01/02/09 第2回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第2回 労働政策審議会雇用均等分科会                    議 事 録             厚生労働省雇用均等・児童家庭局            第2回労働政策審議会雇用均等分科会 1 日時  平成13年2月9日(金) 13:00〜15:00 2 場所  厚生労働省省議室 3 出席者 〔委員〕        公益代表  若菜委員、今田委員、奥山委員        労働者代表 岡本委員、秋元委員、片岡委員、吉宮委員        使用者代表 大塚委員、吉川委員、須永委員、山崎委員       〔事務局〕          厚生労働省 岩田雇用均等・児童家庭局長、水田審議官、        皆川総務課長        村木雇用均等政策課長、山田短時間・在宅労働課長、        熊谷職業家庭両立課長、清川育児・介護休業推進室長 4 議題 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改 正する法律案要綱」について 5 審議経過 別紙のとおり ○分科会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回労働政策審議会雇用均等分科 会を開催いたします。  本日は、渥美委員、樋口委員、安枝委員、佐藤委員、勝田委員が御欠席でございます 。  本日の議題は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する 法律の一部を改正する法律案要綱について」でございます。本件につきましては、前回 の2月6日の当分科会におきまして御議論いただいておりますけれども、前回も御説明 しましたように、本日は答申を出すという予定で進めてまいりますので、この点、御協 力をお願いしたいと思います。  それでは、まず前回議論の際に宿題になっておりました件につきまして、事務局から 説明がありますのでお願いいたします。 ○事務局  それでは、前回議論になりました、この諮問要綱の資料で申しますと、4ページの終 わりから5ページにかけましての「子の看護のための休暇の措置」、これにおける法定 外の年休の考え方について御説明をさせていただきます。  子どもの看護休暇を今回設ける目的でございますけれども、子どもの急な負傷や疾病 の際に休暇を取得しやすくするということ、併せて年次有給休暇を使い切る不安を持た ずに休暇を取得できるようにする。こういうことにあるわけでございますので、これは 子どもの看護休暇を労働基準法に規定されております法定の年次有給休暇とは別に設け る必要がある旨を明確にするために、この5ページ、2行目にございますが、「労働基 準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えるものを除く」ということを書い てあるわけでございます。仮に、この休暇が子どもが負傷または疾病の場合だけ使える 、その場合にしか使えないものでなければならないということといたしますと、現に導 入されておりますケースにおきましては、子どもの負傷、疾病以外にも、本人あるいは 配偶者や親等の家族の負傷、疾病の場合にも使える休暇という家族看護休暇制度のよう なものが多いわけでございますが、この場合は子どもの看護休暇を設けたことにはなら ない。子ども以外の人にも使える休暇であっては、子ども看護休暇ではないということ にしますと、そういう不合理が生ずるわけでございます。したがいまして、子どもの看 護休暇は休暇の名称を問わず、あるいは子どもの看護以外の目的にも、子どもの看護に 使えれば、子どもの看護以外の目的に使っても差し支えないということでございまして 、子の看護のために休暇を請求し認められるということが担保されている制度であれば よいというふうに考えられるわけでございます。  なお、子ども看護休暇として具体的にどういう制度の導入、普及を図っていくかとい うことにつきましては、事業主が講ずべき措置でございますので、指針で定めるという ことになるわけでございます。したがいまして、この指針は本分科会で御議論いただく わけでございますので、その際に、この問題につきましても十分御議論をいただきたい というふうに考えておるところでございます。  以上でございます。 ○分科会長  それでは、ただいまの説明も含めまして、本件について御質問あるいは御意見がござ いましたらお願いをいたします。 ○委員  今の事務局の説明ではわからないのですが、指針で定めるというのはわかっているん ですけれども、最低付与日数を10日とする労基法第39条があって、ある事業所で15 日という付与日数を設けた場合に、私は39条を削除しろと言っているのではないので す。