厚生労働省

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日本脳炎ワクチン接種に係るQ&A

(平成21年5月末改訂版)

 
 

日本脳炎について

 
 
 
 
Q1  日本脳炎とは、どのような病気ですか?
 
 

A1   日本脳炎ウイルスの感染によっておこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患です。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖された後、そのブタを刺したコガタアカイエカ(水田等に発生する蚊の一種)などがヒトを刺すことによって感染します。

東アジア・南アジアにかけて広く分布する病気です。

 
 
Q2  日本脳炎の症状はどのようなものですか?
 
 

A2   ウイルスを持つ蚊に刺され、感染したあとも症状なく経過する(不顕性感染)場合がほとんど(過去には、100人から1000人の感染者の中で1人が発病すると報告されている)ですが、症状が出るものでは、6〜16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害(意識がなくなること)、けいれん等の中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。

大多数の方は、無症状に終わるのですが、脳炎を発症した場合20〜40%が死亡に至る病気といわれており、幼少児や高齢者では死亡の危険は大きくなっています。

なお、詳しい情報は、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページをご覧ください。この情報に関する国立感染症研究所感染症情報センターのホームページアドレスは、
(http://idsc.nih.go.jp/disease/JEncephalitis/index.html)です。

 
 
Q3  日本脳炎は、国内でどのくらい発生していますか?
 
 

A3   近年の患者は年間数名で、おもに中高齢者となっています。 しかしながら、平成18年9月に熊本県において、小児(3歳児)での発生が報告され、平成19年3月には広島県(発病は平成18年で推定感染地域は茨城県)において、19歳での発生が報告されています。

 
 
Q4  日本脳炎の発生は地域によって大きく異なるというのは本当ですか?
 
 

A4   発生状況は地域によって、大きく異なります。過去10年間(平成11年から平成20年10月)に58件の発症がありましたが、そのうち大部分は、九州・沖縄地方(38%)及び中国・四国地方(40%)で発症しており、北海道(0件)、東北(0件)、関東(3件)甲信越(2件)地方における発症は非常にまれです。

なお、詳しい地域別の情報は、国立感染症研究所感染症情報センターホームページをご覧ください。この情報に関する国立感染症研究所感染症情報センターのホームページアドレスは、
(http://idsc.nih.go.jp/disease/JEncephalitis/index.html)です。

 
 

日本脳炎ワクチンについて

 
 
 
 
Q5  日本脳炎ワクチンとはどんなワクチンですか?
 
 

A5   従来の日本脳炎ワクチンは、日本脳炎ウイルスを感染させたマウスの脳の中でウイルスを増殖させ、高度に精製し、ホルマリン等で不活化(病原性をなくすこと)したものです。平成21年2月23日付けで、マウス脳の代わりにVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を使用して製造する乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが薬事法上の承認を受け、同年6月初旬から供給されます。

 
 
Q6  新しい日本脳炎ワクチンは従来のワクチンと何が違うのですか?
 
 

A6   新しい日本脳炎ワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン)は、日本脳炎ウイルス(北京株)をVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)で増殖させ、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化したものであり、従来のワクチンと異なりマウス脳を使用していません。

 
 
Q7  新しい日本脳炎ワクチンはADEM(急性散在性脳脊髄炎)などの副反応が少ないと考えてよいですか?
 
 

A7   「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン製剤の使用に当たっての留意事項」(平成21年2月23日付医薬食品局審査管理課長通知)にあるように、国内ではVero細胞を用いて製造される初めての医薬品となること、海外では他の細胞培養ワクチンにおいてADEMが報告されていること等から、本剤の使用に当たっては、重篤な副反応に関するデータの収集及び評価を行うこととされているとこであり、今後も十分注意が必要であると考えられています。

 
 
Q8  現行の日本脳炎予防接種はどのようになっていますか?
 
