パブリック・コメント  厚生労働省ホームページ

知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準等の一部改正
に関する意見募集結果について

平成13年3月28日
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
精神保健福祉課

 知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準等の一部改正案については、平成12年10月24日から11月7日までインターネットのホームページ等を通じて御意見・情報を募集したところ、27通の御意見・情報をいただきました。お寄せいただいた御意見・情報とそれらに対する当省の考え方につきまして御報告します。なお、とりまとめの都合上、いただいた御意見・情報は、適宜集約したものとしています。御意見・情報をありがとうございました。

○ ご意見の概要及び当省の考え方

(小規模通所授産施設全般について)
(小規模通所授産施設に係る設備及び運営に関する基準について)
(小規模通所授産施設の経営を目的とする社会福祉法人の認可について)
(小規模通所授産施設に係る助成措置について)

○ ご意見の概要及び当省の考え方

(小規模通所授産施設全般について)

(1)小規模通所授産施設を運営費補助制度ではなく、措置制度の中で位置づけるべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 自主的かつ地域に根ざした取組として、創意工夫を凝らした活動を展開している小規模作業所が、その良さを失うことなく法定施設に移行できるように、小規模通所授産施設については、行政が利用を決定する措置制度の中で位置づけるのではなく、自由度の高い利用方式の施設とすることとしたものです。
 このような考え方から、小規模通所授産施設に対する助成についても、従来の措置施設のように利用者1人1人について算定した措置費ではなく、定額の運営費として補助することとしたものです。

(2)平成15年度から実施される支援費支給方式に移行する際、小規模通所授産施設も支援費支給方式の対象となるか。

(ご質問への回答)

(1)に掲げた考え方から、個々の利用者について市町村が支給決定を行う必要のない利用の方式が適当であると考えられるため、平成15年度から実施する支援費支給方式の対象とせず、引き続き、同様の利用及び助成の方式とすることを予定しています。

(3)小規模通所授産施設として法定化する際の社会福祉法人設立認可、施設の認可の手続きを示されたい。

(ご質問への回答)

 小規模通所授産施設になるためには、他の社会福祉施設の設置と同様の手続きが必要です。
 身体障害者小規模通所授産施設及び知的障害者小規模通所授産施設については、都道府県及び市町村以外は、社会福祉法人が経営することが原則となることから、まず、社会福祉法人となることが必要です。社会福祉法人を設立する場合には、都道府県知事等の認可を受ける必要があります。なお、精神障害者小規模通所授産施設の設置主体については、社会福祉法人に限られません。
 また、施設を設置する旨の届出を、都道府県知事等に行う必要があります。
 こうした手続きの詳細については、お近くの都道府県及び市町村の民生主管部局にお問い合わせ下さい。

(4)小規模通所授産施設について第三者評価はどのように行われるのか。

(ご質問への回答)

 社会福祉法第78条において「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。」とされており、小規模通所授産施設の経営者もこの努力義務が課されることとなります。
 社会福祉施設全体の第三者評価については、その在り方を今後お示しする予定です。 なお、障害者施設のサービス評価の基準については、「障害者・児施設のサービス共通評価基準」(平成12年6月15日障第472号厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)を示しており、これは、小規模通所授産施設においてもご活用いただけるものと考えています。

(5)「小規模通所更生施設」も法定化するべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 今回の改正は、現在、地域において有意義な活動をされている小規模作業所の多くが授産的活動を行っていることに着目して、通所の授産施設の規模要件を引き下げることにより、小規模作業所の法定化を図り、その事業の一層の推進を図ることを目的としているものです。「小規模通所更生施設」を法定化するかについては、現在の小規模作業所において更生訓練的活動がどの程度おこなわれているか、また、サービス内容の一部に類似性が認められるデイサービス事業との関係を含めた更生施設の機能の在り方の整理等を踏まえた検討が必要であると考えています。

(6)小規模通所授産施設の職員は、退職手当共済制度に加入できるか。

(ご質問への回答)

 加入できます。ただし、平成13年4月1日以降は、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の加入は社会福祉法人に限定されます。

(7)混合(相互)利用は、施設が掲げる種別の障害者が当該施設を何人利用していることが必要か。

(ご質問への回答)

 小規模通所授産施設は、その施設が掲げる種別の障害者の利用があれば、知的障害者、身体障害者及び精神障害者が施設開所時から混合して利用できる施設です。

(8)改正基準の施行通知や運営費補助の予算の交付基準の通知は、いつ発出されるのか。

(ご質問への回答)

 施行通知については、昨年12月1日に、各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長宛に通知したところです。
 また、運営費補助の交付基準の通知は、平成13年度予算成立後、速やかに通知する予定です。

(9)小規模通所授産施設と授産施設の分場の関係はどうなるのか。いままで分場と整理されていた施設も、小規模通所授産施設に移行する方向なのか。

(ご意見に対する考え方)

