01/05/16 第3回独立行政法人評価委員会議事録             第3回 独立行政法人評価委員会議事録                            平成13年5月16日(水)                            於:厚生労働省省議室 出席者  黒川委員長、大久保委員、開原委員、岸委員、坂本委員、篠原委員、      田村委員、中窪委員、古郡委員、堀田委員、安井委員 1.開会 ○ 黒川委員長  それでは定刻になりましたので、第3回独立行政法人評価委員会を開催いたします。 今日は今回、初めてご出席になります委員ですが、東京大学の大学院、新領域創成科学 研究科の田村昌三先生です。一言、どうぞ。 ○ 田村委員  東京大学の田村です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 黒川委員長  ありがとうございます。今日は井伊委員、五十嵐委員、井原委員、渡辺委員という4人 の委員が欠席ですが、審議事項に進まさせていただいてよろしいでしょうか。 2,審議 ○ 黒川委員長 お手元に今までの資料がありますので、大変膨大ではありますが何かありましたらお目 を通していただきたいと思います。 独立行政法人制度が始まりまして、先生方に今まで伺ったところは、ポイントとしては 中期目標を設定し、それを達成するために中期計画を策定することなどでしたが、今 後、法人として財務のある程度の弾力性を持たせる、情報の公開、透明性の確保、定 期的な見直しなどを行うということでアドバイスをいろいろいただきたいと思います。 大変な仕事ではありますが、今日の議題はここにありますように、まず、1として役員 報酬規程、すなわち役員に対する報酬の基準、2として年度計画、さらに3としてこの 委員会において事業年度終了後にそれぞれの法人の実績の評価を行うときの評価基準に ついても審議したいというふうに考えております。 そこでお手元に資料1から3がありますが、これについて議題にしますので、事務局か らまず説明をしていただいて、それから先生方のご意見をいただくというふうにさせて いただきたいと思います。よろしいでしょうか。それではお願いいたします。 ○ 中垣研究企画官  それでは厚生科学課でございますけれども、資料1に基づきまして独立行政法人国立健 康・栄養研究所の役員給与規程並びに役員退職手当支給規程についてご報告をさせてい ただきたいと存じます。 資料1の1頁をご覧いただきますと、総則から末尾の付則まで定められておるわけでご ざいますけれども、主な事項は1頁目のちょうど中程にございます第4条俸給の規定で ございます。 まず、1号といたしまして理事長については一般職の職員の給与に関する法律、すなわ ち国家公務員の一般職でございますけれども、この指定職俸給表の7号俸に相当する額 を越えない範囲で別に定めるという形で規定がなされております。 この指定職の俸給表7号俸という根拠でございますけれども、従来の国立の時代の健康 ・栄養研究所につきましては、その職員数でございますとか、業務内容でございますと か、こういうものを基に指定職の俸給表の7号俸が長く採用されてきたという経緯がご ざいます。また、運営費の交付金の積算にあたりましてもそのような経緯を踏まえて7 号俸ということで積算が積み上げられております。このような観点から7号俸を上限と いう形で規定がなされたというふうに報告をいただいております。 次に2号の理事と3号の監事でございますが、いずれも6号俸に相当する額を超えない 範囲という形で規定がなされております。これは先にご説明申し上げました1号の理事 長が7号俸であるということを勘案いたしまして、上限として6号俸という規定にされ たものでございます。 なお、先生方、既にご存じのとおり、3号の監事につきましては非常勤という形で当 面、対応を図るということでご相談申し上げているところでございまして、非常勤につ きましては日割計算をした上でそれに相当する額を月給としてお支払いするということ で決定がなされておるというふうに報告を受けております。 その他、1頁目の末尾、調整手当、給与の支給日、あるいは2頁に入りまして日割計算 の規定、通勤手当の規定、期末特別手当の規定、そのような規定につきましてはいずれ も国家公務員法の規定と同様の規定になっておるということでございます。 次に役員退職手当の支給規程についてご説明を申し上げたいと存じます。平成13年4月 1日規程第4号というものでございます。 ここの一番根幹となります規定は第3条、ちょうど上から3分の1ぐらいのところでご ざいます。退職手当の額がここに規定されておりまして、在職期間1月について俸給月 額に100分の36の割合を乗じて得た額とするということを基本として、この規定はなさ れております。 この100 分の36の根拠でございますけれども、他の独立行政法人の検討状況でございま すとか、あるいは既にございます厚生労働省傘下の特殊法人、あるいは特別認可法人、 そのような法人の規程でございますとか、それらのものと同一の割合ということで規定 がなされたものでございます。 なお第3条の2項に前項の規定による退職手当の額は、厚生労働大臣の承認を得てその 職務実績に応じ、これを増額し、又は減額することができるというふうに規定されてお りますけれども、厚生労働大臣がこのような形で強く関与するということは独立行政法 人の趣旨にあわないということから、ここの厚生労働大臣の承認を得てというのは改正 し、削除をするということを予定しておるというふうに報告をいただいております。 その他の規定、第4条の在職期間の計算、あるいは第5条の再任等の取扱い、あるいは 2頁以降、遺族の問題でございますとか、支給の一時差止めの規定でございますとか、 このような規定につきましては、さきほど申し上げましたその他の特殊法人の規程と全 く同様に規定されておるというものでございます。以上でございます。 ○ 黒川委員長 さて、今のご説明で何となくわかったでしょうか。一応、公務員の今までの規定に準じ てやっているということが基本であります。 監事ですが、当面、非常勤ということですから、非常勤は非常勤でどのような計算です るかということを説明いただいたというわけであります。何かこれについてご質問は。 ○ 唐澤政策評価官  先生、安全研と産医研も同じですので、さっと併せてご覧いただきたいと思います。 よろしくお願いします。 ○ 黒川委員長  資料2及び3ですね。 ○ 唐澤政策評価官  はい。 ○ 浅田調査官  安全衛生部計画課の浅田でございます。独立行政法人産業安全研究所と産業医学総合研 究所の役員報酬規程及び役員退職金規程について簡単にご説明いたします。基本的構成 につきましてはさきほどご説明のありました栄養研とほぼ同じでございます。 資料番号2の安全研究所の役員報酬規程をご覧になっていただきますと、一応、根幹部 分である報酬の基準は第3条に規定されております。理事長については指定職俸給表7 号相当額。理事、監事につきましても同じく6号俸相当額ということで、これも栄養研 と同じでございます。 また、その根拠となりました考え方についてもさきほどのご説明と同じように以前、安 全研究所の所長の俸給が職員数、業務内容等を勘案して従前から7号俸であったという ことからそのまま移行したものでございます。理事、監事につきましては理事長より1 ランク下というものでございます。 その他につきまして、一部、違うところがございます。例えば第5条の特別調整手当、 これは栄養研の場合、100 分の12でございますが、これはいわゆる都市手当でございま すので、場所が清瀬市ということでございますので、100 分の10、これも国家公務員の 一般職給与法と同様の規定でございます。その他、第7条の期末特別手当、その他につ きましては一般職給与法をそのまま準拠しているというものでございます。 続きましてその後ろにございます産業安全研究所の役員退職金規程でございますが、こ の退職金の額につきましては第3条に規定をしております。この100 分の36というもの も基準も要件等、全く同じでございます。また、考え方もさきほどご説明のあった他の 独立行政法人であるとか、特殊法人等と横並びで定められた額と聞いております。その 他につきましても国家公務員退職手当法に準じております。 退職金の額の増減につきましては第3条の2項に規定してございまして、民間の役員退 職金の水準等を考慮して、これを増額し、また、減額することができるというような規 定も置かれておるところでございます。 産業医学総合研究所につきましても若干、表現の違いはございますが、実質的な意は全 く同一でございますので省略させていただきます。以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。ちょっと違うところが1か所だけあって100分の12と100分の 10というのは場所によって違うのだというご説明がありました。これも公務員関係法で 規定されているのだと思います。 退職金のところで理事長にあっては職務実績に応じて増したり、減らしたりしていいよ というのは、ここが結構、そうすると厳しいことを言うのかな。それはかなりアビトラ リーですが、今まではどうなんでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官  今までは国立研究所ですから、そういうことはありません。これから例えば大変素晴ら しい業績が上がって収入も相当に入ってきてしまったというようなときに初めて議論に なるのではないかと思います。いつ、起こるかということ、私にもまだわかりませんけ れども。 ○ 黒川委員長  この条文が出ているということは、この条文は今までのいろいろな特殊法人とか、そう いうのには書いてあるわけ。 ○ 小山計画課長  独立行政法人に係るこのような増減規定は退職金、役員の報酬、給与の規程のところに 同様の規定が、実はさきほど説明がありましたが、されております。これについては従 来、国家公務員、あるいは特殊法人については同様の規程はございませんでした。 ○ 黒川委員長  お手盛りはできないようになっていたということですね。 ○ 唐澤政策評価官  はい。今まではもう全部並びで処理されております。 ○ 小山計画課長  額は決まっておりました。 ○ 黒川委員長  そうですか。ということだそうですが、これについて何かコメントがありますか。 特にありませんか。 ○ 中窪委員  規程の仕方が最初の国立健康・栄養研究所の方は主語がなくて、退職金の額は増額、ま たは減額する方式になっておりまして、こちらの産業安全研究所の方は理事長はという 形になっているのですけれども、健康・栄養研究所の方ではこれはいったい誰が決める のかということがひとつの疑問です。 もうひとつ、理事長が自分で自分の給料を上げるということもできるような規定になっ ておりますけれども、その点については何らかの歯止めはないのでしょうかというのが 産業安全研究所の方についての質問です。 ○ 中垣研究企画官 まず、1点目についてご説明申し上げます。さきほど申し上げましたとおり、ここの2 項の規定は大臣の関与を削除するという改正と同時に、主語は理事長でございますの で、主語を明記するように改めるという改正をやりたいというふうに考えております。 また、さきほど来、ご指摘いただいております増額、あるいは減額できるという規定で ございますが、これは独立行政法人の基本的な法律の中で役員の報酬等の支給の基準と いたしまして国家公務員の給与、民間企業の役員の報酬など、当該特定独立行政法人の 業務の実績及び中期計画の人件費の見積もり、その他の事情を考慮して定められなけれ ばならないというふうに規定されておりまして、また、もうひとつの規定といたしまし ては役員に対する報酬及び退職手当はその役員の業績が考慮されるものでなければなら ないという規定もあるわけでございます。 したがいまして、それらの業績に基づいて、あるいはその実情に基づいて増額、あるい は減額をするという規定が入れられたものだというふうに考えておりますけれども、こ の結果につきましてはどのような手当てをしたかということは、この委員会にまた報告 していただいて、業績が上がっていないのに増額しておかしいではないかとか、もっと 減額すべきではないかとか、あるいは基本はこういう規定があったとしても、この業績 では減額すべきではないかとか、そういうふうな評価というものはこの委員会に委ねら れておるというふうに考えております。 ○ 黒川委員長  その他に。今のところ、退職金について議論になっていますが、理事長も含めた役員に 関しての退職金ですよね。民間企業の役員退職金の水準を考慮するというのは、これは 国立健康・栄養研の方には書いてないような気もするのだけれども、だんだん民間はそ んなもの自体がなくなってくるときはどうするのでしょうか。退職金がなくなって年俸 制になってくるから。 ○ 中垣研究企画官  さきほどご紹介申し上げましたように独立行政法人の通則法の中に民間の水準と書かれ ておりますから、先生がおっしゃっておりますようにだんだん年俸制に移行していって 退職金がなくなるとか、あるいは退職金のその勤務年数、それ毎の支払いという形が出 てくるとは思うのですが、法律の整合性から言うとなかなかご指摘の点は対応しにくい ところだと思います。 ○ 黒川委員長  この上の通則法か何かにそれが書いてあるから、国立健康・栄養研の規程には書いてな いけれども、それがカバーしているということですね。 その他に。よろしいですか。それではその資料1、2、3につきましては一応、このよ うなことということで、次は年度計画について説明いただくわけですが、役員報酬はこ れでよろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。 それでは次に年度計画についてということで、説明をしていただきたいと思います。 よろしいでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 それでは健康・栄養研究所の吉池でございます。資料4をご説明いたします。 年度計画でございますが、これは中期計画と横並びで整理してございまして、本日、時 間も限られておりますので、特に今年度、特段の書き込みをしたところについて説明を させていただきたいというふうに思います。 まず、第1ですけれども、業務運営の効率化に関する目標を達成をするためにとるべき 措置ということで、効率的な運営、業務運営体制の確立、両括弧で効率的な運営業務体 制の確立とございます。その中のア、イがございますが、組織体制といたしまして現行 の組織体制を見直し、5月1日を目途に業務の目的、内容に応じた区分による組織改正 を実施する。イとして重点調査研究業務の各調査研究課題を審査決定し、5月までに各 プロジェクトチーム(研究系)を発足させ、調査研究を実施するというふうに計画を立 ててございます。これに関しては5月15日、昨日、新たな組織として立てたところでご ざいまして、その組織がプロジェクトチーム(研究系)ということで業務にあった、即 した組織ということに改定してございます。 また、研究員については採用期間を考慮し、資質の高い人材をより広く求めるというこ とで、現在、新たな研究員については、いわゆる期限付き採用ということで考えており ます。 (2)でございます。内部進行管理の充実ということでございますが、その中のイで業務 の進行状況についてどのような措置をとるべきかということで、(仮称)内部評価委員 会を設け、適正かつ客観的な基準に基づく点数制による把握・評価を行うとしており、 仮称ということでございますが、この準備を進めているところでございます。 (3)業務運営の効率化に伴う経費節減ということでございますが、これに関しましては 中期計画と同じような整理をしてございます。また、その中のイの運営交付金以外の収 入の確保ということで、中期計画では外部からの競争的研究資金というふうな書き込み でございますが、より具体的なものといたしまして厚生科学研究補助金、あるいは財団 法人ヒューマンサイエンス振興財団からの受託研究等ということで書かせていただいて おります。 続きまして第2番目でございます。国民に対して提供するサービス、その他の業務の質 の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置ということでございますが、その大 きな1で社会的ニーズの把握というものがございます。ここにおきましては、より具体 的な書き込みといたしまして健康・栄養に関連する諸団体、日本栄養士会、日本栄養改 善学会等との意見交換等を四半期に1度を目途に実施するというふうに計画を立ててご ざいます。大きな2番目の行政ニーズ及び社会的ニーズに合った調査及び研究の実施と いうことでございますが、これは中期計画中の具体的な研究調査項目としてあげている ものでございまして、中期計画の書き込みと基本的には同じものになっております。 その次の基盤的研究、あるいは栄養改善法の規定に基づく業務というものも既に中期計 画でご説明しているとおりのことでございます。 また、飛びまして4頁目でございますが、そこで外部評価の実施及び評価結果の公表と いうことがございます。これに関しては中期計画に書き込んでおるのと同じ形で各研究 課題における研究計画、研究の進展度、研究目標の達成度等を的確に評価し、適切な研 究業務を推進するため、外部の専門家、有識者による研究評価委員会を開催するという ことでございます。また、その内容については研究所のホームページにおいて公表する というふうにしております。 また、4番の成果の積極的な普及及び活用ということでございますが、これは具体的な 数値が出てございます。 まず、(1)の学会発表等の促進ということで中期計画ではこれは5年間の目標というこ とで5年分の数値が出されてございます。今回、年度計画といたしましては5年間で学 会発表300回、あるいは論文発表200 報というのを単純で5で割るような形にさせてい ただきまして、それぞれ60回以上、40報以上となるよう研究成果の発表を促進するとい うふうに書かさせていただいてございます。  その他、インターネット、講演会等の開催をあげています。講演会等の開催でございま すが、研究所の一般公開を春に実施し、主要な研究成果の紹介及び研究施設の公開を行 うということで、これにつきましては既に4月の科学技術週間にあわせまして一般公開 をしているところでございます。 大きな5番以降、国内外の健康又は栄養に関係する機関との協力の推進ということで、 (1)、(2)と項目をあげてございますが、これについては基本的には中期計画と同じも のでございます。以上です。 ○ 黒川委員長 ひとつひとつでやっていってよろしいですかね。国民健康・栄養研のところで1回、質 問させていただいてよろしいでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官  そうですね。では。 ○ 黒川委員長  よろしいですか。それでは今年度の計画ですから、前の中期計画に書いてあるところの 書き込みが増えているところと減っているところがありますが、例えば具体的な案がプ ロジェクトとして書き込んであるというところで前より少し増えているということがあ ります。何かご質問ございますでしょうか。 独立行政法人では研究施設とか設備の稼働状況においていろいろ共同研究とか、少しよ そで使っても、有効利用ということから言うと機械も含めて非常に意義のあるというこ とは書いてあるわけですが、こういうときにはフィーを取るなんていうことを考えるの ですか。あまり大学とか、こういう国立系のところはあまりそういうことをしたことが ないのだけれども、私のところの東海大学はもうラボはレンタルフィー、研究費取れな い人はもうだめだよと言ってレンタルフィー、月々ではないけれども、毎年、取るよう にしたのですけれどもね。研究費をシェアするという意味からそういうことができるの ですか。共同研究だから。 ○ 中垣研究企画官  当然のことながら、そういうことが考えられるのだろうと思います。ただ、一方では運 営費交付金で運営されておりますし、例えばレンタル、あるいはリースで貸すほどのス ペースがあればそれはどうするのだというような問題も出てくるではないでしょうか。 ただ、中期目標、あるいは中期計画の中にも書かれておりますように、機械、設備の有 効利用という観点から言うと当然のことながら外部の方々にも活用していただくという ことは考え、また、それをフィーとしてお支払いいただくということも考えるべきだと 思っています。 ○ 黒川委員長  共同研究ですから、消耗品とかいろいろなことについてはどういうコストかという話が 両方で話が出るでしょうから、そういうことでしょうね。コストシェアリングの問題で す。 さて、ヒューマンカロリーメーターを用いて具体的にその話をやり始めるということが 今度、新しく出ていますけれども、これはいくつぐらい使うのですか、この予算で大丈 夫ですか。要するにいくつぐらい買って、いくらぐらいするのかというのは全然わから ないので教えてもらいたいと思います。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  まず、ハードにかなり予算をつぎ込んでおるところでございまして、ハードの整備はほ ぼ完了しておりますので、あとはランニングコストということになるかと思います。 ただ、残念ながらこれは被験者の方に丸々1日以上、泊まっていただかなければいけな いので、フルに稼働しても300 人もできないというようなことでございますので、ある 程度、軌道に乗ってくればその稼働自体のランニングコストはそれほど大きくはない。 ただ、その実験系によってその他の例えばいろいろな血液検査をする、その他、研究計 画上、いろいろな条件でするということになると、コストをかけようと思えばいくらで もかかる実験になるということになるかと思います。 ただし、基本的に今、考えてございますのは、栄養所要量、いわゆるいろいろな複雑な 実験というよりは日本人の基準値を求めたいということでございますので、比較的複雑 な仕組みではなく、地道にデータを整えていくということで、この予算の中でやらせて いただきたいと思っております。 ○ 黒川委員長  開原委員、どうぞ。 ○ 開原委員 私も今後、どういうふうになるのか大変興味があるので伺いたいのですが、多分、今、 話を伺っているとプロジェクトチーム的なものを発足させておやりになるというふうに 理解したわけですけれども、そういう場合に予算的な管理もプロジェクトチーム毎に具 体的になさっていくというようなことをお考えなのか、どうなのか。 外部からお金を取ってくるという話がまたあるわけですね。そういうような場合には取 ってきたお金というのはそのプロジェクトチームの中で全部使ってもいいのか。 その辺のところはどんなふうに運営なさることを考えておられますのでしょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 まず、プロジェクトチームといたしましては、計画であげられております重点調査研究 業務という、いわゆる、我々、3つの柱と呼んでいるものを中心に組織、あるいはプロ ジェクトチームを組んでいったということでございます。 当然、チームの枠にはまらない、あるいはむしろ横断的に行った方がいい研究課題もご ざいますし、あるいは個々の研究者が競争的研究資金を取って個別に進めるべき研究も あるということになるかと思いますので、やはりそれぞれの目的、あるいはどのように 運用していったらいいかに応じてやはり研究資金の使い方、運用の仕方も変わってくる のだろうと思います。 ただ、特に中期計画に盛り込まれている3つの重点課題の他にもいつくかございます が、それについては特に内部の進行管理をきちんとして責任者、リーダーもはっきりさ せ、あるいは研究費の支出、あるいは運営も透明化してというふうに思っております。 それプラス個々の研究者がやる研究について個別、非常に細かい調整というのは現実的 には難しいかなというふうに考えているところでございます。 ○ 黒川委員長 だけど、実際は通常の業務的なことというのは随分あるわけですね。国民栄養調査と か。その他にそういう個別の研究をやることをエンカレッジするということですよね。 そうなると土曜、日曜も研究者がやっていいわけですね。セキュリティの問題があるけ れども、やっていいわけですね。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 現実に動物実験、あるいはヒューマンスタディ等でも数週間、数か月続くものもござい ますし、そうでない部分についても研究者、自主的には土曜も日曜も来てという状況で すので、それが組織運用上、電気代がかかり過ぎるとか、そういうことでなければこれ からもそんな状況になるかなというふうに思っております。 ○ 開原委員 もうひとつ、4のところの成果の積極的な普及及び活用というところなのですけれど も、学会発表等の促進というのはこれは当然そうあっていいのだと思うのですけれど も、ただ、今、委員長がおっしゃったようにおそらく研究所の役割としては学会発表で きるような研究も当然あるのだろうけれども、そうでなくて非常に日常的にきちんとや らなければいけないようなそういう仕事もあると思うのですね。 これは病院でもいつでも問題になるのですけれども、一生懸命になって日常的なことを やっていると学会発表ができなくなる。学会発表ばかりやっていると日常的な仕事の方 がおろそかになる。そういうようなアンバランスが起こらないようなうまい評価方法を 考えていかなければいけないのとは思っておりますが、ここのところでは学会発表等の 促進ということだけがあがっているということがちょっと心配な感じもするのですけれ ども、そこのところはいかがなものですか。 ○ 田中理事長  お答え申し上げます。今のところ、評価は3つの階層に分けてやろうと考えておりま す。第1階層は研究所全体、第2階層は各部レベル、第3階層としては個人レベルで評 価する予定です。 それぞれの階層における評価項目としましては、大きくこれも3つに分けております。 つまり学術的評価、これが今、先生、ご指摘のことを中心としたものであります。もう ひとつは、行政的な対応に対する評価といったことをある程度、指数化することも考え て評価しようとしております。もうひとつは、社会的貢献ということについても評価し ていこうと思っております。このように3階層に渡る3大項目別の評価ということを 今、検討中でございます。過去3年間を基準値として、今年1年間、あるいは中期計画 5年間でどれぐらいやっていくのかを、各自に目標を立たせ、その達成度を評価してい くと、このようなシステムを現在、検討中でございます。 ○ 開原委員 どうもありがとうございました。 ○ 大久保委員 ひとつは、実はさきほどもお話がありました成果の積極的な普及及び活用、この分野で ございますけれども、もちろんそれは非常に大切なことですけれども、もうひとつは、 医学系の場合にはやはり個人情報等もございますので、ある程度、リスクマネジメント を含めた管理体制をきちんとどのくらいとれるのかどうか、とっていらっしゃるかどう かといったようなことも評価のひとつの対象になるのかなといったようなこともござい ます。 間接的にはそれが社会的にどの程度、有効に使う形になっているかということにも多 分、つながってくると思いますけれども、そこのあたりはどのようにお考えでございま しょうか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 貴重なご指摘、ありがとうございます。私どもの方、業務としても国民栄養調査という 非常に大きな個人データを取り扱っておりますので、ここの計画、あるいは目標のとこ ろにはそういう書き込み、具体的なところはあまり見えませんけれども、当然、内部の 管理、進行管理のところには当然、そういうセキュリティの問題をどうするかというこ とも含まれているつもりでございますし、そのような具体的な事柄については従来から 内規的なもので管理しておりますし、これからさらに厳重に管理調整していきたいとい うふうに思っております。 ○ 堀田委員  3つほど、お伺いしたいのですけれども、ひとつは基礎的な研究、あるいはその前の重 点調査の中で食品成分とありますけれども、この中に添加物、これは栄養と関係のな い、形を良くするための添加物、色を良くするような添加物、あるいは食品を作るため の化学肥料、一般的に用いられているようなもの、そういうものも含めて研究されるの か。そういうものが使われている食品が多いと思いますけれども、そういう点は無視し て単に積極的に栄養素だけについての研究に絞られるのか。もし、絞る場合には一般的 にその添加物、あるいは化学肥料の危険性等について国のどういう機関が研究してお り、そことどういうふうな連携をとられるのか、その点が質問の第1点であります。 第2点は今の大久保委員のご発言にも関連するのですけれども、これは税金を使って基 礎的な研究をするわけですから、当然に国民の知るべき情報というものは早く開示さ れ、あるいは一般民間会社が大いにそれを活用するような措置を講じなければいけない と思うのですけれども、ひとつは研究された結果の知的所有権、これはもう一切、放棄 されて、成果が得られればすべて公開していくという態度をとられるのか、それともあ る程度の知的所有権を留保されるのかという質問です。 3番目の質問はそれと関連しまして、大いに知らしむべき情報について、予算を見まし てもあまり広報費等をとっていないと思うのですけれども、そういう点はどの機関がど ういう費用でどういう手段で広報していかれるのかということです。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 まず、第1点目でございますが、いわゆる食品中に本来はない方がいいと思われるよう な化学物質、添加物、残留農薬等について、特に毒性の評価等につきましては厚生労働 省の別の機関がございまして、そちらの主な所管業務となっております。 ただ、私どもの方でも例えば食品添加物と言われているものの中でも栄養成分が関連し ているものがある。あるいはいわゆる化学の毒性に近いところは別の所管になるかと思 いますけれども、より人間の実生活の中でどういう形でどのくらい口に入るのか、いわ ゆる食生活に近い部分での評価というものは一部、私どもの方の仕事になるというふう に思っております。その辺、あとで厚生科学課の担当の方からご追加いただければいい と思いますけれども、それぞれの機関の役割分担というのはされているのではないかと いうふうに思っております。 ○ 堀田委員  ネットワークはどうですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 その辺は同じ厚生労働省の所轄課がございまして、そこでのいろいろな検討委員会、あ るいは研究班等で一緒に仕事をしていくということが中心になろうかと思います。特 段、それについて研究所同士で連絡協議会を設けるというようなことは現在、ありませ んけれども、全体的な行政の機能としては、まず、厚生労働省の担当課があるのかなと いうふうに我々は認識しております。 また、2点目でございますが、知的所有権の問題、それもいくつかの場合に分けられる と思います。特に特許等に絡むものについてはそれなりの措置をすると、あともうひと つは、いわゆる学術的な部分の公表の仕方といったときには、やはりこれは学問の世界 でのルールというか、論文として発表して、その中で成果を伝えていくということもご ざいましょうし、データの出し方についてもいろいろな形があるのかなというふうに思 っておりますけれども、具体的にどこまでの結果をどこまで出すかということについて は現時点ではケースバイケースになるのかなというふうに思っております。特に中に留 保しようと、外に開示をしないというつもりはございませんけれども、これは通常の研 究のルールに従って研究データ等は出していくのかなというふうに思っております。 3番目の広報費についてでございますが、これは我々も非常に考えなければいけないこ とだなというふうに思ってございます。確かに組織的にも比較的規模が大きく、予算規 模も全体が大きければ広報費はそのための組織を整えたいところではございますが、な かなかそこがままならない状況にございます。 そうしますとうちの方で研究部といたしましては、ただ単に広報するということではな くて、より積極的に健康情報をどう伝えるのか、あるいは健康教育をどう進めるのかと いう研究をする部署がございますので、そういうところである意味では研究的な意識を 持った上で情報をどのように一般国民の方々に伝えていくのかと。それが十分うまく伝 わるのかとか、そういうことも含めて対応していきたいと思います。研究費の中にも健 康情報関連の研究費というものがございますので、そのような財源を用いながら研究も 進め、しかも、我々の研究成果を外に伝えていく努力というものをしたいというふうに 思っております。 ○ 堀田委員  どんなセクションですか。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 それが昨日の組織改変で作ったセクションでございますが、従来からも私ども、非常に 健康情報の巷での様々な氾濫、混乱というものを大きな問題と捉えておりまして、より サイエンティフィックな情報をどう整理して、どう伝えるかということで、もう3年ほ ど、そういう研究を進めているところでございます。 ですから、そのような研究をしてきた担当者が中心となりまして健康栄養情報教育研究 部というものを、昨日、組織として打ち上げたところでございます。 ○ 開原委員 今の堀田委員のご質問で大変素人的な質問がしたくなったのですが、遺伝子組み換え食 品の安全性というようなものはこの研究所の対象になるのものなのですか。それともこ れはまた別なのですか。 ○ 中垣研究企画官 食品の安全性、先生ご指摘の遺伝子組み換え食品も含めまして国立医薬品食品衛生研究 所で所管して研究を進めておるところでございまして、さきほど堀田先生からご指摘の あった食品添加物の安全性、あるいは残留農薬につきましても医薬品食品衛生研究所で 研究を進めておるところでございます。さきほど堀田先生からご指摘のあった連携です が、こちらで衛生生理学なところをやっておって、一方、食品成分のひとつとしての研 究があるのも、また、間違いございませんし、連携がうまくいっているのかという点に つきましてはもう少し考えなければいけないかなと思っております。 ○ 黒川委員長 それについては他の研究所と共通のものもあると思うので、そのあとの2つの研究所の 方も伺った上で共通の問題、あるいは特異の問題というふうに分けながら聞いてみたい と思います。資料5、6に従いまして産業安全研と産業医学研と両方から伺いたいと思 いますがよろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。どうぞ。 ○ 鈴木研究企画調整部長  産業安全研究所の鈴木でございます。時間も限られているようでございますので簡単に 説明をさせていただきます。 お手元の資料5でございますが、これは以前、ご審議いただいております中期目標、中 期計画と大中小の項目は一致しております。13年度の計画については13年度分をそこに 落としたという形になっております。 まず、1頁目の第1、業務運営の効率化に関する目標、これを達成するためにとるべき 事項ということで2つ、項目がございます。まず、1番目、効率的な業務運営体制の確 立ということでございますが、そこにありますように組織を柔軟なものにすると、内部 進行管理については内部評価会議、あるいは業務を記録管理するシステムを構築すると いうようなことを計画しております。また、業務運営の効率化に関しましては外部委託 業務の見直し、あるいはインターネット等による広報というようなことを考えておりま す。 具体的には私ども、4月1日の独法のスタート時点で以前あった4つの研究部、これを 変えましてひとつの研究部ということにして中に5つの研究グループということで組織 替えをして対応しようとしております。 2番目、効率的な研究施設・設備の利用ということでございますが、共同研究の実施、 その他によりまして施設・設備を効率的に活用していこうということを考えておりま す。 2頁目に移らせていただいて、第2、国民に対して提供するサービス、その他の業務の 質の向上に関する目標、これを達成するための事項ということで大きく5つほど、項目 をあげております。 1番目は、労働現場のニーズの把握ということで第一線の安全管理者等を対象といたし まして情報交換会を開催するということを計画をしております。 2番目の項目、労働現場のニーズ及び行政ニーズに沿った調査及び研究業務、そこには (1)、(2)、(3)、(4)、(5)とありますが、まず、この(1)、(2)が私どものメイン の業務ということになるかと思います。まず、プロジェクト研究、これは中期目標の方 に4つの重点研究領域ということが示されております。13年度に限りましてはその領域 中の4つのプロジェクト研究を実施する予定にしております。 