法律の仕組みはそうかもしれませんけれども、我々が議論してきたのは、年休は自 分のために使っているわけだから、本来は別の休暇として用意することで普及を図ると いうふうに理解してきたわけです。10日のところが15日という5日間の最低付与日数を 上回っている事業所において、この場合は、子ども看護休暇があるものとして見るとお っしゃった、そういう理解でいいですか。 ○事務局  この子ども看護休暇制度の導入努力義務、これに違反の状態が生ずるかどうかという 点で申し上げますと、今、委員がおっしゃったような場合には違反状態にはないという 理解になるわけでございますが、どういった制度を、この規定をもとに普及を図ってい くかということについては、委員がおっしゃったようなもともとの議論の出発点もあっ たわけでございますので、それについては、さらに具体的にその問題を議論する指針の 際に御議論をいただければありがたいというふうに考えております。 ○分科会長  それでは、他に特になければ当分科会としましては、諮問のありました「育児休業、 介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案 要綱」について、平成12年12月22日付けの女性少年問題審議会の建議にかんがみ、概ね 妥当と認めるということにしまして、その旨、私の方から労働政策審議会会長あて報告 を行うということにしたいと思います。  ただ、これにつきましては、労使各側から意見を付したいと事前に申し入れをいただ いておりますので、それを付した形にしたいと思います。これについては事務局から案 文を、また労使それぞれから御意見を御用意いただいているようですので、それぞれ説 明をお願いしたいと思います。 ○事務局  恐縮ですが、机の上に配付させていただいておりますけれども、まず、私の方から分 科会長から会長あての1枚目の紙について御説明に代えて読み上げさせていただきます 。  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を 改正する法律案要綱について  平成13年2月6日付け厚生労働省発雇児第24号をもって労働政策審議会に諮問のあっ た標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。                    記  厚生労働省案は、平成12年12月22日付けの女性少年問題審議会の建議にかんがみ、お おむね妥当と認める。  なお、審議の過程で、労働者委員及び使用者委員から別紙のとおり意見があったこと を申し添える。」  以上でございます。 ○分科会長  それでは、続けて労働者側意見の説明をお願いいたします。 ○委員  最初の前書きの方は、建議までの過程及びこの間の議論のスタンスを述べさせていた だいています。  育児・介護休業法の改正にあたっては、子育てや家族介護等により仕事を継続するこ とが困難である労働者の現状、期間雇用労働者の増加、保育所受入け枠の絶対的不足を はじめとする保育サービスの遅れ、仕事優先の長時間労働の実情及び少子高齢化の進展 が社会に及ぼす影響や国際労働基準の動向を十分に踏まえるべきであり、下記の意見を 付記する。  1番目については、私ども建議をまとめる過程でいろいろ御意見を申し上げてきまし て、時間外労働の制限の対象者につき深夜業の制限の制度と並びであるとの問題につい て、具体的にどういう範囲なのかというのを、この間、議論した経緯があるんですが、 もう一度、深夜労働と所定外労働というのは性格が非常に異なるということもありまし て、かつ最近、中途採用等の労働者もかなり増えてきていまして、雇用期間が1年に満 たない労働者を除外するということについてやはり問題であるということで、建議には 意見を付しませんでしたけれども、これまでの経緯を若干踏み外しているかなという感 じもしますが、そこはぜひ私どもとして意見を言いたいというのが「1.」でございま す。  二つ目は、短時間勤務制度の子の年齢についての3歳までの引上げという法案要綱で ございますが、私どもとしては、子の年齢を小学校入学までとして、さらに、男性も女 性も休業をするのではなくて、仕事をしながら、かつ育児などができるという意味では 非常に利用しやすい制度であり、必要であろうということで、短時間勤務制度を設ける ことを全ての事業主に義務づける必要があるのではないかということで、挙げておりま す。  三つ目は、子どもの看護休暇については、努力義務ということですが、多くの労働者 の要望などが強くございますので、請求権として措置すべきではないかということです 。  