障害支援区分への見直し(案)(概要)のテキストデータ 注意:本テキストデータは、実際の紙媒体資料とは違う部分もあります。 障害支援区分への見直し ---- ここから 障害程度区分について 【定義】 障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すもの。 【課題】 障害程度区分は、知的障害者及び精神障害者について、一次判定で低く判定され、二次判定で引き上げられている割合が高いことから、障害の特性を反映するよう見直すべきではないか、との課題が指摘されている。 (参考)二次判定で区分が引き上げられた割合 [平成22年10月〜平成23年9月] 身体:20.3% 知的:43.6% 精神:46.2% [平成23年10月〜平成24年9月] 身体:17.9% 知的:40.7% 精神:44.5% 障害支援区分について 【定義】 障害者等の障害の多様な特性その他心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すもの。 【施行期日】 平成26年4月1日 【適切な障害支援区分の認定のための措置】 政府は、障害支援区分の認定が知的障害者及び精神障害者の特性に応じて適切に行われるよう、区分の制定に当たっての適切な配慮その他の必要な措置を講ずるものとする。 【法施行後3年を目途とした検討】 政府は、障害者総合支援法の施行後3年(障害支援区分施行後2年)を目途として、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとする。 ---- 障害支援区分への見直し ここまで (1)新判定式(コンピュータ判定式)の構築 1.コンピュータ判定式の見直し 【課題】 ○ 現行のコンピュータ判定式は、開発された当時の要介護認定の判定式(樹形図)をそのまま活用したため、肢体不自由者以外の障害の特性を十分に反映できていない。 ○ 106項目の調査項目のうち、「行動障害や精神面等の調査項目(20項目)」の結果が、コンピュータ判定では評価されていない。 【見直し案】 ○ 全ての調査項目を活用しつつ、現行の二次判定により近い一次判定が全国一律で可能となるように、コンピュータ判定式を抜本的に見直す。 障害程度区分の一次判定の仕組み ○ 認定調査の結果を基に介護の手間に係る時間を算出する。 ○ 算出された合計時間に応じて「障害程度区分の一次判定結果」が決定する。 障害程度区分の平成21年度〜23年度の認定データ(約14,000件)に基づき、障害支援区分の判定式(案)を構築 障害支援区分の一次判定の仕組み ○ 認定調査の結果や医師意見書の内容から、障害者の状態像を数量化 ○ 同じ状態像の障害者の「障害程度区分の二次判定結果」の実績を踏まえ最も確率の高い区分を「障害支援区分の一次判定結果」とする。 2.警告コードの廃止 【課題】  要介護認定と同じものを活用しているため、障害の特性を踏まえていない。 【見直し案】  障害の特性は多種多様であり、個々の障害者はさらに様々な状態である。一部の組み合わせだけで障害の特性か、入力ミスかを判断することは困難であることから、警告コードは廃止する。 (2)調査項目の見直し(106項目を80項目に変更) 1.調査項目の追加[6項目] 【課題】 知的障害者及び精神障害者の特性をより反映できるように、調査項目を追加する必要がある。 【見直し案】 現行の調査項目では評価が難しい知的障害者や精神障害者の特性をより反映するため、調査項目を追加。特に、発達障害の特性にも配慮できるよう、行動障害に関する調査項目を追加。 【追加される調査項目】 ---- ここから 健康・栄養管理:体調を良好な状態に保つために必要な健康面・栄養面の支援を評価 危険の認識:危険や異常を認識し安全な行動を行えない場合の支援を評価 読み書き:文章を読むこと、書くことに関する支援を評価 感覚過敏・感覚鈍麻:発達障害等に伴い感覚が過度に敏感になること、鈍くなることの有無を確認 集団への不適応:集団に適応できないことの有無や頻度を確認 多飲水・過飲水:水中毒になる危険が生じるほどの多飲水・過飲水の有無や頻度を確認 ---- 【追加される調査項目】ここまで 【その他、評価内容を追加・見直す主な項目】 ---- ここから 衣服の着脱:衣服の準備等も含めて評価 じょくそう:予防のための介助も含めて評価 えん下:経管栄養等の状況も含めて評価 食事:食事開始前の支援も含めて評価 入浴:洗髪や洗顔、浴槽の出入りも含めて評価 排便:月経時の処理も含めて評価 薬の管理:内服薬以外の薬を評価に追加 金銭の管理:金融機関での手続きを評価に追加 視力:全盲を評価に追加 聴力:全ろうを評価に追加 昼夜逆転:睡眠薬等の内服の状況も含めて評価 支援の拒否:介護以外の支援についても評価 外出して戻れない:周辺地理を理解していないことも含めて評価 そううつ状態:そう状態を評価に追加 不安定な行動:支援者等が変化することで現れる行動を評価に追加 話がまとまらない:興奮時の一時的な場合も含めて評価 1人で出たがる、物や衣類を壊す、自らを傷つける行為、他人を傷つける行為:周囲や周辺の配慮等により現れていない場合も含めて評価 収集癖、不潔行為、異食行為、不適切な行為、突発的な行動:未然に防ぐ支援も含めて評価 特別な医療[12項目]:本人や家族等が行う類似の行為も含めて評価 ---- 【その他、評価内容を追加・見直す主な項目】ここまで 2.