01/03/12 第1回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会議事録        第1回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会議事次第 1 日時: 平成13年3月12日(月)13:30〜15:00 2 場所: 専用第11会議室 3 出席者   公益代表    渥美委員、奥山委員   家内労働者代表 丸山委員、古川委員、原委員、渡辺委員、豊田委員   委託者代表   橋本委員、浅澤委員、志村委員、名倉委員 事務局  この部会は、労働政策審議会令第9条の規定による定足数を満たしているので、成立 しております。本日はご多用中のところ、この部会にご参集いただきまして、誠にあり がとうございます。  本日は、第1回の会合でございますので、部会の運営規程の決定などを行っていただ きたいと思います。まず、委員及び臨時委員の皆様を紹介させていただきます。  公益代表は渥美委員、大沢委員、奥山委員、清水委員、水野委員、家内労働者代表は 豊田委員、原委員、古川委員、丸山委員、渡辺委員、委託者代表は浅澤委員、勝田委員 、名倉委員、橋本委員でございます。  まず、本部会の会長、会長代理の選任でございます。部会長の役割につきましては、 労働政策審議会令第7条第7項の中で、「当該部会の事務を掌理する」となっています 。部会長の選出方法にいては、同じく同条第6項に、「部会に部会長を置き、当該部会 に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」となって おります。なお、部会長代理については、その役割は、労働政策審議会令第7条第8項 で、「部会長に事故があるときは、部会長の職務を代理する」となっております。部会 長代理につきましては、部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから、部 会長があらかじめ指名する」ということになっております。  この会議に先立ち、本部会の部会長、部会長代理をこの規程に基づき、適正に選任さ れておりますので、ご紹介をいたします。部会長には渥美委員、部会長代理には、大沢 委員となっております。それでは渥美部会長に以後の議事進行をお願いしたいと存じま す。 部会長  議題に入りたいと存じます。議題(2)「家内労働部会運営規程(案)」について、 事務局よりご説明いただきます。 事務局  (資料2,3について説明) 委員  これまでありました中央家内労働審議会と、今回新たに立ち上がりましたこの部会、 法律的に何が違うのでしょうか。例えばこれまで中央家内労働審議会ですと、建議も何 度か出しておりますが、そのようなことは、今回の部会ではどうなるのでしょうか。 事務局  基本的には、これまで家内審が行っていた機能というものが、この家内労働部会とい う所に引き継がれると理解をしていただいてよろしいと考えております。 委員  都道府県の労働局に設置する審議会の再編について、従来、6県については、家内労 働審議会がございましたが、41県については、地方最賃で検討されたと聞いておりま すが、それを今回の形で整理統合されたというのは、どういうわけなのでしょうか。 事務局  審議の方法については、これまでも家内労働部会については、地方の労働基準審議会 の下で存在していたわけです。そうしますと、最低工賃の関係と、いわゆるそれ以外の 家内労働に関することが違った枠組みで議論されているわけです。家内労働に係る部分 がさまざまな審議会と統合されて地方労働審議会という形で、全ての都道府県について 統一的にこのような組織形態をとるということになったわけでございます。 委員  地方最低賃金と工賃、この部分については、密接に関連があると聞いており、今回新 たに最低工賃専門部会を設けたわけです。ということは、地方最低賃金審議会と別個に 審議される、決定されるということになるわけですか。 事務局  これは、全国的に1つの形に統一をしようということで、いろいろな検討をした結果 、最低工賃の専門部会の委員の方はその工賃に関わる家内労働をやっている委託者側と 家内労働者側の間の調整をどうするかということがメインの役割になっているわけです 。そういう意味では、地方の最低賃金審議会につなげるより、やはり地方労働審議会に ぶら下げて、家内労働全体の中で家内労働部会との関わりを持ちながら、議論していく という枠組のほうが整合的であるということで、こういう形に統一をさせていただいた 。 委員  最低工賃につきましては、法律で地方最賃との均衡を図るという内容になっているこ とを考えると、現行どおり地方最賃で審議された方が合理的、効率的ではないかと私ど もは地方から意見が多数出ております。 