 小規模通所授産施設については、法人設立時の資産要件等について緩和し、小規模作業所の良さを失うことなく法定施設へ移行できるよう整備するものです。
 分場については、既存の授産施設等の施設長の管理の下に一体的に安定した施設運営が行われているところであり、小規模通所授産施設とは別個の類型として、従来どおりの運営が可能です。

(小規模通所授産施設に係る設備及び運営に関する基準について)

(1)小規模通所授産施設に係る設備及び運営に関する基準は3障害共通にすべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 制度的には、知的障害者小規模通所授産施設、身体障害者小規模通所授産施設及び精神障害者小規模通所授産施設は、それぞれ知的障害者援護施設、身体障害者更生援護施設及び精神障害者社会復帰施設の一つと位置付けられているため、別の基準として規定していますが、設備基準や職員配置基準については同様とするなど、実質的には、同水準の基準としています。

(2)精神障害者小規模通所授産施設のみ耐火建築物等の構造設備の一般原則が係っているが、知的障害者小規模通所授産施設及び身体障害者小規模通所授産施設についても同様の規定を置くべきである。

(ご意見に対する考え方)

 小規模作業所が、その良さを失うことなく法定施設に移行できるよう、小規模通所授産施設の設備基準については、20人以上の従来の通所授産施設より緩やかな基準としています。知的障害者小規模通所授産施設や身体障害者小規模通所授産施設については、従来の通所授産施設についても、耐火建築物等にしなければならない旨の基準はないため、上記の考え方から、当該規制は行わないことにしました。
 なお、精神障害者小規模通所授産施設についても、耐火建築物等にしなければならない旨の基準は、今回の改正省令における附則において、当分の間、適用しないこととしています。

(3)作業室等の面積基準を規定すべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 今般制度化された小規模通所授産施設においては、現在の小規模作業所と同様に創意工夫を凝らした様々な活動が行われると考えており、作業室等について画一的な面積基準を設けることは適当ではないと考えています。しかしながら、適切な処遇を行うために、当該施設の利用定員や授産種目の活動に適した面積を確保していただきたいと考えています。

(4)設備基準において、静養室、食堂、洗面所、便所及び作業室又は作業所の他に、事務室や調理室を規定すべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 自主的かつ地域に根ざした取組として、創意工夫を凝らした活動を展開している小規模作業所が、その良さを失うことなく法定施設に移行できるように、設備基準については緩やかな基準とすることが適当であり、事務室や調理室を必置とすることは適当ではないと考えています。

(5)精神障害者小規模通所授産施設は、必ず精神保健福祉士を配置しなければならないのか。

(ご質問に対する考え方)

 精神障害者小規模通所授産施設の職員については、施設長1名の他、精神保健福祉士、作業療法士、精神障害者社会復帰指導員の中から、利用者の特性等に応じて適切な職員を2名以上配置していただくことにしており(精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第87号)第26条第4項)、必ずしも精神保健福祉士を配置しなければならないものではありません。
 しかし、精神保健福祉士は、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神障害者社会復帰施設等を利用している者の社会復帰に関する相談援助を行う者であり、精神障害者小規模通所授産施設においてもその活躍が期待されることから、配置していただければ望ましいものと考えています。

(6)施設長及び職員に明確な資格要件を課すべきである。

(ご意見に対する考え方)

 自主的かつ地域に根ざした取組として、創意工夫を凝らした活動を展開している小規模作業所が、その良さを失うことなく法定施設に移行できるように、過重な資格要件を課すことは適当ではないと考えています。
 しかしながら、施設長を含めた職員の資質の向上は重要なことであると考えており、この省令の施行通知において「小規模通所授産施設は、施設の適切な運営を図るため、職員の資質の向上に努めなければならないこと。」としています。

(7)職員配置の中で、施設長、作業指導員及び生活指導員の他に事務職員の配置が義務づけられるべきではないか。また、職員配置基準を更に厳しくする必要があるのではないか。

(ご意見に対する考え方)

 自主的かつ地域に根ざした取組として、創意工夫を凝らした活動を展開している小規模作業所が、その良さを失うことなく法定施設に移行できるように、職員配置基準は緩やかなものとすることが適当であると考えており、実態をも考慮すると、現行案が適当であると考えています。

(8)工賃の支払における「事業に必要な経費」に施設を購入した時の借入金を含めてもよいのか。

(ご質問への回答)

 授産施設においては、職業に従事している者に、事業収入から事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払うこととしていますが、この場合の「事業に必要な経費」とは、日々の授産事業を行っていくに当たって直接的に必要となる原材料費、光熱費、運搬費等の必要最小限度の事業費をいうものであり、お尋ねの「施設を購入した時の借入金」まで含むものではありません。

(9)健康管理の規定の中で、毎年2回以上とされている健康診断は、年1回でいいのではないか。

(ご意見に対する考え方)

 小規模通所授産施設は、医師を置かなくともよいことになっているため、健康管理については特段の配慮が必要であると考えており、健康診断は、年2回以上とすることが適当であると考えています。

