01/03/27 第4回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 1 日 時 平成13年3月27日(火)10:35〜11:40 2 場 所 経済産業省別館827号会議室 3 出席者 [委   員] 奥平委員、勝委員、菅野委員、吉川委員、齋藤委員、              笹川委員、佐藤委員、都村委員、中山委員、長谷川委員、              堀越委員、山路委員       [事 務 局] 奥田勤労者生活部長、南野勤労者生活課長 4 議 題  (1) 中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部   を改正する法律(平成10年法律第46号)附則第7条第3号ロ(1)の支給率を   定める件等について  (2) 林退共における掛金日額改定について  (3) その他 5 議事内容 ○部会長 それでは、定刻となりましたましたので始めさせていただきます。  今日の議題は、お手元にお配りしている議事次第のとおりです。まず最初に、「中小 企業退職金共済法第10条2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法 律附則第7条第3号ロ(1)の支給率を定める件等について」です。それでは、説明を お願いします。 ○勤労者生活課長 資料1をご覧ください。例年この時期に以前の審議会におきまして 翌年度の一般の中退制度に関わる付加退職金の支給率等について諮問をさせていただい ているわけですが、今回も同様に資料1の諮問文に基づきまして労働政策審議会に諮問 をさせていただきたいと考えております。  なお、この諮問の形式につきましては、中退部会の親審議会であります労働政策審議 会の会長に大臣から諮問をすると、こういう形式を取らせていただいております。項目 としては4つございますが、いずれも基本的な考え方は同じでございます。具体的には 、資料2に基づいてご説明します。  まず、諮問事項の説明に先立ちまして、一般の中退制度における付加退職金制度につ いて簡単にご説明します。8頁をご覧ください。8頁に付加退職金制度についての関係 条文がございます。条文だけでは非常にわかりずらくなっておりますので、簡単にご説 明します。  中退法の第10条に一般の中退に関わる退職金の支給に関する規定がございます。ま ず、第1項には「機構は被共済者が退職したときは、その者に退職金を支給する。ただ し、当該被共済者に係る掛金の納付があった月数が12月に満たないときは、この限り ではない。」とあり、すなわち、その納付月数が12カ月に満たないときはいわゆる掛 け捨てになります。  第2項についてはそれぞれその掛金、納付月数に応じた支給についての規程です。第 1号ですが、掛金の納付月数が23月以下の場合の退職金額は、別表1に定める金額が それぞれ支給されるわけですが、この場合には掛け損になります。要するに実際に掛け た掛金よりも若干その退職金額が少なくなるという部分の規定です。第2号は、掛金の 納付月数が24月以上42月以下の場合には掛金と同額の退職金を給付するという規定 です。  それから、第3号は、43月以上掛金の納付月数がある場合には、退職金額はイおよ びロに定める額を合算して得た額となることを定めており、いわゆる上乗せ支給がある 部分についての規定です。このイの部分というのが、基本退職金として3%で支払いを お約束している部分であり、いわゆる最低保証の部分です。それからロに規定する部分 が、今回お諮りしている付加退職金に関わる部分でして、各年度ごとの運用利回りが予 定運用利回りを上回った場合に付加して支給するものです。  この付加退職金の支給率については第10条第3項に規定がございまして、「厚生労 働大臣が各年度ごとに厚生労働省令で定めるところにより、当該年度の前年度の運用収 入のうち同号ロに定める額の支払いに充てるべき部分の額として算定した額を当該年度 に計算月を有することとなる被共済者の仮定退職金額の総額で除して得た率を基準とい たしまして、当該年度以降の運用収入の見込み額その他の事情を勘案して、当該年度の 前年度末までに労働政策審議会の意見を聴いて定めるものとする」となっております。 簡単に図でご説明いたします。  6頁をお開きください。付加退職金の支給率の決定方法についてです。左側の図です が、各年度ごとに当期利益金が計上された場合当期利益金を分子とし、分母はそこに書 いてありますが「仮定退職金の総額」とあります。これは掛金納付月数が43月以上と なる加入者、すなわち付加退職金の支給対象になる者です。