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平成26年財政検証結果

公的年金の財政検証の考え方

公的年金制度は、平成16(2004)年改正により、基本的に年金財政の長期的な持続可能性を確保する仕組みを構築しました。しかし、長期の社会経済情勢は変動する可能性があるため、「公的年金の長期にわたる財政の健全性を定期的にチェック」財政検証)して制度の持続可能性を担保しています。
前回の財政検証は平成21年に実施(平成21年2月に結果公表)しており、5年後となる平成26年に財政検証を実施(平成26年6月結果公表)しました。

  • ※1 長期:おおむね100年間
  • ※2 健全性:平成16(2004)年改正により導入された財政フレームが機能して、給付と負担の均衡が図られること
  • ※3 定期的:少なくとも5年に1度

財政検証においては、(1)長期的な給付と負担の均衡が確保されるか、(2)均衡が確保される給付水準はどの程度になるか、という2つの点について、我が国の経済社会の変化に関する一定の合理的な前提を設定した上で検証しています。

公的年金財政の長期的な均衡イメージ

公的年金財政の長期的な均衡イメージ

平成26年財政検証の諸前提

平成26年財政検証に当たっては、次のようなデータ等を前提としました。

人口の前提― 「日本の将来推計人口」
(平成24年1月、国立社会保障・人口問題研究所)

【低位・中位・高位の3つのケースを設定】

「日本の将来推計人口」(平成24年1月、国立社会保障・人口問題研究所)

労働力の前提―「労働力需給推計」
(平成26年2月、(独)労働政策研究・研修機構)

【労働参加が進む・進まないの2つのケースを設定

経済の前提―「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」

【平成35(2023)年度までの足下の前提】
内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(平成26年1月20日)」の「経済再生ケース」、「参考ケース」に準拠して設定。

【平成36(2024)年度以降の長期の前提】
内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース(8ケース)を設定。

その他の制度の状況等に関する前提(有遺族率、障害年金発生率、納付率等)

→被保険者、年金受給者等の実績データ等を基礎として設定

※ただし、国民年金保険料の納付率については、「今後の取組強化等により向上(平成30年度に65%)した場合」を基本に、「現状の納付率(60%)で推移した場合」も設定

(参考)経済前提の設定について

  • ・透明性を確保するため、経済金融の専門家による専門委員会を設け、公開の場における2年半、17回にわたる議論(平成23年10月~平成26年3月)を経て設定
  • ・2023年度までは、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成26年1月)に準拠
  • ・長期(2024年度以降)の経済前提は、マクロ経済に関する試算(コブ・ダグラス型生産関数を用いた長期的な経済成長率等の推計)に基づいて設定

所得代替率の一元化モデルについて

被用者年金一元化により、比較的賃金の高い共済組合の組合員が厚生年金の被保険者となるため、厚生年金の現役男子の手取り収入が1.3万円程度上昇する見込みです。この影響によって、従来と比べて賃金水準の高い現役世帯が標準的なモデル世帯となるため、標準モデルの所得代替率が見かけ上は低下します。

標準的な厚生年金の所得代替率
-「従来モデル」と「一元化モデル」の比較-

被用者年金一元化

所得代替率の将来見通し(概略)

所得代替率の将来見通し

所得代替率の将来見通し

マクロ経済スライドと所得代替率の関係

マクロ経済スライドと所得代替率の関係

人口の前提が変化した場合の影響

人口の前提が変化した場合の影響

人口の前提

人口・経済の前提が変化した場合の所得代替率の将来見通し

人口・経済の前提が変化した場合の所得代替率の将来見通し

オプション試算の実施

社会保障制度改革国民会議の報告書では、平成26年財政検証に関して、単に「財政の現況と見通し」を示すだけではなく、報告書において提示された年金制度の課題の検討に資するような検証作業(オプション試算)を行うべきとされています。また、この報告書を受けて成立した『持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(プログラム法)』の中でも国民会議報告書で提示された課題を検討課題として列挙しています。

