01/03/19 第5回「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」議事録      第5回「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」議事録           日時 平成13年3月19日(月)              18:00〜           場所 労働基準局会議室 ○座長  第5回「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」を開催する。検討に入る前に 事務局から提出資料について確認・説明をお願いする。 ○事務局  提出資料について確認。 ○座長  資料の「自然経過」については、前回議論したが、前回の議論を踏まえて、事務局で 整理したものを資料として提出している。本日は、これについて検討していただくとと もに「発症に近接した時期における急性のストレス等とその評価」のドラフトについて 検討していただく。  前回の議事録は、次回まとめて確認していただく。  まず、「自然経過の考え方」について検討したい。これは「III 脳・心臓疾患の自然 経過と重症度の評価」のいちばん初めに入れたいと考えている。自然経過というのはど のように考えるのかということを、まず明確にする必要があると考える。事務局に朗読 をお願いする。 ○事務局  朗読。 ○座長  この部分について意見をいただきたい。医学的な意味での自然経過ではないというこ とをきちんと明記し、業務以外のものをすべて含んだものが自然経過で、それに対し業 務に関連した要因を考えていくとしたほうがよいと考える。前回の参集者の意見も大体 そのようなことではなかったかと思う。 ○参集者  最後から4行目の、「その方が便利である」というより「実際的である」という表現 のほうがよいと考える。 ○座長  そのように修正する。 ○参集者  「変更の出来ない要因」として「遺伝、年齢、性など」と出ているが、病理のほうで 総論的に言えば、通常「人種」ということが入るが、日本人の場合であるから入れる必 要はないのか。 ○座長  そういうものだということを広く理解していただくために入れておいてもいいと思う 。順番としては、普通「人種」がいちばん初めにくる。 ○参集者  例えばもって生まれたハイリスク、不整脈でのハイリスク群や、あるいはくも膜下出 血もそうだと思うが、もともと存在していて、そこにあるものが加わったときに起こる 。自然経過、徐々に進行はしなくて、ハイリスクをずっと一定に持っているという病態 も存在する。 ○座長  「先天的異常」を「変更の出来ない要因」の最後に入れておく。 ○参集者  「変更可能な要因」の5番目に、「その他:業務外のストレスなど」とあるが、ここ で出てくると唐突な感じがする。業務外のストレスとは、何を言うかというと、例えば 家庭のこと等であれば、「社会経済的要因」の中に入るのではないか。あるいは「家庭 環境」の後に、何か加えるか。ストレスが非常に重要な項を占めるかもしれないが、ス トレスだけ抽出した所に唐突というか、奇異というふうに感じる。 ○座長  「社会経済的要因」に、「業務外のストレス」というのは入るか。 ○参集者  「心理社会的要因」に修正してみてはどうか。 ○座長  では3番目を「心理社会経済的要因」と修正し、その中に「業務外のストレス」をい ちばん初めに入れる。 ○参集者  その下の段落は、文脈の流れがつかみにくいため、文章を工夫するなり、もう少し明 確にする必要がある。  具体的には「その寄与度を判定するのであるが、それにあたっては、要因を業務に関 連した要因と業務に関連しない要因に分けて考える必要があり、そのほうが実際的であ る」と修正してはどうか。 ○座長  要するに、業務の要因だけではなくて全部を見ていきたいという立場を強調したいの と、自然経過を考えるときに、この2つに分けたほうが実際的だということである。  次にドラフトの検討に入りたいと思う。V−2「発症に近接した時期における急性のス トレス等とその評価」では、「発症に近接した時期における異常な出来事とその評価」 ということをいちばん初めに目次案として出しているが、これはまた後で言葉について はご検討いただきたいと思う。事務局は、朗読してください。 ○事務局  朗読。 ○座長  表1は、700くらいの文献に目を通して、整理したものである。まず表1「脳・心臓 疾患の発症前の要因調査と調査期間」は、どのくらいの期間でどんなことを調べてあっ て、それで実際に有意性があるとか、そういうことをまとめたものである。  1番が誘因ということで、「突然の過重負荷」である。現行の認定基準では「異常な 出来事」と呼んでいるものである。  