次の頁、基盤的研究でございますが、これは私どもの研究所の研究能力の涵養というよ うなこともありまして実施をするわけですが、13の領域で28の課題について研究を実施 するという計画になっております。 次の頁、4頁の(3)、労働災害の原因に関する調査・研究、これも私どもの研究所では 主要な業務なわけですが、行政等と連絡を密にとりながら労働災害の原因調査というこ とを計画しておりますし、実際、昨年度から引き続いて災害調査の業務を行っているも のがございます。(4)、(5)につきましては付随してやる業務でございます。 その下、3、外部評価の実施及び研究結果の公表ということで、私どもでは従来、外部 の先生方にいろいろプロジェクト研究、その他の評価をいただいております。それも継 続した形で行うということにしております。 次の頁、成果の積極的な普及・活用ということでございますが、さきほどもお話がござ いましたけれども、学会発表の促進、インターネット等による公開、さらに一般誌への 寄稿と、私どもで従来からあります刊行物、これはそこにありますようにいろいろなも のがございますが、計画どおりやっていきたいというふうに思っております。 (3)の講演会,これも従来、私どもでやってきたものでございますが、数を増やしてさ らに進めていきたいと思います。一般公開は科学技術週間に併せまして先日、実施をい たしております。知的財産の活用、これも私どもは基本的に外に開示するという方向で 考えております。国内外の産業安全関係機関との協力ということでいろいろな大学、そ の他から学生さんを受け入れるというようなことも従来どおりやっていきたいというふ うに考えております。 ちょっと省略をさせていただきまして、第3、予算、収支及び資金計画でございます が、基本的には中期計画に示されてあるものの5分の1というような形で13年度の計 画を立てております。 第4、短期借入金の限度額ということでございますが、これは基本的には予算の約1割 ということで想定をしております。 第5、その他主務省令で定める業務運営に関する重要事項ということで、人事に関して は公募による選考採用ということを基本的な方針としております。施設・設備ですが、 13年度に関しては私どもではございません。他の年度でいくつか予定をしております。 以上、簡単でございますが紹介をさせていただきました。 ○ 黒川委員長 それでは続いて産業医学研の方からよろしくお願いします。 ○ 斉藤企画調整部長  産業医学総合研究所の斉藤です。資料6に基づいて私どもの研究所の平成13年度計画と いうことで紹介させていただきます。 ただいまの前の資料5の産業安全研究所と中期計画等のそれぞれの書きぶりが重なって おりますので、特に私どもの研究所で今年、新しい事項について紹介させていただこう と思います。 まず、1頁の1、(1)のロで、組織体制の見直しというところで上3分の1ぐらいのと ころです。私どもで独法化する前とほぼ同じ組織で移行いたしました。今年度、いろい ろな方々の評価結果を踏まえて組織体制の見直しを行うということを掲げております。 次にその下の(3)のハとニでございます。ハとニというのは私どもが従来では関係省庁 に関する競争的資金というのはかなり導入しておりましたけれども、それとは別に新た に受託研究規定というものを整備しているところであります。現段階で既に実績として 今年度、新たに外部から委託研究というものを受けることが決まっております。 ニとしてそれとは別に自己収入の確保といういうことで研究施設設備の有償貸与、これ はさきほど黒川委員長からこういうことがあるのかというご指摘ありましたけれども、 私どもでは、ぜひ、有償貸与、私どもの研究所で発行している『Industrial Health 』 というジャーナルがございますけれども、そういったものを含めた成果物の有料頒布と いうものを考えておりまして、これは業務方法書に対価の徴収を可能とした規定が既に なされておりますので、その対象にしております。 それとは別にまた自己収入の確保で具体的なこととしてはいくつか私どもの研究員が成 果を反映させた技術指導、あるいは講演会講師といった形で外部へ貢献するというのも おこがましいのですけれども、外部と連携している、その際、従来はしばしば無償でボ ランティアベースでやっていたようなこともあるのですけれども、それを研究所の収入 としてできるような基準を作りつつあります。これは新たな作業です。その場合、若干 の間接経費というものを研究所としていただいて、その他、研究の活性化に使おうと、 そういう目的であります。 2頁の上の方の効率的な研究施設・設備の利用というのは、これはさきほど言いました 研究施設の相互多利用、多くは無償貸与でやっていたことをどこまで有償で可能になる かというのを検討するためのワーキンググループを作っております。 2に移りまして国民に対して提供するサービス、その他の業務の質の向上に関する措置 ということで(1)の中に書いてありますけれども、労働衛生重点研究推進協議会という ものの構想を作りまして、現在、委員の先生方に委嘱する準備を進めておるところであ ります。 (2)の労働現場のニーズ及び行政ニーズに沿った云々ということで、(1)のプロジェク ト研究で私どもではイとロという形で2種類、ひとつは従来、労災特研と言っていた重 要研究領域特別研究、これがひとつのプロジェクト研究、それとは別に他省庁、例えば 科研費であるとか、科学振興調整費、厚生科学研究費等を利用した競争的資金によるプ ロジェクトというものを実施します。 あと、同じ頁の一番下の方にハとして災害調査に対する体制の整備ということで、これ は個別法にも記載されておりますけれども、私どもの本来業務として災害調査を行うと いうことで次の頁の3頁の一番上の行でございますけれども、「緊急調査対応マニュア ル」というものを整備しつつあるということで新しい取組です。 同じく3頁の(4)、成果の積極的な普及・活用で(1)の欄で、これは私どもの場合です と学会発表が目標期間中に1,000 、論文発表が目標期間中に400 ということで与えられ ております。それは従来の実績より10乃至20%上積みという数値なので、それをいかに クリアすべきか検討を進めております。 次に4頁に移りまして、(4)、講演会等の開催ということで具体的には講演会と研究所 の一般公開ということで、特に研究所の一般公開というのは私どもは過去、やっておら なかったことであります。第3四半期を目処に計画を進めているところです。 次に5頁に移りまして、上の方でございますけれども、研究協力の促進ということで、 ロに書きました国際研究協力協定ということで従来、外国の研究所と研究所同士の交 換、協力というのは行っておりましたけれども、それを正式な協定を締結するという形 で米国、スウェーデン、韓国、この3つの国立研究所と私どもの研究所の間で文書化し ようということを進めつつあります。 あと、3、4、5に書いてありますのは、これは中期計画に書いてあることを年度に落 としているということでございます。以上でございます。 ○ 黒川委員長  これで2つの研究所について、伺いましたが、この2つのそれぞれについて何かあれ ば、お伺いしたいし、3つの研究所全部に共通のものでも結構ですが、よろしくお願い します。 ○ 古郡委員  講演会の開催ですが、産業安全研では年に3回、産業医学研で年1回、国立健康・栄養 研の場合は年2回になっています。別に横並びにする必要はないわけですが、あまりこ の回数が多くなって、例えば産業安全研の方でしょうか、年3回というのは講演会を開 催すること自体が目的化して、却って逆に研究が落ちついてできないということにはな らないかという心配もありますが、適当な講演会の回数というのはどんなものなのでし ょうか。 ○ 鈴木研究企画調整部長 産業安全研究所でございます。私どもは昨年まで年に2回ということで実施をしてきて いる経験がございます。独法になったということもありまして、成果を一般に還元して いかなければいけないということもありまして、これを敢えて1回プラスして計画を立 てております。できるだけ普及するという形で頑張っていきたいところでございます。 ○ 古郡委員  この講演会は内部の研究員だけでなくて、プロジェクトで外部の研究員にもお願いする のですか。 ○ 鈴木研究企画調整部長 いえ、基本的に私どものスタッフが講演をしているということでございます。 ○ 古郡委員  他の研究所についてはいかがなのでしょうか。 ○ 斉藤企画調整部長 私どもの研究所が一番回数が少ないので、若干、弁明させていただきますと、確かに年 1回講演会という記載をしております。同じ資料6の私どもの年度計画の4頁の上の 方、(3)のイとして国内労働衛生研究の状況の把握ということで、これは過去からもや っていたことでありますけれども、客員研究員制度というものを私どもは持っていて、 外部の先生方と研究交流会を持つということです。これは具体的には講演会を相互に持 つという形であります。 産業医科大学ともやはり研究交流で、具体的には講演をお互いしあうということであり ます。労働衛生重点研究推進協議会という活動等も持っておりまして、そういったこと もありまして新たに講演会という形では年1回ということにさせていただいておりま す。 ○ 吉池研究企画・評価主幹 栄養研究所でございますが、私どもの方、これまで特に年何回ということを意識しては おりませんでしたが、講演会の種類としては、私ども、関連の領域としては栄養士、管 理栄養士という職種がございまして、かなり多くの人数の方がおられます。そういう方 々に対する研修、講演ということで結果的に年1回くらいできるのではないかなと思い ます。 また、一般の方に対する講演会も、例えば研究所の何十周年とか、あるいは学会に関連 して一般公開の講演会等の主催、あるいは共催等もやっておりまして、だいたい概ね現 状を維持、あるいは少し上積みすればこのぐらいの回数になるかなということで年に全 部で2回程度ということになってございます。 ○ 黒川委員長 おそらく内容にもよるし、半日のもあるし、2セクションずつ交代でやるとか、大阪、 東京、その他で開催というのであれば同じような内容のものをくり返し行うかもしれな いし、いろいろな形態があるのかなという気がしますね。どうぞ。 ○ 開原委員 これは場合によると本来ならば中期計画のときにお聞きすべきだったのかもしれないの ですが、私、前回、休んだものですから、資料6の1の業務運営の効率化の中の(3)の ハの要するに外部研究資金のところの話なのですか、外部研究資金の中で地方自治体の 資金と、もうひとつは企業からの資金の話をどういうふうにお考えになっているのかと いうことなのですね。 実は国の機関だった場合には地方自治体との関係というのは非常に難しくて、地方自治 体の資金は全く国の機関には入れることができなかったと私は理解しているのですが、 そこが独立行政法人になるとかなり違ってくるのではないかなという感じがしていま す。特にこの産業医学と産業安全の領域は、私は地方自治体も関心を持っている問題で はないかなという気がします。そういうところからの受託研究とか、共同研究があり得 るのではないかと思う点と、同じようなことが企業からの受託研究もあり得るのではな いかという気がするのですが、計画の中にはそういう言葉は出てこないわけですが、そ の辺はどういうふうにお考えでいらっしゃるのかということです。 ○ 黒川委員長  通則法でカバーされるようなことなのかな。 ○ 唐澤政策評価官 仕組みとしては国の機関ですと自治体のお金というのは原則的には受入れられません。 これは会計上の理由でだめですので、しかし、独法になりますと自治体のお金でも民間 のお金でも受け入れることは可能になります。 ○ 開原委員 私もそうだと思うのですね。だからこそ、逆にここのところにそれを書いておいて、積 極的に地方自治体や企業からも受託を受けるということを目標に掲げられてはいかがか なというのが私の具体的な意見なのですけれども。 ○ 斉藤企画調整部長  産業医学総合研究所ですけれども、開原先生、おっしゃったとおりで、地方自治体とい う例ではありませんけれども、受託研究規定というのを、私ども、整備しまして、その 中で受託研究を受けられる相手先を書いてあります。その中には国であるとか、公共団 体であるとか、労働衛生関係団体、営利団体という表現もしております。