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指定保育士養成施設の修業教科目及び保育士試験に係る
省令の改正案等に関する意見について

平成13年7月12日
雇用均等・児童家庭局保育課

 指定保育士養成施設の修業教科目及び保育士試験に係る省令の改正案、告示案及び通知案については、平成13年3月9日から4月6日までホームページ等を通じて御意見を募集したところ、延べ9通の御意見をいただき、ありがとうございました。
 お寄せいただいた御意見とそれらに対する当課の考え方について次のとおり御報告いたします。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜集約させていただきました。
 なお、いただいた御意見等については、平成13年7月13日より、8月末日まで厚生労働省行政相談室で閲覧することができます。

(○:御意見、御質問 ●:厚生労働省の考え方)

1 保育士養成施設関係

(1)養成課程の教科目関係

ア 「小児保健」関係
○ 「1(1)小児の健康の定義と健康に影響する要因」とあるが、「小児の健康」という表現は不適切ではないか。むしろ、健康指標をきちんとあげ、小児保健統計の中で、健康を考えるべきではないか。
● 指定保育士養成施設の「教科目の教授内容」は、標準的事項のみを示し、各養成校の創意工夫に委ねるのが適当と考えています。
 なお、「小児の健康」とすることにより、それぞれの立場に対応できるものと考えており、「1(4)小児の健康指標」は、あらゆる小児の個々の健康の指標とともに、小児保健に関する統計も念頭に置いているものです。
○ 「2(4)発育・発達を促す保育の実際」の「発育・発達を促す保育」とあるが、保育は、少子化における人間の集団生活としての意義が重要で、それが発育・発達に影響する、補完するという方が正しいのではないか。
● 発育・発達に悪い影響を与える要因を除去したり、よりよい発育・発達ができるように、どのようにすべきかを考えて実践するという意味で「発育・発達を促す保育」という表現を使ったものです。
○ 「4 心身の健康増進の意義とその実際」の「心身の健康増進」とあるが、心の健康は別建てにすべきではないか。
● こころとからだの両方を考えることが必要であり、科目全体の構成等も勘案し、「心身の健康増進」としたものです。
○ 「5(1)小児期の健康状態の評価」は、具体的にはどのようなことか。
● それぞれの子ども、さらに小児集団としての健康状態をどのようにみていくべきかという趣旨です。
○ 「5(3)心身の状態と保育現場で必要な応急処置」とあるが、心身の状態と応急処置は関連しない。どのようなことを意味しているのか。
● 保育中に小児の心身に発生した種々の症状とそれに対応すべき応急処置という趣旨です。
○ 「5(5)養育上問題と心身の健康」及び「5(6)疾病異常と支援体制」について、心の問題を入れる場合には、別建てにすべきではないか。また、小児保健で重要視している「障害」が考慮されていないのではないか。
● 「疾病異常」とは障害を含むものであり、この項目立てにより、対応できるものと考えています。
○ 「6(4)事故や災害と精神保健」とあるが、心のケアの問題は、別建てが必要ではないか。
● 「事故や災害と精神保健」としたのは、災害時等の心のケアの問題、PTSDなどを総合的に教授するという趣旨です。
○ 「7(3)保健活動における連携」とあるが、具体的にはどのようなことか。
● 児童福祉施設内の各職種間の連携、地域の関係機関との連携等が必要という趣旨です。
○ 「8 母子保健対策と保育」については、乳幼児健診や個別健診など多くの内容を含んでおり、もっと詳しく記述すべきではないか。。
● 乳幼児健診を含む母子保健サービス全般を含んだものです。

イ その他
○ 「食生活」に関する指導については、正しい食生活や食習慣に関する知識の修得が必要と考えられる。
● 各指定保育士養成施設の創意工夫の中で、それらについても、修得されるものと考えています。
○ 「小児の食生活と栄養」について、離乳の意義や人間としての食事学など正しい食事のあり方を地域に及ぼす能力の育成が必要と考えられる。
● 「小児栄養」については、小児期の発達に応じた適切な食生活指導に関する技術を習得するため、従来の講義・実習に代えて演習とすることで教授内容を充実したところです。
○ 「保育内容」、「乳児保育」、「障害児保育」、「養護内容」の科目については、養成施設と保育現場との連携の中で、臨床的な授業が展開されるべきである。
● 養成施設と保育現場の連携は重要であり、各指定保育士養成施設における創意工夫が必要と考えています。