関連する論文としては8つあり、ほとんどが、突然死とか冠疾患とか不整脈とか心筋 梗塞といったものについて調べている。大体が30分以内から2時間、それから24時間内 の急激なストレス、極度の恐怖とか非常に激しい口論をしたとか、警察に逮捕されたと か、極度の怒りとかについてである。このぐらいの期間を調べて、有意性ありという判 定をしている論文があり、突然の過重負荷に関しては、直前から1日ぐらいを中心に調 べれば大体把握できるのではないかと考えられる。  2番目の誘因は「急激な過重負荷」である。これに関しては、やはり突然死と心筋梗 塞に関しての論文が多くある。基本的には、かなり急激に疲労が蓄積して、睡眠時間が 非常に急激に短くなったということに対しての発症、という報告をしている。これはほ とんどが1週間以内の調査をしている。表の中で「有意性あり」というのは、もちろん 症例対照研究や医学的な調査において検証してある。  この1、2が近接した時期における出来事ということに関しての調査期間で、1番目 は、これから見ると、発症直前から1日ぐらいを調べれば大体把握できるのではないか 。2番目の急激な過重負荷は、1週間ぐらいを調べれば把握できるのではないかと考え る。この表と一緒に、ドラフトを検討していただきたい。 ○参集者  Vの2(1)の1行目に、「生体が急性のストレス等を受けると、急激な血圧変動や血管 収縮を引き起こし」とあるが、梗塞の場合、血栓や塞栓を追加しなくてよいか。 ○座長  急激な凝固亢進とかを意味しているのか。急激にストレスが加わって血栓の生成がで きるということは、理論的にどうなのか。 ○参集者  血液の凝固性の亢進という報告はあるが、血栓が出来て、それがすぐ詰まるようにな るかどうかは、医学的に十分解明されているわけではない。 ○座長  それでは「血圧変動や血管収縮等を引き起こし」ということにし、「等」に血栓形成 も含めることとしたい。「近接した時期における異常な出来事」というのは、いままで の考え方からすると、この(1)の項に該当する。であるから(1)を、初めのドラフトでは 「異常な出来事」というふうに表現したが、そのほうが継続性があって良いというふう に考えられれば、そうしたいと思う。(2)の1週間ぐらいの単位の急激な増加という考 え方は、2番目の「日常業務に比較して、特に過重な業務に就労したこと」にほぼ該当 すると考えていいのではないかと思う。 ○参集者  「2 発症に近接した時期における」という所であるが、「異常な出来事、急性のス トレス等」とすると、継続性を保てるし、内容もよくわかるのではないかと思う。 ○座長  もしそうするのであれば、「発症に近接した時期における異常な出来事や急激な過重 の負荷とその評価」であり、その両方を含めて、「急性のストレス」という表現にした 。中の(1)は「出来事」としたほうが理解しやすいかもしれない。(1)というのは、非常 に急激な出来事、事件である。驚愕的な事件というのを、従来それを取り上げていたし 、裁判でも取り上げられているということで、(1)と(2)に一応分けたほうが理解しやす い。文献的にもちゃんと分けて、両方で考えている。 ○参集者  (1)の「突然の」というのと、文中に「突発的な」というのが入っている。従来は「 突発的な」という表現を使っており、「突発的な」という用語に統一したほうがわかり やすいと思う。 ○座長  了解した。 ○参集者  (1)のほうの3、4行目「過去の業務上ないし自然経過としてとらえられる」の所は 、今回のいちばん重要な箇所で、その過去の業務上によくある程度の基礎疾患の存在が あっていいという判断なのか。 ○座長  そうである。 ○参集者  その辺が、医学的に明確にできるのかどうか。 ○座長  基本的に全く基礎病因がなくて、急に血管が収縮して心筋梗塞などを起こしてしまう ことがあるかどうかなのである。 ○参集者  それはもう非常に驚愕的な出来事、それは誰でも認めるようなものという場合は、あ るかもしれない。しかし、ある程度平均よりちょっと超えるぐらいの出来事で何か起き たとすれば、その前提としてはある程度正常よりも少し進んだ基礎疾患があるという 仮説でこの文章はできているのか。 ○座長  そうである。基礎疾患がある程度あるというのが、普通でないか。 ○参集者  それがあるかどうかを臨床的にはなかなか検証できない。 ○座長  この突発的な事項のほかに、6カ月ないし3カ月のチェックをして、そこでもある程 度過重負荷があったとなれば、かなり積極的に、業務上としてよいと考える。  もう1つは、自然経過でそういう基礎疾患がある程度起きていた場合に業務上とする か、業務外とするかというのは非常に難しいところになる。