの柱 に入っていたと思います。これはもともとは人口問題審議会というものが統合されたと いう経緯があるんでしょうけれど、具体的に社会保障制度の維持、持続的な制度の維持 ということから考えても人の問題というのは当然大きな柱だと思います。その部会とし てどういうふうに設置するかは別にしても人の問題として今大変問題になっている少子 化の点について、どういう、もちろん具体的な施策はいろいろ進められていますけれ ど、なかなか実効が上がらないという状況の中で、どういう大きな方策があり得るのか とか、そういうことを議論する場がどこかにあったらいいなというふうに思います。  もう少し具体的な話になりますけれど、昨年国勢調査が行われまして、今年はいわゆ るオフィシャルな公式な人口推計がスケジュールにのぼっているわけですけれど、従来 はここ10年ぐらいですか、人口推計について人口問題審議会で基本的な考え方を議論 するというふうな場が設けられていたんですが、それについて例えばこの社会保障制度 審議会で仮に人口なり少子化の部会を設けたとして、そこで議論する必要があるのかど うかということもご議論いただけたらと思います。  奥田委員  私も同意見でございまして、年金の重要な基礎データとして将来人口推計が必要にな ると思いますが、それについての部会は今回作るつもりがあるのかないのか。それは是 非お聞きしたいと思います。  貝塚会長  今の点、事務局は何かありますか。  河参事官  医療の部会につきましては先ほど保険局総務課長が冒頭のところでお話しましたけれ ど、多くの場合、保険局あるいは医政局を中心に考えていくことだと思いますけれど、 今の人口の問題は実は私ども参事官室の担当でございまして、なるべく早く準備をさせ ていただいて、また、皆様方のお知恵も借りなければいけないという問題であるという ことは十分認識しております。社会保障審議会の委員であられる阿藤国立社会保障・人 口問題研究所長等ともご相談をして、なるべく早くそういう形での部会の設置ができる ようにさせていただきたい。そういう形でのご相談をお願いするのもなるべく早くさせ ていただきたいというふうに思っております。  糸氏委員  社会保障大綱は有識者会議の結論として苦労してお書きになっただろうと。非常にま た全般によく書かれていると、それなりに私も評価しておりますし、ご苦労様でしたと 申し上げたいと思います。  ただ、一般に雑談として末端の方ではあれを読んでどうだと。あの中では老後の不安 を解消することが非常に大事だと。経済の落ち込みも結局不安から貯蓄に回るのであっ て、もう少し消費に回すべきだということを非常にあちこちで力説されているわけです ね。それにしては例えば高齢者の負担はもっとすべきだとか、ネガティブのようなとこ ろがまた一方では非常に強いと。正直言って、これでは安心どころか不安をかもし出す 大綱になっているのではないかという穿った見方も一方にありまして、やはり今日、予 期せぬこういう高齢社会と、予期せぬというか高齢社会は予期されていたわけですが、 それで予期せぬ経済不況のダブルパンチでいま大変な改革を余儀なくされているわけで すけれども、特に大量の高齢者の激増と要介護者が大量にちまたにあふれて出たと。こ のことについては私は生を厚くする厚生省としてはこういうことが見抜けなかったのか と。分かっていたけれど何もしなかったのか。我々の方はいわゆる社会的入院という形 で非難されていますけれど、誰も面倒みてくれない。といって1人で暮らしているとど うしようもないという人たちに対する処遇、大量の要介護の老人が全国にあふれてきた ということに対する、私は厚生省の大きな責任もあっただろうと思いますが、そういう ことの尻ぬぐいがいま介護保険という形で一応出ましたけれども、介護保険になっても それでは完全に救われたかというと、必ずしもそうではないと。いろいろ問題を残して いるわけで、そういう面からすると、私は厚生省というのは非常に大事なところだと。 やはり将来を見誤りなく適切な対応をすればもう少しよかったのではないかと。  終わったことを言っても何ですが、同じことが医療保険料率、これは年金保険料率と は10倍以上の格差になっていっていますね。こういうような問題とか、あるいは医療 保険の赤字に対する一般会計からの補助金ももっと早く見直すべきではなかったか。と いうようないろいろ悔やまれる点がたくさんあるわけでございますけれど、要は私はあ の大綱の中で国民が心配しなくていい、困った人には国がみるから責任を持ってちゃん とやるというような意気込みを出して欲しかったなという。これは感想でございます。 ちょっと不安が強いという意見をよく聞きますので。  翁委員  先ほどの若杉委員の意見と関連しますが、私も今までの議論を聞いておりまして、や はりこの審議会の場で社会保障改革ということに向けての骨太の議論をしていく必要が 非常にあるのではないかと思いまして、先ほど若杉さんがおっしゃいましたけれど、や はり横串で医療とか年金とか介護、そういった制度を今後どういうふうに改革していく のかという点で官民の役割分担ということが保険料の問題と税の問題にも関わりますけ れども、そういった議論がまだまだこれから社会保障の分野については必要なのではな いかという印象を持っておりまして、まさにこれらの議論を整合的に議論していくため にはこの場でそうした改革の理念、そういったことを議論していくことが重要なのでは ないかと思います。  