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過払いと未払いについて



I 加給年金額の過払いについて


  1. 加給年金額の過払いの事象
    (1) 老齢厚生年金(老齢満了)又は障害厚生年金(障害等級1級又は2級)の受給権者について、加給年金額の対象となる配偶者がいる場合、加給年金額を加算して年金を支給することとなる。
    ただし、配偶者が老齢(老齢満了)又は障害を支給事由とする年金を受給している場合には、当該加給年金額が支給停止となる。(一般の加給年金額の支給停止事例
    《注》 老齢満了とは、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上、又は40歳以降180月以上ある場合などをいう。
      〔加給年金額を加算されている者(平成15年3月現在)約315万人〕
    (2) 今般、平成15年物価スライドによる年金額の改定処理に伴うシステムテストの作業の中で、配偶者の特別支給の老齢厚生年金が全額支給停止から一部支給又は全額支給に変更された事例について、本来であればこれに伴い、配偶者に係る加給年金額を支給停止すべきところであったが、その支給停止がなされずに、過払いが発生している事例があることが判明した。(今回の過払いの事象例
    (3) なお、本年3月にプログラムを修正し、新たな過払者は発生していない。

  2. 原因
    年金給付システムについては、即時処理のための大規模なシステム変更が行われ、平成11年6月から稼働しているが、そのシステム変更の際のプログラムミスが原因である。

  3. 過払対象者数及び金額
    (1) 加給年金額の過払対象者数   約7,200人(精査中)
    (2) 加給年金額の過払総額  約24億円

  4. 再発防止策
    (1) システム開発時のプログラムの適否は、最終的には開発時のテスト工程の中で検証することとなることから、すべてのテストパターンが網羅されるように、検証テストの充実強化を行う。
    (2) 今回の事故の原因及び事故を誘発することとなった要因・環境等を分析し、所要の措置を講じる。

  5. 加給年金額の支給停止と過払額の返納手続き
    (1) 過払対象者へのお知らせ
    今般の加給年金額の過払対象者に対しては、7月14日から17日までの間に、問い合わせ先・今後の返納の手順などを記載したお詫び状、支給額変更通知書、返納方法申出書を発送する。
    (2) 今後受け取る年金額の変更の時期
    今般の過払対象者には、8月の定期支払い(6月分・7月分の年金)から、加給   年金額が減額された年金が支払われることとなる。
    (3) 過去に受給した過払額の返納手続き
     過去の過払額については、返済方法について受給者の意向を確認の上、一括又は分割で返納いただくこととなる。
     本人が受給している年金からの返納を希望する方については、申し出に基づき、10月以降に支払われる年金で返納していただくこととなる。
    (4) 当面の問い合わせ先
    社会保険業務センターに7月1日から専用電話を設置する。
    期間 平成15年7月1日〜平成15年7月31日
    電話番号 03-5346-2121
    所在地 〒168-8505
    東京都杉並区高井戸西3-5-24




II 振替加算の未払いについて


  1. 振替加算とは

    (1) 振替加算とは、夫婦世帯で年金を受給する場合に、配偶者が65歳に達する前と後の給付水準の大幅な低下を防止するための経過措置である。
    (昭和60年改正法附則第14条)
    〔振替加算が加算されている者(平成15年3月末現在):約180万人〕
    (2) 夫の老齢厚生年金(老齢満了)又は障害厚生年金(障害等級が1級又は2級)に加算されている加給年金額を、妻(大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた者)が65歳に達したときに、振替えて妻の老齢基礎年金に加算するものである。
    《注1》 夫と妻が逆の場合も同様である。
    《注2》 「老齢満了」とは、厚生年金保険の被保険者期間が240月以上、又は40歳以降180月以上ある場合などをいう。
    「老齢未満了」とは、被保険者期間がこれに満たない場合をいう。
    (3) ただし、妻が老齢基礎年金以外に老齢厚生年金(老齢満了)又は障害厚生年金(障害等級が1級又は2級)を受給している場合には加算されない。
    (4) 振替加算の額は、振替加算の対象となる配偶者の生年月日が若くなるほど低額となるが、金額等は別表のとおりである。

    典型的な事例
    妻が65歳に達したとき老齢基礎年金に振替加算が加算される説明図
    〔事務処理〕
    65歳に達した妻から老齢基礎年金の裁定請求書が提出され、同請求書に夫が老齢厚生年金を受給している旨記載されているときは、社会保険事務所の窓口装置(社会保険オンラインシステムの端末装置)で、夫が老齢厚生年金(老齢満了)の受給権を有していることを確認して、妻の老齢基礎年金に振替加算を加算する処理を行う。

  2. 振替加算の未払いの事象及び原因

    (1) 65歳到達前に老齢厚生年金の受給権を取得した妻については、65歳に達したときに、老齢厚生年金と老齢基礎年金に切り替える事務処理を行っている。
    (2) その際、妻の老齢基礎年金に振替加算を加算するか否かは、夫婦の裁定原簿の突合を図り、夫が老齢厚生年金(老齢満了)の受給権を有するか否かを判断する必要がある。その情報源とするため、社会保険事務所から社会保険業務センターに届く「報告書」の内容を収録した配偶者情報を、裁定原簿に記録して管理している。
    (3) 以下のような事例の一部について、事務処理誤りにより、その管理している配偶者情報に誤りが生じた結果、振替加算の加算が行われなかったものである。

    【事例1】
    夫が妻の後から老齢厚生年金(老齢満了)が発生し、妻が65歳到達時に振替加算が行われる説明図

     後から発生した夫の老齢厚生年金(老齢満了)の裁定時に、妻の裁定原簿中「振替加算非該当」を「振替加算該当」に変更すべきところ、一部のケースで事務処理の誤りにより、変更しなかったため、妻の65歳到達時に加算の処理が行われなかった。

    【事例2】
    妻が夫の後から老齢厚生年金が発生し、妻が65歳到達時に振替加算が行われる説明図

     後から発生した妻の老齢厚生年金の裁定時に、夫の裁定原簿に妻の基礎年金番号を収録すべきところ、一部のケースで、事務処理の誤りにより収録しなか ったため、妻が65歳到達時に「振替加算該当」の表示がなされているにもかかわらず、夫の裁定原簿と突合することができず、加算の処理が行われなかった。

  3. 未払件数及び金額
    (1) 振替加算の未払対象者   約3万6千人(精査中)
    (2) 振替加算の未払総額  約300億円

  4. 再発防止策
    (1) 社会保険業務センター及び社会保険事務所における適正な事務処理の徹底を図る。
    (2) 今回の事故の原因及び事故を誘発することとなった要因・環境等を分析し、所要の措置を講じる。

  5. 振替加算の未払額の支払手続き
    (1) 未払対象者へのお知らせ
    振替加算の未払対象者に対しては、7月14日から、問い合わせ先・今後の手順を記載したお詫び状を順次発送する。
    (2) 未払額の支払時期
    9月12日の支払に向け、現在未払額の確定作業中である。
    《注》  9月上旬に未払額及び改定後の年金額を通知する予定である。
    (3) 当面の問い合わせ先
    社会保険業務センターに7月1日から専用電話を設置する。
    期間 平成15年7月1日〜平成15年7月31日
    電話番号 03-5346-2121
    所在地 〒168-8505
    東京都杉並区高井戸西3-5-24


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