01/05/17  第2回薬剤師の人員配置基準に関する検討会 第2回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会    日時 平成13年5月17日(木)10:00〜12:00    場所 厚生労働省省議室 ○岩崎座長  ただいまから第2回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会を開会させて いただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席いただきまして誠 にありがとうございます。なお、本日は11名の出席でございます。欠席と報告をいただ いておりますのは、田中滋委員と渡辺俊介委員でございます。また、事務局のほうで若 干の異動があったとのことですので、事務局のほうからご紹介をよろしくお願いしま す。 ○総務課長  4月10日付で1名異動がございましたので私のほうからご紹介させていただきます。 医政局総務課保健医療技術調整官の宮嵜でございます。この運営も担当いたします。 ○宮嵜医療技術調整官  宮嵜でございます。よろしくお願いいたします。 ○総務課長  なお、前任者の青木調整官ですが、当課の医療安全推進室長に異動となっておりまし て、本日も出席をしております。よろしくお願いします。 ○岩崎座長  これより議事に入らせていただきます。前回3月12日の審議会の議事録について、事務 局で整理しておりますのでご確認ください。議事録について事務局から何かございます か。 ○総務課長  今日お付けいたしました資料−1の前回の議事録でございますが、先生方には一度目 をお通しいただいているかと思いますが、今後もこのような形で委員の皆様にご確認い ただいた上で厚生労働省のホームページに掲載するという形をとりたいと思いますので よろしくお願い申し上げます。 ○岩崎座長  議事録について改めて委員の皆様方からご意見がございましたら、修正等も含めてお 伺いしたいと思います。よろしいですか。一度は目を通していただいたものをその意見 に従って修正したものですので、これを議事録としたいと思います。よろしくお願いし ます。これは、ただいま宮嵜医療技術調整官からありましたように、厚生労働省のホー ムページに掲載することになっております。  それでは、前回に引き続きまして、病院における薬剤師の人員配置基準に関する事項 全般につきましてご議論いただきたいと存じます。議論の進め方といたしましては、前 回ご了解いただいたとおり、検討事項と、その際に考慮すべき事項を考慮しながら進め ていきたいと考えております。事務局から追加の資料が提出されておりますので、その 説明から始めたいと思います。宮嵜医療技術調整官、よろしくお願いいたします。 ○宮嵜医療技術調整官  資料の説明に入る前に、簡単に資料のご確認をさせていただければと思います。議事 次第がございまして、その後に、先ほどありました資料−1といたしまして第1回の検 討会の議事録でございます。資料−2といたしまして、平成11年度の厚生科学研究で行 った研究の抜粋をお付けさせていただいております。資料−3といたしまして、2枚紙 ですがグラフのある資料があろうかと思います。資料−4といたしまして、少し厚めで すが、日本病院薬剤師会さんからご提供いただいた資料がございます。最後に、1枚紙 でございますが、前回ご確認いただきました主要な検討項目及び考慮すべき事項を参考 資料として付けさせていただいておりますので、ご議論の過程で参考にしていただけれ ばと思います。  それでは、資料−2と資料−3につきましてご説明させていただきます。最初に、資 料−2でございます。前回第1回のご議論でいろいろ宿題をいただいた事項について、 すべてというのはなかなか難しいのですが、お答えになるような資料ということで準備 させていただきました。実際に、いま薬剤師さんがどのような配置状況になっている か、ということが平成11年の厚生科学研究の中の一部でわかるので、その関連の部分を 抜粋ということで資料を付けさせていただいてます。  資料−2を1枚おめくりいただきますと、1頁目でございますが、この研究において どのような定義をして計算式を用いて計算したか、ということが最初に書かれてござい ます。(1)が「旧基準」ということで言葉を定義しまして、実際に計算式は調剤数を80で 割ったものという形にしてございます。(2)は「暫定基準」という言葉を用いています が、これが平成10年に決められましたいまの基準の本体の所ということです。  Aという所が、1行目の式はどういう式かというと、一般病床が100床以下の場合を式 で書くとこのようになっているということで、ここでは薬剤師の必要数は1日入院患者 数を100で割ったもの、外来のほうは75で割ったものというような計算式を用いておりま す。また、療養型・特例老人の場合には150で割っているということでございます。  次にBの所ですが、この1行目の式は一般病床が100床以上ということで計算式を当て はめております。そして、abcdと4つに分けていますが、aが、原則は入院患者数 を70で割ったものと外来の処方箋数を75で割ったものです。bの場合が、療養型病床、 あるいは特例老人の場合ですが、150で割ったものです。cについては、精神・結核につ いて入院患者数を150で割ったもの、外来は75で割ったもの。dは特定機能病院の場合で す。  (3)の所で、「経過措置」とこの計算式で定義しておりますが、これは旧基準かいまの 基準のどちらか当てはまるほうということを経過措置という形で置いてございます。今 後ご注意いただきたいのは、一般病床が100床以下の所を100で割っているのは、経過措 置のほうではなくて、このデータの処理では暫定基準というか、いまの基準のほうに入 っているということでご理解いただければと思います。  実際にこの定義を用いましてデータはどういうものを用いたかというのが、1頁の下 のほうから書かれてございます。平成10年の立入り調査のデータを用いておりまして、 実は、いまの基準が施行されたのが平成10年12月30日ですので、基本的にそれ以降の データで三つの基準がそれぞれ計算できるもの、ということですので、データの母集団 は3,713ということになります。特定機能病院はデータ処理をしていく上で別物になりま すので、25を除いて3,688をこのデータ処理の対象にしているということがここに書かれ てございます。  実際にそれぞれの基準を当てはめたときの状況がそれぞれの病院でどういうようにな っているか、ということを簡単に絵でお示ししたものが2頁目の図3でございます。こ の3,688の病院に(1)で定義した旧基準を当てはめるとどういう状況になっているか、と いうのがいちばん上の帯グラフです。7.3から14.6の所までが不足になっているところで す。ここを合計いたしますと、約37%ぐらいになろうかと思いますが、こういう状況で あると。  現在は、平成10年に決めた暫定の基準と、経過措置がかかっていますので、その関係 のグラフはいちばん下の帯グラフになりますが、0.4、0.8、4.8、12.9を足したところま でが満たしていないというか、薬剤師さんが不足している病院ということになります。 これが約19%になろうかと思います。真ん中の帯グラフは、いまの平成10年に定めた基 準で経過措置がない場合ですので、こういう見方が良いのかどうかわからないですけれ ども、経過措置を外すとこういう状況になるというようなことです。「注」の所に改め て書いてあります3,668は3,688ですのでご訂正いただければと思います。  次が2頁目の下のほうの図です。これは薬剤師さんが不足している病院の割合を開設 者別に見たものです。それぞれ、棒グラフの白い所が(1)で定義した旧基準、真ん中の薄 い灰色の所が平成10年の基準、黒の所が平成10年の基準プラス経過措置ということでい まの状況です。これで見ますと、おおむねですけれども、旧基準で不足しているという 所の病院が現在の経過措置付きの基準の所では満たしている病院が増えている、不足し ている病院の割合が減っている、という状況がそれぞれ見てとれるかと思います。  図2は、この病院の割合で示しておりますので、それぞれの総数、その他文部省・学 校法人とか、その後に括弧で数字が書かれていますが、これが実数でございます。です から、不足している病院の割合の高さが、公的・社会保険とか自治体とか、割合高くな っていますが実数として見ると、医療法人とかのところが多くなっている、というよう な形です。  3頁目でございます。上の図3の帯グラフですが、これはいま申し上げました薬剤師 さんが不足している病院を開設者別に帯グラフで表わしたものでございます。要する に、それぞれの開設者別の実数が反映するようなグラフになっていますが、これを見ま すと、真ん中の黒くなっている医療法人の所の割合が高くなっている。その次が、上の 個人の所あるいは下の自治体の所が、不足している病院の割合が高くなっているという ようなグラフです。  3頁目の図4ですが、これは薬剤師さんが不足している状況をそれぞれ三つの基準に 照らし合わせて、病床規模別に見たものでございます。それぞれの区分ごとの病院数の 割合で見ますと、例えば300から500とか、500から600、600床以上という所で割合が高く なっているということです。