(10)精神障害者小規模通所授産施設は精神医療施設ではなく福祉施設であり、そもそもその福祉施設においては身体的拘束については馴染みがないものである。そのため、身体的拘束の禁止については、社会的ルールの中で考えればよい話であり、基準の中で明示する必要はないのではないか。

(ご意見に対する考え方)

 精神障害者社会復帰施設の設備及び運営に関する基準第19条第4項において、精神障害者社会復帰施設においては、利用者又は他の利用者等の生命若しくは身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならないこととされております。
 今般、精神障害者小規模通所授産施設が精神障害者社会復帰施設として位置付けられることに伴い、同規定を準用することとしているものです。

(小規模通所授産施設の経営を目的とする社会福祉法人の認可について)

(1)「借地・借家でも運営が可能」という資産要件緩和は、どこで規定されるているのか。

(ご質問への回答)

 「障害者に係る小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人に関する資産要件等について」(平成12年12月1日障第891号社援第2619号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長連名通知)で通知しています。

(2)1つの社会福祉法人が、複数の小規模通所授産施設を運営することができるか。

(ご質問への回答)

 可能です。
 なお、小規模通所授産施設の経営を目的とする社会福祉法人として、通常よりも緩和された要件で設立された社会福祉法人については、その事業の地域が1つの都道府県内に限られることとされていることから、いずれの小規模通所授産施設も同一都道府県内にあることが必要です。

(3)小規模通所授産施設を経営するための社会福祉法人の事業範囲が限定されているのはどうしてか。

(ご意見に対する考え方)

 小規模通所授産施設の運営を目的とする社会福祉法人については、資産要件等について特例が設けられており、通常の社会福祉法人に比べて緩い基準により認可が得られることとなっています。
 このため、一般の社会福祉法人と比較して財政的基盤が弱いことから、小規模通所授産施設の経営とあわせて行うことができる事業を限定しています。
 なお、小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人であっても、この特例によらずに認可された社会福祉法人については、その事業範囲について制限はありません。

(4)小規模通所授産施設を経営することを目的として設立する社会福祉法人が併せて行うことができる事業は何か。

(ご質問への回答)

 小規模通所授産施設の経営を目的とする社会福祉法人が併せて行える事業としては、以下の4つの事業としています。
(1) 障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業又は精神障害者地域生活支援センターを経営する事業
(2) 身体障害者デイサービス事業又は知的障害者デイサービス事業
(3) 身体障害者居宅介護等事業又は知的障害者居宅介護等事業
(4) 当該小規模通所授産施設を利用する障害者等に対し、無料又は低額な料金で建物を賃貸する事業
 なお、知的障害者地域生活援助事業又は精神障害者地域生活援助事業を小規模通所授産施設の経営と併せて行うことについては、入所者の生活について責任を持つような入所施設的なものでなく、障害者等の生活の場を提供するための性格を持つものであれば、上記(3)と(4)を併せ読むことによりこれを行っても差し支えありません。
 また、小規模通所授産施設を経営する社会福祉法人であっても、資産要件等の特例によらずに認可された社会福祉法人については、その事業範囲について制限はありません。

(5)小規模通所授産施設を目的として設立された社会福祉法人が2つ目の小規模通所授産施設を新たに設立する際、5年の実績要件は必要か。

(ご質問への回答)

 小規模通所授産施設の経営を目的とする社会福祉法人については、5年(NPO又は当該小規模通所授産施設についてその所在地の市町村長が法人格を取得することについて推薦をした場合には3年)以上の事業実績を求めていますが、複数の小規模通所授産施設を経営している場合には、そのうちの1つの施設についてこの要件を満たしていれば問題ありません。

(6)民間から不動産を賃借した場合に有しなければならない1000万円の基本財産をつなぎ資金等に充当することができるか。

(ご質問への回答)

 基本財産の処分(担保に供する場合を含みます。)に当たっては、事前に所轄庁の承認が必要とされていますので、所轄庁の承認なくつなぎ資金等に充当することはできません。

(小規模通所授産施設に係る助成措置について)

(1)1カ所当たり、1,100万円という運営費補助の額を上げていただきたい。また、その額以外に、家賃補助や食費補助を行うべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 小規模通所授産施設は従来の授産施設よりも入退所や活動内容等について自由度の高い施設であることから、現行の授産施設に比べて緩やかな設備基準及び職員配置基準を策定したところであり、補助額はこうした施設の性格に対応した水準としているところです。
 また、小規模通所授産施設が自由度の高い活動をしていただけるよう、運営費補助を弾力的に活用できるものにしていきたいと考えています。なお、食費については、利用者の実費負担として差し支えないと考えています。
(2)1カ所当たりの定額とするのではなく、施設の利用者数に応じた額としていただきたい。また、重度加算方式にすべきではないか。

(ご意見に対する考え方)

 小規模通所授産施設については、従来の授産施設よりも入退所や活動内容等について自由度の高い施設であり、利用者の増減等にかかわらず運営できるよう、定額の運営費の補助としているところです。

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