パブリック・コメント
厚生労働省ホームページ
「認可外保育施設指導監督の指針及び認可外保育施設指導監督基準」
に関する御意見等について
認可外保育施設指導監督の指針及び認可外保育施設指導監督基準については、平成13年1月31日から3月1日までホームページ等を通じて御意見を募集したところ、のべ76通のご意見をいただき、ありがとうございました。
お寄せいただいたご意見等とそれらに対する当課の考え方について次のとおりとり御報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜集約させていただいております。
なお、いただいた御意見等については、平成13年3月30日から4月末日まで厚生労働省行政相談室で閲覧することができます。
(○:御意見、御質問 ●:厚生労働省の考え方)
【別紙1 認可外保育施設指導監督の指針について】
第1の1(この指針の目的及び趣旨)
- ○ 認可外保育施設についても、最低基準を満たすべきではないか。
- ● 認可外保育施設においても、最低基準を満たすことは望ましいと考えています。
- ○ 認可外保育施設を積極的に位置付けるべきではないか。
- ● 認可保育所による保育サービス提供が基本と考えています。
- ○ 認可外保育施設の形態の違いにより異なった対応をすべきではないか。
- ● 各形態ごとに示すことは困難であることから、共通の指針を示すこととしました。
第1の3の(1)(認可外保育施設の把握)
- ○ 認可外保育施設の把握主体を市区町村とすべきではないか。
- ● 市区町村に協力を求めることを明確にしました。
第2の2の(1)の(2)(長期滞在児がいる場合の報告)
- ○ (留意事項4)長期滞在児がいるとの報告を受けた場合等の取扱いは、不必要ではないか。
- ● 要保護児童がいた場合の取り扱いとして必要であると考えています。
第2の3の(1)の(1)(通常の立入調査の対象)
- ○ すべての施設に対して、立入調査を実施すべきではないか。
- ● 全数に対し立入調査を行うことが望ましいが、重点的に指導監督を行うこともやむを得ないと考えています。
- ○ (留意事項5)「相当の長期間経営」とあるが、具体的には何年以上であるか。
- ● 各施設の運営状況等を総合的に勘案し、判断すべきものであり、一律に定めることは困難と考えています。
- ○ (留意事項5)「優良」の要件はなにか。
- ● 一律に定めるのは困難であるが、構造設備や人的配置が児童福祉施設最低基準を満たし、かつ適切な児童の保育がなされているとともに、都道府県の立入調査において、数年間継続して指摘事項がないことなどが考えられます。
- ○ (留意事項6)ベビーホテルの定義について見直すべきではないか。
- ● ベビーホテルについては、密室化しやすい施設を重点的に指導監督するために便宜上定義しているものです。
- ○ (留意事項6)「一時預かり」の定義について、「都道府県等が確認できた日」というのは、故意に一時預かりを少なくする恐れがあるのではないか。
- ● 一時預かりの児童の取扱いについては、様々な方法が考えられますが、都道府県が実際に確認した児童数とすることが妥当であると考えています。
- ○ (留意事項6)「常時運営」と認められる場合とは、どの程度の開設と理解すればよいか。
- ● イベント開催中の特設の施設のように、特定の日時、特定の人を対象としているものは含まないが、毎日運営されていなくても、将来に向かって継続的に運営を続けていくことが客観的に認められるものを考えています。
第2の3の(2)の(1)(実施計画の策定)
- ○ (留意事項9)「著しく」はどの程度を想定しているのか。
- ● 各施設の運営状況等を総合的に勘案し、判断すべきものであり、一律に定めることは困難であると考えています。
第2の3の(2)の(2)(立入調査の指導監督班の編成等)
- ○ 立入調査は、出先の事務所が行う場合があるが、必ず、都道府県本庁が実施すべきではないか。
- ● 都道府県内部の事務委任の問題であり、都道府県が適切な立入調査の実施が可能と判断したのであれば問題ないと考えています。
- ○ 保育職員経験者や保育園保護者などを含めた市民参画型などの第3者による指導監督機関が必要ではないか。
- ● 都道府県等において、関係機関と適切に連携を図りつつ、指導監督を行うべきものと考えています。なお、都道府県等の御判断により、第3者を含む指導監督班により行うことも差し支えないと考えます。なお、立入調査の指導監督班の編成について、児童の処遇面で問題を有すると考えられる場合は、保育士等の専門的知識を有する者を加えることとしています。
第2の3の(2)の(6)(事前通告)
- ○ 立入調査の事前通告は、3か月以上前とすべきではないか。
- ● 事前通告の期間については、帳簿等の準備のために事前に通告しているものであり、一律に定めることは不適切であると考えています。
第2の3の(2)の(8)(口頭の助言、指導等)
- ○ 立入調査結果を口頭で助言・指導とあるが、行政は責任を持って、必ず、書面をもって行うよう徹底すべきではないか。
- ● 一部修文しました。立入調査の結果、改善を求める必要があると認められる認可外保育施設については、原則として文書により改善指導を行うこととしています。
第3(問題を有すると認められる場合の指導監督)
- ○ 改善のための猶予期間が必要ではないか。
- ● 1か月の猶予期間を設けており、また、改善に時間を要する事項については、概ね1か月以内の改善計画の提出を認めています。