これを実数ベースに直しますと50床から100床、あるいは10 0床から200床の所が不足している病院が多いということです。あるいは、それぞれ三基 準を当てはめた時の状況がこういうようになっている、というようなグラフでございま す。  それから、1枚おめくりいただきまして、真ん中に表1という、少し複雑なという か、見にくい表がございます。表の横側には病床規模別、上側には開設者別に並べてご ざいますが、表題の所に「経過措置から暫定基準への移行時に標欠になる病院」と書い てございますが、どういうことを表わしている表かというと、現在の段階でこの10年の データに対して仮に経過措置をなくした場合、いま設けられている経過措置がなくなっ た場合にはどうなるかと。この経過措置というのは、先ほど申し上げましたけれども、 新基準でもどちらでもとにかく満たしている所という経過措置の部分だけを外した場合 とご留意して見ていただければと思います。そうすると、この表のいちばん下の所にあ りますが、181の病院が不足する病院に該当してしまう、というような数字でございま す。  これを開設者別に見ますと、実数的には医療法人、個人の病院の所がかなりの数を占 める。病床規模別で見ますと、100床未満あるいは100床から200床という所が大きな数字 として出てくるというような状況でございます。  4頁の表の下からの所で3)の所ですが、「病院における薬剤師の業務」ということ で、薬剤師さんがどういう業務をされているかということを、この研究自体ではこうい うタイムスタディになっていませんが、1999年、平成11年に黒田先生が行った28施設で のタイムスタディと1998年、平成10年に日本病院薬剤師会のほうで行った10施設でのタ イムスタディのデータをいただいて、こちらの研究者のほうで文献研究というか、調査 をさせていただいたものがありますので、併せて紹介させていただきます。  その結果というか、内容は5頁、6頁、7頁目でございまして、細かい数字がたくさ んあって恐縮な表ですが、見ていただく時にご注意いただきたいことをいくつか申し上 げます。この黒田先生の調査、あるいは日本病院薬剤師会からいただいたデータを基に した調査という、この調査自体は、タイムスタディ自体は、薬剤師さんの業務を定量的 に測定したということでいろいろと意味のあるデータだと思いますが、文献を引用した 調査で基データまでは事務局のほうでも確認しきれないところもあります。この表を見 るときに、個々の細かい数字を見ていただくというよりは、今日のご趣旨は、前回、薬 剤師さんの業務はどういう業務があるのか、ということがありましたのでどういう業務 があるのかと。あるいは、その業務量がどういう傾向にあるのか。定性的なところを見 ていただければということでお付けした表でございます。あともう1点注意点がござい ますが、これは、それぞれの調査は28施設あるいは10施設が調査の対象となっています が、粗っぽいですけれども、平均してしまいますとほぼ300床前後の病院になる、という ところも加味して見ていただければと思います。  少しめくっていただいて、7頁から見ていただければと思います。7頁の下から2行 目、3行目の所ですが、黒田先生の調査のほうは薬剤師さんが12.33人ということです。 その薬剤師さんたちが1日にいろいろとお仕事をされたことが5,879.3分と。これは単位 は全部分ということで、それをそれぞれの業務でどうなっているか、という比率で見て いただければと思っております。それから、欄としては右側から2つ目ですが、「日病 薬調査」と書いてありますが、ここの薬剤師さんの数は13.71人で、トータルの時間が6, 164.28分ということが全体の状況になっております。  それぞれ5,800何分と6,000何分というのがトータル時間ですが、それを頭に置いて、 5頁を見ていただきますと、例えば5頁のいちばん上から3行目ですが、外来調剤で院 内の調剤にかかる業務というのが、例えば黒田先生の所は2,034.79分となっています が、全体に対する割合が34.6%。日病薬さんのデータをいただいた調査のほうでは 2,685.92分となっていまして、これは全体に対する割合が43.6%ということです。細か い数字は別なのですが、外来の院内の調剤にかかっているところが業務量というか、仕 事としてはいちばん多くなっているということがございます。  5頁目の真ん中ぐらいになりますが、入院調剤の「合計」という所を見ていただきま すと、入院調剤にかかっているのが、例えば黒田先生の調査ですと1,402.3分ということ で、これは全体の業務時間に対して24%ぐらいになっています。さらに右に行っていた だいて、日病薬さんからいただいた数字のほうは1,403.16分となっていますが、全体の 業務量に対して22.8%、約23%というような量になっていまして、2番目に入院調剤に かかる業務が多いというような形になっております。  それから、順番にご説明させていただきますと、5頁目のいちばん下の欄ですが、薬 剤管理指導業務の合計のところはどのぐらいになっているかというのは、同じような計 算をしますと黒田先生の調査のほうが業務全体の約12.5%ぐらいになっております。日 病薬さんからいただいたデータのほうの527.2分というのは全体の業務に対して8.6%ぐ らいに位置している、というようなことがこの表で見ていただければと思います。その ほか、左側の欄が、それぞれタイムスタディで割り振ったときの業務ですが、細かく分 けるとこのぐらいの業務を担当されている、ということも併せて見ていただければとい うことで付けさせていただいた資料でございます。  資料−3をご説明させていただきます。これは、特に前回のご議論で、精神の病院あ るいは療養型病床群を有する病院の状況がもう少しわかるデータがないか、というご指 摘がございましたので、それの参考になるかどうかということでグラフをつくらせてい ただいてお示しさせていただいているものでございます。1頁目の1番上のグラフです が、縦軸は病院数の割合ということになっています。横軸は入院患者1人1日当たりの 処方箋枚数ということになっております。実際に、下の数字は入院患者1人1日当たり の処方箋枚数がゼロ枚の病院、ゼロを超えるところから0.2未満の病院、0.2から0.4未満 の病院がどのぐらいの割合であるかということをずっと追っていってプロットしたグラ フです。  データは平成12年に日本病院薬剤師会さんのほうで行われたデータをご提供いただき まして、それを分析したということでございます。グラフのほうには「一般のみ」、 「精神のみ」、「療養のみ」というふうに書いてございますが、これは病床がミックス されている医療機関もあるわけですが、わかり易く出るようにそれぞれ一般病床のみの 病院を約2,177、精神のみの所の448、療養型病床群のみの397病院をデータとして用いて グラフを書いております。これを見ますと、一般のみ、精神のみ、療養のみにつきまし ても、入院患者1人1日当たりの処方箋枚数が0.2から0.4未満のところにそれぞれピー クが来ているわけです。しかし、実際にはその左右を見ていただければと思うのです が、左側の0.2未満の所を見ていただきますと、療養型は40数パーセントの病院とか、 精神のみの所は30%程度の病院がここの欄に該当するわけですけれども、一般のみの病 院は5%ぐらい。逆に、先ほどの山の右側の0.4から0.6未満の欄を見ていただきます と、精神あるいは療養のみの所は10%を切っている病院の割合ですが、一般のほうは30 %ぐらいの所にあるということです。この階級のつくり方がいいか悪いかというご議論 はあるかと思いますけれども、精神あるいは療養のみの病院は、どちらかというと左側 に山が寄っているというか、膨れている、一般は右側に寄っている、ということがこの グラフでは出てきているということで、あまりいい形のグラフではないかもしれません が、こういう形で出てきているということでございます。  1頁目の下のグラフですが、これは入院患者1人1日当たりの注射箋の枚数はどうな っているか、ということを絵にしたものでございます。これを見ますと、精神のみ、あ るいは療養のみの医療機関においてはほとんどの病院がゼロを超えるところから、0.2未 満というような枚数になっている。それに対しまして、一般病院は0.4から0.6未満の所 をピークになだらかな山になっていて、右側に多いほうに寄っているという形になるの かなということで出させていただいております。  2頁目ですが、これは入院患者さん1人1日当たりの調剤数に着目して、同じような 考え方で絵を描いたものでございます。縦軸が病院の割合、横軸に書いてあるのが入院 患者1人1日当たりの調剤数です。精神のみ、あるいは療養のみの所は0.25から0.5未満 の所にピークがあって山が左側ですけれども一般のみの所は0.5から0.75の所にピーク があって、若干、精神、療養よりは右側に山が来ているというようなことで、この3つ のグラフは定量的な検討を行うためには調査とか分析をもう少し加える必要があるかと 思いますけれども、傾向的なことがわかればということでご用意させていただきました ので、そういう見方をしていただければと思います。 ○岩崎座長  それでは、ただいまの厚生労働省側からの資料−2、資料−3の説明について何かご 質問またはご意見等がございましたらどうぞ。