非常に具体的 な例として受託研究、平成13年度の第1号になるであろうものというのは中央労働災害 防止協会という組織がございますけれども、そこから私どもの研究所へ委託されるとい う研究がございます。これは従来では不可能だった仕組みであります。 ○ 黒川委員長  だから、この計画においても等というところにそういうのは皆、入っていると思われま すが通則法にもどこかに書いてあるのかもしれませんね。どうですかね。 ○ 安井委員 いずれの研究所も外部評価を毎年、実施されるようでございますけれども、私も産業医 学総合研究所の外部評価委員をやって結構、評価する方も大変なのですけれども、多 分、準備する方も目茶苦茶、大変なのではないかと思います。毎年だったので、何年間 か連続してだいぶ苦しめられたのですが。 今度、独法を評価するこういう評価委員会ができて、これまでと同じように毎年、同じ ウエイトでやっていくという方針なのか、そうではなく例えば中期目標という期間を考 えて若干、重い、軽いを考えて、5年間なら5年間でまとめて評価をおやりになるおつ もりなのか。また、この委員会として例えば私みたいな人間はどうしたらいいのか。外 部評価を頼まれたらやるべきなのか、やらざるべきなのかということについてちょっと 決めていただきたいと思います。 ○ 唐澤政策評価官 実はこの後に先生の今のお話にございました法人の評価をどうするかということをご議 論いただこうと思っておりました。 ただ、その枠組みから申し上げますと、法律では毎年、評価もやれということで、5年 に1度は中期計画なのでさらに力を入れて評価をやれということになっておりまして、 明らかに労働強化になっているのではないかと思っております。また、のちほど、詳し くお話をしたいと思います。 ○ 黒川委員長  それはまた全体の運用の話ですので、どうぞ。 ○ 岸委員  産業医学総合研究所の方の外部評価、私も安井先生と一緒に何年間かさせていただいて おりまして、そのときに大変、組織あげてご努力されているところを見せていただいて いたのですが、今回、これから独立行政法人になりますのに国民に対して提供するサー ビスの点で、例えば労働安全、衛生ということですと、働いている人たちが現場でどの ような問題を抱えているのか、その安全確保がされる研究体制になっているかどうかと いう、そのニーズの把握が非常に重要だと思うのですけれども、そういうことができる 組織体制になっているのかどうなのか。 もうひとつは労働衛生に関する3枚目の国際基準、国内基準の制定、改定と、これは非 常に重要な作業です。私は学会の方でやはり労働環境の安全衛生の基準の委員会に入っ ておりますけれども、情報収集をコンスタントにやっていくということはかなり大変な 作業で、私ども、国立大学の教員が半ばボランティアでやっているような、相当エネル ギーがいる作業なのです。本来、産業医学総合研究所は日本の中でこういう研究機関と しては唯一の、特に衛生に関するところですので、現場のニーズをどれだけくみ取るの かということと、国際基準、それから働く人たちの基準につきましてもアメリカでも ヨーロッパでも日本でもそれぞれの国が独自に決めているものですが、それらの最新の 情報をそれぞれ学術的な動向も含めまして、コンスタントに収集するようなことをして いただけないでしょうか。もし、そういうことをやっていくとすると、組織体制の見直 しというのが今までのままでよろしいか。 特に企画調整が大変苦労されていろいろ運営されていたと思いますので、そのあたりを 13年度、無理でも少し計画的にその辺のことができるような体制にされていきますと、 非常に国民の期待といいますか、大学などではできないようないい研究ができるのでは ないかというふうに期待をしながらお願いしたいところなのですけれども。 ○ 斉藤企画調整部長 ただいま、岸先生から非常に貴重なご指摘をいただきました。2点ありましたけれど も、ひとつのニーズの把握に関することでは、この年度計画にも書いてありますけれど も、労働衛生重点研究推進協議会ということで、その協議会には産業界の代表者、衛生 管理者、産業医といった方々にご協力いただいて具体的な現場のニーズを探ろうという ことをしております。 従来、こういったことは、先生、ご指摘のとおり、企画調整部というのがございますけ れども、そこで担当していたのですけれども、私、その企画調整部を担当する時点で私 とは別にもう1人の研究部長の方が労働現場のニーズ把握に関する協議会を専ら担当す るということで主に部長2名で対応して、今までの倍の組織体制を作ったということで す。 次の国内外の基準制定、あるいは改定といったことでありますけれども、具体的には現 在、私どもではOECDであるとか、ISOであるとか、JISに関連した産業衛生、 あるいはエルゴノミックス(人間工学)といったことで関わりを持ってやっておりま す。 特にOECDというふうな領域ですと、これは行政との連携でいろいろ情報の収集、あ るいは発信という国際的な委員会で委員長というものも私どもの研究員が担当してやっ ている場面もありますので、そういった形で、特に国内外の基準に関しては行政と密接 に連携させていただた上で今後ともやっていきたいと思っております。ありがとうござ いました。 ○ 堀田委員 例によって基礎的な質問なのですけれども、医学総合研究所の方へ過労死の研究につい てお伺いしたいのですけれども、基礎研究の項目を見ますと長時間深夜労働、ストレ ス、疲労度等の研究、いろいろされるようですので、労働の安全を確保するためのいろ いろな研究というのは、例えば物理的な危険でありますとか、あるいは化学的な危険で ありますとか、そういったものについては因果関係が解明されればどのようにして危険 防止するかというのは割合、実用化されやすいのですけれども、ストレス、長時間深夜 労働というのは原因と結果との関係の分析が非常に科学的にも難しかろうと思うのです けれども、ただ、実態としてはこれはまだまだ日本で残念ながら非常に多いので、労働 災害に関する裁判なども一番、ここのところが難しいところ、認定も難しいところであ ります。 しかし、研究を進める以上、これはやはりある程度の要因を明らかにして危険を防止す るような研究成果が公表されることがやはり望ましいし、そうでなければならないだろ うと思います。 そういう観点からご質問するわけですけれども、現実に非常に多い残業、サービス残業 等に対して何らかの指針となるような、要因は非常に難しいでしょうが、予防措置が講 じられるようなそういう研究成果を目指しておられるのかどうか。あるいはそこまでは 考えずに単に客観的な研究に留まるのか。最終到着地点がどこなのか。それに向けて中 期計画及び本年度の計画ではどの程度のところまで進めようとしておられるのか、少し 具体的に伺いたいと思います。 ○ 斉藤企画調整部長 堀田先生から過労死に関係したご質問がありました。私どもの研究では、今日の資料6 で言いますと6頁の別紙1で研究費を集中的に投入して大型の研究をやるというプロジ ェクト研究の、これは12年度から14年度までということで3)で労働者の心身の健康度 指標の開発ということで書いてありますけれども、これは以前には直接、深夜業を含め た長時間労働ということで研究を続けておりまして、幸いと言いますか、外部の研究評 価委員会の先生方にいろいろご批判、ご指摘をいただいていますけれども、この深夜業 長時間労働に関する私どもの研究というのは比較的高い評価を受けていると自負してお ります。研究論文の発表等もかなり活発に行われております。 物理化学的なものとは別に研究手法としては私どもの研究所ではこの課題に関しては生 理学的な方法、あるいは免疫学的な方法、あるいは社会心理学的な方法といった観点か らアプローチをしております。 最後のご指摘でガイドラインと言いますか、指針、あるいは認定基準とか指針というの は私どもとしては直接は行政のお仕事かなというふうに理解しております。もちろん行 政が開催するであろう委員会の委員としてデータを提供したり、あるいはご意見を述べ させていただくということは従来からもあると思いますけれども、そういった形でのコ ミットと理解しております。以上です。 ○ 小山計画課長 行政の立場から補足させていただきますが、今、部長からお話がございましたように最 終的には、例えば私どもで言えば労災保険の業務災害の認定基準の策定という段階のこ とをやる際にこういった医学的知見、その時点での最新の医学的知見を踏まえた基準を 活用させていただくというふうに従来やってきております。 ○ 堀田委員  もちろん労災保険でそれを適用する事態になってから、学問の成果を使うことも大変結 構ですけれども、むしろ未然にそういう事態を予防して、そういう事態が発生しないよ うにするということはやはり行政としては私は重要な役割ではないかと、そちらの方向 でも大いに研究成果を活用してほしいなというふうに思いますが。 ○ 小山計画課長 その点につきましても実は行政、私どものサイドとしては昨年の7月にメンタルの面で の健康確保のためのガイドラインというものを作りまして、これもそういった医学的知 見を踏まえて作ったわけです。それに基づいて各企業の人事担当者、あるいは企業内の 産業系スタッフ、あるいはその他の保健指導機関等でそれぞれ連携して未然防止に努め てくださいという行政上の指導といいますか、啓発を、今、行っておるところでござい ます。 ○ 黒川委員長  これはいろいろな研究所が今まで国研であったわけですけれども、研究というものも、 大学もそうですけれども、2種類あって、やはり大事な研究ではあるのだけれども、定 点の測量みたいなもの、つまり分析を常にやっていて分析のクオリティが確保されてい るというものも研究所の役割なわけですよね。 そういうのはほとんど通常はルーティンの仕事をきちっとこなすという分析の業務、 データを蓄積する、それが凄く大事なわけですよね。これが研究所のひとつの役割で、 こういうのは非常にエージェンシー化に向いている研究所だと思うのです。 ところが大学の先生は得てしてそう思いがちなのだけれども、研究というのは何か新し いクリエイティブなイノベーションというふうにすぐ思ってしまうから、学会発表だ何 だという話になるわけで、だからやはりきちんとした業務的な分析である定点測量を行 うとか、遺伝子操作した食物を常に分析しながら、研究者としては学会等から新しい情 報も入れながら自分たちのやっている分析はどういう位置づけにあるのかと確認するこ とが凄く大事なわけなのです。その辺をお互いに了解していないと、何だ、そういう ルーティンばかりやっているのではないかと言うけれども、実はこのルーティンをやっ ているということが非常に大事で、このクオリティコントロールをどうするかという問 題があります。 だから、そういう研究であればきちんとした分析とクオリティコントロール、学会から の新しい情報を取るということが通常の8割の仕事で、その合間に新しいものを少しや るのが1割か2割の割合だと思います。しかし、一部では外部の競争的資金とかの話は 7割ぐらいが新しいイノベーションか何かを一生懸命探すというプロジェクトで、これ をルーティンの方を手伝いながらやるという、その辺をミックスしてしまうと学会発表 の方が少ないではないのかと言われて非常に困ると思うので、やっている研究者の役割 が私はこうなのだから、それで評価してくださいと言わないと非常に辛いと思います ね。 そういう意味では同じ研究所と言っても性質が全然違ったスペクトラムが混ざっている ので、そのウエイトをどうするのかという話をきちんと考えていかなければならないと 思います。大学の人たちはクリエイティブなことをやっていて新しい芽が出るはずなの だけれども、そうでもない人もたくさんいて、聞くと、いや、教育が忙しいからなんて 言って、教育も大したことはないのではないのと、最近、また、言われると研究が忙し いなんてこういうことを言うわけですが。 これは明治時代に帝国大学令が出たときに大学の役割は研究を上に書いてあるからこう なっているのですよね。だから、研究の成果が出ていない人は教授になりにくい。 教育を一生懸命やっている人はだめだというのが今までの日本の了解だったわけです よ。これはもう140 年の歴史ですから、なかなか頭の中、変わらないと思うのだけれど も、だから、国研でも同じように分析の業務とイノベーションがあり、むしろ後者は大 学がもっとしっかりやってくれなければ困るのだという話をちょっと一般的に了解して おいていただかないと、評価、評価と言われたときに非常に厳しくなってしまうのでは ないかなと思います。