(2)他施設との単位認定関係

○ 他の指定保育士養成施設又は指定保育士養成施設以外の学校等で履修した教科目の修得について、さらに緩和すべきではないか。
● 今回の改正において、他の指定保育士養成施設における認定単位数の拡大等を図ったところですが、現時点では、さらなる緩和は適当でないと考えています。

(3)保育実習関係

○ 保育実習が選択必修に加わると通常の保育に支障をきたすのではない か。
● 実践力や応用力をもった保育士を養成するために必要と考えています。
○ 保育実習(必修科目)の実習施設の種別に、知的障害児通園施設や知的障害者更生施設・知的障害者授産施設の「通所」も含めてもよいのではないか。
● 保育実習(必修科目)については、幅広い資質を備えた保育士を養成するため、保育所のみでなく、居住型児童福祉施設における実習も必要と考えています。
○ キャンプ等の時間を保育実習の単位に参入してもよいのではないか。
● 施設現場における実習が基本と考えています。
○ 実習施設との事前協議を詳細に行い、事前指導の中で、生活体験の不足、乳児の理解等の基礎的な指導は、養成校の責任において行うべきではないか。
● 保育実習の実施に当たっては、養成校と実習施設が十分に連携を図り、養成校において、実習課題の明確化等の事前指導を十分に行うことが重要と考えています。なお、「保育実習」の「教科目の教授内容」においても、保育実習の事前・事後指導の内容を明記しているところです。

2 保育士試験関係

(1)保育実習の筆記試験関係

○ 「1(1)保育計画」、「1(5)ア基本的習慣」、「1(5)ウ社会訓練」は、表現が不適切ではないか。
● 修文しました。

(2)保育実習の実地試験関係

○ 選択制の導入は受験機会を拡大し、多様な人材確保に有用であると考えられるが、特に保育現場で必要とされる「一般保育」を出題する都道府県が極端に少ない現状は問題である。
○ 保育実習の実地試験の「言語」、「一般保育」の実施において、使用言語を音声言語に限定せず、手話言語の使用も認めるよう、基準に加えて各都道府県自治体に強く指導していただきたい。
○ 保育実習の実地試験の「言語」の出題範囲に「口演童話」という表現がみられる。この表現により使用言語が音声言語に限定されるおそれがある。「童話の語り」などの表現への変更によって、言語様式に幅をもたせていただきたい。
● 保育実習の実地試験については、従来、都道府県が4分野から選んだ3分野すべてを受験する必要がありましたが、今回の改正で、都道府県が指定した3分野から2分野を選んで受験する方式に変更し、多彩な人材の確保を図ったところです。
○ 「3(1)口演童話」は、「おはなし」にしてはどうか。
○ 「3(2)絵本、幻燈又は紙芝居等の開設」は、「絵本などの読みきかせ」としてはどうか。
● 修文しました。
○ 「1 音楽」の「(2)声楽」は、「子守うたなど」としてはどうか。
● 「童謡など都道府県で指定するもの」としており、具体的内容については、都道府県の判断で選定できるようにしたところです。
○ 「絵画制作」は、「造形」としてはどうか。
● 絵画制作の中で、課題や材料について幅を持たせ、多彩な人材の確保に配慮しているところです。

3 今後の保育士や保育士養成のあり方関係

○ 保育士の児童福祉専門職としての位置づけを明確にするため、国家資格として法定化されることが望ましい。
○ 保育士の専門職としての資質・技能を一定のものとするため、全国統一試験の実施を検討されたい。
○ 保育士養成課程について、4年制養成課程の創設を検討されたい。
● 今後の検討課題と考えています。
○ 現任の保育士について、専門職としての資質の向上を図るために再教育制度等の創設を検討すべきではないか。
● 保育士の資質向上を図るため、今後とも、現任訓練等の充実に努める必要があると考えています。


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