この加入者がすべてその年 度に迎える計算月において退職したと仮定した場合の退職金額の合計をその分母として いまして、それをその当該年度の当期利益金で除して支給率を算定すると、こういう仕 組みになっています。  その前年度に利益金を計上した場合に、それを付加退職金支給対象者全員で退職金額 に応じて分配する場合の額をまず算出いたしまして、この額を基準といたしまして、当 該年度以降の運用収入の見込み額やその他の事情を勘案して審議会の意見を聴いて定め る、ということになっているわけです。以上が、非常に簡単ではございますが付加退職 金の支給率の決定についての仕組みです。  1頁に戻りまして、今回諮問いたします事項についてですが、まず1番目の13年度 の付加退職金の支給率についてです。下の参考の表にございますが、過去、付加退職金 については制度化がされて以降、平成4年度、平成5年度にそれぞれ支給がなされてい ます。しかしながら、平成6年度以降については法律で定める予定運用利回りよりも実 際の運用実績が低いという状況にございまして、当期の運用利益は計上できない状況が 続いてきたところです。こういうことで平成6年度以降、付加退職金の支給率を0とし てきたわけです。平成12年度の運用実績については、まだ見込みの段階ではあります が、最近の経済金融情勢あるいは株価の低迷等を受けまして、法律で定める予定運用利 回りの3%を下回り、2.30%となる見込みであり、大変厳しい状況になる見込みで す。  7頁の「一般の中小企業退職金共済事業の収支状況」という表をご覧ください。いち ばん右に12年度の欄がございます。12年度の資産、運用利回りの実績見込みについ ては下から2つ目にあるとおり、2.30%という状況です。見込みでいきますと約3 02億円の当期欠損金が生じます。実際の決算とはやや差が出てくる場合はございます が、いずれにしても見込みでは300億円程度の赤字が計上されるという見込みです。 その結果、平成11年度末現在の積立不足、いわゆる累積欠損金については平成11年 度までで1,822憶あったのですが、平成12年度においては、見込みどおりであれ ば、2,124億円の累積欠損金を計上することになるという状況です。  このように12年度については大変厳しい経済金融情勢、あるいは株価の低迷を受け まして運用実績が予定運用利回りを下回るという見込みでございまして、平成13年度 の付加退職金の支給率については0とさせていただきたいと考えておりますす。それが 第1点です。  2頁をお開きください。これもいろいろと書いてありますが、考え方は1の付加退職 金の支給率の考え方と同じです。退職金の付加分割支給率についての諮問です。中退の 場合、退職金につきましては一括払いが原則ですが、一定の要件の下に分割払いを認め ております。退職金額が一定額以上の場合、5年または10年の分割払いというものを 認めているわけです。この分割払いの場合には、その支給が終わるまでの間勤労者退職 金共済機構で退職金を運用することとなるわけで、付加退職金が支給される場合にはそ の分を上乗せして支給されることになっています。  説明の2行目の所に書いてありますが、考え方としては、退職一時金を年3.0%+ αで複利で運用し、それを元利均等で10年または5年間払い戻すという考え方に基づ いて算定をしているわけです。このプラスαの部分がいわゆる付加分割支給率ですが。 これは、先ほどの決算見込みの状況にかんがみまして分割支給期間10年と5年ともに 、0に設定させていただきたいと思います。  3つ目、これは分割支給を行う場合の割引率についてです。分割支給の割引率という 場合についての考え方は下のほうに書いております。これは分割払いの途中で分割払い を受けている受給者の方が死亡された場合等に、その残額を一括して遺族に支給すると いう仕組みになっているものです。その場合、支給残額を現在価値に割引いて支給する ということになるわけですが、この割引率については、予定運用利回りとして設定して おります3.0%に基づく基本分割支給率のみといたしまして、付加分割支給率の部分 を0と設定するものです。  4つ目の事項は、過去勤務通算月額に乗ずる率についてです。この過去勤務通算とい う制度は、新たに事業主が中退制度に加入した場合に、その事業主が加入以前から雇用 している従業員について最大10年間遡って掛金を納付することができるというもので す。この場合、毎月の掛金以外にいわゆる過去勤務分の掛金を納付するという必要が出 てくるわけですが、基本退職金分の利回りに加えまして付加退職金が支給される場合に は、その分を上乗せして納付していただくということになっているわけです。13年度 に関わる付加退職金の支給率に合わせて0と設定するものです。  