四点目は、これもたびたび言ってきたことですが、有期雇用労働者が非常に増えてい るという現状で、この方々について適用を除外するということはいかがなものかという ことで、期間を定めて雇用される労働者にも適用すべきだということです。  以上4点を意見として付記したいということです。以上でございます。 ○分科会長  それでは、使用者側意見について御説明をお願いします。 ○委員  部会での審議に当たって、私どもの方は非常に重要な問題であるにもかかわらず、非 常に短期間にやることに疑念を示しておったわけですけれども、短期間とはいいながら 、16回にわたって三者それぞれ議論を深めて、その結果として建議に至ったわけであり ます。そういうこともありますので、私どもとしては不満は残りますけれども、そうい う結果としての建議だということで、なおかつ、それが要綱に結びついているというわ けで、この要綱を十分に尊重していただきたいという趣旨でそこに意見をつけさせてい ただきました。長くはないので読ませていただきます。  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を 改正する法律案要綱の答申に際して、下記のとおり意見を申し述べる。  短時間勤務制度等の措置についての子の年齢の引き上げ、子の看護のための休暇制度 の創設・導入の努力義務などに不満な点が残るものの、法律案要綱は、労使及び公益の 各側委員による真摯な検討を重ねた結論をとりまとめられたものと認識している。  今後、政府におかれては、これが三者委員の厳粛な結論であることに思いを致され、 内容趣旨等の変更が行われないよう、強く要請する。」  以上でありますが、ちょっと一言つけ加えますと、こういう過程を踏まえていきます と、労働者側の意見の中の一番目の問題については十分議論したつもりでおりますので 、こういう形で出てくるということを非常に残念に思います。以上です。 ○分科会長  それでは、今、労使各側の意見について御説明をいただきましたので、御意見、御質 問等があればお願いをいたします。 ○委員  今労働側から出した1番の意見のことについて、重ねて発言させていただきたいと思 います。審議の経過も十分理解しているつもりですが、あえて、ここでどうしてもここ のことについて意見をつけさせていただいた理由は、一つは、この両立支援策が政府と しても内閣府の男女共同参画会議の中に専門調査会を設けるぐらい重要な課題になって いるということで、私たちは両立支援のための討議をこの審議会の中で重ねてきたとい うふうに思っております。今、法律の枠組みの中での矛盾がここで出てきて、特にこの ことについては意見を申したいということで前回も言わせていただきました。  一つは、今の法律の枠組みの中で、育児休業、介護休業の取得対象者に、この時間外 労働の制限に書かれているイの雇用された期間が1年に満たない労働者は含まれており ません。また、今回の法律案要綱の中では、時間外労働の制限が請求できない者が記入 されているわけですけれども、ここの部分については、時間外労働を全くしないという ことではなく、150 時間という制限の範疇で、150 時間を延長してはならないというと ころになっておりまして、これまた、国の目標である時間短縮1,800 時間の目標、そし て、そのために国が掲げている残業時間の削減ということから考えましても、育児介護 の必要のある人に対する両立のための援助ということから考えますと、残業は通常です と常時あるものであってはならないと思いますし、その時間も150 時間を超えてという ところまでということになりますと非常に矛盾が出てきているんじゃないかというふう に思います。  例えば、勤続1年未満の人が介護のためにやむなく時間外労働ができないときの選択 肢として、休業はいいけれども、時間外労働を短くしてくださいという請求に手を挙げ られないという矛盾があります。企業にとっても、その人に休まれるよりは、通常の勤 務をして、なおかつ若干の残業はあるけれども、その残業時間は少し少なめにしてくだ さいと。150 時間にした方が本人の選択肢としても、企業が従業員に働いていただくと いうことに関しても、双方にとってそれができるのだったらば、育児休業をとる選択肢 のほかに、そちらの方がいい場合もあるわけですから、最初から法律で、ここの枠組み のところを外すということについては、この両立支援と今できている法の枠組みから言 っても矛盾ではないかというふうに思います。  それから建議の中では、深夜業の制限との関係を考慮するということで、ここも議論 してきたところです。いろんな形で、この表現については途中経過もありますけれども 、時間外労働と深夜業の性格は違うということはずっと発言させていただいてきたつも りです。入社してすぐの人が深夜業をメインに入社したにもかかわらず、それができな くなるという状況と、時間外労働の制限を必要とする状況とは性格が違うと思います。  