主に問題になるのは、資料−2でいきま すと2頁目の図3であるとか、3頁目の図3、図4とか、その辺で傾向がわかるのでは ないかということです。また、4頁の表1の所で見ますと、これは実数で出ております ので傾向がよくわかるのかなと思います。その辺で何かご意見がありますか。 ○山田委員  薬剤師の不足の原因というのは、薬剤師さん自体の絶対数が少ないからですか。それ とも、ほかの理由、病院としてまだそこまでいかないという状況ですか。薬剤師さんの 養成そのものはどうなのでしょうか。不足という状況ではないのですか。 ○宮嵜医療技術調整官  前回、全体の状況を出させていただいている資料がご参考になるかどうかでございま すが、お手元に「過去の資料集」というものがあるかと思います。それの後ろから2枚 目の横紙を見ていただきますと、これで充足しているかどうかというところまで見るの は難しいのですが、薬剤師さんの全体の数、それぞれ勤務されている所がこういう形と いうことで出ているところでございます。  この数字をもって直ぐ全体の需給状況が不足しているかどうかというのは判断しにく い状況ですが、こういう状況になっているということでご理解いただければと。 ○全田委員  病院薬剤師会の全田でございますが、補足させていただきます。いずれデータを出さ せていただきますが、絶対的に不足しているかということになりますと、一部充足は可 能なのです。ただ、地域差があります。これは、すべての医療関係者がそうであるよう に地域差がございまして、いずれ出させていただきますけれども、院外処方箋等を含め まして分業の進展率。それから、ここで言う暫定基準なら暫定基準に従って分業率が何 パーセントになったときに北海道から沖縄まででどういう数字が可能かどうか、充足で きるか、というようなことはいずれ資料を出させていただきますが、絶対的に不足とい うことではございません。ただ、いずれの医療人がそうであるように地域差がございま す。ですから、どこがこうだからこれはどうだ、というようなことはいまは申し上げら れません。そういうのが現実でございます。 ○医薬局総務課長  いま私どもでは薬剤師の関係の担当をしておりまして、薬剤師の需給に関する研究報 告書を公表しておりますので、どこかの時点で説明をさせていただきたいと思います。 基本的に申し上げますと、いまは調剤薬局における処方せん応需が非常に進んでおりま して、その関係での需給関係は、いま全田委員がおっしゃったように、地域によって格 差があります。ただ、調剤の関係での需要が非常に多いということがありまして、全体 としてはその枠内に入ると思われます。いろいろな要因で、いまそういう動きの中で、 おそらく、この薬剤師の需給の関係の地域的な充足感がそれぞれ違っているというよう な状況ではないかと思います。全体の状況につきましては、時間をとっていただけるな らば後日またご説明をさせていただきたいと思います。 ○岩崎座長  山田委員、よろしいでしょうか。必要人員数が果たしてどのぐらいなのかとか、それ に基づく不足数がどうなのかとか、何を基準にして不足ということを考えるのかという ことで考え方がずいぶん違うのではないかと。少なくとも、図3の中で説明しているの は、現在の基準に基づいて計算をしますとこのようになりましたという数字で、全体の 薬剤師の数は少ないのですかという、直ちにそういうことになるのかどうか、というの はデータが後日出るのかどうかということですけれども、その場合にあっても、必要薬 剤師人数は何を基準にして出されるのかというのは、薬剤師だけではなくて医師の数に しろ看護婦の数にしろ、大変難しい問題ではないかなと私は思っております。 ○仙波委員  これは医療機関における病院薬剤師の統計ですけれども、需要と供給を論ずるなら ば、調剤薬局の部分を論じる必要があると思います。いま調剤薬局のほうに薬剤師が引 っ張られておりますので、病院薬剤師のほうへの来方が少ないという現象がございま す。調剤薬局と病院薬剤師、その関係が変わってきているのではないかと思いますの で、その辺のデータがございましたらお願いしたいと思います。 ○岩崎座長  先ほど医薬局の総務課長さんがおっしゃったのはそのことでございますね。後日、次 回にでも時間が取れるのであればそのデータをよろしくお願いします。資料−2、資料 −3についてほかにございませんでしょうか。 ○仙波委員  このデータで、精神のほうがこの前出ていなかったものですから、精神のほうのデー タがございますかということで、今日は2つ出ております。我々の団体のものはいま集 計中なのですが、大体同じような数値でよくわかりました。これと一致しているようで ございます。ありがとうございました。 ○宮嵜医療技術調整官  私どものほうもこのような形でデータを出させていただきましたが、委員の先生方で これ以外にいろいろデータをお持ちでしたらまたご提供いただければと思います。よろ しくお願い申し上げます。 ○岩崎座長  仙波委員にお聞きしたいのですが、大体同じだ、ということに関する日精協辺りでの データはお持ちになっているのでございますか。 ○仙波委員  緊急調査を最近やりまして、いま集計をやりつつあります。次回に提出できるのでは ないかなと思います。 ○岩崎座長  差し支えなければ次回にでもご提出いただければと思います。 ○仙波委員  提出させていただきたいと思います。 ○岩崎座長  いまの点について、医療法人協会辺りではいかがでございますか。 ○豊田委員  現在、医療法人協会のデータを集計中でございます。現状と、いちばんの問題は地域 差の問題です。それから、1つの県でも市部と郡部では違いますし、一律に論じられな い部分についてもデータを集めたいと思っていますので、次回までに出せるように努力 をします。 ○岩崎座長  日病関係ではいかがでしょうか。 ○奈良委員  日本病院会2,700余の病院がございまして、いろいろなタイプの病院が混在しておりま すから集計をするのは非常に難しいと思うのです。できるだけ早く集計をしてみようか と思っております。 ○岩崎座長  全自病関係ではいかがでしょうか。 ○邉見委員  この黒田委員が宝塚市民病院という自治体病院ですが、我々の所も1,008の病院がござ いまして、中小病院から、特に北東北、北海道、薬剤師も含めて標欠病院をたくさん抱 えていますので非常に地域が大きいと思いますけれども、早急に調べてみたいと思いま す。 ○岩崎座長  全日病関係はいかがでしょうか。 ○佐々委員  全日病ではまだしていないのですが、会員が医療法人協会とダブっていますので、医 療法人協会のほうで調査をなさってくださっているので、会員には「そちらに協力する ように」ということで、そちらの資料を使わせていただきたいなと。 ○岩崎座長  日医総研辺りでこういうものを出しておられるという、研究データはございませんで しょうか。 ○櫻井委員  私の知っている範囲では、ないと思います。 ○岩崎座長  ほか、この資料についてはよろしいですか。後ほどでもまたご意見があればお伺いし たいと思います。一応、資料−2、資料−3についてのご意見、ご質疑は終わらせてい ただきます。続きまして、日本病院薬剤師会から資料−4としてご提出いただいており ますので、全田委員からこのことについてご説明いただきたいと思います。よろしくお 願いします。 ○全田委員  本会が我々病院薬剤師の人員配置の問題について検討会をお開きいただきましてご検 討いただいているということ、最初に御礼を申し上げたいと思います。今日は、基本的 な病院の中での我々病院薬剤師の活動を含めまして、そういうことの現状について基本 的なものを資料とさせていただきましたけれども、結構多いものですから、適当にピッ クアップしてお話しさせていただきたいと思います。なお、この中には、先ほど宮嵜医 療技術調整官にご説明いただきました資料−2、資料−3に一部重複する面があること をあらかじめご了解いただきたいと思います。  それから、ご承知のように、全国の病院数は9,800ほどございますけれども、その中で 日本病院薬剤師会の会員が所属しているのが約6,300でございます。そういう中で、毎年 いろいろな調査をしているのですが、回収率を含めまして、大体4,500ぐらいの数が集ま っているので、すべての病院について必ずしも言えるかということはなかなか難しいの ですが、極力、多くの施設を対象にした調査をしてきたつもりなので、その辺のことを お話し申し上げさせていただきます。  それでは、資料に沿って話させていただきますと、1頁ですが、これは先生方はもう ご承知のように、あるいは厚生労働省のほうでも把握されているように、平成11年度で すが、全国の病院数は9,286、いわゆる9,300ほどございます。病院薬剤師会の会員が所 属しているのが6,827ですから、約6,800。そのうち、1頁のいちばん右の下ですが、4,5 00ほどの回答がございました。その分布はこういうことで、いわゆる一般病院が2,200と 多い。それから、精神病院、先ほどからお話が出ていますが、一般病床を含んでおりま すけれども、精神病床が80%以上というのが583とかなりの数。療養型を一部持つ病院も 570と、かなりの数があるということでございます。  こういう現状の中で、2頁を見ていただきますと、これを部門別に分けますと、国立 大学病院を初めとしてそれぞれこういうことで、例えば自治体病院になりますと県立、 市町村立で約800ぐらいございます。