このため、今回の財政検証に当たっては、法律で要請されている現行制度に基づく「財政の現況と見通し」に加えて、これらの課題の検討に役立つよう、一定の制度改正を仮定したオプション試算を実施しました。

オプション試算の内容

オプションI ・・・マクロ経済スライドの仕組みの見直し

  • ・平成26年財政検証の経済前提を基礎とし、物価・賃金に景気の波(4年周期、変動幅±1.2%)による変動を加えて経済前提を仮定。(平成30年度以降変動を織り込み)

  • ・上記の経済前提において、物価・賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる調整がフルに発動されるような仕組みとした場合を試算。

オプションII ・・・被用者保険の更なる適用拡大

次の2通りの適用拡大を行った場合について、マクロ経済スライドによる調整期間や調整終了後の給付水準を試算するとともに、第3号被保険者の人数や世代別の平均的な第3号被保険者期間への影響も試算。

  1. 適用拡大1(220万人ベース)

    一定の賃金収入(月5.8万円以上)のある、所定労働時間週20時間以上の短時間労働者へ適用拡大(220万人)

    • ・月収5.8万円未満の被用者、学生、雇用期間1年未満の被用者、非適用事業所の被用者については
      対象外

    • ・平成28年10月に社会保障と税の一体改革による適用拡大(25万人)を実施した後、平成36年4月に更なる適用拡大を実施

  2. 適用拡大2(1,200万人ベース)

    一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者へ適用拡大

    • ・学生、雇用期間1年未満の被用者、非適用事業所の雇用者についても適用拡大の対象。(雇用者の中で月収5.8万円未満の被用者のみ対象外)

    • ・平成28年10月に社会保障と税の一体改革による適用拡大(25万人)を実施した後、平成36年4月に更なる適用拡大を実施

オプションIII ・・・保険料拠出期間の延長と受給開始年齢の選択制

高齢期の就労による保険料拠出がより年金額に反映するよう次の制度改正を行なった場合を試算。

  • ・基礎年金給付算定のときの納付年数の上限を現在の40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延長し、納付年数が伸びた分に合わせて基礎年金が増額する仕組みに変更。

    ※平成30年度より納付年数の上限を3年ごとに1年延長
  • ・65歳以上の在職老齢年金を廃止。

    上記の制度改正を前提とし、 65歳を超えて就労した人が、厚生年金の適用となり、これに伴い受給開始年齢の繰下げを選択した場合、給付水準がどれだけ上昇するかを試算。

オプション試算結果

オプションI ・・・マクロ経済スライドの仕組みの見直し

  • ・経済変動があるため、物価、賃金の伸びが低い年度は、現行の仕組みではマクロ経済スライドがフルに発動しない状況を仮定。
    物価上昇率賃金上昇率が平成30年度以降、4年周期の変化を繰り返し、変動幅を▲1.2%~+1.2%と設定)

  • ・上記の経済状況において、マクロ経済スライドがフルに発動される仕組みとした場合を試算。

マクロ経済スライドの仕組みを見直した場合の所得代替率の変化

マクロ経済スライドの仕組みを見直した場合の所得代替率の変化

オプションII ・・・被用者保険の更なる適用拡大

雇用者全体における適用拡大のイメージ

雇用者全体における適用拡大のイメージ

(オプションII-1)被用者保険の更なる適用拡大を行った場合
~週20時間以上の短時間労働者を適用(約220万人拡大)~

<適用拡大の前提>
一定以上の収入(月5.8万円以上)がある、所定労働時間週20時間以上の短時間労働者に適用拡大(220万人ベース)

  • ※月収5.8万円未満の者、学生、雇用期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者については適用拡大の対象外
  • ※平成28年10月に社会保障と税の一体改革による適用拡大(25万人ベース)を実施した後、平成36年4月に更なる適用拡大を実施(220万人ベース)

