01/02/16 第3回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第3回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成13年2月16日(金)14:05〜14:45 2 場 所 中央労働委員会6階612会議室 3 出席者 [委   員] 奥平委員、刀谷委員、勝委員、齋藤委員、桜井委員、              笹川委員、佐藤委員、辻村委員、都村委員、中山委員、              堀越委員       [事 務 局] 奥田勤労者生活部長、南野勤労者生活課長 4 議 題  (1) 確定給付企業年金法案(仮称)における中小企業退職金共済法の整備等について  (2) その他 5 議事要旨 ○部会長 それでは、始めさせていただきたいと思います。まだ、お見えになっていな い方がいらっしゃいますけれども、定足数に達しておりますので、これから第3回目の 中小企業退職金共済部会を開会させていただきます。  今日の議題は、お手元にありますように、確定給付企業年金法案における中小企業退 職金共済法の整備等についてです。それでは、事務局からご説明をお願いしたいと思い ます。 ○勤労者生活課長 資料として2つほど用意してございます。まず、資料2のほうから ご説明させていただきます。いわゆる「確定給付企業年金について」です。これは ちょっと言葉がむずかしいのですけれども、将来の給付額を予め約束するタイプの企業 年金を確定給付型の企業年金と言うわけですが、現在この確定給付型の企業年金として 厚生年金基金と適格退職年金の2つが制度化されております。  この2つの制度については、それぞれいろいろ問題が指摘されているところです。そ こで、受給権保護を図るという観点から、統一的な枠組みを作ろうということで、昨年 8月以来、旧厚生省の年金局を中心に関係省庁で検討を進めてきたところです。現在、 別途確定拠出年金法案いわゆる日本版401Kと言われているものが国会に提出されて います。これは拠出額を予め定めておきまして、年金の給付額につきましては、運用実 績により異なるというタイプの年金制度ですが、昨年の通常国会に出されまして、秋の 臨時国会から今通常国会に継続審議となっているものです。当初のスケジュールでいき ますと、この確定拠出年金法案の審議の終了後に、確定給付企業年金法案について審議 を行う方向で準備が進められてまいりました。しかしながら、与党のほうの方針もござ いまして急遽、確定給付企業年金法案について確定拠出年金法案と一括で審議する方向 で話が進んでまいりました。このため、この確定給付企業年金法案の法案作成作業が日 程的に当初のスケジュールに比べまして、かなり前倒しになったという状況がありま す。実は、確定給付企業年金法案との関連で、この法案の附則におきまして、一部中小 企業退職金共済法の見直しを行う必要が出てまいりました。  そういうことで、大変急な話ではございますけれども、本日中退部会を開催させてい ただきまして、この確定給付企業年金法案に伴いますその中退法の一部改正について、 ご説明をさせていただくこととした次第です。  それでは資料2に従いまして、まず確定給付企業年金法案(仮称)の概要を簡単にご 説明させていただきます。この確定給付企業年金法案そのものは、年金局という所が所 管をしている法案です。冒頭にちょっとご説明しましたが、企業年金制度というのは、 いわゆる年金制度の仕組みの中で3階部分に当たる部分です。1階が基礎年金、2階が 厚生年金等の公的年金です。その3階部分に当たる私的年金として、この企業年金制度 というものができているわけです。確定給付の企業年金制度としては、これまで下の図 にありますように、厚生年金基金と適格退職年金の2つの制度があります。  この厚生年金基金と申しますのは、ご承知のように厚生年金保険法に基づく制度でし て、大企業を中心に約1,800ぐらいの基金が現在まで設立されています。一方、右側 の適格退職年金、略して適年とよく申していますが、この適年は、法人税法上認められ た制度です。事業主が労働者との間で年金契約を結びまして、この年金契約に基づいて 生保あるいは信託銀行等と契約を結びまして、一定の要件を満たしたと国税庁長官の承 認を受けた場合には、その掛金について損金算入ができるといったような税制上の優遇 措置が受けられるという制度です。基本的に従業員が15人以上であれば、この対象に なるということですが、この2つの制度のいずれも、それぞれ現在、問題を抱えている というふうに言われております。  まず、その左側の厚生年金基金ですが、カッコの中に書いております、厚生年金の代 行部分というものがこの厚生年金基金には義務づけられております。