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平成14年1月4日
厚生労働省

職域における空気中のホルムアルデヒド濃度低減のための指針について(回答)

概要  職域における空気中のホルムアルデヒド濃度の低減のため、空気中のホルムアルデヒド濃度の指針値を示すとともに、事業者が講ずべき具体的措置として、施設・設備の改善等を示し、労働者の健康リスクの低減に資することとする。
別添 職域における空気中のホルムアルデヒド濃度低減のための指針について(案)参照)

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 指針に基づく措置の実効性を上げるために法的強制力を持たせること等を求めるもの 4件  現時点では、指針に基づく措置の実効性を上げるために、関係団体の協力も得つつ、各都道府県労働局及び各労働基準監督署を通じて、周知を図ることにより、指針の実効性の確保に努めることとしている。
 指針の対象となる業種を限定することを求めるもの 6件  ホルムアルデヒドは、現在、様々な職域において広く使用されているため、業種の如何を問わず、すべての職域について濃度指針値及び濃度低減のための措置を示すことが必要と考えている。
 ホルムアルデヒドの濃度の測定方法等についての具体的な記述を求めるもの 5件  御意見を踏まえ、指針においては、濃度の測定方法等について、より具体的に示すこととする。
 濃度低減が困難な作業場及び濃度低減が困難な作業場以外の事業場において事業者が講ずべき措置についての具体的な記述を求めるもの 5件  御意見を踏まえ、指針においては、濃度低減が困難な作業場及び濃度低減が困難な作業場以外の事業場において事業者が講ずべき措置の内容について、より具体的に示すこととする。
 ただし、作業時間短縮の目安については、ホルムアルデヒドによる感受性が個人個人で異なるので、一律的に示すことは困難であると考えている。
 なお、事業者が講ずる措置は、そのすべてを講じなければならないという趣旨ではなく、作業場のホルムアルデヒド濃度が濃度指針値を下回るように、当該作業場において有効と思われる措置を講じていただくものである。
 濃度低減が困難な作業場における濃度指針値0.25ppmの設定根拠及び濃度指針値0.25ppmを達成できない場合の措置についての説明を求めるもの 2件  濃度指針値0.25ppmは、ホルムアルデヒドの職業性ばく露を受けている労働者のばく露濃度と健康影響に関する疫学調査等の文献情報を踏まえ、労働衛生の専門家による検討を行い、設定したものである。
 また、措置を講じてもなお濃度の低減が困難な場合には、呼吸用保護具等を使用していただくことになる。
 就業上の措置を講じる場合の産業医以外の相談先についての具体的な記述を求めるもの 1件  御意見を踏まえ、就業上の措置を講ずる場合の産業医以外の相談先について、具体的に示すこととする。
 また、指針では、指針に基づく措置を講ずる場合の相談先等の相談支援体制についてもより具体的に示すこととする。
 その他の御意見(国外の事業場に対して指針の適用を求めるもの) 1件  本件の内容とは関係のない事項である。


担当課:厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質調査課

御意見等お寄せいただき、ありがとうございました。


職域における空気中のホルムアルデヒド濃度低減のための指針について(案)

1 職域における空気中の濃度等

(1) 濃度指針値

 事業場における屋内空気中のホルムアルデヒド濃度は0.08ppm以下とすること。ただし、ホルムアルデヒドを製造し又は取り扱う作業場であって、作業の性質上この濃度以下に作業環境を維持することが著しく困難な作業場(以下「濃度低減が困難な作業場」という。)では、同濃度は0.25ppm以下とすること。

(2) 濃度の測定

 事業場における空気中にホルムアルデヒド蒸気が発散しているおそれがある場合(注)には、空気中のホルムアルデヒド濃度を測定すること。

2 事業者が講じる具体的措置

(1) 濃度低減が困難な作業場以外の事業場における措置

 ホルムアルデヒド濃度が0.08ppmを超えるおそれのある事業場においては、次の措置により、この濃度を超えないようにすること。

ア 換気扇等の換気装置の設置又は増設
イ 継続的な換気の励行
ウ 発散源となる什器・壁材等の撤去又は交換

(2) 濃度低減が困難な作業場における措置

ア ホルムアルデヒド濃度が0.25ppmを超えるおそれのある作業場については、次の措置により、この濃度を超えないようにすること。

(ア)刺激性・有害性の少ない代替物質への変更

(イ)設備の密閉化

(ウ)遠隔操作の導入

(エ)局所排気装置、プッシュプル型換気装置又は全体換気装置の設置及び継続的な稼動

(オ)ホルムアルデヒドが発散しにくい使用条件への変更

(カ)ホルムアルデヒドへの労働者のばく露を低減させる作業工程又は作業方法への変更

イ アの改善措置によっても、なお0.25ppmを下回ることができない場所において労働者を作業させる場合には、呼吸用保護具の使用により労働者のばく露防止を図ること。
 なお、ホルムアルデヒド濃度が0.25ppmを超えない場合であっても、次の措置に配慮することが望ましいこと。

(ア)呼吸用保護具の使用

(イ)ホルムアルデヒドにばく露される作業時間の短縮

3 就業上の措置

 シックハウス症状を訴える労働者に対しては、産業医等の意見を踏まえ、作業場所の変更等の必要な措置を講じること。

注:ホルムアルデヒドを含む部材が使用されている屋内作業場において、眼又は鼻への刺激を感じる者がいる場合の他、壁材等にホルムアルデヒドの発散量が多いとされている部材(例えば繊維板の場合は日本工業規格(JIS)E2に該当するもの)が使用されていて、換気が十分に行われていない場合等が考えられる。


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