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指定痴呆対応型共同生活介護事業(痴呆性高齢者グループホーム)の
指定の要件の一部改正に対するご意見等の募集結果について

平成13年3月21日
厚生労働省老健局計画課

 指定痴呆対応型共同生活介護事業(痴呆性高齢者グループホーム)の指定の要件の一部改正について、平成13年2月26日から3月9日までインターネットのホームページ等を通じて御意見・情報を募集したところですが、8通の御意見等をいただきました。
 お寄せいただいた御意見等とそれに対する当省の考え方につきまして、以下のとおり御報告いたします。
 いただいた御意見等については、平成13年4月末まで厚生労働省行政相談室(中央合同庁舎第5号館2階)で閲覧することができます。
 なお、今回の改正事項以外の事項に関する御意見等も寄せられましたが、今回の改正事項に限って考え方を示させて頂いております。

(1)住宅地への建設促進について

(1) どこにあるかではなく、どれだけ地域の中にとけ込んでいるかが重要ではないか。結局は管理者やスタッフがホームと地域の関係性をどう考えているかによると思う。
(2) 痴呆性高齢者も住み慣れたところでその人らしい暮らしを営むためには、住宅地での事業展開は必須と思われる。なお、その場合には近隣住民の理解と支援が前提になることから、意見交換会や事業地への見学会などを重ねることが必要と考える。
(3) 風通しのよい事業とするために、保育所や幼稚園との交流を実施してはどうか。
(4) 都心の住宅地を中心に住民の反対が強いことから、一層の広報・周知を行い、グループホームに対する一般の方々の認知度をあげてほしい。

(当省の考え方:(1)〜(4)について)
・ ご指摘のとおり、地域との交流は痴呆性高齢者グループホームの運営にとってかかせないものと考えております。このため、家族介護教室等の市町村事業において、グループホームを活用するよう市町村の配慮を促すなど、グループホームと家族や地域との交流を促進するような対策を講じることとしております。

(5) 工業地域は除外しないでほしい。

(当省の考え方:(5)について)
・ 今回の改正では、家族との連携や地域との交流を確保する観点から、立地地域を限定することとしたものですが、工業地域については、病院の設置が認められない地域であること等にかんがみ、基本的に整備地域から除外したものです。今後、グループホームの整備状況を見定めた上で、工業地域に整備を行うニーズが高いなどの状況がある場合には、別途検討したいと考えております。

(6) 住宅地の中でのグループホーム整備には、市町村や都道府県の協力とあっせんが必要になってくると考える。
(7) 立地条件の判断を各市町村により依存できないか。

(当省の考え方:(6)、(7)について)
・ 今回の改正では、住宅地への立地の確認などをまず市町村が行うこととするなど、事業者と市町村との連携の強化を図ることとしております。また、市町村と都道府県の連携の強化についても改めて周知することとしております。

(2)管理者・スタッフの研修の義務づけについて

(1) 大変よいこと。日々のサービスの向上、スタッフのレベルの向上にも必要。
(2) 痴呆性高齢者の介護経験5年以上の者またはいずれかの推薦を得られる者が現場には必要ではないか。
(3) 管理者の資格要件は意味がないのではないか。それよりは研修を充実させる方が現実的と考える。
(4) 痴呆性高齢者ケアについて未知な部分も多いことを考えれば、重層的な研修が望まれることから、複数の研修への参加も指定の際の参考として位置づけてはどうか。また、地域性・物的環境などと痴呆発生の関係を考えれば、研修の実施はできるだけ小さいエリアごとに行うべきではないか。

(当省の考え方)
・ 現行の要件では、管理者については、「特別養護老人ホーム等の職員又は訪問介護員等として、3年以上痴呆性高齢者の介護に従事した経験を有する者等適切な指定痴呆対応型共同生活介護を提供するために必要な知識及び経験を有する者であること」、計画作成担当者については、「介護支援専門員をもって充てることが望ましいが、特別養護老人ホームの生活相談員等として痴呆性高齢者の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができるものとする」ことという要件が既に課されています。
 今回の改正では、「痴呆介護」に関する知識の必要性にかんがみ、痴呆介護に関する研修の履修を義務づけるものです。なお、今後関連した研修の実施状況や、現場の方々の御意見を踏まえつつ、管理者やスタッフの研修のあり方については、さらに検討していきたいと考えております。

(3)サービス評価の義務づけについて

(1) 事業者の自己評価をまず行うべき。その他、苦情受付を複数の事業者間で行ってはどうか。なお、第三者評価については、いかに公平性・公正性を担保するかが重要であることから、自己評価の実施状況を見ながら慎重に行うべきではないか。
(2) 評価する側の研修も必要ではないか。
(3) グループホームは暮らしの場所であり、サービスの内容について基準を作るのは非常に難しいのではないか。現場が納得するような評価基準が作られることを期待する。

(当省の考え方)
・ 今回の改正では、まず平成13年度には、各都道府県が定める評価基準に基づき、事業者による自己評価の実施と結果の公表(共同住居内の掲示等)を義務づけることとしています。なお、各都道府県が定める具体的な評価項目等については、全国痴呆性高齢者グループホーム協会等関係団体とも連携して検討した上で、その結果を参考例としてお示しする予定です。
 (平成14年度からは、平成13年度における自己評価の実施状況や評価体制の整備状況を見定めつつ、第三者評価を実施する予定としています。)

(4)情報公開の義務づけについて

(1) 情報公開の方法をどのように行うかが問題。職員の手のかからないよう、配慮が必要ではないか。
(当省の考え方)
・ 利用者に対する具体的な情報公開の方法は、事業者の広報やインターネットの活用など事業者ごとに工夫することが必要と考えますが、今回の改正では、既に基準で義務づけられている重要事項の掲示等に係る項目を増やす形をとり、また、様式を併せて示すことにより追加的に必要となる手間は最小限になるよう配慮しております。

(5)その他

(1) 市町村の関与については、規制強化だけでなく、補助などの支援にも力を入れてほしい。また、市町村の担当者のグループホームに対する理解も高める必要があるのではないか。
(2) 様々な補助があるが条件が厳しい。緩和できないか。
(3) 管理者・スタッフの研修義務づけ、サービス評価の義務づけ、情報公開の義務づけなどはどれも重要であり、当然の流れと考えるが、背景に一部のホームでの虐待やケアの質の低下があり、規制強化でそれを防ぐというのは悲しい気がする。良質なグループホームも多いはずであり、そういうホームを増やしていく支援策にも力を入れてもらいたい。

(当省の考え方)
・ 痴呆性高齢者グループホームの整備について、これまでも積極的に推進してきたところですが、平成13年度からは、新たに一定の要件を満たすNPO法人等が行うグループホームに対して市町村が助成を行う場合に、国としても支援する予定です。いずれにしても、量の確保だけでなく、サービスの質にも配慮した上で、グループホームの整備の支援に努めてまいりたいと考えております。

(4) グループホームが乱立すれば、虐待などの可能性はあり、予防策をとることについては、一定の理解はするが、基準をクリアしさえすればいいというものではないと考える。現場の声を聞きながら、行政と事業者、学識経験者の間で時間をかけて検討を続けて行くべきではないか、

(当省の考え方)
・ 今回の改正については、関係団体や地方自治体、学識経験者の御意見を聞きながらとりまとめたものですが、今後ともこうした方々の御意見を聞きながら対応してまいりたいと考えております。

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