医療法人のものが2,300ぐらいございます。こうい う分布になってくると思うのです。  具体的には、先ほど医療技術調整官からご説明いただいた資料−2の中の黒田レポー トでは、外来調剤から始まりましていろいろな内容についてのタイムスタディが出てい ましたけれども、そういう業務をしております。そういう中で、時間があれば後で簡単 にご説明させていただきますが、こういうパンフレットをつくらせていただきましたの で、そういう中に我々の業務があるわけですけれども、そういうものの基本的なものを 3頁に出させていただきました。特定機能病院から始まって、例えば平均薬剤師数がこ ういう状態だと。処方箋枚数が特定機能病院は430枚ほどあるけれども、療養型のみでは 30枚、精神病院で72枚と。先ほど、調剤数という形で出ておりました資料−3ですけれ ども、枚数からいけばこういう形になっております。100床当たりの入院患者数でいく と、特定機能病院が50とすれば、療養型とか精神病院もその半分、あるいは半分以上の 枚数は患者さんに薬が処方されているということでございます。  右のほうに行きますと、分業率はほぼ同じような状態だと。それから、実際注射調剤 だけど、対象患者は少なくなりますけれども、実際に行っているのは1本渡し等を含め ましてこういう数字になる。  下のカラムを見ていただきますと、例えば先ほども資料−3で注射剤の話がありまし たけれども、左の3番目、4番目、一般注射剤の混合実施とか、そういうことになると 療養型とか精神病院は少なくなる。あるいは無菌製剤等についてはほとんどなされてい ないということでございます。  情報管理については、当然、どの施設においても半数以上を占めている。薬剤管理指 導の実施、後で申し上げますが、患者さんのベッドサイドでの服薬指導を初め医療チー ムの一員として薬についての相談、服薬指導等を行うことは一般病床ではかなりの数字 があがっていますが、療養型でも精神病院でもある程度は行っているということでござ います。  当直については、特定機能病院は100%行っていますが、他の場合にはオンコールの形 式をとっているとか、そういう形で必ずしもすべて当直態勢をとっているというのは、 人員関係もございますし、かなり数字が低いということです。  次の頁ですが、これが先ほどから議論になっております薬剤師の人員配置。先ほどの レポートは平成11年ですが、この調査は日本病院薬剤師会としては去年の6月の調査で ございます。対象は2,100と資料2では、3,600ぐらいございましたけれども、一応、一 般病床については2,152、精神病院については575、療養型で101ですから、大体、全部で 2,700あるいは2,800ぐらいの施設について調査をいたしました。先ほどから問題になっ ております100床以下の場合には、約12%が不足だと。平均でいくと1施設当たり1.2人 不足している、というように見ていただきまして、先ほども医療技術調整官からご報告 がありましたように、200から300、400ぐらいの所で20数パーセントぐらい不足をしてい るという状態でございます。  それから、精神病院のほうでいきますと、ちょっとずれがありまして、100床から200 床、300から399、この辺で不足のパーセントが高いということ。療養型についてはほと んど充足されている。ただ、1施設しかございませんけれども、400床以上が不足状態に なっています。  なお、前回、仙波委員あるいは豊田委員からご質問がありました一般病院以外の療養 型あるいは精神病院ではどうか、ということについては、先ほど医療技術調整官のご説 明がありました資料−3に調剤あるいは注射薬の話が出ておりましたけれども、いま仙 波委員からお話がありましたように、精神病床についてはまとめてくださっているとい うことなので数字が出ておりませんが、療養病床に対する日本病院薬剤師会の委員会と してデータをまとめさせていただいております。  一応、調査対象24施設という限られた人数ですが、入院患者は5,100人ぐらいだと。内 服及び外用薬が患者に出ているのは95%であり、特に療養型ですと錠剤が飲みにくいとい うことがございまして、それを潰してくれと。あるいは、潰して飲んでもらったほうが いいだろう、ということが約2割ぐらいございます。  そういうことを含めまして、注射剤等は少ないのですが、結局、いちばん下ですが、 入院患者さんの98%、ほとんどの入院患者さんに対しては薬が処方されているというこ とで、療養病床といえども一般病院と同じであるという数字が出たわけです。精神病院 については、先ほど仙波委員からお話がありましたように、いずれまとめるということ なのですが、若干、ご説明させていただきますと、精神科の場合には非常に多剤投与が 多いのでございます。  これは仙波委員のほうがご専門でしょうけれども、精神病床に入院されている方は薬 が多いものですから、薬の専門家の薬剤師としてはその薬の説明を十分にすることが必 要だということと、ずっと長い間薬を飲むということに対して、我々の言葉でコンプラ イアンスという言葉を使いますけれども、正しくずっと一生飲み続けていけるというよ うな、そういう相談にのるということのキメ細かさが要求されるわけです。どの患者さ んでもそうですけれども、特に精神病床に入院されている患者さんではそういうことが 要求されるということがあります。いずれ、そういうことはデータで出てくると思いま す。  それから、日本の精神科の場合には散剤が約4割以上を占めておりますので、調剤そ のものに時間がかかるということがございます。そういうこともございますけれども、 今日はそのデータがございません。ですから、申し上げたいのは、先ほどの資料3では 一般病院に比べて剤数が少なく、少し左のほうにずれているということですけれども、 患者さんによっては大変多くの薬を飲んでもらうケースが多いということ。それから、 説明に非常に神経を使うという、そういうことなので、我々としては精神病床あるいは 療養病床に対しても一般病床と同じような調剤業務があるということをご理解いただけ れば、というように考えております。  6頁につきましては、要するに、病院薬剤師の業務はどういうことかということで、 黒田報告に事細かく数字が出ておりますので、その縦の所を見ていただければいいと思 います。特に、この13頁にわかり易く図としてステップワイルズに書かせていただきま した。もちろん、上のほうは当たり前のことなのですが、我々薬剤師もチーム医療の一 員として患者さんを中心とした医療のケアといいますか、そういうものにできるだけ参 画していこうと考えております。下にはそういう業務を書かせていただきました。  14頁は、先ほどの資料−2の厚生科学研究の報告の中にも引用させていただきました 黒田報告でございます。これは、先ほど邉見委員が申し上げましたように、宝塚市民病 院の薬剤部長でございますから、20頁にございますが、対象とする病院はかなりの自治 体病院が含まれております。そういう急性期病院の28施設についていろいろな調査をさ せていただきました。大体、ベッド数が300床ぐらいの平均のところでやっていまして、 例えば15頁、細かい数字で恐縮なのですが、右のカラムの上から5行目ぐらいに、1日 の薬剤師の外来調剤というのが83.33枚の調剤に従事しているというような数字が出て おります。それから、入院調剤に関しては16頁の左のカラムの7行目に出ております が、1人の薬剤師が大体76.23枚の調剤に従事しているということでございます。  薬剤管理指導業務、先ほどから出てきておりました黒田報告では、全体の業務の10何 パーセント、そういう報告が出ております。日病薬の調査では、全体の業務の8.5%と出 ております。大体、後で数字が出てまいりますけれども、慣れてくると1人の患者さん に大体4分ぐらいで行っているという感じでございます。  この28急性期施設では1カ月の薬剤管理指導業務は1人の薬剤師が大体106.61名ぐら いを対象にしていると。そういうことの数字がありますけれども、細かいことは省略さ せていただきます。その他、いろいろとございますが、20頁を見ていただきますと、要 するに、「考察」の所でございますが、こういう28急性期施設を対象とした調査では、 いま薬剤師1名当たりが実質32.66人の患者さんを対象として業務を行っているという ことで、かなりの業務でいろいろなことが行われているという数字が出ております。こ れが黒田報告でございます。  今度は話が別なのですが、いわゆる薬剤業務の中で注射剤調剤。要するに、従来は場 合によってはナースステーションなり病棟に箱単位で置いていたのですが、それが医療 事故に結び付くということで処方箋に基づいてそれぞれの患者さんに内服や外用と同じ ように注射剤も出しましょうと。そういうことで、それでどのぐらい時間がかかるのだ ろうかということで、21頁にございますが、19施設について調査をさせていただきまし た。  そういうことでいきますと、ここはベッド数が350ぐらいですが、注射剤を払い出し て、場合によってはミキシングといいますか、実際に患者さんに注射をする前に混合す るとか、具体的に最終段階で患者さんに薬を与えるといいますか、そういうことで1日 に大体3.63人ぐらいが従事をしていたと。そのぐらいが必要であったという数字が出て おります。  