ぜひ、理事長先生もうちのミッションは全体として何なのだとい う話がきちんと整理されていないと凄く難しいと思いますので、むしろ大学の方が非常 に向いているのであればそちらでしっかりやってくれよというスタンスを取っておくと いうことが大事だと思いますけれどもね。 そんなことでいろいろな議論はあると思うのですが、評価委員会が行う評価の基準とい うところに議論を進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官 それでは評価の基準についてご議論をいただきたいということでございますけれども、 もちろんこれはなかなか意見がまとまるというようなものではございませんので、今 回、また、次回にかけて引き続きご議論をいただきたいと思います。 まず、お手元に資料7、8というのことで、独立行政法人評価委員会が行う評価につい てという関係の資料が2つございまして、9、10、11が今回の3つの研究所の中期目 標、中期計画に即した個別の評価の視点を表の形でまとめたものでございます。 まず、7、8の評価の枠組みの考え方につきまして、私の方から資料の説明をさせてい ただきます。 まず、法律上の枠組みの資料7をご覧いただきたいと思いますが、この委員会でござい ますけれども、独立行政法人の通則法に基づきまして評価の全体的な枠組みが定まって おります。まず、32条にございますように毎事業年度毎に、実績について評価委員会の 評価を受けるということで、さきほど安井先生からお話がございましたけれども、毎年 度の実績につきましてこの委員会では評価を行うということになっております。 その評価の視点でございますけれども、次の2項にございますように業務の実績の全体 について総合的な評定をするということが定められております。 次に3項でございますけれども、厚生労働省関係機関の本評価委員会が評価をします と、その結果を該当法人に通知するとともに、政令で定める審議会というふうに書いて ございますが、これは総務省に設置されております政策評価・独立行政法人評価委員会 という、言わば各省全体を横に見ている機関ということでございますが、こちらの機関 にもこの本委員会で出した評価結果というものを通知をしてやるということが定められ ているわけでございます。 その際に、この委員会で各独立行政法人に対してしかるべき改善が必要であると、こう いうような観点から勧告をすることができることになっております。したがって、評価 だけではなくて勧告も行うことができるというのがこの委員会の権限でございます。 次に4項でございますが、4項ではこの通知を行った際には、あるいは併せて勧告をし た際にはその内容というものを公表することになっております。したがって、評価の結 果については通知と同時に国民に向かって公開をされる、こういう形になるわけでござ います。 最後に32条の5項にございますのは、総務省に設置をされております審議会から評価の 結果についてそれぞれ各省に置かれております評価委員会に対しまして意見を述べるこ とができるということでございます。 次の2頁をご覧いただきたいと思います。2頁の通則法の34条には中期目標に係る業務 の実績に関する評価ということが定められておりまして、これは32条と同様でして、32 条は各事業年度の実績でございますが、5年間の中期目標についても同じ枠組みが定め られております。 次の通則法に基づく主務省令の例でございますが、これは主務省令には、例えば国立健 康・栄養研究所の業務運営並びに財務及び会計に関する省令でございますけれども、こ の5条、7条におきましてそれぞれ各事業年度の実績、中期目標期間の実績について評 価委員会にそれを提出するということが定められております。 いろいろなところに分かれていて大変恐縮なのですが、2頁の一番下に中央省庁等改革 基本法の法律の抜粋がございます。これは平成10年の法律でございますけれども、実は この中央省庁の基本法の第39条に独立行政法人の評価委員会について規定がございまし て、何を規定してあるかと言いますと、この評価委員会で評価をするけれども、併せて 評価の基準を作成をするということが定められております。 ちょっと読ませていただきますと、「独立行政法人の業務の実績に関する評価が、専門 性及び実践的な知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に行われるようにするため、府省 に、当該評価の基準の作成及びこれに基づく評価等を行うための委員会を置くととも に、総務省に、府省に置かれる委員会の実施した」云々と書いてございまして、府省に その評価基準の作成、評価を行うための委員会を置くということになっているわけであ ります。 行革の中央省庁の推進本部でも何かまとめていただければ私はわかりやすいと思うので すが、いろいろなところに関係条文が分かれておりますけれども、この基本法の中に評 価基準の作成の根拠があるわけでございます。 次の3頁をご覧をいただきますと、これは法律ではございませんけれども、中央省庁改 革推進本部で決定された推進方針でございますけれども、この中にも独立行政法人評価 委員会による業務の実績の評価は同委員会が設定する客観的な評価、例えば中期目標の 達成状況に応じた数段階評価基準によるものとするということが定められているわけで ございます。後ろの方は総務省の評価委員会の資料でございますので、これはご覧をい ただきたいと思います。 そこで資料8をご覧いただきたいと思います。しからばどういう評価の基準というもの を設定をして評価していくかということが、テーマになるわけでございますけれども、 そのときの考え方をメモにしたものでございます。 独立行政法人の業務実績に関する評価の考え方(論点メモ)ということでございまし て、自分で作って率直に申しましてなかなかこれで評価の視点が十分であるとか、洩れ がないとか、よくできているというふうになかなか申し上げられない資料なのでござい ますけれども、むしろそれをたたき台にして十分にご議論をいただければと思っており ます。 まず、各事業年度の業務実績の評価についてのひとつの考え方でございますけれども、 評価は中期目標に掲げた項目毎に行う個別的評価と業務実績全体の状況について行う総 合的な評価の2つを併せて行うこととしてはどうかということでございます。 これは全体として総合的な状況に対する評価というものは、せざるを得ないわけでござ いますけれども、その前提として各項目毎についてもそれぞれの評価というものをして いってはどうかということでございます。それをどの程度の詳しさでやっていくかとい うことはまた議論がございますけれども、いくつかの主要なパートというものについて の評価も全体の評価と併せて実施をしていってはどうかということでございます。 個別的な評価でございますが、中期目標に掲げる項目毎の個別的な評価については別に 定める「評価の視点(案)」を基に評価を行うことにしてはどうかと思います。 数段階評価の具体的判定基準については、次のような5段階評価としてはどうかという ことでございます。ただし、これはひとつの例でございますので、必ずしも5段階にし なければいけないというわけではございませんで、4段階というような場合もございま すし、3段階をいくつかにさらに分割をするというような例もございますが、何となく 日本人に馴染んでいるものとして5段階ということで、これはA、B、C、D、Eとい うふうにございますけれども、Aは目標を上回る成果を達成、Bは十分達成、Cは概ね 達成、Dはある程度達成だけれども、改善の余地があると、Eは不十分と、こういうよ うな5段階でございます。 その下にございますのは、A、B、C、D、Eについて数値を当てはめて判定していっ てはどうかということでございますが、これは目標に対して何%以上、あるいは何%未 満というような数値を、例えば当てはめて設定をしていくということでございます。 ただし、これは数値を測定できる指標というものを開発しませんと、この数値基準とい うのは当てはめられませんので、定性的な状況ではなかなかこれだけでは難しいと思い ます。 個別的な評価の評価方針でございますが、(1)から(8)まで8つ書いてございます。 まず、(1)は5段階評価については理由を付記する。(2)といたしまして業務実績の量的 な側面だけでなく、その質的な側面についても考慮する。(3)として中期目標に掲げら れている具体的な取組内容に対するものだけでなくて、当該項目の評価材料となる実績 がある場合には、これらを考慮するものとする。(4)として業務実績という結果だけで なく、その結果を導くに至った背景的要因(外的要因及び内的要因)についても考慮す るものとする。(5)として業務実績という結果だけでなくて、その結果を導くに要した 費用についても考慮をするものとする。費用対効果ということでございます。(6)とし て独立行政法人化の利点の活用状況についても勘案する。(7)として業務実績のうち、 個別の研究課 題に係る評価は、外部専門家が行う研究評価の結果を考慮する。(8)と して中期目標の達 成に向けた取組が進むようインセンティブを与える制度が整備され ているか、その制度 がモニタリング等により適切に見直されているかについても考慮 するものとするという のが個別的な評価の評価方針でございます。 総合的な評価でございますが、業務全体について総合的に行うということでございます けれども、総合的な評価についても数段階の基準を設定をして評価をするかということ がございます。つまりA、B、C、D、Eというような評価の設定をいたしまして、そ ういう評価を行うかどうか、あるいは文章で評価をするかということでございます。 総合的な評価の評価方針は次のとおりにしてはどうかということですが、これも3番以 降は個別的な評価の方針と同様のことが述べてございますけれども、(1)につきまして は公衆衛生の向上又は労働者の安全の確保、若しくは健康の確保にどの程度、寄与した か。(2)として個別的な評価の結果を単に平均化するのではなく、(1)に照らし、各項目 の重要性を勘案するというようなことがつけ加えられて、全部で9つの評価方針という ことになっているわけでございます。 次の最後に4頁をご覧をいただきますと、スケジュール、段取りでございますけれど も、各事業年度が終了いたしまして、独立行政法人からヒアリングをしていただきま す。 この評価委員会で実績のヒアリングをまずしていただくというのが(1)、その実績の 結果を踏まえましてこの委員会の先生方お一人ずつがそれぞれ毎に評価をしていただく というのが(2)でございます。その評価の結果というものを私どもの方に提出をいただ きまして、その評価結果を集計すると、一旦、その集計をした評価の結果というものを 取りまとめまして、その取りまとめた資料を基にいたしまして、この委員会でご議論を いただくということでございます。そのご議論の結果、さらに修正をするということも 出てくるでしょうけれども、まず、一旦、個々の先生方に評価いただいたものをさらに 全体で議論をしていただきまして、最終的な評価を決定していただくということでござ います。 その結果を総務省の審議会への通知、併せて公表をしていくということを考えている わけでございます。 ちょっと長くなりましたが、最後にひとつだけつけ加えさせていただきますが、ここに ありますいろいろな視点でございますが、実は各省の評価の基準の方針というものを見 ましても、まだ、できていないところがほとんどでございます。どういう視点を並べれ ば評価として適切な項目が並んでいるのかということについてもなかなか先例がないと いうのが実情でございます。そういう前提でご覧をいただければと思います。以上でご ざいます。 ○ 黒川委員長 どうもありがとうございました。さきほど安井委員から出たとおりで仕事ばかり増えて よくわからないということですが、何かこれについてコメントをお願いします。 確かに評価は非常に難しくて、この法律に書いてあることを説明していただいたという ことですが、今度、評価の考え方の論点メモというものもありますが、5段階でしたら どうなのかなという話であります。何段階にしても必ずB+とか、A−とか、いろいろ 出てくるわけで何段階やってもきりがない。けれども、一応、こんなものかなというの がひとつの案であります。 実際、やってみていくというのが大事かもしれませんね。