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「欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会」中間報告(案)について

平成14年10月7日
厚生労働省医政局医事課
歯科保健課

 「障害者等に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する法律」が施行されたことにより、絶対的欠格事由が削除され、「目が見えない者」、「耳が聞こえない者」、「口がきけない者」も医師国家試験及び歯科医師国家試験等を受験することが可能となったところです。
 標記検討会は、平成14年5月7日に設置され、障害、特に視覚障害を持つ受験者に対する試験の実施方法に関する検討を行ってきました。中間報告の取りまとめを行うにあたり、「欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会」中間報告(案)を公表します。
 この「欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会」中間報告(案)にご意見のある場合には、下記により提出してください。
 なお、いただいたご意見に対して個別の回答はいたしかねますので、その旨ご了承願います。

1.募集期限

 平成14年 10月25日(金)必着

2.提出方法

 ご意見は理由を付して電子メール又は郵送にて提出してください。
 なお、提出していただく際には必ず「欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会」中間報告(案)についてと明記して提出してください。
 ※電話によるご意見はお受けかねますので、あらかじめご了承下さい。

○電子メールの場合
 電子メールアドレス:SHIKEN@mhlw.go.jp
 厚生労働省医政局医事課試験免許室あて
 (ファイル形式はテキスト形式でお願いします)

○郵送の場合
 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2
 厚生労働省医政局医事課試験免許室あて

3.ご意見等の提出上の注意

 提出のご意見等は日本語に限ります。また、個人の場合は住所・氏名・年齢・職業を、法人の方は法人名、所在地を記載してください。これらは、公表させていただくことがありますので、あらかじめご了承願います。



欠格条項改正に伴う医師・歯科医師国家試験に関する検討会
「中間報告」(案)

1 はじめに

 医師及び歯科医師は医療又は歯科医療及び保健指導を掌ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保することを任務としている。これらの資格を有する者の行う業務は、国民の生命及び健康に直結する極めて重要なものであり、業務遂行能力を厳格に担保する必要があることから、かつて医師国家試験及び歯科医師国家試験の受験に当たっては、「目が見えない者」、「耳が聞こえない者」、「口がきけない者」といった絶対的欠格事由を定めていた。
 これらのいわゆる障害者に係る欠格条項については、障害者が社会活動に参加することを不当に阻む要因とならないようにする観点から、平成11年8月、政府の障害者施策推進本部において、平成14年度までに見直しをすることが決定された。この政府決定を受け、医療関係者審議会医師部会・歯科医師部会・保健婦助産婦看護婦部会合同部会が検討を行い、その結果として、平成12年12月に取りまとめた「障害者に係る欠格条項の見直しについて(報告)」を踏まえ、所要の法改正を行うため、「障害者等に係る欠格事由の適正化を図るための医師法等の一部を改正する法律案」が、第151回通常国会に提出された。同法案は、平成13年6月22日に成立、同年7月16日から施行された。これにより、医師国家試験及び歯科医師国家試験に係る絶対的欠格事由が削除され、「目が見えない者」、「耳が聞こえない者」、「口がきけない者」も医師国家試験及び歯科医師国家試験等を受験することが可能となったところである。
 当検討会では、近い将来、法改正以前においては絶対的欠格事由に該当するとされていた障害を持つ者が医師国家試験又は歯科医師国家試験を受験することを想定し、国内外の障害者への対応例も参考としながら、今後の対応策について検討したところであり、今回、その結果を中間的に取りまとめ、公表するものである。

2 基本的な考え方

 医師国家試験及び歯科医師国家試験は、医師及び歯科医師として具有すべき知識及び技能について評価することを趣旨としており、国民に安全な医療を提供する観点から国家試験の水準は維持されなければならない。したがって、種々の障害を持つ受験者に対しても、試験の内容等については、特別の取扱いをするべきではない。しかし、試験の実施方法については、事実上の資格制限や障壁となることがないように、受験者の持つ個々の障害に応じた一定の配慮を行うことが必要であると考える。
 当面想定される者は、健常者として大学医学部(医科大学)や大学歯学部(歯科大学)に入学し、卒業直前あるいは卒業後に種々の障害を持つようになった者である。したがって、主に健常者と同様の教育を受けた者が医師国家試験及び歯科医師国家試験を受験することを想定して検討を行った。
 現在、医師国家試験及び歯科医師国家試験は筆記試験を採用しているため、聴覚、音声機能若しくは言語機能の障害を持つ者は基本的に健常者と同様に受験できると考えられる。このため、当検討会では、視覚機能の障害を持つ者に対する試験の実施方法、特に医師国家試験及び歯科医師国家試験で使用されているエックス線写真、図表等の視覚素材の取扱いを中心に検討を行った。
 なお、これらの検討は現行の医師法及び歯科医師法を前提としたものであり、試験の実施方法如何に応じて心身に障害を持つ者の行い得る業務の範囲を限定すること等については、検討の対象とはしなかった。