事務局  具体的な審議の内容というのは、やはり家内労働が行われている現場でどう行われて いるかということが、非常に重要なわけです。この業務を行うのは、事務方としては、 地方労働局になりますので、その中で連携を取りながらやってけば、十分担保できるの ではないかということで、こういう形にさせて頂いた。 委員  しかし、地方で現在従事している者たちから、その辺について懸念が出ていることに ついては、どのように考えるか。 事務局  この形に整理するに当たっては、最賃審と工賃部会との組織の位置付けについて地方 の実態をヒアリングしたが、必ずしもそのような声は聞こえてこなかった。 委員  実際に担当している者が、齟齬が生じるのではないか、連携はどうなるかと懸念して いるので、その辺も検討されたい。 事務局  その辺りは、しかるべく対応させていただきたい。 会長  運営規程に合わせて、会議の公開について諮りたい。会議の公開については、いまま でどおり自由な議論を頂戴したいので、会議そのものは公開しないこととして、速やか に議事要旨を公開する。そして、会議の議事録及び資料については、労働政策審議会運 営規程第6条第2項及び第3項の規程に基づいて、公開するということにしてよろしい でしょうか。(異議なし)それでは、了解いただいたものとさせていただきます。  次に議題3です。「第7次最低工賃新設・改正計画(案)について」事務局より説明 いただきたい。 事務局  (資料4−1,2により説明。) 委員  何点かお聞きしたい。1つは、第6次の新設・改正計画の中で廃止等は、ここに書い てあるが、新設は書いていないので、なかったということか。それと、第6次の改正で 、いわゆる最低賃金との関係です。 これでどこまできているのか。最賃より上か下か。それが、第6次の始まる期首と期末 では、どう変化しているか。その辺が出されなければ、中身は掴めないのではないかと いうことです。  例えば、最賃は昨今の状況を反映して毎年上がるわけです。しかし 家内労働の工賃の場合は、それが単純でなく、最賃との関係では、格差がどんどん広ま るのです。その辺が問題であり、その辺を総括しておかないとまずいのではないかとい う気がします。  この資料では、その数字がわからないので、前もお願いしたように、業種別のもっと 細かなものがあるので、それもお示ししていただければありがたい。 事務局  12年度については、新設が1件ございます。  それから、最賃との関係については、均衡に留意しながら、決定されているかと思い ます。 委員  気になるのは据え置き答申や、据え置きの合意の方向にきている事。最賃に据え置き というのは、聞いたことがない。 事務局  昨今の最賃の低い下げ率を低い単価にあてはめようとすると、工賃の設定が非常に中 途半端になる恐れがある。毎年毎年積み上げて、まとまった段階で引き上げるというこ ともあるのではないか。 部会長  何か業種別の数字について出せるのかという意見がありましたが、 事務局  一応今年度中にまとめる予定なので、できあがったら何らかの形で お示しする。 委員  12年度に改正された工賃が、また、13年度の計画にのぼっているのはどういうこ とか。  もう一点、廃止の時の100人未満や、改正の基準の300人というような数のカウ ントは具体的にどのようにされるのか。 事務局  13年度の計画で、(12)とあるものは、計画は11年であったが遅れて12年度 にずれ込んだものであり、当初の3カ年計画では、11年度の2年後の13年度に計画 が入っていたものである。 300人以上等の数字については、実態調査等により把握しております。 委員  資料5の内訳の所で「審議中」が15件となっておりますが、これはたまたまお調べ になったときに、審議中ということなのでしょうか。 それから「改正計画」が187 件という中で、「未着手件数」が23件ありますが、これはどのようなわけなのでしょ うか。 事務局  「審議中」につきましては、いまおっしゃったとおりでして、平成13年3月5日現 在で、改正について審議をしているという件数が15件であったということです。「未 着手件数」については、その理由について、それぞれの業種について聞いているわけで すが、全体的にやはり非常に状況が良くないと、なかなか最低工賃を引き上げる環境に ないということで、審議そのものを見合わせているというケースが多いということでご ざいます。 委員  そうすると「据え置き合意」というのが15件ございますが、それと「未着手」とは どういう違いがあるのでしょうか。 事務局  結果的には、同じ状況の下でそういう対応の違いができているということだと思いま すが、我々としてはやはり工賃を上げる環境にないとしても、関係者で最低工賃の問題 について議論をした上で、これは据え置きをしようという形になることが、透明性等の 面で望ましいと考えており、そのような指示を地方にもしております。