山本委員  話を聞かせていただいたんですけれど、一つ感想として、この審議会というのは諮問 があって初めて動き出すものだと、そういう認識をしておりました。それから、そうし ましたら今日の議論ではそうではなくて、ここの審議会そのものからの発想も受け入れ ていくんだと、そういうご発言もあったような気がします。ですから、それだけ重要な 審議会であるなら、もう少し今日の提案される内容ですが、部会を設置したらいかがで しょうかというようなこと、もちろんこれは規則で決められてありますから当然のこと なんですけれども、もっと確度の高い議論をすべきものが沢山あったのではないかと思 いますので、これからはそういう考え方で審議会を開催をしていただくようお願いを申 し上げておきたいと思います。  もう一つは、医療改革、「医療制度改革の課題と視点」という立派なものが出ており ますけれども、これに対してもざっと見ただけですけれど、いろいろ私どもの立場から いく疑問がかなりあります。こういう議論もしたかったんですけれど、今日はとてもで きるものではございませんので、また後日に議論させていただきたい。先ほどから医療 の問題については早くやれという皆さんのご意見のようですから、できるだけ早い機会 に医療の問題について議論ができるように事務局の方で取り計らいをしていただきた い。そのように思います。  それから、もう一つは社会保障制度ですけれども、結局は個人が負担するのか、公金 で負担するのかという、負担の問題だと思います。ですから、よく日本の場合は外国の どこどこの国はこういうことをやっているから、これに見習えとか何とかよく言われる んですけれど、そういう考え方は私は間違っているのではないかと私自身は思います。 ですから自分たちで独自に考えて、そういう制度は検討して進めていくべきものだと思 います。それで結局は負担がどうするんだということなので、先ほどお話がございまし たように少子化がこういう事態を作り上げていったということだろうと思いますし、も ちろんこれは経済の問題もありますけれども、そういうことは抜きにして言うならば複 雑な負担にならないようにすることが一番大事ではないかと思います。ですから、何か 税金の分がこれくらいで、あとはいろいろな名目をつけて負担を複雑にしますと、かえ って国民の皆さん達から反発を買う恐れもありますので、これは簡略にすることの方が 望ましいというような感じがします。  なぜ、私がそういうことを申し上げるかと言いますと、私どもはある意味では現場に いるような立場におりますから、直接住民のみなさんたちからのいろいろな意見を聞 く、そういう立場にあります。ですから、いま申し上げたような考えがどうしても出て くるわけです。この次の議論をする時はそういう点も視野においてご議論いただきます ようお願い申し上げておきたいと思います。今日は意見を申し上げる時間もございませ んので、先ほど申し上げましたことを是非会長さんの方でお計らいいただいて実りの多 い審議会の会議にして欲しいというようにお願いをしておきたいと思います。  貝塚会長  社会保障全体の、あるいはこの審議会の役割ないしはどういうことをやるべきかとい うことについてご議論いただきまして、幸いにしてかなりいいアイデアをいただきまし たので、今後ともかなり横断的にやるべき仕事というのは相当程度あるということは間 違いないわけでして、できればそういう方向に審議の内容もそういうことを、これは事 務局に申し上げますが結構大変ですので、その点は。ただし、非常に重要なことであり ますので、というふうに考えて、私はそういうふうに思っております。  次に、部会の設置は先ほどの資料の第2回社会保障審議会の最後の方の2枚付いてお りますが、年金数理部会、それから福祉部会、障害者部会、中身はかなり限定された中 身も含まれているわけですが、事務局提案の部会の設置についてはいかがでございます か。お認めいただけますでしょうか。  高木委員  詳しい内容は私もよく知りませんが、例えば年金数理部会等には被保険者の感覚で参 加をさせていただくような人は入れていただけないという話があるんですか。  首席年金数理官  数理部会の構成あるいは委員のメンバーのことでおたずねでございますので、私の方 からお答えをさせていただきます。数理部会は今日の資料にもございますように、公的 年金の一元化の関係での閣議決定、あるいはその前段にございました一元化に関する懇 談会での報告がございますけれど、それを踏まえて作らさせていただきたいということ で今日お願いしているわけでございます。この部会は各被用者年金制度の安定性ですと か、公平性の確保に関して財政再計算の検証をするというようなことでございまして、 したがって年金数理等の専門的知見をもとに中立的な立場からご審議いただき、ご意見 をいただく場だというふうに考えておりますので、そうした第三者的な立場に立つ部会 であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、その趣旨にかなった学 識経験者から構成するということが適切ではないかと考えておりますので、厚生年金の 保険料拠出者団体でございますとか、共済制度の関係者を委員に含む公的年金制度一元 化に関する懇談会とはやや性格を異にするのではないかと、そのように考えているわけ でございます。  貝塚会長  ですから、私が理解することは年金数理的な話を中心にやられるわけです。そういう 部会であると。