以上、4点についてお諮りをさせていただきたいということです。 ○部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明についてご意見なり ご質問がございましたらどうぞ。 ○委員 ちょっと質問よろしいでしょうか。いまご説明いただいた7頁の中退事業の収 支状況ですが。収益のほうは平成9年度は上がっているわけですが、10年度以降、対 前年度で見て減少してきているわけですね。これはもちろん運用収入減もあるのでしょ うが、掛金の動向はどうなっているのでしょうか。掛金のほうも減ってきているのです か。 ○勤労者生活課長 全体の新規加入と脱退者の数を見てまいりますと、この時期はやや 脱退者のほうが多くなっております。そういう意味では、掛金収入が落ちているという 状況にあると思います。 ○委員 その減少に大きな影響を与えているのは掛金の減少なのでしょうか、あるいは 運用収入の減少なのでしょうか。9年度は増加していますよね。 ○勤労者生活課長補佐 いま手元に細かい数字は持ち合わせておりませんが、新規加入 のほうは好調に伸びているのですが、一方で脱退のほうもやはり増加しつつあり、12 年度についてはまだ年度途中の数字ではありますが、被共済者の人数は若干の減少傾向 にあり、10年度、11年度も同様となっています。そのようなことから、掛金収入に ついては若干減少傾向にあります。  ただ、この減少幅の中で運用収入の減と掛金収入の減とどちらが大きいかというのは いま手元に資料がございませんので、正確にお答えできません。 ○委員 中小企業の従業員の平均勤続年数というのはどのくらいなのですか。それぞれ 短いわけですか。かなり転職しているということでしょうか。 ○勤労者生活課長補佐 中小企業全体の数字が手元にございませんが、退職金を受給さ れる方の平均の納付年数で申し上げますと、一般の中退事業においては、約10年とい う数字であったと思います。 ○委員 ほかの中小企業に移られるのですか。それとも自営にいくのですか。かなり移 動が激しいということですかね。 ○勤労者生活課長補佐 左様でございます。会社はそのまま存続しているが労働者ご自 身が退職する場合もあれば、あるいは、中退制度の対象企業の3分の2が10人未満と いうような状況でもございますので、やはり多産多死というような状況は中小企業、特 に零細企業において、多く見られる現象なのかとは思っております。 ○委員 収益が増えれば純利益は増えるわけですね、費用が一定であるとすれば。しか し、これが減少してきているというのは、掛金自体も減少してきているのでしょうか。 しかし9年度は上がっているわけですね。それで9年度はいまよりは運用実績はいいわ けですが、それほどには良くはないわけですね。 ○委員 これは資産総額が3兆1,000億ですから、運用金利が3.08%から0. 7%下がっていますね。総資産が3兆1,000億の0.7%下がると、210億円ぐ らい金利収入が減るわけですね。11年度からの12年度の収益の減少幅というのが1 74億ですから、たぶんトータルの収入は少し増えているのですが金利収入の減少のほ うが大きいということになるのでしょうね。 ○勤労者生活課長 それから中退制度の仕組みとしまして、掛金収入が増えると、これ は将来の退職金の支払いに充てる原資なものですから、責任準備金という形で費用のほ うで立てるわけです。そういう意味で収入は増えても費用のほうも増えると、こういう 構造になっています。 ○委員 わかりました。どうもありがとうございました。 ○委員 今日は付加退職金のことを決めるので、諮問のとおりで仕方ないと思いますが 、運用利回りが2.3%と示されているわけですね。それで私はこの部会を長くやって いるわけですが、これまでに何回も予定運用利回りを下げてきて3.0%なら当分いい ではないかというような話をみんなでしたわけですね。労働側は経済の実情からやむを 得ないと、労働債権に関わる退職金であるがやむを得ないと賛成の意を表してきたわけ です。今日は2.3%をどうするかというふうに提案はありませんが、これがやがて半 年ぐらいするとまた下げますよというようなことが懸念されるわけですね。金融の専門 家でもありませんから出された数字をそのまま信用せざるを得ないわけですが、2.3 %というのは政府関係のいろいろな資金の運用その他を含めて、いい数字なのか、非常 に悪いのか、その辺をちょっと教えてください。 ○勤労者生活課長補佐 政府関係の運用状況、他の機関の運用状況というのは現在お示 しできる数字というのは捕捉しておりませんが、2.3%というふうに利回りが低迷し た主たる要因としては、株価の低迷等により金銭信託の部分の利回りが悪かったという 要因がございます。