3 医師国家試験及び歯科医師国家試験の現状

 現在、医師国家試験及び歯科医師国家試験は多肢選択式による客観試験、いわゆるマークシート方式による筆記試験を採用している。また、試験問題数は医師国家試験500題、歯科医師国家試験330題となっており、これらの試験問題は、問題の持つ性格から必修問題、一般問題、臨床実地問題の三つに分類されている。
 このうち、臨床実地問題は、臨床的な問題解決能力を問うことを主眼としている。このため、エックス線写真、図表等の視覚素材を含めた医療情報等を基に、症例の診断、治療方法等を問う問題が中心となっている。つまり、臨床実地問題では、臨床の場を想定して、総合的・基礎的な思考力や適切な判断力を評価していると言える。
 視覚素材を使用している問題の割合は、臨床実地問題では医師国家試験40〜50%、歯科医師国家試験100%で、必修問題、一般問題、臨床実地問題それぞれに合格基準を設けている。

4 視覚機能の障害を持つ者に対する配慮

 医師国家試験及び歯科医師国家試験の水準を担保するため、いかなる障害を持つ者が国家試験を受験する場合も、試験問題は健常者のものと同一問題数、同一内容とするべきである。しかし、個々の障害の状況によって国家試験の実施方法に不利が生じることがないように、以下のような配慮を行うことが望ましい。

1)文字に対する配慮

 視覚機能の障害を持つ受験者に対しては、拡大鏡・電気スタンド等の補助器具の使用、拡大した文字による試験の実施を認めることとする。
 さらに、これらの配慮を行っても対応できない場合には、点字による試験、補助的手段として試験問題を録音したテープ等の使用、試験問題を読み上げる方式による試験の実施を認めることとする。しかし、点字や録音テープ等を使用する方式は、全体の問題数からみて、受験者に相当の負担を強いることになるため、試験問題を読み上げる方式を用いた試験の実施が現実的であると考えられる。なお、受験者が別の方式による試験の実施を希望した場合には、可能な限り配慮することとする。

2)視覚素材に対する配慮

 視覚機能の障害を持つ受験者に対しては、文字に対する配慮と同様に、拡大鏡・電気スタンド等の補助器具の使用、拡大した視覚素材による試験の実施を認めることとする。
 これらの配慮を行っても対応できない場合、本来は、視覚障害を持つ受験者が患者の診断や治療方針の決定を行うために大学で教育されてきた特別の補助的手段に準じた試験の実施方法を認めるべきである。しかし、当面想定される受験者は、健常者と同様の教育を受けて、視覚素材から情報を読みとる経験を有する者であるため、視覚素材のポイントを説明することにより対応することとする。
 なお、視覚素材のポイントを説明する際、視覚障害を持つ受験者からその具体的内容に関する質疑を認めるか否かについては、試験問題の問うべき内容や試験問題の目的等により異なることから、視覚素材を有する問題ごとに、厚生労働省に設置された試験委員会において決定するべきである。
 また、立体コピー等の補助的手段の使用を希望する場合には、これらの補助的手段を用いた試験の実施も配慮することとする。

3)試験時間及び試験の解答方法

 視覚機能の障害を持つ受験者に対する試験時間及び試験の解答方法は、個々の障害の状況により決定することとする。なお、試験問題を読み上げる方式等は時間を要することから、国内外における障害者への対応例等を参考とした結果、試験時間については、最大で通常の1.5倍までの試験時間を認めることとする。

4)その他

 その他の事項についても、受験者の持つ個々の障害に応じた配慮を行うこととする。

5 おわりに

 当検討会では、主として、健常者が大学医学部(医科大学)や大学歯学部(歯科大学)に入学して、卒業直前あるいは卒業後に種々の障害を持つようになった場合、特に視覚機能の障害を持つ者が医師国家試験及び歯科医師国家試験を受験する場合について検討を行った。
 近い将来、種々の障害を持ちながら大学医学部(医科大学)あるいは大学歯学部(歯科大学)に入学して、障害があることを前提とした教育を受けた上で、国家試験を受験するケースが生じてくる可能性があるが、こうしたケースについては、大学入学の段階から適切な状況把握に努める必要があると考える。また、これらのケースが増えるにつれ、障害者に対する補助器具等も進歩・発展して、教育内容や教育環境等も大きく変化していくことが予測されることから、これらを見極めながら、今後も必要に応じて検討し、より優れた配慮の方策を模索し続けていくことが必要となるであろう。


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