時間でいきますと、23頁の左の下のほうですが、1人の患者さんの注射剤を取りそろ えて渡すだけだということになると1つの注射箋については2.07分です。ところが、そ れをクリーンベンチで混合したり、そういうことをすると1つの処方箋で1件当たり約 4.67分かかると。こういうことから、実際にどのぐらいの人間が具体的に従事している か。 あるいは、これをやるならばどのぐらい人が必要かということの数字は出てくると思い ます。  この19施設について調査をした結果は23頁にあるこういう結果が出たということでご ざいます。ただ、限られた施設でございますので、それも、病床数が350という、ある意 味では大きい病院といいますか、そういう病院でのデータでございますので、これがす べての病院に当てはまるかということは言えないと思います。  さて、もう少し先に進ませていただきますと、その24頁と25頁にある薬剤管理指導業 務。これは兼々お話が出ていますし、前回の平成10年度にも話が出ましたが、薬剤師が 患者さんの病床に行きまして、他の医療スタッフとともに具体的に入院患者に対する服 薬指導をすることについて、いまかなりの病院薬剤師の業務としての診療報酬上の評価 も受けております。もし1カ月入院したとすると、毎週1回やれば350点、それを4週間 ですと、それの4倍で1,400点。更にそこで退院したとすると、退院時の服薬指導でさら に50点、前回、山田委員からもお誉めの言葉をいただきましたが、入院された時に我々 薬剤師が薬のことをそれぞれに詳しく説明をする業務が含まれるわけです。そういう業 務に関して前回の平成10年度の時は、25頁を見ますと、1998年の時点では全施設の42.4 %、3,151しか、まだやっていなかったのです。  24頁の表IIをご覧いただきたいのですが、要するに薬剤管理指導業務の対象施設とい うのはご承知のように、2人以上の薬剤師がいて、DI室、医薬品情報室といいます か、医薬品情報施設を設置している所ということなので、すべての病院、9,000いくら が対象になるわけではありませんので、1991年では7,376が現時点で対象になっていま す。  そのうち本年度の4月末現在で4,766の施設承認を受けまして、対象施設の64.6%で す。 あの時点でご指摘いただきましたが、せっかく診療報酬上も病院薬剤師の業務を評価し てくださるというシステムをつくっていただいたにも係わらず、まだ40%前後だったと いうことの強いご指摘を受けました。  その後、全対象施設について承認を届出ようというキャンペーンをはりまして、お陰 さまで2年半ぐらいの間に大体20何パーセント伸ばすことができました。現在は4,766で す。対象患者にして日病薬の施設としては、大体50万人ぐらい薬剤管理指導業務を行っ ていると思います。  26頁からはちょっと手前味噌なのですが、先ほど申し上げましたように薬剤管理指導 業務というのは、診療報酬上それなりの評価を受けまして、350×4、4週間やります。 それと退院時服薬指導50点ということで、少なくとも1万4.500円を患者さんからいただ くわけですから、それなりの質の高い内容のある薬剤管理指導業務を行わなくてはいけ ないわけです。こちらがやっている、やっていると言ったところで、本当に患者さんは どうなのだろうか、どういうふうに思っておられるのだろうかということで、一応26頁 の60施設を対象に患者さんにアンケートを取りました。  薬剤管理指導業務を行わせていただいている患者さんと、まだやっていない患者さん と27頁の表1に、651名が薬剤管理指導を実施している患者さん。432はそうではない患 者さんについてそれぞれいろいろなことをアンケートさせていただきました。そうしま すと、1つ問題なのは、27頁の図1−1ですが、薬剤管理指導業務を行っている場合に は薬剤師から41%、あるいは薬剤師と医師からが25%とか、看護婦さんと薬剤師からが1 4%とか薬の説明をうけている、こういう値なのです。  問題は図の1−2です。432名の薬剤管理指導業務の対象となっていない患者さんの41 %が、全く薬について説明を受けていないということ、これは我々、薬の適正使用の推 進者としては非常に気になるところです。  そういうことで図の2ですが、説明を受けている患者さんと受けていない患者さんに ついて「どういうことを知りたいですか」と聞いたら、ともに聞きたいことはほとんど 同じで、例えば薬の効果を聞きたい、副作用について聞きたいとか、要するに薬の説明 を受けていない患者さんでもやはり同じような不安をもっておられるでしょうし、同じ ような希望をもっているということです。  これはそういう結果でして、我々病院薬剤師がアンケートを取ったわけですから客観 性があるかどうかということは、また議論をいただきたいところですが、こういうこと で自分たちとしては薬剤管理指導業務を行っていたことで、患者さんには喜んでもらっ ているのかなというような嬉しい結果だということですが、それが客観的にどうかとい うことはご検討をいただきたいと思います。  最後に2つほど、更にどういうことをいま病院薬剤師としてやっているかを具体的な 例を出させていただきます。1つはご承知のように、医療事故がいろいろな問題になっ ています。特に医薬品に関する医療事故で、1つは医薬品そのものがもつ、いわゆるア ドバースリーアクションと言いますか、有害反応です。そういうことを既に言われてい ることですが、実際の医療がすすめられている中では気がつかないことがあるというこ とで、やはり我々は薬剤管理指導業務をさせていただいていますから、直接患者さんに 接することができるわけですから、そういうことを具体的に、どういうことをして回避 できたかというものをまとめて、近々第4集を出させていただくことになっています。  例を挙げますと31頁に書いてありますが、例えばよく言われるアンジオテンシン変 換、酵素阻害剤の副作用についてですが、専門的になりますが、唇が腫れたりというこ とが起こったりする。そういうことについてあらかじめ患者さんにこういうことがある 可能性がありますよといっておく。だからそこは難しいところなのですが、我々が実際 に患者さんと接し注意をしていることによって、呼吸が苦しくなるなどの症状に気づか れた時には、そういうことをさりげなく聞きながら医師と相談をして、できるだけ重篤 な副作用が起こる前にそれを止めようということをした事例を集めています。  34頁ですが、これが日本病院薬剤師会としては、非常に重要な1つの行事といいます か、1つの活動だと考えているのです。「プレアボイド」、変な日本語なのですが、プ レアボイドというのはいま申し上げたような、重篤な副作用があらかじめ避けられるよ うな活動をしていこう。プレというのはあらかじめ、ボイドは副作用を避けるという変 な日本語だと笑われたのですが、そういうことをずっと進めてまいりました。  35頁に専門的なものをもってきたのですが、あるてんかん患者さんがずうっとフェニ トインという薬を飲んでいたら、かなりの量になりまして、血中濃度がかなり上がって しまいました。どうもフェニトインの中毒によって歩行困難等が起った。ところがこの 患者さんはもともと脊椎間狭窄があったようなのです。結局整形の医師は脊椎間狭窄に よる歩行困難だろうということで、手術をしようとしていたのですが、フェニトインの 血中濃度が通常の治療域をかなり超えていたということなので、それをコントロールし ながら、特に Clockwise 云々と書いてありますが、ヘェニトインの量を減らしていく と、いろいろな症状のコントロールが難しいものですから、それを抗てんかん作用を キープしながら歩行ができるようにということをドクターと相談しながら進めていっ て、脊椎間狭窄の手術をしないで歩けるようになった。脊椎間狭窄が治ったわけではあ りませんが、歩行困難なのがフェニトインの高濃度による副作用だということに気がつ きまして、手術を行わないですみました。  37頁に、リザベン、トラニラストだとか、あるいはジゴキシンの例を挙げさせていた だきましたが、こういうことについて、先ほどからくどいようですが、薬剤管理指導業 務を進めるなかで、重篤な副作用が起こるものをあらかじめ、なんとか防ごう。あるい は起こったとしたら、それをいかに効果的に薬による副作用等を減らしていくかという ことを見つけていこうと思っています。  最終的にはもちろん患者さんのQOLの向上なのですが、同時にいまアメリカでフ ァーマエコノミックスと言われていますが、そういうことに我々が参画することによっ て、入院日数を減らすとか、あるいは先ほどの脊椎間狭窄の手術をしないで済んだ例と か。医療行為をできるだけ、あるいは医療費等に関係しても、それをなんとかできるだ け少なくできるようなところに結び付けていればいいなということで、こういう活動も 展開しています。  いずれまた機会がありましたら出させていただきます。  最後に前回もお話申し上げましたが、いろいろな医療事故が起こったことに対して、 薬の適正使用のリスクマネージャーたる我々薬剤師としては、その本領を発揮してい き、薬ある所に常に薬剤師ありという姿勢で臨んでいきたいと考えております。長くな りましたが我々病院薬剤師の現状といいますか、活動状況等について説明させていただ きました。 ○岩崎座長  ありがとうございました。