予定運用利回り3.0%を0.7%下回っている数字なわけです が、その中の概ね0.6%程度は金銭信託の利回りが昨年度より低下したことによるも のではないか、というような分析もいたしているところです。  ただ、実際にこのような数字になってはいますが、若干手前味噌になるのかもしれま せんが、1月末現在における企業年金などの運用利回りというのを見ておりますと、マ イナス8%といった新聞報道も見られているところです。それらに比べると、金銭信託 の運用利回りの見込みというのが1.92%とプラスの数字でもありますので、機構に おける運用については、それなりにご評価いただけるものではないかというようには考 えております。 ○委員 いまの委員のお話ともからむのですが、今日の議題である付加退職金の支給率 については、平成12年度の当期純利益分がマイナス300億円ということで、0%と いうのはいた仕方ないと思うのです。しかし、これが毎年積み重なっていく状況にある 中、積立金の推移を見ますと積立金不足というのが毎年、特にここのところの金融情勢 を反映して拡大しています。2,100億円というのはかなり大きな額で、全体が3兆 円の総額の中の約10%近くまで積立て不足がふくらんできているわけです。中退制度 は国の社会保障制度に組み込まれているわけではありませんから、独立採算制というこ とを考えると、この制度自体のサスティナビリティーというものも真剣に考えるべきで はないかというような気がいたします。特にこの1、2年はたぶん銀行の不良債権の処 理によって資産デフレがかなり強まるとすると、金利は2年ぐらいはたぶんいまの状況 で低位に推移するのではないでしょうか。株価が上がればその分だけ利回りが取れるか と思うのですが、その辺の運用態勢など、そういった中・長期的なこともちょっと考え ていくべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。 ○勤労者生活課長 たしかにご指摘いただきましたとおり、現在かなり多額の累積欠損 金が積み重なってきている状況にあるわけでして、資産が3兆円あるということでただ ちにその退職金の支払いに支障が生じるという状態ではないにせよ、やはりこの累積欠 損金、あるいは単年度の欠損金の解消というのは非常に大きな課題ではないかと考えま す。制度の安定的な運営という観点からしても非常に大きな課題ではないかと考えてい るところです。  資産運用については機構において基本ポートフォリオというものも設定いたしまして 、できるだけ効率的に行うということで懸命の努力をやってきているところではありま すが、いちばん大きな部分というのは、やはり法律で予定運用利回りが3.0%に設定 されているということがどうしてもあるのではないかと感じるところもございます。そ ういう意味で、予定運用利回りについては平成11年度に3.0%に下げたところです が、実際には法律改正を伴うものですから、平成10年の1月の通常国会に法案を提出 したわけです。  こういった予定運用利回りについては、中退法上も少なくとも5年に1度検討を加え ることになっています。5年ごとの見直しということになりますと、前回は平成10年 1月の通常国会に法案を提出しておりますので平成15年、再来年1月の通常国会に法 案を提出するということになるわけです。法律上は少なくとも5年ごとにということで すが、前回も、実は3年で見直しを行っているという状況もございます。仮に前倒しで 見直しということになりますと、来年1月の通常国会に法案を提出するというようなこ とにもなるわけです。  いずれにしても、この累積欠損金の解消というのは非常に大きな課題であると考えて いるところです。平成12年度の決算はまだ見込みの段階でして、実際にどのぐらいに なるかというのはもう少し経ってみないとわからない部分がございます。こういった平 成12年度の決算状況や今後の経済金融情勢の動向といったようなものを踏まえた上で 、場合によっては予定運用利回りを前倒しして変更するというようなことについても部 会にご相談させていただくことになるかもしれないと考えているところです。 ○委員 課長は平然とこうおっしゃるので、人が交替していきますから、それぞれ皆さ んがおっしゃるのはそれでいいと思いますが、私は長く委員を勤めているわけでして、 再三見直して実際の運用利回りに合わさざるを得ないという理屈はわかりますが、その 度にいろいろな説明を加えるわけですね。これなら何年ぐらい持つ、そして退職金も確 保できる、収支も確保できるということをその場では議論して皆が納得するわけですよ 。経済情勢が変化するからということであれば法律で決めること自身が何かおかしくな ってくる。