■不安障害
大事な試験や人前での発表、初対面の人と話すときなどに、不安と緊張でカラダが硬くなったりするのは、ごく当たり前のこと。たいていは多少緊張しつつも、自分なりにやることができる。
しかし、危険でないものにまで恐怖心を覚えたり、心配する気持ちがとても強くて、やるべきことができなくなったり、普段の生活がうまくいかなくなっている場合は、「不安障害」という、こころの病気になっている可能性がある。
不安障害にはさまざまなタイプがある。10〜20代によく見られるのは、人前で恥ずかしい思いをするかもしれない状況をとても怖がる「社会不安障害」や、「パニック発作」が起こるかもしれないという恐怖から外出を怖がる「パニック障害」など、次の4つ。
いずれも、こころの専門家(
→こころの専門家)にメンテを手伝ってもらえば、早く良くなる。気になるサインがあるときは、まず家族や友達に話してみよう。
社会不安障害は「社会恐怖」とも呼ばれる恐怖症の1つ。次の1〜5のような症状が一定期間以上続いて、つらいと感じているなら、社会不安障害である可能性がある。
<社会不安障害の特徴>
1.人前で注目を浴びるかもしれない状況や、恥ずかしい思いをするかもしれない自分の行動に対して、強い恐怖を感じる
2.実際に「1」の状況になったとき、ほぼ毎回、強い不安が襲ってくる。突然、心臓がバクバクして死ぬのではないかという恐怖を感じる「パニック発作」を起こすこともある
3.こんなに強い恐怖を感じるなんて、おかしいと自分でも思っている
4.怖いと思う状況を避ける。もしくは、苦痛を感じながら耐えている
5.不安や恐怖のために、学校での活動、友達との付き合いなどがうまくいかない
突然、心臓がドキドキして、吐き気やめまいが起こり、「死ぬのではないか」という恐怖を覚える「パニック発作」を繰り返し起こす病気。「また発作が起こるかもしれない」という恐怖から外出できなくなったりする。発作は自律神経の働きがアンバランスになったことによるもの。心臓病があるわけではないので、カラダの検査を受けても異常なしと言われる。
<パニック発作の特徴>
次のサインのうち4つ以上が突然現れ、10分以内にピークに達するが、たいていは短時間でおさまる。
1.心臓がドキドキする
2.汗がふきだす
3.カラダが震える
4.息苦しい
5.窒息しそう
6.胸が痛い、または胸のあたりに不快感がある
7.吐き気やお腹の不快感がある
8.めまいがして、カラダがふらつく。頭が軽くなる感じや、気が遠くなる感じがする
9.今起こっていることが現実でない感じや、自分が自分自身から離れていく感じがする
10.コントロールを失って、気が変になるという恐怖を感じる
11.死ぬのではないかと怖くなる
12.感覚がまひしたり、うずく感じがする
13.カラダが冷たくなったり、または熱くなる
それを行わないと不安でたまらなくなるため、やりすぎだと思いつつも、何かに駆り立てられるように同じ行動を何度も繰り返すことを「強迫行為」という。その行為のために、時間を浪費して学校や勤め先での役割を十分に果たせない、家族の生活にも支障を来しているといった場合は、「強迫性障害」という病気と考えて、こころの専門家にメンテを手伝ってもらおう。よく見られる強迫行為として、手を洗うのがやめられない、1日中確認行為を続ける、こころの中でずっと数を数え続ける、などがある。
特定の場面や物に対してではなく、学校での成績や仕事のことなど、いろいろなことに対して過剰な不安と心配を感じ、その心配を自分でコントロールするのが難しいと感じている場合は、全般性不安障害という病気の可能性がある。
不安障害の治療法はどれもほぼ同じ。うつ病(
→ヘルプノート「気分障害」)の治療薬でもある抗うつ薬や、不安や緊張をやわらげる抗不安薬などが使われる。このほか、こころとカラダをリラックスさせる方法が指導されたり、カウンセリングも行われる。
ストレスに対処する方法を工夫したり、苦手としている状況に少しずつ段階を踏んでチャレンジしながら自分に自信をもつ、といったことで良くなっていく人もいる。
→こころの専門家
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