現在のところ未 着手という形で対応している所もかなりあるということで、これは今後の検討課題であ ろうかと思います。 委員  1月6日に厚生省と労働省が一緒になって、それでこの部会があるわけですが、それ をどう議論するかはあるのですが、ではデータはどう取るのかとか、手帳を配るとか、 その実態はどうするのかとか、その辺の仕組み、その辺が新しくなって以前より良くな ったと思いますが、逆に悪くなると困るのですが、その辺の説明をしていただくといい のですが。 事務局  お手元の参考資料に「家内労働調査結果報告」という、これは平成11年度ですが、こ れは毎年家内労働について労働局の賃金課で調査をしているものです。基本的には家内 労働者の関係のデータについては、この調査により把握をするということで、これまで も行ってきております。今後もこういう形で把握をしていきたいと考えています。 部会長  それでよろしいですか。何か手帳に関してご質問がございましたが。 委員  要するに家内労働者の実態について、例えば手帳の普及率だとか、そういうものにつ いて新たに厚生労働省になって、いわばいままでの労働省との違いと言いますか、1つ はどのようになったのか、良くなったのだろうとご本人はおっしゃっているわけですが 、そのようなことの関わりと言いますか、省庁再編の下でどのように改善されてきたの か、というお話だったのではないかと思っています。 事務局  省庁再編ということで、厚生省と労働省が一緒になったということがあるわけですが 、家内労働者に関わる対策というものは、これまでもまさに労働省の女性局として、あ るいは地方の労働基準局の中でやってきているものでして、その具体的な政策の考え方 なり、実施方法については、特に何がどう変わるということではないと考えております 。従来どおり家内労働者の問題に対する対応というものを、粛々とやっていくというこ とではないかと考えております。 委員  資料4−1を拝見しておりますと、平成14年度に、括弧の中に平成10年度改正の 部分が入ってきておりますが、これは遅れていると考えてよろしいのでしょうか。 事務局  これは遅れていると言いますか、やはり改正計画として平成14年度ということでエ ントリーをしているわけでして、2年ごとに行うということが原則ではあるけれども、 なかなかそこまでの改正というのが難しいだろうということで、14年度にエントリー をしているということです。 委員  従来から私ども連合では、本来は最賃のように毎年改正をお願いしたいのですが、少 なくとも同じ業種は同じ年度に改正していただきたいと、そういうふうにお願いしてき たと思います。  今回見てみましても、やはり年度がズレていると思われますので、ぜひ公正競争の観 点からもその辺を統一していただけると助かるな、と思います。 事務局  私どもも、同一業種の改正についてはできる限りその地方の都道府県、局間の連絡を とりながら、なるべく改正の歩調を合わせてやるようにということで調整はしているわ けですが、いまご指摘がありますように、なかなか1つの業種についてすべてきちんと 合わせるという形にはなっていない部分もございます。そこはそれぞれの都道府県の実 情等々もあろうかと思いますが、そこについては我々もそういうことは留意しながらや っていかなければならない、という気持ちは持っておりますので、そこはまたご趣旨も 踏まえて対応していきたいと思います。 委員  第7次の計画でちょっといま見ていて気になったのは、若干空白が目立つのです。そ の辺はどんなことなのか、というのが1つ。  もう1つはテレワークとの関わりで言うと、長野でたしかワープロ作業の最低工賃が 決定されているかと思うのですが、いまそういう関係の、いわば伝統的作業における家 内労働だけではなくて新しいIT産業と言いますか、テレワーク等々の家内労働が増え ているのだろうと思うのですが、そういう点での新設なりそういうものをどのようにお 考えになっているのか。昨年、いわばテレワーク等についてはガイドライン等が出され ているし、今日も資料が出されていますが、その辺をどのようにお考えになっているの かなと。  それと、いわゆるそれとの関連で14年度の「出版・印刷等」というのはワープロ等 の作業のことなのか、よくわからなかったのですが。その辺をお聞かせ願えればと思い ます。 事務局  空欄が多いという点についですが、いちばん右側の「適用家内労働者数300人未満 」については13年度から15年度の間で行ってくださいと、こういう趣旨ですので、 そこはいっぱいある中で、そのままになっているものがあるというわけではないという ことです。  「出版・印刷等」、これは先ほどご指摘のありましたワープロのフロッピー、これを ある意味では成果物として出すという形での工賃設定というものが行われた例です。