いわゆる公的年金 の一部、代行部分を合わせて厚生年金基金として支給・運用する、というような仕組み になってございますが、実は公的年金の代行部分については、かなり高い予定利回りが 設定されております。現在、5.5%の予定利回りが設定されておりまして、この5. 5%で運用できない場合には、その差額について企業側が穴埋めをするという必要が出 てくるわけです。そういう意味で企業にとってこの代行部分が非常に大きな負担になっ ている、という現状にございまして、この厚生年金の代行部分について返上したいとい う要望がかなり強く出ているということです。  それからもう一方の適格退職年金のほうですけれども、これはあくまでも税法上の制 度ということですので、やむを得ない部分があるわけですけれども、たとえば積立不足 が生じても積立義務というものが法律上規定されておらず、運用者の責任という点につ いても、必ずしも明確にされていないという点がございまして、いわゆる受給者の受給 権の保護という観点からすると問題があるのではないかという指摘があります。これら の問題を解消する仕組みとして新しい企業年金制度を作ったらどうかというのがこの法 案の趣旨です。  制度の枠組みといたしましては、1の所にありますように、企業年金の新たな形態と いたしまして、規約型、基金型の2つの類型を設けることとなります。規約型と申しま すのは、労使合意の年金契約に基づきまして、生保あるいは信託銀行等の外部機関で積 立を行うという仕組みです。基金型と申しますのは、厚生年金の代行のない基金を新た に設けまして、基金が生保あるいは信託銀行等に運用を委託するという仕組みです。  給付としては、詳しい資料は2頁以降にありますが、老齢給付を基本にするという設 定でして、原則として60歳から65歳の間に給付を開始するということになっており ます。老齢給付のほか、障害給付あるいは遺族給付というものも行うことができること となっております。また、給付や積立内容につきましては、法律上は必要最小限のルー ルを定めまして、あとは労使の合意に基づき柔軟な制度設計ができるという仕組みにす るということです。また税制上の措置といたしまして、拠出時、運用時、給付時それぞ れに現在の適年と同様の優遇措置を講ずるということも、制度の枠組みとして考えられ ております。  それから、2の受給権保護のための措置です。大きく分けて積立義務と受託者責任の 明確化、情報開示といった措置を法律上講ずることといたしています。積立義務につき ましては、将来にわたって約束した給付が支給できるように、年金資産の積立基準を設 定するということですけれども、各年度末に基金ごとに財政検証を行ったり、あるいは 少なくとも5年に1度は、財政再計算を行うことにより、万が一積立不足が生じた場合 に、一定期間内に積立不足を解消するような義務を課すといったようなことが措置され るわけです。受託者責任の明確化という点ですけれども、これは企業年金の管理・運営 に関わる者につきまして、たとえば加入者等に対する忠実義務、分散投資義務、さらに は利益相反行為の禁止等の義務を課すということです。それから、情報開示についても 一定の義務づけを行うということです。このような形で受給権保護のための措置を講ず るということです。  それから3のその他ですが、(1)として既存の厚生年金基金については、代行を行わな い新しい確定給付企業年金への移行を認めるということです。それから(2)の適格退職年 金については、経過措置を講じまして10年以内に、新しい確定給付企業年金等へ円滑 に移行できるようにするという措置を講ずるということです。基本的には、その10年 以内に適格退職年金は廃止されることになります。今回は、この確定給付の企業年金法 案に伴う中退法の改正につきましては、3のその他の(2)の所ですが、適格退職年金から 移行先の選択肢の1つとして、中退制度を認めるようにしたいというものです。  資料1をご覧いただきたいと思います。確定給付企業年金法案の附則における中小企 業退職金共済法の規定の整備についてということですが、まず2の規定の整備内容につ いてご覧いただきたいと思います。大きく2点あります。1点は、先ほどご説明いたし ました適格退職年金から中退制度への移行についてです。適年につきましては、10年 以内に廃止されるということになるわけですけども、その移行先としては、基本的には 新しい確定給付の企業年金制度が想定されているところです。しかしながら、新しい確 定給付企業年金につきましては、先ほど申し上げましたように、事業主側に積立義務が 発生したり、あるいは5年ごとの財政再計算を行うなど、それなりの負担が生じること が想定されるわけでして、中小零細企業の中には移行が困難な企業が出てくる可能性が あるわけです。  