 

A8   予防接種法にもとづく現行の定期予防接種スケジュールは以下のようになっています。

1期(3回)

初回接種(2回):生後6か月以上90か月未満(標準として3歳)

追加接種(1回):初回接種後おおむね1年後(標準として4歳)

2期(1回):9歳以上13歳未満の者(標準として9歳)

なお、日本脳炎は定期の予防接種の対象疾患となっていますが、その発生状況等を検討して、予防接種を行う必要がないと認められる地域を都道府県知事が指定することができるようになっています。

これを踏まえて従前より、北海道のほとんどの地域では、日本脳炎の予防接種は実施されていません。

 
 
Q9  組織培養法による新しい日本脳炎ワクチンが開発中とのことですが、いつから使用できるのですか?
 
 

A9   平成21年2月23日付けで、Vero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を使用して製造する乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが薬事法上の承認を受け、同年6月初旬から、供給されます。なお、第2期の接種における有効性及び安全性は確立していないとされていることから、現在、定期の第1期予防接種のみに使用するワクチンとして位置づけられています。

 
 
Q10 日本脳炎ワクチンを接種することによって、どのような副反応が起こりますか?
 
 

A10  まれに接種直後から翌日に、発疹(ほっしん)、じんましん、そう痒(かゆみ)、等の過敏症がみられることがあります。

また、全身症状としては、発熱、悪寒(さむけ)、頭痛、倦怠感(けんたいかん)、はきけなど、接種部位の局所症状としては、発赤、腫れ、痛みなどが認められることがありますが、通常は2〜3日中に消失します。

さらに、ごく稀に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)というQ12に示すような副反応がみられます。

乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンについては、多くの小児に対して使用された実績がないため、製造販売後の安全性情報のモニターを一定期間行うこととしています。

※ なお、日本脳炎ワクチン以外でも接種後にADEMが発症する場合があります。また、海外では乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン以外の他の細胞培養ワクチン接種後にもADEM発症例が報告されています。

 
 
Q11 日本脳炎ワクチンを接種した方がよいのはどのような場合ですか?
 
 

A11  定期の予防接種の対象者で、日本脳炎ワクチンの接種をこれまでに一度も受けていない現在3〜7歳の子供のうち、日本国内においてブタにおける抗体保有率の高い地域や近年日本脳炎患者発生が多く認められている地域では、罹患リスクは依然として存在するものと考えられますので優先的に接種をした方がよいと考えられます。

 
 
Q12 ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)とは、どのような病気ですか?
 
 

A12  ウイルス等の感染後あるいはワクチン接種後に、稀に発生する脳神経系の病気です。ワクチン接種後の場合は、通常接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、けいれん、運動障害等の症状があらわれます。
ステロイド剤などの治療により多くの患者さんは正常に回復しますが、運動障害や脳波異常などの神経系の後遺症が10%程度あるといわれています。

また、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)、インフルエンザなどのウイルスやマイコプラズマなどの病原体感染の後におこることもあるといわれています。

ワクチン接種は毎年たくさんの子どもにおこなわれるので、ワクチン後にADEMがみられた場合は、ワクチン接種によるものとウイルスなどの病原体の感染によるもの、あるいは原因不明のものとの区別が困難です。
現在のマウス脳由来の日本脳炎ワクチンは、製造の過程で微量ながらマウスの脳組織成分が混入する可能性があり(検出限界以下)、この成分によってADEMが起こる可能性が否定できないとされている一方で、海外では乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン以外の他の細胞培養ワクチンにもADEM発症例が報告されています。

 
 
Q13 日本脳炎ワクチンを接種したことによるADEMの副反応は、どれくらいあるのですか?
 
 

A13  日本脳炎ワクチンの接種後には、70―200万回の接種に1回程度、極めてまれにADEMが報告されることがあると考えられています。なお、万が一発症してもその多くは正常に回復し、通常再発しません。なお、新しい乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンについては、まだ、多くの子供たちに対して接種した成績がありません。

 
 

より安全な対策を推進するために

 
 
 
 
Q14 平成17年5月に定期予防接種として、日本脳炎ワクチン接種の積極的な勧奨を差し控えた理由はなんですか?
 