調査項目の統合(14項目を7項目へ)、削除(25項目) 【課題】 認定調査時における障害者の負担を軽減するため、不要な調査項目等を整理する必要がある。 【見直し案】 障害程度区分の認定状況を分析し、評価が重複する調査項目を統合するとともに、他の調査項目や医師意見書で評価できる項目を削除する。 【統合する調査項目】 ---- ここから 「上位の着脱」「ズボン・パンツ等の着脱」を統合し「衣服の着脱」とする。 「洗身」「入浴の準備と後片付け」を統合し「入浴」とする。 「調理」「食事の配膳・下膳」を統合し「調理」とする。 「意志の伝達」「独自の意思伝達」「指示への反応」「説明の理解」を統合し「コミュニケーション」と「説明の理解」とする。 「被害的」「疑い深く拒否的」を統合し「被害的・拒否的」とする。 「大声を出す」「通常と違う声」を統合し「大声・奇声を出す」とする。 ---- 【統合する調査項目】ここまで 【削除する調査項目】 ---- ここから 麻痺[5項目] 拘縮[6項目] じょくそう以外の皮膚疾患 飲水 洗顔 整髪 つめ切り 毎日の日課の理解 生年月日をいう 短期記憶 自分の名前をいう 今の季節を理解 場所の理解 幻視幻聴 火の不始末 文字の視覚的認識 ---- 【削除する調査項目】ここまで (注意)「麻痺」及び「拘縮」は医師意見書の内容をコンピュータ判定(一次判定)で直接評価する。 3.選択肢の統一 【身体介助関係】 選択肢を以下の4つに統一する。 1.できる 2.見守り等の支援が必要 3.部分的な支援や介助が必要 4.全面的な支援や介助が必要 現行の障害程度区分では ・声かけ等の支援によって行為や行動ができる場合「できる(介助なし)」とされ、声か け等の支援が評価されない項目がある。 ・多動性や衝動性等の行動障害に対する見守り等の支援が評価されない。 という課題があるため、障害支援区分では ・運動機能の低下だけに限らず「知的障害や精神障害、発達障害による行動上の障害(意欲低下や多動)」や「内部障害や難病等の筋力低下や易疲労感」等によって「できない」場合を含めて判断する。 ように見直す。 【日常生活関係】 選択肢を以下の3つに統一する。 1.できる 2.部分的な支援が必要 3.全面的な支援が必要 現行の障害程度区分では ・「行為、行動ができるかできないか」という判断基準であり「支援が必要かどうか」が評価されない。 ・普段行っていない場合「能力を勘案し総合的に判断する」となっているが、判断基準が不明確。 という課題があるため、障害支援区分では ・施設入所や家族との同居等、普段過ごしている環境ではなく、「自宅・単身」を想定して判断。日頃行っていない場合は、一連の行為を行うために必要な運動機能や判断力の有無、認識しているか等を踏まえ判断する。 ように見直す。 【行動障害関係】 選択肢を以下の5つに統一する。 1.ない 2.希にある 3.月1回以上ある 4.週1回以上ある 5.ほぼ毎日(週5日以上)ある 現行の障害程度区分では ・見守り等の支援によって行動上の障害が現れていない場合「行動障害がない」となる。 という課題があるため、障害支援区分では ・行動上の障害が生じないように行っている支援や配慮、投薬等の頻度を含め判断する。 ように見直す。 4.評価方法の見直し ○現行の障害程度区分では、できたりできなかったりする場合や自宅等の慣れている状況でのみできる場合は、「より頻回な状況」に基づき判断するため、「できない場合」「慣れていない状況でできない場合」が評価されない。 障害支援区分の見直し(案)では、慣れていない状況や初めての場所等では「できない状況」に基づき判断する。 ○現行の障害程度区分では、障害や症状に変化がある場合は、「調査時の状態や症状」に基づき判断するため「重度の時の状態や症状」が評価されない。 障害支援区分の見直し(案)では、障害等の状態や難病等の症状に変化がある場合は「支援や介助が必要な状態」に基づき判断する。 5.その他(認定調査項目以外の活用) 医師意見書の内容のうち、以下の項目をコンピュータ判定で直接評価。 ・てんかん ・精神障害の機能評価 ・麻痺 ・関節の拘縮 (注意)麻痺、間接の拘縮については認定調査員による調査項目ではないことから、80項目の数には含まない。 以上