I T化に対応した最低工賃の設定の例としては、これだけです。  参考の1−1に、「家内労働法の概要」というものがあります。要は、家内労働者の 定義というものが「物品の製造又は加工等に従事する者」という、ここのところが常に 限定の内容になる所でして、いわゆるフロッピー渡しというのがギリギリこの「加工」 の所で読んでいるということです。いわゆるサービス的な仕事というものをこの家内労 働者という定義で読み込むことがなかなか難しいというところが1つの問題点と言いま すか、課題であろうかと考えております。  委員もおっしゃいましたように、昨年、在宅ワークとの関係につきましてはガイドラ インという形で家内労働法とは別の体系で、少しソフトな指針というものを作らせてい ただいて、それを中心により適正な契約が行われるように、ということでやっているわ けです。  なお、家内労働法と、こうした新しい在宅ワークとの関係をどういうふうに考えてい くのかということも、中長期的にはかなり大きな課題になろうかと思います。現状にお いてはやはり在宅ワークというものの内容がまだまだ非常に流動的に進んでいるという 現状がある中 で、もう少し状況を見ながら、落ち着きどころを見ながら検討していく ということが必要ではないかということでして、その辺のところはもう少し状況を見て という、中長期的な課題として考えてまいりたいと、現状では判断しているところです 。 委員  資料4−1で、3年以上改正していないところを優先的にやろうということと、原則 2年ということですが、それに沿っていきますと、それぞれの県のご都合があるのかも しれませんが、13年度に改正されるであろう、と予想されるそれぞれの項目について ここに羅列してあるのだろうと思うのです。来年度ですから、実際にはまだ何もされて いない。15年度については、それをもう15年度にやろうという計画ですね。しかし 10年とか9年に既に改正されてはっきりしているものについては、もう年度数ははっ きりしているものですから、足りない部分についてはすべて13年度に押し込むという のが計画ではないかなという気はするのですが、いかがですか。 事務局  先ほど方針についてもご説明しましたが、まさにご指摘のような考え方で地方のほう には検討をするようにということでやってきているわけですが、やはり最低工賃の検討 というものは非常に難しい部分がありまして、各都道府県における事情というものもあ る程度配慮していかなければならないということでして、そこはいろいろな調整の結 果、ということでご了解をいただきたいと思います。 委員  この最低工賃のことで前から思っているのですが、工程が変わったりデザインが変わ ったり、しょっちゅう変わりますのでなかなか難しいと思うのです。しかも一つひとつ 決めていくという、工程で決めるという矛盾がありますし、どうしても時間換算での標 準作業能率とかというものがまたいろいろ差もある。  それともう1つ、前から気になっている問題は、家内労働者は実際に都道府県ごとに 仕事をやっているかというと、そんなことは決してありません。県境の人とか、東京の 人は埼玉の仕事をやったり、いろいろな仕事をやるわけです。そうすると、現実の委託 者の皆さんと家内労働者の皆さんのところの最低工賃が本当に合理的なものになるかと いうと、なかなかならないという問題があったりする。あるいは東京などでよく問題に なるのは、関西のほうでは必ずしも決まっていないのになぜ東京だけ決めるのかと、そ れではみんな安い地方へ持って行ってしまうというような話だとか、いろいろそういう 問題もあるわけです。そういう点では、ある程度広域的なものとして決める方向という のは考えられないのかどうか。さらには法律的に言うと、全国的な家内労働の最低工賃 というのも、その辺はどうなるのか。そのようなところはどのようにお考えになるのか 。というのは、いまは流通も大変盛んになりましたね。革靴などで言っても、他県でや っているわけです。そうすると、その辺での現実との関係でこの最低工賃が本当にお互 いに有効に活用されるという、その辺をどのようにお考えになっているのか、という辺 りをお聞きしたいのですが。 事務局  家内労働者の人数が減ってきていまして、1つの地域における1つの業種ということ で最低工賃を設定するということが、人数要件的にかなり難しくなってくるような場合 というのはかなり見られてきています。したがって、そういう場合は少し広いエリアで でも工賃を設定するようなことが考えられないのか、ということは今後かなり出てくる 話ではないかと考えております。その辺は、我々としてはある程度前向きに考えていき たいと思っております。ただ、その場合の各都道府県の局の調整の仕方等、その辺の実 務的なところは、かなりいろいろ検討課題があろうかと思います。