それから、先ほど委員からもお話がありましたけれども、片方で雇用の流動化のため にいろんな措置がとられているというか、今こういう状況の中ですから、年代に関係な く新たな企業に就職するといった場合に、特に介護等については、それに携わらなけれ ばいけない状況というのがあるわけですから、それを阻害するということから考えると 、ここは今の枠組みのままでは矛盾するということで意見をつけさせていただきました 。 ○委員  今の議論も含めて、それから、なおかつ労働市場への入口のところの問題も含めて十 分議論したつもりでおりますので、改めて御意見を申し上げるつもりはありません。 ○委員  労働者側の意見、使用者側の意見も初めてで、前回都合で欠席させていただきました ので、前回の議論の流れもよくわかっていないのに発言はちょっと心苦しいんですが、 先ほどの労働者側の意見の委員、それから今の委員の御説明を聞いていて、一般的な話 といいますか、基本的なあるべき姿というような観点からすると、私も個人的にはよく 理解できますし、そういうことが将来に向けては望ましいというふうに思いますが、こ の議論というのはこれまで審議会で年度末までにいろいろな議論にかかわってきた立場 から言いますと、これまでの議論の中では、もちろん労使公も含めて三者いろいろな意 見がここにはあって、16回程度全体でやってきて、その中でそれぞれ少しずつ、ここは どうかなと思いながら何とか取りまとめで三者の意見を調整しながら建議を出し、その 建議を受けて今日の要綱になっていると思うのです。今日のこの時点で、また4か条意 見を出されて、特に1について出されているわけですけれども、私の理解では、今労使 から出された意見はそれぞれ十分それまでの議論の中で聞いてきたことだし、それを受 けて何とか少し折り合いをつけられるところということで建議を出したと理解していま す。その上で本日のこういう要綱案になっているんだろうと考えております。この時点 で、これを改めてお出しになるということは、結局、年度末までの女性部会でやってき た議論のところにもう一回話を持っていくということになるのではないかと思うんです 。それは今までの経緯の中で、お互いが少しずつ疑問を持ちながら、何とか形をつくる という努力を逆に無視してしまうことになるのではないかと思って、もろ手を挙げても う一回議論しましょうということにはちょっと賛成できません。今までの議論の流れに かかわってきた者として、今の時点でこれを出されるというのはちょっと腑に落ちない のです。 ○委員  法律の中に雇用期間1年未満の者について適用除外とする国も日本以外にもあるとい う議論をした経緯は十分承知の上なんです。議論をもとに戻すということは、三者の合 意は得られないと思いますけれども、我々としては、ここはさっき申し上げた理由で意 見としてつけたいということですので、ぜひ御理解いただきたいと思います。 ○分科会長  先ほど委員がおっしゃったのは、そういう中身の御意見については、建議を出すまで の過程でいろんな意見があったことは承知している。ただ、それを踏まえて建議がとり まとめられ、要綱はその建議を前提につくられている、この要綱の答申の際に、一応議 論の済んだ問題を新たにここで出すというのはいかがなものか、そういう御趣旨だと思 うのですが。 ○委員  ここで四つ挙げられていることをまた改めて一般論としてお話を聞いて、意見を申し 上げるということについては理解もできますし、また支持する部分もたくさんあると思 うんです。でも、この四つ挙げられたところは、これまでの審議会の女性部会の中で議 論をしてきたことなんです。この議論を踏まえて三者が調整をしながら建議を出し、そ の建議を受けて今日の要綱案についての答申という形になっているんだろうと思うんで すが、そういう一つの議論の流れというか手続からすると、本日改めてこれをお出しし て、議論し意見をつけたいというのは、今までの手続というか、議論の流れを無視して しまうことになる。筋道論といいますか、ちょっと堅苦しい言い方になるかもしれませ んけれども、手続としてちょっとおかしいんじゃないかというところなんです。中身そ れ自体のことをどうこう言おうとしているわけではないのです。 ○分科会長  中身をおっしゃっているんじゃなくて、中身についてはそういう御意見があることは わかるとした上で、筋道として今の段階でこういう意見をつけるのはどうかという、そ ういう御意見だと思うのですが。 ○委員  そこは十分承知の上でということなんですけれども、そこはこだわりたいということ でぜひ御理解いただきたいところです。 ○委員  いろいろ労働側の意見も取り入れられなかったことが多くて御不満があると思うんで すけれども、これもお互いに相手があることなので、使用者側も同じような立場にある わけで、これからこの法律も実施されて状況を見ながら、また企業の取組状況を見なが ら、また必要があればつけ加えたり、改正したりという余地もあるわけですから、そう いうことで、ひとつこの辺は逆戻りということではなくて前進させようではないですか 。 ○委員  後退させるとか、再議論を要請するということの手続や進め方からすれば、そういう ものを意図するもの、そういうものだという御意見についてわからないということでは ないんですが、今更で申しわけありませんが、労働側の意見としてつけるということで 、それについて、これをそういった観点からつけることに問題だと言われることが私は 理解が十分できないんですが、つまり、これは法案要綱について、昨年7月以降様々な 議論を重ねてきた中で、最終的に労働側委員が法案要綱について、もちろん建議を十分 踏まえた上ですが、改めて意見表明をしたいという趣旨で出しているというふうにとら えていただくというものではないかと思っておりまして、これがなぜそういう議論にな るのかが、私自身理解が至らないんですが、そこを説明していただけますか。 ○事務局  状況の御説明だけさせていただきますけれども、今いろいろと議論になっております のは、今回のこの法律案要綱の諮問が、前回の12月の建議を受けて、きちんとそれがそ のまま反映された要綱になっているかどうかということを御審議いただく、そういう意 味での諮問を厚生労働大臣の方からさせていただいているわけでございまして、そうい う観点から建議を踏まえた法律案要綱として十分かどうかという観点からの意見に「1 」がなるかどうかというところが問題として議論されているのだろうと思います。古い 審議会で恐縮ですが、過去の女性少年問題審議会で育児休業制度、介護休業制度をつく ってきたときにも、確かに建議の段階で労使双方から意見がつきまして、それで、法律 案要綱は労使双方の附帯意見がついているところではなくて、本文の方を受けて法律案 要綱はつくられるわけですので、同じ意見がまた法律案要綱の段階でもつけられる。建 議の段階でついた附帯意見が反映されていないという意味で、答申の際に附帯意見とし て提出されているというのが過去の整理でございまして、今回は建議の際に勤続1年未 満のところに、議論の途中過程はいろいろあったわけでございますけれども、最終的に 意見が付されていない形であるにもかかわらず、そういう形の建議を受けてそのまま書 いた要綱であるにもかかわらず、建議の際になかった意見が労働側の意見という形で今 日出てきたというところが議論になっているものというふうに理解しております。 ○委員  労働側の意見だから、意見というものを個別につける分について、ある意味では了解 というか、議論をしなければいけないのかわからないとおっしゃっている趣旨ですか。 それは裏返せば、そういう使用者側の意見でも、公益側の意見でも、労働側の意見でも 何でもいいんですが、今まで議論したものも踏まえて、これはそれぞれの側の意見なん だから、どんな場合でも、どんな内容でも意見としてつける分には別に問題はないので はないかということをおっしゃりたいんですか。もしそうであれば、それはちょっとお かしいのではないかなと個人的には思うんです。  例えば建議の段階で、それまでの16回の議論を踏まえて、それでお互い三者の意見 の交換をし、すり合わせを実際上しながら、どうしてもここは疑問に思うとか、完全に 理解できないとかというものについて、例えば建議にもつきましたけれども、意見を申 し述べておきたい、つまり、これにしても完全にそれを了承しているわけではない。そ ういう形で議論の中で、ここは意見を付けたいとかということで意見を付けられる分に ついては、一応意見を付けることについても議論を通しているかというか、皆さんのお 考えも聞いているということで、そういうものを踏まえない中、突然ぽんと出されて、 これは労働側の意見ですから勝手に付けますというのは、こういう審議会の中での議論 としてはちょっと違うんじゃないかと思うんです。やはりその議論をある程度してきた 中で、建議の際に意見をお付けにならなかったわけですから、それを、今日そういう建 議を踏まえた要綱を出すときに、労働側の意見ですから付けて何が悪いんですか、ちょ っと言葉はきついですけれども、そういう言い方をされると、少々えっ、という感じに なります。やはり意見であるにしても、こういう意見を載せたいとか、あるいはこうい う希望をするとかということを説明し議論した中で、それではしょうがないですねとい うような形のものが意見として付けられるのが一つのあり方ではないかと思うのです。 意見にしても、そうでなければならないのではないかと思うのです。 ○委員  建議までの経過で申し上げてきた結果、建議をああいう形でまとめ、確かに「1」に ついて熟慮の上出したものという建議の意味合い、位置づけを十分受けとめておりまし て、その上で、今までの議論経過を振り返りながら、法案要綱を最終的に答申するとい う段階で、改めてこの点について意見として付けたいというふうに思いまして、それが どういう扱いの結果これは整理されるのかちょっとよくわかりませんが、言葉尻をとら えてはいけまけんが、必ずしも、そういう労働側の意見を言って何が悪いという意味で は全くないんですが、ずっと今までの経過を振り返って、改めてこの段階で、この「1 」についてももう一度意見を付けたいという意味で申しましたので、それは建議の手続 からすれば、それではだめなんだということについて私自身が理解を十分していないと いう、自分の問題として受けとめたいと思いますので、今、委員がおっしゃった意見、 私の方が問題であるならば、開き直って付けた意見だということではないということだ け申し上げたいと思います。 ○委員  それは私もよく理解はしています。それから、さっきも何度も繰り返して言っている ように、個々的に見れば、一般的にこれを改めて議論するならば幾らでも私も理解でき るところはたくさんありますし、個人的であれば支持したいところもたくさんあります 。でも、そういう個人の意見を越えた中で、使用者、労働、公益という形で、それぞれ 立場から意見を申し上げ、その意見のぶつかりの中で建議というものが出されてきたわ けですから、しかも、その建議の中で労使双方から附帯意見も幾つかつけられているわ けですから、そのときにつけられなかった意見が、本日、建議を踏まえた要綱を答申す るという段階で、ぽっと新しく出てくるということについては手続を結果的に無視した ものであるのではないか。これが意見だから改めて議論してくださいとなると、議論は 年末以前のところに返ってしまうのではないかと思うんです。だから中身の問題ではな くて、手続的な問題で少し疑念に思うというだけなんです。 ○分科会長  今の点はどうですか。その事柄の問題ではないんです。建議を踏まえた要綱が出され たときに、新しい問題をつけるというのは一般的に考えてどうなのかなという感じで、 誰も中身を言っているわけじゃないんです。 ○委員  12月19日の部会で、建議にある深夜業の制限の制度との関係を考慮する必要があると いうことをめぐって議論をさせていただいて、私の方からも現行の深夜業の対象除外に なっている範囲について、1年未満のものとか、それから常態として介護する方がいら っしゃる場合とか、その議論をさせてもらったのは事実なんです。事実なんですが、関 係を考慮するというところに今一度、法律条文の中に1年というのが出てきていること について、経過はあるんですけれども、それは曲げて意見をつけたいということでござ いますので、ぜひ御理解をいただきたい。 ○分科会長  ただ、この建議のときに、そこまで議論を詰めて意見をつけなかったわけで、手続上 の問題なのです。全然議論しなかったという場合であってもそうかもしれないけれども 、殊に議論して確認した上で意見がつかなかった、それを受けて要綱が作られ、それが 建議のとおりかどうかということを検討するときに、建議で出されなかった意見を言う ということは、その問題を提起することとは全然別個ですよ。従来からの議論の経過を 踏まえるとここで言うことなのか。手続的におかしいのではないか、こういうことを言 い出したら、何のために建議をまとめたのかということが問題になると言われても仕方 がないところはありますね。 ○委員  分科会長のおっしゃることは十分承知の上でやっているのですけれども、議論してき た経緯は十分認識した上で。 ○分科会長  議論してはいけないと言っているわけではなくて、議論すべき場ですればいいという ことは理解していますけれども、ただ、ここで出すということがどうかと思います。ほ かの三つは建議に意見としてつけられているわけだから、それはそれでいいと思います 。つまり、相手方もあることだし、三者構成ですから、建議に付された意見以外のもの を出してくるということはちょっとどうかなということです。 ○委員  ぜひ御理解いただきたいです。 ○分科会長  ちょっと理解はしにくいです。 ○委員  いいですか。余計なことかもわかりませんけれども、12月8日から19日の過程で、こ この部分については文章は変わっているわけです。「整合性」という表現が「関係を考 慮し」という表現に変わっているんです。まさにその議論は最後の段階までやったんで すね。ということなんです。 ○事務局  前回そして今回の議論を踏まえて申し上げますと、使用者側、公益側の御意見を聞い ていただいて、そして労働側に御再考いただけないかということだと思うんです。