この適年からの移行が困難な場合、10年を経過した時点で適年として積み立てた退 職金を一旦清算をするといったような事態が生ずることになり、その場合その退職金制 度の維持・存続といったような点で大きな支障が生じるおそれが出てくるわけです。こ のため、その適年の移行先として、新しい確定給付企業年金に加えまして、現在法案が 提出されている確定拠出年金のほかに、最後の受け皿として中退制度も用意しておこう というものです。なお、適年が10年で廃止されるということですので、この受け入れ 措置についても10年間の経過措置ということで考えているところです。  具体的には2頁の参考1をご覧いただきたいと思います。適年から中退への引継措置 の概要ということで簡単に図示しています。過去、中小企業の範囲の拡大等が行われた 際に、類似の方法で特定退職金共済等から資産の引継ぎを行ったケースがあるわけです が、それと同じような形になります。機構と適年契約の相手方との間で、積立金の引渡 しに関する契約を結びまして、中退制度に加入した際の掛金月額の120月分を限度に 引渡しを受けるという仕組みとしたいと考えております。  この120月を限度とするというところですが、これは平成11年度に中小企業の範 囲の拡大が行われた際に新たに中退制度に加入できることとなった企業につきまして、 特定退職金共済からの積立金引渡しの特例措置を認めており、その場合掛金の120月 を限度として引き渡すぐことができることとされているのに合わせたものです。また、 これは現在の中退制度でも、新規に加入する場合、加入前から雇用している従業員につ いて、過去勤務分の掛金を納めた場合に加入前の過去勤務期間を通算できるという仕組 みがあります。この過去勤務分の通算につきましては、120月分を限度としていると ころです。こういった点についての均衡を配慮しまして、120月を限度とするという 取扱いにしたいと考えております。以上が1点目の整備の内容です。  それから、2点目として、1頁に戻っていただき、2の(2)事業主が中小企業でな くなった場合の取扱いをご覧下さい。中退制度の加入企業は中小企業に限られてくるわ けですけれども、加入企業の従業員数が増えたり、あるいは資本金の規模が拡大したり という理由で中小企業でなくなった場合には従来から中退法におきまして、適年への移 行という措置が認められておりました。ところが、新しい確定給付の企業年金法案によ り、新規の適年契約が認められなくなるという措置が講じられることに伴い、中退制度 加入の事業主が中小企業でなくなった場合の引渡先を、適年に代えて新しい確定給付企 業年金とするという点です。これは言ってみれば形式的な改正です。  この仕組みとしては、ちょっとわかりづらくて恐縮ですが、4頁に資料のとおり、現 在の中退法の13条の2で、引継ぎについての規定があり、これによりまして、加入の 中小企業が中小企業でなくなった場合に、適年への引継ぎという措置が認められている わけです。条文そのものは非常にわかりづらくなっていますので、その前の3頁に簡単 な図を用意しています。共済契約者で中小企業でなくなった場合に、まず機構のほうへ 適年契約を締結する旨の申出をいたしまして、適年契約等を適年契約等の相手方と共済 契約者との間で結んだ後、機構に対して適年契約等を締結した旨の申出がなされた場 合、機構から適年契約の相手方へ退職金の原資を引き渡すという仕組みが現在でも講じ られているわけです。言ってみれば、ここの適年契約の部分を、新しい確定給付の企業 年金制度に置き換えるということです。なお、これまでの利用状況については、下の表 にあるとおりです。  以上の2点につきまして、1頁の1に書いてありますけれども、新しい企業年金制度 の制度化に伴い、中退法の規定の整備を行う必要があるということから、この確定給付 企業年金法案の附則において、中退法の改正を行うことといたしたいと考えているとこ ろです。  なお、この法案のスケジュールですけれども、当初の予定よりもかなり早くなった関 係もありまして、早ければ来週中に閣議決定を行うという段取りになっています。国会 の提出はその後になるわけです。国会審議につきましては、まだ流動的な要素はありま すけれども、確定拠出年金法案と同時に平成13年度予算、それから予算関連法案成立 後、早ければ4月の上旬ないし中旬ぐらいに審議が行われるという予定になっていると ころです。以上です。 ○部会長 どうもありがとうありました。それでは、ただいまのご説明に関連してご質 問等ございましたら、ご自由にどうぞ。 ○委員 上限120月という数字になっているのですが、これは何か根拠はあるのです か。 ○勤労者生活課長 はい、説明の中でも申し上げましたが、平成11年に中小企業基本 法の改正によって、中小企業の範囲を拡大した際に、従来中小企業でなかった企業が中 小企業になったということもあって、特例的に掛金等の積立金の中退制度への受入れと いうものを認めたケースがありますが、引継ぎの限度を120月としています。 ○委員 そうすると、移行するときに中退制度に120月を超える部分は残りますよ ね。これは、新しい企業年金のほうに移行するということで、2つの制度にまたがって 移っていくという考え方なのでしょうか。 ○勤労者生活課長 残った部分については、いろいろな方法があると思うのですが、少 なくとも中退制度には受け入れられないということになりますが、あとの部分は従業員 に分配するという方法が1つ考えられます。あるいは、ほかの制度にその資金を回すと いったようなことも考えられます。 ○部会長 ほかに何かございますか。 ○委員 移行について質問させていただきたいのですけれども、現行の適格退職年金は 法人税法上認められた制度であるということで、従業員数が15人以上であれば利用で きると。そうすると、かなり中小企業の割合が大きいように思われるのですけれども、 中退制度への移行が可能になって、どの程度移行すると予想されているのでしょうか。 それから今度は新しい企業年金が積立義務があると、それなりの負担が企業に課せられ るわけですけれども、これはちょっと基本的な質問なのですが、それとの比較で、新し い確定給付企業年金との比較で、中退制度の場合は積立義務等はないのでしょうか。 ちょっとお伺いしたいのですけれども。 ○勤労者生活課長 まず、最初のご質問で中退制度にどのぐらい移行してくるかという ことですが、これは正直申し上げまして、いまの段階で予測するのはむずかしい面があ ります。ただ、この確定給付の企業年金法案の趣旨は、既存の適年はできるだけ原則と して新しい確定給付の企業年金制度へ移行するということなので、そういう意味ではか なりの部分がそちらのほうに移行するのではないかと思われます。ただ、やはり中には 移行できないような企業も出てくるのではないかと考えられ、そういう企業のために、 言ってみれば、最後の受け皿として中退制度を用意しようということです。  それから積立不足の件については、基本的に中退制度の場合は、まず拠出については 事業主が決まった掛金を納めるということになります。そういう意味では、拠出が確定 していると言えます。 ○勤労者生活課長補佐 中退制度における積立義務との関係ということですが、新しい 確定給付企業年金における積立を確保するためのシステムというのが、資料2のいちば ん最後の頁に図示されています。積立義務として1つは、財政再計算の度に長期計画を 作成し、不足が生じている場合には、対策として一定期間内に掛金の引上げ等により不 足を解消するというような形で、通常の掛金プラス上乗せの掛金の拠出義務というのが 出てまいります。それに対しまして、中退制度の場合には事業主の方に追加の拠出をお 願いする仕組みにはなっておりませんし、お預かりした掛金に応じて、中退法の別表に 示されている退職金をお支払いする形になりますので、追加の掛金をお預かりして積立 不足の穴埋めに回すということが制度として認められていません。そういう意味からい きますと、追加の積立義務が課せられておらず、中小零細企業にとっては中退制度のほ うが利用はしやすいのではないかと考えています。  あと1点目の所で、どのぐらい移行してくるのかという件につきましては、新しい確 定給付企業年金ですと終身給付といったようなものも含めて、年金形態での支給が可能 であり、あるいは、掛金額なり給付形態についても、中退のように法律で定まっている わけではございませんから、労使間での制度設計の自由度が高いといったようなことか ら、実際に現在適年でやっている制度を、受給権の保護を図りつつ、その仕組みをその まま持ち込むという趣旨でいきますと、通常の場合は企業年金のほうに移行するのだろ うというふうに考えています。  ただ、従前適年になかった義務が課される部分について、維持しかねるというような ことが、万一おこった場合に、その時点で退職金制度を放棄してしまうか、あるいは社 内の積立に戻ってしまうということになりますと、退職金の保全という観点からして望 ましくないというようなことから、最後のセーフティネットとして中退制度で引き受け るという最後の最後の線というのを用意しているというところです。  基本的には、先ほど勤労者生活課長から申し上げましたように、新しい企業年金制度 のほうへ移行していただくのが本筋だと思っておりますし、また、実際上10年の移行 期間の間にそれも可能だろうというように考えているところです。 ○部会長 ほかには、何かございますか。 ○委員 よくわからないから聞くのですが、適格年金のほうのいまの予定運用利回りと いうのは、どれぐらいになっているのですか。 ○勤労者生活課長補佐 申し訳ありませんが、詳しい資料というのは、いまちょっと手 元にございません。 ○委員 来る前にある生保会社のを調べてきたのですが、相当低い。平成11年で1. 5%ということになっており、3.0%の予定運用利回りで行っている中退制度に結構移 行してくるのではないかと思います。最後のセーフティネットだとおっしゃったけれど も、中退制度に移行する部分の割合というのは、結構あるのではないかというふうに、 これはわからないけれども、予測できることにならないかどうか、そこは調べてほしい と思うのですが。 ○勤労者生活課長補佐 はい、どういう形で実際調べ方があるのかといったあたりも含 めて検討したいとは思います。ただ、10年間あるものですから。またその予定利回り というのは、市場の情勢もありましょうし、あるいは中退金制度について少なくても5 年ごとに見直しを行うといったようなこともあります。ですから、10年間のうちに少 なくともあと2回は上げるのか下げるのか、現状維持なのか、その辺はその時点での財 政状況などでまた見ていくことになりますけれども、少なくとも見直しが行われること になりますし、現時点で先のことまで見通すというのは、かなり困難な面があるのでは ないかというようには考えております。 ○委員 仮に生保の一般勘定ぐらいの利回りで、適年の予定運用利回りが続くとして、 それよりも中退制度のほうが有利であるという判断が成り立てば、移行してくるという ことは考えられますね。そういう予測を聞いているわけなのですが、そんなことはやっ てみないとわからないという意味なんですか。 ○勤労者生活課長補佐 正直言いまして、利回りだけではないと思っていまして、実際 のところ先ほど終身給付などの話も申し上げましたけれども、給付形態というのも労使 の中で非常に重要なマターだと思いますし、その辺がどういうふうに考慮されてくるの か、利回りだけではちょっと何とも言えないと思っています。実際、制度的にも企業年 金の形態としてこれから公的年金の支給年齢が繰り下げられる部分とのつなぎという面 もありますから、年金形態での支給を望まれる方もおられると思いますし、その辺はむ しろ、せっかく制度を仕組んでおきながら、うちへ来てほしくないとか、来るべきでは ないというつもりは毛頭ございませんが、制度的に中退制度のほうが主体となって引き 受けるというようなことには、制度設計の柔軟性という意味から申し上げますと、実際 上はならないのではないかというふうに考えております。  それから、ちょっと繰り返しになりますけれども、今後10年間にわたっての措置と いうことになりますので、その間にどういうふうになってくるのかというのが、現時点 で仮に何か調査を行っても、非常に見通すのは困難ではないかというふうに考えており ます。 ○委員 そんなにこだわっているわけではないけれども、適年から他の制度への移行を 10年の間でということだけれども、非常に低い生保の保証利回りでやっているとすれ ば、相当数中退制度に移行してくることによって中退制度そのものにも影響を与えると いうことは考えられますね。そういうことを聞いているんです。だから、こういうこと もあるかもしれないから、こういうものは用意するんだという程度の今日の提起ならそ れはそれでいいけれども、その辺の見通しなんか全体を言わないとちょっといけないの ではないでしょうか。 ○勤労者生活課長補佐 10年間というようなことがありますので、およそ予測が困難 なところでして、またその利回りについても、私どもが2、3聞いた適年ですと、3% 以上の利回りをつけていて逆に積立不足を生じているといったようなケースがあるとい うふうな話も聞いたことがあります。ですから、おそらく適年でもその財政再計算のタ イミングが、何年度ぐらいにきて、何年前ぐらいにやったかによって、利回りは相当 違っているものがあるというふうに思います。  また、中退への影響として考えられる側面とすると、おそらく2つあるかと思うので すけれども、中小企業者以外の方をこちらへ引き受けることは制度的にできませんの で、中退制度が中小企業を対象としたものであることは変わりありませんし、また実際 に持ち込んでいただいた資産に応じて掛金の納付月数というのをカウントさせていただ くという形になりますので、既存の共済契約者あるいは被共済者の方に積立不足を持ち 込んでご迷惑をおかけすることもないと考えております。もしそういう面での懸念であ れば制度的にそういうことはございませんので、ご理解いただければと思います。 ○委員 今の適年から移行する場合の新しい確定給付企業年金と、それから確定拠出年 金と中退制度とは選択できるということですけれども、その真ん中の確定拠出年金はこ れから国会でも継続審議されるのでしょうけれども、これは、それぞれの従業員等が運 用方法を選ぶので、アメリカの401Kみたいに、株がぐうっと上がる20年前等に導 入されてワァーッと上がったときにうまく運用方法を知っていて、運用すればものすご い利益を得るわけですよね。その代わり、全く逆の場合には投資リスクは従業員等がす べて負うという、自己責任の世界ですよね。その代わり中小企業の方がいままでの企業 年金と違って、入りやすいとか、ポータビリティーがあるので、従業員が転職した場合 に全部持っていけるとか、いろんなメリットもあるわけですよね。  そういうことから、適年から10年以内にこの3つの制度に移行できるのですが、新 しい確定給付企業年金とそれから、新しく別にできる確定拠出年金と中退制度の、それ ぞれの給付形態とか利回りのお話もありましたけども、いろいろなメリット・デメリッ トを示すとか、ある程度投資教育が必要ではないでしょうか。アメリカなんかは小学校 1年から結構株の模擬の取引をやらせたりして、随分早くから教えたりなんかして、そ こは進んでいるわけです。それがいいか悪いかというのは、ちょっと別問題ですけど、 日本ではいままでは企業年金も公的年金も確定給付型だったのです。将来の給付が決 まっているわけですから、そういうことは必要なかったのですけども、これからは確定 拠出とかができてきたら、ある程度投資教育のような形で、どういうのを選択するのが いいかとか、それを学んでいくというか、そういう機会も必要になってくるわけです ね。  ですから、退職後の生活でいちばん大事なのは、中小企業に勤めている方の退職後の 生活設計が安定するかどうかということですが、確定拠出年金の場合はわりと不確定に なるわけですね。確定給付の場合は、ある程度これだけもらえるというのがわかってい るわけですから、生活設計が成り立ちやすいのですけれども、確定拠出年金の場合に は、ものすごく多くなる可能性もあるし、それからマイナスになって失ってしまうとい うようなこともあるわけで、新しい確定給付企業年金、確定拠出年金、中退制度、それ ぞれのメリット・デメリットをかなり細かく、事業主とか従業員の方にやっぱりこれか ら選択する前に知らせていくことがすごく重要だと思うのですね。ただ、新しくこうい う種類の違うのが3つありますよ、その中から選択して移行しなさいというのでは、退 職のときになってみて、非常に不利益を被ったり、高齢期の生活がものすごく不安定に なったりすることもありえるわけで、この場合、いま委員のおっしゃった利回りとも関 係があるわけですけれども、こういう制度なんですよと知らせることが大切だと思いま す。確定給付企業年金と確定拠出年金と中退制度というのは、ちょっと違いますから、 それぞれのメリット・デメリットも含めて、投資教育というようなものをしていただか ないと、わかりにくいのではないかなあというふうに思うのです。その点が大事ではな いかというふうに思います。 ○部会長 ほかに何か、ご意見ございますか。特段のご意見がないようですから、今回 の法案整備等については、事務局からご説明あった方向で進めていただくということに したいと思いますが、それでよろしゅうございますか。                 (異議なし)  ○部会長 よろしければ、そういうことでお願いしたいです。それから、次に、議題2 でその他と書いてありますが、何かありますか。 ○勤労者生活課長 実は、今回はこのお話だけでございまして、特にほかにご相談をす るお話ございませんが、次のスケジュールについて簡単に触れさせていただきたいと思 います。次回の部会ですが、3月の下旬ぐらいに、一般の中退制度における平成13年 度の付加退職金の支給率等についてお諮りをしたいというふうに考えています。また、 日程等については追って調整をさせていただきたいと思いますが、是非よろしくお願い をしたいと思います。以上です。 ○部会長 それでは、今日はこれで終わりということにさせていただきます。ありがと うございました。 6 配布資料  (1) 確定給付企業年金法案の附則における中小企業退職金共済法の規定の整備につい    て  (2) 確定給付企業年金法案(仮称)の概要 (注) 配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総     務課行政相談室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧して     おります。 照会先  厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課   担当:河野・武村   03(5253)1111(内線5376)