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年金積立金の見通し~より安定した給付のために

疑問「少子化で保険料収入は減り続けるのに、どうやって給付水準を維持するんだ?」ガイド「税金(国庫負担)や年金積立金を活用して均衡を保つんです」

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年金積立金の運用の目的

日本の公的年金制度は、現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという考え方を基本としています。そのため、年金給付を行うために必要な資金を、事前にすべて積み立てておくわけではありません。

しかし、現在の日本では少子高齢化が急激に進んでおり、現役世代の保険料だけで年金給付をまかなうとなると、保険料の引き上げまたは給付水準の低下が避けられない状態になっています。

そこで公的年金制度では、一定の積立金を保有し、その運用収入や元本を活用する財政計画を立てています。 平成16年の年金制度改正において、積立金はおおむね100年をかけて、計画的に活用することになりました。

年金積立金の運用イメージ

年金積立金の水準(積立度合)の見通し

積立金をどの程度保有しているかを見るための指標として積立度合というものがあります。
これはおおよそ積立金が支出の何年分あるのかを示しています。平成26年財政検証の結果によると、以下のような見通しとなっています。

厚生年金の積立度合の見通し

国民年金の積立度合の見通し

ガイド経済が好調なケースEでは、2040年代頃まで積立度合が上昇し、その後、積立金を活用することによって1に向かっていきます。しかし、経済が成長しないケースGやケースHでは、積立度合も ほとんど上昇せず、 ケースHでは、積立金が途中でなくなってしまう(積立度合が0となる)見通しです。

長男たしか所得代替率でみると、ケースEなら50%を上回るけど、ケースHなら35~37%程度まで低くなっちゃうんだよな・・・

ガイド言い換えると、経済が成長せず、万が一積立金を使い切ってしまうようなことがあっても、30%台の所得代替率を維持できる見込みではあるんですよ

※5年ごとに行う財政検証において、そのつど、年金積立金は100年かけて使っていく想定をしています。

公的年金においては、保険料収入に加え、国庫負担とこの積立金が財源となっています。

ただし、積立金は被保険者から納められた保険料の一部であり、将来の給付財源となることに注意して運用しなければなりません。したがって、積立金の運用は、被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行っています。こうした運用により、将来にわたって公的年金制度の運営が安定するように積立金を役立てています。

年金財政の見通し

公的年金の財政検証では、保険料収入、国庫負担、積立金の運用による収入と支出のおおむね100年にわたる見通しを作成しています。

平成26年財政検証のケースC、E、Gについて、厚生年金国民年金の収入、支出および積立金の見通しは次の通りでした。

平成122(2110)年度開始時の積立金が、平成122(2110)年度における支出の1年分となるような給付水準調整を行った上で、おおむね100年にわたる財政見通しを作成しました。

国民年金の財政見通し(平成26年財政検証)

厚生年金の財政見通し(平成26年財政検証)

長女2050年あたりから積立金が一気に減少する見通しだけど、これはどうして?

ガイド給付水準が下がりすぎないように、人口構成がもっとも少子高齢化する時期に集中的に年金の支給にあてるんですよ

年金積立金の運用状況

厚生年金と国民年金の積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって管理・運用されています。国内外の債券と株式が主な資産内訳です。

年金積立金の資産内訳

出典:「年金積立金運用報告書」(厚生労働省)

運用実績については、単年度で見るとマイナスの年度もありますが、公的年金は長期にわたって財政の均衡を図っていく制度なので、ある程度の期間でみて評価するべきといえます。そこで、自主運用を開始してからの累積でみると、運用実績はプラスの収益となっています。

年金積立金の運用実績
出典:「年金積立金運用報告書」(厚生労働省)

運用資産の細かい内訳や運用状況、今後の方針などにつきましては、GPIFのサイトをご覧ください。

年金積立金管理運用独立行政法人

年金財政には「実質的な運用利回り」が大事

公的年金は、給付も負担も賃金水準に応じて変動します。そのため、年金財政を見るときは、賃金上昇率を上回った分の「実質的な運用利回り」と言われる利回りが重要になります。

長男平成26年財政検証の経済前提(「財政検証のための人口と経済の見通し」を参照)と比べて、3.32%で大丈夫なのか?

ガイド公的年金は、給付も負担も賃金水準に応じて変動します。そのため、年金財政を見るときは、賃金上昇率を上回った分の「実質的な運用利回り」が重要になります。「実質的な運用利回り」では、平成26年財政検証の前提を上回っていますよ

「実質的な運用利回り」とは?

公的年金の年金額は、長期的にみると、賃金水準が上がるにつれて増えていきます。また、保険料収入も賃金に一定の保険料率を掛けて計算するため、賃金水準の上昇とともに増加します。ですから、公的年金の財政にとっては、積立金の運用で得られる収入のうち、賃金上昇を上回る分が、実質的な収益となります。

このため、実際の運用結果を評価するときには、運用利回りから賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」を考えます。
実質的な運用利回り = 運用利回り - 賃金上昇率

この「実質的な運用利回り」の実績と財政検証の前提とを比較して、年金財政への影響を評価します 。

平成26年財政検証では、実質的な運用利回りを1.0%~1.7%と設定しており、これを実現できるかどうかが重要になります。

そして、実際の運用結果をみてみると、実質的な運用利回りは、平成13年度から平成26年度までの平均で3.67%となっています。

このように、実質的な運用利回りでみると、実際の運用結果は財政検証の前提を上回っているので、公的年金の財政にとってはプラスになっていることがわかります。

参考:

厚生年金、国民年金の積立金運用(厚生労働省)

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)

最新の運用情報(年金積立金管理運用独立行政法人)

まとめ

  • 少子高齢化が進行しても安定して年金を給付するため、年金積立金を活用(元本と運用収入の利用)している
  • 年金積立金は、おおむね100年かけて使っていく想定で運用
  • 年金積立金(厚生年金・国民年金)は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって債券や株式などで資産運用がされている
  • 実質的な運用利回り(運用利回りから賃金上昇率を差し引いたもの)は、平成26年財政検証の前提を上回っている
平成21年財政検証結果レポート