数値目標のある場合はA、 B、C、D、EだとAが例えば90%、Aだったらいいのではないのとか、これもかなり アービトラリーで、60%を合格にするというのは結構だけれども、では60%が合格だと いう根拠がどこにあるのだと言われると非常に弱いですね。 それでいろいろ大学の歴史なんて見たら試験は、なぜ、60点で合格なのかということを 言うと、教えた先生が勝手に問題を作って60点未満は不合格だということは明治時代の 帝国大学令なんかに書いてありまして、そういうことを言っていると先生の作った問題 がどうしてそれでは100 点満点だということが保障されているかなんていうのはお上が 決めたことだから一切、チャレンジできないという歴史があるみたいですね。 だから、そうすると100 人の生徒に試験を先生がやって、100 人のうち95人がパスする ときと、60人がパスするときなんていうのは明らかに先生の作った問題の方に問題があ るわけですよ。それでも平気で罷り通っていたわけだから相当なものだなという気もし ますけれども、これもどうするか。 例えばこういうのを合格というのが全部、偏差値計算をして、1SDの上はOKだなと いって、平均プラス17.5%で切るというような話もいいし、余程いい、プラス2SD以 下のはだめだよというようなこともあるだろうし、目的によって違うと思うのですよ ね。この辺、非常に難しいのは非常に感情的というか、感覚的というか、訳のわからな い評価をしているものだから、最後の総合判定というのは一発の決めのようなものにな るわけ。 ○ 唐澤政策評価官 いや、やはり最終的には何かを言わないといけないということだと思うのですね。 実は私は政策評価の仕事もやっていますので政策評価官という名前がついているのです が、政策評価は自己評価が基本ということになっているのですね。各仕事担当をしてい るセクションが自己評価をする。アメリカの評価で、GPRA法というのがあるのです けれども、それも自己評価が基本ですので、アメリカでも自画自賛だという批判が結構 多いのです。いや、本当なのです。それは自分でやって自分で不十分でしたという人は 非常に謙虚な人なのだと思うのですけれども。 ただ、この評価委員会というのはそういう意味では自己評価ではなくて外部評価ですの で、そういう点では本当の意味での本格的な評価であり、その点で先生方の任務は大変 重いという前提でお考えいただきたいと思います。 ○ 堀田委員 NPO、あるいは福祉のいろいろな業務の評価について研究をいたしました。いくつか の点があるのですけれども、評価方針、いろいろお考えになってお作りになっていると 思うのですけれども、もう少しというか、もうかなり整理しないと実際に使うときにな かなか使いにくいのではなかろうかと思います。 まず、何のために評価をするのかという点が違っても基準が全然変わってきますけれど も、これはもちろん政策の評価ではありますが、もうひとつ、もっと誰のための評価と 言ったら、これは納税者のため、投票者のための評価であることは政策評価である以 上、当然だろうと思います。そうしますと、この総合評価の方で申しますと、(1)の公 衆衛生の向上又は労働者の安全の確保、若しくは健康の確保にどの程度、寄与したか と、これが実は決定的な納税者側から見て評価してほしい基準であって、これを中心に きちんと整理していく必要があるのではなかろうかと思います。 ですから、この(1)はいろいろなことを具体的にもう少し考えなければいけないと思い ます。これを中心にした上で、それでは誰が評価するかというと、これは外部評価だと いうことです。では、その評価の項目というのがどうも10いくつあるようですけれど も、これは明らかに業務達成度の評価であって、中期目標という業務目標を立てて、そ れをどの程度、達成したかという、そういう評価のメジャーの基準を取るということを するわけで、これは明らかになっている。 だから、まず、基本の目標をきちんと書き、これが業務評価であるということをきちん と書き、その後はいろいろなそういう評価をするについての留意事項、こういう要素を 勘案しろとか、質的な面を考慮しろとか、これは評価する際の留意事項にすぎないの で、それは留意事項として整理していくとよい。そういう形で評価する際の基本の目 標、その基準、評価の仕方、つまり、業務評価であること、そういう業務評価をしてい くについてのいろいろ考慮すべき事項と、こういうふうに並べていくと評価する方とし ては非常にしやすい。まず、第1にそういうふうに思います。 そこで2番目に一番基本のさきほど申しましたどれだけ寄与したかという(1)のこの評 価が、実はこれをやらなければいけないわけですけれども、なかなか、評価方針を見て いてもどういうふうにして評価するのか難しい。まず、この総合評価はこの(1)という し っかりした納税者のための評価基準を定めているのですけれども、これと個別評価 とが いったいどう関連するのかわかりにくい。個別評価の方は業務評価の仕方をいろ いろ書 いておられるのですけれども、基本の目標が書かれていない。しかし、個別評 価の方も 基本の目標を持ちつつ、評価をしていって、それを総合評価するという形で ないと両者 の論理的な結びつきが出てこないし、説明するときも難しかろうというふ うに思います。 こういう寄与度の評価を考えると、それでは個別評価ないしは総合評価でここにあるよ うな項目を見ていったら寄与度が出てくるかというと、これは決してそうではないと思 います。例えば国民の健康の確保にどれだけ寄与したかというのは研究成果だけでは見 れない。それがさきほど出ましたようにどれほど行政がそれを広報し、民間がどれほど それを受け入れたか、そういうところまで見ないと寄与度というのは出てこない。だか ら、そういう情報公開、広報などについて、それは私たちの仕事ではないと独立行政法 人の方でおっしゃったら、いったい寄与度というのはどこで見るのかといった問題につ いてはもっと詰めなければいけない。 民間でもできるような研究というのは、これはそんなことを税金を使ってやるのはおか しいので、そうすると研究成果としてはなかなかいいのだけれども、民間の方でこれ、 出ておりますよと、そんなことを研究してどうなるのですかというような、そういった 観点からの評価、内容の評価だけでなしに、業務達成度の評価だけでなしに、民間の研 究等との関連の評価も必要であるだろうと思います。そういう観点もこれは入れてこな ければいけない。 ですから、(1)の評価というのは実はなかなか難しい。いろいろな要素を入れなければ いけないので、ここをもう少し詰める必要があるのかなと感じますのが2点目でありま す。 他にもいろいろありますが、とりあえず基本的な点を申しました。 ○ 黒川委員長  それはかなり前に決めておかないと評価される側が非常に迷ってしまうから困るという こともあるのかもしれないけれども、しかし、目標はある程度、定まっているわけだか ら、目標を淡々とどういうふうにやっているかという話はもうちょっと後でもいいのか なという気もしますけれどもね。 ○ 唐澤政策評価官 何と申しましょうか、評価をいたしますので、ある程度、やはり基準というものを先に 示しておかなければいけないという点がひとつですね。基準なしでいきなり評価されて も研究所の皆さんも困るでしょうから、これは予めルールを共通に決めておく必要があ ります。 ただし、なかなか効果的な指標というのは開発されていないというのが事実ですね。 それをまたどういう視点から新しく、今、堀田先生のお話にありましたように整理をし ていかなければいけないということがありますから、あまり拙速に決めようというふう には考えておりません。少し時間をかけて決めていただいて、そしてまた毎年これを良 くしていくということではないかと思っております。 ○ 黒川委員長 堀田委員のコメントはそのとおりだと思いますが、その他にこの評価の項目とか、仕 方、その他について何かコメントございますか。どうぞ。 ○ 古郡委員 細かなことですが、個別的評価は5段階評価となっています。3段階よりは5段階評価 の方がいいと思いますが、文言を、Cは中期目標を達成している、Bは中期目標を上回 る成果を上げている、Aは中期目標をはるかに上回る成果を上げていると、そういうふ うにした方がよいと思います。さらに、Dは中期目標を下回る、Eは中期目標をはるか に下回る、そんなふうにしてもらった方がわかりやすいかなと思います。 ○ 黒川委員長  だから、これが最後に総合評価といったときに、数字で出てこない、何となくという感 じかもしれないので、例えば0から10までのスケールを渡して、0から10まででい いや、どこかに丸をつけろと言ったときに何が5だということを共通に理解されていな いとまずいわけですよ。 だから、今、先生がおっしゃったのは達成したというところが5なのか、そうするとさ っき言ったように2SDを下回るとだめなのか、例えば3以下はだめなのか、5が良か ったよという話のターゲットなのかという話を了解していないといけません。 今、言ったように60点以上が合格だなんていうと、皆、無理して6から7の間にくっつ けたり して、この辺に最終的にはどこか丸をしてくれと言って、そういう了解で丸す ると平均 値が出るかもしれないなという気はしないでもないなと思っているのです よ。 優、良、可、不可と言ってもどこかが多少プラスとかマイナスが出るに決まっているか ら、丸印でどこだとつけてもらうのは悪くはないかもしれないなと思います。基本的に スケールがこれはセンチメートルなのか、メートルなのか、ヤードなのかということを 決めるのと同じことですけれども。 ○ 黒川委員長 だから、それぞれのウエイトがあってやっているのかという積算をするのか、今、言っ たように全部まとめてそれでは何ぼだという話なのかはかなり人によって違ってくるか ら、ヤードなのかというような話を決めておけばいいかなという気はしますよね。この 辺、いろいろなやり方があると思うので、皆、模索しているわけだ。 確かに堀田委員がおっしゃったように最終的にはタックスペイヤーの視点が重要だとい うのだけれども、私も非常に気にしているのはこれは人間の西洋の長い歴史でもそうだ けれども、日本の歴史でもそうだけれども、我々がこういうことを評価ばかりすると仕 事が増えてしまうわけですよ、安井先生がおっしゃったみたいに。安井先生の本来の業 務は何ですか、それができなくなるわけですよ。公務員の先生はそれでもいいのだけれ ども、どっちにしろタックスペイヤーのお金で食っているわけだからどうということな いのですけれども、私企業の人はそれで業務に差し支えると非常に困る。 こういうことをやり始めると人間というのは必ずやはり役を増やしたくなってしまうの ですよ。官僚の心理というのは、これは日本の官僚の悪口ではなくて、いろいろ本を読 んでみると皆、必ずそうなのですね。役人というのは役の人だから必ず役を作りたがる のですよ。それをキープする。自分の中から絶対、そんなことを減らすはずないのだか ら。僕等も評価をたくさん、安井先生みたいに5つも6つも10もやるともうそれが本務 になりますよ、そうするともう先生は行政機構のひとつになってしまいます。 最終的に評価しているという、こんなことを言っているけれども、堀田先生がおっしゃ ったように最終的にパブリックが、タックスペイヤーがどう動くかというのであれば、 何らかの方法でどう思いますかと言って適当にどんどんコメントを入れてもらうという ようなこともいずれは実施するのかもしれませんね。それが今は政治家を選ぶというプ ロセスから戻ってきているのだけれども、その辺をどうするのかなというのは役が増え れば必ず役を減らさないというのはもう人間の特性だからしょうがないのですよね。 ○ 安井委員 評価を最近、いろいろなところでやらされていまして、確かに方法論が固まっていない のに何でどうやってやっているのだろうというと、ひとつは今は堀田先生がおっしゃっ たようなことで自分がタックスペイヤーの代弁をどのくらいできるかなというような観 点でやはりやっていることが多くて、そういう観点から言うと、もちろん各研究所の研 究員がもうさぼってもらったら、それは最悪でどうしようもないのだけれども。 例えば論文を50報書きますと言って50報きっちり書いてもらって、さあ、タックスペイ ヤーとして、うん、良かったなと言えるかなというところが非常にやはり疑問であっ て、むしろタックスペイヤーとして考えていくと、そこの研究所の人たちが少なくとも 今年は自分はいい仕事をしたよねと言えるという状況になってくれる方が余程、いいの ではないかとか。 