 

A14  科学的な因果関係は不明なものの、マウスの脳を用いた日本脳炎ワクチンを接種した後に重症ADEMを発生した事例があったことから、より慎重を期するため、定期予防接種としての日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨は行わないよう市区町村に勧告し、希望する者に対しては、定期接種として接種を行って差し支えない旨の通知をしたものです。

 
 
Q15 なぜ新しいワクチンの接種は積極的に勧奨されないのですか?
 
 

A15  専門家に検討頂いた結果、今般、承認された乾燥細胞培養ワクチンについては、今夏までの供給予定量が定期接種対象者全員の必要量に満たないことや安全性の確認等における観点から、現時点においては積極的に勧奨する段階に至っていないものとされたところです。

 
 
Q16 日本脳炎の定期の予防接種を受けたいのですが、どうすればよいですか?
 
 

A16  市区町村の担当窓口に相談してください。市区町村で実施する日本脳炎の予防接種については、定期の予防接種の対象者で日本脳炎ワクチンの接種をこれまでに一度も受けていない現在3〜7歳の子供のうち、日本国内においてブタにおける抗体保有率の高い地域や近年日本脳炎患者発生が多く認められている地域などにおいては、罹患リスクは依然として存在するものと考えられますので優先的に接種をした方がよいと考えられます。

 
 
Q17 マウス脳による従来の日本脳炎ワクチンで1期の初回を接種した者に対し、1期の追加接種を新しいワクチンで行うことは可能ですか?
 
 

A17  1期の初回をマウス脳による従来のワクチンで接種した者に対する、新しいワクチンでの1期の追加接種については、使用経験が少ないことから、安全性・有効性が確立されていないと考えられます。従って、今年に限っては、日本脳炎の予防接種をまだ一度も受けていない者に対する接種を優先すべきであると考えています。

 
 
Q18 マウス脳による従来の日本脳炎ワクチンで1期を接種した者に対し、2期の接種では新しいワクチンで行うことは可能ですか?
 
 

A18  新しいワクチンを用いた、2期の接種については、今後、有効性、安全性の知見を集積する必要があることから、現段階においては定期予防接種としては使用できません。定期予防接種2期として使用が可能なワクチンは従来のマウス脳由来のワクチンになります。

 
 
Q19 勧奨接種の差し控えの間に、接種をせずに、対象の年齢を過ぎてしまったのですが、今後、接種できる機会はありますか?
 
 

A19  定期接種の対象年齢を過ぎてしまっている方は、現段階においては、定期の予防接種としては取り扱えません。但し、平成22年度以降、ある一定の期間、経過措置として実施していくことについて、今後、検討していくこととしています。

 
 
Q20 定期予防接種のスケジュールにおける接種回数を終えないうちに、勧奨接種の差し控えにより、対象期間が経過してしまったが、不足している回数分を接種する必要はありますか?
 
 

A20  接種できなかった回数分については、定期の予防接種ではなく、任意となりますが、現在の免疫の保有状況や接種をした時の副反応等を考慮し、接種医等と十分相談したうえで、決めてください。

但し、平成22年度以降、ある一定の期間、経過措置として実施していくことについて、今後、検討していくこととしています。

 
 
Q21 年齢が定期予防接種のスケジュールの範囲内にありますが、1期初回の1回目の接種を受けた後、期間が大きく空いてしまっています、2回目及び1期の追加接種は受けられますか?
 
 

A21  1期の定期接種の初回接種は、6日から28日までの間隔をおいて2回接種することとされているものであり、1期の追加接種については、初回接種終了後おおむね1年後としているところです。接種勧奨差し控えにより、接種を行うべき間隔を過ぎてしまった方に対する接種につきましては、主治医の先生とご相談下さい。ただし、現時点においては、定期として定められている期間や回数以外の接種については任意接種となりますのでご注意下さい。

 
 
Q22 新しいワクチンは従来のワクチンに比べて安全ですか?
 