でき れば、こういうことで採決をとったりということではない形で合意をつくっていただけ れば非常にありがたいというふうに思いますので、今、随分御発言いただいたと思いま すから、その上で労働側の皆さんに御再考いただくということはいかがでございましょ うか。 ○委員  採決というのはどういうことですか。ありうるのですか。 ○事務局 採決をしたいということを申し上げているわけではなくて、その逆なんですけれども 、最終的に各側委員の意見がついた文書が答申文になるわけですが、ぜひコンセンサス で答申文をつくっていただきたいというふうに思いますが、手続のことを言いますと、 どういう答申文にするかということについて、全体が採決になる、あるいは部分的に採 決になるということが手続上ないわけではない。ですけれども、そういうことはぜひ避 けていただきたいというお願いを申し上げました。 ○委員  再考ということは、「1」を削りなさいということですね。それしかない、消せない 場合は採決ですよと。私も曲げてお願いしますと言っておりますから、それでだめなら 、審議会としてきちっとした態度を決めてください。私も討議を踏まえて、慎重にいろ いろな角度から議論して意見をつくった経緯がありますので、多分そういう御意見があ るだろうなということも想定しながら、それを曲げてお願いしたいということを申し上 げているわけで、ぜひ御理解いただければと思います。 ○委員  前回、最後出た意見と同じですが、余りこういう制限をつけていくと、新しい採用が されないということは当然あり得るのですが、それについてはどのようにお考えでいら っしゃるのでしょうか。 ○委員  家庭責任を持っている方が会社に応募して採用するかしないか、そのことを採用条件 に入れることは逆に差別じゃないかというふうに認識しました。この方は恋人がいらっ しゃって、あるいは結婚して育児があるかもしれない、だから雇わないということは、 もしオープンになった場合、逆に差別ではないか、そんなことがあっていいのかなとい うふうに逆に聞きたかったのです。実際はそうなのかもしれません。そのことを理由に して採用しませんというふうになると、逆に言うとおかしいのではないかと思うんです 。 ○委員  しかし、採用について差別云々以前の問題に、採用者側はそれは当然考えます。 ○委員  実際にあるかもしれないけれども、認められるみたいな制度がどうかと思います。 ○委員  認められるのではなくて、これだけ厳しい世の中なので。 ○委員  厳しいということと、やっていいことというのはあると思うんです。家庭責任を持っ ていらっしゃるから採用しませんというようなことはいけないでしょう。 ○委員  採用しませんとは言いません。差別云々は言い過ぎだと思うんだけれども、それ以前 の問題で、やはり経営者としては、経営に必要な人を採用するわけです。そういう意味 で必要な人がたくさんいた場合に、誰を選ぶかは自由なわけですから、当然そういう問 題が出てくると思います。例えば時間外労働はできますねと。できる人とできない人、 やはりそこで本当に時間外の必要な仕事をやってもらうために採用するのであれば、そ ういう人を採用するのは当然のことだと思います。ごく自然なことだと思います。 ○委員  それまでの議論とはちょっと次元が違うので、それはこの審議会でやらない方がよろ しいんじゃないですか。ですから、話を戻しまして、労働者委員お尋ねしたいんですが 、要するに手続的な点では問題があるということは重々承知している。承知した中で、 あえてこの問題について重要だと考えるから曲げてここで意見としてつけたいと。それ についてはよくよく考えたあげくだから、撤回というか、取り消しもできない。場合に よっては採決ということも考えていますのでというような御趣旨の御発言というか、御 姿勢なんですか。 ○委員  いろいろな審議会を見ていて、採決というのは聞いたことがないのですが、議決をす るということですから白黒をつけるんでしょう。 ○委員  私も審議会に関与するのはそんなにないんですが、今度の運営規程を見ましても、一 応「議事については最終的には過半数で決し」という、可否同数のときという採決の規 定ももちろんありますから、形式的、手続的にはできるでしょうけれども、ただ、そう いう形で採決を諮ってまでやるというのは、余りよろしくないのではないかというふう に個人的には思います。 ○分科会長  では、この問題については、休憩をとって公益委員と労働者側委員で話をした方がい いのではないかと思います。ここで暫時休憩をとらせていただきます。お願いいたしま す。 (休憩) ○分科会長  それでは再開いたします。先ほどの答申につけた意見について、労働側からもう一度 御意見をお願いします。 ○委員  私どもの意見について、各側いろいろ御意見をいただき大変ありがとうございました 。