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石綿による健康被害の救済に関する制度案の概要
別紙−(2)
石綿による健康被害の救済に関する制度案の概要
1. | 救済制度の基本的考え方
本救済制度は、石綿が長期間にわたって我が国の経済活動全般に幅広くかつ大量に使用されてきた結果、多数の健康被害が発生してきている一方で、石綿に起因する健康被害については長期にわたる潜伏期間があって因果関係の特定が難しく現状では救済が困難であるという特殊性にかんがみ、石綿による健康被害者であって労災補償による救済の対象とならない者を対象とし、事業者、国及び地方公共団体が全体で費用負担を行い、石綿による健康被害者の間に隙間を生じないよう迅速かつ安定した救済制度を実現しようとするものである。
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2. | 指定疾病
(1) | 石綿を原因とする中皮腫 |
(2) | 石綿を原因とする肺がん |
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3. | 認定
指定疾病にかかっていると認められる者(労災補償の対象者を除く。)の申請に基づき、当該疾病が石綿に起因するものである旨の認定を行う。当該認定に関する業務は、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)が行うものとする。当該認定に係る申請は、環境省地方環境事務所を経由して行えるとともに、機構は、当該認定に係る申請に関する業務を機構以外の者(例えば保健所)に委託することができる。
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4. | 救済給付
(1) | 医療費 | | 自己負担分 |
(2) | 療養手当 | | 約10万円/月 |
(3) | 葬祭料 | | 約20万円 |
(4) | 特別遺族弔慰金 | | 280万円(法施行前の死亡者に限る。) |
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5. | 救済給付の財源
機構に石綿健康被害救済基金を創設し、その給付費用の負担は以下のとおり(平成19年度から平成22年度にかけて、約90億円/年の見込み。)。なお、制度施行から5年後までに費用負担のあり方を再検討する。
(1) | 国は、石綿による健康被害の救済制度の早急かつ安定的な立ち上げの観点等から、平成17年度補正予算により、基金に拠出し、また、基金創設時の事務費の全額を負担する(補正予算額388億円)。平成19年度以降は事務費の1/2を負担する。 |
(2) | 地方公共団体は、基金創設の趣旨にかんがみ、国の基金への費用負担(救済給付の支給に要する費用に限る。)の1/4に相当する金額を平成18年度以降一定の期間で基金に拠出する。 |
(3) | 事業主は、平成19年度以降の給付費用分(事務費のうち国が負担する分(1/2)及び地方公共団体による拠出分を除く。)を拠出する。なお、拠出は以下の二つの方法によるものとし、その詳細については有識者等による検討を経た後、平成19年度からの徴収に支障が生じないよう平成18年度の前半の出来るだけ早い時期に決定する。
(1) | 労働者を雇用する事業主等による拠出
石綿は、産業基盤となる施設、設備、機械等に広く使用されてきたものであり、およそ事業活動を営む全ての者が、石綿の使用による経済的利得を受けてきたと考えられる。このため、石綿の使用による経済的利得を受けてきている者全てが、救済費用を負担する。
石綿の使用から受けた経済的利得の度合いを反映する指標としては賃金総額を活用し、これに一定の率を乗じて各事業主等の拠出金額を算出する。
この拠出金は、労働保険料とは別のものであるが、その徴収については労働保険徴収システムを活用する。また、労働保険徴収システムの対象とならない者からの徴収については別途機構が行う。
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(2) | 石綿との関連が特に深い一定要件に該当する事業主による追加費用の拠出
事業主のうち石綿との関係が特に深い事業活動を行っていたと認められる者には、石綿による健康被害の救済についてより大きな責任を負うべきものと考えられることから、全事業主等の共通の負担に加えて更なる負担を求める。
対象となる事業主の範囲及び負担額については、石綿の使用量、健康被害の発生状況その他の要件を勘案して定める。
なお、追加費用の徴収については、機構が行う。 |
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6. | 労災補償を受けずに死亡した労働者の遺族に対する救済措置
労災補償を受けずに死亡した労働者の遺族に対する救済措置として、特別遺族給付金を支給することとし、その対象者、額は次のとおりとする。
(1) | 対象者
指定疾病により死亡した労働者(特別加入者を含む。)の遺族であって、時効により労災保険法に基づく遺族補償給付の支給を受ける権利が消滅したもの。
なお、本措置に関する疾病の範囲については、2.に掲げる指定疾病を基本としつつ、引き続き検討する。
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(2) | 額
※ | 特別遺族年金の支給対象とならない遺族には一時金を支給する。 |
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(3) | 必要経費
労働保険特別会計労災勘定から負担する。 |
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7. | 制度の見直し
環境省は、被害者の発生に関する知見やデータの蓄積を行いつつ、広く関係者の意見を聴くこととする。その上で、石綿による健康被害の救済制度の施行後5年後までに、事業者、国、地方公共団体の適切な役割分担を踏まえつつ必要な見直しを実施する。その際、引き続き事業者に過大な負担とならないよう留意する。
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8. | 施行期日
石綿の健康被害者の救済は施行後早急に実施する。また、事業主等からの費用の徴収は平成19年度から実施する。 |
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