1つはそういうよう なことも考えていく必要があるのかな、という感じはしています。 委員  先ほどの在宅ワークの件に関連してですが、過去2年間にわたって研究会等を設けら れて、その報告をこの審議会が受けてきた、と聞いております。そのガイドラインも出 されて、今回の資料にもありますが、先ほど中長期的に見ていきたいとおっしゃいまし たが、法律改正になるのでしょうか。定義が変わるわけですね。そうしますと、検討す る場所はどこになるのでしょうか。 事務局  家内労働法の改正という形で検討するということになりますと、当然この家内労働部 会にお諮りするということになろうかと思います。現状の審議会の組織の関わりから見 ますと、現在の家内労働部会というのは家内労働法に関わるところをご審議いただくと いう位置づけになっていますので、在宅ワークというものがその範疇に入らないとすれ ば、それは家内労働部会の上に位置している雇用均等分科会でご審議いただくという形 になろうかと思います。  ただ、これからどういう形で検討していくかということは、我々としてもまだ非常に 漠としているところです。いずれにしても、これからそういうような動きが本格化して くれば、家内労働部会にもいろいろな形でご相談をすることになるでしょうし、その上 の雇用均等分科会のほうにもご相談をするということで、どこでだけという形ではなく て、関係する所については広めにいろいろとご議論いただくという形に、いずれにして もなろうかと思います。 委員  それからさらに2年間やってきたわけですから、少なくともタイムスケジュールを出 していただけたら、と思います。 事務局  ただ、昨年ガイドラインを出しました。その前に、在宅就業の研究会という所でいろ いろな観点から検討をしていただいたわけですが、そのときの結論というのは、例えば これから何年後に具体的に何をするという、そういうところまでの見通しは正直申し上 げてまだ立たない。それは当面こういうガイドラインを作ってソフトなやり方で適正な 契約関係というものが行われるように誘導していくということをやる、というところま ででして、具体的にこれからのスケジュールをどのように設定するというようなところ まではまだ言える段階ではな い、というのが昨年の研究会の結果であったということ です。 委員  その点で言いますと、政府は1996年のILOの在宅形態の就労に対する条約に賛 成していますので、そういう点で言えば、諸外国の国際機関の中では賛成をした立場か ら言っても、非常に重みがあるわけです。ですからいますぐにというスケジュールは出 せないにしても、いわば昨年の3月に出された在宅就労問題の研究会報告でも今後の方 向についての提起もされているわけですが、そういう経過から言っても、その辺を積極 的に一定の方向性を位置づけてやっているということが求められるのではないか、とい うのは意見として出しておきたいと思いますので、よろしくお願いします。 部会長  予定されている議題がもう1つございます。「平成12年度家内労働概況調査結果の概 要について」ですが、これは資料6、7、8をご覧いただきながら説明を聞きたいと思 います。お願いします。 事務局  (資料の6,7,8により説明) 委員  1つは、家内労働者がこの間一貫して毎年10%前後減少してきているという状況が 報告されているわけですが、当該の機関としてこれをどのようにご覧になっているのか 、なぜそういう状況になってきているのか、そして、例えば家内労働を離れた方は一体 どういうお仕事に就かれるようになっているのか、あるいはまたご主人の給料が大変多 くなってご自宅で専業主婦でやっていらっしゃるのか、そんなことも含めてどのように 捉えていらっしゃるのか。  併せて今後の展望ですね。いわば伝統的な産業では家内労働は減少しているのですが 、先ほどもちょっと出た在宅のテレワークとかそういうIT関連の関係では増えてきて いるのではないかと思うのです。その辺との関わりはどのように思っていらっしゃるの か、それがまず第1点です。  もう1つは実数の関係でちょっとお聞きしたいのですが。これは、いわゆる概況調査 と家内労働の実態調査というものの2つがありますね。そうすると実態調査というもの は今回で言いますと、平成11年の10月1日で現状を把握したのが家内労働の概況調 査と。この概況調査の母数がどうなっているのかをお聞きしたい。それから実態調査の ほうは、2,000営業所を対象にした通信調査ですね。そうしますと、その通信調査 に基づいて出されている結果と、年別監督指導実施結果というものがいまご報告されま したが、これはどちらのほうに入るのかということ。