特に「2」と「3」と「4」については建議の中に盛り込まれた私どもの意見をその ままつけたわけですが、ここにある「1」について、この間いろんな議論を重ねてきて 、それぞれ回ごとに詰めてきた経緯は十分あって、これに違和感を感ずるということは 、各側おっしゃっているんでしょうけれども、私どもとして重要なテーマであるという ことで、そのところを踏み越えて出したことに、今までなかったことだということで御 心配かけました。今後そういうことがないように十分留意してやっていきたいと思いま すので、よろしく御理解いただきたいと思います。 ○分科会長  今、委員からも話がありましたけれども、建議までの過程では、「1」で出されてい る問題も議論された上、建議の中では意見としてつけないということが合意されて建議 が提出されたにもかかわらず、それに基づく要綱が出されて答申という段階になって、 建議の段階でつけられなかった新しい意見が、答申に付されるというのは、審議会にお ける審議の経過から見て信義にもとるのではないかという御議論があるのも無理からぬ ところですし、また、これは今後の審議会のあり方についても影響があるということを 恐れないわけではないのです。また、建議までの意見の闘わせ方、それから当然建議は 妥協の結果、法案全体を少しでも前進させるということで出されるものですから、そう いうことから見て、議論並びに建議の重みというものを一体どう考えるかという根本的 な問題につながってくるようなところがあるので、私としても新しい意見をここで付さ れるということについては遺憾に思っております。  ただ、いろいろ労働側の御意見もありますので、今回だけは特別な扱いということと し、審議会での前例にはしないということで、特別な扱いとしておさめざるを得ないと 思います。  只今、委員の方から、そういう経緯を踏まえて先ほどの労働者側意見の1番を4番に 振りかえて、2番から4番を一つずつずらすという形で、意見を付したいということで ございますので、その順番に従って労使双方からの御意見を付して、この案文で労働政 策審議会長に報告をしたいと思いますが、いかがでございますか。つまり修正部分は、 先程の労働者側意見の1番を4番に持ってくるというところだけでございます。 ○委員  非常に残念なのですけれども、いろいろな状況があるので、やむを得ないことと思い ますが、使用者側委員の意見はそこにお出ししているとおりで、これを変更するつもり はないですけれども、ちょっと無理な解釈かもしれませんが、「導入の努力義務などに 不満」と、今、議論のあったことに対する不満も含まれているという御理解をいただき たいと思います。 ○分科会長  御意見承りました。そういうことで、修正された原案のとおり審議会長の報告すると いうことでよろしいですね。  では、そのようにさせていただきます。最後に、事務局よりごあいさつがございます 。お願いいたします。 ○事務局  年が明けましてからの非常に短い期間で、私どもから諮問させていただきました法律 案要綱について、概ね妥当という趣旨の御報告をいただきまして大変ありがとうござい ました。  今日は予想しないような審議の展開になりましたけれども、建議の重み、そして審議 会の意見のまとめ方について、また各側の委員の皆様、それに私ども事務局も理解を深 めることができたというふうに思っております。  前回の分科会で御説明いたしましたように、労働政策審議会の運営規程によりまして 、この分科会の議決をもって審議会の議決とされるということになっておりますから、 本日の概ね妥当であるという御了承は、労働政策審議会の了承というふうにさせていた だくことになります。これから早急に法律の改正作業を行いまして、なるべく早く国会 に提案したいというふうに思っております。国会で成立いたしましたら、この後、省令 指針の策定という作業もございますし、さらには実際の施行に当たりまして、また労使 、公益の先生方からいろいろ御支援をいただくということになりますので、どうぞ引き 続きよろしくお願いいたします。本日は大変ありがとうございました。 ○分科会長  ほかに特に御意見、御質問ございませんか。 ○委員  均等調停委員会はどうなったのでしょうか。個別紛争の部会は今日午前中に終えたと いうふうに聞いていますが。 ○事務局  部会の方は、本日ございまして答申が出されております。時間もございませんでしょ うから、後で御参考までに答申を皆様方にお送りするようにいたします。 ○分科会長  特にほかにございませんようでしたら、本日の分科会はこれで終了いたします。  本日の署名委員は、吉川委員と片岡委員にお願いしたいと思います。皆さん、お忙し いところ長時間ありがとうございました。 (了) 連絡先 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 企画係 田中、大友 03(5253)1111 (内線)7855