日病薬関係のいろいろの薬剤部門での現状調査の資料を基 にして、業務の内容等、それから現在日病薬でいろいろなことをおやりになっているこ とも含めて資料のご説明をいただいたところでございます。資料4のいまの全田委員の ご説明に対して、何かご質問等がございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょ うか。 ○金子委員  いま説明のありました資料4、人員配置基準の充足状況の4頁の数字の一部に対して 確認ということでお願いします。こちらのほうの不足施設、一般病床、それから精神病 院、療養型となっていますが、100床以下、それから101床から199床の施設における不足 施設の実数の確認なのですが、一般病院の場合100床以下が12%。不足薬剤師数が平均1. 2名ということは、基準を満たした場合に、平均1.4名くらいの薬剤師がいれば充足され たという判断をされるのだと思うのですが、1.2名不足ということは、ほとんど薬剤師が いない施設だという理解でよろしいのだと思うのですが、それを1点確認したいと思い ます。  また同じように101〜199床で1.7名平均で不足しているという数字の場合ですと、199 床マックスで考えた場合に、2.8名の薬剤師数がいればよろしいということになるわけで すから、ここの不足施設においては薬剤師が1人しかいない施設だ、という解釈をして よろしいのですか。  精神病院、一般療養型につきましても同じで、基準が違いますので100床以下の不足施 設においては、薬剤師がいない施設という捉え方をしてよろしいでしょうか、というこ とを確認させていただきたいと思います。 ○全田委員  薬剤師がいるかいないかということでなくて、いまの100床以下は、とりあえず暫定基 準として100名に1人です。この1.2というのは不足施設が、一般病院で84で不足数の97 を割るから1.2という数字を出したのです。 ○岩崎座長  金子委員の質問はどういうことですか。 ○金子委員  捉え方として、総体の不足施設がパーセントで表わしますと、確かに200床〜400床と いうように、20%を超しているということで、充足率という意味からすると非常に低い という捉え方がされますが、現場の実情としましては、100床以下、101床〜199床の施設 では、薬剤師が不在の施設が非常に多いのではないかという、ここで確認をしておきた いという意味で質問をさせていただきました。充足率というよりは、現実として薬剤師 がいない施設がずいぶんあるのではないかということです。 ○全田委員  ただし、これは外来分も入っているのです。ですから100床以下は入院患者100名に1 人で、外来分について75枚に1人ですから、薬剤師がいないということは言えないわけ です。ですから全くいないかどうかということについては再確認します。よろしいです か。 ○金子委員  はい。 ○櫻井委員  いまのご質問の関連ですが、確かに薬剤師の配置基準、これは統計としてはこれでい いのですが、実際に何かイメージとしてはっきりしません。もし生データがあれば、た とえば、病院規模別でしたら100床以下の病院が全部で700施設、その中でいま言われた ような薬剤師がいない所があればですが、ゼロの所が例えば5施設で、1人の所が何十 施設で、2人の所が何十施設、そういうのは生データから取り出せばできるはずです。 平均を出したということは、それを平均したから出たわけでしょうから、お1人お1人 のアンケート調査をやられたのだから、生データが残っていればできるはずです。我々 のイメージでは病院に薬剤師が実際に何人いるのかということが知りたい。2人いる病 院がいくつ、3人いる所がいくつ、5人いる所がいくつ、それが規模別に500床以上だと 30何人の所がいくつで、50人いる所がいくつで、実は20人しかいない所と、平均すると いくつとなってしまうわけですから、本当の意味に使う、そういう数字が欲しいと思い ます。そんなに難しいことではなくてできるはずです。 ○全田委員  それはできると思います。この間からちょっと議論に出ましたし、例えば北陵クリニ ックの問題のように、本当に医療機関に薬剤師がゼロの所についてどう考えるのだと か。1人の所はどう考えるのだという議論は、私としてはまだしたくなかったのです。 それは出せというのなら出ると思います。そういうことでよろしいですか。 ○金子委員  もちろん、もし出たらということです。そうすると先ほど言われた地域差の問題と、 おそらく何かデコボコがあるのではないかという気がしてしようがないのです。平均し てしまうと200床〜300床の病院とかという平均値でしか出ないから、その中で非常に充 足している所と不足している所が極端にあるとすれば、平均すると真ん中にきます。そ の辺がどうかを、別にそれを追及しようというのではなくて、資料として見られたらと いう気がしたのです。 ○局長  単純なことなのですが、ちょっと疑問だったのです。資料の2頁、病床規模別の対象 施設数の表があるのですが、国立大学病院なり、私立大学病院で99床以下とか、小さい 所にかなり数が落ちているのですが。 ○全田委員  これは分院なのです。本院はもちろん500床以上、40人全部ございます。いま各分院と かが施設統合に進んでいますが、まだ残っている所がありますし、それから歯科大学の 付属、歯学部付属というのは500床以上というのはありませんから。そういうことです か。 ○局長  分かりました。 ○全田委員  同じように大学病院で小さい所は分院、というふうにお考えいただければいいと思い ます。 ○邉見委員  基本的なことで申し訳ないのですが、これ非常勤も換算して、先ほど櫻井先生、端数 はないと言われましたが、例えばこの2.3人とかいうのはあり得るのですね。 ○全田委員  はい、あります。 ○仙波委員  この端数のことですが、例えば必要数が2.3と出ますと、医療監視の時は0.3は切り上 げ、3になってしまう。2.3は実際にいても、医療監視では不足数になるのですね。3な ければ不足ですから0.7足りないという計算になりますので、医療監視の基準で計算をす るのか、実際の数値でやるのか、その辺でだいぶ違ってきます。医療監視でやれば不足 数の病院がたくさん出ます。切り上げの問題は基準を決めるときに非常に問題があると 私は思うのです。医師の数、看護婦の数、全部がそういうふうになっています。 ○櫻井委員  これはまた別の問題としてあるのです。 ○仙波委員  薬剤師は数が少ないですから。民間病院で1から大体多い所で7〜8人というふうな ところですので、小数点0.1以下を切り上げてしまうと、基準不足ということになるとこ ろが多く出る問題があります。パートタイムの0.3の人を入れたとしても、何もならな い。 1になるまで入れておかなければいけないということになりますので、こういう統計の 時に、どういう処理をしたのかということを明記しておかないと、不足数が多くなるの ではないかと思います。また、1病院に正規の薬剤師のほかに、薬剤補助者がいるわけ です。各病院に1人は平均おります。例えばアメリカなどでもテクニシャンをかなり入 れて、分包の大部分は薬剤師の管理の下にテクニシャンがやるという制度があります が、日本においても補助者がいて、監督の下に。いま分包機も入っていますから、数を かぞえたり、分包機に入れたりするようなことは補助者がやっている部分が多いわけで す。その辺の機能も含めて検討をしていただきたいと思うわけです。 ○全田委員  現実、日本以外の所というのは、例えば欧州のある国では薬剤部のスタッフが90人と 言えば、資格を持った薬剤師は10人ぐらいしかいない。最終監査は薬剤師がやるが、テ クニシャンは80人ぐらいいるわけです。そのテクニシャンはテクニシャンでちゃんとし た教育を受けているわけです。いま我々の間で、常に議論になっていますのは、一体こ れから薬剤師の充足の問題を含めて、テクニシャンのあり方というか、テクニシャンを 本当に医療の中で考えていくべきかどうかということは議論しておりますが、非常に難 しい問題がいろいろありますので、いまのところはまだそれは医療スタッフとしての対 象に考えていません。 ○仙波委員  アメリカのデータだと、3カ月、6カ月の講習を受けている。高校卒で大学卒業生で はない。したがって人件費は薬剤師の5分の2か、あるいは5分の3程度で済むという ところで、機能的にはいま分包機と組み合わせて、運んだりすることがかなりあるので す。日精協の調査で、日本でどれぐらいいるかというと、25%が補助者で75%が薬剤師 なのです。1病院で平均しますと薬剤師が3人いるのですが、1人は補助者がいますか ら計4人で平均的に動いているものですから、これも大きな戦力ではなかろうかと思う のです。 ○櫻井委員  いまそういうお話が出たので、実は前からちょっと考えていたことがあるのです。い まアメリカでどうという話がありましたが、これ難しいかもしれませんが事務局にお願 いです。アメリカの真似をしたくて言うのではないのですが、アメリカでもイギリスで もオーストラリアでもどこでもいいのですが、できたら外国で薬剤師さんの、本当は薬 剤師だけではなくて、調べられればほかの医療従事者も含めて一緒に調べてくれればい いのですが、配置基準みたいなものが、何か規則みたいなものがあって決まっているの か調べて欲しいと思います。