ですから、かなりアクチュアリーというか、そういうことでそれぞれの 年金の今後の数理的な計算をかなり客観的な手法でできる限り、あとは政策判断はまた それを基礎に行われることはあり得るわけです。  高木委員  そういう政策判断だとか、いろいろな意味での考え方論は一切やらないところ。  首席年金数理官  基本的にはいま会長もおっしゃいましたが、年金数理的な観点から検討を行うという ことで、いま高木委員の方からおっしゃっいました政策的な観点のものにつきましては 私ども年金局でも現在いろいろ検討いたしておりますが、16年に次期財政再計算がご ざいます。それに向けてしかるべき時期に関係者の方々のご意見を伺う何らかの検討の 場を設ける必要があるのではないかというふうには考えております。そういうことでご ざいますので、またそういう問題につきましては今日のご議論も踏まえて仮にそういう 部会を設置するということでございますれば、またお諮りをしてまいりたいと考えてお ります。  貝塚会長  私から申し上げますと要するに年金数理の、各年金の現在の財政状態と今後状況を同 じ考え方でもって数理計算でやってみると、こうなりますよという段階までの話だと思 います。  高木委員  要は算数数学の世界を一歩も出ませんということですね。  貝塚会長  分かりやすく言えばそうですね。複雑な算数ですが。ということで、ですから判断を するとか、そういう感じではないということです。  高木委員  もちろんご専門の人たちがやられる世界があることはよくわかりますが、どんなもの でも例えば公式のあてはめ方、あるいは僕は数学のことは全然詳しくないのでわかりま せんが、どういうふうに使うかという意味で、そのこと自体が何かの方向性を決めてい くみたいな世界は必ずあるだろうと思います。そういう意味ではご専門の方だけでとお っしゃるのは、もっと言えば社会保障というのは広く国民の物だと私は思うので、いろ いろなことをやるのに国民的な基盤というものを論議の中にどうやって織り込んでいく のか。その感覚のない話というのはおかしいのではないかと思います。その意味では国 民主権国家で、いろいろなものがもっと国民的な基盤をもって考えられていくことは大 切なことだと思います。これは先ほどの政治主導の話も関わる話なんだけれど、その辺 の哲学論争をやっていてもしょうがないかもしれませんが、ともかくいろいろな物を考 える時に被保険者だとか、国民だとか、我々で言えば勤労国民という言葉をよく使うわ けですが、そういう感覚のない発想というのは、これからはいけないのではないかなと 思います。そういう感覚を超越してご専門だというご説明ですから。  貝塚会長  たぶん廣松さんが一番専門家に近いので、一言ご発言を。  廣松委員  数式の適用とか、さらには統計には今ご指摘のような側面があることは事実だと思い ます。ただ、今回この審議会の運営の方法とか、あるいは分科会、部会のあり方やその 運営方法についていろいろと議論がなされていますが、それとの関係で言えば、私は、 たとえそういう側面をもった計算結果であろうと、それを公開すれば、それを前提に広 くいろいろな立場からご議論いただける素材を提供することになり、大変重要ではない かと考えます。  高木委員  私がこだわりますのは一元化懇にしても、農林年金問題にしても、ここまで来るのに 関係者は大変苦労してきた話なんですね。その結果、こういうことになりました、ただ し、この検証した結果がさらに一元化を進めるところで、その後のベースになるもので あるというならば、その意味は非常に大きい。何か知らないけれど、いろいろなものを 苦労させておいて、一方ではその結果こうなりましたから、その先にさらにこういう苦 労をして下さいという、そういう過程と過程をつなぐところをブラックボックスにして くれたら困りますよということなんです。  貝塚会長  ご発言の趣旨は分かりました。  それでは、提案されました年金数理部会、福祉部会、障害者部会の設置をお認めいた だきたいと思います。  それでは、あとは委員の、部会の委員、あるいは臨時委員、専門委員でございます が、これはそれぞれの。  高木委員  そうすると医療関係の部会だとか、年金の制度論とかいろいろな課題がありますが、 それをやる部会はいつどのように設置するんですか。  貝塚会長  先程来ご説明で、厚生労働省は9月くらいというふうにあれですが、その点は早くし た方がいいのではないかというご意見が今日は強かったので、その点は十分考慮して十 分考えさせていただきます。  後はいろいろな委員の人選その他は先程来いろいろご議論ありましたように、この審 議会と非常に関係が深い。この審議会のメンバーの方も当然入られるし、それ以外の方 も入られるということで、その辺の人選につきましては事務局の方から個別にご協力を お願いするということで、形式的には私の方で指名させていただくことになりますが、 ご了承願いたいと思います。もちろん、どういうメンバーの方がそこに所属されるかと いうことは決まり次第この審議会の方々にはお知らせいたします。 3.閉 会  貝塚会長  今日は私は早く終わるのではないかと思っていたんですが、少し時間が伸びました が、一応ここで議事を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございま した。 〜 以 上 〜  照会先 政策統括官付社会保障担当参事官室 政策第1係 代)03−5253−1111(内線7691・7692) ダ)03−3595−2159