だから市場金利に連動していいなどとは言いたくはないので、3%はできる だけ長く次の約束まで5年間やってほしい。労働側から見た場合は当然利回りを下げれ ば退職金の金額が下がる。掛金を上げてもらえればいいですが、なかなか中小事業者の 皆さんも上げるのは大変だろうと思います。こういう問題はどこへものを言ったらいい のかよくわからないのですが、非常に不満感と言いますか、ちょっと怒りに近い不満が あるわけです。前の審議会で運用利回りの最終的な責任はどこにあるのかと私がお聞き しましたら、当時は労働省だったと思うので、労働省だとお答えになったと思うのです 。いまもそういう認識でおみえになるか、教えてほしいと思います。 ○勤労者生活課長 法律上その予定運用利回りというものが設定されているわけで、現 在は3.0%となっております。この法律を改正するというのは、私ども厚生労働省の 仕事です。もちろんその過程で中退部会の委員の方々のご意見を承りながらその利率を 改正するか、あるいはどのぐらいの水準に設定するかということについて、ご意見を賜 りながら見直しを行うわけではありますが、その責任という点で申し上げますと、厚生 労働省にあると言えると思います。 ○委員 もう1回すみません。いまの発言で、場合によっては前倒しして変更するかも しれないというような部分は、当局の発言としてはちょっと穏当を欠くのではないかと 私は思うのです。それは実態をおっしゃってみえるわけで担当課長としてはやむを得な い発言かと思いますが、部会に対して議題にもなっていないものをそこまでおっしゃる のはちょっと行き過ぎではないか、と思いますがいかがですか。 ○勤労者生活課長 私が申し上げたのはご相談させていただくかもしれないということ でして、やるということを言っているわけでも何でもありませんので、その点はご了解 をいただきたいと思います。 ○委員 いま委員がおっしゃった点ですが、制度を受ける立場から見るとまさにそのと おりだと思うのですが、これが従業員の方に対しての安定した制度として維持していく という意味からすると、やはり今後の経済見通しがどうなるのかということを真摯に考 えなくてはいけない面もあるのだと思うのです。たしかに実績の利回りが下がってきて いる。これはまた景気が上向き、上向きと言って若干期待感があったところがボトンと 落ちてしまったということと、従来の高い金利での運用のものがどんどん少なくなって いって新しいものの利回りが低下していくという趨勢的な問題と両方あって、昨年は若 干プラスになったということではあるのですが、いま政府自身が緩やかなデフレという ことを認めている状況の中でここ1年半ぐらいでまたそういう情勢が急速に変わるとい うことがなかなか期待できない場合に、たぶん法律改正とそのあとの周知期間と、施行 までのタイムラグが1年半ぐらい伴うということを考えると、あまり累積をさせるとい うことは、次の世代に問題を数年間先送りをするということになるという点もやはり真 摯に考えなくてはいけないのではないかという気がいたします。たぶん平成12年度の 実績がある程度明らかになったところでぜひそういう見地から検討していただくという ことが必要なのではないかという気がいたしますので、よろしくお願いしたいと思いま す。 ○部会長 ほかに、何かご意見はございますか。 ○委員 今日の議題ではないテーマで議論が進んでいるわけですが、私は今回初めてこ の委員になったわけで、前任者からいろいろな中退制度について聞いたときに、前回の 運用利回りを下げるときの議論の経過があるわけですね。そういうものがあるわけです から、現在のこの時点ではこういう状況であるということは認識はできるところですが 、検討が必要だとか、それからまだ決算も出ていないわけですから、出る前に何らかの 方策が必要だとか、検討とかご相談したいというのは少し物言いとしてはおかしいので はないかと思うわけです。そういう意味では、決算の動向を見ながら、どういうふうに 安定した中退金制度を作っていくのかということと、中小企業労働者の退職金をどう確 保するのかとか、それからいろいろなところの制度がどのように運用がされているのか とか、それは検討が必要であって、今日のこれ以上の議論は少しこのテーマとはちょっ と違うのではないかと思います。 ○部会長 それではいろいろとご議論がありましたが、この諮問自体については了承し ようというご意見が多かったと思いますので、答申はその方向でまとめていきたいと思 います。  これからどうするかというような話は、現状のご説明があったということにしておき たいと思います。やはり誰の責任だとかという話になると、これはまたちょっと困るの です。