被用者保険の更なる適用拡大(約220万人)の場合の所得代替率の変化

被用者保険を拡大(約220万人)の場合の所得代替率の変化

(オプションII-2)被用者保険の更なる適用拡大を行った場合
~一定以上の収入のある全雇用者を適用(約1,200万人拡大)~

<適用拡大の前提>
一定以上の収入(月5.8万円以上)がある、全ての雇用者に適用拡大(1,200万人ベース)

  • ※雇用者の中で月収5.8万円未満の者のみ適用拡大の対象外。 学生、雇用期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者についても適用拡大の対象。
  • ※平成28年10月に社会保障と税の一体改革による適用拡大(25万人ベース)を実施した後、平成36年4月に更なる適用拡大を実施(1,200万人ベース)

被用者保険の更なる適用拡大(約1200万人)の場合の所得代替率の変化

被用者保険のさらなる拡大(約1200万人)の場合の所得代替率の変化

オプションIII ・・・保険料拠出期間の延長と受給開始年齢の選択制

  • ・基礎年金給付算定の時の納付年数の上限を現在の40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延長し、納付年数が伸びた分に合わせて基礎年金が増額する仕組みに変更。

    ※平成30年度より納付年数の上限を3年ごとに1年延長。
    ※スライド調整率は、現行の仕組みの場合と同じものを用いています。
  • ・65歳以上の在職老齢年金を廃止。

    高齢期の保険料拠出がより年金額に反映する仕組みとした場合の所得代替率の変化

  • ・65歳以上の就労者の増加が見込まれることから、65歳を超えて就労した人が、厚生年金の適用となり、これに伴い受給開始年齢の繰下げを選択した場合、給付水準がどれだけ上昇するかを試算。

  • ・高齢で働く者の保険料拠出がより年金額に反映するよう、次の制度改正を前提としました。

    • ※基礎年金給付算定の時の納付年数の上限を現在の40年(20~60歳)から45年(20~65歳)に延長し、納付年数が伸びた分に合わせて基礎年金が増額する仕組みに変更。
    • ※65歳以上の在職老齢年金を廃止。

    退職年齢と受給開始年齢を65歳以上とした場合の給付水準の上昇

    保険料拠出期間が変わった場合の所得代替率の変化

    退職年齢と受給開始年齢を65~70歳とした場合の給付水準の変化

    退職年齢と受給開始年齢を65~70歳とした場合の給付水準の変化

    退職年齢と受給開始年齢を65~70歳とした場合の給付水準の変化

    注1:増分の( )内は、増分を保険料拠出期間の増加による影響と繰下げ受給による影響に要因分解したもの
    注2:ケースHは、マクロ経済スライドによる調整がフルに発動される仕組みとした場合の数値

平成26年財政検証結果、オプション試算結果の総括

今回の財政検証を行うに当たっての基本的なスタンス

幅の広い経済前提を設定し、それぞれの経済状況の下で、どのような年金財政になるのかを幅広く示すことで、何が年金制度にとって重要なファクターなのか、制度の持続可能性や年金水準の確保のためにどのような対応があり得るかなど、さまざまな議論のベースとなるものを提示する

日本経済の再生と労働市場参加の促進が進めば、今の年金制度の下で、将来的に所得代替率50%の給付水準を確保できることが確認できた

日本経済の再生を軌道に乗せるとともに、成長に必要な労働力を確保するため、女性や高齢者が安心して働ける環境整備を進め労働参加の促進を実現することが、年金制度の持続可能性を高める意味でも、給付水準の確保を図る意味でも重要

一方で、 (1)経済が比較的成長するケース(ケースA~E)においても、基礎年金のマクロスライド調整には30年近くを要するため、基礎年金の水準が相対的に大きな低下となる (2)低成長ケース(ケースF~H)では、年金の給付と負担のバランスをとるためには所得代替率は50%を割り込むこととなるなど課題も確認できた

今回初めて実施したオプション試算結果から、3つのオプションいずれもが制度の持続可能性を高め、給付水準を確保する上で、プラスの効果を持つことを確認
財政検証の詳しい結果はこちら