 

A22  従来のマウス脳由来のワクチン使用における勧奨差し控えについては、接種によるADEM(急性散在性脳脊髄炎)の発生が理由となったものです、ADEMの発生については、新しい日本脳炎ワクチンと同じ製法による他のワクチンや、新しい日本脳炎ワクチンとは製造方法が異なるワクチンについても、その発生が確認されています。ADEMも含めた、副反応全体については、今後、使用実績が積み重ねられていく中で、明らかになっていくところであり、科学的な分析がなされた段階で公表できるものと考えられます。

 
 
Q23 接種の判断基準にするために、より詳しい情報はありませんか?
 
 

A23  国立感染症研究所感染症情報センターのホームページ上に以下のような日本脳炎に関するQ&Aを掲載してあります。

国立感染症研究所感染症情報センターのホームページアドレスは、
(http://idsc.nih.go.jp/disease/JEncephalitis/index.htmlです。

国立感染症研究所情報センターホームページ「日本脳炎Q&A」

Q1 日本脳炎に関する日本の状況としては、どのような情報があるでしょうか?

Q2 地域によって、日本脳炎に関するリスクが異なると聞きました。日本脳炎ワクチンの接種を考慮した方がよいと考えられるのは、具体的には、どの地域に住んでいる、どの年齢層の人でしょうか?

Q3 ブタの抗体保有率が高い地域に住んでいるのですが、近所には養豚場などはないようです。接種を考慮した方がよいでしょうか?

Q4 日本脳炎ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)はどのくらい報告されているのでしょうか?

Q5 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)は、様々な要因で発症するといわれていますが、どのようになっているのでしょうか?

Q6 新しいワクチンの開発状況はどうなっているのでしょうか?

 
 
Q24 万が一、予防接種で重い副反応が起こった場合、補償はありますか?予防接種が原因と特定されなければ補償されないのでしょうか?
 
 

A24  予防接種法に基づく予防接種により疾病、障害、死亡等の健康被害を生じた場合には、被害者に対して予防接種健康被害救済制度によって、医療費の支給、障害年金の支給等を行うこととなります。

なお、救済制度の対象となる健康被害は、厚生労働大臣が予防接種との因果関係を認定したものに限ります。

予防接種法に規定されていない任意の接種や、予防接種法で定められた予防接種を定期接種の年齢枠以外で受けた際に生じた健康被害については「独立行政法人医薬品医療機器総合機構法」による救済制度の対象となります。(勧奨接種の差し控えにより接種機会を逃した者については、今後、検討していくこととしています。)

 
 
Q25 従来のワクチンと新しいワクチンとで、健康被害救済制度に関する違いはありますか?
 
 

A25  予防接種法上、日本脳炎は定期の予防接種に位置づけられた疾病であり、従来のワクチンも新規のワクチンも予防接種実施規則に則り、使用された場合には、予防接種健康被害救済制度の対象となります。

 
 
Q26 日本脳炎に罹らないためにはどのようなことに注意するといいですか?
 
 

A26  日本脳炎は日本脳炎ウイルスを保有した蚊が媒介し、感染します。一般的な注意として、日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは日没後に活動が活発になるとされていますので、このような時間帯に戸外へ出かける必要があるときには、念のためできる限り長袖、長ズボンを身につける、露出している皮膚への蚊除け剤の使用など、ウイルスを持った蚊に刺されないよう十分な注意をすることをお勧めします。

また、コガタアカイエカは水田や沼地など大きな水域で発生するので、住宅の周囲に発生源がある場合は、夜間の外出を控え、蚊が屋内に侵入しないように網戸を使用したり、夜間の窓や戸の開閉を少なくする、蚊帳を利用するなどの注意が必要です。

蚊に関する詳しい情報は、国立感染症研究所ウイルス第一部ホームページをご覧ください。国立感染症研究所ウイルス第一部のホームページアドレスは、
(http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/JEVMeeting.htm)です。


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