それから逆に言うと、この指導実 施結果では家内労働手帳が発行されていないというのは大体25.7%ですから、簡単 に言いますと、全体で2万4,000件ぐらいある委託者の中で、いわば出していない のが4分の1なのか、それとも家内労働者のほうがこの手帳を受けていないのが4分の 1なのか、その辺がどのような関係なのかということ。それに対する対応策としてどの ような対応策が考えられるのか。その辺をお聞かせ願えればと思います。  併せて、過去において、私のほうで法務省の自己破産法の関係で、家内労働工賃につ いても、これは労働弁護団のほうからいわば労働債権として認定するようなことという ことで要望が出ていて、労働省におかれましても、法務省のほうにそういう口頭の申入 れもしたというお話は聞いているのですが、その辺がどうなっているのかということ。 事務局  何点かございましたが、1つは家内労働者がかなり減ってきていることについてどう いうふうに見ているか、ということです。先ほども若干ご説明しましたが、家内労働法 の世界が対応しようとしている物品の製造加工に関わる家内労働というところについて は、やはり海外シフトの要因が非常に大きく働いているのではないか、と考えておりま す。衣服、電機の関係も非常に海外生産比率が高いところでして、そういう影響がかな り出ているのではないか。  家内労働をされていた方がその後どういうふうになっているのかということについて は、1つはやはり年齢的な問題というのがあるのか。要するに、働くという状態から引 退をするという中で、家内労働者が家内労働者以外のところに出ていく。一方、新規に 入ってくる方々というのは、家内労働という形よりも、むしろパートに出るという形で の対応というものが非常にウエイトとして大きくなっているというようなことで、全体 としてはかなりパートという形が増えているという構図ではなかろうか、と考えており ます。  それから、ITに関わるところで在宅ワークということですが。それについては、資 料9が付けてございます。これは日本労働研究機構の試算によると、いわゆる在宅ワー クの方々、現在17万4,000人と推計されています。したがって、その家内労働者 が33万人ですので、その約半分ぐらいはもう在宅ワークという形で就業されているとい うことです。こうした働き方というのは、おそらくこれから1つの場所に通勤をしてそ こでその仕事をしなければならないという状態というものがIT化の中で相当それぞれ の居場所で仕事をするということが可能になるわけですので、こういった就業形態とい うものが今後はかなり拡大していくだろうというようなことが一方で想定されているわ けです。  それから倒産法制についての関係ですが。これについては昨年同じようなご質問がご ざいまして、法務省のほうには当然、家内労働に関わる工賃の支払いというものも優先 順位を置いて対応するような法制にしてくれ、ということで申し入れはしております。 現状、まだ倒産法制についての検討はなかなか進んでいない、というお話を聞いており まして、一応、13年度中にその結論を出したいというようなことを言われている、と聞 いております。 委員  もう1つ、実は昨年12月13日に労働省の労働基準局賃金問題賃金課のほうで、「 労働債権の保護に関する研究会報告書」というものが出されているわけです。これは同 じ省の中でそういうものが出されて、最近いわゆる労働債権の、いわば企業倒産等の下 で賃金不払い事案が増化しているという問題等々が研究会で精査されているわけです。 この中には、家内労働のカも出てこないのです。いろいろほかの請負いの関係とか契約 労働とかを含めて、その辺については触れられているのですが、いわば委託者から物品 を提供されて、主にその賃加工、いわば労働の対価を受け取っている家内労働者につい てここに触れられないというのはどういうことなのか、私としてもどういう関係なのか なと、別枠なんだということなのか、その辺ちょっと、お考えがあれば聞かせていただ きたいと思います。 事務局  そこはまさに省内の連携が良くなかった、ということだと思います。その労働債権の 保護という関わり等の中で、工賃の問題についても視野に入れて考える必要がある、と いうことはご指摘のとおりだと思います。そこはもう少し勉強させていただいて、また 然るべき対応をしたいと思います。 部会長  それでは議題5に「その他」という項目がございますが、これについて、事務局のほ うから何かありますか。 事務局  (資料9により説明) 部会長  それでは、時間になったので、本日の家内労働部は、これで終了したいとおもいます 。  議事録については、労働政策審議会運営規程第6条に従って会長の私と、労働者側は 豊田委員、委託者側は浅澤委員にお願いします。よろしくおねがいします。お忙しいと ころどうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 最低工賃係(内線:7879)