さきほど黒川先生がおっしゃったようなことでもあるのですけれども、論文を50報を出 しても、それを例えば100 報にしたかったら、その半分にして出せばできてしまうもの だから、そうでなくて本当にちゃんと将来残るような基盤的な知的基盤のデータみたい なものをしっかり出してくださる方が余程いいという話もあったりして非常に悩むわけ ですね。いろいろなところをやっていますと、個人の評価、要するに個別項目の評価と いうのと同時に個人の評価というものもまたあって、その辺もどうしたらいいかという のは本当に極めて難しい。最終的にこの辺の各事業年度がこんなものだよというのはあ る程度、しょうがないかなという気はするのですけれども、総合的評価で以て何か点数 がどんと出るようなものなのかなというところが非常に疑問で、やはりここはできたら 文学的表現にさせていただいた方がいいのではないかという気がします。 ○ 黒川委員長  例えばヨーロッパでもそれぞれの国の伝統があるから、評価というのはある程度、文化 的な価値観というのがありますね。タックスをどう使うかという話。 だけれども、それが一番開かれていてごちゃ混ぜになっているのはアメリカですよね。 というのは多民族だし、何でも新しいものを作ろうというエネルギーが内在されていま すから、そうするとアメリカだったらこれはどうするか。例えば大学の評価、日本は第 三者機関で大学評価機構なんか作ってますけれども、アメリカはどうなっているかとい うと、民間のそんな調査機関がどんどん調査をしてこういうアイテムで誰に聞いてこう いうふうになりましたよと言って出すわけですよね。 だから、総合評価なんかないけれども、私たちはこういうクライテリアでセットして、 どういう人に聞いてこういう点数を出していましたからということで点数を出してくる わけですよね。そういう会社がいくつもあるわけですよ。3つも4つも。それで出たも のがだんだん、パブリックになって売れてくればそれで会社が持つわけです。文句があ る人はどんどん文句を言ってくるけれども、私たちはこういう方法でやっていますよと 言っているだけの話だから、それが絶対正しいなんて思ってもいないわけですよ。 だから、行政、あるいは政策としてどうやるかは調査機関の知ったことではなくて、そ のデータをどう利用して次の政策に展開するかというのは目利きの問題です。大学の評 価なんていうのは、USAニュースとか、いろいろなところから出ています。 それを皆、見て内容も書いてありますから、それでどう判断するかは政治か行政の問 題、あるいはこれはおもしろいからと言って買ってくれるのはタックスペイヤー、つま りパブリックがそういう情報がほしいからと言って買うわけですから、そういうことを しているのが本当は一番いいのではないかなという気がするのですよね。 大学評価のときも第三者機関と言ったって文部省の下で天下り先が増えるだけではない のと言って反対したのだけれども、民間が信用できないというなら外国の会社にも一緒 になってやってもらえばいいよと言ったのですけれども、そういうところまでまだきて いない。だから、評価だって、データをただもうひたすら出して、さあ、どうぞという ふうに言ってボストンコンサルティングとか、アーサー・アンダーソンとか、こういう ところも含めてぼんぼん出してもらって、向こうがどうするか、どういうコメントをい ただけますかと言えばどんどん評価ができる。それが本当はパブリックとのキャッチ ボールではないかなと思いますけれどもね。どうぞ。 ○ 堀田委員 今の委員長のご発言、あるいは安井先生のご発言を踏まえて、要するにタックスペイ ヤーのための評価であるという、それが5段階評価の中でどういうふうに表れるかとい うことについて、大事なのは実はタックスペイヤーの目から見れば達成度も大事なのだ けれども、中期目標自体がきちんとタックスペイヤーにとって本当に必要なものが設定 されておるかどうかと、こちらの方が大切なのですね。 そういう観点からいけば、中期目標というのは最終的には大臣がお定めになってもいい のですけれども、研究やっている人がこれが自分はタックスペイヤーのために一番いい ことであり、自分のやれることはこういうことであるという、そういうことで自ら中期 目標を定め、大臣がそれをOKならOKで、それを公にしていろいろな、タックスペイ ヤーと言ったって抽象的ですから、いろいろな関係者の方々に公開して、そこで意見を 募ればよい。実際、相当いい意見が集まると思いますが、それを入れて中期目標自体、 達成すること自体が本当に今の姿でタックスペイヤーにとって一番いいことだという、 そこが確定できれば、あとは中期目標の達成をどう評価すればいいのかと、評価の方は 簡単になるわけですよね。 ところが中期目標が遺憾ながらそういうタックスペイヤーのオーソライズを得ていな い、大臣がお定めになった、いや、信用していますけれども、行政を信用しております けれども、果たしてそれでいいのかどうかという点がどうしても凄くぐらついておるか ら、その部分の評価が結局、この評価委員会に被さってくるという、重荷を負わざるを 得ないと、こういう構造になっているわけですね。 そこをだからどういうふうにして解決すればいいかというと、私は5段階評価に仮にす るとすれば、文学的表現でもいいと思うのですが、これはすべてもう中期目標をどれだ け達成したか、達成度だけに絞った評価にしているのだけれども、それはそれでいいの ですけれども、頭のところにさきほどの最終目標、公衆衛生の向上とか、労働者の安全 の確保とか、健康の確保とかにどれだけ寄与したかという観点に立って中期目標とセッ トにする。そういう頭をつけて中期目標を置いてくると、そうするとうまく中期目標の まずい点も修正しながら評価できるのではないかというふうに思いますが。 ○ 黒川委員長  やはりこういう評価というのは僕等だけのスタンダードで必ずしも正しいわけではない から、中期目標はこう設定しましたと、それに従って達成度をやりましたと、総合的に は今、おっしゃった第1条のようなことで評価していますよという話がインターネット なんかで出るのだけれども、出ているということはこちらとしては情報を公開している よと自己満足に過ぎないわけで、出ているからどんどんコメントを言ってくださいとい うのが大事ですよね。 それをだからマスコミとか、いろいろなところで言って、そうするとこちらでもいくら でも直せるし、というふうに常にキャッチボールしていくとだんだん、皆が納得した目 標が設定されて、それに対して評価していくということができる。だから、そのキャッ チボールを特にこの委員会では続けましょうということで、マスコミとかからどんどん 意見を言ってきてもらいたいという話を積極的に出すのが大事でしょうね。行政機構の 評価、僕はそうだと思いますから。 もうひとつは、そうなるとさっき言ったような学会発表とか論文の数というのは確かに 安井先生がおっしゃったようにあまり意味がないのですよ。それを出すことが目的のよ うな研究なのか、きちんとした定点測定をやってきちんとアニュアルリポートをデータ の細かいところも入れて出すことの方が余程大事な業務だということがいくらでもあり ますから、例えば天気予報とか、海の観測とか、皆、そうだから。それが不正確でない ようにきちんとしていることが余程大事なわけなので、それが研究論文、学会発表だと いうのは全然馴染まないわけですよね。 だから、そういう意味では例えば1981年から96年まで16年間の日本の英文の論文、IS Iでレジスターしている論文は日本は35%で世界で3番目なのですよ。だから、それだ け凄いのだけれども、その論文の中で1度も引用されてない論文というのが45%と先進 7か国では一番高いのですよ。アメリカでももちろんされていないのはあって、アメリ カは一番低くて31%ぐらい。だけれども、45%というのは、そのうち1度でも引用され た論文のうち、日本だけが何と37%が日本人によって引用されているだけなのですよ。 多分、自分たちなのではないかという疑いが強い。つまり3分の1は全然、誰にも引用 されたことがない、日本人以外は。こういうことでは、いくら論文を出してもしょうが ないのではないかなと。 安井先生がおっしゃるように大学の人がやっている仕事は何なのか。やはりこういう旧 国研のようなのはやはり業務的なものというのは凄く大事なので、それは研究所によっ てウエイトが全然違うと思うのですよね。その辺を十分に評価に入れないと論文とか学 会に行って調べると言っていても薄まるだけだから、その辺を十分に理事長先生とキャ ッチボールしながら、別に論文等の数ではないのではないのかという話もいずれ出てこ なければいけないわけで、その論文、何回、引用されましたかという観点でやったらい いのかなどという話をいずれすべきかなという気はしますけれどもね。 最近、大学の先生の論文もインパクトファクターなんて言っているけれども、あれは研 究者の世界で関係者が多ければ増えるに決まっているのだから、そういうことも知らな いでインパクトファクターが充足しているという非常に未開発の研究者が多いのだけれ ども、そういうことから言うと自分以外の者、特に外国に何回、サイトされているかと いう方が余程、やはり客観的にはなりますよね。 そんなこともいずれ考えなければいけないのかなと思いますが、ただ、業務としての研 究というのは、分析、測定、これを常にまとめて、研究、研究と言うとちょっと非常に 誤解を受けやすいので、その辺をやはりだんだん明確化していく必要があるかなと思い ます。そうでないと研究所の理事長先生にプレッシャーばかりかかってしまって、とに かく論文、60と言っているのだよなんて言われても研究者も辛いですよね 。 その辺も研究やっておられる大学の先生たちの話も聞きながらちょっと中期目標、モ ディファイすることもあるので、この辺をちょっとキャッチボールしながら、ぜひ、3 つの研究所それぞれについて考えていただければ、うちはもう業務ですと、調査、分 析、測定、これが主な業務ですよという部門もいくらでもあると思うのですよね。その 辺、しっかりしていないと非常に気の毒かなと思います。別に甘くしているわけではな いです。それが本来の業務だというタックスペイヤーからの視点でのミッションですと いう話ははっきりしておいた方がいいと思いました。 これは次回にしますか。時間過ぎましたので。 ○ 唐澤政策評価官  本日、特にこれだけはちょっとお話をしておきたいという先生方、ご意見があれば、そ れをお聞きしまして、次に向けて今日、残りの資料はちょっとご説明できませんでした が、次回、一応、ご覧いただいてくるという前提でちょっとご説明させていただいて、 今日の評価に対する考え方についてのご意見も、次回は6月なのですけれども、その間 にちょっとこういう点がと気がついたところがありましたら、メールでもFAXでも構 いませんので、もし、いただいておければ、次回、また、資料を直して提出できるとい うふうに思っております。 ○ 黒川委員長 では、そういうことで資料の9、10、11についてはさっと目を通していただいて、特に 評価委員でなくてタックスペイヤーの目から見て、こんなものかねというコメントを どんどん出していただくということにします。堀田委員もおっしゃったように、できる だけこういうアクティビティをインターネットに出してどんどんコメントウェルカムで すということが凄く大事なのではないかなと思います。評価方法についてもミッション についても、そうだと思いますけれども。 そんなことで次回ということでご案内、お願いします。 3.閉会 ○ 唐澤政策評価官 それでは次回の日程についてお話を申し上げます。次回は6月7日木曜日でございます けれども、6月7日の10時から12時、午前中でございますが、この2時間、場所はここ の省議室、9階の省議室、同じでございます。引き続き、この評価基準のお話をご議論 いただきたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。 ○ 黒川委員長 では、そういうことで今日はありがとうございました。また、次回、よろしくお願 いいたします。                                     <了> 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03−5253−1111(内線7784・7780) ダ)03−3595−2160