薬剤師さんについて言えば薬剤師さんと補助者みたいなも の、そういっては申し訳ないですが、補助者というのは日本では実際にはないわけだか ら、単に補助をしている人という意味で、そういう資格があるわけではないのでしょう けれど、いま全田委員が言われた、外国ではそういう資格があるならば、そういう資格 も含めて薬剤師さんの補助をするという資格者みたいなものがあるのか、あるいはそう いう者が配置基準と言われるようなもので、何らかの規則で定められているものがある のかということを調べて欲しい。真似をするつもりは私は全然ないのですが、参考のた めにもし事務局が調べられれば次回でも次々回でも。年度末までにこれ結論を出さなけ ればならないから、そうゆっくりでは困るのですが、そういう資料が欲しいという気が します。これはお願いです。 ○宮嵜医療技術調整官  いま手元にまとまったものというのは特にないのですが、ご要望にお応えするような 形で。 ○櫻井委員  努力してみてください。 ○宮嵜医療技術調整官  はい、努力させていただきます。また逆に大変恐縮ですが、委員の方でもその辺にお 詳しい方がおられて、いろいろ資料をいただければ幸いですので、よろしくお願いいた します。 ○櫻井委員  いま全田委員が言われたから、そういうことがあれば、そういうものを我々にも教え てほしいと思います。 ○仙波委員  もう1つ、ここにイーライリリーから米国の薬剤師に関する資料を入手したのです が、年代が古いのですが、機能についても書いてあるものですから、検討の資料にして ください。 ○岩崎座長  文献としてご提出をお願いします。ほかにいかがでしょうか。確かにいまの問題、薬 剤業務というふうにすると、本当に薬剤師さんだけの業務なのか、それにまつわるいろ いろの業務をしておられる方が薬局におられる場合もあるということで、いまの問題は 薬剤業務を全般で支えているという意味においては、重要なところかなと私も思ってお りますが、そのほかのご意見はいかがでしょうか。 ○梅田委員  座長、これ以外でもよろしいですか。いまはこれだけに絞ってやっておられますね。 ではこれが終わりましてから。 ○岩崎座長  いまでも結構です。 ○梅田委員  関連があると思うのですが、事務局からご提出いただきました資料2の4頁の表1で す。経過措置から暫定基準への移行時に、標欠になる病院というのがあります。この標 欠になる病院が一般病院では大体77施設。結局一般病院のトータルからしますと10対7 ぐらい。その他の病院では200床以下が47ありますので、それはやはり半分以上というこ とになってくるわけですが、この経過措置から暫定基準への移行ということで、この委 員会としましてはそれがどういうふうになるかというのは、非常に貴重なデータだと私 は思うのです。これだけたくさんの標欠があるということになりますと、この問題につ いては十分慎重な方針で臨まないといけないのではないかと思います。先ほどご説明い ただきましたように歯科大学におきましては、やはり歯科大学の付属病院、あるいは歯 学部の付属病院等が200床未満に入るのではないかと思いますので、この辺のところもも しお分かりでしたら教えていただきたいと思います。 ○岩崎座長  いま事務局、表1で何かありますか。 ○宮嵜医療技術調整官  4頁の表1というわけではないのですが、これはあくまでも仮にこういうことを仮定 したらということですので、今後のこの検討会での議論の推移の中で、こういう考え方 をしたらどうなるのかとかということで、またいろいろ資料なりデータのご要求がある と思いますので、それに合わせて数字をいろいろ事務局で準備をさせていただくという 段取りになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○梅田委員  ありがとうございました。 ○宮崎座長  ほかにいかがでしょうか。 ○櫻井委員  この資料ということではなくて、全田委員に教えてほしいことです。入院患者さんに 対する指導というのは、これはいま先生も言われたように、私も薬剤師の重要な仕事だ と思います。そういう言い方をしていいかどうかは分かりませんが、保険点数的にもわ りといい点数が付いているので、本当は病院のほうも経営的にも活用していただければ いいものですし、実際には患者さんのためにいいことだと思っているのです。外来につ いては、病院の場合でも調剤はもちろんしますし、服薬指導はなさっているのですが、 管理指導みたいなことというのは、病院の外来では医師がやっているからということに なっているので、余りやっていないのでしょうか、その辺のところを聞きたいのです。  なぜそんなことを聞きたいかというと、先ほど入院患者の管理指導のところに、入院 時の記録をとったりするのにものすごく時間をとっているのですね。外から入ってきた 患者さんは別としても、外来治療から入院する患者さんは、結構病院では多くいるはず です。本当は外来でそういう管理が薬剤師さんの手で行われていれば、入院のときにな んでそんなに。つまり逆に言えば入院した時は薬剤師さんにしてみれば、常に初めて薬 歴とか何かを聞く形でやっているのかなというのは疑問に思ったので質問をしたわけで すが、その辺はどうなのですか。 ○全田委員  2つあると思うのです。例えば大学病院というのは、他の医療機関にかかっていて入 院してきます。その場合に紹介状をいただくわけですから、紹介医療施設からのデータ を初め、いろいろなデータが入るはずですが、細かいことは書いてない場合がありま す。大変失礼ですがドクターの視点と薬剤師の視点というのは、ちょっと違いますし、 どこまで薬のことを説明受けているかとか、あるいは複数にかかっている可能性もあり ます。ですからどうしても他の医療機関から来た場合には、こと細かくまず聞くという ことになります。  それから通院されていた患者さんが入院される場合、病状に変化が起こっているわけ ですから、さらにくわしい患者情報を得るために時間がとられるのです。ですからこう いう時間がとられています。 ○櫻井委員  実際に大学病院など、薬剤師さんがたくさんいる所でも、外来の処方に関しては調剤 服薬指導がほとんどであって、いってみれば調剤薬局で行われているような薬歴管理と かいうことは、あまり現実には行われていないということになります。 ○全田委員  調剤したものを窓口で患者さんに渡すときにある程度の説明をしている所では、1人 の薬剤師が現時点では何人の外来患者に対応できるかというデータもいずれ出せると思 うのですが、現時点では外来患者に対して本当に詳しく薬を説明して、薬歴までとると いうところまでは、なかなか手がまわらないというのが現実です。 ○伊賀委員  ただいま櫻井先生のお話で、1つには外来。私どもの所でも院内率は高いのです。日 に400人弱の院内調剤の患者さんがおられます。その方に現在ついているのが薬剤情報提 供加算です。これはドクターの指示に基づいて私どもが副作用情報も含めて書きものに したものもお渡しして、口頭での指導をします。これは10点ですから100円を1人当たり とるということで、300人近くになりますとそのぐらいのお金が1日取れています。  ただし、いま言われたように薬歴管理等は実はフィーが付いていないわけで、調剤薬 局の場合はそれが付いています。もし付いていれば、もし人がさけるのでしたらその高 いフィーであれば、そういうものに関してきちんと対応していけば、収益を上げること は可能です。現在7点から10点にしていただいて、実際に私どもとしては、そういった フィーが付いて薬剤情報提供加算、これはきちんと外来の患者さんに対しても行って取 っています。まだフィーが付いていませんが服薬指導、もっと詳しいお薬相談も、これ はローテーションの関係とかでなんとか可能な限りで実施しているといった施設もあり ますので、将来的に高いフィーが付けば、それだけの人をさいて収益を上げるような形 で、外来患者に対する薬歴管理ですか。実質的には私ども入院患者からの継続という形 で、過去の薬歴等を活用して、現実には外来患者にも引き続き対応がとれるような形も やっています。そういったことにつきましてご参考までに。 ○岩崎座長  ほかにいかがでしょうか。 ○櫻井委員  フィーの話をすれば、入院患者の薬剤管理というのは、相当フィーがいいのです。こ の統計で見るように1名にかかる時間が1カ月で86分で、106名ということですから、1 人薬剤師がいてフルにずっとやると、百何十万円稼げる理屈なのです。そうすると病院 にうんと資することになるはずなのです。必ずしもいま先生の言われたフィーがあれば やるというのはちょっとおかしい。フィーがあってもやっていないではないかという話 に逆論しなければいけなくなるのです。問題はその辺にあるかなとは私は思っていま す。 ○伊賀委員  必ずしもフィーがあるからやる、やらないということではありません。私どもあくま でも先生が言われたように、患者さんのために行うということで、それについてフィー があるかないかという問題が1つの背景としてある、ということですのでご理解のほど よろしくお願いいたします。 ○山田委員  私も周りの人達に薬の問題で何がいちばん不安か、ということを聞いてみましたら、 いまお話がありましたようにほかの病院でいま飲んでいる薬と、あと病気が変わった場 合にその副作用がどうなのか、あるいは相互作用がどうなのかとかいった、薬について の情報をきちんと把握していただきたい。