基礎疾患が自然経過でかな り進行していて、ほんのちょっとしたことで発症した場合は、認定しないという考え方 である。ある程度基礎疾患があって、それにかなり驚愕的な事件が起きた場合は認める という考え方なのである。それも本当に証明するのは非常に難しいとは思うが、考え方 としてはこういうことである。この表の1の2番目の Lecomte という人が病理解剖で 全部調べて、病理的に全く異常がなくて突然死した例が7%あり、あとは全部、基礎疾 患があったと言っている。ある程度の負荷が認められる場合、基礎的な病変がどの程度 あったかどうかということを参考にするという意味である。  いずれにしても(1)のほうは、やはり「異常な出来事」としたほうが継続性があって 、理解されやすい。 ○参集者  「ストレス」という言葉の内容についての理解が、個人個人でかなり違うことから、 誤解されないためには、具体的に「異常な出来事」とした方が、解釈の幅が少なくてい いのではないか。 ○座長  論文的には「急性ストレス」という言葉を盛んに最近は使っている。日本の学者も使 っているし、外国の人も acute stress という言葉を使い、大体1日以内の急激な出来 事を示している。 ○事務局  「ストレス」という言葉であるが、「精神障害の判断指針」に係る報告書では学問的 に一般的に使われているということから「ストレス」という言葉を使っている。ただし 、混乱もあると考え、判断指針の通達では、「ストレス」という言葉を「心理的負荷」 という言葉に置き替えた。 ○参集者  ストレスの言葉になると、「ストレッサー」と「ストレス」という問題で混乱してし まう。本当に「ストレッサー」と「ストレス」というのを分けると、ストレッサーとい うのは精神的、身体的あるいは物理的なものもある。ストレスは、そういうストレッサ ーで体のほうのスタンスが維持できない、そういう状態を指す。だから「急性のストレ ス」という場合には、その原因としてここで取り扱う過重労働はストレッサーのone of themである。そのストレッサーとしての過重の負荷が突然というか、突発的に起こるも のと、1週間以内の短期間に起こるストレッサーである。短期間を1週間以内と定義し ているから、その短期間での急激な過重負荷となる急性ストレスを2つの過重負荷に分 けました、というふうにすれば、逆にわかりやすいのではないかと思う。  ここで「急性ストレス」というふうにしておいたほうが、後で「慢性のストレス」と いう言葉の説明が非常にしやすい。そうすると慢性のストレッサーというものは時間経 過で長くかかってきて、それで慢性のストレスという状態に達しましたという説明の仕 方でいけば、この(1)、(2)の分け方は急性ストレスの原因としてこういうものですとい うふうに規定できる。急性のストレスというのはもっとたくさんある。その中の、この 場合にはこの(1)、(2)ですということでは、わかりやすいかと思う。 ○座長  言葉としては「急性ストレス」という言葉を使い、内容として(1)は、やはり「異常 な出来事」ということを入れたほうがわかりやすい。(2)は「急激な過重負荷」でいい 。基本的な違いは、急性のストレスというのはあくまでも誘因と考え、長期のストレス は、基礎病変の形成と考えているということである。基礎病変が3カ月なり6カ月にわ たって増悪してくる過程に働いているようなものを考えているということである。 ○参集者  ここでのメッセージは、簡単に言うと、発症前1週間以内のところまで遡って、それ で、そこの1週間以内の前後のところで、それまでとそれ以前とで仕事の仕方に大きな 変化があったかどうかというのを見ましょうと、そういうことか。 ○座長  そうである。 ○参集者  そして、その変化の度合いによって、場合によっては直前か前日ということで異常な 出来事ということになるかも知れないし、あるいは、発症1週間以内ぐらいのところで 、それまでとは非常に違う働き方をしたということで、急性ストレスというのが考えら れるかも知れないと。それを見てみましょうという、そういうメッセージだというふう に理解すればいいか。そうすると、この点に関する限りは、従来の通達とはものすごく 大きく変わっているわけではないと思う。ただ、従来と違うかなと思うのは、先ほどご 指摘があった、要するに基礎的病変の形成という過程を考えましょうというのが入ると いうことか。それは長期のほうか。 ○座長  それは長期のほうである。基礎的な病変を形成する過重負荷と、それに基づいて発症 を誘引する負荷と、大きく2つに分けてみている。 ○参集者  「(2)の」のところがわかりにくい。例えば、「まれな異質の過重業務を行っている 場合などがこれに該当し得るが、その場合には、これらについてはその程度が発症の誘 因となり得るものであったかを総合的に評価する必要があり」、また、こうこうこうい う場合には、この急性のストレス等ではなく、「長期に亙る過重負荷の評価に含めて評 価すべきである」というふうに、言葉を足す必要がある。 ○座長  分かりやすく、修文することとする。基礎病変の形成が主となる場合は長期のほうで 考える。ただし、それが基礎病変がある程度あって、それで、急激な労働時間の増加と いうのは、かなり論文でいろいろ論議されていて、それは非常に危険だということにな っていることから、それが発症の誘因となるように判定できる場合は、ここで考えると いうことである。 ○参集者  以前はここに1つの突発というのがあって、その前の1週間というのは等比級数的に そのインパクトファクターというのはもう下がってくるという概念があった。今回は1 週間前のことまでも最後のところに類似したような言葉の使い方をしながら、そこに入 れたものであるから、「突発的な」と「急激な」の言葉の使い方に混乱がある。 ○座長  もう1つは、誘因として、要するにびっくりするようなものすごい驚愕、それが(1) である。そういうことではなくて、かなり激しい労働負荷が急にかかってしまったのが( 2)になる。 ○参集者  「急激」をとってしまって、「短期間で著しい精神的、身体的な過重負荷」というふ うにすれば、今度は慢性の場合でも、慢性にどこかで急激に起こったかも知れないとい ったら、「慢性に持続する過重負荷」の方を慢性ストレスに入れて、「短期間に著しい 過重負荷」というのをこの(2)にすれば、突発的にということを(1)と(2)が区別しやす い。 ○座長  「短期間の急激な過重負荷」でもいい。 ○参集者  資料No.33-2の2頁目の「(2)の急激な」というところで始まる段落で、「発症に近接 した時期の一定期間において、生理的に必要な最少限度の睡眠時間(おおむね5時間) を確保できないような労働時間の長時間化」、これはいままでは言ってきてない新しい 所である。むしろいままでは所定労働時間を基準にして、それから、どれだけ長いかと いう形で大体考えてきていたのに対して、逆に睡眠時間のほうからアプローチするとい う、それで労働時間の長時間化というのを図るというやり方である。 ○座長  これから後に慢性の長期にわたる場合に、やはり疲労の蓄積というのを基本に据えた いということなのである。疲労が回復せずに蓄積していく睡眠時間というのは大体4時 間か5時間というふうに、あとで述べるけれども、そう押さえているわけである。それ から出発して、1日の労働時間を考えていきましょうというのが今回の考え方である。 長期の場合の基本は、疲労の蓄積ということを重視したいということである。その表1 の3番は、長期の過重負荷について、文献的に見たものであり、大体1カ月から6カ月 ないし1年というのが多い。特に疫学調査になると、大体1カ月から6カ月中心で、1 年に及んでいるものもあったということである。疾病は、これは循環器が中心になって いるが、脳卒中なんかも入ってきて、そして、調査項目に関しては、やはり慢性疲労と か睡眠不足とかを調査項目に挙げて、症例対照研究しているものなども割合と多い。そ して、結果として大体有意性を認めている。  そういうような論文がここに挙げてあるぐらい出てきたことから、それを月別にずっ と分けていくと、大体3カ月から6カ月ぐらいを調査すれば把握できるのではないかと 考えた。もちろんその先を調査しなくていいという意味ではなくて、それを中心にして 、それの前のことに関しては、その前と、3カ月、6カ月でかなり急激に変わっている かどうかということを中心に見たらどうかということである。  その次の表2が労働時間に関して報告している論文である。大体1日11時間以上の労 働というのがいくつかあって、その次が大体12時間で、これは、週5日労働とすると、 週60時間となる。次に月残業時間については、96時間ぐらいの残業だと血圧が上がり、 週64.5時間、それから、14時間以上というような報告が1つ2つあった。  平均的にはやはり1日12時間、週60時間ぐらいが種々の判断の1つの目安になるので はないかという感じだが、これはまた後で論議したいと思う。  表3は、これは脳・心臓疾患の発症と残業時間について報告している論文をまとめた ものである。50時間ぐらい月残業時間があると、少し疲れるというような訴えが増える というようなことから始まって、大体50時間、60時間、75時間、96時間、100時間、150 時間以上という調査がある。  睡眠時間に関しては、6つの報告があり、6時間未満という報告のほかは、4〜5時 間ないし3時間ぐらいで慢性疲労がみられるということで、従来考えられているような 生理的な要求時間として5時間というのと一致する。 ○参集者  有意性についての記述はないのか。 ○座長  あると思う。調べて、前のような表に書きたいと思う。オッズ比とか出しているから 、有意性の検討はやっていると思う。おそらく労働者の1日の時間配分という調査があ るわけで、睡眠時間は何時間で、通勤時間は何時間で、食事・風呂で何時間でとか、そ ういうのと整合性をとって、きちんとした数値を出していきたいと思う。基本的には睡 眠時間は大体5時間ぐらいが生理的で、それ以下が続くと疲労の蓄積が起こるのではな いか。それを基にして、労働者の1日の過ごし方の調査で、大体1日の労働時間は何時 間ぐらいになるとか、週何時間になるのかをみて、きちんと整合性がとれれば、その数 値を出していけばいいと思う。 ○参集者  それぞれ、例えば労働時間とか残業時間とか睡眠時間との間の急性の心臓疾患等との 因果関係についての有意性の有無等についての報告があるけれども、変数としてどれが いちばん利くというのがないのか。 ○座長  それは1つの報告で、すべてを調べているわけではないので、非常に難しいのと、例 えば週5時間の人の2.5倍といっても、例えば週5時間働いている人の心筋梗塞の発症 率は1%ぐらい。それが2%か3%になりますというぐらいのことなのである。 ○参集者  統計学的な有意性を調べているような調査は、疫学的にそういう撹乱因子について、 一応考慮しているのか。 ○座長  考慮しているものもあるし、してないものもある。ただ計算しているものと、喫煙と かで一応調整したとか書いてあるものもあるし、その辺は厳密に言うときちんと書かな ければいけないが、大体目安としてここに出した。 ○参集者  先ほどの「突然」というのと「急激」という言葉についてだが、その外的なストレス の急激度、sudden, acute, subacute論理をある程度基準化し、秒の単位であれば、sudd en, abruptということで、時間を超えて1週間までであれば、acute、急性とか、1週 間を超えて1カ月までであれば、亜急性、subacuteとか、1カ月を超えて半年までであ ればchronicとか、ある程度定義したらどうか。 ○座長  それは確かにそのとおりだと思うが、この場合は、質が全然違う。1日以内というの は、すべて驚愕等を調査し、1週間ぐらいというのは、明らかに睡眠時間4時間が1週 間続いてとか、徹夜が3日続いてしまったとか、そういう業務の負荷なわけである。内 容が全然違うので、期間だけで言えないことから、こういう分け方にしたものである。 ○参集者  病気の発症の仕方にも、やはりsuddenとかacuteとか、そういう概念がある。定義を きちんとしないと、混乱するのではないかと思う。 ○座長  確かにそのとおりだと思う。きちんと考え方とか定義を書きたいと思う。 ○参集者  一般に病気を扱うときには、その経過によって、急性、亜急性、慢性という言葉を使 うほうが、より一般的ではないかと思う。 ○参集者  おそらく今日議論になっているもののうち、(1)の突発的異常な出来事があるかどう かというのはほとんど問題にならないが、負荷がかかる期間と、それがどういうふうに 影響するのかというのが問題である。(2)だと、今日の提案で、発症前おおむね1週間 を中心に把握・評価するということになっている部分については、1週間ずっと負荷が かかっていたわけではなく、最初の3日間ぐらい、睡眠3時間であり、その後、平常に 戻り、倒れたというケースが問題になる。 ○座長  心臓疾患の場合はそういう場合が非常に多いのか。 ○参集者  多い。そこが非常に判断が分かれるところである。 ○座長  ある一定のところにおいて発症する。ストレスがかなりかかった時期すぐは発症せず に、しばらくして発症するというのは、心筋梗塞などでは普通見られるパターンなので ある。 ○参集者  いままでの通達では、1週間負荷が続いているというイメージが若干あった。 ○座長  現行の通達は、発症のときからだんだん逆行して、見ていくという考えである。今回 はそうではなくて、1週間のうち、例えば半分以上が睡眠時間3時間以下だったとなる 感じである。 ○参集者  そこがおそらく従来判断が分かれたところだと思う。 ○参集者  心臓のほうは、どちらかというと業務上になったのだが、脳卒中の場合には、1週間 のうち、発症したときの1週間前のその最初の3日間に、3時間ぐらいの睡眠時間であ って、その後平常業務をやっていたら、いままではどちらかというと業務外と判断して いたのを今回は業務上にするというふうに理解してよいか。 ○座長  他の要因をどう考えるかによるので、すべて業務上というわけではないと思う。  以上をもって、本日の検討会を終了する。 照会先:労働基準局 労災補償部補償課 職業病認定対策室職業病認定業務第一係     (内線5570)