むしろやはり厚生労働省も機構を監督する立場として運用は機構が行うわけです が、機構の運用利回りが少しでも高く回るように監督を当然やっていただかなければな らないと思っています。その辺がほかからいろいろと言わないようにするというのが最 低限いま必要なことだろうと私は思いますが、念のために付け加えさせていただきます 。  それはそれとして、今日の諮問については答申の案を用意してありますので、それを お配りしてください。                (諮問文案配布) ○勤労者生活課長補佐 それでは、案文のほうを朗読いたします。  「中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)第10条第2項第3号ロ及び 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成10年法律第46号)附則第7条第 3号ロ(1)の支給率等について。平成13年3月27日付厚生労働省発基勤第32号 をもって労働政策審議会に諮問のあった表記については、本部会は、審議の結果、下記 の通り結論を得たので報告する。                    記              厚生労働省案は妥当と認める。」  以上でございます。 ○部会長 こういうことでさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○部会長 では、そういうことにさせていただきます。答申を提出したいと思います。 勤労者生活部長にお渡しします。 ○勤労者生活部長 どうもありがとうございました。 ○部会長 次に議題2の「林退共における掛金日額改定について」です、事務局からご 説明をいただきます。 ○勤労者生活課長 資料の3をご覧ください。「林退共における掛金日額の改定につい て」というものです。ご承知のように、一般の中退とは別に中退法上特定業種退職金共 済制度という仕組みがございます。特定業種に関わる退職金共済事業という仕組みがご ざいますが、現在、建設業と林業と清酒製造業の3事業がございます。それぞれの業種 で働く期間雇用者を対象とする退職金制度ですが、この仕組みについては、1日働くご とに証紙を共済手帳に1枚ずつ貼付するということになっています。この証紙の額につ いては、現在3業種とも300円となっています。林退共については、昨年7月に予定 運用利回りを2.1%と非常に低い水準に引き下げたわけですが、これによって林業労 働者の退職金の支給水準が下がってしまうということになることから、林業界において 、林業関係者の間で掛金を引き上げるべきとの意見が出されていたところです。  しかしながら、この掛金の引き上げについては事業主の負担増ということで行うこと になることもありまして、なかなか意見を集約するのに時間がかかっていました。しか しながら最近になって林業界の総意として掛金を引き上げるべきという意見がまとまり まして、3つ目にございますが、今年の3月2日に開催されました機構の林退共の運営 委員会において、掛金日額を300円から450円に改定するということが審議されま して、了承を受けたところです。  ちなみにこの450円という水準ですが、次の頁にございます。真ん中の表をご覧く ださい。林退共の450円ですが、これはほぼ建退共の給付水準に応じて額を設定した ということです。  例えば上から2つ目の欄ですが、納付年数が10年のところ、10年掛金を納付した 場合には、建退共が103万円のところ林退共が104万。その下に15という所があ りますが、15年で見てまいりますと建退共は179万で、林退共が170万というこ とです。ほぼ建退共に匹敵するだけの給付水準にしたいということでこの450円に引 き上げるということが、林退共の運営委員会で了承を受けたところです。  現在、これを受けまして機構のほうで、林退共に関わる共済規程の変更の認可申請の 準備がなされており、私どもも申請があればこれを認める方向で検討しているところで す。  なお、この特定業種の掛金については従来からも何度か引き上げが行われてきている わけですが、これは中退法上法律ではなくて特定業種の退職金共済規程において定める ものと位置づけられています。従来の中小企業退職金共済審議会より、審議会に対する 諮問答申事項という扱いではございませんでした。  しかしながら、厚生労働省の認可に際しまして審議会に状況をご説明しているところ でして、今回も同様にご説明をいたしました。 ○部会長 ありがとうございました。いまのご説明について、何かご質問なりございま すか。  特段のご質問もないようでしたら、次に議題の3番目に移ります。 ○勤労者生活課長 資料4をご覧ください。「特殊法人改革の動向について」です。