- ○ 基本の手続きについて、それぞれの猶予期間を短縮すべきではないか。
- ● 一般的には、改善のための猶予期間は必要であり、1か月という期間を設けていますが、緊急時においては、「緊急時の手続きの特例」により、対応することを考えています。
第3の3の(1)(改善勧告の対象)
- ○ 「著しく」はどの程度を想定しているのか。
- ● 各施設の運営状況等を総合的に勘案し、判断すべきものであり、一律に定めることは困難であると考えています。
- ○ (留意事項12)「著しく」はどの程度を想定しているのか。
- ● 各施設の運営状況等を総合的に勘案し、判断すべきものであり、一律に定めることは困難であると考えています。
第3の3の(3)の(1)及び(2)(利用者に対する周知及び公表)
- ○ 改善勧告を行ったことの施設利用者に対する周知や地域住民に対する公表について、「行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱い」(行政手続法第32条第2項)に該当し、法の根拠が必要ではないか。
- ● 法の根拠のない周知・公表等については、国民に対する情報提供機能を有する一方、経済的損失を与える等のおそれもあって相手方に対する社会的制裁として機能する面があり、行政指導に従わなかったことを理由とした公表については、何を公表するかにもよりますが、本条の「不利益な取扱い」に当たる場合もあるとされています(逐条解説行政手続法[増補]P210)。
また、「不利益な取扱い」とは、行政指導に携わる者が、行政指導を受ける者に対し、以前得ていた利益を損なわしめ、又は不利益を与えるようなことを、制裁的な意図をもって行う行為とされています(逐条解説行政手続法[増補]P209)。
改善勧告を行ったことの周知・公表については、
- (1) 留意事項13に述べているとおり、あくまで、住民への情報提供を目的としていることから、「不利益な取扱い」に該当せず、
- (2) また、留意事項13に述べるとおり、周知・公表は、事業停止/施設閉鎖命令の発動要件を満たしている場合に、そうせずに行うものであり、即ち、周知・公表の原因は、事業停止/施設閉鎖命令の発動要件に合致したことにあり、「行政指導に従わなかったこと」ではないため、行政手続法第32条第2項にいう「行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱い」には当たらないと考えています。
- ○ 改善勧告に係る情報は、情報公開法第5条2号イに規定する「競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある情報」に該当するのではないか。よって、開示請求を伴うものではないものの、情報公開法第13条第2項第1号の趣旨に照らして、利用者に対する周知に先立って、事業者からの意見を聴取すべきではないか。
- ● 認可外保育施設による保育サービスは、既に市場を通じて提供されており、その情報はサービスを受ければ誰でも確認できるため、秘密として管理し難く、また秘匿すべき合理的理由もなく、「競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれ」には該当しません。したがって、利用者に対する周知に先立って事業者からの意見を聴取する必要はありません。
第3の3の(3)の(1)及び(2)、第5の2
- ○ 改善勧告に係る情報、文書指摘事項等の情報は、法人情報・事業を営む個人の当該事業情報であり、開示請求がないのに行政が主体的に公開した場合、民事上の不法行為たる名誉毀損に該当するのではないか。
- ● このような場合に不法行為に該当するか否かは、(1)目的の公益性、(2)公表事実の公共の利害該当性、(3)事実の真実性(事実誤認であったとしても確実な資料、根拠に照らし真実と認める理由があれば可)を満たせば、該当しないこととされています。(昭和41年6月23日最高裁判決)
したがって、安易な事実誤認の場合は格別、そうでない場合は、不法行為には当たりません。
第4の(1)(事業停止命令又は施設閉鎖命令の対象)
- ○ 施設を閉鎖する際のその利用に対する代替措置を講ずるべきではないか。また、事情を知った上で保護者の希望がある場合は、期限を決めた上で運営を継続させるなど、柔軟な対策が必要ではないか。
- ● 一部修文しました。改善勧告を行う場合には、都道府県は児童相談所、近隣市区町村、近隣児童福祉施設等の関係機関との間で利用児童の受入先の確保等について調整を図ること、また事業停止命令、施設閉鎖命令を行う場合は、必要な福祉の措置を講ずることとしています。
- ○ 事業停止命令又は施設閉鎖命令の対象について、より具体的な基準を設けるべきではないか。
- ● 今後、行政実例の積み重ねにより、より具体的な基準を示したいと考えています。
第5の2(一般への情報提供)
- ○ 文書指摘事項等の一般への情報提供について、「行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱い」(行政手続法第32条第2項)に該当し、法の根拠が必要ではないか。
- ● 文書指摘事項等の情報提供は、事業者への制裁を目的とするものではなく、住民への情報提供を目的とし、また、留意事項19(1)に述べるとおり、管内の全施設について同一の項目で同一の形態により実施するものであることから、「不利益な取扱い」に該当しません。
- ○ 利用者が保育施設を選ぶ際の手助けとなるような措置を講ずるべきではないか。