外来のときなどは特にそうですが、自分のほ うから申し出ないとそれに対応していただけない、その辺りがいちばん大きな不安な点 であるという意見がすごく多くございました。  入院に当たっては、薬についての知識を患者自身がどの程度もっているかによっても 違いますが、いまいろいろな事故がありますので、点滴を受けるとき本当に受けていい だろうかとか、そういう心理的な不安がいますごくございますということが多くありま した。その辺をお伝えしておきたいと思います。 ○全田委員  いま外来の患者さんがどういう薬を貰って、それから、ほかの医療機関にかかった時 にどうだろうかということに関しては、いま「お薬手帳」、これ日本病院薬剤師会で作 っているのですが、東大もそうですが、多くの医療機関で手帳を作ってくださっていま す。我々は「薬歴」と呼ぶのですが、Aという患者さんは全国どこにいっても、自分は こういう薬を飲んでいるのですよということで、他の医療機関にかかる時にはそれを持 っていくということで、我々のほうでいいますと、薬の飲み合わせによる相互作用に基 づくいろいろな弊害をなくそうということで、いまこれの普及を図っております。 ○伊賀委員  日薬の立場といたしまして。現在保険薬局側でも、患者さんに対してそういった手帳 の活用をしていただくことを啓発しております。東大病院ではもともとずっと古くから やっておりまして、患者による薬歴の一元化と呼んでおります。これは保険薬局の薬歴 管理とは別ではなくて、それを一体化して、情報を共有化することによって、山田先生 が言われたように患者さんの不安も除けます。多くの医療機関の間の情報の交換が不十 分な現状では、患者さんを介してそういった情報をお互いに持つことによって、良い薬 の使い方ができますし、患者さんの不安も除けるだろうということで、服薬指導に合わ せて、日薬もそうですが、病院薬剤師会もそういった方向で動いていますので、今後良 くなる方向にはいくと思います。 ○山田委員  患者に対する啓発といったことを、もう少ししていただく必要があるのではないかと 思います。たぶんそういったことを知らない方がまだたくさんいると思いますので、是 非お願いしたいと思います。 ○伊賀委員  東大病院では平成5年か6年ぐらいから、患者さんの啓発のためのパンフレットと か、「お薬手帳」を紹介していただいた新聞の記事等を合わせて、新しい患者さんは毎 日100人ぐらいおられますので、必ずその患者さんにはそういったものをお渡ししてお ります。また保険薬局のほうでも、日薬としてもそういったことを進めています。おそ らくそういった啓発に関しては今後とも更に進めていくことになると思いますので、よ ろしくご理解をいただきたいと思います。 ○邉見委員  いま櫻井先生のほうから、フィーの話とか、全田先生のほうから業務の話、梅田先生 のほうから遵守率という3つが出ましたが、いまの暫定基準が決まった時の経緯がこの 3つに尽きるわけです。製剤技術、技術革新、製剤・調剤技術によって減らそうではな いかということで、定員が減った。外来、特に80調剤から75枚になったということで す。それが外来ばかりやっていたのを入院。病院というのは本来入院の業務に重点を置 くべきではないかということで、入院ということでフィーも付いたし、そういう仕事に なっているわけです。まだまだ足りないからいろいろな事件が起こる。リスクマネージ ャーとしての薬剤師の仕事が、まだまだあるのではないかというのが1つだと思うので す。  遵守率に関しましては、あの時点で国立病院でも50%を割っていたわけです。そし て、ある程度のところまでいけるぐらいに落とそうということで、この基準が出たと思 うのです。それが今後、先ほど出たように暫定基準を外すと、かなりやられてしまうと いうところにまた問題がある、というふうに思います。  それから薬価差がどんどん下がっている中で、病院経営の中で薬剤師のフィーが少な いというこの問題もあったと思います。そして、こういうのが決まったわけです。経営 状況の中での薬剤師、いまは病院服薬管理指導室ですか、入院のほうはかなり付いてい ますが、そういうのがみんないけるかどうかと、そういうふうな資料を最終的に、実際 にはこれ業務のタイムスタディだけですが、それにコストとインカム、これが付いてく るともっと議論がすっきりしてくるのではないかなと私は思いますので、もし、そうい うことが資料がありましたらと思います。給料の話とかになってくると思いますから、 なかなか本当のことが出るかどうか、難しいとは思いますが、そういうことがあればも っと議論が具体的になってくるのではないかと思います。 ○岩崎座長  ありがとうございました。それは本論でございます。いま総論的なところを今回が2 回目、できれば3回目ぐらいまでは総論的なことでいきたいと思います。いまの邉見委 員が言われたようなところについて話をもっていかないといけないのかなと、座長とし てはそう思っていますので、次回以降について、いろいろまたご意見も伺いたいと思っ ています。今日2回目のことで何か、次回以降のことを含めてご提案でもあればお伺い をしておくきたいと思います。 ○豊田委員  今日は総論ということですが、薬剤師の点数を決めるという問題については、やはり 薬剤師の業務内容、需給の問題ですね。行政も絡んできますが。それから先ほどから出 ている医療費の問題と、こういった観点から議論をしていかないと、なかなか決められ ない問題だと思います。今日はそのうち業務内容ということが主題だったと思います。 この問題につきましては、私もある調査の仕事で全国のいろいろな病院を見せていただ いて、実際に薬局に入って薬剤師さんたちからいろいろな話を聞いてきているわけで、 今日の病院薬剤師協会さんのお話は了解できる内容なのです。  ただ、言いたいことは、先ほど櫻井委員からも話がありましたが、こういった問題は 常に平均値だけで議論をされると大変間違った結果にいくおそれがあるのです。これは 各論になると思うのですが、今後とも数の扱いについては、平均値だけで判断というの は非常に難しいと思います。  また戻りますが、そういったことで、業務内容につきましても、今日の説明は全て納 得いくわけですが、例えば高次機能の病院などに行きますと、一般の病院には関係がな い、やっていない病院には関係のない治験薬の管理から、そういったことまで含めまし て、かなり高次なことをやられている。そういったことで、いましきりと言われていま す病院機能の機能分担と連携ということで、高次の所では、かなり薬剤師さんの仕事も 煩雑であり、高度なこともやられていることも承知しています。しかしながら、一方で は先ほど精神科・療養病棟の話も出てまいりましたが、そういう所の薬局の仕事のあり ようというのは、これはまた別です。それについては関係団体のほうから、次回以降詳 しい話があると思います。  そういったことがありますので、常に平均値だけで考えていくと、ちょっと的が外れ るおそれがあるということに、常にご配慮をいただきたいと思います。今日のところは そういうことで薬剤師の業務については了解しております。 ○岩崎座長  病院機能に応じた考え方ということが非常に重要ではないか、というような観点です ね。ほかにいかがでしょうか。地域性ということも全体の話の中では出てまいりまし た。なかなか平均値だけで考えるということの危険性といいますか、そういうことで業 務内容についてはかなり今回までで話がずいぶん分かってきたのではないかと思いま す。大変な業務内容になっているということですね。これも平均論でして、確かにどこ に視点を合わせて業務内容を考えるかということになると、千差万別のたくさんの業務 内容があるということだけは、今日のいろいろな資料から判断できるということです。 薬剤師さんの仕事というのは大変なことであるという受止め方を、委員としては受け止 めたのではないかと思います。 ○山田委員  事務局にお願いなのですが、この間、新聞で拝見したのですが、看護協会がインフ ォームドコンセントの実施状況ということで、患者に対しての調査をしたというのがあ りました。私、適切な資料かどうかは分かりませんが、それによりますと、薬について の説明は半分以下ですか、48%ぐらいが「説明を受けていない」と答えているという数 字だけ見ましたので、もし手に入りましたらお願いしたいと思います。 ○総務課長  はい。 ○岩崎座長  ほかに全体的にございませんか。なければそろそろ予定の時間もまいりましたので、 本日はここまでとしたいと思います。本日ご議論をいただいた事項、その他、いろいろ 要請がありましたので、それも含めて次回も引き続き総論を加えながら、少し各論に向 けてのご議論をしていただきたいと思います。次回の日程につきまして事務局からご連 絡をお願いいたします。 ○宮嵜医療技術調整官  次回につきましては、7月中の開催を目途に委員の皆様方のご都合を改めて調整させ ていただければと思っています。後日ご連絡をさせていただければと思いますので、よ ろしくお願い申し上げます。 ○岩崎座長  今日は次回の日程は決めないで7月ということでお約束をいただいて、あと日程の調 整をそれぞれの委員の先生方にさせていただく、ということになると思います。本日の 審議はこれで終了させていただきます。大変お忙しいところをご出席いただきましてあ りがとうございました。  照会先 医政局総務課 宮嵜、鯨井 内線 2513