勤 労者退職金共済機構は、いわゆる特殊法人という法人格を有しているわけですが、この 特殊法人について、現在、政府全体で改革の動きがあるわけです。  1頁目にございますが、昨年12月の閣議決定において行政改革大綱というものが定 められております。この中で公務員制度の改革等々と並びまして、特殊法人等の改革と いうものが位置づけられているわけです。  そのイの所にございますが、「集中改革期間における特殊法人等の抜本的見直し」と いうことで、2行目の最後にあるとおり、平成13年度中に、各特殊法人等の事業及び 組織形態について講ずべき措置を定めた特殊法人等整理合理化計画を策定すこととなっ ています。これは政府が特殊法人の事業、組織形態を見直すための措置を定めた特殊法 人等整理合理化計画というものを13年度中に策定するとされているもので、この計画 に基づきまして遅くとも平成17年度末までに必要な措置をとるとされており、法制上 の措置その他の必要な措置を講ずるということになっています。  この特殊法人改革の見直しの観点ですが、(ア)にございますように、個別の事業の 見直しをまず行うということで、特殊法人等の個々の事業についてその具体的な事業の 仕組み、事業実施の方法・手段等に遡って見直しを行うということ等により合理化を図 ることとされています。  2頁目ですが、(イ)にその組織形態の見直しというものがございます。先ほどご説 明しました(ア)の事業の見直し結果を踏まえ、以下の検討指針を基に特殊法人ごとに 当該見直し後の事業を担う実施主体としてふさわしい組織形態を決定することとされて います。  具体的には下のi)からiii)まであるわけですが、考え方としては、特殊法人そのも のを廃止する、2つ目として、民営化を検討する、3つ目として、いわゆる独立行政法 人への移行を検討するということになります。それから「この場合」という所にござい ますが、この3つの分類に属さない場合には、「その他」という形でまた別途の法的措 置等を講ずることとされています。この4つの分類に現在の特殊法人の組織形態を見直 すという方針が示されたところです。  この特殊法人改革を見直す組織として行政改革推進本部というものが設置されており まして、橋本行政改革担当大臣が担当されておられるわけですが、この行革推進本部に おいては、まず各特殊法人のヒアリングを行っております。機構についても、2月の段 階でこの行政改革推進本部からのヒアリングを受けております。  今後のスケジュールとしましては、今月中に論点整理についてこの行政改革推進本部 から示される予定になっています。要するに特殊法人の分類を大括りに、特殊法人の性 格に応じて分類をするという論点整理が示される予定になっています。ただし、この段 階では個別法人をどのジャンルに位置づけるかということについては示されない見込み です。  その後、6月になりましてその中間整理を行うということで、おそらくこの段階で個 別法人の事業の見直し、ないしは組織形態の見直しについて指摘がなされるものと思わ れます。  私どもとしましては、機構については、中退事業を運営する機関としてこれまでどお り国と一体となって業務運営が行える組織形態とする必要があるということで主張をし ているところで、今後ともこの主張と方針を堅持していきたいと考えているところです 。 ○部会長 ありがとうございました。いまのご説明に対して、何かご質問等はございま すか。  それでは、今日はこれぐらいにさせていただきたいと思います。今日はお忙しいとこ ろをありがとうございました。これで終わります。 6 配布資料  (1) 中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一部   を改正する法律(平成10年法律第46号)附則第7条第3号ロ(1)の支給率を   定める件等について(諮問)  (2) 「中小企業退職金共済法第10条第2項第3号ロ及び中小企業退職金共済法の一   部を改正する法律(平成10年法律第46号)附則第7条第3号ロ(1)の支給率   を定める件」等に係る関係資料  (3) 林退共における掛金日額改定について  (4) 特殊法人改革の動向について (注) 配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総    務課行政相談室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧してお    ります。 照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課     担当:河野・武村     03(5253)1111(内線5376)