国の政策と方向性

こころの健康対策~うつ病~

うつ病対策について

厚生労働省が3年ごとに全国の医療施設に対して行っている「患者調査」によると、平成8年には43.3万人だったうつ病等の気分障害の総患者数は、平成20年には104.1万人と9年間で2.4倍に増加しました。

「患者調査」は、医療機関にかかっている患者数の統計データですが、うつ病患者の医療機関への受診率は低いことがわかっており、実際にはこれより多くの患者がいることが推測されます。

気分障害患者数の推移【図を拡大する】
気分障害患者数の推移

厚生労働省では、うつ病を、極めて重要な健康問題としてとらえ、こころの健康を保つためのこころの健康づくりから、早期発見、うつ病にかかったときの治療や社会的支援にわたる対策を進めています。


こころの健康づくり

平成12年から始まった「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」では、休養・こころの健康づくりについても方針を策定し、こころの健康を保つための生活習慣等の普及に取り組んできました。

健康日本21における「休養・健康づくり」の目標値

ストレス

「最近1ヶ月間にストレスを感じた人」の割合の減少
目標値:1割以上の減少
基準値:54.6%(平成8年度健康づくりに関する意識調査(財)健康・体力づくり事業財団)

睡眠

「睡眠による休養を十分にとれていない人」の割合の減少
目標値: 1割以上の減少
基準値:23.1%(平成8年度健康づくりに関する意識調査((財)健康・体力づくり事業財団))

「睡眠の確保のために睡眠補助品(睡眠薬・精神安定剤)やアルコールを使うことのある人」の減少
目標値: 1割以上の減少
基準値: 14.1%(平成8年度健康づくりに関する意識調査((財)健康・体力づくり事業財団) )

自殺者の減少

目標値:22,000人以下
基準値:31,755人(平成10年厚生省人口動態統計)

関連リンク


早期発見

うつ病にかかっていても、医療機関に受診していない人が多い状況にあり、本人が不調に気づき、専門医に適切に受診できることが重要です。

うつ病に関する一般への普及啓発と、地域の保健医療体制等によるうつ病の早期発見をすすめてきました。

  • 平成15年~16年に開催された「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」では、精神疾患等に対する正しい理解の普及・啓発について検討され、精神疾患等を正しく理解し、行動するための指針である 「こころのバリアフリー宣言」をとりまとめ、これに基づき、普及啓発の取組を実施しました。

    こころのバリアフリー宣言【図を拡大する】
    こころのバリアフリー宣言
  • 地域保健におけるうつ病の普及啓発、早期発見、受診促進等を推進するために、行政関係者向け及び保健医療従事者向けに、「うつ対策推進方策マニュアル-都道府県・市町村職員のために-」、「うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-」の2つのマニュアルを作成しました。各種研修会や講習会等で周知を図っています。
  • また、市町村が実施している介護予防事業における介護リスクを図るための「基本チェックリスト」にはうつ病に関する項目が入っており、それを活用してうつ病高齢者の早期発見を進めることができるよう、「うつ予防・支援マニュアル」(平成21年改訂)を示しました。
  • 早期の対応には、内科医等かかりつけ医に受診した段階でうつ病患者を見つけることが有効であると考えられます。地域のかかりつけ医にうつ病に関する基礎的な知識や精神科医との連携方法等に関する研修を行う、かかりつけ医師の健康対応力向上研修事業を実施しています。受講を希望される医師の方は各都道府県にお問い合わせください。
  • 平成20年の診療報酬において、精神科以外を標榜する医療機関がうつ病等の精神疾患の疑いで患者を精神科に紹介した場合の評価を新設しました。かかりつけ医におけるうつ病の早期発見を促進する効果が期待されています。
  • お父さん眠れてる? 平成19年から21年度まで、地域における自殺対策モデルの確立を目的とした「地域自殺対策推進事業」を実施しました。
    その中で、静岡県が富士市で実施した「富士モデル事業」は、うつ病でよく見られる症状のひとつである不眠に着目し、様々な広告媒体を通じたうつ病の普及啓発活動を実施したものでしたが、これを睡眠キャンペーンとして全国展開しました。
    さらに、かかりつけ医や産業医、薬剤師から不眠を訴える患者を精神科医につなぐためのシステムを構築し、専門医への受診促進も図りました。
  • 「労働者健康状況調査」(平成19年)によると、仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者が約6割に上っています。また、精神障害等にかかわる労災認定件数が増加傾向にあります。このため、厚生労働省では、職場におけるメンタルヘルス対策、こころの健康問題により休業した労働者の職場復帰支援、ハローワーク等の窓口においてきめ細かな職業相談などに取り組んでいます。平成21年度からは、リーフレットによるこころの健康に関する情報、ストレスチェックシート、メール相談の案内等の周知のほか、自殺等に係る悩み、不安等の相談に対し、カウンセラーによるメール相談を実施しています。

    また、平成21年10月には、メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」を設置し、事業者、産業保健スタッフ、労働者やその家族等に対してメンタルヘルスに関する様々な情報を提供しています。

こころの耳

 


うつ病にかかったときの治療や支援

うつ病の患者の方々が、その方に応じた適切な治療を受けることができることが大切です。このため、厚生労働省では、治療法に関する研究に関する助成などを行ってきました。その成果などを踏まえ、次のような施策を行っています。

  • 認知行動療法はうつ病や自殺予防に対する有効性が示されている精神療法で、欧米を中心に広く行われていますが、日本ではまだ十分に普及していません。
    平成22年1月に、厚生労働省の研究班が作成したうつ病に対する認知行動療法の実施マニュアルを厚生労働省のホームページに掲載しました。
    また、平成22年4月から認知行動療法の診療報酬上の評価が新設されました。認知行動療法が薬物療法と同様に精神科臨床において広く実施されるよう、医療従事者への研修を行うなど、普及を進めています。
  • うつ病等の精神疾患を有する方は、各種の障害者福祉サービス、医療費の助成などを受けることができます。
    【詳しい内容はこちら:治療や生活へのサポート
  • 精神科などの医療機関については、こちらで検索できます。
    【詳しい内容はこちら:医療機関を探し方・選び方

 

 

このページの先頭へ