- ● (留意事項19)に示しているように、情報提供の内容について示しています。
その他
- ○ 指導監督の実施主体を市町村とすべき。
- ● 市区町村に協力を求めることを明確にしました。
- ○ 複数の都道府県・指定都市・中核市にまたがって認可外保育施設を設置している場合は、国による指導監督が望ましい。
- ● 施設の利用者は、地域住民が対象となることから、一義的には、各施設ごとに指導監督すべきであるが、必要に応じ、都道府県と連携を図り指導していくこととしています。
- ○ 指導監督基準に基づき、保育内容などについて認可外保育施設が自己評価できるようにすべきではないか。
- ● 今回、指導監督基準についての考え方を新たに作成したところであり、認可外保育施設側の理解を深めるためにも活用することが必要と考えています。
【別紙2 認可外保育施設指導監督基準及びその考え方について】
1の(1)
- ○ 保育従事者及び児童の把握をどう行うのか。
- ● 保育従事者の勤務記録やローテェーション表、在籍記録に関する帳簿などで把握を行うことを考えています。
1の(2)
- ○ 保育従事者の資格については、有資格者の割合を増やすべき及び看護婦の必置等規制を強化すべきではないか。
- ○ 研修や実務を通じ必要な知識経験があれば有資格者でなくともよいのではないか。
- ● 本来、最低基準にあるよう保育従事者は全員保育士の資格を有することが望ましいと考えています。
- ○ 施設職員の資格とともに、その労働条件も把握・指導すべきである。
- ● 一義的には、労働条件についての指導監督は労働基準監督署において行われるものと考えています。
1の(3)
- ○ 保育従事者の常時2人以上配置については、厳しすぎるのではないか。
- ● 児童の安全確保の観点から複数配置は必要であると考えています。
2の(2)
- ○ 保育室の面積は、乳幼児1人当たり3.3平方メートルとすべき。
- ● 本来、最低基準の設備であることが望ましいとは考えています。
2の(3)
- ○ ベビーフェンスで区切るのではなく、乳児・幼児は別の部屋とすべき。
- ● 乳児・幼児を別の部屋とすることが望ましいとは考えています。
2の(5)
- ○ 便所については、衛生面はもとより安全面にも配慮されている必要があること。
- ● 一部修文しました。
3の(2)
- ○ 避難及び消火に対する訓練は、「少なくとも毎月1回」とあるが、緩和すべき。
- ● 児童の安全確保の観点から必要な訓練と考えています。
4の(1)
- ○ 耐火建築物でなくてもよいのではないか。
- ● 児童の安全確保の観点から必要であると考えています。
5の(1)
- ○ 保育内容について、多くは異年齢の混合保育であり、年齢別に細分化しての指導は施設の実態にそぐわないのではないか。
- ● 保育所保育指針においても、「なお、発達過程の区分による保育内容は組やグループ全員の均一的な発達の基準 としてみるのではなく、一人一人の乳幼児の発達過程として理解することが大切である。」としており、一人一人の子どもの処遇上の留意事項として必要であると考えています。
5の(1)エ
- ○ テレビやビデオを「見せ続ける」という基準を明確にするため、例えば2時間といった制限が必要ではないか。
- ● 児童との関わりが少ない保育にならないようにするという趣旨であり、一律に視聴時間を定めることは、困難であると考えています。
5の(2)ア
- ○ 保育従事者は専門性の向上とともに、人間性の豊かさが要求されており、都道府県等が実施する様々な研修など、他の保育従事者や行政との交流を図るべきではないか。
- ● 保育従事者に対する研修は重要であると考えています。このため、国としても平成13年度予算において、認可外保育施設の保育従事者に対する研修の充実を図りました。
- ○ 食事は、現場調理とすべきではないか。
- ● 現場調理が望ましいとは考えています。
7の(2)及び(3)
- ○ 身長・体重の測定を「毎月定期的に」、児童の健康診断を「入所時及び1年に2回実施」となっているが、厳しすぎるのではないか。
- ● 児童の健康管理の視点から、必要と考えています。
その他
- ○ 緊急時に備えて、保育施設付近の病院等関係機関の一覧を作成し、職員に周知徹底を行うことが必要である。
- ● 一部修文しました。
【その他】
指導監督指針に関するもの以外の主な意見として、次のような意見がありました。
- ○ 届出制の導入
- ○ 認可外保育施設に対する財政援助
- ○ 最低基準を満たしている認可外保育施設の認可化
- ○ 認可保育所の充実
- ○ 待機児童の解消
- ● 保育サービスについては、その安定的な提供や質の確保の観点から、今後とも最低基準を満たす認可保育所が保育サービス提供の基本であると考えています。
このため、新エンゼルプランに基づいて認可保育所による保育サービスの充実に努めるとともに、規制緩和措置などを通じて、質の高い認可外保育施設が認可保育所に転換しやすくなるような条件整備に努めることが適切であると考えています。
また、届出制については、ベビーホテルなどの認可外保育施設は、一定地域において利用者を獲得するために広く募集を行うものであり、行政として実態把握が著しく困難な状況にあるとは考えにくいこと、届出制を行政庁の「お墨付き」との宣伝に使われないか、などの問題・論点が多々あると考えています。
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